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発明の名称 塔状構造物の変形抑制構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−138438(P2007−138438A)
公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
出願番号 特願2005−330539(P2005−330539)
出願日 平成17年11月15日(2005.11.15)
代理人 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
発明者 磯田 和彦
要約 課題
構造物本体にとりつく支柱部材の下端部が水平方向に変位、あるいは傾いてしまう場合でも支柱部材を鉛直方向に保持し、支柱部材より下部にある塔状構造物自体の曲げ変形による影響を最小限度に抑制する塔状構造物の変形抑制構造を提供すること。

解決手段
アンテナを支持する支柱部材30と、承け部材40を介して支柱部材30を頂部で支持する長尺状の鉄骨架構部22とを有した通信タワー(塔状構造物)(10)の頂部の変形を抑制する変形抑制構造において、承け部材40は、常態では鉄骨架構部22及び支柱部材30のそれぞれの中心軸(22a,30a)を鉛直方向の同一直線上に位置させる一方、鉄骨架構部22が水平方向に変位、あるいは傾いた場合には、鉄骨架構部22と支柱部材30との間で生ずるそれぞれの中心軸の相対的な変位を吸収するものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
対象物を支持する支柱部材と、承け部材を介して前記支柱部材を頂部で支持する長尺状の構造物本体とを有した塔状構造物頂部の変形を抑制する変形抑制構造において、
前記承け部材は、常態では前記構造物本体及び前記支柱部材のそれぞれの中心軸を鉛直方向の同一直線上に位置させる一方、前記構造物本体が水平方向に変位、あるいは傾いた場合には、前記構造物本体と前記支柱部材との間で生ずるそれぞれの中心軸の相対的な変位を吸収することを特徴とする塔状構造物の変形抑制構造。
【請求項2】
前記承け部材は、前記構造物本体が水平方向に変位、あるいは傾いた場合に、前記構造物本体の頂部との間で滑る第1滑面と、前記支柱部材との間で滑る第2滑面とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の塔状構造物の変形抑制構造。
【請求項3】
前記構造物本体の上端面は、外周部分から中心部分に向けて漸次くぼんでいく凹形の球面状をなし、
前記支柱部材に形成された支持面は、外周部分から中心部分に向けて漸次くぼんでいく凹形の球面状をなしており、
前記第1滑面は、外周部分から中心部分に向けて漸次下方に突出し、前記上端面と略等しい曲率を有する凸形の球面状をなしている一方、前記第2滑面は、外周部分から中心部分に向けて漸次上方に突出し、前記支持面と略等しい曲率を有する凸形の球面状をなしていることを特徴とする請求項2に記載の塔状構造物の変形抑制構造。
【請求項4】
前記構造物本体の上端面は、外周部分から中心部分に向けて漸次上方に突出する凸形の球面状をなし、
前記支柱部材に形成された支持面は、外周部分から中心部分に向けて漸次下方に突出する凸形の球面状をなしており、
前記第1滑面は、前記上端面と略等しい曲率を有し、かつ外周部分から中心部分に向けて漸次くぼんでいく凹形の球面状をなしている一方、前記第2滑面は、前記支持面と略等しい曲率を有し、かつ外周部分から中心部分に向けて漸次くぼんでいく凹形の球面状をなしていることを特徴とする請求項2に記載の塔状構造物の変形抑制構造。
【請求項5】
前記支柱部材は、下端部が前記承け部材に形成した貫通孔を貫通した態様で前記構造物本体の内部に進入し、減衰機構を介して支持してあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の塔状構造物の変形抑制構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、塔状構造物の変形抑制構造に関し、より詳細には、例えばテレビ、衛星通信、携帯電話等のアンテナを支持する塔状構造物頂部の変形を抑制する変形抑制構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アナログ通信からデジタル通信への転換、携帯電話をはじめとする携帯端末機器の普及等に伴い、より高周波まで信頼性の高い送受信施設が求められるようになってきている。例えば、テレビの地上波デジタル放送では、安定的な画質を保つためにはテレビ塔のアンテナの傾斜角を0.5°以内とするように厳しい条件が求められている。
【0003】
地震時や台風時にも通信施設は機能し続ける必要があり、通信施設の変形を小さくする、つまりアンテナの傾斜角を抑制するためにテレビ塔等の塔状構造物の剛性を大きくする必要があった。このため、通常の構造物のように応力から断面積の大きさを決めるのではなく、変形抑制のために塔状構造物の断面積を大きくしていた。特に大型の施設では、塔状構造物の曲げ変形を抑制するために断面積を大きくする必要があり、そのために比較的広大な設置面積が要求される結果、施設の設置場所を確保することが大きな問題となっていた。
【0004】
そのような問題を解消するために次のような塔状構造物が提案されている。すなわち、支柱部材(後述する文献では避雷針及び支柱)と、該支柱部材を支持する構造物本体(後述する文献では鉄塔)とを有して成る塔状構造物であって、支柱部材は、鉛直状態を保持したままで、下端部が構造物本体の内部に設けられたテーブル上で水平方向の力のみ伝達される態様で支持されるとともに、該構造物本体の上部に設けられた高減衰ゴム支承により結合されているものである。そのような塔状構造物では、地震や風等により生ずる水平力によって高減衰ゴム支承が剪断変形してエネルギー吸収を行い、支柱部材は鉛直状態を保持したままになり、塔状構造物自体の曲げ変形を最小限の大きさにすることができる(例えば、特許文献1参照)。このような塔状構造物であれば、設置面積を必要以上に大きくする必要がない。
【0005】
【特許文献1】特開2002−188321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献1に提案されているような塔状構造物では、支柱部材の下端部で回転を吸収できる機構を有しないために、地震等により生ずる水平振動には有効なものの、支柱部材の下端部で構造物が傾いてしまう場合には、支柱部材が傾斜し、結果的に、塔状構造物の曲げ変形が大きくなってしまう虞れがある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、構造物本体にとりつく支柱部材の下端部が水平方向に変位、あるいは傾いてしまう場合でも支柱部材を鉛直方向に保持し、支柱部材より下部にある塔状構造物自体の曲げ変形による影響を最小限度に抑制する塔状構造物の変形抑制構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る塔状構造物の変形抑制構造は、対象物を支持する支柱部材と、承け部材を介して前記支柱部材を頂部で支持する長尺状の構造物本体とを有した塔状構造物頂部の変形を抑制する変形抑制構造において、前記承け部材は、常態では前記構造物本体及び前記支柱部材のそれぞれの中心軸を鉛直方向の同一直線上に位置させる一方、前記構造物本体が水平方向に変位、あるいは傾いた場合には、前記構造物本体と前記支柱部材との間で生ずるそれぞれの中心軸の相対的な変位を吸収することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る塔状構造物の変形抑制構造は、上述した請求項1において、前記承け部材は、前記構造物本体が水平方向に変位、あるいは傾いた場合に、前記構造物本体の頂部との間で滑る第1滑面と、前記支柱部材との間で滑る第2滑面とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に係る塔状構造物の変形抑制構造は、上述した請求項2において、前記構造物本体の上端面は、外周部分から中心部分に向けて漸次くぼんでいく凹形の球面状をなし、前記支柱部材に形成された支持面は、外周部分から中心部分に向けて漸次くぼんでいく凹形の球面状をなしており、前記第1滑面は、外周部分から中心部分に向けて漸次下方に突出し、前記上端面と略等しい曲率を有する凸形の球面状をなしている一方、前記第2滑面は、外周部分から中心部分に向けて漸次上方に突出し、前記支持面と略等しい曲率を有する凸形の球面状をなしていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に係る塔状構造物の変形抑制構造は、上述した請求項2において、前記構造物本体の上端面は、外周部分から中心部分に向けて漸次上方に突出する凸形の球面状をなし、前記支柱部材に形成された支持面は、外周部分から中心部分に向けて漸次下方に突出する凸形の球面状をなしており、前記第1滑面は、前記上端面と略等しい曲率を有し、かつ外周部分から中心部分に向けて漸次くぼんでいく凹形の球面状をなしている一方、前記第2滑面は、前記支持面と略等しい曲率を有し、かつ外周部分から中心部分に向けて漸次くぼんでいく凹形の球面状をなしていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項5に係る塔状構造物の変形抑制構造は、上述した請求項1〜4のいずれか一つにおいて、前記支柱部材は、下端部が前記承け部材に形成した貫通孔を貫通した態様で前記構造物本体の内部に進入し、減衰機構を介して支持してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の発明によれば、承け部材が、常態では構造物本体及び支柱部材のそれぞれの中心軸を鉛直方向の同一直線上に位置させる一方、構造物本体が水平方向に変位、あるいは傾いた場合には、構造物本体と支柱部材との間で生ずるそれぞれの中心軸の相対的な変位を吸収するので、支柱部材を鉛直方向に保持し、支柱部材より下部にある塔状構造物自体の曲げ変形による支柱部材の傾きを最小限度に抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る塔状構造物の変形抑制構造の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
<実施の形態1>
図1〜図3は、それぞれ本発明の実施の形態1における変形抑制構造が適用された塔状構造物を示したものであり、図1は側面図であり、図2は要部を拡大して示した断面側面図であり、図3は図2の状態を模式的に示したモデル図である。ここに例示する塔状構造物は、地上600m程度の高さを有する大型の通信タワー10であり、タワー本体20と、支柱部材30とを有して構成してある。
【0016】
タワー本体20は、鉛直方向に沿って延在するものであり、頂部において支柱部材30を支持するものである。このタワー本体20は、鉄筋コンクリート(Reinforced Concrete)筒体(以下、RC筒体ともいう)21及び鉄骨架構部(構造物本体)22を有してなるものである。
【0017】
RC筒体21は、地下に埋設された地下基礎部11に立設したものであり、下部RC部21a、中部RC部21b及び上部RC部21cからなる。ここに下部RC部21aは、最下部分、例えば地上60m程度までを占める部分であり、最も強度が高い部分である。中部RC部21bは、下部RC部21aの上部側に位置する部分、例えば地上60m〜310mの間を占める部分であり、円筒状をなしている。上部RC部21cは、中部RC部21bの上部側に位置する部分、例えば地上310〜450mの間を占める部分であり、上方に向かうにつれて外径が漸次小さくなるテーパー状をなしている。
【0018】
鉄骨架構部22は、例えば鋼材等を加工して形成した長尺状(例えば70m)のものであり、RC筒体21(上部RC部21c)の上側に立設してある。つまり、通信タワー10の例えば地上450〜520mの間を占めている部分である。この鉄骨架構部22の頂部となる上端面23は、上方に開口する凹部の底面となっており、より詳細には、外周部分から中心部分に向けて漸次深く(下方側に)くぼんでいく凹形の球面状をなしている。この上端面23は平滑になっている。そして、この上端面23の中心部分、すなわち鉄骨架構部22の中心軸上に対応する部分には、円形に開口し、内部の空間に連通する開口孔24が形成してある。この開口孔24は、後述する支柱部材30の下端部の外径よりも大きい径を有している。また、鉄骨架構部22の内部空間は、図2に示すように、開口孔24の径よりも大きい幅を有してあり、適宜中間梁25が設けてある。
【0019】
支柱部材30は、例えば鋼材等を円柱状に加工したもので、通信タワー10の最も高所となる位置(地上520〜600m)に設置してあり、例えばアンテナ等の対象物を支持するアンテナ取付用架台である。この支柱部材30の略中間となる部分の周囲には、径外方向に突出する円板状の支持片31が設けてある。この支持片31の外径は、鉄骨架構部22の幅に略等しい大きさを有している。また、支持片31の下面となる支持面32は、下方に開口する凹部の底面となっており、より詳細には、外周部分から中心部分に向けて漸次深く(上方側に)くぼんでいく凹形の球面状をなしている。上記支柱部材30の下端部分には、例えばバッテリー等の重錘部材33が一体的に設けてある。
【0020】
そのような支柱部材30は、下端部がタワー本体20の鉄骨架構部22の開口孔24を通じて該鉄骨架構部22の内部に進入した状態で設置してある。より詳細に説明すると、支柱部材30は、承け部材40を介在させた状態で、下端部が鉄骨架構部22の内部に進入し、進入した下端部が、鉄骨架構部22の内部において上下(高さ方向)に別個に2つ設けたオイルダンパー等の減衰機構26を介して支持されている。つまり、鉄骨架構部22(タワー本体20)は、承け部材40を介して支柱部材30を頂部で支持している。この承け部材40について説明する。
【0021】
承け部材40は、既述のように、鉄骨架構部22と支柱部材30との間に介在するものであり、より詳細には、鉄骨架構部22の頂部と、支柱部材30の支持片31との間に介在するものである。この承け部材40は、上下方向の長さが短い略円柱状のものを加工してなる形態を有しており、外径は、支持片31の外径と略等しい大きさを有している。承け部材40の下面41は、外周部分から中心部分に向けて漸次下方に突出する凸形の球面状をなしている一方、上面42は、外周部分から中心部分に向けて漸次上方に突出する凸形の球面状をなし、承け部材40の形状は概略ソロバン玉のようになっている。ここに、承け部材40の下面41は、鉄骨架構部22の上端面23と略等しい曲率を有しており、承け部材40の上面42は、支持片31の支持面32と略等しい曲率を有している。このような承け部材40の上下面41,42には、それぞれ図には明示しない積層ゴム等のゴム部材(図3ではバネのような形態で示してある。)が設けてある。尚、図3における符号40aは、仮想支持点である。
【0022】
また、承け部材40には、その中心軸上に上下方向に沿って延在する貫通孔43が設けてある。この貫通孔43は、支柱部材30の下端部を貫通させるものであり、鉄骨架構部22の開口孔24と略等しい径を有し、支柱部材30の外径よりも大きい径を有している。
【0023】
そして、承け部材40は、支柱部材30の下端部に貫通孔43を貫通されて、鉄骨架構部22の上端面23と、支柱部材30の支持片31との間に介在することになるが、承け部材40の下面41は、鉄骨架構部22の上端面23と略等しい曲率を有するために、該下面41の最大突出部分が上端面23の最大くぼみ部分に一致する状態になる。つまり、承け部材40の中心軸と、鉄骨架構部22の中心軸とが鉛直方向の同一直線上に一致することになる。また、承け部材40の上面42は、支柱部材30の支持片31の下面41と略等しい曲率を有するために、該上面42の最大突出部分が下面41の最大くぼみ部分に一致する状態になる。つまり、承け部材40の中心軸と、支柱部材30の中心軸とが鉛直方向の同一直線上に一致することになる。
【0024】
このように承け部材40は、常態では、支柱部材30の下端部を貫通孔43に貫通させた状態で、図4に示すように鉄骨架構部22及び支柱部材30のそれぞれの中心軸22a,30aを鉛直方向の同一直線上に位置させている。
【0025】
そのような通信タワー10においては、地震等により水平振動が発生すると、タワー本体20が水平方向に変位することになる。タワー本体20が水平方向に変位すると、鉄骨架構部22も同じように水平方向に変位する。このような場合、承け部材40は、図5に示すように、下面41が第1滑面として鉄骨架構部22の上端面23との間で慣性により滑り、同時に上面42も第2滑面として支柱部材30の支持面32との間で慣性により滑る。つまり、承け部材40は、上下面41,42がそれぞれ対応する上端面23及び支持面32(ともに凹形球面状)と略等しい曲率を有する凸形球面状をなしていることから、支柱部材30の鉛直方向の重力成分を分散させずに、鉄骨架構部22の水平方向の変位により生じる力を打ち消す態様で滑る。これにより、承け部材40は、鉄骨架構部22と支柱部材30との間で鉄骨架構部22の水平方向の変位により生ずるそれぞれの中心軸22a,30aの相対的な変位を吸収する。その結果、支柱部材30をその中心軸30aが鉛直方向に延在する状態に保持することができる。
【0026】
また、地震等により水平振動が発生すると、タワー本体20の曲げ変形により鉄骨架構部22が傾くことになる。このような場合、承け部材40は、図6に示すように、下面41が第1滑面として鉄骨架構部22の上端面23との間で慣性により滑り、同時に上面42も第2滑面として支柱部材30の支持面32との間で慣性により滑る。つまり、承け部材40は、上下面41,42がそれぞれ対応する上端面23及び支持面32(ともに凹形球面状)と略等しい曲率を有する凸形球面状をなしていることから、支柱部材30の鉛直方向の重力成分を分散させずに、鉄骨架構部22の傾きにより生じる力を打ち消す態様で滑る。これにより、承け部材40は、鉄骨架構部22と支柱部材30との間で鉄骨架構部22の傾きにより生ずるそれぞれの中心軸22a,30aの相対的な変位を吸収する。その結果、支柱部材30をその中心軸30aが鉛直方向に延在する状態に保持することができる。
【0027】
そして、地震等による水平振動が終息して揺れが収まると、承け部材40は、重錘部材33の重力により、支柱部材30の鉛直方向の重力成分を分散させずに、下面41が鉄骨架構部22の上端面23との間で滑り、同時に上面42も支柱部材30の支持面32との間で滑り、支柱部材30を原位置に復元させることができる。
【0028】
以上説明したように、本発明の実施の形態1における変形抑制構造によれば、承け部材40が、常態では鉄骨架構部22(タワー本体20)及び支柱部材30のそれぞれの中心軸22a,30aを鉛直方向の同一直線上に位置させる一方、鉄骨架構部22が水平方向に変位、あるいは傾いた場合には、鉄骨架構部22と支柱部材30との間で生ずるそれぞれの中心軸22a,30aの相対的な変位を吸収するので、支柱部材30を鉛直方向に沿って配置することができ、これにより、地震等により生ずる水平振動で生じる通信タワー10自体の曲げ変形による支柱部材30の傾きを最小限度に抑制することができる。
【0029】
上記変形抑制構造によれば、支柱部材30の下端部分には重錘部材33が一体的に設けてあるので、地震等による水平振動が終息して揺れが収まると、承け部材40は、重錘部材33の重力により、支柱部材30の鉛直方向の重力成分を分散させずに、下面41が鉄骨架構部22の上端面23との間で滑り、同時に上面42も支柱部材30の支持面32との間で滑り、支柱部材30を原位置に復元させることができ、これにより、通信タワー10自体の残留変形が生ずる虞れがない。また、この重錘部材33の配設位置と、承け部材40との距離をさらに大きくすると、水平振動により生ずる揺れの長周期化を図ることができ、これにより地震等による応答(揺れ)を小さくすることが可能になる。
【0030】
また、変形抑制構造によれば、承け部材40の上下面41,42にゴム部材を設けてあるので、地震等による水平振動が発生した場合にゴム部材が変形して、承け部材40にかかる衝撃を緩和させることができる。
【0031】
さらに、変形抑制構造によれば、支柱部材30の下端部を減衰機構26を介して支持してあるので、振動系の減衰を増加させて水平振動により生ずる支柱部材30の応答変位を小さくすることができ、また地震等による水平振動が終息した場合に振動を速やかに収束させることができる。特に、減衰機構26を上下に別個に2つ設けて支持しているので、鉄骨架構部22が水平方向に変位、あるいは傾いたことによる支柱部材30の相対的な変位を同時に制御することができる。そして、コンピュータ制御で減衰機構26をアクティブ(能動的)にコントロールすることで、支柱部材30の応答変位をより低減することもできる。
【0032】
<実施の形態2>
図7及び図8は、それぞれ本発明の実施の形態2における変形抑制構造が適用された塔状構造物を示したものであり、図7は要部を拡大して示した断面側面図であり、図8は図7の状態を模式的に示したモデル図である。尚、上述した実施の形態1における塔状構造物(通信タワー)と同一の構成を有するものには同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0033】
図7及び図8において、通信タワーは、タワー本体20′と、支柱部材30′とを有して構成してある。
【0034】
タワー本体20′は、鉛直方向に沿って延在するものであり、頂部において支柱部材30′を支持するものである。このタワー本体20′は、RC筒体21及び鉄骨架構部22′を有してなるものである。
【0035】
鉄骨架構部22′は、例えば鋼材等を加工して形成した長尺状(例えば70m)のものであり、RC筒体21(上部RC部21c)の上側に立設してある。つまり、通信タワーの例えば地上450〜520mの間を占めている部分である。この鉄骨架構部22′の頂部となる上端面23′は、外周部分から中心部分に向けて漸次上方に突出する凸形の球面状をなしている。この上端面23′は平滑になっている。そして、この上端面23′の中心部分、すなわち鉄骨架構部22′の中心軸上に対応する部分には、円形に開口し、内部の空間に連通する開口孔24が形成してある。この開口孔24は、後述する支柱部材30′の下端部の外径よりも大きい径を有している。また、鉄骨架構部22′の内部空間は、図7に示すように、開口孔24の径よりも大きい幅を有してあり、適宜中間梁25が設けてある。
【0036】
支柱部材30′は、例えば鋼材等を円柱状に加工したもので、通信タワーの最も高所となる位置(地上520〜600m)に設置してあり、例えばアンテナ等の対象物を支持するアンテナ取付用架台である。この支柱部材30′の略中間となる部分の周囲には、径外方向に突出する円板状の支持片31′が設けてある。この支持片31′の外径は、鉄骨架構部22′の幅に略等しい大きさを有している。また、支持片31′の下面となる支持面32′は、外周部分から中心部分に向けて漸次下方に突出する凸形の球面状をなしている。
【0037】
そのような支柱部材30′は、下端部がタワー本体20′の鉄骨架構部22′の開口孔24を通じて該鉄骨架構部22′の内部に進入した状態で設置してある。より詳細に説明すると、支柱部材30′は、承け部材50を介在させた状態で、下端部が鉄骨架構部22′の内部に進入し、進入した下端部が、鉄骨架構部22′の内部において上下(高さ方向)に別個に2つ設けたオイルダンパー等の減衰機構26を介して支持されている。つまり、鉄骨架構部22′(タワー本体20′)は、承け部材50を介して支柱部材30′を頂部で支持している。この承け部材50について説明する。
【0038】
承け部材50は、既述のように、鉄骨架構部22′と支柱部材30′との間に介在するものであり、より詳細には、鉄骨架構部22′の頂部と、支柱部材30′の支持片31′との間に介在するものである。この承け部材50は、上下方向の長さが短い略円柱状となるものを加工してなる形態を有しており、外径は、支持片31′の外径と略等しい大きさを有している。承け部材50の下面51は、下方に開口する凹部の底面となっており、より詳細には、外周部分から中心部分に向けて漸次深く(上方側に)くぼんでいく凹形の球面状をなしている。その一方、上面52は、上方に開口する凹部の底面となっており、より詳細には、外周部分から中心部分に向けて漸次深く(下方側に)くぼんでいく凹形の球面状をなしている。ここに、承け部材50の下面51は、鉄骨架構部22′の上端面23′と略等しい曲率を有しており、承け部材50の上面52は、支持片31′の支持面32′と略等しい曲率を有している。このような承け部材50の上下面51,52には、それぞれ図には明示しない積層ゴム等のゴム部材(図8ではバネのような形態で示してある。)が設けてある。尚、図8における符号50aは、仮想支持点である。
【0039】
また、承け部材50には、その中心軸上に上下方向に沿って延在する貫通孔53が設けてある。この貫通孔53は、支柱部材30′の下端部を貫通させるものであり、鉄骨架構部22′の開口孔24と略等しい径を有し、支柱部材30′の外径よりも大きい径を有している。
【0040】
そして、承け部材50は、支柱部材30′の下端部に貫通孔53を貫通されて、鉄骨架構部22′の上端面23′と、支柱部材30′の支持片31′との間に介在することになるが、承け部材50の下面51は、鉄骨架構部22′の上端面23′と略等しい曲率を有するために、該下面51の最大くぼみ部分が上端面23′の最大突出部分に一致する状態になる。つまり、承け部材50の中心軸と、鉄骨架構部22′の中心軸とが鉛直方向の同一直線上に一致することになる。また、承け部材50の上面52は、支柱部材30′の支持面32′と略等しい曲率を有するために、該上面52の最大くぼみ部分が支持面32′の最大突出部分に一致する状態になる。つまり、承け部材50の中心軸と、支柱部材30′の中心軸とが鉛直方向の同一直線上に一致することになる。
【0041】
このように承け部材50は、常態では、支柱部材30′の下端部を貫通孔53に貫通させた状態で、図9に示すように鉄骨架構部22′及び支柱部材30′のそれぞれの中心軸22b,30bを鉛直方向の同一直線上に位置させている。
【0042】
そのような通信タワーにおいては、地震等により水平振動が発生すると、タワー本体20′が水平方向に変位することになる。タワー本体20′が水平方向に変位すると、鉄骨架構部22′も同じように水平方向に変位する。このような場合、承け部材50は、図10に示すように、下面51が第1滑面として鉄骨架構部22′の上端面23′との間で慣性により滑り、同時に上面52も第2滑面として支柱部材30′の支持面32′との間で慣性により滑る。つまり、承け部材50は、上下面51,52がそれぞれ対応する上端面23′及び支持面32′(ともに凸形球面状)と略等しい曲率を有する凹形球面状をなしていることから、支柱部材30′の鉛直方向の重力成分を分散させずに、鉄骨架構部22′の水平方向の変位により生じる力を打ち消す態様で滑る。これにより、承け部材50は、鉄骨架構部22′と支柱部材30′との間で鉄骨架構部22′の水平方向の変位により生ずるそれぞれの中心軸22b,30bの相対的な変位を吸収する。その結果、支柱部材30′をその中心軸30bが鉛直方向に延在する状態に保持することができる。
【0043】
また、地震等により水平振動が発生すると、タワー本体20′の曲げ変形により鉄骨架構部22′が傾くことになる。このような場合、承け部材50は、図11に示すように、下面51が第1滑面として鉄骨架構部22′の上端面23′との間で慣性により滑り、同時に上面52も第2滑面として支柱部材30′の支持面32′との間で慣性により滑る。つまり、承け部材50は、上下面51,52がそれぞれ対応する上端面23′及び支持面32′(ともに凸形球面状)と略等しい曲率を有する凹形球面状をなしていることから、支柱部材30′の鉛直方向の重力成分を分散させずに、鉄骨架構部22′の傾きにより生じる力を打ち消す態様で滑る。これにより、承け部材50は、鉄骨架構部22′と支柱部材30′との間で鉄骨架構部22′の傾きにより生ずるそれぞれの中心軸22b,30bの相対的な変位を吸収する。その結果、支柱部材30′をその中心軸30bが鉛直方向に延在する状態に保持することができる。
【0044】
そして、地震等による水平振動が終息して揺れが収まると、承け部材50は、重錘部材33の重力により、支柱部材30′の鉛直方向の重力成分を分散させずに、下面51が鉄骨架構部22′の上端面23′との間で滑り、同時に上面52も支柱部材30′の支持面32′との間で滑り、支柱部材30′を原位置に復元させることができる。
【0045】
以上説明したように、本発明の実施の形態2における変形抑制構造によれば、承け部材50が、常態では鉄骨架構部22′(タワー本体20′)及び支柱部材30′のそれぞれの中心軸22b,30bを鉛直方向の同一直線上に位置させる一方、鉄骨架構部22′が水平方向に変位、あるいは傾いた場合には、鉄骨架構部22′と支柱部材30′との間で生ずるそれぞれの中心軸22b,30bの相対的な変位を吸収するので、支柱部材30′を鉛直方向に沿って配置することができ、これにより、地震等により生ずる水平振動で生じる通信タワー自体の曲げ変形による支柱部材30′の傾きを最小限度に抑制することができる。
【0046】
上記変形抑制構造によれば、支柱部材30′の下端部分には重錘部材33が一体的に設けてあるので、地震等による水平振動が終息して揺れが収まると、承け部材50は、重錘部材33の重力により、支柱部材30′の鉛直方向の重力成分を分散させずに、下面51が鉄骨架構部22′の上端面23′との間で滑り、同時に上面52も支柱部材30′の支持面32′との間で滑り、支柱部材30′を原位置に復元させることができ、これにより、通信タワー自体の残留変形が生ずる虞れがない。また、この重錘部材33の配設位置と、承け部材50との距離をさらに大きくすると、水平振動により生ずる揺れの長周期化を図ることができ、これにより地震等による応答(揺れ)を小さくすることが可能になる。
【0047】
また、変形抑制構造によれば、承け部材50の上下面51,52にゴム部材を設けてあるので、地震等による水平振動が発生した場合にゴム部材が変形して、承け部材50にかかる衝撃を緩和させることができる。
【0048】
さらに、変形抑制構造によれば、支柱部材30′の下端部を減衰機構26を介して支持してあるので、振動系の減衰を増加させて水平振動により生ずる支柱部材30′の応答変位を小さくすることができ、また地震等による水平振動が終息した場合に振動を速やかに収束させることができる。特に、減衰機構26を上下に別個に2つ設けて支持しているので、鉄骨架構部22′が水平方向に変位、あるいは傾いたことによる支柱部材30′の相対的な変位を同時に制御することができる。そして、コンピュータ制御で減衰機構26をアクティブ(能動的)にコントロールすることで、支柱部材30′の応答変位をより低減することもできる。
【0049】
以上本発明の好適な実施の形態1及び実施の形態2について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。例えば、上述の実施の形態1及び実施の形態2では、オイルダンパー等の減衰機構26を用いて支柱部材30,30′を減衰させるようにしていたが、本発明では、支柱部材(アンテナ)の変形(傾斜角)をセンサにて検知し、オイルダンパーを制御するようにしても良い。
【0050】
また、本発明では、アンテナを含めた支柱部材、より詳細には鉄骨架構部より上方に突出する部分を、タワー本体のみに固定された風よけ用のカバー部材で覆うようにしても良い。このような構成によれば、例えば台風時などの風による影響を排除することができ、地震対応のみを変形抑制対象とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明に係る塔状構造物の変形抑制構造は、例えばテレビ、衛星通信、携帯電話等のアンテナを支持する塔状構造物に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態1における変形抑制構造が適用された塔状構造物を示した側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における変形抑制構造が適用された塔状構造物の要部を拡大して示した断面側面図である。
【図3】図2の状態を模式的に示したモデル図である。
【図4】図2における鉄骨架構部、支柱部材及び承け部材を模式的に示した模式図である。
【図5】図2における鉄骨架構部、支柱部材及び承け部材を模式的に示した模式図である。
【図6】図2における鉄骨架構部、支柱部材及び承け部材を模式的に示した模式図である。
【図7】本発明の実施の形態2における変形抑制構造が適用された塔状構造物の要部を拡大して示した断面側面図である。
【図8】図7の状態を模式的に示したモデル図である。
【図9】図7における鉄骨架構部、支柱部材及び承け部材を模式的に示した模式図である。
【図10】図7における鉄骨架構部、支柱部材及び承け部材を模式的に示した模式図である。
【図11】図7における鉄骨架構部、支柱部材及び承け部材を模式的に示した模式図である。
【符号の説明】
【0053】
10 通信タワー
11 地下基礎部
20,20′ タワー本体
21 RC筒体
21a 下部RC部
21b 中部RC部
21c 上部RC部
22 鉄骨架構部
23 上端面
24 開口孔
25 中間梁
26 減衰機構(ダンパー)
30,30′ 支柱部材
31,31′ 支持片
32,32′ 支持面
40,50 承け部材
41,51 下面
42,52 上面
43,53 貫通孔




 

 


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