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薬液注入工法及び薬液注入装置 - 清水建設株式会社
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発明の名称 薬液注入工法及び薬液注入装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9422(P2007−9422A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−187887(P2005−187887)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 田地 陽一 / 天利 実 / 菊地 孝眞
要約 課題
地盤改良効果を維持しつつ薬液の使用量を少なくして地盤改良に係るコストの低減を図った薬液注入工法及び薬液注入装置を提供する。

解決手段
地盤に設けた注入孔9内に、内面から外面に向けて貫通する貫通孔を備えた外管3aを挿入するとともに、先端側に薬液を吐出する噴出部3gを備え、噴出部3gを挟んで軸方向の上方と下方とにパッカー3hを備える内管3bを外管3a内に挿入し、貫通孔と噴出部3gの深度を略一致させつつパッカー3hで外管3aと内管3bとの隙間を閉塞した後に、薬液を噴出部3gから吐出し貫通孔を通じて薬液を地盤に注入する薬液注入工法において、内管3bを流通する薬液に微細気泡を生じさせつつ包含させる微細気泡発生装置10が内管3bに設けられ、この微細気泡発生装置10を通過して微細気泡を包含した薬液を地盤に注入する。
特許請求の範囲
【請求項1】
薬液を貯留可能な薬液ミキサーと、地盤の所定深度に前記薬液を吐出するための注入管と、前記薬液ミキサー及び前記注入管に送液ポンプを介して接続され前記薬液ミキサーから前記注入管に前記薬液を送る注入ホースとからなる送液回路を備える薬液注入装置を用いて、前記薬液を前記地盤に注入し地盤改良を行う薬液注入工法において、
前記送液回路内に、前記薬液に空気を供給する空気供給手段と、該空気供給手段によって供給された前記空気を微細化して前記薬液に微細気泡を包含させる微細気泡発生装置とを設け、前記微細気泡を包含した薬液を前記地盤に注入することを特徴とする薬液注入工法。
【請求項2】
地盤に設けた注入孔内に、内面から外面に向けて貫通する貫通孔を備えた外管を挿入するとともに、該外管内に、先端側に薬液を吐出する噴出部を備え該噴出部を挟んで軸方向の上方と下方とにパッカーを備えた内管を挿入し、前記貫通孔と前記噴出部の深度を略一致させつつ前記パッカーで前記外管と前記内管との隙間を閉塞した後に、前記薬液を前記噴出部から吐出し前記貫通孔を通じて前記地盤に注入する薬液注入工法において、
前記内管を流通する前記薬液に微細気泡を生じさせつつ包含させる微細気泡発生装置が前記内管に設けられ、該微細気泡発生装置を通過して前記微細気泡を包含した前記薬液を前記地盤に注入することを特徴とする薬液注入工法。
【請求項3】
薬液を貯留可能な薬液ミキサーと、地盤の所定深度に前記薬液を吐出するための注入管と、前記薬液ミキサーと前記注入管とに送液ポンプを介しつつ接続されて前記薬液ミキサーから前記注入管に前記薬液を送る注入ホースとからなる送液回路を備える薬液注入装置において、
前記送液回路内に、前記薬液に空気を供給する空気供給手段と、該空気供給手段によって供給された前記空気を微細化して前記薬液に微細気泡を包含させる微細気泡発生装置とが設けられていることを特徴とする薬液注入装置。
【請求項4】
内面から外面に向けて貫通する貫通孔を備えた外管と、先端に薬液を吐出する噴出部を有し該噴出部を挟んで軸方向の上方と下方とにパッカーを備えた内管とを備える薬液注入装置において、
前記内管を流通する前記薬液に微細気泡を生じさせつつ包含させる微細気泡発生装置が前記内管に設けられていることを特徴とする薬液注入装置。
【請求項5】
請求項4記載の薬液注入装置において、
前記微細気泡発生装置は、略筒状に形成されており、前記薬液が流通する内孔に、前記内管の内径よりも内径が小径の小径部を備えるとともに該小径部から前記薬液の流通方向に向けて前記内径が漸次大となる拡径部を備えていることを特徴とする薬液注入装置。
【請求項6】
請求項4記載の薬液注入装置において、
前記微細気泡発生装置は、略筒状に形成されており、該微細気泡発生装置の内孔に予め空気を混入した前記薬液が流通するとともに前記空気と前記薬液の二層旋回流を発生させる旋回流発生部材と、前記二層旋回流とされた前記空気と前記薬液とを衝突させる衝突体とを備えていることを特徴とする薬液注入装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液を地盤に注入して地盤改良を行なう薬液注入工法及びこれに用いられる薬液注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軟弱地盤や地下水帯水地盤の強度増加や不透水化などを図る地盤改良工法として、地盤の土粒子間隙中に薬液(薬液注入材)を注入する薬液注入工法が多用されている。この薬液注入工法では、これに用いる薬液として、セメント、ベントナイト、水ガラスなど種々のものが存在するが、中でも水ガラス系薬液を主体としたものが多用されている。この種の薬液を用いる薬液注入工法は、例えば主剤と、硬化剤または助剤、あるいは硬化剤と助剤(以下、硬化剤という)の配合比率を調整することで容易に硬化時間(ゲルタイム)を調整することが可能とされ、地盤の土質性状や目的に応じて多様な選択性を有することや、注入した薬液により地盤を適度な固さとすることができ、例えば改良後に地盤を掘削する場合など好適に掘削できることや、薬液の注入に要する機械設備が小型で、狭所や高さ制限のある場所での施工性がよいことなど多くの利点を有している。
【0003】
このような薬液注入工法は、薬液を地盤内に注入する方法の違いにより、1ショット方式と1.5ショット方式と2ショット方式とに区別される。また、地盤内に建て込まれ地盤の所定深度に薬液を送るための注入管の違いにより、二重管ストレーナ方式とダブルパッカー方式とに区別される。
【0004】
ここで、1ショット方式とは、主剤と硬化剤を所定の配合比率で薬液ミキサーによって予め撹拌混合しておき、主剤と硬化剤を混合した1液状態の薬液を圧送して地盤に注入するものである。これに対し、1.5ショット方式は、主剤と硬化剤とを送液ポンプで個別に注入管に送り注入管の頭部で2液を合わせ、混合された薬液を注入管の先端から吐出して地盤に注入するものである。また、2ショット方式とは、1.5ショット方式と同様に、主剤と硬化剤とを送液ポンプで個別に注入管に送り、注入管の先端から吐出される瞬間に2液を合わせて混合するものである。
【0005】
一方、二重管ストレーナ方式とは、外管と内管とを備える注入管(二重管ロッド)を使用して所定深度まで地盤を削孔した後に、外管と内管のそれぞれの内孔部分から主剤と硬化剤を送液するもので、1.5ショットまたは2ショット方式で用いられている。これに対し、ダブルパッカー方式では、地盤をケーシング削孔した後に、軸方向に所定間隔をもって複数の貫通孔が形成された外管をケーシング内に挿入し、薬液を吐出する噴出部を先端に有し噴出部を挟んで軸方向上下にパッカーが設けられた内管を外管内に挿入する。そして、貫通孔と噴出部の深度を一致させて上下のパッカーで外管と内管との隙間を閉塞しつつ貫通孔と噴出部とを一つの空間内に位置させる。このダブルパッカー方式は、噴出部から薬液を吐出し貫通孔を通じて地盤に薬液を注入するものであり、1ショット方式で用いられている。ダブルパッカー方式を用いた場合には、地盤の所定深度毎に複数の貫通孔を形成しておき噴出部を順に各貫通孔に一致させつつ注入を行なうことで、深度方向の地盤に順次薬液を注入することが可能とされる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−3868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の薬液注入工法は、前述した通り非常に優れた特長を有している反面、薬液のコストが高いという問題があった。このため、薬液注入による地盤改良効果を維持しつつ薬液の使用量を少なくして地盤改良に係るコストの低減を図ることが強く望まれていた。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑み、地盤改良効果を維持しつつ薬液の使用量を少なくして地盤改良に係るコストの低減を図った薬液注入工法及び薬液注入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0009】
本発明の薬液注入工法は、薬液を貯留可能な薬液ミキサーと、地盤の所定深度に前記薬液を吐出するための注入管と、前記薬液ミキサー及び前記注入管に送液ポンプを介して接続され前記薬液ミキサーから前記注入管に前記薬液を送る注入ホースとからなる送液回路を備える薬液注入装置を用いて、前記薬液を前記地盤に注入し地盤改良を行う薬液注入工法において、前記送液回路内に、前記薬液に空気を供給する空気供給手段と、該空気供給手段によって供給された前記空気を微細化して前記薬液に微細気泡を包含させる微細気泡発生装置とを設け、前記微細気泡を包含した薬液を前記地盤に注入することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の薬液注入工法は、地盤に設けた注入孔内に、内面から外面に向けて貫通する貫通孔を備えた外管を挿入するとともに、該外管内に、先端側に薬液を吐出する噴出部を備え該噴出部を挟んで軸方向の上方と下方とにパッカーを備えた内管を挿入し、前記貫通孔と前記噴出部の深度を略一致させつつ前記パッカーで前記外管と前記内管との隙間を閉塞した後に、前記薬液を前記噴出部から吐出し前記貫通孔を通じて前記地盤に注入する薬液注入工法において、前記内管を流通する前記薬液に微細気泡を生じさせつつ包含させる微細気泡発生装置が前記内管に設けられ、該微細気泡発生装置を通過して前記微細気泡を包含した前記薬液を前記地盤に注入することを特徴とする。
【0011】
本発明の薬液注入装置は、薬液を貯留可能な薬液ミキサーと、地盤の所定深度に前記薬液を吐出するための注入管と、前記薬液ミキサーと前記注入管とに送液ポンプを介しつつ接続されて前記薬液ミキサーから前記注入管に前記薬液を送る注入ホースとからなる送液回路を備える薬液注入装置において、前記送液回路内に、前記薬液に空気を供給する空気供給手段と、該空気供給手段によって供給された前記空気を微細化して前記薬液に微細気泡を包含させる微細気泡発生装置とが設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の薬液注入装置は、内面から外面に向けて貫通する貫通孔を備えた外管と、先端に薬液を吐出する噴出部を有し該噴出部を挟んで軸方向の上方と下方とにパッカーを備えた内管とを備える薬液注入装置において、前記内管を流通する前記薬液に微細気泡を生じさせつつ包含させる微細気泡発生装置が前記内管に設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の薬液注入装置においては、前記微細気泡発生装置が、略筒状に形成されており、前記薬液が流通する内孔に、前記内管の内径よりも内径が小径の小径部を備えるとともに該小径部から前記薬液の流通方向に向けて前記内径が漸次大となる拡径部を備えていることが望ましい。
【0014】
さらに、本発明の薬液注入装置においては、前記微細気泡発生装置が、略筒状に形成されており、該微細気泡発生装置の内孔に予め空気を混入した前記薬液が流通するとともに前記空気と前記薬液の二層旋回流を発生させる旋回流発生部材と、前記二層旋回流とされた前記空気と前記薬液とを衝突させる衝突体とを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の薬液注入工法及び薬液注入装置によれば、空気供給手段及び微細気泡発生装置を薬液の送液回路内に設けることによって、薬液に微細気泡を包含させることが可能となり、この微細気泡を含む薬液を地盤に注入することで、土粒子間隙中に薬液と微細気泡とを混在させることが可能となる。また、土粒子間隙中に微細気泡が混在することによって、地盤を不飽和状態にすることができるため、従来の土粒子間隙中に薬液が飽和されるものと比較して、地盤の強度を増大させることができる。よって、従来に比べて少ない薬液使用量で地盤の設計強度を確保することが可能となり、薬液注入工法の単位土量あたりのコストを低減することが可能となる。
【0016】
本発明の薬液注入工法及び薬液注入装置によれば、噴出部を挟んで軸方向の上方と下方とにパッカーを備えた内管に微細気泡発生装置が設けられていることによって、内管を流通する薬液に微細気泡を包含させることが可能となり、この微細気泡を含む薬液を地盤に注入することで、土粒子間隙中に薬液と微細気泡とを混在させることが可能となる。
【0017】
また、本発明の薬液注入装置においては、微細気泡発生装置がその内孔に小径部と拡径部を備えることによって、予め空気が混入された薬液が微細気泡発生装置の小径部を通過する際に薬液に加圧力が負荷され空気を薬液中に溶解させることができる。そして、この空気が溶解した薬液が拡径部を通過することで減圧され、この減圧に伴って薬液中に溶解した空気を過飽和状態にすることができ、薬液に微細気泡を発生させて包含させることが可能となる。
【0018】
さらに、本発明の薬液注入装置においては、前記微細気泡発生装置が、旋回流発生部材と衝突体とを備えていることにより、旋回流発生部材で、予め空気を混入した薬液に二層旋回流を発生させることができ、二層旋回流とされた空気と薬液を衝突体に衝突させることで空気を粉砕して微細化することができる。これにより、薬液に微細気泡を包含させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図1から図4を参照し、本発明の第1実施形態に係る薬液注入工法及び薬液注入装置について説明する。本実施形態は、例えば水ガラス系薬液(薬液)を地盤に注入して地盤改良を行なう薬液注入工法及びこれに使用される薬液注入装置に関するものであり、特に薬液に微細気泡を生じさせつつ包含させて、ダブルパッカー方式を用い1ショット方式で地盤に注入する薬液注入工法及び薬液注入装置に関するものである。
【0020】
本実施形態の薬液注入装置1は、図1から図2に示すように、所定の水ガラス濃度に調整した主剤と、所定の濃度に調整した硬化剤または助剤あるいは硬化剤と助剤(以下、これらを総称して硬化剤という)とを混合して製造された薬液を貯留する薬液タンク2aを備えた薬液ミキサー2と、外管3aと内管3bの2つの管からなる注入管3と、薬液ミキサー2の薬液タンク2aと注入管3の内管3bとに接続された注入ホース4と、薬液ミキサー2の薬液タンク2aから注入ホース4を介して内管3bに薬液を送液する送液ポンプ5とが主な構成要素とされている。ここで、薬液ミキサー2と注入管3と注入ホース4と送液ポンプ5とは、薬液が流通する送液回路6を構成する。また、本実施形態では、薬液の主剤は水ガラスとされ、硬化剤は例えば水溶性の無機酸、有機酸、塩類、エステル類、アルデヒドなどとされる。
【0021】
外管3aは、図2に示すように、内面3cから外面3dに向けて貫通し軸線O1方向(軸方向)に所定間隔をもって並設された複数の貫通孔3eと各貫通孔3eをそれぞれ覆うように外面3dに装着された弾性スリーブ3fとを有するものとされている。一方、内管3bは、先端側に薬液を吐出する噴出部3gを有しこの噴出部3gを挟むように軸O1方向の上方と下方とにそれぞれ設けられたパッカー3hを有するものとされている。また、内管3bには、上方のパッカー3hよりも上方に位置する部分(薬液の流通方向上流側)に微細気泡発生装置10が介装されている。
【0022】
この微細気泡発生装置10は、図2及び図3に示すように、略円筒状に形成され、上端10aと下端10bとに外面10cに直交する方向に延出するリング状のフランジ部10dが設けられている。微細気泡発生装置10は、このフランジ部10dが、注入管3の内管3bの端部に形成されたリング状のフランジ部3iにボルトで締結されて内管3bと一体とされている。また、内管3bに介装された状態で、微細気泡発生装置10は、軸線O1が内管3bの軸線O1と一致し、内管3bと微細気泡発生装置10の互いの内孔が連通している。
【0023】
また、この微細気泡発生装置10は、その内孔がベンチュリー管のような形状を呈している。すなわち、内管3bと略同一の内径で形成されこの内径を維持しつつ微細気泡発生装置10の上端10aから下端10bに向けて延びる第1内孔10eと、第1内孔10eの下端10b側の端部10fから微細気泡発生装置10の下端10bまで延びる第2内孔10gとから構成されている。第2内孔10gは、上端10a側の一端が第1内孔10eの内径を縮径した状態で第1内孔10eと接続されており、この小径部分が小径部10hとされている。また、第2内孔10gは、一端から他端までの部分が、薬液の流通方向Tに向けて漸次径が大となるように形成されており、この部分が拡径部10iとされている。また、このとき、拡径部10iの他端の内径は、第1内孔10e及び下端10bと接続される内管3bの内径と略同一とされている。
【0024】
注入ホース4は、図1に示すように、一端が薬液ミキサー2の薬液タンク2aに接続され、他端が注入管3の内管3bと接続されている。また、注入ホース4の一端と他端との間に、薬液タンク2aに貯留された薬液を内管3bに送液するための送液ポンプ5が介在されており、さらに、他端と送液ポンプ5の間には、注入ホース4を流通する薬液の流量と送液時の圧力とを計測するための流量計7が設置されている。また、送液ポンプ5には、注入ホース4を流通する薬液に所定量の空気を混入するための空気調整弁(空気供給手段)8が設けられている。
【0025】
ついで、上記の構成からなる薬液注入装置1を用いて地盤の土粒子間隙中に薬液を1ショット方式で注入する方法について説明する。
【0026】
はじめに、図1から図2に示すように、所定深度まで地盤をケーシングで削孔して注入孔9を形成する。削孔完了後、ケーシング内に例えばセメントとベントナイトと水の混合液(CB)などのスリーブ材を充填する。このスリーブ材は、注入孔9と注入管3の外管3aとの間隙を間詰めするためのものであり、外管3aの貫通孔3eから吐出された薬液が目標とする地盤領域外に逸走するのを防止するためのものである。ついで、スリーブ材が充填されたケーシング内に外管3aを挿入してケーシングを取り除く。これにより、外管3aと注入孔9の内壁との間にスリーブ材が満たされて注入孔9の内壁の崩落が生じることなく外管3aが建て込まれる。ちなみに、この段階では、外管3aの軸O1方向に並設された複数の貫通孔3eが弾性スリーブ3fで覆われているため、外管3a内にスリーブ材が流入したり、貫通孔3eが閉塞されることがないものとされる。
【0027】
ついで、外管3a内に内管3bを挿入する。このとき、目標注入位置にある外管3aの貫通孔3eを挟む軸O1方向の上下位置にパッカー3hがそれぞれ配置されるように挿入し、パッカー3hを拡張することで貫通孔3eを挟む上下を閉塞する。この段階で、対象となる地盤内に一次注入を行なう。この一次注入は、後述する二次注入によって薬液が地盤内に均一に浸透してゆくように、注入孔9近傍の地盤の均一化を図るために行なわれるもので、例えばCBなどが注入される。この一次注入では、パッカー3hで閉塞した空間に位置する内管3bの噴出部3gから吐出したCBが外管3aの貫通孔3eを通り、弾性スリーブ3fを押し広げつつ地盤に吐出される。これにより、CBが注入孔9近傍の地盤に注入される。この操作を外管3aの軸O1方向に形成された他の貫通孔3eの設置位置で順次行ってゆき一次注入が完了する。
【0028】
一次注入が完了した後に、二次注入として薬液の注入を行なう。この二次注入で注入する薬液は、はじめに、薬液ミキサー2で主剤と硬化剤とを所定の濃度となるように撹拌混合して薬液タンク2aに貯留する。この段階で、一次注入と同様に外管3a内に内管3bを挿入し、貫通孔3eを挟む軸O1方向の上下位置にパッカー3hを設置しつつ拡張して閉塞空間内に内管3bの噴出部3gを位置させる。ついで、送液ポンプ5を駆動しつつ注入ホース4を介し注入管3の内管3bに薬液を圧送する。このとき、注入ホース4を流通する薬液の送液圧に応じて送液ポンプ5に具備された空気調整弁8が開き、注入ホース4に空気が供給され、送液ポンプ5よりも流通方向T下流側の注入ホース4を流れる薬液に所定量の空気が混入される。
【0029】
空気が混入された薬液は、注入管3の内管3bに送液されて微細気泡発生装置10を通過する。このとき、微細気泡発生装置10の第2内孔10gに、微細気泡発生装置10の上端10a側が内管3bや第1内孔10eの内径より縮径された小径部10hを備えているため、薬液は小径部10hに流通されるとともに急激に加圧され、この加圧により、薬液に混入した空気が薬液中に溶解される。さらに、第2内孔10gには、流通方向Tに向けてその内径が漸次大となるように形成された拡径部10iが小径部10hに連続して形成されているため、薬液が拡径部10iを下端10b側に向けて流通するとともに小径部10hで負荷された加圧力が徐々に小さくなってゆく。この流通に伴う減圧によって薬液に溶解した空気が過飽和状態となり薬液中で微細気泡として出現し包含されることとなる。ここで、このように薬液中に包含された微細気泡は、その径が数μm〜数十μmの微細気泡とされている。
【0030】
そして、この微細気泡が包含された薬液は噴出部3gから吐出される。吐出した薬液は、外管3aの貫通孔3eを通り、弾性スリーブ3fを押し広げつつ吐出され地盤に浸透する。ここで、微細気泡の径が数μm〜数十μmと非常に微小であるため、薬液中での滞留時間が長く、薬液が地盤に注入されることによって微細気泡が消泡されることがないものとされる。地盤に注入された薬液は、所定の時間が経過した段階でゲル化して固化され、これにより、地盤の強度や遮水性の向上が図られる。
【0031】
本実施形態においては、地盤の土粒子間隙中に注入された薬液に微細気泡が包含されているため、土粒子間隙を埋めたゲルに微細気泡が混在され、単位土量当たりの薬液使用量が微細気泡の体積分だけ、従来の薬液と比較して少ない量とされる。
【0032】
ここで、本発明の実施例と従来例について試験を行なった。この試験結果として微細気泡を包含した薬液と包含しない従来の薬液とをそれぞれ注入した供試体の一軸圧縮強度と供試体の湿潤密度の関係を図4に示す。この図において実線及び破線は最小二乗法により求めた回帰直線であり、実線が実施例による微細気泡を薬液に包含させた場合の回帰直線を示し、破線が従来の薬液を用いた場合の回帰直線を示している。また、ここでは、薬液として溶液型活性シリカ注入材(商品名:パーマロックASF−N)を主剤として使用している。さらに、シリカ濃度を4%に調整することで、ゲルタイム(ゲル化するまでの時間)が1440分となるようにしている。なお、それぞれの薬液を注入した試料には豊浦標準砂を用いている。
【0033】
この微細気泡を包含した薬液と、従来の薬液とを用いてそれぞれ形成した供試体の一軸圧縮強度との比較により、微細気泡を包含した薬液を用いた供試体の一軸圧縮強度が、微細気泡を包含させない従来の薬液を用いた供試体に対して20〜30%大きくなることが確認された。
【0034】
したがって、上記の薬液注入工法及び薬液注入装置においては、注入管3に略ベンチュリー管形状の内孔を有する微細気泡発生装置10が設けられているため、第2内孔10gに、空気を混入した薬液を流通するだけで加圧力を作用させ空気を薬液に溶解させることができ、減圧によって薬液に微細気泡を生じさせつつ包含させることができる。これにより、微細気泡を包含した薬液を地盤に注入することが可能となり、単位土量当たりの薬液使用量を低減することが可能となる。また、微細気泡を薬液に包含させることによって従来の薬液を使用した場合に対し強度増加の効果を増大させることができる。よって、従来の薬液注入工法と比較して、地盤改良の効果を維持しつつ地盤改良に係るコストの低減を図ることが可能となる。
【0035】
以上、本発明に係る薬液注入工法及び薬液注入装置1の実施形態について説明したが、本発明は上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記の実施形態では、微細気泡発生装置10が、略円筒状に形成され、注入管3の内孔と略同一の内径で形成された第1内孔10eと、第1内孔10eの下端10b側の端部10fから微細気泡発生装置10の下端10bまで延設された第2内孔10gとを備え、第2内孔10gが、小径部10hと拡径部10iを備えるものとしたが、本実施形態の微細気泡発生装置10は、その一部に注入管3の内管3bの内孔よりも小径の内孔を備え、通過する薬液に加圧力を付加する構成とされていればよいものであり、第1内孔10eを具備せぬ構成とされてもよいものである。
【0036】
また、本実施形態の微細気泡発生装置10は、通過する薬液に、加圧力を負荷してこれを減圧することで微細気泡を生じさせて包含させるものとしたが、例えば混入した空気を超音波で微細化するものや、混入した空気と薬液とを混合しつつ激しく回転し二層旋回流を発生させて空気をせん断するものや、空気を混入した薬液をマイクロフィルターに透過させて微細気泡を発生させるものなど他の手法で薬液に微細気泡を生じさせるものであってもよいものである。
【0037】
さらに、本実施形態では、微細気泡発生装置10が、内管3bに設けられたパッカー3hの直上に設置されているものとしたが、微細気泡発生装置10の位置は、噴出部3gよりも上方(薬液流通方向T上流側)に配されればその設置位置が限定される必要のないものである。
【0038】
また、微細気泡発生装置10で微細化される空気が送液ポンプ5の空気調整弁8から供給されるものとしたが、薬液への空気の供給位置や供給方法は特に限定される必要のないものである。
【0039】
さらに、本実施形態では、薬液が水ガラス系薬液であるものとして説明を行なったが、これに限定される必要はなく、本発明は溶液型であれば他の薬液に適用されてもよいものである。
【0040】
ついで、図1及び図5を参照し、本発明の第2実施形態に係る薬液注入工法及び薬液注入装置について説明する。本実施形態においては、第1実施形態に共通する構成に対して同一符号を付し、その詳細についての説明を省略する。
【0041】
本実施形態は、第1実施形態と同様、微細気泡を包含させた水ガラス系薬液を、ダブルパッカー方式を用いて1ショット方式で地盤に注入する薬液注入工法及び薬液注入装置に関するものである。
【0042】
本実施形態の微細気泡発生装置20は、第1実施形態と同様、図1に示すように、上方側のパッカー3hよりも上方に位置する部分の内管3bに介装されている。この微細気泡発生装置20は、図5に示すように、略円筒状に形成されたケーシング20aの内部に特殊構造の混合ベーン21(旋回流発生部材)と突起状の衝突体22が配設されている。混合ベーン21は、一対の二つ割楕円盤21a、21bの弦側側縁21c、21dをX字状に交差させ、交差部上流側の弦側側縁21c、21d間を、ケーシング20a内を軸方向に二分する三角形の仕切板21eで閉塞した構造になり、一対の二つ割楕円盤21a、21bの円弧側側縁21f、21gをケーシング20aの内壁に接合するようにして配設されている。このように構成される微細気泡発生装置20は、例えば特開平9−150044号公報に開示された気泡微細粒子化装置である。
【0043】
上記のような微細気泡発生装置20を注入管3の内管3bに備えた薬液注入装置1を用いた場合には、薬液とこれに混入された空気とが、混合ベーン21を通過するとともに、螺旋状の流れに変換される。そして、薬液と空気とに激しい遠心力が作用して、軽量の空気が微細気泡発生装置20の径方向内側に、薬液が径方向外側に配され、密度の異なる加速された同心円構造の二層旋回流が生じることとなる。このように二層旋回流とされた薬液と空気は、ケーシング20a内を流通し、衝突体22に激しく衝突されつつ混合されて、例えば40kHzを超える超音波を発生させる。この超音波により、薬液中の空気が粉砕されて数μm〜数十μmの微細気気泡が生成される。このように微細気泡を包含した薬液は、第1実施形態と同様に、噴出部3gから吐出され貫通孔3eを通じて地盤に注入される。
【0044】
したがって、上記の薬液注入工法及び薬液注入装置1においては、予め空気を混入した薬液を流通することで二層旋回流を発生させる混合ベーン(旋回流発生部材)21と、二層旋回流とされた薬液と空気とが衝突する衝突体22とを備えた微細気泡発生装置20を設けることにより、薬液中に微細気泡を包含させることが可能となる。これにより、従来の薬液注入工法と比較して、地盤改良の効果を維持しつつ地盤改良に係るコストの低減を図ることが可能となる。
【0045】
以上、本発明に係る薬液注入工法及び薬液注入装置1の実施形態について説明したが、本発明は上記の第2実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、二層旋回流を発生させる旋回流発生部材21が一対の二つ割楕円盤21a、21bであるものとしたが、この限りではなく、予め空気を混入した薬液を流通させることで二層旋回流を発生させ、これが衝突体22に衝突されることにより微細気泡が発生されるものであれば、微細気泡発生装置20に具備される旋回流発生部材21や衝突体22の構成は、特に限定されるものではない。また、本実施形態の微細気泡発生装置20は、第1実施形態と同様に、上方側のパッカー3hの直上に設けられているものとしたが、噴出部3gよりも流通方向T上流側に配されていれば、その設置位置は特に限定される必要がないものである。また、本発明は、本実施形態に示した薬液注入工法以外の、例えば二重管ストレーナ方式の薬液注入工法にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態に係る薬液注入装置を示す図である。
【図2】図1の薬液注入装置の注入管を示す拡大図である。
【図3】図1および図2の微細気泡発生装置を示す断面図である。
【図4】微細気泡を包含した薬液と従来の薬液の注入効果の差異を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る薬液注入装置の微細気泡発生装置を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 薬液注入装置
2 薬液ミキサー
2a 薬液タンク
3 注入管
3a 外管
3b 内管
3e 貫通孔
3g 噴出部
3h パッカー
4 注入ホース
5 送液ポンプ
6 送液回路
7 流量計
8 空気調整弁(空気供給手段)
9 注入孔
10 微細気泡発生装置
10a 上端
10b 下端
10e 第1内孔
10g 第2内孔
10h 小径部
10i 拡径部
20 微細気泡発生装置
21 混合ベーン(旋回流発生部材)
22 衝突体
O1 軸線(軸心)
T 流通方向





 

 


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