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発明の名称 躯体接合構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−16577(P2007−16577A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−260688(P2005−260688)
出願日 平成17年9月8日(2005.9.8)
代理人 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
発明者 石井 大吾 / 坂本 真一
要約 課題
下節柱10とリングパネル30との間の隙間、および上節柱20とリングパネル30との間の隙間にそれぞれ充填したモルタルによって下節柱10および上節柱20にリングパネル30を固着することで下節柱10を延長する態様で下節柱10と上節柱20とを接合する躯体接合構造において、リングパネル30を破壊することなく下節柱10および上節柱20を解体する。

解決手段
下節柱10、上節柱20またはリングパネル30へのモルタルの付着力を減らす態様で前記隙間に絶縁プレート40を介在した。絶縁プレート40は、リングパネル30で覆う下節柱10および上節柱20の周囲に沿って複数並設されつつ、リングパネル30の筒型の延在方向に延びて長手状に設けられて、前記隙間に充填したモルタルによって当該隙間内に固着され、その長手方向の端部(把持部)が隙間に充填したモルタルの外表面から突出している。
特許請求の範囲
【請求項1】
躯体の外周面を覆う筒型形状のリングパネルを用い、躯体とリングパネルとの間の隙間に充填したモルタルによって躯体にリングパネルを固着することで当該リングパネルを介して躯体同士を接合する躯体接合構造において、
躯体またはリングパネルへのモルタルの付着力を減らす態様で前記隙間に絶縁部材を介在したことを特徴とする躯体接合構造。
【請求項2】
前記絶縁部材は、リングパネルで覆う躯体の周囲に沿って複数並設されつつリングパネルの筒型の延在方向に延びて長手状に設けられて、前記隙間に充填したモルタルによって当該隙間内に固着され、その長手方向の端部が前記隙間に充填したモルタルの外表面から突出する棒状部材からなることを特徴とする請求項1に記載の躯体接合構造。
【請求項3】
前記絶縁部材は、リングパネルの内周面に沿って配設されつつリングパネルの筒型の延在方向に延びて配設されて、前記隙間に充填したモルタルとリングパネルの内周面側との間の摩擦抵抗を低減するシート状部材からなることを特徴とする請求項1に記載の躯体接合構造。
【請求項4】
前記リングパネルの開口部に、前記隙間に充填したモルタルの外表面に掛かるカバー部材を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の躯体接合構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば柱または梁として使用される建物の構造部材である躯体を接合するための躯体接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の柱と柱を現地で接合する場合には、現場溶接を必要とせずに柱を互いに接合することのできるリングパネル工法が用いられている。このリングパネル工法は、例えば、特許文献1に示すように、両端に開口を有する筒型形状のリングパネルのそれぞれの開口から2本の柱の接合端部をリングパネルの内部にそれぞれ挿入し、柱の外周面とリングパネルの内周面との間の全周に亘って等間隔に形成された隙間に無収縮モルタルを打設し、2本の柱とリングパネルとを固着することにより、リングパネルを介して2本の柱を接合するものである。この工法によれば、建築時に現場溶接を必要としないことの他に、打設した無収縮モルタルを建物の解体時に除去することにより柱の固着した部分を損傷させず、柱を再利用することができる点で優れている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−184201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のリングパネル工法によって2本の柱とリングパネルとを無収縮モルタルで固着した場合には、建物を解体する際に、モルタルによって柱とリングパネルとが強く固着されているために、柱をリングパネルから引き抜くことができない。そのため、柱を損傷させずにリングパネルから取り出すためにはリングパネルを破壊しなければならなかった。従って、柱については再利用可能に解体することができるが、リングパネルについては再利用することができなかった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、リングパネルを破壊することなくリングパネルから柱や梁などの構造部材(躯体)を引き抜くことによって、構造部材を再利用すると共に、リングパネルを再利用することができる躯体接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る躯体接合構造は、躯体の外周面を覆う筒型形状のリングパネルを用い、躯体とリングパネルとの間の隙間に充填したモルタルによって躯体にリングパネルを固着することで当該リングパネルを介して躯体同士を接合する躯体接合構造において、躯体またはリングパネルへのモルタルの付着力を減らす態様で前記隙間に絶縁部材を介在したことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係る躯体接合構造は、上記請求項1において、前記絶縁部材は、リングパネルで覆う躯体の周囲に沿って複数並設されつつリングパネルの筒型の延在方向に延びて長手状に設けられて、前記隙間に充填したモルタルによって当該隙間内に固着され、その長手方向の端部が前記隙間に充填したモルタルの外表面から突出する棒状部材からなることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係る躯体接合構造は、上記請求項1において、前記絶縁部材は、リングパネルの内周面に沿って配設されつつリングパネルの筒型の延在方向に延びて配設されて、前記隙間に充填したモルタルとリングパネルの内周面側との間の摩擦抵抗を低減するシート状部材からなることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係る躯体接合構造は、上記請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記リングパネルの開口部に、前記隙間に充填したモルタルの外表面に掛かるカバー部材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る躯体接合構造では、躯体またはリングパネルへのモルタルの付着力を減らす態様で躯体とリングパネルとの間の隙間に絶縁部材を介在した。躯体を接合した通常時において、リングパネルから躯体を引き抜こうとする力が作用した場合には、隙間に打設したモルタルが引き抜き力に抗する。他方、躯体に曲げ力が作用した場合には、隙間に打設したモルタルがリングパネルの内周面と躯体の外周面との間に作用する圧縮する力に対して抵抗する。特に、建物の解体時においては、モルタルの付着力を減らす態様で躯体とリングパネルとの間の隙間に絶縁部材を介在してあるので、上記通常時と比較して小さい引き抜き力によって躯体をリングパネルから引き抜くことができる。従って、リングパネルを破壊することなく躯体を解体することができ、解体後の躯体とリングパネルとを共に再利用することができる。
【0011】
また、絶縁部材は、リングパネルで覆う躯体の周囲に沿って複数並設されつつリングパネルの筒型の延在方向に延びて長手状に設けられて、前記隙間に充填したモルタルによって当該隙間内に固着され、その長手方向の端部が前記隙間に充填したモルタルの外表面から突出する棒状部材からなる。このため、建物の解体時において、棒状部材の長手方向の端部を把持しモルタルの固着力に抗してリングパネルから棒状部材を引き抜くことで、隙間に打設したモルタルに対して引き抜いた棒状部材による空隙が周方向に沿って形成されることになる。この結果、棒状部材を引き抜いて形成された空隙によって躯体とリングパネルとの間で固まっているモルタルの周方向の断面積を小さくするので、躯体とリングパネルとがモルタルによって結合されている力(付着力)が減少する。すなわち、通常時と比較して小さい引き抜き力によって躯体をリングパネルから引き抜くことができる。従って、リングパネルを破壊することなく躯体を解体することができ、解体後の躯体とリングパネルとを共に再利用することができる。
【0012】
また、絶縁部材は、リングパネルの内周面に沿って配設されつつリングパネルの筒型の延在方向に延びて配設されて、前記隙間に充填したモルタルとリングパネルの内周面側との間の摩擦抵抗を低減するシート状部材からなる構成としてある。このため、建物の解体時において、モルタルとリングパネルの内周面側との間でのモルタルの付着力がシート状部材によって抑えられているので、通常時と比較して小さい引き抜き力によって躯体をリングパネルから引き抜くことができる。従って、リングパネルを破壊することなく躯体を解体することができ、解体後の躯体とリングパネルとを共に再利用することができる。
【0013】
また、リングパネルの開口部に、前記隙間に充填したモルタルの外表面に掛かるカバー部材を設けたことにより、当該カバー部材がモルタルを介してリングパネルから躯体を引き抜こうとする力に対して抵抗する。このため、リングパネルへの躯体の呑込み長さを抑えることが可能になる。この結果、カバー部材を設けることでリングパネルの筒型の延在寸法を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る躯体接合構造の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る躯体接合構造の縦断面図を示し、図2は図1に示した躯体接合構造の平面図を示す。なお、本願で使用する「構造部材」とは、柱、梁またはブレースなどの骨組みに使用される躯体を総称して示すものである。
【0016】
本実施の形態における躯体接合構造は、図1および図2に示すように、躯体としての下節柱10と上節柱20とをリングパネル30を介して接合するものである。具体的には、下節柱10とリングパネル30との間の隙間、および上節柱20とリングパネル30との間の隙間にそれぞれ充填したモルタル60によって下節柱10および上節柱20にリングパネル30を固着することで下節柱10を延長する態様で下節柱10と上節柱20とを接合する。特に、本実施の形態における躯体接合構造では、下節柱10またはリングパネルへのモルタル60の付着力、上節柱20またはリングパネルへのモルタル60の付着力を減らす態様で前記隙間に絶縁部材40を介在してある。
【0017】
下節柱10および上節柱20は、図3に示すように、外径寸法がほぼ同一になるように円筒形状に形成されている。図3および図4に示すように下節柱10は、その接合端部である端面10b付近に外周面10aの周方向に沿って連続して形成されたフランジ部10cを有している。同様に、図3および図5に示すように上節柱20は、その接合端部である端面20b付近に外周面20aの周方向に沿って連続して形成されたフランジ部20cを有している。これらフランジ部10c,20cは、例えば鉄筋を周方向に沿って溶接によって固定して形成してある。なお、フランジ部10c,20cは、平板状のプレートを用いて構成することもできる。詳細には、平面側から見たプレートの外径形状を下節柱10の外周面10aおよび上節柱20の外周面20aの外径形状よりも大きく形成し、かつ、プレートの内径形状を下節柱10の外周面10aおよび上節柱20の外周面20aの外径形状とほぼ同じく形成する。そして、下節柱10の端面10bおよび上節柱20の端面20bにプレートをそれぞれ取り付ける。プレートの外周縁部は、下節柱10の外周面10aおよび上節柱20の外周面20aから径外方向に突出する態様で取り付けられ、これにより、フランジ部10c,20cが形成される。
【0018】
リングパネル30は、図6および図7に示すように、両端が開口する筒型形状に形成されている。リングパネル30の内周面30aの内径寸法は、下節柱10および上節柱20の外径寸法よりも大きくなるように形成されている。リングパネル30の筒型形状の内部には、平板形状のプレート11が設けられている。プレート11は、リングパネル30の両端の開口を上下方向に向けた状態で板面が上下方向に向くようにリングパネル30の延在方向のほぼ中央に取り付けられている。プレート11の外形形状は、図7に示すように、平面視において円形形状を基に形成されており、その外径寸法がリングパネル30の内周面30aの内径寸法に対してほぼ同一になっている。そして、プレート11は、外周部がリングパネル30の内周面30aに対して溶接で取り付けられている。このため、プレート11によってリングパネル30の筒型形状の内部が上側内部32aと下側内部32bとに区分けされている(図6参照)。
【0019】
プレート11の外周部分には、図7に示すように、プレート11の板厚方向に貫通する貫通孔12が形成されている。この貫通孔12は、本実施の形態ではプレート11の円周方向に沿って等間隔をおいて8個(複数)設けられている。
【0020】
図1および図2に示すように下節柱10および上節柱20とリングパネル30とが組み立てられた状態において、リングパネル30は、両端の開口が上下方向に向けられて配設されている。下節柱10は、その上側接合端部がリングパネル30の下側内部32bによって覆われる態様でリングパネル30の内部に取り付けられている。下節柱10の端面10bは、リングパネル30の下側内部32bにおいてプレート11の一方(下方)の板面と当接している。この当接により下節柱10とリングパネル30との上下方向の位置が決定されている。他方、リングパネル30の上側の開口からは、上節柱20の下側接合端部がリングパネル30の上側内部32aに挿入されてリングパネル30の内部に取り付けられている。上節柱20の端面20bは、リングパネル30の上側内部32aにおいてプレート11の他方(上方)の板面と当接している。この当接によりリングパネル30と上節柱20との上下方向の位置が決定されている。なお、プレート11は、リングパネル30に下節柱10および上節柱20を取り付ける際に使用されるものであるが、下節柱10および上節柱20の上下方向の位置をリングパネル30の近辺に仮設した部材などで拘束することができれば、プレート11を設けずにリングパネル30を構成することもできる。
【0021】
下節柱10および上節柱20は、それぞれ下節柱10の上側接合端部の外周面10aおよび上節柱20の下側接合端部の外周面20aが略面一になるように配置されている。リングパネル30の内周面30aと下節柱10の外周面10aとの間には、外周面10aの周方向に沿って全周に亘って等間隔に隙間が設けられており、同様に、リングパネル30の内周面30aと上節柱20の外周面20aとの間にも外周面20aの周方向に沿って全周に亘って等間隔に隙間が設けられている。
【0022】
下節柱10の外周面10aとリングパネル30の内周面30aとの隙間には、図1および図2に示すように、絶縁プレート(絶縁部材:棒状部材)40が配設されている。絶縁プレート40は、下節柱10の外周面10aの周方向に沿って連続して複数並設されている。同様に、上節柱20の外周面20aとリングパネル30の内周面30aとの隙間にも、絶縁プレート40が、上節柱20の外周面20aの周方向に沿って複数連続して並設されている。この絶縁プレート40は、外周面10a,20aの周方向に沿って間隔を置いて並設することもできる。
【0023】
絶縁プレート40は、図8に示すように長手状に形成されている。また、絶縁プレート40は、図9に示すように、平板状の部材の両側部がそれぞれ反対側に折り曲げられて断面略S字形状に形成されている。図8に示すように、絶縁プレート40の長手方向の一端部(上端部)40aには、絶縁プレート40の平板状の部材を長手方向に延長する態様で形成された把持部(長手方向の端部)43が設けられている。把持部43には、絶縁プレート40の板厚方向に沿って把持部43を貫通する孔43aが形成されている。
【0024】
絶縁プレート40は、図1に示すように、下節柱10および上節柱20が延在する方向に長手方向が沿うようにして配置されている。絶縁プレート40の長手方向の長さ寸法L3(図8参照。把持部43を除く)は、組み立てられた状態で、下節柱10のフランジ部10cの位置からリングパネル30の開口までの長さL1(図1参照)とほぼ等しく形成されており、把持部43は、リングパネル30の開口側に位置し、リングパネル30の開口からリングパネル30の外側に向かって突出している。すなわち、絶縁プレート40は、リングパネル30の筒型の延在方向に延びて配設されている。
【0025】
リングパネル30の上側および下側の開口側の端面には、図1に示すように、リング状のカバープレート(カバー部材)50がそれぞれ設けられている。このカバープレート50は、リングパネル30の開口側の両端面に形成されたねじ孔33(図6参照)と螺合する複数のボルト51によって取り付けられている。カバープレート50のリング状の内側部分50aの直径は、リングパネル30の内周面30aの直径よりも小さく、下節柱10および上節柱20の外周面10a,20aの外径よりも大きくなるように形成されている。
【0026】
上節柱20の外周面20aとリングパネル30の内周面30aとの隙間に配置された絶縁プレート40は、図8に示す長手方向の一端部40aがリングパネル30の上端部に取り付けられたカバープレート50と接し、絶縁プレート40の長手方向の他端部(下端部)40bが上節柱20のフランジ部20cと接している。同様に、下節柱10の外周面10aとリングパネル30の内周面30aとの隙間に配設された絶縁プレート40は、図8に示す長手方向の一端部40aがリングパネル30の下端部に取り付けられたカバープレート50と接し、絶縁プレート40の長手方向の他端部40bが下節柱10のフランジ部10cと接している。
【0027】
リングパネル30の内周面30aと上節柱20の外周面20aとの隙間には、絶縁プレート40が配設された状態で、モルタル60が打設されている(図2参照)。このモルタル60は、リングパネル30の内周面30aと上節柱20の外周面20aとの隙間に充填された後、リングパネル30の上側内部32a側からプレート11の貫通孔12を通って下側内部32b側に流動し、リングパネル30の内周面30aと下節柱10の外周面10aとの隙間に流動する。これにより、リングパネル30と下節柱10、およびリングパネル30と上節柱20がモルタル60によって固着されている。
【0028】
さらに、リングパネル30の内周面30aと下節柱10の外周面10aとの隙間、およびリングパネル30の内周面30aと上節柱20の外周面20aとの隙間にある絶縁プレート40も、モルタル60によって固着されている。すなわち、リングパネル30と下節柱10、およびリングパネル30と上節柱20は、その間に絶縁プレート40が介在した状態でモルタル60によって固着されており、かつ、各隙間内にモルタル60によって絶縁プレート40が固着されることでそれぞれが結合している。
【0029】
モルタル60は、リングパネル30の両側の開口の位置まで打設されている。そして、絶縁プレート40の把持部43は、リングパネル30の開口側に形成されたモルタル60の外表面から突出している。
【0030】
また、リングパネル30の外周面30bには、梁65を支持するための支持部材31が設けられている。この支持部材31には、横方向に延びる梁65を周知の技術で接合することができるようになっている。なお、同様な構造によって、斜め方向に延びるブレースなどもリングパネル30に接合することができる。すなわち、下節柱10とリングパネル30との間の隙間、および上節柱20とリングパネル30との間の隙間にそれぞれ充填したモルタル60によって下節柱10および上節柱20にリングパネル30を固着することで下節柱10および上節柱20とともに、梁65やブレースを接合する。また、下節柱10または上節柱20のいずれか一方にリングパネル30を固着することで梁65やブレースを接合するようにしてもよい。なお、図11に示すように、梁65(ブレース)を支持せずに下節柱10および上節柱20を接合する構造であってもよい。
【0031】
本発明の実施の形態に係る躯体接合構造は、以下の手順によって組み立てることができる。(1)下節柱10を鉛直方に向けて建てる。下節柱10の上側接合端部には、予め複数の絶縁プレート40を下節柱10の外周面10aの円周方向に沿って配置し、結束線で巻きつけておく。(2)リングパネル30の一方の開口を下側に向け、リングパネル30を下節柱10の上側接合端部に被せるようにして取り付ける。(3)上節柱20をリングパネル30の上側の開口から挿入する。(4)リングパネル30の内周面30aと上節柱20の外周面20aとの間に、絶縁プレート40を挿入する。絶縁プレート40は、下節柱10の外周面10aの円周方向に沿って並設しつつ、リングパネル30の筒型の延在方向に延びるように長手方向がリングパネル30の開口から上節柱20の延在する方向に向いて配置する。(5)カバープレート50を複数のボルト51を用いてリングパネル30の開口側の両端面にそれぞれ取り付ける。(6)リングパネル30の内周面30aと上節柱20の外周面20aとの隙間にモルタル60を充填する。モルタル60は、上側内部32aの隙間からプレート11の貫通孔12を通って下側内部32bの隙間に流動してゆき、リングパネル30と下節柱10、およびリングパネル30と上節柱20を結合させる。
【0032】
上述のように組み立てられた躯体接合構造では、例えば、リングパネル30から下節柱10または上節柱20を引き抜こうとする力が作用したときに、図10に示すように、絶縁プレート40の一端部40aがカバープレート50と当接するとともに、絶縁プレート40の他端部40bがフランジ部10cまたはフランジ部20cと当接することにより、絶縁プレート40が引き抜き力に対して抵抗する(図10の抵抗力P)ようになる。また、打設したモルタル60が、抵抗力Pによって絶縁プレート40が座屈しようとするのを抑えるように作用する。
【0033】
他方、地震による曲げ力が下節柱10または上節柱20に作用した場合、打設したモルタル60がリングパネル30の内周面30aと下節柱10の外周面10aまたは上節柱20の外周面20aとの間に作用する圧縮する力に対して抵抗するようになる。
【0034】
本発明の実施の形態に係る躯体接合構造は、以下の手順によって解体することができる。(1)複数のボルト51を取り外して、カバープレート50をリングパネル30の開口側の両端面からそれぞれ取り外す。(2)リングパネル30の内周面30aと上節柱20の外周面20aとの間に介在する複数の絶縁プレート40をモルタル60の付着力に抗して引き抜く。絶縁プレート40を引き抜くときには、把持部43の孔43aに引き抜き用の治具を取り付け、リングパネル30の開口から上節柱20の延在する方向に沿って上側に引き抜くようにする。(3)上節柱20をリングパネル30から引き抜く。(4)リングパネル30の内周面30aと下節柱10の外周面10aとの間に介在する複数の絶縁プレート40をモルタル60の付着力に抗して引き抜く。絶縁プレート40を引き抜くときには、把持部43の孔43aに引き抜き用の治具を取り付け、リングパネル30の開口から下節柱10の延在する方向に沿って下側に引き抜くようにする。(5)リングパネル30を下節柱10の上端部から引き抜く。
【0035】
ここで、躯体接合構造の各部の寸法の一例を示すと、下節柱10および上節柱20の直径D1(図1参照)は約600mm、下節柱10および上節柱20とリングパネル30とのそれぞれが固着される長さL1(図1参照)は約450mm、絶縁プレート40の幅寸法L2(図8参照)は約90mm、打設されたモルタル60の厚み(下節柱10および上節柱20とリングパネル30との隙間)は約20mmである。絶縁プレート40の長手方向の寸法L3(図8参照)は、L1と同等の長さに形成されている。上述の寸法で絶縁プレート40および上節柱20の引き抜き力を測定した結果、絶縁プレート40を1枚引き抜くのに要した力は約6860Nであった。
【0036】
一方、絶縁プレート40を全く使用しない状態で、上節柱20をリングパネル30から引き抜こうとした場合、引き抜きに必要な力は、計算値で754kNであるのに対し、絶縁プレート40を15枚用いて本実施の形態に係る躯体接合構造を組み立てた後に絶縁プレート40を全て引き抜き、さらに上節柱20をリングパネル30から引き抜くときの引き抜き力を測定した結果、必要な引き抜き力は約9800Nであった。また、引き抜き後の上節柱20、リングパネル30、絶縁プレート40には損傷がなく解体することができ、全ての部材を再利用することができることが確認できた。
【0037】
本発明の実施の形態1に係る躯体接合構造は、下節柱10とリングパネル30との間の隙間、および上節柱20とリングパネル30との間の隙間にそれぞれ充填したモルタル60によって下節柱10および上節柱20にリングパネル30を固着することで下節柱10を延長する態様で下節柱10と上節柱20とを接合する躯体接合構造において、下節柱10、上節柱20またはリングパネル30へのモルタル60の付着力を減らす態様で前記隙間に絶縁プレート(絶縁部材:棒状部材)40を介在した。具体的に絶縁プレート40は、リングパネル30で覆う下節柱10および上節柱20の周囲に沿って複数並設されつつ、リングパネル30の筒型の延在方向に延びて長手状に設けられて、前記隙間に充填したモルタル60によって当該隙間内に固着され、その長手方向の端部(把持部43)が隙間に充填したモルタル60の外表面から突出している。
【0038】
このため、通常時、リングパネル30から下節柱10または上節柱20を引き抜こうとする力が作用した場合には、隙間に打設したモルタル60が引き抜き力に抗する。他方、下節柱10または上節柱20に曲げ力が作用した場合には、隙間に打設したモルタル60がリングパネル30の内周面30aと下節柱10の外周面10aまたは上節柱20の外周面20aとの間に作用する圧縮する力に対して抵抗する。
【0039】
特に、建物の解体時において、絶縁プレート40の把持部43を把持しモルタル60の固着力に抗してリングパネル30から絶縁プレート40を引き抜くことで、隙間に打設したモルタル60に引き抜いた絶縁プレート40による空隙が周方向に沿って形成されることになる。この結果、絶縁プレート40を引き抜いて形成された空隙によって下節柱10とリングパネル30との間、および上節柱20とリングパネル30との間で固まっているモルタル60の周方向の断面積を小さくするので、下節柱10とリングパネル30、および上節柱20とリングパネル30がモルタル60によって結合されている力(付着力)が減少する。すなわち、上記通常時と比較して小さい引き抜き力によって下節柱10および上節柱20をリングパネル30から引き抜くことができる。従って、リングパネル30を破壊することなく下節柱10および上節柱20を解体することができ、解体後の下節柱10および上節柱20とリングパネル30とを共に再利用することができる。
【0040】
絶縁プレート40をリングパネル30から引き抜くことができるのは、モルタル60によって固着されている絶縁プレート40の面積がモルタル60によって固着されている下節柱10および上節柱20の接合端部の外周面10a,20aの面積よりも小さいことによる。つまり、絶縁プレート40の方がモルタル60によって固定されている力が小さく、それぞれの絶縁プレート40をリングパネル30から引き抜くための引き抜き力の方が下節柱10および上節柱20をリングパネル30から引き抜くための引き抜き力と比べて少なくてすむためである。このように、下節柱10とリングパネル30、および上節柱20とリングパネル30がモルタル60によって結合されている力は、打設されたモルタル60の周方向の断面積の大きさによって決まることになる。
【0041】
なお、棒状部材として、絶縁プレート40の替わりに、断面形状が丸形の棒状の絶縁部材80(図12−1および図12−2参照)を用いることもできる。また、断面形状が長方形の平板の絶縁部材81(図13−1および図13−2参照)、両側部を同じ方向に折り曲げた断面U字型の形状の絶縁部材82(図14−1および図14−2参照)、または断面ほぼH字型の形状の絶縁部材83(図15−1および図15−2参照)であってもかまわない。これにより、絶縁部材80〜83をモルタル60から引き抜いて、モルタル60の内部に絶縁部材80〜83の外形形状と同形状の空隙を形成することができる。
【0042】
さらに、絶縁プレート40(絶縁部材80,81,82,83)の外側に、グリスなどの潤滑剤を塗布してもよい。潤滑剤は、絶縁プレート40(絶縁部材80,81,82,83)とモルタル60との摩擦力を小さくして、絶縁プレート40(絶縁部材80,81,82,83)の引き抜き力を小さくする。このため、絶縁プレート40(絶縁部材80,81,82,83)を容易に引き抜けるようにすることができる。従って、躯体の解体性を向上させることができる。
【0043】
ところで、下節柱10とリングパネル30との隙間に打設したモルタル60は、カバープレート50とフランジ部10cとの間で、リングパネル30から下節柱10を引き抜こうとする力に対して抵抗する。同様に、上節柱20とリングパネル30との隙間に打設したモルタル60は、カバープレート50とフランジ部20cとの間で、リングパネル30から上節柱20を引き抜こうとする力に対して抵抗する。すなわち、カバープレート50を設けることによって、当該カバープレート50とフランジ部10c,20cとの間で下節柱10および上節柱20をリングパネル30から引き抜こうとする引き抜き力に抗することから、リングパネル30の下側内部32bへの下節柱10の呑込み長さを抑えることが可能になり、リングパネル30の上側内部32aへの上節柱20の呑込み長さを抑えることが可能になる。この結果、カバープレート50を設けることでリングパネル30の筒型の延在寸法を小さくすることが可能になる。
【0044】
逆に、リングパネル30の下側内部32bへの下節柱10の呑込み長さ、およびリングパネル30の上側内部32aへの上節柱20の呑込み長さが十分に得られるように、リングパネル30の筒型の延在寸法を大きくすれば、リングパネル30の内周面30aとモルタル60との摩擦力が有効に作用するため、カバープレート50が無くても下節柱10および上節柱20の引き抜き力に抵抗することになる。
【0045】
ここで、図16〜図26を参照して柱(ここでは上節柱20を示す)のせん断力と柱20の呑込み長さL1の関係を考察する。図16は柱の抜け出しが生じる瞬間の接合内部(上側内部32a)での力の作用状態を示す縦断面図、図17は図16で示す力の作用状態を示す平面図、図18は図16の円で囲む部分の拡大図、図19〜図22はFEM解析モデルを示す図、図23は解析諸元を示す図、図24は解析パラメータを示す図、図25および図26はFEM解析から得られた支圧領域の検討結果を示す図である。
【0046】
図16および図17に示すように柱20に生じるせん断力をQsとすると、Qsの作用によって柱20は、A点を中心に回転し、そのときに生じる抵抗力として、リングパネル(外鋼管)30の端部の支圧力NEと、当該支圧力NEによって生じる摩擦力μNE、柱20の端部の支圧力NC、さらに、リングパネル30の端部のカバープレート50による支圧力NBが作用するものとする。A点回りの回転抵抗は、下記式(1)に示すように、これらの力にそれぞれの重心間距離を乗じた値の和となる。
【0047】
【数1】


【0048】
上記式(1)において、リングパネル(外鋼管)30の端部の支圧力NEは、下記式(2)で示す。ここで、式(2)のLEは0.5L1であり(後述のFEM解析結果から算出)、LPは柱20からリングパネル30へ投影した円弧の長さであり(図17参照)、Fmはモルタル60の圧縮強度である。
【0049】
【数2】


【0050】
また、上記式(1)において、柱20の端部の支圧力NCは、下記式(3)で示す。ここで、式(3)のLCは、0.12L1(L1/D)-0.85である(後述のFEM解析結果から算出)。
【0051】
【数3】


【0052】
また、上記式(1)において、カバープレート50による支圧力NBは、下記式(4)で示す。ここで、式(4)のnはLPの範囲内のボルト51の本数であり、PBは1本のボルト51の軸降伏耐力である。
【0053】
【数4】


【0054】
また、上記式(1)において、摩擦係数μは0.5とし、L2は柱20のモーメント分布の反極点までの高さとする。
【0055】
なお、上記躯体接合構造の接合部の場合は、リングパネル30の端部の摩擦力μNEと、柱20の端部の支圧力NCとに対する重心間距離が無視できる値(ほとんど0)になるので、上記式(1)は、下記式(5)に示すように簡略化できる。
【0056】
【数5】


【0057】
また、上記式(2)の支圧力NEと、上記式(3)の支圧力NCBを算出する際に用いる有効領域および支圧応力分布は、FEM解析(有限要素解析)によって算出した。FEM解析モデルとしては、図19および図20に示す有効領域とし、図21および図22で示す支圧応力分布となる。また、解析諸元を図23に示し、解析パラメータを図24に示す。
【0058】
そして、FEM解析から得られた支圧領域の検討結果としては、図25−1および図25−2に示すようにリングパネル30の端部側の支圧領域の高さLEは、柱20の呑込み長さL1が柱20の径Dに対して0.75〜1.25の範囲でほぼ一定の値(柱20の呑込み長さL1の半分)となる。また、図26−1および図26−2に示すように柱20の端部側の支圧領域の高さLCは、柱20の呑込み長さL1が大きくなると当該LCも大きくなる傾向があることがわかる。また、支圧力NEとNCとから摩擦力μNEとμNCとを算出する際に用いた摩擦係数μは、安全性を考慮して0.5を採用した。なお、カバープレート50を省略する場合は、上記式(5)のNBを0として算定する。
【0059】
すなわち、カバープレート50が無くても下節柱10および上節柱20の引き抜き力に抵抗するように、リングパネル30の下側内部32bへの下節柱10の呑込み長さ、およびリングパネル30の上側内部32aへの上節柱20の呑込み長さを得ることができる。
【0060】
[実施の形態2]
図27は本発明の実施の形態2に係る躯体接合構造の縦断面図、図28は図27のC−Cから見た状態を示す断面図である。なお、以下に説明する実施の形態2において、上述した実施の形態1と同等部分には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
本実施の形態における躯体接合構造は、図27および図28に示すように、躯体としての下節柱10と上節柱20とをリングパネル30を介して接合するものである。具体的には、下節柱10とリングパネル30との間の隙間、および上節柱20とリングパネル30との間の隙間にそれぞれ充填したモルタル60によって下節柱10および上節柱20にリングパネル30を固着することで下節柱10を延長する態様で下節柱10と上節柱20とを接合する。特に、本実施の形態における躯体接合構造では、下節柱10またはリングパネルへのモルタル60の付着力、上節柱20またはリングパネルへのモルタル60の付着力を減らす態様で前記隙間に絶縁部材70を介在してある。
【0062】
リングパネル30の内周面30aには、図27および図28に示すように、絶縁シート(絶縁部材:シート状部材)70が配設されている。絶縁シート70は、リングパネル30の周方向に沿って連続する態様でリングパネル30の内周面30aのほぼ全域に貼り付けられている。すなわち、絶縁シート70は、組み立てられた状態で、下節柱10の外周面10a、および上節柱20の外周面20aに対向するようにリングパネル30の筒型の延在方向に延びて配設されている。この絶縁シート70は、下節柱10とリングパネル30との間の隙間、および上節柱20とリングパネル30との間の隙間にそれぞれ充填したモルタル60とリングパネル30の内周面30a側との間の摩擦抵抗を低減する材料(例えばフッ素樹脂など)で形成されている。
【0063】
本発明の実施の形態に係る躯体接合構造は、以下の手順によって組み立てることができる。(1)下節柱10を鉛直方に向けて建てる。(2)リングパネル30の一方の開口を下側に向け、リングパネル30を下節柱10の上側接合端部に被せるようにして取り付ける。リングパネル30の内周面30aには、予め絶縁シート70を配設しておく。(3)上節柱20をリングパネル30の上側の開口から挿入する。(4)カバープレート50を複数のボルト51を用いてリングパネル30の開口側の両端面にそれぞれ取り付ける。(5)リングパネル30の内周面30aと上節柱20の外周面20aとの隙間にモルタル60を充填する。モルタル60は、上側内部32aの隙間からプレート11の貫通孔12を通って下側内部32bの隙間に流動してゆき、リングパネル30と下節柱10、およびリングパネル30と上節柱20を結合させる。
【0064】
上述のように組み立てられた躯体接合構造では、例えば、リングパネル30から下節柱10または上節柱20を引き抜こうとする力が作用したときに、下節柱10とリングパネル30との隙間に打設したモルタル60が、カバープレート50とフランジ部10cとの間で、リングパネル30から下節柱10を引き抜こうとする力に対して抵抗する。同様に、上節柱20とリングパネル30との隙間に打設したモルタル60が、カバープレート50とフランジ部20cとの間で、リングパネル30から上節柱20を引き抜こうとする力に対して抵抗する。
【0065】
他方、地震による曲げ力が下節柱10または上節柱20に作用した場合、打設したモルタル60がリングパネル30の内周面30aと下節柱10の外周面10aまたは上節柱20の外周面20aとの間に作用する圧縮する力に対して抵抗するようになる。
【0066】
本発明の実施の形態に係る躯体接合構造は、以下の手順によって解体することができる。(1)複数のボルト51を取り外して、カバープレート50をリングパネル30の開口側の両端面からそれぞれ取り外す。(2)上節柱20をリングパネル30から引き抜く。このとき、モルタル60とリングパネル30の内周面30a側との間は、絶縁シート70によって摩擦抵抗が低減されている。すなわち、モルタル60とリングパネル30の内周面30a側との間は、絶縁シート70によってモルタル60の付着力が抑えられているので、上節柱20をリングパネル30から引き抜く際には、上節柱20およびモルタル60が共にリングパネル30から引き抜かれる。(3)リングパネル30を下節柱10の上端部から引き抜く。このとき、モルタル60とリングパネル30の内周面30a側との間は、絶縁シート70によって摩擦抵抗が低減されている。すなわち、モルタル60とリングパネル30の内周面30a側との間は、絶縁シート70によってモルタル60の付着力が抑えられているので、リングパネル30を下節柱10から引き抜く際には、下節柱10およびモルタル60を共に残すようにしてリングパネル30が引き抜かれる。
【0067】
ここで、躯体接合構造の各部の寸法の一例を示すと、下節柱10および上節柱20の直径D1(図1参照)は約600mm、下節柱10および上節柱20とリングパネル30とのそれぞれが固着される長さL1(図1参照)は約450mm、絶縁プレート40の幅寸法L2(図8参照)は約90mm、打設されたモルタル60の厚み(下節柱10および上節柱20とリングパネル30との隙間)は約20mmである。このとき上節柱20の引き抜き力を測定した結果、約20kNであった。一方、絶縁シート70を全く使用しない状態で、上節柱20をリングパネル30から引き抜こうとした場合、引き抜きに必要な力は、計算値で754kNであった。また、引き抜き後の上節柱20、リングパネル30には損傷がなく解体することができ、全ての部材を再利用することができることが確認できた。
【0068】
本発明の実施の形態2に係る躯体接合構造は、下節柱10とリングパネル30との間の隙間、および上節柱20とリングパネル30との間の隙間にそれぞれ充填したモルタル60によって下節柱10および上節柱20にリングパネル30を固着することで下節柱10を延長する態様で下節柱10と上節柱20とを接合する躯体接合構造において、下節柱10、上節柱20またはリングパネル30へのモルタル60の付着力を減らす態様で前記隙間に絶縁シート(絶縁部材:シート状部材)70を介在した。具体的に絶縁シート70は、リングパネル30の内周面30aに沿って配設されつつ、リングパネル30の筒型の延在方向に延びて配設されて、前記隙間に充填したモルタル60とリングパネル30の内周面30a側との間の摩擦抵抗を低減する。
【0069】
このため、通常時、リングパネル30から下節柱10または上節柱20を引き抜こうとする力が作用した場合には、隙間に打設したモルタル60が引き抜き力に抗する。他方、下節柱10または上節柱20に曲げ力が作用した場合には、隙間に打設したモルタル60がリングパネル30の内周面30aと下節柱10の外周面10aまたは上節柱20の外周面20aとの間に作用する圧縮する力に対して抵抗する。
【0070】
特に、建物の解体時においては、モルタル60とリングパネル30の内周面30a側との間でのモルタル60の付着力が絶縁シート70によって抑えられているので、上記通常時と比較して小さい引き抜き力によって下節柱10および上節柱20をリングパネル30から引き抜くことができる。従って、リングパネル30を破壊することなく下節柱10および上節柱20を解体することができ、解体後の下節柱10および上節柱20とリングパネル30とを共に再利用することができる。また、実施の形態1における絶縁プレート40(81,82,83,84)を必要とせず構成が簡素であり施工を容易にすることができる。また、モルタルを打設する前に隙間が空いているので下節柱10および上節柱20の建て方時の施工誤差を吸収することができる。
【0071】
なお、上述した全ての実施の形態においては、構造部材(躯体)として下節柱10および上節柱20を用いて説明したが、横方向へ延びる梁と、該梁を延長する態様で配置された延長梁とを接合する構造についても適用することができる。この場合、リングパネル30の開口を横方向に向けて配置し、リングパネル30の内部に梁および延長梁の端部をそれぞれ挿入し、絶縁プレート40を横方向に引き抜き可能に取り付けるようにする。さらに、斜め方向に向けて延びるブレースについても本願の構造部材に含まれており、リングパネル30の開口をブレースの延在方向に斜めに向けて配置することにより、同様に接合することができる。
【0072】
また、下節柱10および上節柱20の形状を円筒形状として説明したが、角柱形状や、断面H型の鋼材であってもそれぞれ接合することができる。この場合、リングパネル30の筒型形状における断面形状を角柱や断面H型の鋼材の外周面の形状に合わせて形成し、リングパネル30の内周面と角柱や断面H型の鋼材の外周面との隙間を等間隔にする。この隙間に絶縁プレート40を設けてモルタル60を打設する。絶縁プレート40は、リングパネル30の開口から引き抜くことができるようにする。これにより、下節柱10および上節柱20の形状にかかわらず、躯体接合構造を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明に係る躯体接合構造は、建物の建築時に建物の柱と柱または梁と梁などの構造部材(躯体)を接合する場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態1に係る躯体接合構造の縦断面図である。
【図2】図1に示した躯体接合構造の平面図である。
【図3】図1に示した下節柱および上節柱の縦断面図である。
【図4】図3のB−Bから見た状態を示す平面図である。
【図5】図3のA部を示す拡大図である。
【図6】図1に示したリングパネルの縦断面図である。
【図7】図6に示したリングパネルの平面図である。
【図8】図1に示した絶縁部材の正面図である。
【図9】図8に示した絶縁部材の平面図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る躯体接合構造の抵抗力を示す概要図である。
【図11】他の実施の形態に係る躯体接合構造を正面から見た状態の断面図である。
【図12−1】本発明の実施の形態に係る躯体接合構造に使用する絶縁部材の他の実施例を示す正面図である。
【図12−2】図12−1の平面図である。
【図13−1】本発明の実施の形態に係る躯体接合構造に使用する絶縁部材の他の実施例を示す正面図である。
【図13−2】図13−1の平面図である。
【図14−1】本発明の実施の形態に係る躯体接合構造に使用する絶縁部材の他の実施例を示す正面図である。
【図14−2】図14−1の平面図である。
【図15−1】本発明の実施の形態に係る躯体接合構造に使用する絶縁部材の他の実施例を示す正面図である。
【図15−2】図15−1の平面図である。
【図16】柱の抜け出しが生じる瞬間の接合内部での力の作用状態を示す縦断面図である。
【図17】図16で示す力の作用状態を示す平面図である。
【図18】図16の円で囲む部分の拡大図である。
【図19】FEM解析モデルを示す図である。
【図20】FEM解析モデルを示す図である。
【図21】FEM解析モデルを示す図である。
【図22】FEM解析モデルを示す図である。
【図23】解析諸元を示す図である。
【図24】解析パラメータを示す図である。
【図25−1】リングパネルの端部側の支圧領域の高さを示す図である。
【図25−2】リングパネルの端部側の支圧領域の高さを示す図である。
【図26−1】柱の端部側の支圧領域の高さを示す図である。
【図26−2】柱の端部側の支圧領域の高さを示す図である。
【図27】本発明の実施の形態2に係る躯体接合構造の縦断面図である。
【図28】図27のC−Cから見た状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0075】
10 下節柱
10a 外周面
10b 端面
10c フランジ部
11 プレート
12 貫通孔
20 上節柱
20a 外周面
20b 端面
20c フランジ部
30 リングパネル
30a 内周面
30b 外周面
31 支持部材
32a 上側内部
32b 下側内部
33 ねじ孔
40 絶縁プレート(絶縁部材:棒状部材)
40a 一端部
40b 他端部
43 把持部(長手方向の端部)
43a 孔
50 カバープレート(カバー部材)
50a カバープレートの内側部分
51 ボルト
60 モルタル
65 梁
70 絶縁シート(絶縁部材:シート状部材)
80,81,82,83 絶縁部材
P 抵抗力
D1 下節柱および上節柱の直径
L1 リングパネルの固着長さ
L2 絶縁プレートの幅寸法
L3 絶縁プレートの長手方向の長さ寸法




 

 


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