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発明の名称 地盤・構造物沈下量予測方法およびプログラム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9558(P2007−9558A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−192505(P2005−192505)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
発明者 堀田 洋之 / 社本 康広
要約 課題
構造物が存在する地盤を対象として、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を予測することができる地盤・構造物沈下量予測方法およびプログラムを提供することを課題とする。

解決手段
本発明を実施する地盤・構造物沈下量予測装置100は、地盤データ、構造物データおよび地震動データを含む予め入力された入力データに基づいて解析モデルを生成し、入力データに基づいて地震時の地盤のひずみを計算し、計算した地震時の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤のひずみを計算し、計算した液状化後の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の等価な地盤定数を設定し、設定した等価な地盤定数、生成した解析モデルおよび入力データに基づいて所定の計算手法で液状化後の地盤および構造物の沈下量を計算する。
特許請求の範囲
【請求項1】
構造物が存在する地盤を対象として、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を予測する地盤・構造物沈下量予測方法であって、
地盤の形状や性質に関する地盤データ、構造物の形状や特徴に関する構造物データおよび地震動の波形や揺れの方向に関する地震動データを含む予め入力された入力データに基づいて、地盤および構造物の形状を反映した解析モデルを生成する解析モデル生成ステップと、
前記入力データに基づいて地震時の地盤のひずみを計算する地震時地盤ひずみ計算ステップと、
前記地震時地盤ひずみ計算ステップで計算した地震時の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤のひずみを計算する液状化後地盤ひずみ計算ステップと、
前記液状化後地盤ひずみ計算ステップで計算した液状化後の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の等価な地盤定数を設定する地盤定数設定ステップと、
前記地盤定数設定ステップで設定した等価な地盤定数、前記解析モデル生成ステップで生成した解析モデルおよび前記入力データに基づいて所定の計算手法で液状化後の地盤および構造物の沈下量を計算する地盤・構造物沈下量計算ステップと、
を含むことを特徴とする地盤・構造物沈下量予測方法。
【請求項2】
前記地震時地盤ひずみ計算ステップは、前記入力データに基づいて等価繰り返しせん断応力比および補正N値を計算し、計算した等価繰り返しせん断応力比および補正N値に基づいて地震時の地盤の最大せん断ひずみを計算すること
を特徴とする請求項1に記載の地盤・構造物沈下量予測方法。
【請求項3】
前記液状化後地盤ひずみ計算ステップは、前記地震時地盤ひずみ計算ステップで計算した地震時の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の最大残留体積ひずみを計算し、計算した最大残留体積ひずみに基づいて地盤の沈下に寄与する残留体積ひずみを計算すること
を特徴とする請求項1または2に記載の地盤・構造物沈下量予測方法。
【請求項4】
構造物が存在する地盤を対象として、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を予測する地盤・構造物沈下量予測方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
地盤の形状や性質に関する地盤データ、構造物の形状や特徴に関する構造物データおよび地震動の波形や揺れの方向に関する地震動データを含む予め入力された入力データに基づいて、地盤および構造物の形状を反映した解析モデルを生成する解析モデル生成ステップと、
前記入力データに基づいて地震時の地盤のひずみを計算する地震時地盤ひずみ計算ステップと、
前記地震時地盤ひずみ計算ステップで計算した地震時の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤のひずみを計算する液状化後地盤ひずみ計算ステップと、
前記液状化後地盤ひずみ計算ステップで計算した液状化後の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の等価な地盤定数を設定する地盤定数設定ステップと、
前記地盤定数設定ステップで設定した等価な地盤定数、前記解析モデル生成ステップで生成した解析モデルおよび前記入力データに基づいて所定の計算手法で液状化後の地盤および構造物の沈下量を計算する地盤・構造物沈下量計算ステップと、
を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
前記地震時地盤ひずみ計算ステップは、前記入力データに基づいて等価繰り返しせん断応力比および補正N値を計算し、計算した等価繰り返しせん断応力比および補正N値に基づいて地震時の地盤の最大せん断ひずみを計算すること
を特徴とする請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記液状化後地盤ひずみ計算ステップは、前記地震時地盤ひずみ計算ステップで計算した地震時の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の最大残留体積ひずみを計算し、計算した最大残留体積ひずみに基づいて地盤の沈下に寄与する残留体積ひずみを計算すること
を特徴とする請求項4または5に記載のプログラム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物が存在する地盤を対象として、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を予測する地盤・構造物沈下量予測方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地震時に液状化の発生が想定される地盤に構造物を建設する場合には、地盤の改良などの対策を施すことで液状化の発生を防止することが原則であった。しかし、近年では、性能設計への移行に伴ない、液状化の発生を完全に防止するのではなく液状化の発生をある程度許容した上で液状化後の沈下を許容値以内に抑えることが施工性や経済性の観点から見て合理的であるという考え方が浸透しつつある。
【0003】
ところが、当該考え方に基づいて地盤や構造物の設計を行うためには、液状化後の地盤および構造物の沈下量を適切に評価する必要がある。液状化後の地盤の沈下量や挙動を評価する従来技術として、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3などが開示されている。特許文献1には、液状化による地盤の体積ひずみが地盤の初期間隙比にのみ依存するという考え方に基づいて液状化後の地盤の沈下量を算定する技術が開示されている。また、特許文献2には、土の繰り返しせん断時およびその後の土の挙動を数値モデルではなく原位置の土試料の要素試験から直接的に得る技術が開示されている。これにより、実現象に近い土の挙動を得ることができる。さらに、特許文献3には、「下水道施設の耐震対策指針と解説」(日本下水道協会、1997年)における地盤沈下量判定指針に従って液状化層の地盤の沈下量を算定する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−285536号公報
【特許文献2】特開2003−278171号公報
【特許文献3】特開2003−294850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、構造物が存在しない地盤を対象として液状化後の沈下量を算定しているので、構造物が存在する地盤を対象とした場合、従来技術の沈下量算定手法をそのまま適用することはできず、その結果、液状化後の地盤および構造物の沈下量を算定することができなかった、という問題点があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、構造物が存在する地盤を対象として、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を予測することができる地盤・構造物沈下量予測方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明にかかる請求項1に記載の地盤・構造物沈下量予測方法は、構造物が存在する地盤を対象として、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を予測する地盤・構造物沈下量予測方法であって、地盤の形状や性質に関する地盤データ、構造物の形状や特徴に関する構造物データおよび地震動の波形や揺れの方向に関する地震動データを含む予め入力された入力データに基づいて、地盤および構造物の形状を反映した解析モデルを生成する解析モデル生成ステップと、前記入力データに基づいて地震時の地盤のひずみを計算する地震時地盤ひずみ計算ステップと、前記地震時地盤ひずみ計算ステップで計算した地震時の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤のひずみを計算する液状化後地盤ひずみ計算ステップと、前記液状化後地盤ひずみ計算ステップで計算した液状化後の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の等価な地盤定数を設定する地盤定数設定ステップと、前記地盤定数設定ステップで設定した等価な地盤定数、前記解析モデル生成ステップで生成した解析モデルおよび前記入力データに基づいて所定の計算手法で液状化後の地盤および構造物の沈下量を計算する地盤・構造物沈下量計算ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる請求項2に記載の地盤・構造物沈下量予測方法は、本発明にかかる請求項1に記載の地盤・構造物沈下量予測方法において、前記地震時地盤ひずみ計算ステップは、前記入力データに基づいて等価繰り返しせん断応力比および補正N値を計算し、計算した等価繰り返しせん断応力比および補正N値に基づいて地震時の地盤の最大せん断ひずみを計算することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる請求項3に記載の地盤・構造物沈下量予測方法は、本発明にかかる請求項1または2に記載の地盤・構造物沈下量予測方法において、前記液状化後地盤ひずみ計算ステップは、前記地震時地盤ひずみ計算ステップで計算した地震時の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の最大残留体積ひずみを計算し、計算した最大残留体積ひずみに基づいて地盤の沈下に寄与する残留体積ひずみを計算することを特徴とする。
【0010】
また、本発明はプログラムに関するものであり、本発明にかかる請求項4に記載のプログラムは、構造物が存在する地盤を対象として、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を予測する地盤・構造物沈下量予測方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、地盤の形状や性質に関する地盤データ、構造物の形状や特徴に関する構造物データおよび地震動の波形や揺れの方向に関する地震動データを含む予め入力された入力データに基づいて、地盤および構造物の形状を反映した解析モデルを生成する解析モデル生成ステップと、前記入力データに基づいて地震時の地盤のひずみを計算する地震時地盤ひずみ計算ステップと、前記地震時地盤ひずみ計算ステップで計算した地震時の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤のひずみを計算する液状化後地盤ひずみ計算ステップと、前記液状化後地盤ひずみ計算ステップで計算した液状化後の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の等価な地盤定数を設定する地盤定数設定ステップと、前記地盤定数設定ステップで設定した等価な地盤定数、前記解析モデル生成ステップで生成した解析モデルおよび前記入力データに基づいて所定の計算手法で液状化後の地盤および構造物の沈下量を計算する地盤・構造物沈下量計算ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる請求項5に記載のプログラムは、本発明にかかる請求項4に記載のプログラムにおいて、前記地震時地盤ひずみ計算ステップは、前記入力データに基づいて等価繰り返しせん断応力比および補正N値を計算し、計算した等価繰り返しせん断応力比および補正N値に基づいて地震時の地盤の最大せん断ひずみを計算することを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる請求項6に記載のプログラムは、本発明にかかる請求項4または5に記載のプログラムにおいて、前記液状化後地盤ひずみ計算ステップは、前記地震時地盤ひずみ計算ステップで計算した地震時の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の最大残留体積ひずみを計算し、計算した最大残留体積ひずみに基づいて地盤の沈下に寄与する残留体積ひずみを計算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、構造物が存在する地盤を対象として、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を予測するにあたって、地盤の形状や性質に関する地盤データ、構造物の形状や特徴に関する構造物データおよび地震動の波形や揺れの方向に関する地震動データを含む予め入力された入力データに基づいて、地盤および構造物の形状を反映した解析モデルを生成し、入力データに基づいて地震時の地盤のひずみを計算し、計算した地震時の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤のひずみを計算し、計算した液状化後の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の等価な地盤定数を設定し、設定した等価な地盤定数、生成した解析モデルおよび入力データに基づいて所定の計算手法で液状化後の地盤および構造物の沈下量を計算するので、構造物が存在する地盤を対象として地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を予測することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明によれば、地震時の地盤のひずみの計算において、入力データに基づいて等価繰り返しせん断応力比および補正N値を計算し、計算した等価繰り返しせん断応力比および補正N値に基づいて地震時の地盤の最大せん断ひずみを計算するので、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を簡便に予測することができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明によれば、液状化後の地盤のひずみの計算において、計算した地震時の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の最大残留体積ひずみを計算し、計算した最大残留体積ひずみに基づいて地盤の沈下に寄与する残留体積ひずみを計算するので、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を簡便に予測することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明にかかる地盤・構造物沈下量予測方法およびプログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
まず、本発明を実施する地盤・構造物沈下量予測装置100の構成について図1を参照して説明する。図1は地盤・構造物沈下量予測装置100の構成の一例を示す図である。
【0018】
地盤・構造物沈下量予測装置100は、図1に示すように、データ入力部102と、演算部104と、記憶部106と、出力データ変換部108と、図化出力部110と、CG表示部112と、計算値出力部114と、で構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0019】
データ入力部102は、地盤の形状や性質に関する地盤データ、構造物の形状や特徴に関する構造物データおよび地震動の波形や揺れの方向に関する地震動データを含むデータ(入力データ)を入力するための手段である。
【0020】
演算部104は、地盤や構造物や地震動に関する既成のデータである既成生データおよび入力データに基づいて、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を予測するための各種処理を実行する。演算部104は、図1に示すように、解析モデル生成部104aと、地震時地盤ひずみ計算部104bと、液状化後地盤ひずみ計算部104cと、地盤定数設定部104dと、地盤・構造物沈下量計算部104eと、で構成されている。
【0021】
解析モデル生成部104aは、入力データや既成生データに基づいて、地盤および構造物の形状を反映した解析モデルを生成する。
【0022】
地震時地盤ひずみ計算部104bは、入力データに基づいて地震時(液状化時)の地盤のひずみを計算する。具体的には、入力データに基づいて等価繰り返しせん断応力比および補正N値を計算し、計算した等価繰り返しせん断応力比および補正N値に基づいて地震時の地盤の最大せん断ひずみを計算する。
【0023】
液状化後地盤ひずみ計算部104cは、地震時地盤ひずみ計算部104bで計算した地震時(液状化時)の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤のひずみを計算する。具体的には、地震時地盤ひずみ計算部104bで計算した地震時の地盤のひずみ(具体的には地震時の地盤の最大せん断ひずみ)に基づいて液状化後の地盤の最大残留体積ひずみを計算し、計算した最大残留体積ひずみに基づいて地盤の沈下に寄与する残留体積ひずみを計算する。
【0024】
地盤定数設定部104dは、液状化後地盤ひずみ計算部104cで計算した液状化後の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の等価な地盤定数を設定する。
【0025】
地盤・構造物沈下量計算部104eは、地盤定数設定部104dで設定した等価な地盤定数、解析モデル生成部104aで生成した解析モデルおよび入力データに基づいて所定の計算手法で液状化後の地盤および構造物の沈下量を計算する。なお、所定の計算手法としては、例えばSteinbrennerの近似解法や有限要素法など既存の計算手法を用いることができる。これにより、液状化後の地盤および構造物の沈下量を、既存の計算手法を用いて容易に計算することができる。
【0026】
記憶部106は、ストレージ手段であり、例えば、RAM、ROM等のメモリ装置や、ハードディスクのような固定ディスク装置や、フレキシブルディスクや、光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、演算部104を構成する各処理部での処理結果や入力データ、既成生データを記憶する。
【0027】
出力データ変換部108は、演算部104を構成する各処理部での処理結果に関するデータを所定の出力形式で出力する際、当該出力形式に応じて当該データを変換する。図化出力部110はデータを図化して出力する。CG表示部112はデータをコンピュータグラフィックス(CG)により動画や静止画で表示する。計算値出力部114は、演算部104を構成する各処理部での処理結果に含まれる計算値を出力する。
【0028】
以上の構成において、地盤・構造物沈下量予測装置100で行われる処理について図2を参照して説明する。図2は地盤・構造物沈下量予測装置100で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【0029】
まず、データ入力部102で、地盤の形状や性質に関する地盤データ、構造物の形状や特徴に関する構造物データおよび地震動の波形や揺れの方向に関する地震動データを含むデータ(入力データ)を入力して設定する(ステップSA−1)。入力データとしては、例えば、検討深さや、当該検討深さにおける全土被り圧、当該検討深さにおける有効土被り圧、標準貫入試験のトンビ法または自由落下法による実測N値、細粒分含有率、地震のマグニチュード、地表面での最大加速度などが挙げられる。
【0030】
つぎに、解析モデル生成部104aで、ステップSA−1で設定した入力データに基づいて地盤および構造物の形状を反映した解析モデル(計算用モデル、地盤モデル)を生成する(ステップSA−2)。
【0031】
つぎに、地震時地盤ひずみ計算部104bで、ステップSA−1で設定した入力データに基づいて地震時(液状化時)の地盤のひずみを計算する(ステップSA−3)。具体的には、ステップSA−1で設定した入力データに基づいて等価繰り返しせん断応力比および補正N値を計算し、計算した等価繰り返しせん断応力比および補正N値に基づいて地震時の地盤の最大せん断ひずみを計算する。なお、地震時の地盤の最大せん断ひずみの値は有効応力解析などの手法を用いて求めてもよい。また、地震時に発生する最大せん断ひずみを地盤モデルより計算してもよい。
【0032】
ここで、地震時の地盤の最大せん断ひずみの計算手順の一例について具体的に説明する。
〔1−1〕まず、入力データを下記数式1および下記数式2にそれぞれ代入して、地震時に地盤の各深さに発生する等価繰り返しせん断応力比“τd/σ'z”および補正N値“Na”を計算する。
【数1】


数式1において、“M”は地震のマグニチュードである。“αmax”は地表面での最大加速度である。“g”は重力加速度である。“z”は検討深さ(m)である。“σz”および“σ'z”はそれぞれ、検討深さ“z”における全土被り圧および有効土被り圧である。
【数2】


数式2において、“N”は標準貫入試験のトンビ法または自由落下法による実測N値である。“ΔNf”は細粒分含有率Fcに応じた補正N値増分である。なお、“ΔNf”は図3を用いて決定される。図3は細粒分含有率と補正N値増分との関係(細粒分含有率とN値の補正係数)を示す図である(参考:建築基礎構造設計指針(発行元:日本建築学会))。
〔1−2〕つぎに、〔1−1〕で計算した等価繰り返しせん断応力比“τd/σ'z”および補正N値“Na”に基づいて、図4を用いて地震時の地盤の最大せん断ひずみ“γmax”を計算する。図4は最大せん断ひずみの割合に対する等価繰り返しせん断応力比と補正N値との関係を示す図(液状化時に発生する最大せん断ひずみの予測チャート)である。
【0033】
再び図2に戻り、液状化後地盤ひずみ計算部104cで、ステップSA−3で計算した地震時の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤のひずみを計算する(ステップSA−4)。具体的には、ステップSA−3で計算した地震時の地盤のひずみ(具体的には地震時の地盤の最大せん断ひずみ)に基づいて液状化後の地盤の最大残留体積ひずみを計算し、計算した最大残留体積ひずみに基づいて地盤の沈下に寄与する残留体積ひずみを計算する。
【0034】
ここで、地盤の沈下に寄与する残留体積ひずみの計算手順の一例について具体的に説明する。
〔2−1〕まず、入力データおよび地震時の地盤の最大せん断ひずみ“γmax”を下記数式3に代入して、液状化後の砂要素の残留体積ひずみの最大値“(εvrmax”を計算する。ここで、液状化後に生じる砂の体積ひずみの大きさ(間隙比の変化)は、図5に示すように、液状化時に発生した最大せん断ひずみの大きさ“γmax”に依存する。図5は砂の相対圧縮指数(間隙比の変化)の最大せん断ひずみ依存性を示す図である。
【数3】


数式3において、“e0”は液状化前の砂の間隙比であり、数式「e0=emax−Dr(emax−emin)」で表される。“emin*”は真の最小間隙比であり、数式「emin*=emax−1.3(emax−emin)」で定義される。ここで、“emax”および“emin”はそれぞれ、砂の最大間隙比および最小間隙比であり、細粒分含有率“Fc”に基づいて数式「emax=0.02Fc+1.0」および「emin=0.008Fc+0.6」を用いて求めたものである。なお、“emax”および“emin”にはそれぞれ、最小・最大密度試験で予め求めたものを設定してもよい。また、“Dr”は砂の相対密度であり、地盤の補正N値“Na”に基づいて数式「Dr=16Na1/2」を用いて求めたものである。なお、“Dr”には現位置の砂の密度より予め求めたものを設定してもよい。“R0*”および“m”は砂の種類や密度に依存しない固有の定数であり、「R0*=2.0」および「m=0.76」を満たす。
〔2−2〕つぎに、〔2−1〕で計算した液状化後の砂要素の残留体積ひずみの最大値“(εvrmax”を下記数式4に代入して、地盤の沈下に寄与する残留体積ひずみ“εvp”を計算する。
【数4】


数式4において、“Ch”は、液状化時の地震応答によって生じた非可逆な体積ひずみポテンシャルが残留体積ひずみと残留せん断ひずみに寄与する割合を示すパラメータであり、地表面の傾斜がほとんどない地盤では約0.2である。ここで、液状化後の砂要素の残留体積ひずみの最大値“(εvrmax”は残留せん断ひずみが全く生じない場合の残留体積ひずみである。しかし、実際には、液状化後の残留体積ひずみは、ある割合でせん断ひずみとなって生じてくる。そのため、地盤の沈下に寄与する残留体積ひずみ“εvp”は数式4で表すことができる。
【0035】
再び図2に戻り、地盤定数設定部104dで、ステップSA−4で計算した液状化後の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の等価な地盤定数を設定する(ステップSA−5)。具体的には、入力データおよびステップSA−4で計算した地盤の沈下に寄与する残留体積ひずみ“εvp”を下記数式5に代入して、液状化後の地盤の等価なヤング係数“Eeq”を計算する。
【数5】


数式5において、vは地盤のポアソン比である。
【0036】
つぎに、地盤・構造物沈下量計算部104eで、ステップSA−5で設定した等価な地盤定数、ステップSA−2で生成した解析モデルおよび入力データに基づいて所定の計算手法で液状化後の地盤および構造物のうち少なくとも1つの沈下量を計算する(ステップSA−6)。換言すると、等価な地盤定数を有する地盤モデルに構造物荷重を与えて沈下計算を行うことにより、液状化後の地盤および構造物のうち少なくとも1つの沈下量を求める。なお、所定の計算手法としては(沈下計算には)、例えばSteinbrennerの近似解法や有限要素法など既存の計算手法を用いることができる。これにより、液状化後の地盤および構造物の沈下量を、既存の計算手法を用いて容易に計算することができる。
【0037】
これまで、地盤・構造物沈下量予測装置100で行われる処理について図2を参照して説明したが、各ステップでの計算結果(例えばステップSA−3で計算した地震時の地盤のひずみや、ステップSA−6で計算した地盤および構造物の沈下量など)は、出力データ変換部108の処理を介して図化出力部110やCG表示部112や計算値出力部114で適宜出力してもよい。換言すると、計算結果は、必要に応じて適宜、出力部(図化出力部110やCG表示部112や計算値出力部114)より図や数値として出力してもよい。
【0038】
以上説明したように、地盤・構造物沈下量予測装置100によれば、構造物が存在する地盤を対象として、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を予測するにあたって、予め入力された入力データ(地盤データ、構造物データおよび地震動データを含む)に基づいて解析モデルを生成し、入力データに基づいて地震時の地盤のひずみを計算し、計算した地震時の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤のひずみを計算し、計算した液状化後の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の等価な地盤定数を設定し、設定した等価な地盤定数、生成した解析モデルおよび入力データに基づいて所定の計算手法で液状化後の地盤および構造物の沈下量を計算する。これにより、構造物が存在する地盤を対象として地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を予測することができる。
【0039】
また、地盤・構造物沈下量予測装置100によれば、地震時の地盤のひずみの計算において、入力データに基づいて等価繰り返しせん断応力比および補正N値を計算し、計算した等価繰り返しせん断応力比および補正N値に基づいて地震時の地盤の最大せん断ひずみを計算する。これにより、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を簡便に予測することができる。
【0040】
また、地盤・構造物沈下量予測装置100によれば、液状化後の地盤のひずみの計算において、計算した地震時の地盤のひずみに基づいて液状化後の地盤の最大残留体積ひずみを計算し、計算した最大残留体積ひずみに基づいて地盤の沈下に寄与する残留体積ひずみを計算する。これにより、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を簡便に予測することができる。
【0041】
また、地盤・構造物沈下量予測装置100によれば、液状化後の地盤および構造物の沈下量の計算において、所定の計算手法としてSteinbrennerの近似解法や有限要素法などを用いることができる。これにより、既存の計算手法を用いて液状化後の地盤および構造物の沈下量を予測することができる。
【0042】
また、地盤・構造物沈下量予測装置100によれば、専門的な知識や工学的判断を要することなく入力データの設定を容易に行うことができる。また、地盤・構造物沈下量予測装置100は、液状化後の水平変位が殆ど生じない水平地盤を想定した場合における地盤や構造物の沈下量の計算に好適である。また、地盤・構造物沈下量予測装置100は、液状化後の地盤や構造物の沈下量を、計算量を抑えつつ十分な精度で予測することができる。換言すると、地盤・構造物沈下量予測装置100は、液状化後の地盤や構造物の沈下量を、簡便に且つ十分な精度で予測することができる。また、地盤・構造物沈下量予測装置100によれば、これまで予測が困難であった地盤液状化後の構造物の沈下量を、想定する地盤や地震動に対して合理的且つ簡便に評価することが可能となる。よって、地盤・構造物沈下量予測装置100は、地震時に地盤の液状化をある程度許容した基礎の性能設計において好適に用いることができる。
【実施例】
【0043】
本実施例では、上述した地盤・構造物沈下量予測装置100による予測結果の妥当性を、当該予測結果と遠心模型振動実験の実験結果とを比較することで検証した。具体的には、図6に示す実験ケースごとに遠心模型振動実験および地盤・構造物沈下量予測装置100で表層地盤液状化後の地盤や構造物の沈下量を計算し、当該計算結果の比較を行った。
【0044】
図7に遠心模型振動実験の模式図を示す。図7に示すように、模型地盤は、液状化層(表層)と非液状化層(基盤層)の2層からなる。構造物模型および沈下量低減のための地盤改良体は実験ケースに応じて模型地盤上に設置される。実験ケースは、図6に示すように、構造物、偏心荷重、地盤改良体の有無により実験ケース0〜3に分類される。地震動の条件は、遠心加速度30gの下で水平方向に最大加速度約300gal相当の正弦波加振を行った(図8参照)。地盤・構造物沈下量予測装置100は、実験条件(具体的には実験ケースや地震動の条件)に基づいて液状化後の地盤や構造物の沈下量を予測した。なお、地盤・構造物沈下量予測装置100では、実地盤に関する沈下量の予測とは逆に模型地盤の相対密度に基づいて数式「Dr=16Na1/2」を用いて補正N値を計算し、加振時の最大せん断ひずみを求め、液状化後の等価な地盤定数を計算した。そして、地盤・構造物沈下量予測装置100では、構造物を格子梁にモデル化して、Steinbrennerの近似解法と組み合わせた解析法で構造物荷重による沈下量を計算した。
【0045】
表層地盤液状化後の地盤や構造物の沈下量について、遠心模型振動実験での実験結果と地盤・構造物沈下量予測装置100での予測結果とを図9に示した。図9では、基盤層上面の沈下量、地表面の沈下量(中央、端部、平均)および構造物の沈下量(左、右、平均、傾斜角)について、実験ケースごとに、実験結果および予測結果を並べて示している。図9に示すように、予測結果では、構造物、偏心荷重、地盤改良体の有無による沈下量の違いを良く表現できているので、地盤・構造物沈下量予測装置100による予測結果は妥当であると考えられる。これにより、地盤・構造物沈下量予測装置100の有効性が示された。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明にかかる地盤・構造物沈下量予測方法およびプログラムは、地震で発生した液状化後の地盤および構造物の沈下量を予測する際に好適に実施することができ、建設業などにおいて極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】地盤・構造物沈下量予測装置100の構成の一例を示す図である。
【図2】地盤・構造物沈下量予測装置100で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】細粒分含有率と補正N値増分との関係を示す図である。
【図4】最大せん断ひずみの割合に対する等価繰り返しせん断応力比と補正N値との関係を示す図である。
【図5】砂の相対圧縮指数の最大せん断ひずみ依存性を示す図である。
【図6】実施例における実験ケースを示す図である。
【図7】実施例における遠心模型振動実験の模式図である。
【図8】実施例における地震動データを示す図である。
【図9】実施例における液状化後の地盤および構造物の沈下量に関する実験結果と予測結果とを実験ケースごとに示す図である。
【符号の説明】
【0048】
100 地盤・構造物沈下量予測装置
102 データ入力部
104 演算部
104a 解析モデル生成部
104b 地震時地盤ひずみ計算部
104c 液状化後地盤ひずみ計算部
104d 地盤定数設定部
104e 地盤・構造物沈下量計算部
106 記憶部
108 出力データ変換部
110 図化出力部
112 CG表示部
114 計算値出力部




 

 


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