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発明の名称 柱脚接合仕口
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−92511(P2007−92511A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2006−232835(P2006−232835)
出願日 平成18年8月29日(2006.8.29)
代理人 【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
発明者 大西 克則
要約 課題
柱脚接合仕口において、建物全体の変形を極小にすること。

解決手段
建物構造体10の相並ぶ複数の柱11の各柱脚11Aを基礎14に接合する柱脚接合仕口20において、複数の柱11のうちの少なくとも1つの柱11の柱脚11Aに横材からなるベース部材21を剛接合し、基礎14とベース部材21の間に少なくとも2本のロッド22A、22Bの組合せからなるロッド対22を設け、それらのロッド22A、22Bはそれらの下端を基礎14に接合するとともに、それらの上端をベース部材21に接合し、それらのロッド22A、22Bの上端間隔を下端間隔より狭くして、それらのロッド22A、22Bのうちで少なくとも一方のロッド22Bの上端をベース部材21の一端に剛接合してなるもの。
特許請求の範囲
【請求項1】
建物構造体の相並ぶ複数の柱の各柱脚を下部構造体に接合する柱脚接合仕口において、
前記各柱脚には構造材としての横架材が接合され、複数の柱のうちの少なくとも1つの柱の柱脚に横材からなるベース部材を剛接合し、
下部構造体とベース部材の間に少なくとも2本のロッドの組合せからなるロッド対を設け、それらのロッドはそれらの下端を下部構造体に接合するとともに、それらの上端をベース部材に接合し、それらのロッドの上端間隔を下端間隔より狭くし、それらのロッドのうちで少なくとも一方のロッドの上端をベース部材の一端に剛接合してなることを特徴とする柱脚接合仕口。
【請求項2】
前記建物構造体を前記ベース部材と前記ロッドとの剛接合部の上に載置してなる請求項1に記載の柱脚接合仕口。
【請求項3】
前記建物構造体の柱に剪断力が作用し、ロッド対の構成ロッドに軸力が発生するとき、それらのロッドの軸力に起因して柱脚に生ずる曲げモーメントMrが、柱に作用する剪断力に起因して柱脚に生ずる曲げモーメントMcと逆方向になる請求項1又は2に記載の柱脚接合仕口。
【請求項4】
Mr=Mcである請求項3に記載の柱脚接合仕口。
【請求項5】
Mr>Mcである請求項3に記載の柱脚接合仕口。
【請求項6】
前記ベース部材に、前記柱に作用する剪断力と同方向の剪断力が作用するようにする請求項5に記載の柱脚接合仕口。
【請求項7】
前記下部構造体が基礎である請求項1〜6のいずれかに記載の柱脚接合仕口。
【請求項8】
前記下部構造体が下階建物構造体である請求項1〜6のいずれかに記載の柱脚接合仕口。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は建物の柱脚接合仕口に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の柱脚接合仕口として、特許文献1に記載の如く、建物のもつ柱の柱脚を基礎に剛接合するものがある。即ち、柱の柱脚を基礎に剛接合し、柱と基礎の交差角度の変位をピン接合による場合よりも少なくし、建物全体の変形を少なくすることができる。
【特許文献1】特開2005-2777
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、柱脚接合仕口において、建物全体の変形を極小にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、建物構造体の相並ぶ複数の柱の各柱脚を下部構造体に接合する柱脚接合仕口において、前記各柱脚には構造材としての横架材が接合され、複数の柱のうちの少なくとも1つの柱の柱脚に横材からなるベース部材を剛接合し、下部構造体とベース部材の間に少なくとも2本のロッドの組合せからなるロッド対を設け、それらのロッドはそれらの下端を下部構造体に接合するとともに、それらの上端をベース部材に接合し、それらのロッドの上端間隔を下端間隔より狭くし、それらのロッドのうちで少なくとも一方のロッドの上端をベース部材の一端に剛接合してなるようにしたものである。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記建物構造体を前記ベース部材と前記ロッドとの剛接合部の上に載置してなるようにしたものである。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記建物構造体の柱に剪断力が作用し、ロッド対の構成ロッドに軸力が発生するとき、それらのロッドの軸力に起因して柱脚に生ずる曲げモーメントMrが、柱に作用する剪断力に起因して柱脚に生ずる曲げモーメントMcと逆方向になるようにしたものである。
【0007】
請求項4の発明は、請求項3の発明において更に、Mr=Mcであるようにしたものである。
【0008】
請求項5の発明は、請求項3の発明において更に、Mr>Mcであるようにするものである。
【0009】
請求項6の発明は、請求項5の発明において更に、前記ベース部材に、前記柱に作用する剪断力と同方向の剪断力が作用するようにするようにしたものである。
【0010】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかの発明において更に、前記下部構造体が基礎であるようにしたものである。
【0011】
請求項8の発明は、請求項1〜6のいずれかの発明において更に、前記下部構造体が下階建物構造体であるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
(請求項1)
(a)柱脚にベース部材を剛接合し、下部構造体とベース部材の間に2本のロッドの組合せからなるロッド対を設け、2本のロッドはそれらの下端を下部構造体に接合するとともに、それらの上端をベース部材に接合し、2本のロッドの上端間隔を下端間隔より狭くしてなることにより、2本のロッドの軸力がベース部材に曲げモーメントを及ぼし、この曲げモーメントが柱の変形(柱と基礎の交差角度の変位)を少なくし、建物全体の変形を極小にするように作用する。
【0013】
(b)ベース部材を柱脚に接合する構造材としての横架材(梁、桁、胴差し、土台等)とは別構成の横材からなるものにしたから、ベース部材を上記柱脚に接合する構造材としての横架材とするものに比して、ベース部材を高剛性のものにすることができる。従って、2本のロッドの軸力がベース部材に及ぼす上述(a)の曲げモーメントMrを、安定的に柱脚に伝え、柱脚に生ずる曲げモーメントMcと相殺させることができる。これにより、建物全体の変形を安定的に極小化できる。
【0014】
(c)柱脚(柱脚に溶接される床梁用ジョイントピースを含む)に定められるベース部材の剛接合点の位置に関係なく、横材からなるベース部材の長さを長くできる。これは、ベース部材と柱脚の上述の剛接合点から、ベース部材とロッドとの接合点までのフランジ長さfを長くできることを意味し、ひいては2本のロッドの軸力がベース部材に及ぼす前述(a)の曲げモーメントMrを大きくとることができること(理由は後述する)を意味する。これにより、建物全体の変形を確実に極小化できる。
【0015】
(d)ベース部材(横材)とロッド(斜材及び/又は鉛直材)の上端を剛接合することで、ベース部材に作用する剪断力Q2の変動を回避できる。1本のロッドの下端と下部構造体の接合点r1、該ロッドの上端とベース部材(横材)との接合点r2、他の1本のロッド(斜材)の下端と下部構造体の接合点s1、該ロッドの上端とベース部材(横材)の接合点s2を考える。このとき、全てのr1、r2、s1、s2がピン接合であれば、2本のロッドの軸力がベース部材に及ぼす前述(a)の曲げモーメントMrは大きくなるが、建物構造体の強度は柱に作用する剪断力Q1と上述のQ2の比率で大きく異なるものになり、建物構造体の強度を予め特定できない。他方、ベース部材(横材)とロッド(斜材及び/又は鉛直材)の上端(r2及び/又はs2)を剛接合しておくと、曲げモーメントMrは上記ほど大きくならないが、建物構造体の強度はQ1、Q2の比率による差異が殆どなくなり、建物構造体の強度をプランに左右されることなく予め特定できる。
【0016】
(請求項2)
(e)建物構造体を上述(d)のベース部材(横材)とロッド(斜材及び/又は鉛直材)との剛接合部の上に載置するときには、建物構造体の柱脚に接合する構造材としての横架材(梁、桁、胴差し、土台等)の固定度を強化できる。2本のロッドの軸力がベース部材に及ぼす前述(a)の曲げモーメントMrを建物構造体の柱脚(床梁)に伝えるとき、建物構造体の柱と、建物構造体のベース部材への支圧支点(載置点)の距離が大きくなり、支点反力が軽減する(但し、曲げモーメントMrが建物構造体の支圧でなく、引き抜き力を当該支点に及ぼすときには、支点反力軽減の効果はなく、別途の梁固定ボルトに反力がかかる。)
【0017】
(請求項3)
(f)建物構造体の柱に剪断力が作用し、2本のロッドに軸力が発生するとき、2本のロッドの軸力に起因して柱脚に生ずる曲げモーメントMrが、柱に作用する剪断力に起因して柱脚に生ずる曲げモーメントMcと逆方向になる。従って、曲げモーメントMcによる柱の変形と、曲げモーメントMrによる柱の変形が互いに相殺し、柱の変形を少なくし、建物全体の変形を極小にする。
【0018】
(g)柱の変形を上述(a)、(f)の如くにベース部材に作用する曲げモーメントMr、Mcにより少なくできるから、2本のロッドの下端を下部構造体に剛接合せず、簡易にピン接合する場合でも柱の変形を少なくし、建物全体の変形を極小にできる。
【0019】
(請求項4)
(h)曲げモーメントMrと曲げモーメントMcを、Mr=Mcとすることにより、柱脚は下部構造体に対し剛接合状態(柱脚は回転せず、柱と基礎の交差角度は変位しない)になり、柱の変形を少なくすることができる。ベース部材の移動はない。
【0020】
(請求項5)
(i)曲げモーメントMrと曲げモーメントMcを、Mr>Mcとすることにより、柱脚はMcよる変形をMrによって逆方向に戻され、超剛接合状態になり、柱の変形を上述(h)より少なくすることができる。ベース部材は剪断方向に移動する。
【0021】
(請求項6)
(j)ベース部材に、柱に作用する剪断力Q1と同方向の剪断力Q2が作用するようにすることにより、下部構造体が2本のロッドに及ぼす支点反力Q=Q1+Q2を大きくし、ひいては2本のロッドの軸力を大きく、曲げモーメントMrを大きくし、2本のロッドを設けたことの効果を一層向上できる。
【0022】
(請求項7)
(k)下部構造体を基礎とし、建物構造体の柱を基礎に接合する接合仕口において、上述(a)〜(j)を実現できる。
【0023】
(請求項8)
(l)下部構造体を下階建物構造体とし、上階建物構造体の柱を下階建物構造体の柱頭又は梁に接合する接合仕口において、上述(a)〜(j)を実現できる。梁勝ち工法において高い剛性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は実施例1の建物構造体を示す模式図、図2は図1の要部拡大図、図3は図2の平面図、図4は図2の変形例を示す模式図、図5は柱脚接合架台を示し、(A)は外側から視た斜視図、(B)は内側から視た斜視図、図6は柱脚接合架台を示す外面図、図7は柱脚接合架台を示す内面図、図8は柱脚接合架台を示す平面図、図9は柱脚接合仕口に作用する水平力を示す模式図、図10は柱脚接合仕口に作用する曲げモーメントを示す模式図、図11は実施例2のラーメン構造体を示す模式図、図12は実施例3の建物構造体を示す模式平面図、図13は実施例4の柱脚接合仕口を示す模式図、図14は実施例5の柱脚接合仕口を示す模式図、図15は実施例6の柱脚接合仕口を示す模式図である。
【実施例】
【0025】
(実施例1)(図1〜図10)
建物構造体(建物ユニット)10は、図1〜図3に示す如く、四角箱形骨組構造のラーメン構造をなし、平面視で相直交する桁面と妻面のそれぞれにおいて、相並ぶ柱11、11の上端部に剛接合されるジョイントピース12Aに天井梁12を剛接合することにより、それら柱11、11の上端部を連結するとともに、相並ぶ柱11、11の下端部(柱脚11A)に剛接合されるジョイントピース13Aに床梁13(横架材)を剛接合することにより、それら柱11、11の下端部を連結する。
【0026】
建物構造体10は、桁面と妻面のそれぞれにおいて、柱11、11の各柱脚11Aを、柱脚接合架台20Aの柱脚接合仕口20により基礎14(下部構造体)に接合される。
【0027】
以下、柱脚接合架台20Aの柱脚接合仕口20について説明する。
柱脚接合架台20Aは、図5〜図8に示す如く、建物構造体10の桁面と妻面が直交するコーナー部に設けられる柱11の柱脚11Aの直下に配置される1本のロッド22Aと、桁面と妻面のそれぞれの床梁13の直下に配置される各1本のロッド22Bと、桁面と妻面のそれぞれにおいて両ロッド22A、22Bの上端部に接合されてそれらを連結するベース部材21とを有する。2本のロッド22Aとロッド22Bは桁面と妻面のそれぞれにおいてロッド対22を構成し、それらの上端間隔を下端間隔より狭くする。
【0028】
柱脚接合架台20Aは、図9に示す如く、ベース部材21を形鋼と補強片により補強した横材とし、ロッド22Aを角鋼管からなる鉛直材とし、ロッド22Bを形鋼と補強片により補強した斜材とする。ロッド22Aの下端部と基礎14の接合点r1、ロッド22Aの上端部とベース部材21の一端部の接合点r2、ロッド22Bの下端部と基礎14の接合点s1、ロッド22Bの上端部とベース部材21の他端部の接合点s2を備える。4つの接合点r1、r2、s1、s2のうちの少なくとも1つを剛接合点とし、残余の接合点をピン接合点とする。本実施例ではs2を剛接合点とし、r1、r2、s1をピン接合点とする。
【0029】
柱脚接合架台20Aは柱脚接合仕口20を以下の如くに形成する。以下、桁面(妻面も同じ)について説明する。
【0030】
(1)柱脚接合架台20Aを基礎14の上に載置し、基礎14とベース部材21の間に2つのロッド22A、22Bの組合せからなるロッド対22を設ける。2本のロッド22A、22Bは、それらの下端(r1、s1)をアンカーボルト23、24により基礎14にピン接合(剛接合でも可)するとともに、ロッド22Aの上端(r2)を溶接(溶接長は短い)によりベース部材21にピン接合(剛接合でも可)し、ロッド22Bの上端(s2)を溶接(溶接長は長い)によりベース部材21に剛接合する。2本のロッド22A、22Bの上端間隔を下端間隔より狭くする(ロッド22A、22Bを互いにハの字をなすように配置し、柱11側の上端間隔を基礎14側の下端間隔より狭くする)。本実施例では、柱11に作用する水平剪断力Q1の方向に沿う剪断前方側のロッド22Aを鉛直配置し、剪断後方側のロッド22Bを前傾させる。
【0031】
(2)建物構造体10を柱脚接合架台20Aのベース部材21とロッド22A、22Bとの接合部の上に載置する。本実施例では、柱脚11Aの下端板11Bをロッド22Aの上端板31の上に載置し、ジョイントピース13Aの自由端側の下面13Bをロッド22Bの上端板32の上に載置する。このとき、ロッド22Aとロッド22Bの上端板31と上端板32の外法間隔Kに対し、建物構造体10の柱脚11Aとジョイントピース13Aの外法間隔Lを小とする。また、ロッド22Aの上端板31とロッド22Bの上端板32は同一レベル面に位置し、ベース部材21の上面はそれらのレベル面よりギャップGだけ低位をなし、結果としてベース部材21の上面とジョイントピース13Aの下面との間にギャップGを形成する。
【0032】
(3)ボルト41をワッシャ41Aを介してロッド22Aの上端板31に挿通し、柱脚11Aの下端板11Bの裏面側に溶接してある締結ブロック41Bに締結する。
【0033】
(4)ボルト42を厚板ワッシャ42Aを介して柱11の柱脚11に剛接合してあるジョイントピース13A、ジョイントピース13A内の床梁13、ベース部材21を挿通し、ベース部材21の裏面側にてナット42Bを締結する。これにより、柱11の柱脚11A(ジョイントピース13A)に横材からなるベース部材21が剛接合された。
【0034】
尚、柱脚接合架台20Aの柱脚接合仕口20にあっては、図4に示す如く、ボルト43を厚板ワッシャ43A、柱11の柱脚11Aにジョイントピース13Aを介して剛接合してある床梁13、ロッド22Bの上端板32を挿通し、上端板32の裏面にてナット43Bを締結しても良い。ロッド22Bと建物構造体10とを強固に接合できる。
【0035】
以下、建物構造体10の支持メカニズムについて説明する(図9、図10)。
(1)柱11に水平剪断力Q1が作用する。本実施例では更に、ベース部材21に、柱11に作用する剪断力Q1と同方向の水平剪断力Q2(柱11の下半分に対応する壁荷重、風圧力等)が作用する。尚、剪断力Q1、Q2は仮想的に1つの柱に作用する剪断力とする。
【0036】
このとき、2本のロッド22A、22Bの基礎14への接合部には、支点反力Q=Q1+Q2が作用する。
【0037】
(2)柱11に作用する剪断力Q1に起因する曲げモーメントMcが柱脚11A(ベース部材21との剛接合点)に生ずる。
【0038】
(3)2本のロッド22A、22Bに作用する支点反力Q(Q1+Q2)により、各ロッド22A、22Bに軸力Ta、Tbが発生する。尚、軸力Ta、Tbは、柱11に作用する剪断力Q1、Q2によってベース部材21が同剪断方向に移動させられようとするときに発生する。
【0039】
そして、2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbに起因する曲げモーメントMrが柱脚11A(ベース部材21との剛接合点)に生ずる。曲げモーメントMrは曲げモーメントMcと逆方向になる。曲げモーメントMrは、剪断前方側のロッド22Aの上端を下げ、剪断後方側のロッド22Bの上端を上げ、ベース部材21を微小回転させる。
【0040】
軸力Ta、Tbの水平成分をHa、Hb、鉛直成分をVa、Vbとし、軸力Ta、Tbの柱脚11A(ベース部材21との剛接合点)に対するモーメントの腕の長さをa、bとし、ベース部材21における柱脚11Aとの接合点からロッド22Aとの接合点までのフランジ長さをf、ロッド22Bとの接合点までのフランジ長さをfとし、ロッド22Aが基礎14に対してなす交差角度をθa(図10)とし、ロッド22Bが基礎14に対してなす交差角度をθb(図10)とするとき、下記(1)式〜(5)式が成立する。尚、柱11の軸力を無視する。
【0041】
Q1+Q2=Ha+Hb … (1)
【0042】
Va+Vb=0 … (2)
【0043】
Mr=Ta×a+Tb+b … (3)
【0044】
Mr=(Ha/cosθa)×a+(Hb/cosθb)×b … (4)
【0045】
a=f・sinθa、 b=f・sinθb … (5)
【0046】
従って、曲げモーメントMrを大きくとるためには、ロッド22A、22Bの角度θa、θbを大きくとる、ベース部材21のフランジ長さfを大きくとる、ベース部材21に作用する剪断力Q2を大きくとることが必要になる。
【0047】
ベース部材21に作用する剪断力Q2を大きくすることは、床荷重や風圧力を梁材や胴縁で受け、これをベース部材21に伝える等にて実現できる。
【0048】
また、ロッド22A(22B)と、ベース部材21又は基礎14との接合をピン接合とした場合は、ベース部材21の移動に対する抵抗が少ないため、ベース部材21が大きく移動され、Mrも大きくすることができ、剛接合とした場合は、ベース部材21の移動に対する抵抗が大きくなるため、Mrはピン接合に比べ小さくなるが、ロッド22A(22B)の変形が微少となるため、微振動の発生を抑制することができる。
【0049】
(4)Mr=Mcで柱脚11Aは剛接合状態(柱脚11Aが回転しない、柱11と基礎14の相対角度を不変)になる。ベース部材21の移動はない。
【0050】
(5)Mr>Mcで柱脚11AはMcによる変形方向と逆方向に戻される。これを、超剛接合状態というものとする。ベース部材21は剪断方向(Q1の方向)に移動する。
【0051】
(6)Mr<Mcで柱脚11Aは半剛接合状態(剛接合より弱い)になる。ベース部材21は剪断方向と逆方向に移動する。
【0052】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)柱脚11Aにベース部材21を剛接合し、基礎14とベース部材21の間に2本のロッド22A、22Bの組合せからなるロッド対22を設け、2本のロッド22A、22Bはそれらの下端を基礎14に接合するとともに、それらの上端をベース部材21に接合し、2本のロッド22A、22Bの上端間隔を下端間隔より狭くしてなることにより、2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbがベース部材21に曲げモーメントMrを及ぼし、この曲げモーメントMrが柱11の変形(柱11と基礎の交差角度の変位)を少なくし、建物全体の変形を極小にするように作用する。
【0053】
(b)ベース部材21を横材からなるものにしたから、ベース部材21を柱脚11Aに接合するフランジや床梁とするものに比して、ベース部材21を高剛性にすることができる。従って、2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbがベース部材21に及ぼす上述(a)の曲げモーメントMrを、安定的に柱脚11Aに伝え、柱脚11Aに生ずる曲げモーメントMcと相殺させることができる。これにより、建物全体の変形を安定的に極小化できる。
【0054】
(c)柱脚11A(柱脚11Aに溶接される床梁用ジョイントピース13Aを含む)に定められるベース部材21の剛接合点の位置に関係なく、横材からなるベース部材21の長さを長くできる。これは、ベース部材21と柱脚11Aの上述の剛接合点から、ベース部材21とロッド22Bとの接合点までのフランジ長さfを長くできることを意味し、ひいては2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbがベース部材21に及ぼす前述(a)の曲げモーメントMrを大きくとることができること(理由は前述した)を意味する。これにより、建物全体の変形を確実に極小化できる。
【0055】
(d)ベース部材21(横材)とロッド(斜材22B及び/又は鉛直材22A)の上端を剛接合することで、ベース部材21に作用する剪断力Q2の変動を回避できる。1本のロッド22Aの下端と基礎14の接合点r1、該ロッド22Aの上端とベース部材21(横材)との接合点r2、他の1本のロッド22B(斜材)の下端と基礎14の接合点s1、該ロッド22Bの上端とベース部材21(横材)の接合点s2を考える。このとき、全てのr1、r2、s1、s2がピン接合であれば、2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbがベース部材21に及ぼす前述(a)の曲げモーメントMrは大きくなるが、建物構造体10の強度は柱11に作用する剪断力Q1と上述のQ2の比率で大きく異なるものになり、建物構造体10の強度を予め特定できない。他方、ベース部材21(横材)とロッド(斜材22B及び/又は鉛直材22A)の上端(r2及び/又はs2)を剛接合しておくと、曲げモーメントMrは上記ほど大きくならないが、建物構造体10の強度はQ1、Q2の比率による差異が殆どなくなり、建物構造体10の強度をプランに左右されることなく予め特定できる。
【0056】
(e)建物構造体10を上述(d)のベース部材21(横材)とロッド(斜材22B及び/又は鉛直材22A)との剛接合部の上に載置するときには、建物構造体10の(床梁13の)固定度を強化できる。2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbがベース部材21に及ぼす前述(a)の曲げモーメントMrを建物構造体10の柱脚11A(床梁)に伝えるとき、建物構造体10の柱11と、建物構造体10のベース部材21への支圧支点(載置点)の距離が大きくなり、支点反力が軽減する(但し、曲げモーメントMrが建物構造体10の支圧でなく、引き抜き力を当該支点に及ぼすときには、支点反力軽減の効果はなく、別途の梁固定ボルトに反力がかかる。
【0057】
(f)建物構造体10の柱11に剪断力が作用し、2本のロッド22A、22Bに軸力Ta、Tbが発生するとき、2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbに起因して柱脚11Aに生ずる曲げモーメントMrが、柱11に作用する剪断力に起因して柱脚11Aに生ずる曲げモーメントMcと逆方向になる。従って、曲げモーメントMcによる柱11の変形と、曲げモーメントMrによる柱11の変形が互いに相殺し、柱11の変形を少なくし、建物全体の変形を極小にする。
【0058】
(g)柱11の変形を上述(a)、(f)の如くにベース部材21に作用する曲げモーメントMr、Mcにより少なくできるから、2本のロッド22A、22Bの下端を基礎14に剛接合せず、簡易にピン接合する場合でも柱11の変形を少なくし、建物全体の変形を極小にできる。
【0059】
(h)曲げモーメントMrと曲げモーメントMcを、Mr=Mcとすることにより、柱脚11Aは基礎14に対し剛接合状態(柱脚11Aは回転せず、柱11と基礎の交差角度は変位しない)になり、柱11の変形を少なくすることができる。ベース部材21の移動はない。
【0060】
(i)曲げモーメントMrと曲げモーメントMcを、Mr>Mcとすることにより、柱脚11AはMcよる変形をMrによって逆方向に戻され、超剛接合状態になり、柱11の変形を上述(d)より少なくすることができる。ベース部材21は剪断方向に移動する。
【0061】
(j)ベース部材21に、柱11に作用する剪断力Q1と同方向の剪断力Q2が作用するようにすることにより、基礎14が2本のロッド22A、22Bに及ぼす支点反力Q=Q1+Q2を大きくし、ひいては2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbを大きく、曲げモーメントMrを大きくし、2本のロッド22A、22Bを設けたことの効果を一層向上できる。
【0062】
(k)下部構造体を基礎14とし、建物構造体10の柱11を基礎14に接合する接合仕口20において、上述(a)〜(j)を実現できる。
【0063】
(実施例2)(図11)
建物構造体60は、図11に示す如く、四角箱形骨組構造のラーメン構造をなし、平面視で相直交する桁面と妻面のそれぞれにおいて、相並ぶ柱61、61の上端部に剛接合されるジョイントピース62Aに天井梁62を剛接合することにより、それら柱61、61の上端部を連結するとともに、相並ぶ柱61、61の下端部(柱脚61A)に剛接合されるジョイントピース63Aに床梁63(横架材)を剛接合することにより、それら柱61、61の下端部を連結する。
【0064】
建物構造体60は、桁面と妻面のそれぞれにおいて、柱61、61の各柱脚61Aを、実施例1の柱脚接合架台20Aの柱脚接合仕口20により下階構造体70(下部構造体)に接合される。
【0065】
下階建物構造体70は柱71と梁72を剛接合したラーメン構造体であり、その上階建物構造体60の柱61の柱脚61Aが柱脚接合仕口20により梁72に接合される。
【0066】
建物構造体60の支持メカニズムは、建物構造体10の支持メカニズムと実質的に同一である。従って、建物構造体60の柱61に剪断力Q1が作用し、この剪断力Q1によってベース部材21が同剪断方向に移動させられようとすることにて2本のロッド22A、22Bに軸力Ta、Tbが発生するとき、2本のロッド22A、22Bの軸力Ta、Tbに起因して柱脚61A(ベース部材21との剛接合点)に生ずる曲げモーメントMrが、柱61に作用する剪断力Q1に起因して柱脚61A(ベース部材21との剛接合点)に生ずる曲げモーメントMcと逆方向になる。尚、ベース部材21に、柱61に作用する剪断力Q1と同方向の剪断力Q2(柱61の下半部に対応する壁荷重、風圧力等)が作用する。
本実施例によれば、実施例1と実質的に同様の作用効果を奏する。
【0067】
(実施例3)(図12)
建物構造体80は、図12に示す如く、四角箱形骨組構造のラーメン構造をなし、相並ぶ4本の柱81を、それらの上端部に剛接合される梁82(天井梁)により連結し、相並ぶ4本の柱81を、それらの下端部に剛接合される梁83(床梁)により併せ連結するものである。建物構造体80は、図12の平面視で、柱81に交差する長辺側と短辺側のそれぞれにおいて、各柱脚81Aを柱脚接合仕口84、85により基礎又は下階構造体に接合される。柱脚接合仕口84、85は、前述した柱脚接合仕口20、40、60、或いは後述する柱脚接合仕口90A、90B、100と同一の構成からなるものとすることができる。
【0068】
(実施例4)(図13)
図13に示した柱脚接合仕口90Aは、下部構造体と、柱91の柱脚91Aに剛接合したベース部材91Bの間に、3本のロッド92A、92B、92Cの組合せからなるロッド対90を設ける。柱91の柱脚91Aには床梁93が剛接合される。3本のロッド92A〜92Cは、それらの下端を下部構造体にピン接合(剛接合でも可)するとともに、それらの上端をベース部材91Bにピン接合(剛接合でも可)する。柱脚接合仕口90Aの平面視で、柱91に作用する水平剪断力Qに沿う方向に関し、2本のロッド92A、92Bと1本のロッド92Cは互いに柱91を挟む反対側に位置付けられ、2本のロッド92A、92Bは、水平剪断力Qの方向に沿う剪断前方側で互いに剪断力Qを含む鉛直面の反対側に位置付けられて後傾配置される。1本のロッド92Cは、水平剪断力Qの方向に沿う剪断後方向で、剪断力Qを含む鉛直面内に位置付けられて前傾配置される。2本のロッド92A、92Cの上端間隔を下端間隔より狭くし、2本のロッド92B、92Cの上端間隔を下端間隔より狭くする。
【0069】
柱脚接合仕口90Aによる支持メカニズムは、前述柱脚接合仕口20の支持メカニズムと実質的に同一である。
【0070】
(実施例5)(図14)
図14に示した柱脚接合仕口90Bは、下部構造体と、柱91の柱脚91Aに剛接合したベース部材91Bの間に、4本のロッド92A、92B、92C、92Dの組合せからなるロッド対92を設ける。柱91の柱脚91Aには床梁93が剛接合される。4本のロッド92A〜92Dは、それらの下端を下部構造体にピン接合(剛接合でも可)するとともに、それらの上端をベース部材91Bにピン接合(剛接合でも可)する。柱脚接合仕口90Bの平面視で、柱91に作用する水平剪断力Qに沿う方向に関し、2本のロッド92A、92Bと2本のロッド92C、92Dは互いに柱91を挟む反対側に位置付けられ、2本のロッド92A、92Bは、水平剪断力Qの方向に沿う剪断前方側で互いに剪断力Qを含む鉛直面の反対側に位置付けられて後傾配置される。2本のロッド92C、92Dは、水平剪断力Qの方向に沿う剪断後方向側で互いに剪断力Qを含む鉛直面の反対側に位置付けられて前傾配置される。
【0071】
2本のロッド92A、92Cの上端間隔を下端間隔より狭くし、2本のロッド92B、92Dの上端間隔を下端間隔より狭くする。
【0072】
柱脚接合仕口90Bによる支持メカニズムは、前述柱脚接合仕口20の支持メカニズムと実質的に同一である。
【0073】
(実施例6)(図15)
図15に示した柱脚接合仕口100は、下部構造体と、建物構造体100Aのコーナーに立設された柱101の柱脚101Aに剛接合したベース部材101Bの間に、4本のロッド102A〜102Dの組合せからなるロッド対102を設ける。柱101の柱脚101Aには床梁103が剛接合される。4本のロッド102A〜102Dは、それらの下端を下部構造体にピン接合(剛接合でも可)するとともに、それらの上端をベース部材101Bにピン接合(剛接合でも可)する。各ロッド102A〜102Dは、四角断面をなす柱脚101Aと同様に四角断面をなすベース部材101Bの、柱脚101Aの各角部と同一向きの各角部から当該柱脚101Aの各側面に対し45度をなす放射下向き方向に斜交配置される。
【0074】
柱脚接合仕口100の平面視で、柱101に作用する桁方向水平剪断力QAに沿う方向に関し、2本のロッド102A、102Bと2本のロッド102C、102Dは互いに柱101を挟む反対側に位置付けられる。2本のロッド102A、102Bは、桁方向水平剪断力QAに沿う剪断前方側で互いに剪断力QAを含む鉛直面の反対側に位置付けられて後傾配置される。2本のロッド102C、102Dは、桁方向水平剪断力QAの方向に沿う剪断後方向で互いに剪断力QAを含む鉛直面の反対側に位置付けられて前傾配置される。2本のロッド102A、102Dの上端間隔を下端間隔より狭くし、2本のロッド102B、102Cの上端間隔を下端間隔より狭くする。
【0075】
柱脚接合仕口100の平面視で、柱101に作用する妻方向水平剪断力QBに沿う方向に関し、2本のロッド102B、102Cと2本のロッド102A、102Dは互いに柱101を挟む反対側に位置付けられる。2本のロッド102B、102Cは、妻方向水平剪断力QBの方向に沿う剪断前方側で互いに剪断力QBを含む鉛直面の反対側に位置付けられて後傾配置される。2本のロッド102A、102Dは、妻方向水平剪断力QBの方向に沿う剪断後方向で互いに剪断力QBを含む鉛直面の反対側に位置付けられて前傾配置される。2本のロッド102A、102Bの上端間隔を下端間隔より狭くし、2本のロッド102C、102Dの上端間隔を下端間隔より狭くする。
【0076】
柱脚接合仕口100による支持メカニズムは、前述した柱脚接合仕口20の支持メカニズムと実質的に同一である。柱脚接合仕口100は、前述柱脚接合仕口83、84の機能を併せ含むものであり、桁方向水平剪断力QAと妻方向水平剪断力QBに対応できる。
【0077】
以上、本発明の実施例を図面により記述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は実施例1の建物構造体を示す模式図である。
【図2】図2は図1の要部拡大図である。
【図3】図3は図2の平面図である。
【図4】図4は図2の変形例を示す模式図である。
【図5】図5は柱脚接合架台を示し、(A)は外側から視た斜視図、(B)は内側から視た斜視図である。
【図6】図6は柱脚接合架台を示す外面図である。
【図7】図7は柱脚接合架台を示す内面図である。
【図8】図8は柱脚接合架台を示す平面図である。
【図9】図9は柱脚接合仕口に作用する水平力を示す模式図である。
【図10】図10は柱脚接合仕口に作用する曲げモーメントを示す模式図である。
【図11】図11は実施例2のラーメン構造体を示す模式図である。
【図12】図12は実施例3の建物構造体を示す模式平面図である。
【図13】図13は実施例4の柱脚接合仕口を示す模式図である。
【図14】図14は実施例5の柱脚接合仕口を示す模式図である。
【図15】図15は実施例6の柱脚接合仕口を示す模式図である。
【符号の説明】
【0079】
10、60、80 建物構造体
11、51、81、91、101 柱
11A、51A、81A、91A、101A 柱脚
13、63、83、93、103 床梁(横架材)
14 基礎(下部構造体)
20、84、85、90A、90B、100 柱脚接合仕口
21、91B、101B ベース部材
22、92、102 ロッド対
22A、22B、92A、92B、92C、92D、102A、102B、102C、102D ロッド
70 下階建物構造体(下部構造体)
Q1、Q2 剪断力
Ta、Tb 軸力
Mc、Mr 曲げモーメント




 

 


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