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発明の名称 構造体および構造体の構築工法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−46230(P2007−46230A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−228414(P2005−228414)
出願日 平成17年8月5日(2005.8.5)
代理人 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
発明者 石井 大吾
要約 課題
一方の構造材と他方の構造材との間に引張力が加わることが想定される場合であっても、容易に施工することができる構造体を提供する。

解決手段
この発明にかかる構造体は、下節柱(一方の構造材)11と上節柱(他方の構造材)15とを接続位置に配置してから接続手段によってそれらの柱を互いに接続するものである。そのような接続手段は、下節柱に形成した第1空間形成部13,14と、上節柱に形成し、下節柱と上節柱とを接続位置に配置した場合に、第1空間形成部とで充填空間21を形成する第2空間形成部17と、充填空間の内部に挿入する挿入材と、充填空間の内部であって、充填空間の内部に挿入材を挿入することによって形成される空間に充填する接合材とを備えている。
特許請求の範囲
【請求項1】
一方の構造材と他方の構造材とを接続位置に配置してから接続手段によってそれらの構造材を互いに接続する構造体において、
前記接続手段は、
一方の構造材に形成した第1空間形成部と、
他方の構造材に形成し、一方の構造材と他方の構造材とを接続位置に配置した場合に、前記第1空間形成部とで充填空間を形成する第2空間形成部と、
前記充填空間の内部に挿入する挿入材と、
前記充填空間の内部であって、前記充填空間の内部に前記挿入材を挿入することによって形成される空間に充填する接合材と
を備えることを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記挿入材を、一方向に向けて断面積が徐々に増加する態様で形成したことを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記第1空間形成部を一方の構造材から突出する態様で設けた第1係合部に形成し、
且つ前記第2空間形成部を、他方の構造材から突出する態様で設け、一方の構造材と他方の構造材とを接続位置に配置した場合に前記第1係合部に係合する第2係合部に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の構造体。
【請求項4】
一方の構造材に第1空間形成部を形成し、且つ他方の構造材に、前記第1空間形成部とで充填空間を形成する第2空間形成部を形成した後、
一方の構造材と他方の構造材とを接続位置に配置し、前記第1空間形成部と前記第2空間形成部とで前記充填空間を形成してから、
前記充填空間の内部に挿入材を挿入した後、
前記充填空間の内部であって、前記充填空間の内部に前記挿入材を挿入することによって形成される空間に接合材を充填することで一方の構造材と他方の構造材とを接合して構造体を構築することを特徴とする構造体の構築工法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の構造体と他方の構造体とを接続することによって構築する構造体、および構造体の構築工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造物の主要構造材である鋼管柱(構造体)は、鋼管柱の下部に相当する下節柱(一方の構造材)と、鋼管柱の上部に相当する上節柱(他方の構造材)とを準備し、下節柱の上部に、柱の幅方向に突出する態様で第1エレクションピースを設け、且つ上節柱の下部に、柱の幅方向に突出する態様で第2エレクションピースを設けてから、それら第1エレクションピースおよび第2エレクションピースによって下節柱と上節柱とを固定した後に、下節柱と上節柱とを相互に溶接して構築するのが一般的である。
【0003】
このように鋼管柱を構築した場合、構築後に不要となった第1エレクションピースおよび第2エレクションピースは、例えばガス溶断装置によって除去する必要があった。また、構造物の償却などに伴う解体作業では、例えばガス溶断装置を用いることによって鋼管柱を切断しなければ解体できなかった。さらに、解体後の鋼管柱は、例えばガス溶断装置により切断されているために、そのままリユースすることは困難であった。
【0004】
このような課題を解決するために、下節柱の内部側に予め接合板を溶接し、この接合板と上節柱とを複数の高力ボルトにより締結することにより、上節柱と下節柱とを接合した鋼管柱が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−285816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記構造体を構築するに当たり、以下に記載するような問題が生じることになり、具現化されていないのが実情である。
【0007】
下節柱と上節柱との間に引張力が加えられた場合、上記高力ボルトには剪断力が加えられることとなる。高力ボルトは、その剪断力に耐える得るよう、一定の断面積を有する態様で形成してある。よって、下節柱と上節柱との間に大きな引張力が加えられることが想定される場合、その引張力に耐え得るよう、上記高力ボルトの本数を増加する必要が生じる。高力ボルトの本数を増加すると、それらの高力ボルトを1本ずつ締結しなければならないので、接合現場において施工に手間がかかることとなる。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、一方の構造材と他方の構造材との間に引張力が加わることが想定される場合であっても、容易に施工することができる構造体および構造体の構築工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、一方の構造材と他方の構造材とを接続位置に配置してから接続手段によってそれらの構造材を互いに接続する構造体において、前記接続手段は、一方の構造材に形成した第1空間形成部と、他方の構造材に形成し、一方の構造材と他方の構造材とを接続位置に配置した場合に、前記第1空間形成部とで充填空間を形成する第2空間形成部と、前記充填空間の内部に挿入する挿入材と、前記充填空間の内部であって、前記充填空間の内部に前記挿入材を挿入することによって形成される空間に充填する接合材とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2にかかる構造体は、上記請求項1において、前記挿入材を、一方向に向けて断面積が徐々に増加する態様で形成したことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3にかかる構造体は、上記請求項1または2において、前記第1空間形成部を、一方の構造材から突出する態様で設けた第1係合部に形成し、且つ前記第2空間形成部を、他方の構造材から突出する態様で設け、一方の構造材と他方の構造材とを接続位置に配置した場合に前記第1係合部に係合する第2係合部に形成したことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4にかかる構造体の構築工法は、一方の構造材に第1空間形成部を形成し、且つ他方の構造材に、前記第1空間形成部とで充填空間を形成する第2空間形成部を形成した後、一方の構造材と他方の構造材とを接続位置に配置し、前記第1空間形成部と前記第2空間形成部とで前記充填空間を形成してから、前記充填空間の内部に挿入材を挿入した後、前記充填空間の内部であって、前記充填空間の内部に前記挿入材を挿入することによって形成される空間に接合材を充填することで一方の構造材と他方の構造材とを接合して構造体を構築することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる構造体によれば、一方の構造材に形成した第1空間形成部と、他方の構造材に形成し、一方の構造材と他方の構造材とを接続位置に配置した場合に、第1空間形成部とで充填空間を形成する第2空間形成部と、充填空間の内部に挿入する挿入材と、充填空間の内部であって、充填空間の内部に挿入材を挿入することによって形成される空間に充填する接合材とを備える接続手段を設けたので、高力ボルトを使用することなしに、一方の構造材と他方の構造材とを接合することができる。従って、一方の構造材と他方の構造材との間に引張力が加わることが想定される場合であっても、複数の高力ボルトをそれぞれ締結する必要がないから、接合現場における施工が簡易な構造体を提供することができる。
【0014】
請求項2にかかる発明によれば、挿入材を、一方向に向けて断面積が徐々に増加する態様で形成したので、構造体を解体する場合、面積が小さい方向から上記一方向とは反対の方向に向けて挿入材に力を加えれば、構造体から挿入材を容易に取り出すことができ、解体が容易な構造体を提供することができる。
【0015】
請求項4にかかる構造体の構築工法によれば、一方の構造材に第1空間形成部を形成し、且つ他方の構造材に、第1空間形成部とで充填空間を形成する第2空間形成部を形成した後、一方の構造材と他方の構造材とを接続位置に配置し、第1空間形成部と第2空間形成部とで充填空間を形成してから、充填空間の内部に挿入材を挿入した後、充填空間の内部であって、充填空間の内部に挿入材を挿入することによって形成される空間に接合材を充填することで一方の構造材と他方の構造材とを接合して構造体を構築するので、高力ボルトを使用することなしに、構造体を構築することができる。従って、一方の構造材と他方の構造材との間に大きな引張力が加わることが想定される場合であっても、複数の高力ボルトをそれぞれ締結する必要がないから、接合現場における施工が簡易な構造体の構築工法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る構造材の接合構造の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1の鋼管柱(構造体)を示したものであり、図2は、その鋼管柱の組み立てを示す説明図である。
【0018】
図1および図2に示すように、鋼管柱10は、下節柱(一方の構造材)11と上節柱(他方の構造材)15と挿入材18と接合材19とで構成してある。
【0019】
下節柱11は、図3に示すように、横断面の外形が略角形を成し、上下方向に長い柱状の鋼管である。この下節柱11は、図3中、左右方向の幅と、奥行方向の幅とが等しい。下節柱11の上部の先端には、例えば工場で溶接した第1係合部12を設けてある。
【0020】
第1係合部12は、第1位置決部12aと第2位置決部12bとで構成してある。第1位置決部12aは、下節柱11の上部の先端から上方に向けて突出する態様で、且つ、図3中、手前側の側部11aに沿って、右側の側部11bから、左側の側部11cに至るまで、下節柱11部の上部を横断する態様で設けてある。図3中、第1位置決部12aの左右方向の幅は、下節柱11の左右方向の幅とほぼ同一である。
【0021】
上記第1位置決部12aには、図3中、左右方向に沿って複数(この例では3つ)の第1空間形成部13を形成してある。各第1空間形成部13は、角形の管状を成しており、後述する充填空間を形成する貫通孔13aを備えている。貫通孔13aは、図3中、奥行方向に形成してある。
【0022】
第2位置決部12bは、下節柱11の上部の先端から上方に向けて突出する態様で、図3中、奥側の側部11dに沿って、右側の側部11bから、左側の側部11cに至るまで、下節柱11部の上部を横断する態様で設けてある。図3中、第2位置決部12bの左右方向の幅は、下節柱11の左右方向の幅とほぼ同一である。
【0023】
上記第2位置決部12bには、図3中、左右方向に沿って複数(この例では3つ)の第1空間形成部14を形成してある。各第1空間形成部14は、角形の管状を成しており、後述する充填空間を形成する貫通孔14aを備えている。貫通孔14aは、図3中、奥行方向に形成してある。
【0024】
第1位置決部12aと第2位置決部12bとの間隔W1は、図4に示す第2係合部16の幅W2よりもわずかに大きい。また、第1位置決部12aの高さと第2位置決部12bの高さとは同一である。
【0025】
上節柱15は、図4に示すように、横断面の外形が略角形を成し、上下方向に長い柱状の鋼管である。この上節柱15は、図4中、左右方向の幅と、奥行方向の幅とが等しい。さらに、上節柱15の左右方向の幅は、下節柱11の左右方向の幅と等しく、且つ上節柱15の奥行方向の幅は、下節柱11の奥行方向の幅と等しい。その上節柱15の下部の先端には、下方に向けて突出する態様で第2係合部16を設けてある。
【0026】
この第2係合部16は、例えば図4中、上節柱15の奥行方向の中央であって、右側の側部15bから、左側の側部15cに至るまで、上節柱15の下部先端を横断する態様で、工場において溶接することによって設けたもので、下節柱11と上節柱15とを接続位置に配置した場合、上記第1係合部12と係合するものである。図4において、第2係合部16の左右方向の幅は、上節柱15の左右方向の幅と同一である。このような第2係合部16の高さは、上記第1位置決部12aの高さおよび第2位置決部12bの高さと同一である。
【0027】
上記第2係合部16には、図4中、左右方向に沿って複数(この例では3つ)の第2空間形成部17を形成してある。各第2空間形成部17は、下節柱11と上節柱15とを接続位置に配置した場合、上記第1空間形成部13,14の貫通孔13a,14aとで充填空間を形成する貫通孔17aを備えている。貫通孔17aは、図4中、奥行方向に形成してある。なお、貫通孔17aの大きさは、上記貫通孔13aおよび貫通孔14aと同一である。
【0028】
挿入材18は、剛性を有する材料(例えば鋼)によって形成してあり、図5に示すように、中空の四角錘台状に形成してある。換言すれば、挿入材18は、一方の端(図5中、奥側の端)18aから他方の端(図5中、手前側の端)18bに向け、一方向に向けて断面積が徐々に増加する態様で形成してある。挿入材18の他方の端18bの面積は、上記貫通孔13a,14aおよび貫通孔17aの大きさよりも小さい。従って、当然に、挿入材18の一方の端18aの面積は、上記貫通孔13a,14aおよび貫通孔17aの大きさよりも小さい。さらに、図5において、奥行方向の上記挿入材18の長さは、上記下節柱11および上節柱15の横断面の幅(図3に示す下節柱11の左右方向の幅、および奥行方向の幅、ならびに図4に示す上節柱15の左右方向の幅、および奥行方向の幅)と同一である。このような挿入材18は、第1空間形成部13,14と第2空間形成部17とで形成した充填空間に挿入するものである。このような挿入材18を、この例では、3つ準備する。
【0029】
接合材19は、例えばモルタルであり、充填空間の内部であって、充填空間の内部に挿入材18を挿入することによって形成される空間に充填することができる流動性を有するものであり、且つ時間の経過にともなって硬化して下節柱11と上節柱15とを接合するものである。
【0030】
上記第1空間形成部13,14と第2空間形成部17と挿入材18と接合材19とによって、図1に示すように、接続手段20を構成している。
【0031】
次に、鋼管柱10を構築する場合を説明する。ここでは、工場において、下節柱11に第1係合部12を設けてあり、且つ上節柱15に第2係合部16を設けたものとして説明する。
【0032】
先ず、図2に示すように、第1係合部12の第1位置決部12aと第2位置決部12bとの間に第2係合部16が入るよう、下節柱11の上に上節柱15を載置する。このように下節柱11の上に上節柱15を載置すれば、上節柱15は、下節柱11に対して、図2中、奥行方向に位置決めされることとなる。この状態では、図3に示す下節柱11の手前側の側部11aと、図4に示す上節柱15の手前側の側部15aとが同一平面を形成し、図3に示す下節柱11の奥側の側部11dと、図4に示す上節柱15の奥側の側部15dとが同一平面を形成する。
【0033】
この状態から、貫通孔17aと貫通孔13a,14aとが合致するよう、図2中、上節柱15を左右方向にスライド移動する。上節柱15をスライド移動することによって、貫通孔17aと貫通孔13a,14aとが合致した場合、上節柱15が下節柱11に対して左右方向にも位置決めされたこととなり、且つそれら貫通孔13a,14a,17aによって、図6に示すように、充填空間21が形成されることとなる。この充填空間21は、図6中、手前側と奥側とに、それぞれ開口21a,21bを備えており、奥行方向に長い直方体状を成している。このような充填空間21は、下節柱11と上節柱15との間に、左右方向に沿って3つ配置されることとなる。なお、充填空間21が形成された状態では、第1位置決部12aの上部と上節柱15の下部とがメタルタッチするとともに、第2位置決部12bの上部と上節柱15の下部とがメタルタッチし、且つ第2係合部16の下部と下節柱11の上部とがメタルタッチする。
【0034】
次に、図6中、中央に配置した充填空間21に、一方の端18aが先端となる態様で、奥側から手前側に向けて挿入材18を挿入する。また、図6中、両側端に配置した充填空間21に、一方の端18aが先端となる態様で、図6中、手前側から奥側に向けて挿入材18を挿入する。
【0035】
次いで、不図示の治具を、図5に示す挿入材18の貫通孔18dに挿入し、その治具によって挿入材18が充填空間21の縦断面における中央に配置されるよう支持する。
【0036】
この状態で、充填空間21の内部であって、充填空間21の内部に挿入材18を挿入することによって形成される空間に、例えば開口21aから接合材19を充填する。その後、接合材19を硬化させることにより、下節柱11と上節柱15とを接合して図1に示す鋼管柱10を得る。なお、治具は、接合材19の硬化後、貫通孔18dから抜いて除去する。
【0037】
さて、次に、このように構築した鋼管柱10を解体する場合を説明する。先ず、挿入材18の面積が小さい一方の端18aに、断面積が徐々に大きくなる方向(上記一方向とは反対の方向)に向けて力を加え、鋼管柱10から挿入材18を取り出す。
【0038】
次に、充填空間21の内部から接合材19を除去する。
【0039】
最後に、下節柱11の上から上節柱15を撤去して、解体を終了する。
【0040】
実施の形態1の鋼管柱10によれば、下節柱11に形成した第1空間形成部13,14と、上節柱15に形成し、下節柱11と上節柱15とを接続位置に配置した場合に、第1空間形成部13,14とで充填空間21を形成する第2空間形成部17と、充填空間21の内部に挿入する挿入材18と、充填空間21の内部であって、充填空間21の内部に挿入材18を挿入することによって形成される空間に充填する接合材19とを備える接続手段20を有するので、高力ボルトを使用することなしに、下節柱11と上節柱15とを接合することができる。従って、下節柱11と上節柱15との間に引張力が加わることが想定される場合であっても、複数の高力ボルトをそれぞれ締結する必要がないから、接合現場における施工が簡易な鋼管柱10を提供することができる。しかも、接合現場において、溶接する必要もないから、施工に手間がかかることもない。
【0041】
さらに、挿入材18を、一方向に向けて断面積が徐々に増加する態様で形成したので、鋼管柱10を解体する場合、挿入材18の面積が小さい一方の端18aに、断面積が徐々に大きくなる方向(上記一方向とは反対の方向)に向けて力を加えれば、鋼管柱10から挿入材18を容易に取り出すことができる。
【0042】
しかも、鋼管柱10を解体する場合、ガス溶断装置を用いて鋼管柱10を溶断する必要がないため、下節柱11および上節柱15をそのままリユースすることができる。
【0043】
なお、上述した実施の形態1には、下節柱11および上節柱15が、左右方向の幅と奥行方向の幅とが等しい角形鋼管で説明した。しかし、この発明はそれに限られず、左右方向の幅と奥行方向の幅とが異なる下節柱11および上節柱15を用いても良い。
【0044】
さらに、上述した実施の形態1には、下節柱11および上節柱15が、角形鋼管であるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、円形鋼管である下節柱および上節柱を用いても良い。
【0045】
加えて、上述した実施の形態1には、下節柱11および上節柱15が、角形鋼管または円形鋼管であるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、丸棒または角棒である下節柱および上節柱を用いてもよい。
【0046】
さらに、上述した実施の形態1には、下節柱11および上節柱15が、柱であるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、一方の構造材が柱で、他方の構造材が梁であるものでも良いし、一方の構造材が梁で、他方の構造材が柱であるものでも良いし、一方の構造材および他方の構造材がともに梁であるものでも良い。もちろん、この発明は、柱と柱とを接続した構造体、柱と梁とを接続した構造体、および梁と梁とを接続した構造体に限られず、一方の構造材と他方の構造材とを接合することによって構築する構造体に適用することができる。
【0047】
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2の鋼管柱(構造体)を示したものであり、図8は、その鋼管柱の組み立てを示す説明図である。
【0048】
図7および図8に示すように、鋼管柱30は、下節柱(一方の構造材)31と上節柱(他方の構造材)35と挿入材38と接合材39とで構成してある。
【0049】
下節柱31は、図9に示すように、横断面の外形が略角形を成し、上下方向に長い柱状の鋼管である。この下節柱31は、図9中、左右方向の幅と、奥行方向の幅とが等しい。下節柱31の上部の先端には、例えば工場で溶接した第1係合部32を設けてある。
【0050】
第1係合部32は、第1位置決部(第1空間形成部)32aと第2位置決部(第1空間形成部)32bとで構成してある。
【0051】
第1位置決部32aは、後述する充填空間を形成するものであって、下節柱31の上部の先端から上方に向けて突出する態様で、且つ、図9中、側部11a,11b,11c,11dに沿って配置してある。第1位置決部32aは、角形の管状を成しており、貫通孔33aを備えている。その貫通孔33aは、下節柱31の外周方向に沿って形成してある。
【0052】
第2位置決部32bは、充填空間を形成するものであって、下節柱31の上部の先端から上方に向けて突出する態様で、図9中、側部11a,11b,11c,11dに沿い、且つ下節柱31の外周方向に沿って、上記第1位置決部32aと間隔W3を有するよう、第1位置決部32aの側方に配置してある。第2位置決部32bは、角形の管状を成しており、貫通孔34aを備えている。その貫通孔34aは、下節柱31の外周方向に沿って形成してある。
【0053】
第1位置決部32aと第2位置決部32bとの間隔W3は、図10に示す第2係合部36の左右方向の幅W4よりもわずかに大きい。また、第1位置決部32aの高さと第2位置決部32bの高さとは同一である。
【0054】
上節柱35は、図10に示すように、横断面の外形が略角形を成し、上下方向に長い柱状の鋼管である。この上節柱35は、図10中、左右方向の幅と、奥行方向の幅とが等しい。その上節柱35の下部の先端には、上節柱35から下方に向けて突出する態様で第2係合部(第2空間形成部)36を設けてある。
【0055】
第2係合部36は、例えば図10中、側部35a,35b,35c,35dに沿って配置してあり、工場において溶接することによって設けたもので、下節柱31と上節柱35とを接続位置に配置した場合、上記第1係合部32と係合するものであって、上記第1位置決部32aおよび第2位置決部32bとで充填空間を形成するものである。そのような第2係合部36は、角形の管状を成しており、貫通孔37aを備えている。貫通孔37aは、上節柱35の外周方向に沿って形成してあり、下節柱31と上節柱35とを接続位置に配置した場合、上記貫通孔33aおよび貫通孔34aに合致するものである。なお、貫通孔37aの大きさは、上記貫通孔33aおよび貫通孔34aと同一である。また、第2係合部36の高さは、上記第1位置決部32aの高さおよび第2位置決部32bの高さと同一である。
【0056】
挿入材38は、剛性を有する材料(例えば鋼)によって形成してあり、図11に示すように、中空の四角錘台状に形成してある。換言すれば、挿入材38は、一方の端(図11中、奥側の端)38aから他方の端(図11中、手前側の端)38bに向け、一方向に向けて断面積が徐々に増加する態様で形成してある。挿入材38の他方の端38bの面積は、上記貫通孔33a,34aおよび貫通孔37aの大きさよりも小さい。従って、当然に、挿入材38の一方の端38aの面積は、上記貫通孔33a,34aおよび貫通孔37aの大きさよりも小さい。さらに、図11において、奥行方向の上記挿入材38の長さL1は、図9に示す第1位置決部32aと第2位置決部32bとの間隔W3、第1位置決部32aの幅W5、および第2位置決部32bの幅W6を加えた長さと同一である。このような挿入材38は、第1位置決部32a、第2位置決部32bと第2係合部36とで形成した充填空間に挿入するものである。このような挿入材38を、この例では、4つ準備する。
【0057】
接合材39は、例えばモルタルであり、充填空間の内部であって、充填空間の内部に挿入材38を挿入することによって形成される空間に充填することができる流動性を有するものであり、時間の経過にともなって硬化して下節柱31と上節柱35とを接合するものである。
【0058】
上記第1位置決部32aと第2位置決部32bと第2係合部36と挿入材38と接合材39とによって、図7に示すように、接続手段40を構成している。
【0059】
次に、鋼管柱30を構築する場合を説明する。ここでは、工場において、下節柱31の上部に第1係合部32を設けてあり、且つ上節柱35の下部に第2係合部36を設けたものとして説明する。
【0060】
先ず、図8に示すように、第1係合部32の第1位置決部32aと第2位置決部32bとの間に第2係合部36が入るよう、下節柱31の上に上節柱35を載置する。このように下節柱31の上に上節柱35を載置すれば、上節柱35は、下節柱31に対して、図2中、左右方向および奥行方向に位置決めされることとなる。この状態では、図8に示す下節柱31の手前側の側部31aと、図9に示す上節柱35の手前側の側部35aとが同一面を形成し、図8に示す下節柱31の奥側の側部31dと、図9に示す上節柱35の奥側の側部35dとが同一面を形成し、図8に示す下節柱31の右側の側部31bと、図9に示す上節柱35の右側の側部35dとが同一面を形成し、図8に示す下節柱31の左側の側部31cと、図9に示す上節柱35の左側の側部35cとが同一面を形成する。
【0061】
しかも、この状態では、貫通孔37aと貫通孔33a,34aとが合致し、それら貫通孔33a,34a,37aによって、図12に示すように、充填空間41が形成されることとなる。この充填空間41は、一方の端と他方の端とに、それぞれ開口41a,41bを備えており、横方向に長い直方体状を成している。このような充填空間41は、下節柱31と上節柱35との間に、側部31a,31b,31c,31dおよび側部35a,35b,35c,35dに沿って4つ配置されることとなる。なお、充填空間41が形成された状態では、第1位置決部32aの上部と上節柱35の下部とがメタルタッチし、第2位置決部32bの上部と上節柱35の下部とがメタルタッチし、且つ第2係合部36の下部と下節柱31の上部とがメタルタッチする。
【0062】
次に、それらの充填空間41に、挿入材38を挿入する。なお、4つの挿入材38は、断面積が徐々に減少する方向が反時計回りとなるよう、各充填空間41にそれぞれ挿入する。
【0063】
次いで、不図示の治具を、図11に示す挿入材38の貫通孔38dに挿入し、その治具によって挿入材38が充填空間41の縦断面における中央に配置されるよう支持する。
【0064】
この状態で、充填空間41の内部であって、充填空間41の内部に挿入材38を挿入することによって形成される空間に、例えば開口41aから接合材39を充填する。その後、接合材39を硬化させることにより、下節柱31と上節柱35とを接合して図7に示す鋼管柱30を得る。なお、治具は、接合材39の硬化後、貫通孔18dから抜いて除去する。
【0065】
さて、次に、このように構築した鋼管柱30を解体する場合を説明する。先ず、挿入材38の面積が小さい一方の端38aに、断面積が徐々に大きくなる方向(上記一方向とは反対の方向)に向けて力を加え、鋼管柱30から挿入材38を取り除く。
【0066】
次に、充填空間41の内部から接合材39を除去する。
【0067】
最後に、下節柱31の上から上節柱35を撤去して、解体を終了する。
【0068】
実施の形態2の鋼管柱によれば、下節柱31に形成した第1位置決部32aおよび第2位置決部32bと、上節柱35に形成し、下節柱31と上節柱35とを接続位置に配置した場合に、第1位置決部32a,第2位置決部32bとで充填空間41を形成する第2係合部36と、充填空間41の内部に挿入する挿入材38と、充填空間41の内部であって、充填空間41の内部に挿入材38を挿入することによって形成される空間に充填する接合材39とを備える接続手段40を有するので、高力ボルトを使用することなしに、下節柱31と上節柱35とを接合することができる。従って、下節柱31と上節柱35との間に引張力が加わることが想定される場合であっても、複数の高力ボルトをそれぞれ締結する必要がないから、接合現場における施工が簡易な鋼管柱30を提供することができる。しかも、接合現場において、溶接する必要もないから、施工に手間がかかることもない。
【0069】
さらに、挿入材38を、一方向に向けて断面積が徐々に増加する態様で形成したので、鋼管柱30を解体する場合、挿入材38の面積が小さい一方の端38aに、断面積が徐々に大きくなる方向(上記一方向とは反対の方向)に向けて力を加えれば、鋼管柱30から挿入材38を容易に取り出すことができる。
【0070】
しかも、鋼管柱30を解体する場合、ガス溶断装置を用いて鋼管柱30を溶断する必要がないため、下節柱31および上節柱35をそのままリユースすることができる。
【0071】
なお、上述した実施の形態2には、下節柱31および上節柱35が、左右方向の幅と奥行方向の幅とが等しい角形鋼管で説明した。しかし、この発明はそれに限られず、左右方向の幅と奥行方向の幅とが異なる下節柱31および上節柱35を用いても良い。
【0072】
さらに、上述した実施の形態2には、下節柱31および上節柱35が、角形鋼管であるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、円形鋼管である下節柱および上節柱を用いても良い。
【0073】
加えて、上述した実施の形態2には、下節柱31および上節柱35が、角形鋼管または円形鋼管であるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、丸棒または角棒である下節柱および上節柱を用いてもよい。
【0074】
さらに、上述した実施の形態2には、下節柱31および上節柱35が、柱であるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、一方の構造材が柱で、他方の構造材が梁であるものでも良いし、一方の構造材が梁で、他方の構造材が柱であるものでも良いし、一方の構造材および他方の構造材がともに梁であるものでも良い。もちろん、この発明は、柱と柱とを接続した構造体、柱と梁とを接続した構造体、および梁と梁とを接続した構造体に限られず、一方の構造材と他方の構造材とを接合することによって構築する構造体に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】この発明にかかる実施の形態1の構造材の接合構造を適用した鋼管柱を示す斜視図である。
【図2】図1の鋼管柱を組み立てる場合を示す斜視図である。
【図3】図1の鋼管柱が備える下節柱を示す斜視図である。
【図4】図1の鋼管柱が備える上節柱を示す斜視図である。
【図5】図1の鋼管柱が備える挿入材を示す斜視図である。
【図6】図3に示す下節柱と、図4に示す上節柱とを接続位置に配置した状態を示す説明図である。
【図7】この発明にかかる実施の形態2の構造材の接合構造を適用した鋼管柱を示す斜視図である。
【図8】図7の鋼管柱を組み立てる場合を示す斜視図である。
【図9】図7の鋼管柱が備える下節柱を示す斜視図である。
【図10】図7の鋼管柱が備える上節柱を示す斜視図である。
【図11】図7の鋼管柱が備える挿入材を示す斜視図である。
【図12】図10に示す下節柱と、図11に示す上節柱とを接続位置に配置した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0076】
10 鋼管柱(構造体)
11 下節柱(一方の構造材)
12 第1係合部
13 第1挿入孔(第1空間形成部)
14 第1挿入孔(第1空間形成部)
15 上節柱(他方の構造材)
16 第2係合部(第2空間形成部)
17 第2係合孔(第2空間形成部)
18 挿入材
19 接合材
20 接続手段
21 充填空間
30 鋼管柱(構造体)
31 下節柱(一方の構造材)
32 第1係合部
33 第1挿入孔(第1空間形成部)
34 第1挿入孔(第1空間形成部)
35 上節柱(他方の構造材)
36 第2係合部(第2空間形成部)
37 第2係合孔(第2空間形成部)
38 挿入材
39 接合材
40 接続手段
41 充填空間




 

 


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