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発明の名称 地盤改良装置および液状化防止工法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−162337(P2007−162337A)
公開日 平成19年6月28日(2007.6.28)
出願番号 特願2005−360092(P2005−360092)
出願日 平成17年12月14日(2005.12.14)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 風間 広志 / 真野 英之 / 社本 康広 / 浅香 美治 / 堀田 洋之 / 田地 陽一 / 天利 実
要約 課題
浅層混合処理工法による地盤改良を既存構造物の下方地盤において実施する。

解決手段
本発明の地盤改良装置10は、地盤中に固化材を供給し原位置土と攪拌混合する攪拌混合機13を、ベースマシン11に対して水平姿勢で上下方向および水平各方向に移動可能に保持した構成であり、攪拌混合機をタンク1等の既存構造物の周囲地盤に挿入しかつそこから既存構造物の下方地盤に進入せしめるものである。攪拌混合機には前進用ジャッキ19を搭載する。攪拌混合機を回動自在とする。本発明の液状化防止工法は、上記の地盤改良装置によって既存構造物の外周部の下方地盤に既存構造物の外形輪郭に沿う閉鎖環状の外殻改良ゾーン2を浅層混合処理工法により形成するものであり、その固化材としてはセメントないしセメント系固化材を用いる。外殻改良ゾーンの内側に薬液注入による薬液改良ゾーンを形成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
既存構造物の支持地盤に対して液状化防止対策としての地盤改良を行うために用いる地盤改良装置であって、
地盤中に挿入されて固化材を供給しつつ原位置土と攪拌混合する攪拌混合機と、該攪拌混合機を水平姿勢で上下方向および水平各方向に移動可能に保持して該攪拌混合機を既存構造物の周囲地盤に挿入しかつそこから既存構造物の下方地盤に進入せしめるベースマシンとを具備してなることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項2】
攪拌混合機に搭載されて地盤中において後方に向かって伸張することにより、後方地盤から反力をとって攪拌混合機全体を前方に押し出す前進用ジャッキを具備してなることを特徴とする請求項1記載の地盤改良装置。
【請求項3】
ベースマシンの揺動アームに垂直アームを設けて該垂直アームの下端部に攪拌混合機を回動自在に支持するとともに、攪拌混合機を回動させるための回動駆動源を具備してなることを特徴とする請求項1または2記載の地盤改良装置。
【請求項4】
請求項1,2または3記載の地盤改良装置によって既存構造物の支持地盤に対して液状化防止対策としての地盤改良を行うための液状化防止工法であって、
既存構造物の周囲地盤に攪拌混合機を挿入してその先端部を既存構造物の下方地盤に進入せしめて、該攪拌混合機より既存構造物の外周部の下方地盤に対して固化材を供給するとともに原位置土と攪拌混合することにより、既存構造物の外周部の下方地盤に既存構造物の外形輪郭に沿う閉鎖環状の外殻改良ゾーンを形成することを特徴とする液状化防止工法。
【請求項5】
外殻改良ゾーンの形成に際しての固化材としてセメントないしセメント系固化材を用いることにより、外殻改良ゾーンをセメント改良ゾーンとして形成することを特徴とする請求項4記載の液状化防止工法。
【請求項6】
外殻改良ゾーンの内側に薬液注入を行うことにより、外殻改良ゾーンの内側にそれよりも相対的に低強度の内部改良ゾーンを形成することを特徴とする請求項5記載の液状化防止工法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存構造物の支持地盤に対して液状化防止対策としての地盤改良を行うための地盤改良装置、およびその地盤改良装置を用いて液状化防止対策としての地盤改良を行うための液状化防止工法に関する。
【背景技術】
【0002】
浅層(表層)混合処理工法による地盤改良装置としてたとえば特許文献1に示されるものが知られている。これは各種の地盤改良材(固化材)を地盤中に供給して原位置土と攪拌混合するための攪拌混合機(トレンチャ)をバックホウ等のベースマシンの揺動アームの先端部に装着した構成のもので、ベースマシンの操作により攪拌混合機を対象地盤に挿入して地盤表層部(深度数m〜10m程度)を対象として地盤改良を効率的に行い得るものである。
【0003】
上記従来の地盤改良機械は液状化地盤に対する液状化防止対策を目的とする地盤改良工法に適用することも好適であると考えられ、特に近年においてはこのような地盤改良機械を既存不適格構造物の支持地盤に対する液状化防止対策としての地盤改良工法に適用したいとの要請も多い。
すなわち、過去の耐震基準で構築されたままで現存している各種の既存不適格構造物に対しては現在の耐震基準に適合させるための耐震改修を行うことが急務とされ、特に埋め立て地に立地している石油タンクはその支持地盤が液状化地盤である場合も多いことから早急な液状化防止対策が必要とされており、そのような既存構造物の支持地盤を対象とする液状化防止対策としての地盤改良を特許文献1に示されるような地盤改良装置により実施できれば効率的であり有効であると考えられる。
しかしながら、特許文献1に示されている地盤改良装置は攪拌混合機を垂直姿勢として地中に挿入して横方向に移動させる構成であるので、既存構造物の周囲に対する地盤改良は可能であるものの既存構造物の下方地盤に対してまで地盤改良を行うことは不可能であり、既存構造物の下方地盤に対する液状化防止対策としての地盤改良にはそのまま適用することはできないものであった。
【0004】
そのため、従来において既存構造物の下方地盤に対する液状化防止対策としての地盤改良工法を行う場合には、たとえば特許文献2に示されている液状化防止工法のように既存構造物の周囲からその下方地盤に対して薬液注入を行うことが一般的である。
これは、既存の石油タンクの周囲からその下方の支持地盤である液状化層に対して薬液注入を行って地盤改良することを基本とするものであり、特に図12に示すように既存のタンク1の下方地盤の全体をタンク1の外周部に沿う環状の外殻改良ゾーン2とその内側の内部改良ゾーン3とに区分して、後者の改良率を前者のそれよりも低く設定するというものである。これによれば、外殻改良ゾーン2の改良率をたとえば90%程度と充分に高めておけば、内部改良ゾーン3の改良率はたとえば70%程度に留めることでも全体として優れた液状化防止効果を確保できるとされ、したがってタンク1の下方地盤全体を一律に高改良率とする場合に比較して改修に要する費用と手間を軽減でき、その点では既存不適格構造物を対象とする液状化防止対策として有効であると考えられている。
【特許文献1】特許第3090637号公報
【特許文献2】特許第3342000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に示される従来の液状化防止工法は既存構造物の周囲からその下方地盤に対する地盤改良を行うことができるものではあるが、地盤改良を単なる薬液注入により行うものであることから、たとえば特許文献1に示されるような浅層混合処理工法による地盤改良を行う場合に比較すれば地盤増強効果には自ずと限界があり、そのため原地盤の状況によっては改良後の地盤強度を必ずしも充分に高めることができず充分な液状防止効果が得られない場合も想定される。したがって、そのような場合には薬液注入による地盤改良率を可及的に高く設定する必要があり、また地盤改良範囲も充分に広く設定しなければならないから、必然的に高価な薬液を多量に必要とする。しかも、外殻改良ゾーン2と内部改良ゾーン3に区分するとはいっても、大半を高改良率の外殻改良ゾーン2として設定する必要も多く、特に外径寸法が12〜15m程度の中小規模のタンク1の場合には実質的に内部改良ゾーン3を設定する意味が殆どなく、結果的に充分なコスト削減が望めない場合も多い。
【0006】
以上のように、現時点では既存構造物の下方地盤に対する有効適切な液状化防止手法は確立されておらず、特に既存不適格構造物の耐震改修を促進するためにはより一層の工費削減を図り得る有効適切な液状化防止工法やそのための地盤改良装置の開発が急務とされているのが実状である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記事情に鑑み、本発明の地盤改良装置は、既存構造物の支持地盤に対して液状化防止対策としての地盤改良を行うために用いるものであって、地盤中に挿入されて固化材を供給しつつ原位置土と攪拌混合する攪拌混合機と、該攪拌混合機を水平姿勢で上下方向および水平各方向に移動可能に保持して該攪拌混合機を既存構造物の周囲地盤に挿入しかつそこから既存構造物の下方地盤に進入せしめるベースマシンとを具備してなることを特徴とする。
本発明の地盤改良装置においては、攪拌混合機には、地盤中において後方に向かって伸張することにより、後方地盤から反力をとって攪拌混合機全体を前方に押し出すための前進用ジャッキを搭載することが好ましい。
さらに、ベースマシンの揺動アームに垂直アームを設けて、該垂直アームの下端部に攪拌混合機を回動自在に支持するとともに、攪拌混合機を回動させるための回動駆動源を具備することが好ましい。
【0008】
また、本発明の液状化防止工法は上記の地盤改良装置によって既存構造物の支持地盤に対して液状化防止対策としての地盤改良を行うものであって、既存構造物の周囲地盤に攪拌混合機を挿入してその先端部を既存構造物の下方地盤に進入せしめて、該攪拌混合機より既存構造物の外周部の下方地盤に対して固化材を供給するとともに原位置土と攪拌混合することにより、既存構造物の外周部の下方地盤に既存構造物の外形輪郭に沿う閉鎖環状の外殻改良ゾーンを形成することを特徴とする。
本発明の液状化防止工法においては、外殻改良ゾーンの形成に際しての固化材としてセメントないしセメント系固化材を用いることにより、外殻改良ゾーンをセメント改良ゾーンとして形成することが好ましく、さらにその場合においては外殻改良ゾーンの内側に薬液注入を行うことにより外殻改良ゾーンの内側にそれよりも相対的に低強度の内部改良ゾーンを形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の地盤改良装置によれば、攪拌混合機をベースマシンによって既存構造物の下方地盤に進入させることにより、既存構造物の周囲からの作業のみでその下方地盤に対して浅層混合処理工法による高強度の外殻改良ゾーンを容易に形成することが可能である。
特に、攪拌混合機に前進用ジャッキを搭載して後方地盤から反力をとって前進させる構成とすることにより、攪拌混合機を確実かつ容易に前進させて既存構造物の下方地盤に対する地盤改良を確実に行うことが可能である。
また、攪拌混合機をベースマシンの垂直アームの下端部に回動自在に設けることにより、攪拌混合機を鉛直姿勢とすることも可能であるので、浅層混合処理工法による通常の地盤改良装置と同様に使用することも可能である。
【0010】
本発明の液状化防止工法によれば、上記の地盤改良装置を用いて既存構造物の下方地盤に対して外殻改良ゾーンを形成することにより、従来の薬液注入による液状化防止工法に比べて自ずと高強度の外殻改良ゾーンを形成することができ、したがってその形成範囲を削減することもでき、大幅なコスト削減を実現することができる。
特に、固化材として自ずと高強度が得られかつ安価なセメントないしセメント系固化材を用いることにより、薬液注入による場合に比べて遙かに高強度のセメント改良ゾーンを形成できるし、固化材コストとその所要量も大幅に削減することができる。
また、外殻改良ゾーンの内部に薬液注入による内部改良ゾーンを形成することにより、既存構造物の下方地盤全体の液状化防止強度をより一層高めることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態を図1〜図5を参照して説明する。本実施形態は図1に示すように既存のタンク1の支持地盤である液状化層を対象としてその液状化防止対策としての地盤改良を行う場合の適用例であって、基本的には特許文献2に示される従来工法による場合(図12参照)と同様に、タンク1の外形輪郭に沿う環状の外殻改良ゾーン2を形成するものであるが、従来工法では外殻改良ゾーン2をタンク1の周囲からの薬液注入により行っていたのに対し、本実施形態では図2〜図5に示す地盤改良装置10を用いて浅層混合処理工法により外殻改良ゾーン2を形成するものとしており、しかも本実施形態ではそのための固化材としてセメント(セメントペーストあるいはセメントミルク)ないしセメント系固化材を用いることで外殻改良ゾーン2を充分に高強度なセメント改良ゾーンとして形成するものとしている。したがって本実施形態では従来工法に比べて遙かに高強度の外殻改良ゾーン2を形成できるものであり、かつその施工を遙かに容易にしかも低コストで行うことができるものとなっている。
なお、本実施形態においても、従来と同様に外殻改良ゾーン2の内側には薬液注入による内部改良ゾーン3を形成しており、そこでの改良率を70%程度と比較的低く設定しているが、後述するようにその内部改良ゾーン3は必ずしも形成することはなく、不要な場合には省略しても差し支えない。
【0012】
本実施形態の工法に用いる地盤改良装置10は、特許文献1に示される従来の地盤改良装置を基本とするものであって、図2に示すようにたとえばバックホウ等をベースマシン11としてその揺動アーム12に対して攪拌混合機(トレンチャ)13を装着したものであるが、従来の地盤改良装置は攪拌混合機13を鉛直姿勢で(つまり先端を下方に向けた状態として)として揺動アーム12の先端部に直接的に装着したものであるのに対し、本実施形態の地盤改良装置10では揺動アーム12の先端部に鉛直アーム14を揺動ジャッキ15により揺動可能に連結し、その鉛直アーム14の先端部(下端部)に、攪拌混合機13を常にほぼ水平姿勢(つまり先端を前方に向けた状態)となるようにしてその後端部を固定したものとなっている。
【0013】
本実施形態における攪拌混合機13は、基本的には従来のものと同様に、攪拌翼(図示せず)を取り付けた無端状のチェーン16を対のスプロケット17間に巻回して循環駆動するとともに、図示を略した固化材供給手段によって各種の固化材を地盤中に噴出状態で供給可能なものであり、地盤中に固化材を供給しつつチェーン16を循環駆動することによって固化材と原位置土とを効率的に攪拌混合し得るものである。
加えて、本実施形態の攪拌混合機13には、その後部に反力板18を備えた前進用ジャッキ19が搭載され、その前進用ジャッキ19を後方に伸張させることにより後方地盤から反力をとって攪拌混合機13の全体を前方に押し出すことができるものとなっている。
なお、攪拌混合機13の全長および前進用ジャッキ19のストロークは、形成するべき外殻改良ゾーン2の幅寸法d(図1、図5参照)や、後述する事前改良部20の幅寸法d(図2参照)を考慮して、外殻改良ゾーン2を効率的に形成し得るように設定すれば良いし、前進用ジャッキ19の所要ストロークが特に大きいような場合には必要に応じて多段伸張式ジャッキを採用すれば良い。
【0014】
上記構成の地盤改良装置10により外殻改良ゾーン2を形成する場合の施工手順を図2〜図5を参照して説明する。まず、準備工程として、図2に示すように攪拌混合機13を地盤に挿入するための事前改良部20をタンクの周囲に形成する。
その事前改良部20の形成は適宜行えば良いが、特許文献1に示される従来の地盤改良装置を用いて固化材(本実施形態ではセメントないしセメント系固化材)を原地盤に供給しつつ原位置土と攪拌混合することで行うと良く、それにより事前改良部20の粘度を攪拌混合機13を挿入可能な程度の充分に柔軟で半流動性を有する状態としておく。
なお、事前改良部20は最終的には攪拌混合機13により形成される外殻改良ゾーン2と一体となるものであり、その幅寸法dは少なくとも攪拌混合部13の全体を水平姿勢のままで挿入できる程度とし、その深さは少なくとも形成するべき外殻改良ゾーン2の底部に達する深度とする。
【0015】
事前改良部20を形成した後、図3に示すようにベースマシン11の操作により攪拌混合機13を事前改良部20内に挿入し、タンクの基礎1aよりも深い位置に達したら、前進用ジャッキ19を後方に伸張させて反力板18を事前改良部20の後方壁に押し付け、それにより攪拌混合機13全体を前進せしめてその先端を事前改良部20の前方壁に押し付ける。
そして、攪拌混合機13のチェーン16を循環駆動するとともに固化材としてのセメント(セメントペーストあるいはセメントミルク)ないしセメント系固化材を噴出させつつ、前進用ジャッキ19をさらに伸張させて攪拌混合機13の先端部をタンク1の下方地盤に進入させていき、これにより固化材を原位置土と攪拌混合する。その際、チェーン16の駆動方向は攪拌混合機13の先端部が地盤に容易に食い込んでいく方向(図示では半時計回り)に設定すると良い。
【0016】
図4に示すように前進用ジャッキ19を充分に伸張させて攪拌混合機13のほほぼ全長がタンク1の下方地盤中に進入したら、そのまま攪拌混合を継続しつつベースマシン11の操作により攪拌混合機13を徐々に降下させていく。
そして、図5に示すように攪拌混合機13が事前改良部20の底部(つまり形成するべき外殻改良ゾーン2の底部)まで達したら、この段階での作業が終了する。
そこで、前進用ジャッキ19を縮退させ、攪拌混合機13全体を事前改良部20の上部まで引き上げ、その位置をやや側方にずらしてから以上の作業を繰り返し、さらに以上の作業をタンク1の全周にわたって繰り返して、最終的には環状の外殻改良ゾーン2を隙間なく連続的に形成し、所定期間が経過して固化材が硬化すれば外殻改良ゾーン2の完成となる。なお、外殻改良ゾーン2の内部に内部改良ゾーン3を形成する場合には、外殻改良ゾーン2の形成後に、あるいはそれに相前後して、適宜の薬液注入工法により所望の改良率となるように実施すれば良い。
【0017】
本実施形態によれば、タンク1の周囲からの作業のみでその下方地盤に対して浅層混合処理工法による外殻改良ゾーン2を容易にかつ確実に形成することができるし、固化材としては自ずと充分な高強度が得られるセメントないしセメント系固化材を用いることができるから、それにより特許文献2に示されるような単なる薬液注入による従来の液状化防止工法に比べて遙かに高強度の外殻改良ゾーン2を形成することができる。したがって、本実施形態によれば外殻改良ゾーン2の形成範囲も削減することが可能であり、さらには外殻改良ゾーン2のみで充分な強度を確保できることから内部改良ゾーン3を省略することも可能であり、その結果、各種薬液に比較して安価な固化材であるセメントないしセメント系固化材の採用と、その固化材の所要量削減によるコスト削減のみならず、施工対象範囲の削減による施工軽減と工期短縮をも図ることもでき、以上のことから従来工法による場合に比べて大幅なコスト削減を実現することができる。
具体的な設計例を挙げて検討してみると、外径寸法が12〜15m程度の中規模のタンク1を対象とする場合、薬液注入による従来工法では図12に示したように改良率90%とする外殻改良ゾーン2の所要幅寸法dが5m程度は必要であるのに対し、本実施形態の工法では外殻改良ゾーン2を浅層混合処置工法によるセメント改良ゾーンとして形成することにより、その外殻改良ゾーン2の強度を10〜20倍にも高めることができることから、その所要幅寸法dを2.5m程度と半減させることができ、しかも固化材単価は1/3〜1/5程度で済み、全体として大幅なコスト削減を実現できることが確認されている。
【0018】
また、上記実施形態の液状化防止工法において使用する上記の地盤改良装置10は、基本的には特許文献1に示されるような従来の地盤改良装置を基本として、攪拌混合機13を鉛直アーム14の先端部にほぼ水平姿勢として装着したものであるので、従来のものに比べて格別に複雑な構成のものでも高度の制御を必要とするものでもない。
【0019】
以上で本発明の一実施形態を説明したが、以下に他の実施形態を示す。
図6〜図7は地盤改良装置10の他の構成例を示すものである。これは、上記実施形態の装置における攪拌混合機13を水平軸21により鉛直アーム14に対して鉛直面内において回動自在に軸支するとともに攪拌混合機13を回動させるための回動駆動源としての起倒用ジャッキ22を設けたものである。
この実施形態の地盤改良装置10による場合には、図6に示すように攪拌混合機13を鉛直姿勢(下向き)として事前改良部20に挿入した後に、図7に示すように起倒用ジャッキ22を操作して攪拌混合機13を水平姿勢とすることができ(その際にはチェーン16を循環駆動して図示方向に回転させることにより前方壁を掘削すれば良い)、以降は上記実施形態と同様の作業手順と全く同様である。これによれば、事前改良部20の幅寸法dを攪拌混合機13の全長よりも小さくすることができるし、前進用ジャッキ19の所要ストロークも小さくすることができる。さらに、攪拌混合機13を鉛直姿勢とした状態では特許文献1に示される従来の地盤改良装置と同様に機能するから、事前改良部20もこの地盤改良装置10自体で施工することが可能であるし、換言すれば事前改良部20を特に形成することなく、この地盤改良装置10で外殻改良ゾーン2の全体を施工することができる。
【0020】
図8〜図11は既存建物30の下方地盤への適用例である。
これらはいずれも既存建物30の外周部の下方地盤にその外形輪郭に沿う閉鎖環状(図示例では矩形枠状)の外殻改良ゾーン2を上記と同様の工法により形成するものであり、いずれも既存建物30の下方地盤の液状化を有効に防止できるばかりでなく、杭31に対する補強効果も得られて地震時における杭31の損傷を防止できる効果が得られるものである。
なお、これら場合も、原地盤の状況や要求される液状化強度、その他の諸条件を考慮して、必要であれば外殻改良ゾーン2の内部に薬液注入による内部改良ゾーン3を形成すれば良く、その内部改良ゾーン3の形成パターンとしては、たとえば図8に示すように外殻改良ゾーン2の内部全体に形成したり、図9に示すように杭31の位置を中心に格子状に形成したり、図10に示すように梯子状に形成することが考えられる。勿論、外殻改良ゾーン2のみで充分な液状化防止効果が得られる場合には、内部改良ゾーン3は不要であるので、図11に示すように外殻改良ゾーン2を形成するのみで内部改良ゾーンを省略すれば良い。
【0021】
なお、上記各実施形態のように外殻改良ゾーン2をセメントないしセメント系固化材によるセメント改良ゾーンとして形成することが強度のうえでもコストの点でも最も有利であり、そのようにすることが最適であるが、本発明はそれに限定されるべきものでもなく、所望強度の外殻改良ゾーン2を効率的に施工できる場合には他の固化材を使用することも妨げるものではない。
また、本発明は上記実施形態のように既存の石油タンクや既存建物のみならず様々な形態、規模、用途の構造物の下方地盤に対しても同様に適用できるものであるし、さらには地盤改良するべき対象地盤の上方に何らかの障害物があって直上からの作業が行えないような場合にも有効に適用可能である。
【0022】
さらに、本発明の地盤改良装置10の各部の具体的な構成、特に攪拌混合機13やベースマシン11の構成については上記実施形態に限定されるものでは勿論なく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、すなわち既存構造物の周囲からその下方地盤に攪拌混合機13を前進させていってそこで浅層混合処理工法により地盤改良を行うように構成する限りにおいて、様々な設計的変更が可能であることはいうまでもない。
たとえば、上記実施形態のように攪拌混合機13に前進用ジャッキ19を搭載して後方地盤から反力をとって攪拌混合機13を前進させる構成とすることにより、より確実かつ容易に前進させることが可能であるので、そのように構成することが好ましいが、ベースマシン11による操作のみで攪拌混合機13を前進させることも可能である場合には前進用ジャッキ19は必ずしも設けることはない。
また、図6〜図7に示した実施形態では攪拌混合機13を鉛直アームに対して鉛直面内において回動可能としたが、それに加えて、構成が若干複雑化することにはなるが、攪拌混合機13を水平面内においても(つまり全方向に)回動可能とすることも考えられるし、さらには攪拌混合機13をそれ自身の軸線廻りに回転可能に構成することも考えられ、そのようにすれば攪拌混合機を様々な姿勢とできるし、既存構造物の下方地盤において各方向(前後方向、上下方向、左右方向)に自由に移動させることも可能となり、より効率的な攪拌混合を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の液状化防止工法をタンクの下方地盤に適用した場合の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態である地盤改良装置によってタンクの下方地盤に外殻改良ゾーンを形成する工程を示すもので、事前改良部を施工した状態を示す図である。
【図3】同、攪拌混合機を事前改良部に挿入した状態を示す図である。
【図4】同、攪拌混合機をタンクの下方地盤に到達させた状態を示す図である。
【図5】同、攪拌混合機を事前改良部の底部まで降下させた状態を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態である地盤改良装置によってタンクの下方地盤に外殻改良ゾーンを形成する工程を示すもので、攪拌混合機を鉛直姿勢で事前改良部に挿入した状態を示す図である。
【図7】同、攪拌混合機を水平姿勢とした状態を示す図である。
【図8】本発明の液状化防止工法を既存建物の下方地盤に適用した場合の実施形態を示す図である。
【図9】同、他の実施形態を示す図である。
【図10】同、さらに他の実施形態を示す図である。
【図11】同、さらに他の実施形態を示す図である。
【図12】薬液注入によるタンクの下方地盤に対する従来の液状化防止工法の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 タンク(既存構造物)
1a 基礎
2 外殻改良ゾーン(セメント改良ゾーン)
3 内部改良ゾーン(薬液改良ゾーン)
10 地盤改良装置
11 ベースマシン
12 揺動アーム
13 攪拌混合機
14 鉛直アーム
15 揺動ジャッキ
16 チェーン
17 スプロケット
18 反力板
19 前進用ジャッキ
20 事前改良部
21 水平軸
22 起倒用ジャッキ(回動用ジャッキ)
30 既存建物(既存構造物)




 

 


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