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発明の名称 中空プレキャスト柱
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−224581(P2007−224581A)
公開日 平成19年9月6日(2007.9.6)
出願番号 特願2006−46292(P2006−46292)
出願日 平成18年2月23日(2006.2.23)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 山野辺 宏治 / 神野 靖夫 / 中澤 春生 / 金本 清臣
要約 課題
プレキャスト柱部材の製作手間を軽減させ、且つ、プレキャスト柱部材の軽量化を図ることができ、さらに、梁との接合についてシステム化して容易に架構を構築することができる中空プレキャスト柱を提供することを目的としている。

解決手段
中空のプレキャスト柱部材1,2同士を軸線方向に接合してなる中空プレキャスト柱において、梁20を接合させるための柱梁接合部材3が上下のプレキャスト柱部材1,2の間に介在されているとともに、プレキャスト柱部材1,2の中空部1a,2aの中にPC鋼材4…,5…が挿通され、PC鋼材4…,5…により柱梁接合部材3を介してプレキャスト柱部材1,2にプレストレスが付与されることで、柱梁接合部材3の上面3aに上側のプレキャスト柱部材2の下端面2bが圧着されるとともに、柱梁接合部材3の下面3bに下側のプレキャスト柱部材1の上端面1cが圧着されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
中空のプレキャスト柱部材同士を軸線方向に接合してなる中空プレキャスト柱において、
梁を接合させるための柱梁接合部材が上下のプレキャスト柱部材の間に介在されているとともに、プレキャスト柱部材の中空部の中にPC鋼材が挿通され、
該PC鋼材により柱梁接合部材を介してプレキャスト柱部材にプレストレスが付与されることで、柱梁接合部材の上面に上側のプレキャスト柱部材の下端面が圧着されるとともに、柱梁接合部材の下面に下側のプレキャスト柱部材の上端面が圧着されていることを特徴とする中空プレキャスト柱。
【請求項2】
請求項1記載の中空プレキャスト柱において、
上下のプレキャスト柱部材の中にそれぞれ挿通された上下のPC鋼材は、互いの軸の延長線上にそれぞれ配設されており、
下側のPC鋼材の上端は、柱梁接合部材を貫通して柱梁接合部材の上面から突出されているとともに柱梁接合部材に定着され、
上側のPC鋼材の下端は、柱梁接合部材の上面から突出した下側のPC鋼材の上端に接続されていることを特徴とする中空プレキャスト柱。
【請求項3】
請求項1記載の中空プレキャスト柱において、
上下のプレキャスト柱部材の中にそれぞれ挿通された上下のPC鋼材は、互いの軸の延長線と異なる軸上にそれぞれ配設されており、
下側のPC鋼材の上端は、柱梁接合部材に定着され、
上側のPC鋼材の下端は、柱梁接合部材に定着された接続用PC鋼材の上端に接続されていることを特徴とする中空プレキャスト柱。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の中空のプレキャスト柱部材からなる中空プレキャスト柱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のプレキャスト柱部材同士や、プレキャスト柱部材と基礎部材、プレキャスト柱部材とプレキャスト梁部材等をPC鋼材によるプレストレスによって接合する技術が提供されている。この従来の技術では、プレキャスト柱部材等のプレキャスト部材の製作工程において、予め、プレキャスト部材の中にシース管を埋設させておく。そして、プレキャスト部材の組み立て際、シース管の中にPC鋼材を挿入し、このPC鋼材によってプレキャスト部材にプレストレスを付与し、プレキャスト部材の接合面同士を圧着させている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、従来より、PC鋼材によるプレストレスによって中空のプレキャスト柱部材同士を接合させる技術が提供されている。この従来の技術では、中空プレキャスト柱部材の中空部の中にPC鋼材を挿通させ、このPC鋼材によって中空プレキャスト柱部材にプレストレスを付与し、上下の中空プレキャスト柱部材の接合端面同士を圧着させている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2001−90168号公報
【特許文献2】特開平6−173390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した前者の従来技術では、プレキャスト部材の製作時に、シース管を埋設させる作業が煩雑であり、プレキャスト部材の製作に手間がかかるという問題がある。また、前者の従来技術では、プレキャスト部材の重量が重く、施工上および構造上不利になるという問題がある。
また、上記した後者の従来技術では、中空プレキャスト柱の側面に梁構造体を接合して架構を形成しているが、実際にはプレキャスト柱部材の側面に梁構造体の端面を直接接合させることが難しく、梁との接合についてシステム化が求められている。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、プレキャスト柱部材の製作手間を軽減させ、且つ、プレキャスト柱部材の軽量化を図ることができ、さらに、梁との接合についてシステム化して容易に架構を構築することができる中空プレキャスト柱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、中空のプレキャスト柱部材同士を軸線方向に接合してなる中空プレキャスト柱において、梁を接合させるための柱梁接合部材が上下のプレキャスト柱部材の間に介在されているとともに、プレキャスト柱部材の中空部の中にPC鋼材が挿通され、該PC鋼材により柱梁接合部材を介してプレキャスト柱部材にプレストレスが付与されることで、柱梁接合部材の上面に上側のプレキャスト柱部材の下端面が圧着されるとともに、柱梁接合部材の下面に下側のプレキャスト柱部材の上端面が圧着されていることを特徴としている。
【0007】
上記した発明では、プレキャスト柱部材は中空であり、PC鋼材がプレキャスト柱部材の中空部の中に配置されるため、プレキャスト柱部材にシース管を埋設させる必要はない。また、プレキャスト柱部材は、中空の分だけ軽量化される。また、PC鋼材によるプレストレスによって、柱梁接合部材の下側にあるプレキャスト柱部材の上端面が柱梁接合部材の下面に圧着され、柱梁接合部材の上側にあるプレキャスト柱部材の下端面が柱梁接合部材の上面に圧着されるため、上下のプレキャスト柱部材同士が柱梁接合部材を介して接合される。つまり、プレキャスト柱部材の上下に配置された柱梁接合部材が、PC鋼材によってプレキャスト柱部材を上下端から挟み込み、プレキャスト柱部材と柱梁接合部材とが一体化された状態になっている。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の中空プレキャスト柱において、上下のプレキャスト柱部材の中にそれぞれ挿通された上下のPC鋼材は、互いの軸の延長線上にそれぞれ配設されており、下側のPC鋼材の上端は、柱梁接合部材を貫通して柱梁接合部材の上面から突出されているとともに柱梁接合部材に定着され、上側のPC鋼材の下端は、柱梁接合部材の上面から突出した下側のPC鋼材の上端に接続されていることを特徴としている。
【0009】
上記した発明では、上下のプレキャスト柱部材の中にそれぞれ挿通された上下のPC鋼材同士が連結されるため、PC鋼材の下端に単独の定着構造を形成する必要がない。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の中空プレキャスト柱において、上下のプレキャスト柱部材の中にそれぞれ挿通された上下のPC鋼材は、互いの軸の延長線と異なる軸上にそれぞれ配設されており、下側のPC鋼材の上端は、柱梁接合部材に定着され、上側のPC鋼材の下端は、柱梁接合部材に定着された接続用PC鋼材の上端に接続されていることを特徴としている。
【0011】
上記した発明では、上下のPC鋼材の軸合わせを行う必要がなく、また、各層のプレキャスト柱部材ごとにPC鋼材の本数や位置を自由に設定することが可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る中空プレキャスト柱によれば、PC鋼材がプレキャスト柱部材の中空部の中に配置されるため、プレキャスト柱部材の中にシース管を埋設させる必要がなく、プレキャスト柱部材の製作手間を軽減することができる。また、中空のプレキャスト柱部材を用いることでプレキャスト柱部材の軽量化を図ることができる。さらに、柱梁接合部材がプレキャスト柱部材と一体化され、上下のプレキャスト柱部材同士が柱梁接合部材を介して接合されるため、梁構造体は柱梁接合部材に適宜接合させればよく、梁との接合についてシステム化が実現し、容易に架構を構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る中空プレキャスト柱の第1、第2の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
まず、本発明に係る中空プレキャスト柱の第1の実施の形態について、図1,図2に基いて説明する。
【0015】
図1は第1の実施の形態に係る中空プレキャスト柱の立断面図であり、図2は図1に示すA−A間の平断面図である。図1,図2に示すように、本発明に係る中空プレキャスト柱は、複数のプレキャスト柱部材1,2同士を軸線方向に接合させた構成からなる柱構造体である。詳しくは、上下のプレキャスト柱部材1,2の間に、梁20…を接合させるための柱梁接合部材3が介在されており、この柱梁接合部材3を介して上下のプレキャスト柱部材1,2同士が接合されている。
【0016】
プレキャスト柱部材1,2は、例えば遠心成形法により中空に成形されたプレストレスト鉄筋コンクリート造の円筒状のプレキャスト部材であり、建物一層分の柱を形成する柱部材である。プレキャスト柱部材1,2の中空部1a,2aは、断面円形の貫通孔であり、プレキャスト柱部材1,2の上下端でそれぞれ開放されている。
【0017】
柱梁接合部材3は、鉄筋コンクリート造或いは鋼板製のブロック状の部材であり、六面体の上下面3a,3bに凸部3c,3dがそれぞれ形成された形状になっている。柱梁接合部材3は、下側のプレキャスト柱部材1の上端面1c上に載せられており、その上面3aには、上側のプレキャスト柱部材2が建てられている。柱梁接合部材3の下面3bに形成された凸部3cは、台形円錐状の凸部であり、下側のプレキャスト柱部材1の中空部1a上端に嵌め込まれる。また、柱梁接合部材3の上面3aに形成された凸部3dは、台形円錐状の凸部であり、上側のプレキャスト柱部材2の中空部2a下端に嵌め込まれる。また、柱梁接合部材3には、後述する下側のPC鋼材4…の上端を挿通させるための図示せぬシース管が複数埋設されている。これらのシース管は、鉛直方向(柱軸方向)に延在されており、上下端が柱梁接合部材3の上下面3a,3bに開放されている。
【0018】
最下階(下側)のプレキャスト柱部材1は、例えばフーチングや基礎梁、底版等の基礎構造体6の上に立設されている。基礎構造体6は、鉄筋コンクリート造の構造体であり、プレキャスト柱部材1が立設される位置には、プレキャスト柱部材1の中空部1aに嵌め込まれる台形円錐状の凸部6aが形成されている。
【0019】
また、上下のプレキャスト柱部材1,2の中空部1a,2aの中には、鉛直方向に延在するPC鋼材4…,5…がそれぞれ挿通されており、これらのPC鋼材4…,5…により柱梁接合部材3を介してプレキャスト柱部材1,2にプレストレスが付与される。これによって、柱梁接合部材3の上面3aに上側のプレキャスト柱部材2の下端面2bが圧着されるとともに、柱梁接合部材3の下面3bに下側のプレキャスト柱部材1の上端面1cが圧着されている。つまり、PC鋼材4…,5…により、プレキャスト柱部材2の下端面2bを柱梁接合部材3に押し付けるとともに、柱梁接合部材3をプレキャスト柱部材1の上端面1cに押し付けることで、プレキャスト柱部材1,2と柱梁接合部材3とを一体化させた構成になっている。
【0020】
プレキャスト柱部材1,2の中に挿通されるPC鋼材4…,5…は、プレキャスト柱部材1,2に鉛直方向(軸方向)のプレストレス(圧縮応力)を付与するための緊張材であり、例えば、高張力鋼からなる鋼棒、鋼線、鋼より線、或いは鋼線や鋼より線を束ねたケーブル等である。また、PC鋼材4…,5…は、少なくとも両端部の外周面に雄ネジが切られた部材であり、例えば、全長に亘って雄ネジが切られた長尺ボルト状の部材であってもよく、両端部のみに雄ネジが切られてその他の部分にはネジが切られていない構成の部材であってもよい。
【0021】
柱梁接合部材3の下側にあるプレキャスト柱部材1の中に挿通された下側のPC鋼材4…と、柱梁接合部材3の上側にあるプレキャスト柱部材2の中に挿通された上側のPC鋼材5…とは、互いの軸の延長線X1,X2上にそれぞれ配設されている。つまり、下側のPC鋼材4…は上側のPC鋼材5…の軸線延長線X2上に配設されており、上側のPC鋼材5…は下側のPC鋼材4…の軸線延長線X1上に配設されている。
【0022】
下側のPC鋼材4…の上端は、柱梁接合部材3内に埋設された図示せぬシース管にそれぞれ挿通され、柱梁接合部材3に貫設された状態になっており、柱梁接合部材3の凸部3dの上面3aから上方に突出されている。そして、柱梁接合部材3の凸部3dの上面3aから突出した複数の下側のPC鋼材4…の上端には定着構造9…がそれぞれ設けられ、この定着構造9…によって下側のPC鋼材4…の上端が柱梁接合部材3に定着されている。
【0023】
定着構造9としては、例えば、下側のPC鋼材4の上端に螺合される定着ナット10と、柱梁接合部材3の上面3aに接面する定着プレート11とから構成されたものがある。この定着プレート11には、下側のPC鋼材4の上端を挿通させるための図示せぬ孔が形成されており、この図示せぬ孔に下側のPC鋼材4の上端が挿通されて、PC鋼材4の上端に定着プレート11が取り付けられる。そして、定着プレート11を貫通したPC鋼材4の上端に定着ナット10が螺合され、この定着ナット10が締め付けられることで、下側のPC鋼材4…の上端が柱梁接合部材3に定着される。
【0024】
最下階のPC鋼材4…の下端は、基礎構造体6に設けられた接続用PC鋼材7…の上端に接続されている。接続用PC鋼材7…は、プレキャスト柱部材1,2の中に挿通されたPC鋼材4…,5…と同様の鋼材からなる部材であり、最下階のプレキャスト柱部材1の中空部1a内に配設されたPC鋼材4…の軸線延長線X1上に配設されている。接続用PC鋼材7の上端は、基礎構造体6の凸部6aの上面6bから突出されており、カプラー8…を介してPC鋼材4…の下端に接続(継手)されている。具体的には、内周面に雌ネジが切られた円筒状のカプラー8が用いられ、接続用PC鋼材7の上端をカプラー8の下端に螺合させるとともにPC鋼材4の下端をカプラー8の上端に螺合させることで、接続用PC鋼材7の上端とPC鋼材4の下端とは接続されている。
【0025】
なお、複数の接続用PC鋼材7…の下端は、基礎構造体6内に埋設された定着板12にナット13…でそれぞれ固定されており、この定着板12によって接続用PC鋼材7…が基礎構造体6に定着された状態になっている。
【0026】
一方、上側のPC鋼材5…の下端は、柱梁接合部材3の上面3aから突出した下側のPC鋼材4…の上端に接続されている。具体的には、上側のPC鋼材5…の下端は、定着ナット9から突出した下側のPC鋼材4…の上端部分に、カプラー14…を介して接続(継手)されている。このカプラー14…は、上記したカプラー8と同様の構成からなり、下側のPC鋼材4の上端をカプラー14の下端に螺合させるとともに上側のPC鋼材5の下端をカプラー14の上端に螺合させることで、下側のPC鋼材4の上端と上側のPC鋼材5の下端とは接続されている。
【0027】
上側のPC鋼材5…の上端は、上側のプレキャスト柱部材2の上端に載せられた図示せぬ上側の柱梁接合部材に定着されている。詳しい構成については、上述した下側のPC鋼材4…の上端の構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0028】
次に、上記した構成からなる第1の実施の形態における中空プレキャスト柱の施工方法について説明する。
【0029】
まず、予め工場等で、プレキャスト柱部材1,2を製作するとともに、柱梁接合部材3を製作する。このとき、柱梁接合部材3のコンクリート打設前に、複数のPC鋼材4…をそれぞれ挿通させるための図示せぬシース管を設置し、柱梁接合部材3内にシース管を埋設させておく。
【0030】
一方、中空プレキャスト柱を構築する現場では、基礎構造体6を形成する工程を行う。このとき、基礎構造体6のコンクリート打設前に、定着板12を所定位置に配置するとともに、この定着板12に複数の接続用PC鋼材7…をナット13…でそれぞれ固定し、複数の接続用PC鋼材7…を基礎構造体6に定着させておく。
【0031】
次に、基礎構造体6の凸部6aの上面6bから突出した複数の接続用PC鋼材7…の上端に、カプラー8…を介してPC鋼材4…をそれぞれ接続させる工程を行う。具体的には、複数の接続用PC鋼材7…の上端にカプラー8…をそれぞれ螺合させ、さらに、これらのカプラー8…にPC鋼材4…の下端をそれぞれ螺合させる。
【0032】
次に、基礎構造体6の上に、最下階(下側)のプレキャスト柱部材1を建込む工程を行う。具体的には、プレキャスト柱部材1の中空部1a下端に基礎構造体6の凸部6aを嵌め込ませてプレキャスト柱部材1を基礎構造体6の上面6b上に建てて、プレキャスト柱部材1の下端面1bを基礎構造体6の上面6bに接面させる。このとき、接続用PC鋼材7…の上端に接続された複数のPC鋼材4…を、プレキャスト柱部材1の中空部1aの中に挿通させる。
【0033】
次に、建込まれたプレキャスト柱部材1の上端に柱梁接合部材3を設置する工程を行う。具体的には、プレキャスト柱部材1の中空部1a上端に柱梁接合部材3の凸部3cを嵌め込ませて、柱梁接合部材3をプレキャスト柱部材1の上端面1c上に載せ、柱梁接合部材3の下面3bをプレキャスト柱部材1の上端面1cに接面させる。このとき、柱梁接合部材3内に埋設された図示せぬシース管の中に、プレキャスト柱部材1の中空部1a上端から突出するPC鋼材4…の上端部を挿通させる。
【0034】
次に、プレキャスト柱部材1の中空部1a内に挿通されたPC鋼材4…の上端を、定着構造9…によって柱梁接合部材3に定着させる工程を行う。具体的には、柱梁接合部材3の凸部3dの上面3aから突出したPC鋼材4…の上端に、定着プレート11…をそれぞれ挿嵌させるとともに定着ナット10…をそれぞれ螺合させる。そして、定着プレート11…の上からに各定着ナット10…をそれぞれ締め込み、複数のPC鋼材4…に緊張力をそれぞれ導入する。このとき、柱梁接合部材3を介してプレキャスト柱部材1に付与されるプレストレスが所定の大きさになるところまで、定着ナット10…の締め込みを行う。
【0035】
次に、柱梁接合部材3の上面3a(定着ナット10…)から突出した複数のPC鋼材4…の上端に、カプラー14…を介してPC鋼材5…をそれぞれ接続させる工程を行う。具体的には、複数のPC鋼材4…の上端にカプラー14…をそれぞれ螺合させ、さらに、これらのカプラー14…にPC鋼材5…の下端をそれぞれ螺合させる。
【0036】
次に、柱梁接合部材3の上に、上側のプレキャスト柱部材2を建込む工程を行う。具体的には、プレキャスト柱部材2の中空部2a下端に柱梁接合部材3の凸部3dを嵌め込ませてプレキャスト柱部材2を柱梁接合部材3の上面3a上に建てて、プレキャスト柱部材2の下端面2bを柱梁接合部材3の上面3aに接面させる。このとき、柱梁接合部材3の上方に鉛直方向に延在する複数のPC鋼材5…を、プレキャスト柱部材2の中空部2aの中に挿通させる。
【0037】
この後は、上記した工程と同様にして、立設されたプレキャスト柱部材2の上端に図示せぬ上側の柱梁接合部材を設置した後、PC鋼材5…の上端を図示せぬ上側の柱梁接合部材に定着させる。そして、PC鋼材5…の上端に図示せぬ上層のPC鋼材を接続した後、図示せぬ上側の柱梁接合部材の上に、図示せぬ上層のプレキャスト柱部材を立設する。この一連の工程を繰り返すことで中空プレキャスト柱を構築する。勿論、前記した一連の工程の途中で、梁20や図示せぬスラブ、壁等の他の構造体を形成する工程を適宜行う。
【0038】
上記した構成からなる中空プレキャスト柱によれば、プレキャスト柱部材1,2は中空であり、PC鋼材4…,5…がプレキャスト柱部材1,2の中空部1a,2aの中に配置されるため、プレキャスト柱部材1,2にシース管を埋設させる必要はない。したがって、プレキャスト柱部材1,2の製作手間を軽減することができる。
【0039】
また、上記した構成からなる中空プレキャスト柱によれば、プレキャスト柱部材1,2は中空であるため、プレキャスト柱部材1,2は、中空の分だけ軽量化される。したがって、中空プレキャスト柱は、施工上および構造上有利となる。
【0040】
また、上記した構成からなる中空プレキャスト柱によれば、PC鋼材4…,5…によって、柱梁接合部材3の下側にあるプレキャスト柱部材1の上端面1cは、柱梁接合部材3の下面3bに圧着され、柱梁接合部材3の上側にあるプレキャスト柱部材2の下端面2bは、柱梁接合部材3の上面3aに圧着されるため、上下のプレキャスト柱部材1,2同士が柱梁接合部材3を介して接合されて一体化された状態になっている。したがって、梁20は柱梁接合部材3に適宜接合させればよく、梁20との接合についてシステム化が実現されている。これによって、柱梁架構を容易に構築することができる。
【0041】
また、上記した構成からなる中空プレキャスト柱によれば、上下のプレキャスト柱部材1,2の中にそれぞれ挿通された上下のPC鋼材4…,5…が、互いの軸の延長線X1,X2上にそれぞれ配設されており、下側のPC鋼材4…の上端が、柱梁接合部材3を貫通して柱梁接合部材3の上面3aから突出されているとともに柱梁接合部材3に定着され、上側のPC鋼材5…の下端が、柱梁接合部材3の上面3aから突出した下側のPC鋼材4…の上端に接続されている構成になっているため、PC鋼材5…の下端に単独の定着構造を形成する必要がない。したがって、柱梁接合部材3の構成を簡素化することができる。
【0042】
[第2の実施の形態]
次いで、本発明に係る中空プレキャスト柱の第2の実施の形態について、図3,図4に基いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付すことでその説明を省略する。
【0043】
図3は第2の実施の形態に係る中空プレキャスト柱の立断面図であり、図4は図3に示すB−B間の平断面図である。図3,図4に示すように、柱梁接合部材3の下側にあるプレキャスト柱部材1の中に挿通された下側のPC鋼材4´…と、柱梁接合部材3の上側にあるプレキャスト柱部材2の中に挿通された上側のPC鋼材5´…とは、互いの軸の延長線X1,X2と異なる軸上にそれぞれ配設されている。つまり、下側のPC鋼材4´…は上側のPC鋼材5´…の軸線延長線X2からずれた位置に配設されており、上側のPC鋼材5´…は下側のPC鋼材4´…の軸線延長線X1からずれた位置に配設されている。
【0044】
下側のPC鋼材4´…の上端は、上述した第1の実施の形態と同様に、柱梁接合部材3に貫設されており、定着構造9によって柱梁接合部材3に定着されている。また、最下階のPC鋼材4´…の下端も、上述した第1の実施の形態と同様に、基礎構造体6に設けられた接続用PC鋼材7…の上端に接続されている。
【0045】
一方、上側のPC鋼材5´…の下端は、柱梁接合部材3に設けられた接続用PC鋼材17…の上端に接続されている。接続用PC鋼材17…は、プレキャスト柱部材1,2の中に挿通されたPC鋼材4´…,5´…と同様の鋼材からなる部材であり、上側のプレキャスト柱部材2の中空部2a内に配設されたPC鋼材5´…の軸線延長線X2上に配設されている。接続用PC鋼材17の上端は、柱梁接合部材3の凸部3dの上面3aから突出されており、カプラー14´…を介してPC鋼材5´…の下端に接続(継手)されている。具体的には、内周面に雌ネジが切られた円筒状のカプラー14´が用いられ、接続用PC鋼材17の上端をカプラー14´の下端に螺合させるとともにPC鋼材5´の下端をカプラー14´の上端に螺合させることで、接続用PC鋼材17の上端とPC鋼材5´の下端とは接続されている。
【0046】
なお、複数の接続用PC鋼材17…の下端は、柱梁接合部材3内に埋設された定着板18にナット19…でそれぞれ固定されており、この定着板18によって接続用PC鋼材17…が柱梁接合部材3に定着された状態になっている。
【0047】
次に、上記した構成からなる第2の実施の形態における中空プレキャスト柱の施工方法について説明する。なお、第2の実施の形態における中空プレキャスト柱の施工方法は、以下の点で、上述した第1の実施の形態における中空プレキャスト柱の施工方法と異なる。
【0048】
まず、第一に、予め工場等で柱梁接合部材3を製作するときに、柱梁接合部材3内にシース管を埋設するとともに、柱梁接合部材3に複数の接続用PC鋼材17…を定着させておく。具体的には、柱梁接合部材3のコンクリート打設前に、複数のPC鋼材4´…をそれぞれ挿通させるための図示せぬシース管を設置するとともに、定着板18を所定位置に配置してこの定着板18に複数の接続用PC鋼材17…をナット19…でそれぞれ固定する。
【0049】
第二に、PC鋼材5…を柱梁接合部材3の上方に設置する際、下側のPC鋼材4´…の上端ではなく、柱梁接合部材3の上面3a(定着ナット10…)から突出した接続用PC鋼材17…の上端に接続する。具体的には、複数の接続用PC鋼材17…の上端にカプラー14´…をそれぞれ螺合させ、さらに、これらのカプラー14´…にPC鋼材5…の下端をそれぞれ螺合させる。
【0050】
第2の実施の形態における中空プレキャスト柱の施工方法は、上記した点以外は、上述した第1の実施の形態における中空プレキャスト柱の施工方法と同様であり、その説明を省略する。
【0051】
上記した構成からなる中空プレキャスト柱によれば、上述した第1の実施の形態と同様に、プレキャスト柱部材1,2の製作手間を軽減することができ、また、軽量化により施工上および構造上有利となり、さらに、梁20との接合についてシステム化が実現され、柱梁架構を容易に構築することができる。
【0052】
また、上記した構成からなる中空プレキャスト柱によれば、上下のプレキャスト柱部材1,2の中にそれぞれ挿通された上下のPC鋼材4´…,5´…が、互いの軸の延長線X1,X2と異なる軸上にそれぞれ配設されており、下側のPC鋼材4´…の上端が、柱梁接合部材3に定着され、上側のPC鋼材5´…の下端が、柱梁接合部材3に定着された接続用PC鋼材17の上端に接続されている構成からなっているため、上下のPC鋼材4´…,5´…の軸合わせを行う必要がなく、また、各層のプレキャスト柱部材1,2ごとに、PC鋼材4´…,5´…の本数や位置を自由に設定することが可能である。したがって、各層のプレキャスト柱部材1,2にそれぞれ付与するプレストレスを各層個別的に設定することができ、設計の自由度を広げることができる。
【0053】
以上、本発明に係る中空プレキャスト柱の第1,第2の実施の形態について説明したが、本発明は上記した第1,第2の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した第1,第2の実施の形態では、遠心成形法により中空に成形されたPSコンクリート造の円筒状のプレキャスト柱部材1,2を用いているが、本発明は、如何なる構造のプレキャスト柱部材であってもよく、例えば、通常の鉄筋コンクリート造のプレキャスト部材であってもよく、或いは鋼管巻き鉄筋コンクリート造のプレキャスト部材であってもよい。また、本発明に係るプレキャスト柱部材は、中空の柱部材であれば円筒形状以外の部材であってもよく、例えば、図5に示すように、四角柱状の中空プレキャスト柱部材1´,2´であってもよい。なお、前記した四角柱状のプレキャスト柱部材1´,2´を用いる場合、プレキャスト柱部材1´,2´の中空部1a´,2a´に嵌め込まれる柱梁接合部材3´の凸部3c´,3d´は、台形四角錐状(四角錐の頂点側の先端部を切断した形状)に形成する。
【0054】
また、上記した第1,第2の実施の形態では、一層分の柱を形成するプレキャスト柱部材1,2を接合させる構成からなっているが、本発明は、複数層分の柱を形成するプレキャスト柱部材を接合する構成であってもよい。
【0055】
また、上記した第1,第2の実施の形態では、柱梁接合部材3にPC鋼材4…,4´を挿通させるための図示せぬシース管を埋設させ、所謂ポストテンション方式によりプレキャスト柱部材1,2にプレストレスを付与しているが、本発明は、柱梁接合部材にシース管を埋設させず、所謂プレテンション方式によりプレストレスを付与してもよい。
【0056】
また、上記した第1,第2の実施の形態では、柱梁接合部材3が六面体の上下面3a,3bに凸部3c,3dが形成された形状になっているが、本発明に係る柱梁接合部材は如何なる形状であってもよく、例えば、八面体からなる柱梁接合部材であってもよい。
その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、上記した第1,第2の実施の形態における構成を周知の構成に置き換えることは可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための中空プレキャスト柱の立断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を説明するための中空プレキャスト柱の平断面図であり、図1に示すA−A間の断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を説明するための中空プレキャスト柱の立断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を説明するための中空プレキャスト柱の平断面図であり、図3に示すB−B間の断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を説明するための中空プレキャスト柱の平断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 (下側の)プレキャスト柱部材
1a 中空部
1c 上端面
2 (上側の)プレキャスト柱部材
2a 中空部
2b 下端面
3 柱梁接合部材
3a 上面
3b 下面
4,4´ (下側の)PC鋼材
5,5´ (上側の)PC鋼材
20 梁
X1 (下側のPC鋼材の)軸の延長線
X2 (上側のPC鋼材の)軸の延長線




 

 


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