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発明の名称 既存建築物の制震補強構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−100366(P2007−100366A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−290827(P2005−290827)
出願日 平成17年10月4日(2005.10.4)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 広瀬 景一 / 吉田 守
要約 課題
建築物の 重量が増大せず、有効スペースが損なわれることのない既存建築物の制震補強構造を提供する。

解決手段
既存壁12とその両側の柱との境界部に、それぞれスリットを設けて既存壁12と柱との縁を切るとともに、既存壁12と上階の梁13との境界部にもスリット16を設けて上階の梁13との縁を切り、既存壁12を独立した構造体とする。そして、面一とされているサイドの既存壁12の上縁部および上階の梁13の下縁部を、それぞれ立断面視で斜め45度に切り欠いて三角形状の切欠部17を形成し、形成された傾斜面12a、13aをモルタル18で均した後、アンカーボルト19でパネルダンパー11を傾斜面12a、13aに固定する。
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも一方の壁面が上階の梁の側面と面一とされている既存壁と、当該既存壁と一体化された柱および上階の梁との境界部にそれぞれスリットを設けるとともに、面一とされている前記一方の壁面の上縁部および前記梁の側面の下縁部に、それぞれ立断面視で斜めの切欠部を設け、当該切欠部に制震装置を設置してなる既存建築物の制震補強構造であって、
前記制震装置が、前記切欠部に形成された傾斜面とほぼ同じ傾斜角度を有し、当該傾斜面にそれぞれ固定される一対のフランジプレートと、当該一対のフランジプレート間に延在するパネル部とからなることを特徴とする既存建築物の制震補強構造。
【請求項2】
既存壁と、当該既存壁と一体化された柱および上階の梁との境界部にそれぞれスリットを設け、前記既存壁の上端面と前記上階の梁の底面との間に制震装置を設置してなる既存建築物の制震補強構造であって、
前記制震装置が断面視H形状とされ、前記既存壁の上端面および前記上階の梁の底面にそれぞれ固定される一対の対向するフランジプレートと、当該一対のフランジプレート間に延在するパネル部とからなることを特徴とする既存建築物の制震補強構造。
【請求項3】
前記パネル部が極低降伏点鋼からなり、前記一対のフランジプレート間に補剛リブが配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の既存建築物の制震補強構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存建築物の制震補強構造に関し、特に、既存壁を利用した既存建築物の制震補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
既存建築物を耐震補強する場合、大地震時に耐震壁がせん断破壊しないように、建築計画上、支障のない箇所に耐震壁を新設したり、制震装置を付加することが行われる。例えば、特許文献1では、柱と梁で囲まれた開口部に沿って補強フレームを設置し、補強フレーム内に制震装置を組み込む既存建築物の制震補強構造が開示されている。
また、耐震壁や制震装置を設置するためのスペースが十分に確保できない場合は、せん断破壊するおそれのある既存耐震壁を増打ちすることで、せん断破壊の防止と耐力の向上を図ることが行われている。例えば、特許文献2では、既存耐震壁の周囲の柱・梁に複数のアンカーを打ち込むとともに、既存耐震壁の表面に複数のスペーサー付きアンカーを打ち込み、突出しているスペーサーに溶接金網を固定した後、溶接金網の表面にモルタルを吹き付ける既存耐震壁の増厚補強方法が開示されている。
【特許文献1】特開平11−350777号公報
【特許文献2】特開平8−49329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の耐震補強工法では、所要の耐震性能を確保するため、耐震壁や制震装置を数多く設置しなければならない場合があり、建築物の重量が増大するとともに、 有効スペースが損なわれるという問題がある 。
一方、既存耐震壁を増打ちするにしても、 建築物の 重量が増大するうえ、手間の掛かる 作業を多く 必要とするという問題がある。
【0004】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、 建築物の 重量が増大せず、有効スペースが損なわれることのない既存建築物の制震補強構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、少なくとも一方の壁面が上階の梁の側面と面一とされている既存壁と、当該既存壁と一体化された柱および上階の梁との境界部にそれぞれスリットを設けるとともに、面一とされている前記一方の壁面の上縁部および前記梁の側面の下縁部に、それぞれ立断面視で斜めの切欠部を設け、当該切欠部に制震装置を設置してなる既存建築物の制震補強構造であって、前記制震装置が、前記切欠部に形成された傾斜面とほぼ同じ傾斜角度を有し、当該傾斜面にそれぞれ固定される一対のフランジプレートと、当該一対のフランジプレート間に延在するパネル部とからなることを特徴とする。
【0006】
本発明は、既存壁と柱との境界部にスリットを設けて、柱の靭性能を向上させて柱のせん断破壊を防止するとともに、既存壁と上階の梁との間にスリットを設けて、既存壁と上階の梁との間に、パネル部のせん断変形を利用した制震装置(以下、パネルダンパーと呼ぶこともある。)を設置し、既存壁と上階の梁との相対変位によってパネル部に塑性変形を生じさせ、建物に生じるエネルギーをパネル部に吸収させるものである。
【0007】
特に、少なくとも一方の壁面と上階の梁の側面とが面一とされている場合には、面一とされているサイドの既存壁の上縁部および上階の梁の下縁部に、それぞれ立断面視で(上階の梁の延在する方向に見て)斜めの切欠部を設け、当該切欠部にパネルダンパーを設置するので、既存壁と上階の梁との間のスリット幅を必要最小限とすることができ施工が容易となる。
【0008】
また、本発明は、既存壁と、当該既存壁と一体化された柱および上階の梁との境界部にそれぞれスリットを設け、前記既存壁の上端面と前記上階の梁の底面との間に制震装置を設置してなる既存建築物の制震補強構造であって、前記制震装置が断面視H形状とされ、前記既存壁の上端面および前記上階の梁の底面にそれぞれ固定される一対の対向するフランジプレートと、当該一対のフランジプレート間に延在するパネル部とからなることを特徴とする。
既存壁の両サイドにそれぞれ梁型が形成されている場合は、既存壁と上階の梁との境界部に幅200〜300mm程度のスリットを設けて、既存壁の上端面と上階の梁の底面との間に断面視H形状のパネルダンパーを設置すればよい。
【0009】
また、本発明は、前記パネル部が極低降伏点鋼からなり、前記一対のフランジプレート間に補剛リブが配設されていてもよい。
本発明では、普通鋼に比べて降伏点が低く、大きな伸び性能を有する極低降伏点鋼をパネル部に使用することにより、大きなエネルギー吸収性能を有するパネルダンパーを実現することができる。また、一対のフランジプレート間に補剛リブを配設することにより、パネル部の局部座屈を防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る既存建築物の制震補強構造では、既存壁と、当該既存壁と一体化された柱および上階の梁との境界部にそれぞれスリットを設け、既存壁と上階の梁との間にパネルダンパーを設置するので、 建築物の 重量が増大せず、有効スペースが損なわれることがない。特に、少なくとも一方の壁面と上階の梁の側面とが面一とされている場合には、面一とされているサイドの既存壁の上縁部および上階の梁の下縁部に、それぞれ立断面視で斜めの切欠部を設け、当該切欠部にパネルダンパーを設置するので、既存壁と上階の梁との間のスリット幅を必要最小限とすることができ施工が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
[第一の実施形態]
図1に本実施形態の概観図を、図2にパネルダンパー(制震装置)部分の拡大図を、図3に図1のA−A矢視断面図をそれぞれ示す。また、図4にパネルダンパーの斜視図を示す。
対象とする既存壁12は、隣接する柱14、14とその間に架設された上階の梁13によって囲まれた構面内に形成されており、一方の壁面12bが上階の梁13の側面13bと面一とされている。
【0012】
本発明では、既存壁12とその両側の柱14、14との境界部に、それぞれスリット15、15を設けて既存壁12と柱14、14との縁を切るとともに、既存壁12と上階の梁13との境界部にもスリット16を設けて上階の梁13との縁を切り、既存壁12を柱および梁から独立した壁体としている。
【0013】
また、面一とされているサイドの既存壁12の上縁部および上階の梁13の下縁部をそれぞれ切り欠いて切欠部17を設け、当該切欠部17にパネルダンパー11を設置している。具体的には、パネルダンパー11の長さ分だけ、既存壁12の上縁部および上階の梁13の下縁部を、それぞれ立断面視で(上階の梁13の延在する方向に見て)斜め45度に切り欠いて三角形状の切欠部17を形成し、形成された傾斜面12a、13aをモルタル18、18で均した後、モルタル18、18上にパネルダンパー11を設置し、アンカーボルト19で傾斜面12a、13aに固定する(図3参照)。
【0014】
パネルダンパー11は、切欠部17に形成された傾斜面12a、13aとほぼ同じ傾斜角度を有する帯板状の一対のフランジプレート11b、11cと、一対のフランジプレート11b、11c間に延在する帯板状のパネル部11aとから概略構成されている(図4参照)。一対のフランジプレート11b、11c間には、パネル部11aの局部座屈を防止するために、パネルダンパー11の長手方向に所定の離間間隔をあけて複数の補剛リブ11d…が配設されている。
パネル部11aには極低降伏点鋼を用いており、パネル部11aが早期に降伏することで大きなエネルギーを吸収することができる。
なお、フランジプレート11b、11cには、それぞれアンカーボルト19用のボルト孔11eが複数形成されており、フランジプレート11bは傾斜面13a上に、フランジプレート11cは傾斜面12a上にそれぞれアンカーボルト19で固定される。
【0015】
柱14および上階の梁13と既存壁12とはスリット15、16で縁が切られているので、既存建築物に地震力が作用すると、上階の梁13と既存壁12との間には相対変位が発生する。この相対変位により、パネル部11aがせん断変形し、地震エネルギーを吸収する。その結果、既存壁12が負担する地震力が軽減され、既存壁12のせん断破壊が防止されるのである。
【0016】
[第二の実施形態]
図5に本実施形態の概観図を、図6にパネルダンパー部分の拡大図を、図7に図5のB−B矢視断面図をそれぞれ示す。
本実施形態では、既存壁22の両サイドにそれぞれ梁型が形成され、両壁面とも上階の梁23の側面と面一とされていない点が第一の実施形態と異なっている。
このため、既存壁22とその両側の柱24、24との境界部に、それぞれスリット25、25を設けて既存壁22と柱24、24との縁を切るとともに、既存壁22と上階の梁23との境界部に幅200〜300mm程度のスリット26を設け、既存壁22の上端面22aと上階の梁23の底面23aとの間にパネルダンパー21を設置する(図7参照)。
【0017】
パネルダンパー21は、断面視H形状とされ、帯板状の一対の対向するフランジプレート21b、21cと、当該一対のフランジプレート21b、21c間に延在し、極低降伏点鋼で形成された帯板状のパネル部21aとから概略構成される。一対のフランジプレート21b、21c間には、パネル部21aの局部座屈を防止するために、パネルダンパー21の長手方向に所定の離間間隔をあけて複数の補剛リブ21d…が配設されている。
既存壁22の上端面22aと上階の梁23の底面23aをそれぞれモルタル28、28で均した上にパネルダンパー21を設置し、フランジプレート21b、21cを既存壁22の上端面22aおよび上階の梁23の底面23aにそれぞれアンカーボルト29で固定する。
【0018】
本実施形態による既存建築物の制震補強構造では、既存壁12、22と、当該既存壁12、22と一体化された柱14、24および上階の梁13、23との境界部にそれぞれスリット15、16、25、26を設け、既存壁12、22と上階の梁13、23との間にパネルダンパー11、21を設置するので、 建築物の 重量が増大せず、有効スペースが損なわれることがない。特に、一方の壁面12bと上階の梁13の側面13bとが面一とされている場合には、面一とされているサイドの既存壁12の上縁部および上階の梁13の下縁部に、それぞれ立断面視で斜め45度の切欠部17を設け、当該切欠部17にパネルダンパー11を設置するので、既存壁12と上階の梁13との間のスリット16の幅を必要最小限とすることができ施工が容易となる。しかも、切欠部17を傾斜角度45度の傾斜面12a、13aとしているので、アンカーボルト19を容易に打設することができる。
【0019】
なお、パネルダンパー11、21は、パネル部11a、21aの面積を変えることにより自由に抵抗力を調整することが可能である。これにより、既存壁12、22の負担を軽減し、既存壁12、22のせん断破壊を防止することができる。
【0020】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第一の実施形態では、既存壁と上階の梁の一方の面のみ面一としているが、既存壁の壁厚と上階の梁の梁幅が同じで両面とも面一であってもよいことは言うまでもない。また、第二の実施形態では、既存壁と上階の梁との間に均等な幅(200〜300mm程度)のスリットを設けたが、パネルダンパーが設置される部分のみ幅200〜300mm程度のスリットとし、その他の部分は僅かな隙間のスリットとしてもよい。要は、本発明において所期の機能が得られればよいのである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る既存建築物の制震補強構造の第一の実施形態を示す概観図である。
【図2】図1におけるパネルダンパー部分の拡大図である。
【図3】図1におけるA−A矢視断面図である。
【図4】パネルダンパーの斜視図である。
【図5】本発明に係る既存建築物の制震補強構造の第二の実施形態を示す概観図である。
【図6】図5におけるパネルダンパー部分の拡大図である。
【図7】図5におけるB−B矢視断面図である。
【符号の説明】
【0022】
11、21 パネルダンパー(制震装置)
12、22 既存壁
13、23 上階の梁
14、24 柱
15、16、25、26 スリット
17 切欠部
18、28 モルタル
19、29 アンカーボルト




 

 


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