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発明の名称 杭基礎構造物の耐震補強構造及び耐震補強方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−247317(P2007−247317A)
公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
出願番号 特願2006−74242(P2006−74242)
出願日 平成18年3月17日(2006.3.17)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 藤田 豊 / 田村 正
要約 課題
既設の杭基礎に損傷を生じさせることなく好適に耐震性を向上させることができ、かつ施工性に優れた杭基礎構造物の耐震補強構造及び耐震補強方法を提供する。

解決手段
補強杭3とこの補強杭3が一体に接続された増設スラブ2からなる増設杭基礎4を備え、平面視で杭基礎構造物1の杭基礎1dの外側にこの杭基礎1dに一体に接続されて設けられることにより、杭基礎構造物1の耐震性を向上させる耐震補強構造Aであって、増設杭基礎4が、杭基礎1dと離間して設けられるとともに、増設杭基礎4と杭基礎1dとを上下方向に相対移動可能とするピン接合部材5を介して杭基礎1dに接続されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
補強杭と該補強杭が一体に接続された増設スラブからなる増設杭基礎を備え、平面視で杭基礎構造物の杭基礎の外側に該杭基礎に一体に接続されて設けられることにより、前記杭基礎構造物の耐震性を向上させる耐震補強構造であって、
前記増設杭基礎が、前記杭基礎と離間して設けられるとともに、前記増設杭基礎と前記杭基礎とを上下方向に相対移動可能とするピン接合部材を介して前記杭基礎に接続されていることを特徴とする杭基礎構造物の耐震補強構造。
【請求項2】
請求項1記載の杭基礎構造物の耐震補強構造において、
前記杭基礎が平面視で矩形状に形成され、隣接する2辺側に設けられていることを特徴とする杭基礎構造物の耐震補強構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の杭基礎構造物の耐震補強構造において、
前記ピン接合部材は、前記杭基礎の基礎スラブと前記増設スラブのそれぞれに固定された一対の固定部材と、該一対の固定部材に両端側がそれぞれ回動自在に支持された結合部材とを備えて構成されていることを特徴とする杭基礎構造物の耐震補強構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の杭基礎構造物の耐震補強構造において、
前記ピン接合部材は、鋼材または鉄筋コンクリートまたは鋼管コンクリートであることを特徴とする杭基礎構造物の耐震補強構造。
【請求項5】
補強杭と該補強杭が一体に接続された増設スラブからなる増設杭基礎を、平面視で杭基礎構造物の杭基礎の外側に該杭基礎に一体に接続して設けることにより、前記杭基礎構造物の耐震性を向上させる耐震補強方法であって、
前記杭基礎と離間して前記増設杭基礎を設けるとともに、前記増設杭基礎と前記杭基礎との間にピン接合部材を介装させて、前記増設杭基礎と前記杭基礎とを上下方向に相対移動可能に一体に接続することを特徴とする杭基礎構造物の耐震補強方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭基礎構造物の杭基礎の水平耐力を高め、地震による杭基礎の破壊等を防止する杭基礎構造物の耐震補強構造及び耐震補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に建設した例えばプラント構造物などの杭基礎構造物には、建設当時の設計用地震力が現在よりも小さな値であったため、現在の設計用地震力を入力して新たに耐震診断を行なうと、杭基礎の耐震性が充分に満足していないものがある。このため、既設杭基礎構造物に対し、杭基礎の耐震補強を施すことが必要になっている。
【0003】
この杭基礎の耐震補強には、いわゆる杭増し打ち工法と称される、基礎スラブの外周側に、先端が基礎スラブ又はその周辺地盤の底面下に到達する改良体(補強杭)を、原地盤土と固化材の撹拌・混合によって構築するとともに、基礎スラブの外周に接続し、かつ改良体の頂部に接続する外周スラブ(増設スラブ)を構築して、既設杭基礎の耐震性を向上させる手法が多用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、基礎スラブ(フーチング)の側面に近接した位置からフーチングの下方地盤中の既設杭の周囲へ、所要数の補強杭を打設し、各補強杭の杭頭に鋼材などにより製作した固定具を取り付け、この固定具の基板をフーチングの側面にアンカーによって定着させた耐震補強構造も用いられている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−199236号公報
【特許文献2】特開2001−254368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば杭基礎構造物1がプラントなどである場合には、その周囲に各種プラント設備2が隣接していたり、複雑多岐な配管が縦横無尽に配置されていることが多く、杭打ち機械を設置するスペースが確保できないなど施工的な制限を受けることがあった。また、この種の耐震補強は、プラント設備2の定期点検時などプラント停止時に施工することが多く、短期間で、かつプラント設備2の解体や改修を伴うことなく耐震補強構造3を設置し充分な効果を得るようにすることが強く求められていた。
【0006】
このため、例えば図6及び図7に示すように、平面視矩形状の既設杭基礎1dの基礎スラブ1bに対し、周辺のプラント設備10や配管を避けるように、その2辺1e、1f側にのみ耐震補強構造Bを設置し、補強杭3に比較的強度の高いものを採用することで充分な耐震効果を得るようにしていた。しかしながら、このように耐震補強構造Bを設置した場合には、地震時の水平力が作用した際に、基礎スラブ1bの補強杭3が接続した部分が、他の部分よりも強固に支持されていることから、図8及び図9に示すように、基礎が水平方向に変位し、基礎スラブ1bが上下方向に捩れてしまう場合があった。そして、この基礎スラブ1bの捩れに伴い、特に補強杭3との接続部分に大きな曲げ応力が生じ、補強杭3と増設スラブ2からなる耐震補強構造(増設杭基礎4)Bを増設することによってかえって基礎スラブ1bの損傷を招いてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑み、杭基礎に損傷を生じさせることなく好適に耐震性を向上させることができ、かつ施工性に優れた杭基礎構造物の耐震補強構造及び耐震補強方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0009】
本発明の杭基礎構造物の耐震補強構造は、補強杭と該補強杭が一体に接続された増設スラブからなる増設杭基礎を備え、平面視で杭基礎構造物の杭基礎の外側に該杭基礎に一体に接続されて設けられることにより、前記杭基礎構造物の耐震性を向上させる耐震補強構造であって、前記増設杭基礎が、前記杭基礎と離間して設けられるとともに、前記増設杭基礎と前記杭基礎とを上下方向に相対移動可能とするピン接合部材を介して前記杭基礎に接続されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の杭基礎構造物の耐震補強構造においては、前記杭基礎が平面視で矩形状に形成された場合には、隣接する2辺側に設けられていることが望ましい。
【0011】
さらに、本発明の杭基礎構造物の耐震補強構造において、前記ピン接合部材は、前記杭基礎の基礎スラブと前記増設スラブのそれぞれに固定された一対の固定部材と、該一対の固定部材に両端側がそれぞれ回動自在に支持された結合部材とを備えて構成されていることが望ましい。
【0012】
また、本発明の杭基礎構造物の耐震補強構造において、前記ピン接合部材は、鋼材または鉄筋コンクリートまたは鋼管コンクリートであることがより望ましい。
【0013】
さらに、本発明の杭基礎構造物の耐震補強方法は、補強杭と該補強杭が一体に接続された増設スラブからなる増設杭基礎を、平面視で杭基礎構造物の杭基礎の外側に該杭基礎に一体に接続して設けることにより、前記杭基礎構造物の耐震性を向上させる耐震補強方法であって、前記杭基礎と離間して前記増設杭基礎を設けるとともに、前記増設杭基礎と前記杭基礎との間にピン接合部材を介装させて、前記増設杭基礎と前記杭基礎とを上下方向に相対移動可能に一体に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の杭基礎構造物の耐震補強構造及び耐震補強方法によれば、杭基礎構造物の基礎スラブと耐震補強構造の増設スラブとを、ピン接合部材を介して一体に接続する構成を採ることによって、ピン接合部材の大きさや長さを調整することで、平面視で基礎スラブの外側の任意の位置に設置した、すなわち任意の離間をもって設置した増設杭基礎(補強杭と増設スラブ)を杭基礎(基礎スラブ)に確実に接続することができる。このため、例えば杭基礎構造物がプラントなどであって、その周囲にプラント設備や複雑多岐な配管が設置されているような場合においても、これらの設備などが支障とならない場所に増設杭基礎を設置することができ、プラント設備などを解体して撤去するようなことを不要にして耐震補強を施すことが可能になる。これにより、施工的な制限を受けることなく耐震補強を施すことができ、短期間で充分な耐震補強効果を得ることが可能になる。また、耐震補強を施すためにプラントを停止したりする必要もない。
【0015】
また、杭基礎の隣接する2辺側に耐震補強構造を設けた場合においても、基礎スラブと増設スラブが、上下方向に相対移動可能とするピン接合部材を介して一体に接続されることにより、地震時に水平力が作用して、上下方向に捩れようとする基礎スラブに対し、この力学的な捩れをピン接合部材で吸収することができ、基礎スラブに大きな曲げ応力が生じることを防止しながら水平力を補強杭に伝達することができる。これにより、補強杭を増設することに伴って基礎スラブに大きな曲げ応力が生じ、基礎スラブが損傷するようなことがなく、確実に杭基礎構造物の耐震性を向上させることができる。
【0016】
さらに、本発明の杭基礎構造物の耐震補強構造においては、ピン接合部材が、一対の固定部材と、結合部材とを備えて構成されることにより、上記の効果を確実に得ることができるとともに、その構成がシンプルで、かつ既設杭基礎への大掛かりな工事を不要とし、容易に取付けを行なうことができるため、施工性や経済性を大幅に向上させることができる。
【0017】
また、本発明の杭基礎構造物の耐震補強構造においては、ピン接合部材が、鋼材または鉄筋コンクリートまたは鋼管コンクリートであることによって、すなわちピン接合部材が高い剛性を備えて形成されることによって、基礎スラブの曲げ応力を吸収しつつ地震時の水平力を確実に補強杭に伝達することができる。これにより、確実に杭基礎構造物の耐震性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1から図5を参照し、本発明の一実施形態に係る杭基礎構造物の耐震補強構造及び耐震補強方法について説明する。本実施形態は、例えばプラント施設などの杭基礎構造物の杭基礎(基礎スラブ)に、ピン接合部材を介して増設杭基礎(補強杭、増設スラブ)を接続することにより杭基礎構造物の耐震性を向上させる耐震補強構造及び耐震補強方法に関するものである。
【0019】
はじめに、本実施形態の耐震補強構造Aによって耐震補強を施す杭基礎構造物1について説明する。本実施形態の杭基礎構造物1は、図1及び図2に示すように、例えばプラント構造物1aを支持する矩形盤状の基礎スラブ1b、及び基礎スラブ1bに頭部が接続されて、垂直方向下向きに地盤G内に延設された複数の杭1cからなる杭基礎1dが具備されている。また、基礎スラブ1bは、平面視で略矩形状に形成されており、その上面を地盤面G1と略同一水平面上に配して地盤Gに埋設されている。そして、この基礎スラブ1b上にプラント構造物1aが構築されている。一方、複数の杭1cは、確実にプラント構造物1a及び基礎スラブ1bを支持するように、平面視で基礎スラブ1bの縦横方向に均等に分散配置されている。また、各杭1cは、その下端側が地盤G内の支持層G2に定着されている。
【0020】
本実施形態の耐震補強構造Aは、増設スラブ2及び増設スラブ2に頭部が接続された複数の補強杭3からなる増設杭基礎4と、増設スラブ2と基礎スラブ1bを接続する複数のピン接合部材5とから構成されている。ここで、増設杭基礎4は、平面視で矩形状に形成された基礎スラブ1bの隣接する2辺1e、1fのそれぞれの外側に、基礎スラブ1bと離間して設けられるとともに、対向する前記各辺1e、1fと平行して延設されている。
【0021】
各増設スラブ2は、それぞれ平面視略矩形状の盤状に形成されており、その厚さが基礎スラブ1bの厚さと略同一とされ、基礎スラブ1bの対向する前記辺1e、1fの長さと略同一の長さを備えて形成されている。そして、これらの増設スラブ2は、その上面を地盤面G1と略同一水平面上に配した状態で地盤Gに埋設されている。
【0022】
複数の補強杭3は、それぞれ、例えば地盤土とセメント系固化材が混合されて略円柱状に形成されており、その頭部が増設スラブ2と接続されている。また、補強杭3は、その下端が、杭基礎1dの杭1cと同様に、地盤Gの支持層G2に定着されるように延設されている。さらに、補強杭3は、平面視で増設スラブ2の短手方向の幅方向略中央で、長手方向に沿って等間隔に配設されている。なお、補強杭3は、地盤土とセメント系固化材とからなるものに限らず、例えば鋼製杭や場所打ちコンクリート杭であってもよい。
【0023】
一方、本実施形態において、各耐震補強構造Aには、ピン接合部材5が2つずつ設けられており、それぞれのピン接合部材5は、鋼製とされ、例えば基礎スラブ1bや増設スラブ2と同等もしくはこれらよりも高い剛性を備えて形成されている。また、ピン接合部材5は、図3及び図4に示すように、一対の固定部材6と、1つの結合部材7と、結合部材の両端側をそれぞれ一対の固定部材6に回動可能に支持させる一対のピン部材8とから構成されている。
【0024】
固定部材6は、例えば略矩形板状の基板6aと、基板6aに対し直交方向外側に突出する一対の支持部材6bとから構成されている。また、一対の支持部材6bは、それぞれ略平板状に形成され、基板6aの略中央に所定の隙間を設けた状態で平行に、かつ対向して配設されている。また、各支持部材6bは、その下端が基板6aに固着されるとともに、下端と突出方向先端の間に、突出方向に直交する一対の支持部材6bの対向方向に延びる貫通孔6cが形成されている。そして、これら一対の固定部材6は、それぞれ、基礎スラブ1bと増設スラブ2の対向するそれぞれの側面に、基板6aの支持部材6bが設けられた一面と反対に位置する他面を面接触させた状態で固着されている。このとき、平面視で一対の固定部材6は、対向するように設けられ、かつ各支持部材6bの貫通孔6cの延設方向が水平方向を向くように設置される。なお、この固定部材6は、基板6aが例えば図示せぬアンカーなどで基礎スラブ1bや増設スラブ2に固着されて設けられている。
【0025】
結合部材7は、鋼管7aと、鋼管7aの軸線方向両端に内孔を閉塞するように固着された一対の板状部材7bと、各板状部材7bにそれぞれ一端が固着され、軸線に沿って外側に突出した平板状の一対の連結部材7cとから構成されている。また、一対の連結部材7cには、それぞれ、平行する一面から他面に貫通する連結孔7dが形成されている。そして、この結合部材7は、一対の連結部材7cのそれぞれを前記一対の固定部材6の一対の支持部材6bの隙間に挿入し、水平方向に連通する一対の支持部材6bの貫通孔6cと連結部材7cの連結孔7dにピン部材8が挿通されて固定部材6に一体に支持されている。そして、この結合部材7は、ピン部材8の軸線O1回りに回動可能に固定部材6に支持され、これにより、杭基礎1dと増設杭基礎4とを上下方向に相対移動可能として、互いを一体に接続している。
【0026】
このように構成される耐震補強構造Aを設置する際には、はじめに、耐震補強を施す杭基礎構造物1の基礎スラブ1bの外側において、この杭基礎構造物1に隣接するプラント設備や配管10が支障とならない位置を選定し、この位置に、複数の補強杭3を設置する。ついで、補強杭3の頭部を露出させつつ増設スラブ2を形成可能な大きさで地盤Gを掘削し、例えばこの地盤Gの掘削部内に型枠を設置する。そして、型枠内に鉄筋を配筋し、露出する補強杭3の頭部が強固に接続されるように型枠内にコンクリートを打設し、コンクリートの硬化とともに脱型して増設スラブ2を形成する。なお、このように増設スラブ2と補強杭3とが一体に接続された増設杭基礎4は、基礎スラブ1bから離間されて形成されている。ついで、増設スラブ2と基礎スラブ1bの間の地盤Gを掘削するとともに、増設スラブ2と基礎スラブ1bの互いに対向する側面を露出させる。
【0027】
増設スラブ2と基礎スラブ1bの互いに対向する側面が露出した段階で、それぞれの側面に、例えばアンカー孔を穿孔しピン接合部材5の一対の固定部材6aをアンカーで固定する。ついで、増設スラブ2と基礎スラブ1bの隙間に合わせて形成した結合部材7を、一対の連結部材7cが両支持部材6bの隙間にそれぞれ挿入されるように設置し、水平方向に連通する貫通孔6cと連結孔7dにピン部材8を挿通させる。これにより、結合部材7がピン部材8の軸線O1回りに回動可能に支持され、杭基礎1dと増設杭基礎4とが上下方向に相対移動可能に接続されて、本実施形態の耐震補強構造Aの設置が完了する。
【0028】
ここで、このように設置する本実施形態の耐震補強構造Aは、杭基礎構造物1の周囲にプラント設備10が隣接していたり、配管が縦横無尽に配置されているような場合においても、基礎スラブ1bから離間させて増設杭基礎4を形成し、この離間に合わせた長さを有するピン接合部材5を取付け杭基礎1dと増設杭基礎4が一体に接続されるため、プラント設備10や配管を解体して撤去したり、プラント操業を停止させる必要がない。
【0029】
ついで、上記の構成からなる耐震補強構造Aの作用及び効果について説明する。
【0030】
上記の耐震補強構造Aでは、図5に示すように、基礎スラブ1bの2つの辺1e、1f側に増設杭基礎4を設けた場合においても、これら増設杭基礎4と杭基礎1dが、ピン接合部材5によって上下方向に相対移動可能に接続されている。このため、地震時に水平力が作用した際に、この水平力により捩れるように変形しようとする基礎スラブ1bに対し、この捩れ変形を生じさせる曲げ応力がピン接合部材5の回動によって吸収される。そして、このピン接合部材5により基礎スラブ1bの力学的な捩れを防止した状態で、水平力がピン接合部材5を通じて増設杭基礎4に伝達され、増設スラブ2に頭部が接続された補強杭3によって伝達した水平力が支持される。また、このとき、ピン接合部材5が、基礎スラブ1bや増設スラブ2よりも高剛性を有していることで、確実に補強杭3に水平力が伝達される。これにより、基礎スラブ1bに予想外の大きな応力が生じることがなくなるため、比較的強度の高い補強杭3を設置して、杭基礎1dひいては杭基礎構造物1に耐震補強を施した場合においても、基礎スラブ1bに大きな曲げ応力が生じてかえって基礎スラブ1bに損傷を与えるというおそれが解消される。
【0031】
したがって、本実施形態の耐震補強構造A及び耐震補強方法においては、杭基礎構造物1の杭基礎1dに、ピン接合部材5を介して増設杭基礎4が接続されることによって、地震時に水平力が作用した基礎スラブ1bが力学的な捩れを生じることがない。これにより、好適に耐震性の向上を図ることが可能になる。
【0032】
また、ピン接合部材5の大きさ、長さを調整することによって、平面視で基礎スラブ1bの外側の任意の位置に増設杭基礎4を設置できるため、プラント設備10などを解体して撤去することが不要になる。これにより、施工的な制限を受けることなく耐震補強を施すことができ、短期間で充分な耐震補強効果を得ることが可能になる。
【0033】
さらに、本実施形態の耐震補強構造Aにおいては、ピン接合部材5が、一対の固定部材6と結合部材7とピン部材8とからなるシンプルな構成であるとともに、一対の固定部材6を杭基礎1dと増設杭基礎4に固着し、結合部材7をピン部材8で支持するという簡易な操作で形成できるため、既設の杭1cや基礎スラブ1bへの工事をほぼ不要とし既往のプラントを供用している状態でも容易に施工を行なうことができる。このため、プラント停止に伴う莫大な損失を解消でき、施工性及び経済性を大幅に向上させることができる。
【0034】
以上、本発明に係る耐震補強構造A及び耐震補強方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、耐震補強構造Aが、平面視で矩形状を呈する基礎スラブ1bの2辺1e、1f側にそれぞれ設けられるものとしたが、満足する耐震性の向上を図ることができ、かつ地震時に基礎スラブ1bに作用しようとする応力を吸収できるように設置されれば、特にその設置位置が限定される必要はない。このため、本発明の耐震補強構造Aは、例えば基礎スラブ1bが平面視で円形状に形成されていたり、多角形状を呈する場合においても適用可能である。
【0035】
また、本実施形態では、ピン接合部材5が、鋼製とされ、固定部材6と、鋼管7aを備える結合部材7と、ピン部材8とから構成されているものとしたが、ピン接合部材5は、例えば、コンクリートや、鋼管コンクリートなどで形成されてもよい。
【0036】
さらに、本実施形態では、杭基礎構造物1がプラントであるものとして説明を行なったが、これに限定する必要はなく、本発明の耐震補強構造Aは、例えば鉄塔や橋梁など他の構造物の杭基礎に接続されて用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る杭基礎構造物の耐震補強構造を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る杭基礎構造物の耐震補強構造を示す側断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る杭基礎構造物の耐震補強構造を示す拡大平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る杭基礎構造物の耐震補強構造を示す拡大側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る杭基礎構造物の耐震補強構造が基礎スラブの応力を吸収した状態を示す側面図である。
【図6】従来の耐震補強構造を示す平面図である。
【図7】従来の耐震補強構造を示す側断面図である。
【図8】従来の耐震補強構造を具備した杭基礎構造物の変形状態を示す平面図である。
【図9】従来の耐震補強構造を具備した杭基礎構造物の変形状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 杭基礎構造物
1a プラント構造物
1b 基礎スラブ
1c 杭
1d 杭基礎
1e 辺
1f 辺
2 増設スラブ
3 補強杭
4 増設杭基礎
5 ピン接合部材
6 固定部材
7 結合部材
8 ピン部材
A 耐震補強構造
B 耐震補強構造
O1 ピン部材の軸線





 

 


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