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発明の名称 建設機械の作動油冷却システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−51454(P2007−51454A)
公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
出願番号 特願2005−236715(P2005−236715)
出願日 平成17年8月17日(2005.8.17)
代理人 【識別番号】100078134
【弁理士】
【氏名又は名称】武 顕次郎
発明者 木村 研一
要約 課題
油圧回路の機器類が受ける過大な熱負荷を低減して同機器類の損傷を極力防止する経済的な建設機械の作動油冷却システムを提供する。

解決手段
油圧シリンダ21,22と、油圧シリンダ21,22を駆動するための圧油を発生する油圧ポンプ20と、この油圧ポンプ20から油圧シリンダ21,22へ供給される圧油の流れや流量を切り換える方向制御弁23,24と、作動油を冷却するオイルクーラ28とを備え、油圧回路を流れる作動油をオイルクーラ28で冷却する建設機械の作動油冷却システムにおいて、油圧ポンプ20と方向制御弁23との間の供給管路aにオイルクーラ29を設けた。
特許請求の範囲
【請求項1】
油圧アクチュエータと、作動油タンク内の作動油を吸入して油圧アクチュエータを駆動するための圧油を発生する油圧ポンプと、この油圧ポンプから油圧アクチュエータへ供給される圧油の流れや流量を切り換える方向制御弁と、作動油を冷却する作動油冷却手段とを備え、油圧回路を流れる作動油を作動油冷却手段で冷却する建設機械の作動油冷却システムにおいて、作動油冷却手段を油圧ポンプと方向制御弁との間の油圧回路に設けたことを特徴とする建設機械の作動油冷却システム。
【請求項2】
油圧アクチュエータと、作動油タンク内の作動油を吸入して油圧アクチュエータを駆動するための圧油を発生する油圧ポンプと、この油圧ポンプから油圧アクチュエータへ供給される圧油の流れや流量を切り換える方向制御弁と、作動油を冷却する作動油冷却手段とを備え、油圧回路を流れる作動油を作動油冷却手段で冷却する建設機械の作動油冷却システムにおいて、作動油を水で冷却するための水冷式の作動油冷却手段を油圧ポンプと一体に設けたことを特徴とする建設機械の作動油冷却システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、油圧アクチュエータと油圧ポンプとこの油圧ポンプから油圧アクチュエータへ供給される作動油の流れや流量を切り換える方向制御弁と作動油を冷却する作動油冷却手段とを備え、油圧回路を流れる作動油を作動油冷却手段で冷却する油圧ショベルやクレーン等の建設機械の作動油冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルやクレーン等の建設機械は、クローラやホイールで走行する車体と、この車体に設置され掘削作業や荷揚げ作業等の建設作業を行う作業機とを有する。油圧ショベルを例にとると、車体は、大別すると、上部旋回体を設置するための基台となり作業現場を走行することが可能な下部走行体と、この下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とからなる。これらのうち、下部走行体は、油圧アクチュエータとしての走行モータによりクローラを駆動して走行させることができ、上部旋回体は、油圧アクチュエータとしての旋回モータにより旋回装置を駆動して旋回させることができる。
【0003】
一方、作業機は、垂直方向に回動駆動されるアーム、ブーム、バケット等の作業具を備えて上部旋回体上に設置されており、これらの作業具は、油圧アクチュエータとしての油圧シリンダにより駆動されて掘削作業や積載作業等の種々の作業を行う。建設機械は、以上のような各種油圧アクチュエータを油圧で駆動するため、油圧回路を備えている。この油圧回路は、以上述べた油圧アクチュエータのほか、作動油を貯溜する作動油タンク、この作動油タンク内の作動油を吸入して油圧アクチュエータを駆動するための圧油を発生する油圧ポンプ、この油圧ポンプから油圧アクチュエータへ供給される圧油の流れや流量を切り換える方向制御弁等の種々の機器を備えている。
【0004】
建設機械において、油圧回路内を循環する作動油は、その循環の過程で、油圧回路との摩擦により激しく温度上昇する。そのため、建設機械の油圧回路には、作動油を冷却するためのオイルクーラと称する作動油冷却手段を付設しており、油圧回路を流れる作動油をこのオイルクーラで冷却するようにしている。本発明は、こうした作動油冷却手段を備えた建設機械の作動油冷却システムを改良しようとするものである。
【0005】
そこで、後に詳述する本発明の技術内容を容易に理解できるようにするため、建設機械の代表例であるクローラ式の油圧ショベルに関する概略的な構造と、建設機械の作動油冷却システムに関する従来例の技術内容とを図5及び図6に基づいて説明する。図5は、従来例の作動油冷却システムを設置した油圧ショベルの構造の一例を示す斜視図、図6は、従来例の建設機械の作動油冷却システムを模式的に示す油圧回路図である。
【0006】
まず、作動油冷却システムが設置される建設機械の代表例であるクローラ式の油圧ショベルの一般的な構造を図5に基づいて概説する。
【0007】
同図において、1は図示していない下部走行体上に旋回可能に設置された上部旋回体、2はこの上部旋回体1を旋回可能に支持する旋回軸受とこの旋回軸受を旋回駆動するための旋回モータや減速機等の駆動機構を備え上部旋回体1を下部走行体に対して旋回させる旋回装置、3は後端部が上部旋回体1の前部に垂直方向に回動(傾動)可能に軸着されて設置されたブーム、4は後端部がこのブーム3の前端部に垂直方向に回動(揺動)可能に軸着されたアーム、5はこのアーム4の前端部に垂直方向に回動可能にかつ着脱可能に軸着されたバケット、3aは伸縮させてブーム3を回動させるように駆動するブームシリンダ、4aは伸縮させてアーム4を回動させるように駆動するアームシリンダ、5aは伸縮させてバケット5を回動させるように駆動するバケットシリンダ、6はブーム3、アーム4及びバケット5やブームシリンダ3a、アームシリンダ4a及びバケットシリンダ5aを設けて構成され掘削作業や積載作業等の種々の建設作業を行う作業機である。
【0008】
図示はしていないが、クローラ式の油圧ショベルは、上部旋回体1を設置するための基台となりエンドレスチェーン状のクローラベルトにより作業現場を走行する下部走行体を備えている。上部旋回体1は、この下部走行体上に旋回装置2で旋回可能に支持されて設置されている。この上部旋回体1は、上部旋回体1の基盤をなす旋回フレームと、この旋回フレーム上に設置した、後述する弁ユニット9、油圧ポンプ10及びエンジン11等の油圧駆動・制御用の機器や運転室16等の諸装置とで構成された集合体を指称する。油圧ショベルは、大別すると、こうした下部走行体及び上部旋回体1と、この上部旋回体1に設置した作業機6とで構成されている。そして、油圧アクチュエータとして、前記したブームシリンダ3aやアームシリンダ4aやバケットシリンダ5aのほか、下部走行体のクローラベルトを駆動するための走行モータや上部旋回体1を旋回駆動するための旋回モータ等、図示しない種々の油圧アクチュエータを備えている。
【0009】
7は作動油を貯溜するための作動油タンク、8はエンジン11の燃料タンク、9はブームシリンダ3a、アームシリンダ4a、バケットシリンダ5a等の前記の種々の油圧アクチュエータへ供給される圧油の流れや流量を切り換えて各油圧アクチュエータの運動を制御するための種々の方向制御弁を備えた方向制御弁ユニット、10は作動油タンク7内の作動油を吸入して前記の種々の油圧アクチュエータを駆動するための圧油を発生する可変容量型の油圧ポンプとその周辺の機器とからなるポンプ装置、11はこのポンプ装置10における油圧ポンプを駆動するためのエンジン、12は作動油を冷却するための作動油冷却手段としてのオイルクーラ、13はエンジン11の冷却後のエンジン冷却水を冷却するためのラジエータ、14はエンジン11で駆動されオイルクーラ12やラジエータ13等を空冷するための空気流を起す冷却ファン、15はエンジン11が吸入する空気を冷却するためのインタークーラ、16は油圧ショベルの操縦を行うための運転室である。
【0010】
方向制御弁ユニット9は、前記の種々の方向制御弁をユニット化して一体の弁ブロックをなすように形成されていて、これらの方向制御弁の集合体をなしている。オイルクーラ12は、細いパイプで形成されており、作動油は、この細いパイプ内に送られて冷却ファン14で冷却される。図には明示されていないが、上部旋回体1は、エンジン冷却水をエンジン11の被冷却部からラジエータ13へ送った後にエンジン11の被冷却部に戻すための循環管路と、この循環管路を通じてエンジン冷却水を循環させるための冷却水ポンプとを設けており、通常時は、ラジエータ13で冷却されたエンジン冷却水をこの冷却水ポンプにより絶えずエンジン11へ送って循環させることができるようにしている。
【0011】
次に、従来例の建設機械の作動油冷却システムを図6に基づいて説明する。図6は、この従来例の作動油冷却システムを分かりやすく説明するため、不特定の建設機械の油圧回路を模式的に示したものである。
【0012】
同図において、20は作動油タンク27内の作動油を吸入して後記油圧シリンダ21,22を駆動するための圧油を発生する可変容量型の油圧ポンプ、21はこの油圧ポンプ20で発生した圧油により駆動される油圧アクチュエータとしての第1の油圧シリンダ、22は油圧ポンプ20で発生した圧油により駆動される油圧アクチュエータとしての第2の油圧シリンダ、23は第1の油圧シリンダ21へ供給される圧油の流れや流量を切り換えて同油圧シリンダ21の運動を制御する第1の方向制御弁、24は第2の油圧シリンダ22へ供給される圧油の流れや流量を切り換えて同油圧シリンダ22の運動を制御する第2の方向制御弁、25は油圧ポンプ20を駆動するためのエンジン、26はこのエンジン15で駆動される冷却ファン、27はフィルタ27aを内蔵した作動油タンク、28は作動油を冷却するための作動油冷却手段としてのオイルクーラである。
【0013】
ここで、この図6の要素と前記図5の要素との対応関係を述べると、図6中の油圧ポンプ20は、図5中のポンプ装置10における可変容量型の油圧ポンプに相当し、同じく、油圧シリンダ21,22は、ブームシリンダ3a、アームシリンダ4a、バケットシリンダ5aのうちの何れか二つの油圧シリンダに相当し、方向制御弁23,24は、方向制御弁ユニット9における方向制御弁に相当している。また、図6におけるエンジン25、冷却ファン26、作動油タンク27及びオイルクーラ28は、それぞれ、図5におけるエンジン11、冷却ファン14、作動油タンク7及びオイルクーラ12に相当していて、以上の図6における各要素は、対応する図5における各要素と同等の働きをする。
【0014】
方向制御弁23,24は、操作手段の操作により左位置に切り換えられたときに、油圧ポンプ20の圧油を油圧シリンダ21,22の各ロッド側に供給するとともに、これらの各ボトム側の圧油を作動油タンク27に排出し、これにより、各油圧シリンダ21,22を縮小させることができる。また、右位置に切り換えられたときには、油圧ポンプ20の圧油を油圧シリンダ21,22の各ボトム側に供給するとともに、これらのロッド側の圧油を作動油タンク27に排出し、これにより、各油圧シリンダ21,22を伸長させることができる。その場合、操作手段の操作量に応じて開口量が調節され、これにより、油圧シリンダ21,22の伸縮する速度を制御することができる。
【0015】
図6には、便宜上、油圧アクチュエータとして油圧シリンダ21,22を図示しているが、油圧アクチュエータは、必ずしも油圧シリンダ21,22のようなものである必要はなく、前述した油圧ショベルの走行モータや旋回モータのような油圧モータであってもよい。なお、図示はしていないが、冷却ファン26とオイルクーラ28との間には、冷却ファン26でエンジン冷却水を空冷することができるように、ラジエータ13のようなラジエータを配置している。
【0016】
こうした従来の建設機械の作動油冷却システムでは、オイルクーラ28を、図6に示すように油圧回路中の戻り管路bに配置することが当然のこととして定着していた。その理由について述べると、油圧シリンダ21,22に対して圧油を供給排出するための主管路内の油圧は、パイロット管路内の油圧パイロット圧のような油圧とは異なり非常に高く、特に、油圧ポンプ20の圧油を方向制御弁23,24へ供給するための供給管路a内の油圧は、例えば300kg/cm2 〜350kg/cm2 ときわめて高い。これに対して、方向制御弁23,24を通過した圧油を作動油タンク27に戻すための戻り管路b内の油圧は、例えば30kg/cm2 弱であってかなり高圧ではあるが、供給管路a内の油圧に比べれば、同油圧の1/10以下ときわめて低い。そのため、オイルクーラ28を油圧回路に配置する場合、戻り管路bに配置した方が供給管路aに配置するよりもオイルクーラ28のパイプの強度を低くする(パイプの肉厚を薄くする)ことができ、これにより、オイルクーラ28を安価に製作することができる。
【0017】
また、オイルクーラ28をこのように圧油の戻り管路bに配置することにより、オイルクーラ28のパイプの肉厚を薄くすることができるため、熱伝達も良好になってオイルクーラ28内の作動油を空冷することが可能となり、同じ冷却ファン26により、ラジエータ内のエンジン冷却水と共に作動油を空冷することが可能となる。こうしたことから、従来の建設機械の作動油冷却システムでは、オイルクーラ28を油圧回路中の戻り管路bに配置して、作動油タンク27に戻される作動油を標的にして作動油をオイルクーラ28で冷却するようにしていた。このようにオイルクーラ28を戻り管路bに配置するようにした建設機械の作動油冷却システムは、例えば、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】実願平4ー33202号(実開平5ー67655号)のCD−ROM(第4−10頁、図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
こうした従来の建設機械の作動油冷却システムにあっては、前記の利点がある反面、油圧ポンプ20から油圧シリンダ21,22へ至る油圧経路すなわち油圧ポンプ20の吐出側の油圧経路に設けられた部品が劣化、損傷するという問題が発生した。例えば、こうした油圧経路中に部分的に設けられているホースの寿命が低下したり、このホースとパイプの連結部のOリング及び方向制御弁23,24内のOリングや油圧シリンダ21,22内のオイルシールが損傷したりするというトラブルが少なからず発生した。その原因を究明したところ、こうした部品が作動油から過大な熱負荷を受けて、この過大な熱負荷による熱で劣化、損傷することが判明した。
【0019】
その原因についての検討結果を述べると、オイルクーラ28で冷却された戻り管路b側の作動油は、一旦作動油タンク27に戻された後、油圧ポンプ20で加圧されるが、このとき、作動油は、油圧ポンプ20での加圧により高温となる。この高温の作動油は、方向制御弁23,24のポートを通過して油圧シリンダ21,22に供給されるが、特に、方向制御弁23,24のポートを通過するときの摩擦抵抗により多量の熱を発生し、油圧ポンプ20から吐出した高温の作動油は、極度に高温となる。その結果、油圧ポンプ20の吐出側の油圧経路に設けられた部品、特に、方向制御弁23,24以降のホースやシール類が作動油から過大な熱負荷を受けて劣化、損傷することが判明した。
【0020】
一方、従来の建設機械の作動油冷却システムでは、こうした問題を防止するため、油圧ポンプ20の吸入側の作動油に対するオイルクーラ28の冷却能力を増強しようとしても困難な問題が伴う。この点について言及すると、方向制御弁23,24の個所で極度に高温になった作動油は、その後、油圧回路を流通する過程で漸次放熱して戻り管路b上のオイルクーラ28に送られるため、作動油と外気との温度差は、オイルクーラ28の付近では油圧ポンプ20の吐出側と比べてかなり小さくなる。そのため、オイルクーラ28内の作動油を冷却ファン26により外気で冷却するための冷却効率が悪く、オイルクーラ28の冷却能力を増強しようとすると、オイルクーラ28を著しく大型化することが必要となって作動油冷却システムを経済的に製作することができない。
【0021】
この出願の発明は、こうした従来の技術の問題を解決するために創作されたものであって、その技術課題は、油圧回路の機器類が受ける過大な熱負荷を低減して同機器類の損傷を極力防止する経済的な建設機械の作動油冷却システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
こうした技術課題を達成するため、この出願の第1番目の発明では、次の1)の手段を採用し、この出願の第2番目の発明では、次の2)の手段を採用した。
【0023】
1)油圧アクチュエータと、作動油タンク内の作動油を吸入して油圧アクチュエータを駆動するための圧油を発生する油圧ポンプと、この油圧ポンプから油圧アクチュエータへ供給される圧油の流れや流量を切り換える方向制御弁と、作動油を冷却する作動油冷却手段とを備え、油圧回路を流れる作動油を作動油冷却手段で冷却する建設機械の作動油冷却システムにおいて、作動油冷却手段を油圧ポンプと方向制御弁との間の油圧回路に設ける。
【0024】
2)油圧アクチュエータと、作動油タンク内の作動油を吸入して油圧アクチュエータを駆動するための圧油を発生する油圧ポンプと、この油圧ポンプから油圧アクチュエータへ供給される圧油の流れや流量を切り換える方向制御弁と、作動油を冷却する作動油冷却手段とを備え、油圧回路を流れる作動油を作動油冷却手段で冷却する建設機械の作動油冷却システムにおいて、作動油を水で冷却するための水冷式の作動油冷却手段を油圧ポンプと一体に設ける。
【0025】
すでに述べたように、油圧ポンプから吐出した高温の作動油は、油圧アクチュエータへの供給時に、方向制御弁のポートを通過するときの摩擦抵抗により多量の熱を発生して極度に高温となる。前記1)の手段を採用したこの出願の第1番目の発明に係る建設機械の作動油冷却システムでは、作動油冷却手段を油圧ポンプと方向制御弁との間の油圧回路に設けているので、油圧ポンプでの加圧により高温となった作動油は、作動油冷却手段により直接的に冷却される。そのため、特に、作動油が多量の熱を発する方向制御弁に対しては、従来のように高温の作動油が送られることはなく、作動油冷却手段で冷却された温度の低い作動油が送られることとなる。それゆえ、作動油は、方向制御弁を通過するときに相当発熱はするものの、極度に高温となるようなことはなく、従来のように方向制御弁内のOリングを始めとする油圧ポンプの吐出側の部品類が作動油から過大な熱負荷を受けて劣化、損傷するようなことはない。
【0026】
一方、本建設機械の作動油冷却システムでは、こうした過大な熱負荷の発生を防ぐための作動油冷却手段を、特に、油圧ポンプの吐出側に配置しているので、作動油と外気との温度差が少ない油圧ポンプの吸入側に作動油冷却手段を配置した従来の作動油冷却システムにおいて、その作動油冷却手段の冷却能力を増強する場合とは異なり、作動油冷却手段が過度に大型化するようなことはない。したがって、本発明によれば、油圧ポンプの吐出側の部品類が作動油から過大な熱負荷を受けて劣化、損傷するのを防止することができる経済的な建設機械の作動油冷却システムを得ることができる。
【0027】
前記2)の手段を採用したこの出願の第2番目の発明に係る建設機械の作動油冷却システムでは、水冷式の作動油冷却手段を油圧ポンプと一体に設けているので、前記の第1番目の発明の作動油冷却システムと同様、油圧ポンプからの高温の作動油が方向制御弁へ送られることはなく、油圧ポンプと一体の作動油冷却手段で冷却された作動油が送られることとなる。また、作動油冷却手段は、油圧ポンプと一体に設けられ、かつ、水冷式であるので、従来の作動油冷却システムでオイルクーラの冷却能力を増強する場合とは異なり、作動油冷却手段が従来のように過度に大型化するようなこともない。したがって、本発明によっても、油圧ポンプの吐出側の部品類が作動油から過大な熱負荷を受けて劣化、損傷するのを防止できる経済的な建設機械の作動油冷却システムを得ることができる。
【発明の効果】
【0028】
以下の説明から明らかなように、この出願の第1番目の発明及び第2番目の発明は、それぞれ、〔課題を解決するための手段〕の項に示した前記の1)の手段及び2)の手段を採用しているので、何れの発明によっても、油圧ポンプの吐出側の部品類が作動油から過大な熱負荷を受けて劣化、損傷するのを防止することができる経済的な建設機械の作動油冷却システムを得ることができる。その結果、従来よりも油圧回路の信頼性を向上させることができる。
【0029】
特に、この出願の第2番目の発明に係る建設機械の作動油冷却システムでは、水冷式の作動油冷却手段を油圧ポンプと一体に設けているので、作動油冷却手段を油圧ポンプと方向制御弁との間の油圧回路に設ける場合に必要とする油圧回路と作動油冷却手段との接続部品のような余分な部品を必要としない。そのため、接続部品等の部品が熱負荷を受けて劣化、損傷するというトラブルが発生する恐れはなく、油圧回路の信頼性を一層向上させることができる。また、このように水冷式の作動油冷却手段を油圧ポンプと一体に設けているので、水冷式の作動油冷却手段を油圧ポンプ潤滑用の潤滑油を冷却する手段としても兼用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、この出願の第1番目の発明及び第2番目の発明が実際上どのように具体化されるのかを図1乃至図4を用いて説明することにより、この出願の各発明を実施するための望ましい形態を明らかにする。
【0031】
図1は、この出願の第1番目の発明を具体化して構成した建設機械の作動油冷却システムを模式的に示す油圧回路図、図2は、この出願の第2番目の発明を具体化して構成した建設機械の作動油冷却システムを設置した油圧ショベルを示す斜視図、図3は、図2の要部の拡大斜視図、図4は、図2の要部の拡大断面図である。これらの図において図5及び図6と同一符号を付けた部分は、両図と同等の部分を表すので、詳述しない。
【0032】
以下に述べるこの出願の第1番目の発明及び第2番目の発明をそれぞれ具体化して構成した各建設機械の作動油冷却システムは、何れも、すでに述べた従来例の建設機械の作動油冷却システムと同様、油圧アクチュエータとしての油圧シリンダ21,22と、作動油タンク27内の作動油を吸入して油圧シリンダ21,22を駆動するための圧油を発生する可変容量型の油圧ポンプ20と、この油圧ポンプ20から油圧シリンダ21,22へ供給される圧油の流れや流量を切り換える方向制御弁23,24と、作動油を冷却する作動油冷却手段としてのオイルクーラとを備え、油圧回路を流れる作動油をオイルクーラで冷却するためのものである。なお、冷却ファン26とオイルクーラ28との間には、図6の作動油冷却システムと同様、冷却ファン26でエンジン冷却水を空冷することができるように、ラジエータ13のような図示しないラジエータを配置している。
【0033】
そこで、図1に基づき、この出願の第1番目の発明を具体化して構成した建設機械の作動油冷却システムについてその特徴的な技術内容を説明する。
【0034】
この建設機械の作動油冷却システムの最大の特徴的は、作動油冷却手段としてのオイルクーラ29を、油圧ポンプ20と方向制御弁23,24との間の油圧回路である供給管路aに設けた点にあり、図1に示す例では、オイルクーラ29として空冷式のものを設けている。その場合、戻り管路bには、従来例のようなオイルクーラ28を設けてもよいし、設けなくてもよく、その何れにするかは、設計上適宜選択することができる。図1に示す例では、戻り管路bに従来例のようなオイルクーラ28を設けた例を示しているが、こうしたオイルクーラ28を設ける場合でも、その冷却能力を従来例におけるオイルクーラ28よりも小さくすることができる。
【0035】
こうした手段を採用した本建設機械の作動油冷却システムに関する作用効果について説明する。
【0036】
すでに「発明が解決しようとする課題」の項で述べたように、油圧ポンプ20での加圧により高温となった作動油は、方向制御弁23,24を通過して油圧シリンダ21,22へ供給されるが、この高温の作動油は、特に、方向制御弁23,24のポートを通過するときの摩擦抵抗により、多量の熱を発生して極度に高温となる。本建設機械の作動油冷却システムでは、オイルクーラ29を油圧ポンプ20と方向制御弁23,24との間の油圧回路である供給管路aに設けているので、油圧ポンプ20での加圧により高温となった作動油は、オイルクーラ29により直接的に冷却される。
【0037】
そのため、特に、作動油が多量の熱を発する方向制御弁23,24に対しては、従来のように高温の作動油が送られることはなく、オイルクーラ29で冷却された温度の低い作動油が送られることとなる。その結果、作動油は、方向制御弁23,24を通過するときに相当発熱はするものの、従来のように極度に高温となるようなことはなく、方向制御弁内23,24のOリングを始めとする油圧ポンプ20の吐出側の部品類が作動油から過大な熱負荷を受けて劣化、損傷するようなことはない。
【0038】
一方、本建設機械の作動油冷却システムでは、こうした過大な熱負荷の発生を防ぐためのオイルクーラ29を、特に、油圧ポンプ20の吐出側に配置しているので、作動油と外気との温度差が少ない油圧ポンプ20の吸入側にオイルクーラ29を配置した従来の作動油冷却システムにおいて、そのオイルクーラ28の冷却能力を増強する場合とは異なり、オイルクーラ29が過度に大型化するようなことはない。したがって、本建設機械の作動油冷却システムは、油圧ポンプ20の吐出側の部品類が作動油から過大な熱負荷を受けて劣化、損傷するのを防止することができ、かつ、経済的に製作することができる。その結果、従来よりも油圧回路の信頼性を向上させることができる。
【0039】
図2乃至図4に基づき、この出願の第2番目の発明を具体化して構成した建設機械の作動油冷却システムについてその特徴的な技術内容を説明する。
【0040】
この建設機械の作動油冷却システムの最大の特徴的は、作動油を水で冷却するための水冷式の作動油冷却手段を油圧ポンプ20と一体に設けた点にある。図2乃至図4中、符号30は、作動油冷却手段を油圧ポンプと一体に設けた装置の一例であるポンプオイルクーラである。図3及び図4に基づき、このポンプオイルクーラ30の具体的な構造やその周辺の事項について以下に説明する。
【0041】
これらの図において、20は既述の可変容量型の油圧ポンプ、31はこの油圧ポンプ20から吐出された作動油を冷却するためにポンプオイルクーラ30内に特設された作動油冷却用の油路、32は同じくポンプオイルクーラ30内に特設され作動油冷却用の油路31から分岐した作動油冷却用の分岐油路、33はこれらの油路31や分岐油路32を流通した作動油をポンプオイルクーラ30の外に導くための作動油吐出口、34は冷却水をポンプオイルクーラ30内に導くための冷却水吸入口、35は油圧ポンプ20や油路31及び分岐油路32を冷却するための冷却水を流通させる冷却水路、36はこの冷却水路35を流通した冷却水をポンプオイルクーラ30の外に導くための冷却水吐出口、37はこの冷却水吐出口36に設けられ冷却水の温度が所定温度よりも低下したときに閉じ、又は開口量を減少させて冷却水の吐出量を減少される働きをするサーモスタット(弁の一種)である。
【0042】
作動油冷却用の分岐油路32は、作動油冷却用の油路31と連通する開口32aを有して複数設けられ、互いに並列に接続されている。そして、これら複数の分岐油路32の開口32aの総面積は、作動油冷却用の油路31の流路の面積よりも大きくなるようにしている。作動油冷却手段を油圧ポンプ20の吐出側に付設すると、アクチュエータへ供給するための圧油に圧力損失が発生するが、このように作動油冷却用の油路31に複数の作動油冷却用の分岐油路32を接続することにより、作動油冷却用の油路31の下流側の流路の面積を同油路31の流路の面積よりも大きくすることができるため、こうした圧力損失の発生を極力防ぐことができる。
【0043】
冷却水路35は、図4に示すように、油圧ポンプ20の周囲や油路31及び分岐油路32の周囲を覆うように各所に配置されて水冷式のウォータジャケットをなしている。このウォータジャケットは、高圧の油圧ポンプ20の吐出油が流れる個所に配置するため、耐圧構造としている。図には明示されていないが、ポンプオイルクーラ30内の各所に入り組んで配置されている冷却水路35は、冷却水吸入口34から吸入された冷却水が何れの個所の冷却水路35にも行き渡り、何れの個所の冷却水路35を流通した冷却水も冷却水吐出口36に導かれるように形成されている。冷却水吸入口34へは、エンジン11のラジエータ13で冷却されたエンジン冷却水又は別途設置された専用のラジエータ(図示せず)の冷却水を供給することとし、この冷却水は、冷却水吐出口36からこうしたラジエータに戻して循環させるようにする。
【0044】
ポンプオイルクーラ30に使用する冷却水をエンジン冷却水にした場合には、建設機械を極寒の環境下で運転するときに、比較的暖かいエンジン冷却水を冷却水路35に導いて放熱器として用いることにより、極寒の環境下での高粘度の作動油を暖めて暖機運転を助成し、通常運転の開始を早めることができる。サーモスタット37は、通常時には全開されており、冷却水の温度が必要以上に低下すると、冷却水吐出口36を閉じ、又は絞って作動油の過冷却を防止する。こうしたサーモスタット37を冷却水吐出口36に設けることにより、例えば、建設機械のアイドリング運転時に冷却水吐出口36を絞って、作動油の過冷却により作動油の粘性が増加するのを防止し、作動油の粘性増加に起因する方向制御弁23,24等の寿命の短縮や損傷を防ぐ。
【0045】
以上のようなポンプオイルクーラ30を設ける場合、図1の例と同様、戻り管路bにオイルクーラ28を設けてもよいし、設けなくてもよく、その何れにするかは、設計上適宜選択することができる。また、ポンプオイルクーラ30を設けた場合には、オイルクーラ28の冷却能力を従来例のものよりも減少させることができる。なお、図3中、38は方向制御弁23,24等を制御するための油圧パイロット圧を発生させる、ポンプオイルクーラ30に付設されたパイロットポンプ、39は油圧ポンプ20を駆動するためのエンジン11が取り付けられるエンジン取付け部である。図3の例では、パイロットポンプ38のパイロット油を冷却するための冷却手段は、設置しておらず、冷却手段を設置するにしても、油圧パイロット圧は、作動油の油圧に比べてかなり低圧であるため、作動油冷却手段とは異なり、設置する上での制約条件はない。
【0046】
以上のようなポンプオイルクーラ30を設置した本建設機械の作動油冷却システムに関する作用効果について説明する。
【0047】
本建設機械の作動油冷却システムでは、油圧ポンプ20と一体の構造を有するポンプオイルクーラ30を設置ているので、既述の図1の作動油冷却システムと同様、油圧ポンプ20からの高温の作動油が方向制御弁23,24へ送られることはなく、油圧ポンプ20と一体の作動油冷却手段としてのウォータジャケット式の冷却水路35で冷却された作動油が送られることとなる。また、作動油冷却手段は、油圧ポンプ20と一体に設けられ、しかも、水冷式であるので、従来の作動油冷却システムでオイルクーラ28の冷却能力を増強する場合とは異なり、作動油冷却手段が従来のように過度に大型化するようなこともない。したがって、本建設機械の作動油冷却システムも、図1の作動油冷却システムと同様、油圧ポンプ20の吐出側の部品類が作動油から過大な熱負荷を受けて劣化、損傷するのを防止することができ、かつ、経済的に製作することができる。
【0048】
既述の図1の作動油冷却システムのように、作動油冷却手段としてのオイルクーラ29を供給管路aに設けた場合には、この供給管路aとオイルクーラ29との接続部品等の余分な部品が必要となるため、その接続部品等の部品が熱負荷を受けて劣化、損傷するというトラブルが発生したり、こうしたトラブルの発生の予防措置を講じることが必要となったりする。これに対し、本建設機械の作動油冷却システムでは、ポンプオイルクーラ30により作動油冷却手段を油圧ポンプ20と一体に設けているので、前記接続部品等の部品が劣化、損傷するというトラブルは、発生する恐れがなく、油圧回路の信頼性を一層向上させることができる。
【0049】
ところで、油圧ポンプ20のケーシング内には、油圧ポンプ潤滑用の潤滑油として、作動油が作動油タンク7から吸入されて内部を潤滑した後、作動油タンク7に戻されて循環する。この油圧ポンプ20を潤滑して作動油タンク7に戻される作動油タンク7は、油圧ポンプ20で加熱されてかなり高温であるため、こうした作動油の循環が繰り返されると、作動油タンク7内の作動油の温度が著しく上昇する。本建設機械の作動油冷却システムでは、特に、作動油冷却手段としてのウォータジャケット式の冷却水路35を油圧ポンプ20と一体に設けているので、ウォータジャケット式の冷却水路35を油圧ポンプ潤滑用の潤滑油を冷却する手段としても兼用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この出願の第1番目の発明を具体化して構成した建設機械の作動油冷却システムを模式的に示す油圧回路図である。
【図2】この出願の第2番目の発明を具体化して構成した建設機械の作動油冷却システムを設置した油圧ショベルを示す斜視図である。
【図3】図2の要部の拡大斜視図である。
【図4】図2の要部の拡大断面図である。
【図5】図5は、従来例の作動油冷却システムを設置した油圧ショベルの構造の一例を示す斜視図である。
【図6】従来例の建設機械の作動油冷却システムを模式的に示す油圧回路図である。
【符号の説明】
【0051】
1 上部旋回体
3 ブーム
3a ブームシリンダ
4 アーム
4a アームシリンダ
5 バケット
5a バケットシリンダ
6 作業機
7 作動油タンク
9 方向制御弁ユニット
10 ポンプ装置
11 エンジン
12 オイルクーラ
13 ラジエータ
14 冷却ファン
20 可変容量型の油圧ポンプ
21,22 油圧シリンダ
23,24 方向制御弁
25 エンジン
26 冷却ファン
27 作動油タンク
28 オイルクーラ
29 オイルクーラ
30 ポンプオイルクーラ
31 作動油冷却用の油路
32 作動油冷却用の分岐油路
33 作動油吐出口
34 冷却水吸入口
35 冷却水路
36 冷却水吐出口
37 サーモスタット




 

 


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