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発明の名称 杭頭接合構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−204994(P2007−204994A)
公開日 平成19年8月16日(2007.8.16)
出願番号 特願2006−23676(P2006−23676)
出願日 平成18年1月31日(2006.1.31)
代理人 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
発明者 浅香 美治 / 福武 毅芳
要約 課題
接合部分に耐力を得ることができる杭頭接合構造を提供する。

解決手段
タイヤ31の中空部に中詰材を充填した接合体3を、杭体1の杭頭11と上部構造物(基礎2)との間に配置した。この結果、杭体1と基礎2との間に接合体3を配置して、杭体1と基礎2とを直接結合していないため、杭体1に作用する応力(曲げモーメントなど)を大幅に低減できる。また、タイヤ31の中空部に充填した中詰材は、せん断変形により地震動エネルギを吸収する免震効果によって入力地震動を低減する。さらに、地震時には、ロッキング(爪先立ち)のような浮き上がりを許容するため、上部構造物への入力地震動の低減を図ることができる。特に、タイヤ31の中空部に中詰材を充填した接合体3は、非常に高い強度を得るため、大型構造物に対しても利用することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
タイヤの中空部に中詰材を充填した接合体を、杭体の杭頭と上部構造物との間に配置したことを特徴とする杭頭接合構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭基礎の杭頭接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
杭基礎の場合、地震により杭頭に大きな曲げモーメントが生じ、当該杭頭での被害が多く見られる。例えば、構造物が傾斜するなどの被害が生じ、場合によっては構造物の建て直しが必要になる。すなわち、地震時の杭頭の力学機構は重要である。
【0003】
一方、近年では、老朽化した構造物の建て替え工事が増えている。この場合、既存建物に使用されていた杭(既存杭)の処理が問題となる。既存杭の上にそのまま直接基礎を載せると、杭頭およびスラブ底面が損傷したり、上部構造に不同沈下が生じたりする問題がある。このため、既存杭を全て抜いて撤去する、新設の基礎の邪魔にならないように杭頭の一部を破壊するなどの対策が必要になる。
【0004】
従来、上記の問題に対して、杭頭接合部の構造として、杭頭に土嚢を設けて養生することが知られている。すなわち、杭頭と上部構造物との接合をピン接合した場合と同様の性能とし、かつ、簡略な構成として施工性を向上してコストおよび工期を削減することを可能にしている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−248523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、杭頭に土嚢を設けた場合では、鉄筋などの硬いものと接して土嚢袋が破けたり、基礎を含む構造物が地震時にロッキングして大きな鉛直力が作用して土嚢袋が破けたりする危険性があった。この結果、従来の杭頭接合構造は、大型構造物に使用することが難しかった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、接合部分に耐力を得ることができる杭頭接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る杭頭接合構造は、タイヤの中空部に中詰材を充填した接合体を、杭体の杭頭と上部構造物との間に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る杭頭接合構造は、杭体と上部構造物との間に接合体3を配置して、杭体と上部構造物とを直接結合していないため、杭体に作用する応力(曲げモーメントなど)を大幅に低減することができる。また、タイヤの中空部に充填した中詰材は、せん断変形により地震動エネルギを吸収する免震効果によって入力地震動を低減することができる。さらに、地震時には、ロッキング(爪先立ち)のような浮き上がりを許容するため、上部構造物への入力地震動の低減を図ることができる。特に、タイヤの中空部に中詰材を充填した接合体は、非常に高い強度を得るため、大型構造物に対しても利用することができる。このように、本発明に係る杭頭接合構造は、接合部分に耐力を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る杭頭接合構造の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は本発明に係る杭頭接合構造を示す概念図である。図1に示すように本発明の杭頭接合構造は、地中に埋設した杭体1の杭頭11と、上部建造物の基礎2との間を切り離した形態で、杭頭11と基礎2との間に接合体3を配置してある。接合体3は、タイヤ31の中空部313(図2参照)に中詰材32(図3参照)を充填したものである。
【0012】
なお、接合体3のタイヤ31は、本実施の形態では廃タイヤを用いる。廃タイヤは、例えばトレッドが磨耗して使用できなくなったタイヤ31をいう。本実施の形態では、タイヤ31を加工して用いている。具体的には、図2に示すようにタイヤ31は、トレッドが形成された円筒部311の両側に側面部312を備え、円筒部311と両側面部312とで囲む筒内に中空部313を有している。そして、側面部312を上下方向に向けた状態で、上側の側面部312を円筒部311の周方向に沿って切断する。この結果、切断した上側の側面部312がタイヤチップ用となり、残った下側が本発明で用いる接合体用となる。接合体用のタイヤ31には、上側の側面部312を切断した部分に開口314が形成される。なお、タイヤ31を切断する作業は、一般に使用される切断機を用いて工場などで予め行なうことができる。
【0013】
また、中詰材32は、例えば砕石、砂、砂礫、コンクリート塊、建設残土、再生骨材、ガラスくず、陶器くず、石炭灰(およびその造粒材)、鉄鋼スラグ類、カキ殻などの安価な材料のものからなる粒状体である。特に、コンクリート塊、石炭灰、鉄鋼スラグ類、カキ殻は産業廃棄物に指定されているものであり、本発明ではこれらの産業廃棄物を処理する点において有効な利用形態を提供する。また、現場の土にセメント系固化材を混合した改良土を中詰材32として利用しても良い。
【0014】
杭頭接合構造をなす杭頭接合方法としては、図3に示すように支持基盤4の上面に対して杭頭11が面一となるように支持基盤4に杭体1を打ち込む。その後、支持基盤4の上にジオテキスタイル5を敷設する。ジオテキスタイル5は、接合体3を配設した造成地盤を支持するとともに、後にタイヤ31の内部に充填された中詰材32が下層地盤へ抜け出る事態を防止するためのものである。このジオテキスタイル5は、土や岩などの土質工的材料とともに用いられて、土構造物の強化や安定性の増大に寄与する合成高分子材料であって、透水性のある繊維材料のことをいう。
【0015】
ジオテキスタイル5の敷設後、開口314を上方に向けたタイヤ31をジオテキスタイル5の上面に複数載置する。隣り合うタイヤ31同士は、それぞれの円筒部を接触するように置く。また、必要によっては、隣り合うタイヤ31同士を連結する。タイヤ31同士の連結においては、図4に示すように隣り合う各タイヤ31の円筒部311にそれぞれ貫通孔を空け、ボルト61を通して固定する。または、図5に示すように隣り合う各タイヤ31の円筒部311の縁同士を開口314からクリップ62で固定する。
【0016】
タイヤ31の載置後、図3に示すようにタイヤ31の上から中詰材32を撒き、当該中詰材32をタイヤ31の中空部313に充填する。次いで、タイヤ31の上側に余分に盛られた状態で撒かれている中詰材32をロードローラなどの締固め機械7を用いてタイヤ31の上側から転圧する。この転圧によって中詰材32に荷重が加えられ、当該中詰材32がタイヤ31の内部で圧縮される。このようにして、支持基盤4の上面に接合体3の層が形成される。
【0017】
次いで、図6に示すように先に形成した接合体3の層の上に、上記と同様に開口314を上方に向けたタイヤ31を複数載置し、当該タイヤ31の上から中詰材32を撒き、中詰材32をタイヤ31の中空部313に充填して、タイヤ31の上側に余分に盛られた中詰材32を締固め機械7を用いてタイヤ31の上側から転圧する。このようにして、先に形成した接合体3の層の上に、さらに接合体3の層が形成される。この接合体3の層は、必要に応じて積層する。なお、ジオテキスタイル5は、支持基盤4の上だけでなく、接合体3の各層ごと、あるいは複数層おきに敷設してもよい。
【0018】
その後、図1に示すように接合体3の層の上に上部構造物の基礎2を施工する。
【0019】
ここで、接合体3の層を形成するにあたり、締固め機械7を用いてタイヤ31の上側から転圧して、中詰材32をタイヤ31の内部で圧縮すると、図7の左側に示すようにタイヤ31の円筒部311は、仮想線で示す膨張状態に至るまで押し広げられることになる。そして、中詰材32に上側から荷重を加えると、図7の右側に示すように膨張状態のタイヤ31の中空部313に中詰材32が隙間無く充填される。この状態では、円筒部311にフープテンションが生じており、中詰材32に上側から荷重を加えると正のダイレイタンシーが生じる状態である。なお、フープテンションとは、パイプやタンクなどの円筒状の容器に内圧が作用したときに、円筒面に発生する円周方向の引張力をいう。また、ダイレイタンシーとは、せん断応力が作用して中詰材32に体積変化が起こることをいう。
【0020】
上述した膨張状態のタイヤ31は、圧力を付与したプレロードによって全体として硬い支持平板を構成して、上からの大きな荷重に耐え得ることになる。すなわち、膨張状態にあるタイヤ31の内部にある中詰材32は、円筒部311が中詰材32を圧縮する力に応じて剛性が増加するものであり、これによりタイヤ31が全体として硬い支持平板を構成して、上からの大きな荷重に耐え得ることになる。
【0021】
図8および図9は本発明に係る杭頭接合構造における圧縮・除荷試験の鉛直応力−鉛直ひずみ関係を示す図であり、図9は図8の一部拡大図である。図8および図9において、符号「A」は、接合体3を図1に示す3層としてタイヤ(廃タイヤ)31に詰め込む中詰材32に豊浦砂を適用した場合である。また、符号「B」は、接合体3を図1に示す3層としてタイヤ(廃タイヤ)31に詰め込む中詰材32に再生骨材(アスファルト舗装廃材などから製造した骨材)を適用した場合である。また、符号「C」は、接合体3を図1に示す3層としてタイヤ(廃タイヤ)31に詰め込む中詰材32に水締めした豊浦砂を適用した場合である。また、符号「D」は、接合体3を図1に示す3層としてタイヤ(廃タイヤ)31に詰め込む中詰材32にPS灰(ペーパースラッジ焼却灰)を適用した場合である。また、符号「E」は、接合体3を図1に示す3層としてタイヤ(廃タイヤ)31に詰め込む中詰材32にメサライト(人工軽量骨材)を適用した場合である。なお、符号「F」は比較として接合体を従前の砕石入り土嚢とした場合である。さらに、符号「A’」は、接合体3を図1に示す3層としてタイヤ(新品タイヤ)31に詰め込む中詰材32に豊浦砂を適用した場合であり、符号「a」は、接合体3を5層としてタイヤ(廃タイヤ)31に詰め込む中詰材32に豊浦砂を適用した場合である。そして、圧縮→除荷→再圧縮を繰り返しながら圧力荷重レベルを上げた。すなわち、本発明に係る杭頭接合構造のようにタイヤ31に中詰材32を充填した接合体3を用いた場合では、土嚢を用いた場合と比較し、その耐力がフープテンションによって拘束されて非常に大きいことが分かる。
【0022】
ここで、図9において、Eはヤング率、Vsはせん断波速度(横波の伝わる速さ)である。そして、σ=E×εの関係から(σ:縦軸、ε:横軸)、Eは図9中のグラフの傾きをあらわす。すなわち、Eが大きい程硬く、逆にEが小さい程軟らかい材料と言える。また、E=2(1+ν)・ρ・Vs2の関係から(ν:ポアソン比、ρ:密度)、ν=ρであればEが大きいときVsも大きく硬い材料であると言える。よって、一度載荷(圧縮)して除荷すると、その後は履歴荷重内であればグラフの傾きが大きくなる。すなわち、履歴のない荷重状態に比べて剛性が大きくなる。
【0023】
したがって、上述した杭頭接合構造によれば、杭体1と基礎2との間に接合体3を配置して、杭体1と基礎2とを直接結合していないため、杭体1に作用する応力(曲げモーメントなど)を大幅に低減することが可能である。また、杭体1と基礎2とを直接結合していないため、施工時・施工完了後・地震時において杭体1の杭頭11および基礎2の底面を保護することが可能になる。
【0024】
また、タイヤ31の中空部に充填した中詰材32は、図10に示すように繰り返しせん断に対して非線状の履歴ループを描いて地震動エネルギを吸収するために免震効果が得られる。さらに、タイヤ31の中空部に中詰材32を充填した接合体3は、せん断変形によって図11に示すように上部構造物(基礎2)のロッキング(爪先立ち)のような浮き上がりを許容するため、上部構造物への入力地震動の低減を図ることが可能である。
【0025】
また、タイヤ31の中空部に中詰材32を充填した接合体3は、新設杭や既設杭のいずれであっても利用でき、さらに杭体1の種類(場所打ちコンクリート杭、鋼管杭、既製コンクリート杭、鋼管巻きコンクリート杭など)に関わらず利用できる。
【0026】
特に、タイヤ31の中空部に中詰材32を充填した接合体3は、廃タイヤであっても非常に高い強度を得ることが可能である。このため、大型構造物に対しても利用可能である。また、廃タイヤを有効利用することで環境保全に寄与することが可能である。また、必要に応じて大型トラック用タイヤから小型車用タイヤまで種々の大きさの選択が可能である。また、中詰材32として産業廃棄物や、建設現場で生じた廃棄物を中詰材32として利用することが可能である。品質の悪い中詰材32であっても適宜硬さを有していればタイヤ31のフープテンションによる拘束応力によって圧力が加わるので強固になる。また、中詰材32の充填状態や材料の選択によって剛性の調整が可能なので、クッション材として利用することも可能である。また、プレロードによって大きな剛性を得ることが可能である。接合体3を上記のごとく一面に敷くことで表層地盤改良と同様の効果を得ることが可能である。
【0027】
なお、上述した実施の形態では、タイヤ31の側面部312を切断した接合体用として形成しているが、通常のタイヤ31を切断せずに用いてもよい。また、上述した実施の形態では、杭体1の上に一面に接合体3を敷いているが、杭体1の杭頭11の部分のみに接合体3を設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る杭頭接合構造を示す概念図である。
【図2】図1に示すタイヤの概略図である。
【図3】図1に示す杭頭接合構造をなす工程を示す概略図である。
【図4】図1に示すタイヤの連結構造を示す概略図である。
【図5】図1に示すタイヤの連結構造を示す概略図である。
【図6】図1に示す杭頭接合構造をなす工程を示す概略図である。
【図7】図1に示すタイヤに中詰材を充填した状態を示す概略図である。
【図8】本発明に係る杭頭接合構造における圧縮・除荷試験の鉛直応力−鉛直ひずみ関係を示す図である。
【図9】本発明に係る杭頭接合構造における圧縮・除荷試験の鉛直応力−鉛直ひずみ関係を示す図である。
【図10】本発明に係る杭頭接合構造におけるせん断応力−せん断ひずみ関係を示す図である。
【図11】本発明に係る杭頭接合構造におけるロッキングを示す概念図である。
【符号の説明】
【0029】
1 杭体
11 杭頭
2 基礎
3 接合体
31 タイヤ
311 円筒部
312 側面部
313 中空部
314 開口
32 中詰材
4 支持基盤
5 ジオテキスタイル
61 ボルト
62 クリップ
7 締固め機械




 

 


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