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発明の名称 回転機構および掘削機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−100421(P2007−100421A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−292779(P2005−292779)
出願日 平成17年10月5日(2005.10.5)
代理人 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
発明者 磯田 和彦
要約 課題
駆動系の回転ぶれや振動を低減し、駆動系のコストを低減した上で長円形状の軌跡を得る。

解決手段
固定中心線Pを中心とした外周部311を有する固定の中心軸31と、固定中心線に平行な移動中心線Gを中心とした内周部321および外周部322を有して環状に形成してその内周部を中心軸の外周部に当接係合した環状軸32と、固定中心線を中心とした内周部331を有して環状に形成して当該内周部を環状軸の外周部に当接係合して固定中心線を中心に回転可能に設けた回転軸33と、移動中心線を中心に環状軸を回転可能に支持して環状軸の外周部と回転軸の内周部との係合および中心軸の外周部と環状軸の内周部との係合を保持する保持部材34と、回転軸を回転駆動する駆動部と、移動中心線上に中心を置いたルーロー三角形状の範囲内の少なくとも中心と頂点Tとを結ぶ延長線に沿って環状軸に設けた羽根部材21(掘削カッタ2)とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
所定の固定中心線を中心とした外周部を有する固定の中心軸と、
前記固定中心線に平行な所定の移動中心線を中心とした内周部および外周部を有して環状に形成してあってその内周部を前記中心軸の外周部に当接係合した環状軸と、
前記固定中心線を中心とした内周部を有して環状に形成してあり当該内周部を前記環状軸の外周部に当接係合して固定中心線を中心に回転可能に設けた回転軸と、
前記移動中心線を中心に前記環状軸を回転可能に支持して当該環状軸の外周部と前記回転軸の内周部との係合および前記中心軸の外周部と前記環状軸の内周部との係合を保持する保持部材と、
前記回転軸を回転駆動する駆動部と、
前記移動中心線上に中心を置いたルーロー三角形状の範囲内の少なくとも中心と頂点とを結ぶ延長線に沿って前記環状軸に設けた羽根部材と
を備えたことを特徴とする回転機構。
【請求項2】
前記中心軸の中心から前記環状軸の中心に至る距離を[r]として、前記中心軸の外周部の直径を[4r]、前記環状軸の内周部の直径を[6r]、および前記羽根部材をなすルーロー三角形の中心と頂点とを結ぶ延長線を[7.5r]以上と設定したことを特徴とする請求項1に記載の回転機構。
【請求項3】
前記保持部材は、前記固定中心線を中心として延在した支軸を前記中心軸に設けた軸孔に対して回転可能に挿通支持してあり、かつ、前記支軸には、前記羽根部材との干渉を避ける態様で他の羽根部材を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の回転機構。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の回転機構を用いて、
前記中心軸および回転軸を支持するとともに前記駆動部を内部に配置した筒状の胴部と、
前記羽根部材にカッタを配設した掘削カッタと
を備えたことを特徴とする掘削機。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、長円形状の軌跡をなす回転機構、および当該回転機構を用いて地盤などを掘削する掘削機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な掘削機は、回転機構によってカッタヘッドを回転させて当該カッタヘッドで地盤を掘削するものが知られている。このような掘削機は、カッタヘッドが所定の中心を以て回転することから必然的に断面形状が円形になる。しかし、鉄道や道路などのトンネル利用空間においては、断面形状が非円形状であることが多く、上記円形の掘削断面内に非円形状とした鉄道や道路などの空間を構築する。このため、利用空間以上の掘削を行うことになるので、用地面積が多く必要となることに加えて建設費が嵩むという問題がある。
【0003】
従来、例えばルーロー三角形なるルーロー三角形回転体に切削用バイトを設け、当該ルーロー三角形回転体を回転することで、被加工物に正方形状の穴明けを行う正方形穴明け加工装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
他に、加工部材をその中心周りに回転自在に加工部材自転支持装置に取り付け、当該加工部材自転支持装置を加工部材公転支持装置に取り付けた掘削機がある。加工部材には、中心と同芯状のほぼ正三角形の各頂点とその内方に掘削刃を設けて掘削作用面が形成してある。加工部材自転支持装置は、加工部材を前記正三角形の一辺の((1/2)/cos30°−(1/2))倍の半径で中心が回転するように加工部材公転支持装置に取り付けてある。そして、加工部材を自転させながらその自転方向とは逆の方向に3倍公転させる駆動手段を設けてある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また他に、正三角形の各頂点を中心とし、その一辺の長さを半径とする円弧を各対辺の外側に描き、これらの3つの円弧により囲まれたルーロー三角形を外形とするカッタを、矩形状スキンプレートの中心軸の回りに公転させながら自転させて掘削する矩形シールド工法がある。スキンプレートの中心軸に対するカッタの回転軸の偏心距離は、(L/2)/cos30°−(L/2)を満足するように設定してある(L:ルーロー三角形の頂点間の距離)。また、カッタの公転数は自転数の3倍で、公転方向と自転方向が逆方向である(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
さらに、掘削断面の円形中心部を主カッタが掘削し、その外周部を複数の遊星カッタが掘削する自由断面シールド工法がある。遊星カッタは、主カッタの回転につれて主カッタの外周部を自転しながら公転する。この公転軌道は、遊星カッタを設置したスイングアームの角度調整によって任意に変えることができる。この結果、矩形、楕円形、馬蹄形、卵形など様々な掘削断面形状を選択できる(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平11−267950号公報
【特許文献2】特開平1−158196号公報
【特許文献3】特許第2926125号公報
【非特許文献1】シールド工法技術協会、“自由断面シールド工法”、[online]、平成17年9月16日検索、インターネット<URL: HYPERLINK "http://www.shield-method.gr.jp/pdf_data/jiyu.pdf" http://www.shield-method.gr.jp/pdf_data/jiyu.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ルーロー三角形を利用して非円形状である略矩形状に掘削を行う場合には、ルーロー三角形をその重心を中心として回転させ、かつルーロー三角形の重心を正方形の中心の周りに公転させる必要がある。
【0009】
特許文献1の発明は、モータのトルクを伝達する軸と、ルーロー三角形回転体の重心の軸とを自在継手で連結してある。しかし、この構成では駆動伝達系に回転ぶれや振動が生じることになり、さらに大きなトルクが必要となる掘削機では自在継手は高価であり製造コストが嵩む。
【0010】
特許文献2の発明では、モータからのトルクをクランク軸によって加工部材に伝達して公転装置を構成してある。しかし、クランクさせることによって回転軸部材にせん断力や曲げモーメントが生じて回転ぶれや振動の原因となる。
【0011】
特許文献3の発明は、矩形状スキンプレートの中心に公転駆動盤を設けてこの公転駆動盤にカッタ回転軸を設けてある。そして、公転駆動盤を回転させるモータと、カッタ回転軸を回転させるモータを設けてある。しかし、カッタ回転軸を回転させるモータは、公転駆動盤に設けてあるため、配線や配管の処理を十分検討して設計する必要がある。さらに、各モータの回転数や回転方向を調整してそれぞれ同期させる必要がある。この結果、設計コストが嵩むことになる。
【0012】
このように、ほぼ矩形状の軌跡をなすためにルーロー三角形の原理を利用した回転機構についての出願はあるものの、いずれも円滑な駆動を実現するものではない。また、大きなトルクが必要である掘削機においては、正方形枠は掘削孔内で大きなスペースを要することから正方形枠のない機構が望まれている。さらに、矩形状の掘削に限らず矩形状を含む多角形状の軌跡をなす回転機構、および当該回転機構を用いた掘削機を実現するものはない。
【0013】
また、非特許文献1の工法は、主カッタの回転につれて主カッタの外周部を自転しながら公転する複数の遊星カッタを得るために、スイングアームを用いた複雑な構成にしてある。この結果、設計コストが嵩むという問題がある。
【0014】
本発明は、上記実情に鑑みて、駆動系の回転ぶれや振動を低減するとともに駆動系や設計コストを低減した上で非円形状の軌跡をなす回転機構、および当該回転機構を用いて非円形状の断面の掘削を実現することができる掘削機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る回転機構は、所定の固定中心線を中心とした外周部を有する固定の中心軸と、前記固定中心線に平行な所定の移動中心線を中心とした内周部および外周部を有して環状に形成してあってその内周部を前記中心軸の外周部に当接係合した環状軸と、前記固定中心線を中心とした内周部を有して環状に形成してあり当該内周部を前記環状軸の外周部に当接係合して固定中心線を中心に回転可能に設けた回転軸と、前記移動中心線を中心に前記環状軸を回転可能に支持して当該環状軸の外周部と前記回転軸の内周部との係合および前記中心軸の外周部と前記環状軸の内周部との係合を保持する保持部材と、前記回転軸を回転駆動する駆動部と、前記移動中心線上に中心を置いたルーロー三角形状の範囲内の少なくとも中心と頂点とを結ぶ延長線に沿って前記環状軸に設けた羽根部材とを備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項2に係る回転機構は、上記請求項1において、前記中心軸の中心から前記環状軸の中心に至る距離を[r]として、前記中心軸の外周部の直径を[4r]、前記環状軸の内周部の直径を[6r]、および前記羽根部材をなすルーロー三角形の中心と頂点とを結ぶ延長線を[7.5r]以上と設定したことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項3に係る回転機構は、上記請求項1または2において、前記保持部材は、前記固定中心線を中心として延在した支軸を前記中心軸に設けた軸孔に対して回転可能に挿通支持してあり、かつ、前記支軸には、前記羽根部材との干渉を避ける態様で他の羽根部材を設けたことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項4に係る掘削機は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の回転機構を用いて、前記中心軸および回転軸を支持するとともに前記駆動部を内部に配置した筒状の胴部と、前記羽根部材にカッタを配設した掘削カッタとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、駆動部の駆動力を回転軸に伝達することによって、回転軸が固定中心線を中心として回転する。すると、回転軸の内周部に係合する環状軸が移動中心線を中心として回転軸と同方向に回転する。さらに、移動中心線を中心として回転する環状軸は、その内周部が中心軸の外周部に係合しているため、当該中心軸の外周部に沿って固定中心線の周りに回転軸と同方向に輪転運動(公転)することになる。このため、環状軸に設けた羽根部材は、環状軸の輪転運動に伴って自転および公転移動する。移動する羽根部材の先端は、非円形状である長円形状の軌跡をなす。そして、羽根部材にカッタを配設した掘削カッタを備えた掘削機とすれば、長円形状の掘削孔を掘削することができる。この掘削孔は、一般的な断面円形の掘削孔と比較して、不要な空間を掘削せずに利用空間のみの掘削で得られるため、必要以上の用地面積を要さないことに加えて建設費を低減することができる。
【0020】
また、上記回転機構は、回転軸が固定中心線を中心として回転駆動され、かつ、環状軸が回転軸の回転に伴って保持部材に保持された形態で移動中心線を中心として回転しつつ固定中心線を中心として公転する。この結果、回転軸が固定中心線上でその軸心がずれることなく回転するため、回転ぶれや振動を低減することができる。また、環状軸が回転軸の回転に伴って保持部材に保持された形態で移動中心線を中心として回転しつつ固定中心線を中心として公転するため、環状軸の自転および公転移動に際して従前の自在継手を要することがないので、自在継手に係るコストを低減することができる。
【0021】
また、上記回転機構は、羽根部材(掘削カッタ)を設けた環状軸を、保持部材によって保持した形態で公転および自転させる構成である。このため、従前のほぼ正方形状の軌跡をなすようにルーロー三角形の外幅を一辺とする正方形枠にルーロー三角形状の軸を支持して回転させる必要がない。すなわち、枠体が必要ない。このため、掘進した掘削孔の断面形状に対して、掘削機の胴部の前面視の輪郭を小さく形成することが可能になる。この結果、掘削カッタが先行して掘進した掘削孔に胴部が通過できるので、掘削断面が長円形状の掘削孔Hの掘進を行う掘削機を得ることが可能になる。
【0022】
また、上記回転機構は、羽根部材を設けた環状軸を、保持部材によって保持した形態で公転および自転させる構成で非円形状である長円形状の軌跡を得る。このため、従前のごとくスイングアームを用いた複雑な構成にすることがなく、製造コストを低減することができる。すなわち、上記回転機構は、簡素な機構で非円形状である長円形状の軌跡を得ることができる。そして、羽根部材にカッタを配設した掘削カッタを備えた掘削機とすれば、簡素な機構で非円形状断面である長円形状断面の掘削孔を掘進できるため、故障が起こり難く信頼性が向上するので、掘進長さに応じたコストを低減することができる。
【0023】
また、上記回転機構は、中心軸および回転軸の中心(固定中心線)から環状軸の中心(移動中心線)に至る偏心量を[r]とし、中心軸の内周部の直径を[4r]、環状軸の外周部の直径を[6r]、および羽根部材を配置するルーロー三角形の中心(移動中心線)と頂点とを結ぶ延長線Lを[L≧7.5r]と設定してある。この結果、適宜長円形状断面の軌跡を得ることができる。
【0024】
また、上記回転機構は、保持部材が、固定中心線を中心として延在した支軸を中心軸に設けた軸孔に対して回転可能に挿通支持してあり、かつ、支軸には、羽根部材との干渉を避ける態様で他の羽根部材を設けてある。この結果、羽根部材に先行して他の羽根部材による円形状の軌跡を得ることができる。そして、羽根部材にカッタを配設した掘削カッタを備えた掘削機とすれば、長円形状断面の掘削孔を掘削する前に円形状の補助掘削孔を掘削することができる。また、掘削孔を掘削する前に削岩が可能になり掘削の負荷を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る回転機構および掘削機の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0026】
図1は本発明に係る回転機構を用いた掘削機の実施の形態を示す概略側断面図、図2は図1に示す回転機構を軸方向(前方向)から視た概念図、図3は図1に示す回転機構の分解斜視図である。
【0027】
図1〜図3に示すように掘削機は、胴部1と掘削カッタ2とを備えている。胴部1は、掘削カッタ2を支持しつつ掘削カッタ2を駆動するものであって、掘削機の外郭をなし、筒状とした内部に回転機構3を有している。
【0028】
回転機構3は、中心軸31、環状軸32、回転軸33、保持部材34、駆動部35および羽根部材21を有している。
【0029】
中心軸31は、胴部1に固定してあり、胴部1の前後方向に沿って配置した所定の固定中心線Pを中心とした外周部311を有して円柱形状に形成してある。
【0030】
環状軸32は、固定中心線Pと平行にして胴部1の前後方向に沿って配置した所定の移動中心線Gを中心とした内周部321および外周部322を有してほぼ円環状に形成してある。この環状軸32は、中心軸31を内装し、内周部321を中心軸31の外周部311に対して当接係合してある。なお、環状軸32は、内周部321および外周部322を一体に有した環状体、あるいは内周部321を有した管体と外周部322を有した管体とを組み合わせた構成とすることができる。
【0031】
回転軸33は、中心軸31の固定中心線Pを回転中心として回転可能に胴部1に支持してある。回転軸33は、固定中心線Pを中心とする内周部331を有して環状に形成してあり、その内周部331を環状軸32の外周部322に当接係合してある。
【0032】
保持部材34は、環状軸32の内周とほぼ同じ外周を有して所定厚さの円板状に形成してあり、環状軸32の内周に摺接して移動中心線Gを中心に回転する態様で環状軸32に内装してある。また、保持部材34には、固定中心線Pを中心として中心軸31の外周とほぼ同じ内周を有した挿通孔341が偏心して設けてある。この挿通孔341は、中心軸31に対して回転可能に挿通してある。このため、保持部材34は、移動中心線Gを中心に環状軸32を回転可能に支持することになり、当該環状軸32の外周部322と回転軸33の内周部331との係合、および中心軸31の外周部311と環状軸32の内周部321との係合を常に保持する。
【0033】
駆動部35は、回転軸33を回転させるものであり、例えばモータなど胴部1に設けた駆動源からなる。駆動部35は、固定中心線Pおよび移動中心線Gに平行する出力軸の外周部351を回転軸33の内周部331に当接係合してある。なお、駆動部35は、図には明示しないが駆動源と出力軸との間に適宜減速機構を有していてもよい。
【0034】
なお、中心軸31と環状軸32との係合、環状軸32と回転軸33との係合、回転軸33と駆動部35との係合には、例えば歯車の噛合による係合がある。あるいは、高摩擦材などを介して接触滑りが防止された係合であってもよい。
【0035】
掘削カッタ2は、胴部1の前側に延出した環状軸32の前端に設けてある羽根部材21からなる。羽根部材21は、移動中心線G上に中心(重心)を置いた仮想ルーロー三角形状の範囲内であって、少なくとも中心(移動中心線G)と頂点(T)とを結ぶ延長線(必ずしも直線でなくてもよい)に沿って配置してある。そして、羽根部材21の前面に掘削ビット(図示せず)を設けることによって掘削カッタ2が構成される。ルーロー三角形は、図2に一点鎖線で示すように正三角形の各頂点Tを中心として他の頂点Tを結ぶ円弧を描いてなる形状をなし、その外幅(差し渡し幅)がいずれも定幅なものである。
【0036】
ここで、上記中心軸31、環状軸32および羽根部材21の寸法設定は、図2に示すように中心軸31および回転軸33の中心(固定中心線P)から環状軸32の中心(移動中心線G)に至る距離(偏心量)を[r]とし、中心軸31の外周部311の直径を[4r]、環状軸32の外周部322の直径を[6r]、および羽根部材21を配置するルーロー三角形の中心(移動中心線G)と頂点Tとを結ぶ延長線Lを[L≧7.5r]と設定してある。
【0037】
上記構成の掘削機は、回転機構3において駆動部35の駆動力を回転軸33に伝達することによって、回転軸33が固定中心線Pを中心として回転(例えば図2における時計回り方向)する。すると、回転軸33の内周部331に係合する環状軸32が移動中心線Gを中心として回転軸33と同方向(例えば図2における時計回り方向)に回転する。さらに、移動中心線Gを中心として回転する環状軸32は、その内周部321が中心軸31の外周部311に係合しているため、当該中心軸31の外周部311に沿って固定中心線Pの周りに回転軸33と同方向(例えば図2における時計回り方向)に輪転運動(公転)する。このとき、保持部材34は、その外周が環状軸32の内周に摺接し、挿通孔341が中心軸31の外周に摺接して、環状軸32の公転に伴って固定中心線Pを中心として回転することで回転軸33の内周部331と環状軸32の外周部322との係合、および中心軸31の外周部311と環状軸32の内周部321との係合を常に保持する。このため、環状軸32に設けた掘削カッタ2(羽根部材21)は、環状軸32の輪転運動に伴って自転および公転移動する。
【0038】
具体的には、図2および図4〜図7に示すように、環状軸32の内周部の直径と中心軸31の外周部311の直径との比率が3:2であるため、環状軸32が固定中心線Pを中心に1回転公転すると、当該環状軸32は移動中心線Gの周りに1/3自転する。したがって、図2および図4〜図7における掘削カッタ2の先端T(A,B,C)の移動位置で示すように掘削カッタ2も同様に公転および自転し、図7に示すように長円形状の軌跡をなす。この結果、本掘削機を前方向(図2参照)に推進することで長円形状断面の掘削孔Hを掘進することが可能になる。
【0039】
長円形状の軌跡を得る原理構成としては、固定中心線Pと移動中心線Gとの間の距離である偏心量[r]を規定し、得るべき長円形状の中心座標[0,0](図9参照)を固定中心線Pとする。すると、固定中心線Pから偏心量[r]を半径とした軌跡上に移動中心線Gの座標が決定する。そして、移動中心線Gから所定長さ[L≧7.5r]で掘削カッタ2(羽根部材21)を延在する。掘削カッタ2の先端Tの座標は、例えば横軸をX座標、縦軸をY座標とする座標系で、図2に示すように移動中心線G、固定中心線Pおよび掘削カッタ2の先端Tが直線上に並んだときからの固定中心線Pに対する移動中心線Gの回転角をφとすると、下記数1および数2から固定中心線Pを中心とした長円形状の軌跡が得られる(図8参照)。
【0040】
【数1】


【0041】
【数2】


【0042】
そして、図2に示すように移動中心線G→固定中心線P→掘削カッタ2(羽根部材21)の先端Tの順で直線上に並ぶ方向が長円形状の短軸[2(L―r)]方向になり、図4に示すように固定中心線P→移動中心線G→掘削カッタ2(羽根部材21)の先端Tの順で直線上に並ぶ方向が長円形状の長軸[2(L+r)]方向になる。
【0043】
図9は横長の長円形状の軌跡を示す図であり、単位をm(メートル)とする。ここでは、移動中心線G→固定中心線P→掘削カッタ2(羽根部材21)の先端Tの順で直線上に並ぶ方向を縦軸に合わせ、固定中心線P→移動中心線G→掘削カッタ2(羽根部材21)の先端Tの順で直線上に並ぶ方向を横軸に合わせる。そして、偏心量r=1m,掘削カッタ2(羽根部材21)の長さL=8mとする。これにより、図9に示す横長の長円形状の軌跡(掘削断面)が得られる。すなわち、掘削機によって図9で示す断面形状のトンネルを施工すれば、例えば地下鉄駅部分を拡幅できる。
【0044】
また、図10は縦長の長円形状の軌跡を示す図であり、単位をm(メートル)とする。ここでは、移動中心線G→固定中心線P→掘削カッタ2(羽根部材21)の先端Tの順で直線上に並ぶ方向を横軸に合わせ、固定中心線P→移動中心線G→掘削カッタ2(羽根部材21)の先端Tの順で直線上に並ぶ方向を縦軸に合わせる。そして、偏心量r=1m,掘削カッタ2(羽根部材21)の長さL=8mとする。これにより、図10に示す縦長の長円形状の軌跡(掘削断面)が得られる。すなわち、掘削機によって図10で示す断面形状のトンネルを施工すれば、例えば道路幅内に設置する下水道の有効空間を円形断面よりも大きく取ることができる。
【0045】
このように、上述した実施の形態における掘削機は、所定の固定中心線Pを中心とした外周部311を有する固定の中心軸31と、固定中心線Pに平行な所定の移動中心線Gを中心とした内周部321および外周部322を有して環状に形成してあってその内周部321を中心軸31の外周部311に当接係合した環状軸32と、固定中心線Pを中心とした内周部331を有して環状に形成してあり当該内周部331を環状軸32の外周部322に当接係合して固定中心線Pを中心に回転可能に設けた回転軸33と、移動中心線Gを中心に環状軸32を回転可能に支持して環状軸32の外周部322と回転軸33の内周部331との係合および中心軸31の外周部311と環状軸32の内周部321との係合を保持する保持部材34と、回転軸33を回転駆動する駆動部35と、移動中心線G上に中心を置いたルーロー三角形状の範囲内の少なくとも中心Pと頂点Tとを結ぶ延長線に沿って環状軸32に設けた掘削カッタ2(羽根部材21)とを備えている。
【0046】
そして、駆動部35の駆動力を回転軸33に伝達することによって、回転軸33が固定中心線Pを中心として回転する。すると、回転軸33の内周部331に係合する環状軸32が移動中心線Gを中心として回転軸33と同方向に回転する。さらに、移動中心線Gを中心として回転する環状軸32は、その内周部321が中心軸31の外周部311に係合しているため、当該中心軸31の外周部311に沿って固定中心線Pの周りに回転軸33と同方向に輪転運動(公転)する。このとき、保持部材34は、その外周が環状軸32の内周に摺接し、挿通孔341が中心軸31の外周に摺接して、環状軸32の公転に伴って固定中心線Pを中心として回転するので回転軸33の内周部331と環状軸32の外周部322との係合、および中心軸31の外周部311と環状軸32の内周部321との係合を常に保持する。このため、環状軸32に設けた掘削カッタ2(羽根部材21)は、環状軸32の輪転運動に伴って自転および公転移動する。移動する掘削カッタ2の先端Tは、非円形状である長円形状の軌跡をなし、非円形状断面である長円形状断面の掘削孔Hが得られる。この掘削孔Hは、一般的な断面円形の掘削孔と比較して、不要な空間を掘削せずに利用空間のみの掘削で得られるため、必要以上の用地面積を要さないことに加えて建設費を低減することが可能になる。
【0047】
したがって、上記掘削機の回転機構3は、回転軸33が固定中心線Pを中心として回転駆動され、かつ、環状軸32が回転軸33の回転に伴って保持部材34に保持された形態で移動中心線Gを中心として回転しつつ固定中心線Pを中心として公転する。この結果、回転軸33が固定中心線P上でその軸心がずれることなく回転するため、回転ぶれや振動を低減することが可能になる。また、環状軸32が回転軸33の回転に伴って保持部材34に保持された形態で移動中心線Gを中心として回転しつつ固定中心線Pを中心として公転するため、環状軸32の自転および公転移動に際して従前の自在継手を要することがないので、自在継手に係るコストを低減することが可能になる。
【0048】
さらに、上記掘削機の回転機構3は、掘削カッタ2(羽根部材21)を設けた環状軸32を、保持部材34によって保持した形態で公転および自転させる構成である。このため、従前のほぼ正方形状の軌跡をなすようにルーロー三角形の外幅を一辺とする正方形枠にルーロー三角形状の軸を支持して回転させる必要がない。すなわち、枠体が必要ない。このため、掘進した掘削孔Hの断面形状に対して、掘削機の胴部1の前面視の輪郭を小さく形成することが可能になる。この結果、掘削カッタ2が先行して掘進した掘削孔Hに胴部1が通過できるので、掘削断面が長円形状の掘削孔Hの掘進を行う掘削機を得ることが可能になる。また、上記掘削機の回転機構3は、掘削カッタ2(羽根部材21)を設けた環状軸32を、保持部材34によって保持した形態で公転および自転させる構成で非円形状である長円形状の軌跡を得る。このため、従前のごとくスイングアームを用いた複雑な構成にすることがなく、製造コストを低減することが可能である。すなわち、上記掘削機の回転機構3は、簡素な機構で非円形状である長円形状の軌跡を得て、非円形状断面である長円形状断面の掘削孔Hを掘進するため、故障が起こり難く信頼性が高く、コストを低減することが可能である。
【0049】
また、上記回転機構3は、中心軸31および回転軸33の中心(固定中心線P)から環状軸32の中心(移動中心線G)に至る距離(偏心量)を[r]とし、中心軸31の外周部311の直径を[4r]、環状軸32の外周部322の直径を[6r]、および羽根部材21を配置するルーロー三角形の中心(移動中心線G)と頂点Tとを結ぶ延長線Lを[L≧7.5r]と設定してある。この結果、適宜長円形状断面の掘削孔Hを得ることが可能である。
【0050】
図11は本発明に係る回転機構を用いた掘削機の他の実施の形態を示す概略側断面図、図12は図11に示す掘削機を軸方向(前方向)から視た概念図である。なお、以下に説明する他の実施の形態において、上述した実施の形態と同等部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
図11および図12に示す他の実施の形態における掘削機では、回転機構3について保持部材34の構成が異なる。この保持部材34は、環状軸32の内周とほぼ同じ外周を有して所定厚さの円板状に形成してあり、環状軸32の内周に摺接して移動中心線Gを中心に回転する態様で環状軸32に内装してある。また、保持部材34には、固定中心線Pを中心として延在する支軸342が偏心して設けてある。この支軸342は、中心軸31に設けた軸孔312に対して回転可能に挿通してある。このため、保持部材34は、環状軸32および回転軸33を支持することになり、回転軸33の内周部331と環状軸32の外周部322との係合、および中心軸31の外周部311と環状軸32の内周部321との係合を常に保持する。
【0052】
さらに、例えば掘削カッタ2(羽根部材21)を環状軸32の縁部から延在することで、支軸342を掘削カッタ2の前方向に延在して形成して、その先端に他の掘削カッタ2’(他の羽根部材21’)を設ける。この場合、掘削カッタ2は、環状軸32の縁部からの延在として、支軸342および他の掘削カッタ2’と、掘削カッタ2との互いの干渉を避けるように構成する。他の羽根部材21’は、固定中心線Pを中心として放射方向に延在して配置してある。なお、本実施の形態において、他の羽根部材21’は、固定中心線Pを中心として放射方向に等間隔で3方向に延在して配置してあり、固定中心線Pからの延在長さを、掘削カッタ2(羽根部材21)がなす長円形状の軌跡の範囲内としてある。そして、他の羽根部材21’の前面に掘削ビット(図示せず)を設けることによって他の掘削カッタ2’が構成される。
【0053】
このように、上述した他の実施の形態における掘削機は、回転機構3において駆動部35の駆動力を回転軸33に伝達することによって、回転軸33が固定中心線Pを中心として回転(例えば図12における時計回り方向)する。すると、回転軸33の内周部331に係合する環状軸32が移動中心線Gを中心として回転軸33と同方向(例えば図12における時計回り方向)に回転する。さらに、移動中心線Gを中心として回転する環状軸32は、その内周部321が中心軸31の外周部311に係合しているため、当該中心軸31の外周部311に沿って固定中心線Pの周りに回転軸33と同方向(例えば図12における時計回り方向)に輪転運動(公転)する。このため、環状軸32に設けた掘削カッタ2(羽根部材21)は、環状軸32の輪転運動に伴って自転および公転移動する。移動する掘削カッタ2の先端Tは、非円形状である長円形状の軌跡をなす。この結果、本掘削機を前方向(図11参照)に推進することで非円形状断面である長円形状断面の掘削孔Hを掘進することが可能になる。
【0054】
さらに、保持部材34は、その外周が環状軸32の内周に摺接し、支軸342が中心軸31の軸孔312に摺接して、環状軸32の公転に伴って固定中心線P(支軸342)を中心として回転するので回転軸33の内周部331と環状軸32の外周部322との係合、および中心軸31の外周部311と環状軸32の内周部321との係合を常に保持する。そして、保持部材34の回転に伴って支軸342が固定中心線Pを中心として回転することによって他の掘削カッタ2’(他の羽根部材21’)が固定中心線Pを中心として回転する。このため、掘削カッタ2に先行して他の掘削カッタ2’による円形状の掘削孔を掘削することが可能になる。この結果、長円形状断面の掘削孔Hを掘削する前に円形状の補助掘削孔を掘削することができる。また、掘削孔Hを掘削する前に削岩が可能になり、掘削の負荷を低減できる。
【0055】
ところで、上述した各実施の形態では、環状軸32の外周部322と回転軸33の内周部331との係合を常に保持しつつ、中心軸31の外周部311と環状軸32の内周部321との係合を常に保持する保持部材34として、環状軸32の内周に摺接して中心軸31(固定中心線P)を中心に回転する構成としてある。これに限らず、例えば図13および図14に示す保持部材34であってもよい。この保持部材34は、環状軸32の内周部321に当接係合する態様で回転可能に設けた回転体343を有し、この回転体343の係合に際して環状軸32の内周への摺接を離隔してある。このため、保持部材34と環状軸32との摩擦が生じないので、環状軸32の回転抵抗を低減することが可能になる。なお、図には明示しないが、中心軸31の外周部311に当接係合する態様で回転可能に設けた回転体を設けてもよく、当該回転体と上記回転体343とを組み合わせて双方用いてもよい。
【0056】
さらに、図には明示しないが、環状軸32の外周と回転軸33の内周との間に保持部材が内装されることによっても、環状軸32の外周部322と回転軸33の内周部331との係合を常に保持しつつ、中心軸31の外周部311と環状軸32の内周部321との係合を常に保持することになるので、このような形態であってもよい。この場合の保持部材(図示なし)は、回転軸33の内周とほぼ同じ外周を有して所定厚さの円板状に形成してあり、環状軸32の外周に摺接して固定中心線Pを中心に回転する態様で回転軸33に内装してある。そして、この保持部材(図示なし)には、移動中心線Gを中心として環状軸32の外周とほぼ同じ内周を有する貫通孔が偏心して設けられている。もちろん、この図示しない保持部材と図1や図13に示す保持部材34とをそれぞれ組み合わせて双方用いてもよい。
【0057】
また、上述した各実施の形態において、固定中心線Pと移動中心線Gとの間の距離である偏心量[r]と、移動中心線Gからの掘削カッタ2(羽根部材21)の所定長さ[L]とを調整することで、円形状に近い軌跡(掘削孔H)から、中央が括れた繭形状に近い軌跡(掘削孔H)を得ることが可能である。具体的には、上記数1および数2において、L=0.5+rとすれば軌跡の短径が1.0となり、これよりLを大きくすると軌跡が円形状に近づく。また、r=0.07よりrを小さくすると軌跡が円形状に近づき、0.07よりrを大きくすると中央が括れた繭形状の軌跡になる。さらに、r≧0.15では中央部で潰れた2つの円のような軌跡になる。
【0058】
また、上述した各実施の形態において、複数の回転機構3を固定中心線Pや移動中心線Gが平行するように設け、相互の回転機構3の各掘削カッタ2(羽根部材21)の軌跡が前面視で重複する態様で隣接する相互の掘削カッタ2の位置を回転軸方向でずらして配置する。あるいは、隣接する各掘削カッタ2を同一面上に配置しつつ、隣接する各回転軸33を逆方向に回転駆動することで掘削カッタ2同士が干渉することなく複数の回転機構3を同時に駆動できる。なお、各掘削カッタ2について相互の前面を同一面上に配置すれば、相互の回転機構3の間において掘削した先端部を凹凸なく平らに掘進することが可能になる。このように構成すれば、長円形状の掘削断面を組み合わせて一連に連続した掘削孔Hを得ることが可能である。この場合、例えば各長円形状の長軸同士を連続するトンネルを施工すれば、地下鉄駅部分をさらに拡幅したり、車両分岐部が得られる。また、例えば各長円形状の長軸と短軸とを連続するトンネルを施工すれば別方向に分岐する車線分岐部が得られる。さらに、上記回転機構3と従前の円形掘削の回転機構とを組み合わせれば、長円形状の掘削断面と円形状の掘削断面とを組み合わせて一連に連続した掘削孔Hを得ることが可能である。この場合、例えば長円形状断面のトンネルから別方向に分岐する車線分岐部が得られる。さらにまた、上記回転機構3と矩形状断面の回転機構とを組み合わせれば、長円形状の掘削断面と矩形形状の掘削断面とを組み合わせて一連に連続した掘削孔Hを得ることが可能である。この場合、例えば2つの長円形状断面の間を矩形状断面で繋げたトンネルを施工すれば、地下鉄駅部分をさらに拡幅したり、車両分岐部が得られる。
【0059】
ここで、矩形状断面の回転機構は、例えば図15および図16に示す回転機構5がある。回転機構5は、所定の固定中心線Pを中心とした環状の内周部511を有する固定の軸受51と、固定中心線Pに平行な所定の移動中心線Gを中心とした内周部521および外周部522を有して環状に形成してあってその外周部522を軸受51の内周部511に当接係合して軸受51に内装した環状軸52と(軸受51の内周径と環状軸52の外周径との比が4:3)、固定中心線Pを回転中心として回転可能に設けてあって環状軸52の内周部521に対して自身の外周部531を当接係合した回転軸53と、移動中心線Gを中心に環状軸52を回転可能に支持して当該環状軸52の内周部521と回転軸53の外周部531との係合を保持しつつ軸受51の内周部511と環状軸52の外周部522との係合を保持する保持部材54と、回転軸53を回転駆動する駆動部55と、環状軸52に設けてあって移動中心線G上に中心を置いたルーロー三角形状の範囲内の少なくとも中心と頂点とを結ぶ延長線に沿って配置した掘削カッタ6(羽根部材61)とを備えている。そして、駆動部55の駆動力を回転軸53に伝達することによって、回転軸53が軸受51の固定中心線Pを中心として回転する。すると、回転軸53の外周部531に係合する環状軸52が移動中心線Gを中心として回転軸53と同方向に回転する。また、移動中心線Gを中心として回転する環状軸52は、その外周部522が軸受51の内周部511に係合しているため、当該軸受51の内周部511に沿って軸受51の固定中心線Pの周りに回転軸53と逆方向に輪転運動(公転)することになる。このため、環状軸52に設けた掘削カッタ6(羽根部材61)は、環状軸52の輪転運動に伴ってその先端Tが移動する。移動する掘削カッタ6の先端Tは、ほぼ矩形状の軌跡をなし、ほぼ矩形状断面の掘削孔Hが得られる。
【0060】
また、上述した各実施の形態において、上記回転機構3の環状軸32を回転のみの構成に変えることによって円形状の軌跡をなし、円形状断面の掘削孔が得られる。この場合、例えば環状軸32の回転中心である移動中心線Gを固定中心線Pに一致するように移動して回転可能に支持し、駆動部35の駆動力を当該環状軸32に伝達するようにする。このようにすることで、例えば地下鉄で一般部分を円形状断面とし、駅ホームのある部分だけを長円形状断面にすることが可能になる。また、例えばトンネルで一般部分を円形状断面とし、分岐部だけを長円形状断面にすることが可能になる。すなわち、1つの掘削機で2つの断面形状の掘削に対応することが可能である。
【0061】
なお、上述した各実施の形態では、回転機構3を掘削機に適用した例で説明しているが、上記回転機構3は掘削機に限るものではない。例えば長円形状の軌跡をなす上記回転機構3の他の用途として、地中連続壁などでの長円形状断面の掘削に用いたり、セメントなどの硬化材を地盤中に注入する地盤改良で地盤を硬化材とともに混練り攪拌するときに用いたり、あるいは工作物の長円形状の切削に用いたり、地盤以外の混練り物製造の攪拌に用いたりするなど、様々な用途が考えられる。すなわち、地盤改良や混練り攪拌に上記回転機構3を用いる場合には、羽根部材21(他の羽根部材21’)が攪拌羽根となる。また、切削に上記回転機構3を用いる場合には、羽根部材21(他の羽根部材21’)に切削刃を設けて切削カッタとなる。したがって、本発明の実施の形態での掘削は、攪拌や切削を含む意味で用いている。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る回転機構を用いた掘削機の実施の形態を示す概略側断面図である。
【図2】図1に示す回転機構を軸方向(前方向)から視た概念図である。
【図3】図1に示す回転機構の分解斜視図である。
【図4】図2に示す回転機構の動作を示す概念図である。
【図5】図2に示す回転機構の動作を示す概念図である。
【図6】図2に示す回転機構の動作を示す概念図である。
【図7】図2に示す回転機構の動作を示す概念図である。
【図8】図2に示す回転機構を説明する概念図である。
【図9】横長の長円形状の軌跡を示す図である。
【図10】縦長の長円形状の軌跡を示す図である。
【図11】本発明に係る回転機構を用いた掘削機の他の実施の形態を示す概略側断面図である。
【図12】図11に示す掘削機を軸方向(前方向)から視た概念図である。
【図13】本発明に係る回転機構を用いた掘削機のさらに他の実施の形態を示す概略側断面図である。
【図14】図13に示す掘削機を軸方向(前方向)から視た概念図である。
【図15】ほぼ矩形状の軌跡をなす回転機構を用いた掘削機を示す概略側断面図である。
【図16】図15に示す掘削機を軸方向(前方向)から視た概念図である。
【符号の説明】
【0063】
1 胴部
2 掘削カッタ
21 羽根部材
3 回転機構
31 中心軸
311 外周部
312 軸孔
32 環状軸
321 内周部
322 外周部
33 回転軸
331 内周部
34 保持部材
341 挿通孔
342 支軸
343 回転体
35 駆動部
351 外周部
P 固定中心線
G 移動中心線
r 偏心量
L 延長線
T ルーロー三角形の頂点(羽根部材の先端)
H 掘削孔




 

 


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