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発明の名称 軒樋装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−92308(P2007−92308A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−279924(P2005−279924)
出願日 平成17年9月27日(2005.9.27)
代理人
発明者 太田 智之
要約 課題
樋吊具に対する軒樋の長手方向でのスライド移動を防止するストッパー部材が好適に用いられて、飾り板が簡単かつ確実に取り付けられ、飾り板の品種も集約化されるようになる軒樋装置を提供する。

解決手段
軒樋1の前後両側の上縁耳部2a、2bを樋吊具3で係止支持してなる軒樋装置であって、樋吊具3に対する軒樋1の長手方向でのスライド移動を防止するストッパー部材4を前側の上縁耳部2aに固着し、同ストッパー部材4に飾り板取付用の嵌合受け部5を上方へ突設してなる。
特許請求の範囲
【請求項1】
軒樋の前後両側の上縁耳部を樋吊具で係止支持してなる軒樋装置であって、樋吊具に対する軒樋の長手方向でのスライド移動を防止するストッパー部材を前側の上縁耳部に固着し、同ストッパー部材に飾り板取付用の嵌合受け部を上方へ突設してなる軒樋装置。
【請求項2】
軒樋の前側の上縁耳部に沿ってその内側に形成された凹溝部が樋吊具の前端に形成された凸片部に係止されており、ストッパー部材を同凹溝部に嵌合固着したことを特徴とする請求項1記載の軒樋装置。
【請求項3】
凹溝部の縦断面形状がその奥方へ向かって前方上方へと略L字状に屈曲しており、ストッパー部材にはその本体部から前方上方へと略L字状に屈曲突出した凸起部を形成し、凸起部を凹溝部に挿入嵌合させてストッパー部材を固着したことを特徴とする請求項2記載の軒樋装置。
【請求項4】
ストッパー部材を固着した状態でその本体部の略水平となる上面が軒樋の前側の上縁耳部上端よりも低くなるように設定し、同上面に凸状の嵌合受け部を突設したことを特徴とする請求項3記載の軒樋装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本願発明は、樋吊具に吊下保持された軒樋の長手方向でのスライド移動を防止するストッパー部材が備えられた軒樋装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軒樋は、通常、軒樋支持具を用いて建物の軒先に取り付けられている。この軒樋支持具として、軒樋を吊下支持する樋吊具があり、例えば、樋吊具は、夏冬の温度差による軒樋の伸縮を考慮して、軒樋の長手方向での移動が自在となるように、軒樋の前後両側の上縁耳部を同樋吊具の前後両側の耳保持部で摺動自在に引っ掛け係止している。それ故、この樋吊具を用いて軒樋を建物の軒先に取り付ける際、既に取り付けた軒樋に作業者の手や物が当たったりして、軒樋は長手方向に移動することがある。また、取り付けた後にも、暴風雨等の際の外力によって、軒樋は長手方向に移動することがある。
【0003】
このように、軒樋が長手方向に移動すると、軒樋は所定の位置からずれ動いて樋吊具から外れてしまうこともあり、これを防ぐために軒樋の前側の上縁耳部に固着して用いられる種々のストッパー部材が提案されている。その一例として特開平11−93351号公報(特許文献1)をあげることができ、このものにあっては、軒樋の前側の上縁耳部に固着されたストッパー部材が樋吊具に当止されることにより、軒樋の長手方向での範囲を越えた移動が防止されるものである。
【特許文献1】特開平11−93351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、従来から、図6に示すように、軒樋1の前後両側の上縁耳部2(2a、2b)を樋吊具3で係止支持してなる軒樋装置において、前側の上縁耳部2aに飾り板11を取り付けることは一般に行われている。この場合、飾り板11の下端部分に形成された凹状の嵌合部12が軒樋1の前側の上縁耳部2aに嵌合固定されるものであるが、軒樋1の種類によってその前側の上縁耳部2aの形状はさまざまであり、これに対応して、嵌合部12の形状の異なる多種類の飾り板11を品揃えしなければならないという問題があった。
【0005】
本願発明は、このような問題を解決すべく上記背景技術に鑑みてなされたもので、その課題は、樋吊具に対する軒樋の長手方向でのスライド移動を防止するストッパー部材が好適に用いられて、飾り板が簡単かつ確実に取り付けられ、飾り板の品種も集約化されるようになる軒樋装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明の軒樋装置では、軒樋の前後両側の上縁耳部を樋吊具で係止支持してなる軒樋装置であって、樋吊具に対する軒樋の長手方向でのスライド移動を防止するストッパー部材を前側の上縁耳部に固着し、同ストッパー部材に飾り板取付用の嵌合受け部を上方へ突設している。
【発明の効果】
【0007】
本願発明の軒樋装置においては、軒樋が樋吊具によって吊下支持されており、この状態でストッパー部材が樋吊具に当止されることによって、軒樋の長手方向での範囲を越えたスライド移動が防止される。そして、ストッパー部材に飾り板取付用の嵌合受け部を上方へ突設しているので、この嵌合受け部に飾り板の下端部分に形成される嵌合部を嵌合固定して、飾り板を簡単かつ確実に取り付けることができる。しかも、ストッパー部材の嵌合受け部の形状を統一化することにより、飾り板の嵌合部の形状もこれに対応して統一化され、飾り板の品種を集約化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1〜4は、本願の請求項1〜4全てに対応した一実施形態である軒樋装置を示している。この実施形態の軒樋装置は、図1に示すように、軒樋1の前後両側の上縁耳部2を樋吊具3で係止支持してなるものである。そして、この軒樋装置においては、樋吊具3に対する軒樋1の長手方向でのスライド移動を防止するストッパー部材4を前側の上縁耳部2aに固着し、同ストッパー部材4に飾り板(図2〜4に11で示す)取付用の嵌合受け部5を上方へ突設している。
【0009】
この実施形態の軒樋装置では、軒樋1の前側の上縁耳部2aに沿ってその内側に形成された凹溝部6が樋吊具3の前端に形成された凸片部7に係止されており、ストッパー部材4を同凹溝部6に嵌合固着している。この場合、図3にも示すように、凹溝部6の縦断面形状がその奥方へ向かって前方上方へと略L字状に屈曲しており、ストッパー部材4にはその本体部8から前方上方へと略L字状に屈曲突出した凸起部9を形成し、凸起部9を凹溝部6に挿入嵌合させてストッパー部材4を固着している。そして、ストッパー部材4を固着した状態でその本体部8の略水平となる上面81が軒樋1の前側の上縁耳部2a上端よりも低くなるように設定し、同上面81に凸状の嵌合受け部5を突設している。
【0010】
以下、この実施形態の軒樋装置をより具体的詳細に説明する。図1に示すように、軒樋1は上方に開口した溝型で、底板部1aとその前後端で立ち上がる前板部1b、後板部1cとでなり、合成樹脂で一体に押出成形されたり、金属板材に折曲加工が施される等して形成されたものである。軒樋1の前板部1b及び後板部1cの上端には各々中空状の上縁耳部2が一体に形成されており、前側の上縁耳部2aが後方へ倒れるように同前板部1bの上端部分が折曲していることで、その内側に凹溝部6が形成されている。そのため、この凹溝部6は縦断面において、その奥方へ向かって前方上方へと略L字状に屈曲した形状となっている。
【0011】
樋吊具3は合成樹脂、金属等で形成され、その後端部分が建物の軒先(図示せず)に固定されて、前記軒樋1を吊下支持するものである。樋吊具3の前端部分は帯板状でその先端に上方へ折曲した凸片部7が形成されており、この凸片部7は略L字状に屈曲した形状でこれに前記軒樋1の凹溝部6が引っ掛け係止される。樋吊具3の後部には略L字状に屈曲垂下した後耳保持部10が形成されており、この後耳保持部10に後側の上縁耳部2bが係合されると共に、前記凸片部7に凹溝部6が引っ掛け係止されることによって、軒樋1は樋吊具3で吊下支持される。
【0012】
前記樋吊具3に近接した位置において、軒樋1の凹溝部6にストッパー部材4が嵌合固定される。この場合、ストッパー部材4の後述する凸起部9が凹溝部6に差し込まれるように嵌合され、接着剤によって強固に固定される。この状態で、図1に示すように、軒樋1がX方向にずれ動こうとしても、ストッパー部材4が樋吊具3の前端部分に当止するので、軒樋1はスライド移動することができない。そして、図2〜4に示すように、必要に応じてストッパー部材4に飾り板11が取り付けられ、ここでは、飾り板11の下端部分に形成された凹状の嵌合部12がストッパー部材4の嵌合受け部5に嵌合固定される。その際、飾り板11を強固に固定するために、接着剤を介して嵌合させてもよい。
【0013】
ストッパー部材4は合成樹脂でなり、全体として水平方向に開口貫通した略筒中空形状に形成されている。そして、図1、3に示すように、ストッパー部材4が前記軒樋1の凹溝部6に嵌合固定された状態で、その本体部8の上面81は軒樋1の前側の上縁耳部2a上端よりも低くなるように設定されており、同本体部8の略水平な上面81に嵌合受け部5が突設されている。嵌合受け部5は水平方向に開口貫通した略角筒中空形状の凸状であり、図4に示すように、略角筒中空形状の本体筒状部5aとストッパー部材4の本体部8の上面81とが細巾のくびれ状部5bを介し一体となって形成されている。
【0014】
飾り板11は合成樹脂、金属等で一体に形成され、この飾り板11として従来から市販されているものをそのまま用いることができる。図2に示すように、飾り板11の下端部分の両端付近には嵌合部12が間隔をあけて配設されており、ストッパー部材4は同間隔に対応するよう軒樋1の前側の上縁耳部2aに配置されて固着されるが、その際、一方のストッパー部材4は前記樋吊具3に近接した位置で固着される。また、嵌合部12は全体として下方に開口した凹状であるが、前側の一つの直垂下片12aと後側の二つの屈曲垂下片12bとで形成されており、両屈曲垂下片12bは直垂下片12aの両側に配設されている。
【0015】
図4に示すように、前記直垂下片12a及び屈曲垂下片12bの下端縁には相対向するように突出した係止凸起13が形成されており、この係止凸起13から斜め後方へ屈曲するように屈曲垂下片12bは延設されている。この屈曲垂下片12bの延設部分は操作ガイド片14となるもので、嵌合部12をストッパー部材4の嵌合受け部5に嵌着する際のガイド機能と、同嵌合受け部5から取り外す際に手先を掛ける操作片としての機能とを有している。
【0016】
また、飾り板11の嵌合部12の前記両係止凸起13は、前記ストッパー部材4の嵌合受け部5の本体筒状部5aにおいてその略角筒中空形状の両下角部分に係止され、ストッパー部材4の嵌合受け部5に対して飾り板11の嵌合部12が弾性をもって着脱自在に嵌合固定される。この場合、図1、3に示すように、ストッパー部材4の本体部8の上面81が軒樋1の前側の上縁耳部2a上端よりも低くなっているので、嵌合受け部5と嵌合部12との嵌合固定部位は軒樋1の前下方外側から見え難くなる。
【0017】
前記ストッパー部材4の本体部8には前方上方へと略L字状に屈曲突出した凸起部9が一体に形成されており、図4に示すように、同凸起部9の上側には溝状部15aが形成されることになる。ストッパー部材4の本体部8の略水平となる上面81には、嵌合受け部5の後側にも溝状部15bが形成されており、両溝状部15a、15bは、同上面81に溜まる雨水を軒樋1内へと流して案内する排水溝の役目を果たす。また、後側の溝状部15bには、前記飾り板11の嵌合部12の操作ガイド片14先端部分が納められる。
【0018】
図1、3に示すように、ストッパー部材4の前記凸起部9が軒樋1の凹溝部6に挿入嵌合されて、ストッパー部材4は同軒樋1に固着される。この場合は、本体部8から前方上方へと略L字状に屈曲突出する凸起部9を軒樋1の凹溝部6に挿入嵌合させてストッパー部材4を固定しているが、異なる種類の軒樋1に対応する場合、同ストッパー部材4を前後に反転させて用いることもできる。
【0019】
すなわち、ストッパー部材4の凸起部9とは反対側にも形状の相違した凸起部91が形成されており、同ストッパー部材4を前後逆にすることで、前記とは反対側の凸起部91が本体部8から前方上方へと略L字状に屈曲突出することになり、この凸起部91を軒樋1の凹溝部6に挿入嵌合させてストッパー部材4を固定することができる。そして、この場合にあっても、嵌合受け部5が前後対称形状に形成されていることで、ストッパー部材4には飾り板11を前記と同じ向きにして着脱自在に取り付けることができる。
【0020】
したがって、この実施形態の軒樋装置においては、軒樋1が樋吊具3によって吊下支持されており、この状態でストッパー部材4が樋吊具3の前端部分に当止されることによって、軒樋1の長手方向での範囲を越えたスライド移動が防止される。そして、ストッパー部材4に飾り板取付用の嵌合受け部5を上方へ突設しているので、この嵌合受け部5に飾り板11の下端部分に形成される嵌合部12を上方から嵌着させて、飾り板11を簡単かつ確実に取り付けることができる。しかも、ストッパー部材4の嵌合受け部5の形状を統一化することにより、飾り板11の嵌合部12の形状もこれに対応して統一化され、飾り板11の品種を集約化することができる。
【0021】
また、飾り板11が不要な場合、ストッパー部材4は取り付けておいて、飾り板11だけを取り付けなければよい。しかも、軒樋1の前側の上縁耳部2aに沿ってその内側に形成された凹溝部6が樋吊具3の前端に形成された凸片部7に係止されており、ストッパー部材4を同凹溝部6に嵌合固着しているので、このストッパー部材4は樋吊具3と共に前方外側から見え難くなり、飾り板11を取り付ける軒樋1の前側部位が違和感なく外観良好に納まる。
【0022】
また、この実施形態の軒樋装置においては、軒樋1の凹溝部6の縦断面形状がその奥方へ向かって前方上方へと略L字状に屈曲しており、ストッパー部材4にはその本体部8から前方上方へと略L字状に屈曲突出した凸起部9が形成されて、この凸起部9が凹溝部6に挿入嵌合されるので、ストッパー部材4は軒樋1に対して確実に嵌合固定されるものでありながら、その着脱作業が容易なものとなる。
【0023】
また、この場合に、ストッパー部材4を固着した状態でその本体部8の略水平となる上面81が軒樋1の前側の上縁耳部2a上端よりも低くなるように設定され、同上面81に凸状の嵌合受け部5が突設されているので、この嵌合受け部5に嵌合部12が嵌着されて立設される飾り板11は、同ストッパー部材4の本体部8の略水平な上面81上にぐらつかないよう安定した状態で確実に取り付け固定される。しかも、ストッパー部材4と共に飾り板11の嵌合固定部位も軒樋1の前下方外側から見え難くなって、同飾り板11を取り付ける軒樋1の前側部位はより外観良好に納まる。
【0024】
図5(a)は、本願の請求項1〜4全てに対応した別の実施形態である軒樋装置を示している。この実施形態の軒樋装置では、ストッパー部材4の本体部8の上面81に突設される凸状の嵌合受け部5の前後両外壁面が凸凹面状に形成され、これに対応して、飾り板11の下端部分に形成される凹状の嵌合部12の前後両内壁面も凹凸面状に形成されており、両者はより確実に係止嵌合され、接着剤を介して嵌合されれば飾り板11がより強固に立設固定される。なお、それ以外は、上記実施形態と同様に構成されており、上記実施形態におけると同様の作用効果が奏される。
【0025】
図5(b)は、本願の請求項1〜3に対応した更に別の実施形態である軒樋装置を示している。この実施形態の軒樋装置では、ストッパー部材4の本体部8の上面81に突設される嵌合受け部5が凹溝状で、飾り板11の下端部分に形成される嵌合部12は凸状であり、嵌合受け部5の前後両内壁面が凸凹面状に形成され、これに対応して、嵌合部12の前後両外壁面も凹凸面状に形成されており、両者はより確実に係止嵌合され、接着剤を介して嵌合されれば飾り板11がより強固に立設固定される。なお、それ以外は、上記実施形態と同様に構成されており、上記実施形態におけると同様の作用効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本願発明の一実施形態である軒樋装置の施工状態を示す斜視図。
【図2】同軒樋装置において飾り板が取り付けられる状態を示す分解斜視図。
【図3】同軒樋装置において飾り板が取り付けられた状態を示す縦断面図。
【図4】同軒樋装置におけるストッパー部材と飾り板との結合状態を示す縦断面図。
【図5】(a)、(b)各々異なる別の実施形態である軒樋装置において飾り板が取り付けられる状態を示す分解概略縦断面図。
【図6】従来例である軒樋装置において飾り板が取り付けられる状態を示す分解斜視図。
【符号の説明】
【0027】
1 軒樋
2 上縁耳部
2a 前側の上縁耳部
2b 後側の上縁耳部
3 樋吊具
4 ストッパー部材
5 嵌合受け部
6 凹溝部
7 凸片部
8 本体部
81 上面
9 凸起部




 

 


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