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発明の名称 プレストレストプレキャストコンクリート部材と被接合部材の接合構造及びプレストレストプレキャストコンクリート部材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−191865(P2007−191865A)
公開日 平成19年8月2日(2007.8.2)
出願番号 特願2006−8556(P2006−8556)
出願日 平成18年1月17日(2006.1.17)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 磯田 和彦
要約 課題
予めプレストレスを導入したプレストレストプレキャストコンクリート部材を、簡便で確実に被接合部材に接合可能な接合構造及びプレストレストプレキャストコンクリート部材を提供する。

解決手段
コンクリート本体部と、コンクリート本体部の一端と他端の両端部2d間に埋設状態で延設されてコンクリート本体部にプレストレスを導入するプレストレス導入部材3とを備えるプレストレストプレキャストコンクリート部材1を被接合部材5に接合するための接合構造Aであって、プレストレス導入部材3には、コンクリート本体部の端部2dから外側に延出された延出部3cが設けられ、延出部3cが被接合部材5を貫通するようにプレストレストプレキャストコンクリート部材1を設置した状態で、延出部3cに緊張力を付与しつつこの延出部3cを被接合部材5に定着させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
コンクリート本体部と、該コンクリート本体部の一端と他端の両端部間に埋設状態で延設されて前記コンクリート本体部に予めプレストレスを導入するプレストレス導入部材とを備えるプレストレストプレキャストコンクリート部材を被接合部材に接合するための接合構造であって、
前記プレストレス導入部材には、前記コンクリート本体部の前記端部から外側に延出された延出部が設けられ、該延出部が前記被接合部材を貫通するように前記プレストレストプレキャストコンクリート部材を設置した状態で、前記延出部が緊張力を付与されつつ前記被接合部材に定着されてなることを特徴とするプレストレストプレキャストコンクリート部材と被接合部材の接合構造。
【請求項2】
請求項1記載のプレストレストプレキャストコンクリート部材と被接合部材の接合構造において、
前記延出部が継手部材を介して前記コンクリート本体部の外側に延出されていることを特徴とするプレストレストプレキャストコンクリート部材と被接合部材の接合構造。
【請求項3】
コンクリート本体部と、該コンクリート本体部の一端と他端の両端部間に埋設状態で延設されて前記コンクリート本体部にプレストレスを導入するプレストレス導入部材とを備えるプレストレストプレキャストコンクリート部材であって、
前記コンクリート本体部には、埋設された前記プレストレス導入部材によって予めプレストレスが導入されているとともに、前記プレストレス導入部材には、前記コンクリート本体部の前記端部から外側に延出する延出部が設けられていることを特徴とするプレストレストプレキャストコンクリート部材。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば梁などのプレストレストプレキャストコンクリート部材を、例えば柱などの被接合部材に接合するための接合構造及びプレストレストプレキャストコンクリート部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば柱に接合しつつ設置される梁などには、プレストレスの導入により長期応力下で曲げひび割れを発生させず、コンクリートの全断面が圧縮にも引張にも有効に働くようにしたプレストレストコンクリート部材(PC)や、鉄筋コンクリート(RC)にプレストレスを導入して曲げひび割れ幅やたわみを制御するようにしたプレストレスト鉄筋コンクリート部材(PRC)が採用されている。また、従来では鉄骨造(S造)が採用されていた大スパン梁においてもこれらPCやPRCが採用されてきている。さらに、工期の短縮や、安全性の向上、品質の向上、ひいてはコスト縮減などの多くの利点を有することから、予め工場などで製作した、すなわちプレキャスト化したPCやPRC(プレストレストプレキャストコンクリート部材)を用い、これを現場で組み立てて建築物を築造することが行なわれている。特に建築物を構築する際にその設置数が多い梁をプレキャスト化した場合には工期短縮など上記効果が大きく、このため、梁にプレストレストプレキャストコンクリート部材を採用するケースが多くなっている。
【0003】
このプレストレストプレキャストコンクリート部材(以下、PCaという)をプレテンション方式で製作した場合には、すなわちPC鋼棒やPC鋼線などのPC鋼材(プレストレス導入部材)を緊張した状態でコンクリートを打設して、コンクリートの硬化後にPC鋼材の緊張を開放しPCaにプレストレスを導入するように製作した場合には、コンクリートもしくはコンクリートと鉄筋からなるコンクリート本体部にプレストレスを導入するPC鋼材が、コンクリート本体部の軸方向両端部(PCaの軸方向両端部)で定着される。そして、このプレテンション方式で製作したPCa(梁)を被接合部材(柱)に接合する接合構造には、PCaの端部側に別途接合用の鉄筋を設け、この接合用鉄筋を介して互いを接合する構造が用いられている。しかしながら、このように接合用鉄筋からなる接合構造を採用した場合には、特にPCaが大スパン梁である場合に、応力が集中する接合部分の仕口部付近にプレストレスが導入されていないため、プレストレスが導入された中央側よりもこの部分にひび割れが生じやすくなるという問題があった。
【0004】
一方、コンクリート本体部の両端部間の全長に渡りシース管を埋設し、このシース管にPC鋼材を挿通しつつPC鋼材の端部側をコンクリート本体部の外側に延出させ、このプレストレスが導入されていない状態のPCa(梁)を所定位置に設置した後に、PC鋼材に緊張力を付与しその端部を被接合部材(柱)に定着させて、コンクリート本体部にプレストレスを導入(いわゆる、ポストテンション方式)し、PCaと柱とを圧着接合するようにした接合構造もある。この接合構造においては、PCaと柱との間にもプレストレスが導入されるため、接合部分付近の耐久性に優れるという利点を有している。しかしながら、この接合構造では、プレストレスを導入していない状態のPCaを柱に架構した際に、その自重によって中央部にひび割れが生じてしまう場合があり、これを防止するためにPCaの中央部付近を支持する仮設サポートを別途必要とするという問題があった。また、PCaと柱を接合すると同時にコンクリート本体部にプレストレスが導入されることになるため、このプレストレスの導入に伴ってコンクリート本体部(PCa)が軸線方向に伸縮し、例えば接合部分に隙間が生じてこの隙間を埋めるために壁コンクリートを後打ちするなど別途対策を強いられる場合があった。
【0005】
これに対し、予め製作時にプレストレスを導入するPC鋼材とともに、このPC鋼材とは別にPCaと被接合部材(柱)を接合するための接合用PC鋼材を備え、コンクリート本体部の中間部(中央部)側をH形断面形状に形成した接合構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この接合構造においては、PCaのH形断面形状の柱側の端面が定着面とされ、この定着面からコンクリート本体部の端部に貫通するシース管が埋設されており、接合用PC鋼材が、シース管に挿通されつつその一端を定着面に定着させて、コンクリート本体部の端部から外側に延出した他端側を柱に貫通させて配設される。そして、この他端側をジャッキで引っ張り、接合用PC鋼材に緊張力を付加しつつ柱に定着させることによって、PCaと柱とを圧着接合することが可能とされている。また、このPCaは、接合用PC鋼材と分離したPC鋼材で予めプレストレスがコンクリート本体部に導入されているため、接合時に接合用PC鋼材を緊張した場合においても、コンクリート本体部に軸線方向の伸縮が生じることがないものとされている。
【特許文献1】特開平5−148897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の接合用PC鋼材を備えた接合構造においては、PCaに予めプレストレスを導入するPC鋼材とともに、比較的高価なPC鋼材を別途接合用PC鋼材として具備しているため、相互の干渉を避けるように配置する必要があるとともに、材料コストの増加を招くという問題があった。また、この接合用PC鋼材を緊張しつつ定着させるために、コンクリート本体部をH形断面形状にして定着面を形成する必要があり、これによりPCaの形状が複雑化して、その製作手間が増加するとともに製作コストが増加するという問題もあった。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑み、予めプレストレスを導入したプレストレストプレキャストコンクリート部材を、簡便で確実に被接合部材に接合可能な接合構造及びプレストレストプレキャストコンクリート部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0009】
本発明のプレストレストプレキャストコンクリート部材と被接合部材の接合構造は、コンクリート本体部と、該コンクリート本体部の一端と他端の両端部間に埋設状態で延設されて前記コンクリート本体部に予めプレストレスを導入するプレストレス導入部材とを備えるプレストレストプレキャストコンクリート部材を被接合部材に接合するための接合構造であって、前記プレストレス導入部材には、前記コンクリート本体部の前記端部から外側に延出された延出部が設けられ、該延出部が前記被接合部材を貫通するように前記プレストレストプレキャストコンクリート部材を設置した状態で、前記延出部が緊張力を付与されつつ前記被接合部材に定着されてなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のプレストレストプレキャストコンクリート部材と被接合部材の接合構造においては、前記延出部が継手部材を介して前記コンクリート本体部の外側に延出されていてもよい。
【0011】
さらに、本発明のプレストレストプレキャストコンクリート部材は、コンクリート本体部と、該コンクリート本体部の一端と他端の両端部間に埋設状態で延設されて前記コンクリート本体部にプレストレスを導入するプレストレス導入部材とを備えるプレストレストプレキャストコンクリート部材であって、前記コンクリート本体部には、埋設された前記プレストレス導入部材によって予めプレストレスが導入されているとともに、前記プレストレス導入部材には、前記コンクリート本体部の前記端部から外側に延出する延出部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のプレストレストプレキャストコンクリート部材と被接合部材の接合構造及びプレストレストプレキャストコンクリート部材においては、プレストレス導入部材が、コンクリート本体部の端部から外側に延出し自由端を有する延出部を備えていることにより、プレストレス導入部材のコンクリート本体部の内部に配された部分は、予め緊張力を付与されてコンクリート本体部にプレストレスを導入しているのに対して、プレストレス導入部材の延出部は、緊張力が付与されていない状態とされる。そして、この状態のプレストレストプレキャストコンクリート部材を、延出部が被接合部材を貫通するように設置するとともに、コンクリート本体部にプレストレスを導入しているプレストレス導入部材と同一部材の延出部のみを緊張し被接合部材に定着させることによって、プレストレストプレキャストコンクリート部材の端部を被接合部材に圧着させて接合することができる。
【0013】
これにより、従来の接合構造のように、コンクリート本体部にプレストレスを導入するPC鋼材(プレストレス導入部材)とは別に、接合用PC鋼材を設ける必要がなく、比較的高価なプレストレス部材の材料コストを削減することが可能とされる。また、特別な器具や技量を要せずに、一般的なプレストレス工法の施工方法を踏襲してプレストレス導入部材の延出部を緊張するという簡便な操作で、確実にプレストレストプレキャストコンクリート部材と被接合部材とを接合することが可能とされ、かつプレストレストプレキャストコンクリート部材と被接合部材の接合部分にプレストレスが導入されるため、応力が集中する接合部分付近の耐久性を向上させることも可能になる。
【0014】
さらに、コンクリート本体部には、予めプレストレスが導入されているため、現場にて延出部に緊張力を導入しても、コンクリート本体部に伸縮が生じて例えば接合部分に隙間が生じるようなことがなく、この隙間を埋めるための現場打ちコンクリートなどを不要にすることができる。また、これに加えて、本発明に係るプレストレストプレキャストコンクリート部材を梁に適用した場合には、予めプレストレスが導入されていることにより、架構時にその自重に伴うひび割れが生じることがなく、スパン中央におけるひび割れを防止するための仮設サポートが不要とされる。
【0015】
よって、本発明のプレストレストプレキャストコンクリート部材と被接合部材の接合構造及びプレストレストプレキャストコンクリート部材においては、簡便に、かつ確実にプレストレストプレキャストコンクリート部材を被接合部材に接合することが可能とされるとともに、このプレストレストプレキャストコンクリート部材がプレキャスト化されたものであることに基づき、例えば大スパン梁や床、壁などに適用することによって、工期短縮を図り、経済性に優れた合理的な施工を実現することが可能とされる。
【0016】
また、本発明のプレストレストプレキャストコンクリート部材と被接合部材の接合構造において、延出部が継手部材を介してコンクリート本体部の外側に延出されるように構成された場合には、予めプレストレスが導入されたプレストレストプレキャストコンクリート部材を現場に搬入した段階で、所定の長さ寸法の延出部を容易に形成することが可能とされ、例えば鉄筋を先組みして現場打ちコンクリートで構築される被接合部材と接合するような場合においても、このプレストレストプレキャストコンクリート部材を所定の位置に設置した段階で、継手部材を介して延出部を形成することができるため、プレストレストプレキャストコンクリート部材の設置時に、延出部が先組みされた鉄筋に干渉することがなく、このような工業化工法への対応も容易とされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図1から図4を参照し、本発明の一実施形態に係るプレストレストプレキャストコンクリート部材と被接合部材の接合構造及びプレストレストプレキャストコンクリート部材について説明する。ここで、本実施形態においては、プレストレストプレキャストコンクリート部材を梁とし、このプレストレストプレキャストコンクリート部材を接合する被接合部材が柱であるものとして説明を行なう。
【0018】
本実施形態において、プレストレストプレキャストコンクリート部材(以下、PCa梁という)1は、図1及び図2に示すように、長手方向に延びる軸線O1に直交する断面が長方形状を呈するように形成され、例えば幅35cm、梁成55cm、軸線O1方向の長さ(スパン)が10mの大スパン梁とされている。また、このPCa梁1は、コンクリート本体部2と、コンクリート本体部2にプレストレスを導入するPC鋼材(プレストレス導入部材)3とから構成され、工場などで予め製作された、すなわちプレキャスト化されたものとされている。
【0019】
コンクリート本体部2は、例えば圧縮強度が40〜60N/mmの高強度コンクリート2aと、高強度コンクリート2aの内部に設けられた複数の主筋(本実施形態では4本)2bと、各主筋2bに接続されつつこれら主筋2bを囲むように形成された複数のあばら筋2cとから構成されている。各主筋2bは、それぞれ軸線O1方向に沿ってコンクリート本体部2の長手方向の一端2dと他端2eの両端部(PCa梁1の両端部)を結ぶように延設され、軸線O1に直交する断面視に4つの角部側にそれぞれ1本ずつ配設されている。複数のあばら筋2cは、それぞれ軸線O1に直交する断面視に略矩形枠状に形成され、その内側に主筋2bを配した状態で高強度コンクリート2aに埋設されており、PCa梁1の両端部2d、2eの間に軸線O1方向に所定の間隔をあけて並設されている。
【0020】
一方、PC鋼材3は、例えばPC鋼棒とされ、本実施形態においては、PCa梁1の上端1a側(コンクリート本体部2の上端側)に2本、下端1b側(コンクリート本体部2の下端側)に3本の計7本がそれぞれ前記複数の主筋2bよりもコンクリート本体部2の内側に埋設され軸線O1に沿って延設されている。また、上端1a側の2本のPC鋼材3と、下端1b側の3本のPC鋼材3は、それぞれ幅方向に所定の間隔をもって並設されている。さらに、各PC鋼材3は、その両端3a、3bがそれぞれPCa梁1の両端部2d、2eよりも軸線O1方向外側に延出されており、この延出部分が延出部3cとされている。なお、本実施形態の接合構造Aは、この延出部3cと、後述するシース管6と、柱(被接合部材)5に形成した凹部7と、この凹部7に設置されつつ延出部3cを定着支持する第2定着板8とから構成されている。
【0021】
さらに、本実施形態において、各PC鋼材3は、コンクリート本体部2の内部に配された部分が緊張力を付与されて高強度コンクリート2aに付着されつつ一体とされており、コンクリート本体部2の軸線O1方向両端部2d、2e側に設けられた略矩形平板状の第1定着板4の中心孔に挿通されつつこの第1定着板4に定着支持されている。これにより、コンクリート本体部2には、PC鋼材3によって予めプレストレスが導入されている。一方、PC鋼材3の延出部3cは、その端部3a、3bが自由端とされて、この状態において緊張力は付与されていない。
【0022】
ちなみに、上記のように構成された本実施形態のPCa梁1は、例えば工場にて、型枠を形成し、主筋2b、あばら筋2cをそれぞれ配筋するとともに、PC鋼材3を所定位置に配し、このPC鋼材3に所定の緊張力を付与した段階で、高強度コンクリート2aを型枠内に打設して形成される。また、このPCa梁1は、高強度コンクリート2aが硬化した段階で型枠を取り外し、PC鋼材3を第1定着板4に定着支持させつつその緊張状態を開放することによって、コンクリート本体部2にプレストレスが導入されている。すなわち、本実施形態のPCa梁1は、予めプレストレスをプレテンション方式で導入して製作したものとされている。
【0023】
ついで、図3及び図4を参照し、予め工場で製作した上記構成からなるPCa梁1を現場に搬入し、このPCa梁1を柱(被接合部材)5と接合する方法について説明する。
【0024】
はじめに、本実施形態では、それぞれ断面矩形状に形成されていて立設した一対の柱5間の所定位置に、現場に搬入したPCa梁1を吊り込みこれを保持した段階で、PCa梁1の両端部2d、2eから軸線O1方向外側に延出した延出部3cにシース管6を被せ、柱5の配筋や型枠の設置作業を行なう。このとき、構築する柱5のPCa梁1側を向く一側面5aがPCa梁1の端面(端部)2d、2eと面接触されるように型枠が設置され、この状態で、PC鋼材3の延出部3cとこれを被覆したシース管6が、構築する柱5を貫通するように配置されている。すなわち、延出部3cの端部3a、3bが柱5の前記一側面5aと反対に位置する他側面5bよりも軸線O1方向外側に突出した状態とされている。ついで、型枠内にコンクリートを打設し、柱5を構築する。ここで、延出部3cにシース管6が取り付けられているため、打設したコンクリートが延出部3cに付着して、硬化したコンクリートで延出部3cが拘束されることがないものとされる。
【0025】
ついで、柱5や床のコンクリートが所定の強度に達した段階で、型枠を取り外すとともに、PC鋼材3の延出部3c及びこの延出部3cに取り付けたシース管6が突出する柱5の他側面5b側において、コンクリート内の延出部3cやシース管6の一部を露出させ、柱5に他側面5bから一側面5aに向けて凹む所定の大きさの凹部7を形成する。そして、凹部7を形成した段階で、露出したシース管6を切断除去して凹部7に位置する延出部3cを露出させる。ついで、図示せぬ中心孔を備える略矩形平板状の第2定着板8を、その中心孔に延出部3cを挿通させて凹部7の底部に当接するように設置する。
【0026】
そして、第2定着板8を設置した段階で、延出部3c(PC鋼材3)の端部3a、3bを把持させつつ図示せぬジャッキで緊張力を付加し、例えば、第2定着板8の中心孔と緊張した延出部3cの間にくさび部材を設置するなどして、この緊張力が付加された延出部3cを第2定着板8に定着させる。このように延出部3cに緊張力を導入して定着するとともに、PCa梁1の端面2d、2eと柱5の一側面5aが面接触しつつ圧着されて、PCa梁1と柱5とが強固に接合されることになる。
【0027】
したがって、本実施形態においては、予めPCa梁1にプレストレスを導入しているPC鋼材3と同一のPC鋼材3の延出部3cを、特別な器具や技量を要せずに一般的なプレストレス工法の施工方法を踏襲して現場で緊張するという簡易な操作によって、PCa梁1を柱5に圧着接合することができる。このため、従来の接合構造のように、比較的高価な接合用PC鋼材を別途設けたり、この接合用PC鋼材を定着させるためにPCa梁1の形状が複雑化するようなことがなく、接合に要する材料コストの削減を図ることが可能になる。また、応力が集中的に作用するこの接合部分にプレストレスが導入されるため、接合部分付近の耐久力を向上させることが可能とされる。
【0028】
また、PCa梁1に予めプレストレスを導入したPC鋼材3が、PCa梁1の端部2d、2eにて第1定着板4で定着されていることにより、延出部3cに付加した緊張力がコンクリート本体部2内のPC鋼材3に伝達されることがなく、延出部3cの緊張に伴ってPCa梁1にクリープ変形が生じたり、柱5やPCa梁1自身に変形が生じることがない。すなわち、予め導入されているプレストレスに、延出部3cの緊張によってさらなるプレストレスが導入されて、増加したプレストレスによりPCa梁1の軸線O1方向の長さ(スパン)が伸縮するようなことがなく、PCa梁1が伸びて柱5が変形したり、PCa梁1が縮んで柱5との間に隙間が生じたりすることがない。よって、本実施形態の接合構造Aにおいては、従来、現場にてプレストレスを導入する場合に生じていた上記隙間を埋めるための例えば壁コンクリートを後打ちするなどの対策を不要にできる。
【0029】
さらに、現場に搬入したPCa梁1を所定の位置に設置した段階で、既にプレストレスが導入されているため、従来のように、その自重で曲げひび割れが生じてしまうようなことがなく、この曲げひび割れを防止するためにスパン中央付近を支持する仮設サポートを不要にできる。これにより、作業スペースを充分に確保することが可能とされ、施工性の向上、ひいては施工の安全性の向上を図ることも可能になる。
【0030】
よって、本実施形態のPCa梁1と柱5の接合構造A及びPCa梁1によれば、予めプレストレスを導入してプレキャスト化されたPCa梁1に対し、そのPC鋼材3の延出部3cを現場にて緊張するという簡便な操作で、被接合部材の柱5と確実に圧着接合することができるため、施工性や安全性を向上させつつ大幅に工期短縮を図ることが可能とされ、かつ材料コストの削減や全体工費の削減を図ることが可能とされ、合理的な施工を実現することが可能になる。
【0031】
以上、本発明に係るプレストレストプレキャストコンクリート部材(PCa)と被接合部材の接合構造及びプレストレストプレキャストコンクリート部材の実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、PCa1が梁であるものとし、このPCa1を接合する被接合部材が柱5であるものとして説明を行なったが、これに限定されるものではなく、例えばPCa1が柱や壁、床であったり、このPCa1を接合する被接合部材(5)が柱や梁、床、壁であってもよいものである。また、本実施形態のPCa1は、主筋2bやあばら筋2cが具備されているものとしたが、鉄筋を具備せぬ構成とされていてもよいものである。
【0032】
また、本実施形態では、PC鋼材3の延出部3cにシース管6を被せた状態で柱(被接合部材)5のコンクリートを打設し、コンクリートの硬化後に延出部3cを緊張してプレストレスを導入するポストテンション方式でPCa1と被接合部材5とを圧着接合するものとして説明を行なったが、延出部3cにシース管6を設けず、被接合部材5のコンクリートを打設する前段で延出部3cを緊張しておき、硬化したコンクリートと延出部3cを一体としてプレストレスを導入するプレテンション方式でPCa1と被接合部材5が圧着接合されるように構成されていてもよい。また、上端1a側や下端1b側に並設した全てのPC鋼材3をPCa1の外側に延出させる必要はなく、一部のPC鋼材3のみを延出させてこの延出部3cを緊張することによりPCa1と被接合部材5とを圧着接合するように構成してもよい。
【0033】
さらに、PCa1を被接合部材5に接合する際に、PC鋼材3の延出部3cにシース管6を被せて設置し、被接合部材5のコンクリートを打設した後に、延出部を緊張して互いを圧着接合するものとして説明を行なったが、例えば予め形成された柱などの被接合部材5に貫通孔を設けておき、PCa1を設置する際に、この貫通孔にPC鋼材3の延出部3cを挿通させ、PCa1の設置とともに延出部3cに緊張力を付加して互いを圧着接合するようにしてもよいものである。また、このとき、被接合部材5がプレキャスト化されて形成されたものであってもよく、この場合には、被接合部材5の配筋や型枠設置、現場打ちコンクリートの作業を失くすことができるため、さらなる施工性の向上を図ることができ、ひいてはさらなる工期短縮を図ることが可能とされる。
【0034】
さらに、本実施形態では、PCa1のPC鋼材3がPC鋼棒であるものとしたが、例えばPC鋼線や、PCより線、PCより線を複数束ねたPCケーブルであってもよいものである。また、被接合部材5に凹部7を形成し、その底部に設けた第2定着板8で緊張した延出部3cを定着させるものとしたが、必ずしも凹部7を形成して被接合部材5の内部に第2定着板8を配置する必要はなく、例えば被接合部材5の他側面5bに面接触された第2定着板8で、緊張した延出部3cが定着支持されてもよいものである。
【0035】
また、本実施形態では、PC鋼材3の延出部3cが予め被接合部材5の幅よりも長く延出されているものとしたが、例えば図5に示すように、PCa1の両端部2d、2eから軸線O1方向外側に延出する延出部3cを短くして製作しておき、このPCa1を現場に搬入した後に、短い延出部3cに例えばカップラーなどの継手部材10を介して別途PC鋼材3を接続して所定の長さを備える延出部3cを形成するようにしてもよいものである。この場合には、予め製作したPCa1を現場まで運搬したり、現場に搬入したPCa1を所定の位置に設置する際に、延出部3cが短く形成されていることでその取扱いが容易とされるとともに、例えば、被接合部材5の柱や床の鉄筋を先組みした状態でPCa1を設置する際に、延出部3cが先組みした鉄筋に干渉するようなことがなく、工業化工法への対応も容易とされる。また、PCa1が梁である場合には、特に上端1a側に配されたPC鋼材3の延出部3cを後で長く延ばせることにより、柱5に設置する際に直交梁の主筋に干渉することを防止でき、施工性の向上を図ることが可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係るプレストレストプレキャストコンクリート部材を示す図である。
【図2】図1のX−X線矢視図である。
【図3】図1のプレストレストプレキャストコンクリート部材を被接合部材に接合した状態を示す図である。
【図4】図3における接合部を拡大して示した図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るプレストレストプレキャストコンクリート部材の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 PCa(梁)(プレストレストプレキャストコンクリート部材)
2 コンクリート本体部
2a 高強度コンクリート
2b 主筋
2c あばら筋
2d 端部
2e 端部
3 PC鋼材(プレストレス導入部材)
3c 延出部
4 第1定着板
5 柱(被接合部材)
5a 一側面
5b 他側面
6 シース管
7 凹部
8 第2定着板
10 継手部材
A 接合構造
O1 軸線





 

 


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