発明の名称 |
吊戸取り付け用冶具と吊戸の施工方法 |
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発行国 |
日本国特許庁(JP) |
公報種別 |
公開特許公報(A) |
公開番号 |
特開2007−85139(P2007−85139A) |
公開日 |
平成19年4月5日(2007.4.5) |
出願番号 |
特願2005−278277(P2005−278277) |
出願日 |
平成17年9月26日(2005.9.26) |
代理人 |
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発明者 |
奥山 隆 |
要約 |
課題 吊戸の取り付け作業を容易にする吊戸取り付け用冶具および、吊戸の施工方法を提案する。
解決手段 吊戸1の上端に設けられた係止凹部2に、上レール3に沿って走行自在の吊具4から垂下した支持凸部5を側方から挿し込むことでなす吊戸取り付け作業を補助する吊戸取り付け用冶具6であって、吊戸1の上端面7に載置される板部8を備えており、板部8の一辺には呼び込み開口部9が設けられており、呼び込み開口部9の開口側は係止凹部2よりも幅広にすることで支持凸部5を呼び込み、開口側から奥側へと向かうにつれ幅が狭くなることで支持凸部5は奥側へとガイドされ、奥側は係止凹部2に合致するように載置することで、呼び込んだ支持凸部5を係止凹部2へと導く。 |
特許請求の範囲
【請求項1】 吊戸の上端に設けられた係止凹部に、上レールに沿って走行自在の吊具から垂下した支持凸部を側方から挿し込むことでなす吊戸取り付け作業を補助する吊戸取り付け用冶具であって、吊戸の上端面に載置される板部を備えており、板部の一辺には呼び込み開口部が設けられており、呼び込み開口部の開口側は係止凹部よりも幅広にすることで支持凸部を呼び込み、開口側から奥側へと向かうにつれ幅が狭くなることで支持凸部は奥側へとガイドされ、奥側は係止凹部に合致するように載置することで、呼び込んだ支持凸部を係止凹部へと導くものであることを特徴とする吊戸取り付け用冶具。 【請求項2】 吊戸は二つの戸板を繋いだ二つ折戸であり、二つ折戸の両端を同時に吊り込むときに用いる吊戸取り付け用冶具であって、板部は二つの戸板の上端をまたがるように載置され、板部の一辺には呼び込み開口部が二つ設けられていることを特徴とする請求項1記載の吊戸取り付け用冶具。 【請求項3】 板部には、折り曲げられた二つ折戸の間に挟み込むことで、二つ折戸の開き角度を規定するスペーサー部が設けられていることを特徴とする請求項2記載の吊戸取り付け用冶具。 【請求項4】 吊戸の係止凹部に支持凸部を側方から挿し込む作業において、請求項1〜3のいずれか一項記載の吊戸取り付け用冶具を補助的に用いることを特徴とした吊戸の施工方法。
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発明の詳細な説明
【技術分野】 【0001】 本願発明はクローゼット扉に使用されるような吊戸を、戸枠に設けられた上レールに取り付けるときに用いる吊戸取り付け用冶具および吊戸の施工方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来から、特開2005−68856号公報(特許文献1)に示されるように、クローゼット扉等に使われる吊戸の施工方法は知られている。この吊戸の施工方法は、図5、6に示すように、吊戸1の上端に固着部12を設け、戸枠に沿設された上レール3に上レール3に沿って走行自在の吊具4を支持し、吊具4から垂下した支持凸部5を固着部12に設けられた係止凹部2に取り付けることで吊戸1を上レール3に吊り下げるものである。支持凸部5は係止凹部2に側方から挿し込むことで固着部12に固定されるものであって、ネジ止めなどの作業は必要なく施工できる。 【特許文献1】特開2005−68856号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、上記従来例である吊戸の施工方法にあっては、係止凹部2を上から垂下した支持凸部5の手前に正確に配置しなければ、支持凸部5を係止凹部2に挿し込むことはできない。更に、この工程では吊戸1を支えながら位置合わせをする必要があり、困難な作業を要するものであった。 【0004】 本願発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたものであり、その課題は吊戸の取り付け作業を容易にする吊戸取り付け用冶具および、この吊戸取り付け用冶具を用いてする吊戸の施工方法を提案することである。 【課題を解決するための手段】 【0005】 上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、吊戸の上端に設けられた係止凹部に、上レールに沿って走行自在の吊具から垂下した支持凸部を側方から挿し込むことでなす吊戸取り付け作業を補助する吊戸取り付け用冶具であって、吊戸上端面に載置される板部を備えており、板部の一辺には呼び込み開口部が設けられており、呼び込み開口部の開口側は係止凹部よりも幅広にすることで支持凸部を呼び込み、開口側から奥側へと向かうにつれ幅が狭くなることで支持凸部は奥側へとガイドされ、奥側は係止凹部に合致するように載置することで、呼び込んだ支持凸部を係止凹部へと導くことを特徴としている。 【0006】 又、本願請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の吊戸取り付け用冶具において、吊戸は二つの戸板を繋いだ二つ折戸であり、二つの折戸の両端を同時に吊り込むときに用いる吊戸取り付け用冶具であって、板部は二つの戸板の上端をまたがるように設置され、板部の一辺には呼び込み開口部が二つ設けられていることを特徴としている。 【0007】 又、本願請求項3記載の発明では、上記請求項2記載の吊戸取り付け用冶具において、板部には、折り曲げられた二つ折戸の間に挟み込むことで、二つ折戸の開き角度を規定するスペーサー部が設けられていることを特徴としている。 【0008】 又、本願請求項4記載の発明では、吊戸の係止凹部に支持凸部を側方から挿し込む作業において、請求項1〜3のいずれか一項記載の吊戸取り付け用冶具を補助的に用いることを特徴としている。 【発明の効果】 【0009】 本願請求項1記載の発明の吊戸取り付け用冶具においては、吊戸取り付け用冶具を吊戸上端面に載置することで、係止凹部を支持凸部の手前に正確に配置しなくても、幅広の呼び込み開口部の開口幅内に支持凸部がくるように配置すれば、支持凸部はガイドされ係止凹部に取り付けることができるため、吊戸の取り付け作業が容易になるものである。 【0010】 又、本願請求項2記載の発明の吊戸取り付け用冶具においては、板部の一辺に呼び込み開口部を二つ設けることにより、二つ折戸の両端を同時に吊り込むことができるため、特に吊り込み式の二つ折戸の施工において、吊り込み作業がさらに容易になるものである。 【0011】 又、本願請求項3記載の発明の吊戸取り付け用冶具においては、板部に設けられたスペーサー部を折り曲げられた二つ折戸の間に挟み込むことで、吊戸取り付け用冶具は二つ折戸の間に固定され、取り付け時に二つ折戸の上端面で板部が動いて位置がずれたり、二つ折戸から外れたりすることがなくなる。更に、スペーサー部を挟み込むことで二つ折戸の開き角度が規定されるため、その開き角度に合わせて二つの支持凸部を配置することで、二つの呼び込み開口部にそれぞれ支持凸部を一つずつ確実に呼び込むことができ、二つ折戸の吊り込み作業がより容易になるものである。 【0012】 又、本願請求項4記載の発明の吊戸の施工方法においては、吊戸取り付け用冶具を用いることで、吊戸の取り付けが容易になるものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 図1、2は、本願請求項1〜4全てに対応した第一の実施形態である吊戸取り付け用冶具および吊戸の施工方法を示している。図1に示された吊戸1は二つ折戸であって、吊戸1の上端に設けられた係止凹部2に、上レール3に沿って走行自在の吊具4から垂下した支持凸部5を側方から挿し込むことで、吊戸1は取り付けられる構造になっている。又、この吊戸取り付け用冶具6は、板部8を備えており、板部8の一辺には開口側が係止凹部2よりも幅広の呼び込み開口部9が二つ設けられている。更に、板部8の二つの呼び込み開口部9の間からは、スペーサー部11が垂下している。 【0014】 この吊戸取り付け用冶具6は、板部8が二つの戸板10の上端をまたがるように載置し、呼び込み開口部9の奥側を係止凹部2に合致させる。更に、スペーサー部11を折り曲げられた二つ折戸の間に挟み込むことで、吊戸取り付け用冶具6を固定すると同時に二つ折戸の開き角度を規定し、この状態で吊戸1の取り付け作業を行う。 【0015】 以下、この実施形態の吊戸取り付け用冶具および吊戸の施工方法を、より具体的詳細に説明する。図1には、吊戸1、吊具4、吊戸取り付け用冶具6が示されている。吊戸1は二つの戸板10を繋いだ二つ折戸であり、各戸板10には繋がれている側とは反対側の側端面13から上端面7にかけて、係止凹部2が設けられている。この係止凹部2は、側方から挿し込まれた支持凸部5を完全に固定する構造になっている。 【0016】 吊具4は上レール3に沿って走行自在に取り付けられており、吊具4からは支持凸部5が垂下している。二つ折戸は二つの吊具4で吊り込むようになっており、二つの支持凸部5は一定間隔以内に狭めると、吊具4同士が接触することで、それ以上間隔が狭まらないようになっている。これは、二つ折戸を完全に折り曲げた状態で吊り込むと動作性が悪くなるため、二つ折戸をある程度開いた状態に保つためのものである。 【0017】 吊戸取り付け用冶具6は、板部8、呼び込み開口部9、スペーサー部11から成っており、板部8は上レール3と吊戸1の上端面7との隙間に入る程度の薄い板でできている。呼び込み開口部9は、板部8の一辺に二つ設けられており、開口側は係止凹部2よりも幅広で、戸板10の厚み幅と同程度の開口幅を有している。呼び込み開口部9の開口幅は奥側にいくほど連続的に狭くなり、係止凹部2と同程度の開口幅になったところからは、奥端まで一定の開口幅になる。スペーサー部11は直方体形状で、板部8の二つの呼び込み開口部9の間から垂下しており、板部8も合わせた全体としてT時型の形状となる。又、このスペーサー部11は上レール3と吊戸1の上端面7との隙間から吊戸取り付け用冶具6を取り出せる程度の厚みであるものとする。ただし、この実施形態はスペーサー部11が板部8から着脱可能である場合であってもよく、この場合は、特にスペーサー部11の厚みの制限はないものとする。 【0018】 なお、この吊戸取り付け用冶具6は金属、木材、プラスチックあるいはゴム製品等の弾性体等でできており、弾性体でできている場合は手で伸縮させることができる。ただし、この弾性体は板部8やスペーサー部11に用いられた場合にも、吊戸取り付け用冶具6として有効に作用するだけの強度は備えているものとする。 【0019】 この吊戸取り付け用冶具6を用いた、二つ折戸の具体的な取り付け方法は、まず二つ折戸を折り曲げた状態で、呼び込み開口部9と係止凹部2の開口側が同方向を向くように、板部8を二つの戸板10の上端にまたがって載置し、スペーサー部11を二つの戸板10で挟み込む。次に、呼び込み開口部9の奥側を係止凹部2に合致させ、開口側は戸板10からはみ出した図2に示される状態にする。ここでは、係止凹部2そのものを幅広に形成するのに比して、より以上に呼び込み開口部9の開口側が幅広に形成されている。 【0020】 この状態のまま、二つ折戸の上端面7を上レール3に近づけていき、戸板10からはみだした呼び込み開口部9の開口側に吊具4から垂下した支持凸部5を呼び込む。呼び込んだ支持凸部5は呼び込み開口部9によってガイドされ、係止凹部2に挿し込まれ固定される。最後に、吊戸取り付け用冶具6の取り外し作業において、まず、板部8を上に引き上げることで挟み込まれたスペーサー部11を解放し、上レール3と戸板10との隙間から板部8を引っ張り出すことで吊戸取り付け用冶具6を取り外し、二つ折戸の取り付け作業は完了する。なお、スペーサー部11が板部8から着脱可能である場合は、まずスペーサー部11を板部8から取り外して板部8を引っ張り出してから、二つ折戸を開きスペーサー部11を解放して、板部8とスペーサー部11を別個に回収する。 【0021】 したがって、この実施形態の吊戸取り付け用冶具および吊戸の施工方法においては、呼び込み開口部9は、係止凹部2よりも幅広で戸板10の厚み幅と同程度の開口幅を有しており、この呼び込み開口部9を介して支持凸部5を取り付けるため、従来例のような開口幅の狭い係止凹部2に支持凸部5を直接取り付ける場合と比較して、吊戸1の取り付け作業を容易にすることができる。又、板部8の一辺には呼び込み開口部9が二つ設けられており、二つ折戸を吊り込む場合において、二つ折戸の両端を同時に吊り込むことができ、二つ折戸の取り付け作業を容易にすることができる。 【0022】 吊戸取り付け用冶具6には、スペーサー部11が設けられており、このスペーサー部11を二つ折戸の間に挟み込むことによって、取り付け時に二つ折戸の上端面7で板部8が動いて位置がずれたり、吊戸取り付け用冶具6が二つ折戸から外れたりすることがなくなり、確実に二つ折戸の間に吊戸取り付け用冶具6を固定することができる。又、スペーサー部11を挟み込むことで二つ折戸の開き角度が規定されるため、その開き角度に合わせて二つの支持凸部5を配置することで、二つの呼び込み開口部9にそれぞれ支持凸部5を一つずつ確実に呼び込むことができ、二つ折戸の吊り込み作業をより容易にすることができる。更に、スペーサー部11が板部8から着脱可能である場合、吊り込み完了後、スペーサー部11を板部8から取り外すことによって、容易に吊戸取り付け用冶具6を二つ折戸から取り外すことができる。 【0023】 吊戸取り付け用冶具6がゴム製品等の弾性体等でできている場合、板部8およびスペーサー部11が伸縮するため、上レール3と吊戸1の上端面7との狭い隙間からも、容易に吊戸取り付け用冶具6を引っ張り出すことができる。 【0024】 図3は、本願請求項1〜4全てに対応した第二の実施形態である吊戸取り付け用冶具および吊戸の施工方法を示している。なお、ここでは、上記第一の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第一の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。この吊戸取り付け用冶具6は、図3に示すように上面図として見ると、スペーサー部11がコの字型になっており、コの字の開口方向が呼び込み開口部9の開口方向と同じ方向になるように設けられている。又、このスペーサー部11は板部8の奥側に設けられており、開口側にはスペースがあるため、呼び込み開口部9の開口幅を第一の実施形態よりも広くとることができる。したがって、支持凸部5をさらに呼び込みやすくなり、吊戸の取り付け作業をさらに容易にすることができる。 【0025】 図4は、本願請求項1、4に対応した第三の実施形態である吊戸取り付け用冶具および吊戸の施工方法を示している。なお、ここでは、上記第一の実施形態と相違する事項についてのみ説明し、その他の事項(構成、作用効果等)については、上記第一の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。この吊戸取り付け用冶具6は、主に引戸を吊り込むときに用いるものであり、引戸は戸板10上部の両端を吊り込むことにより上レール3に取り付けられる。この引戸には、引戸の裏面14から上端面7にかけて係止凹部2が設けられている。 【0026】 この吊戸取り付け用冶具6の板部8には呼び込み開口部9が一つ設けられており、板部8の開口側と反対側の辺からは、その辺に沿って後方嵌合部15が垂下している。又、板部8において、呼び込み開口部9の開口幅が奥側にいくほど狭くなっていく部分と、開口幅が一定になる部分との境界位置から前方嵌合部16が垂下しており、この前方嵌合部16は後方嵌合部15と向かい合う状態で、呼び込み開口部9をはさんで二箇所に設けられている。この後方嵌合部15と前方嵌合部16とで、引戸の上端部と嵌合させることで、吊戸取り付け用冶具6は引戸に取り付けられる。 【0027】 したがって、この吊戸取り付け用冶具6においては、係止凹部2が戸板10の裏面14に設けられていたとしても、吊り込み作業時に有効に用いることができ、吊戸の取り付け作業を容易にすることができる。 【図面の簡単な説明】 【0028】 【図1】本願発明の第一の実施形態である吊戸取り付け用冶具および吊戸の施工方法を示す斜視図。 【図2】同吊戸取り付け用冶具の吊戸上端面に取り付けた状態を示す上面図。 【図3】本願発明の第二の実施形態である吊戸取り付け用冶具の吊戸上端面に取り付けた状態を示す上面図。 【図4】本願発明の第三の実施形態である吊戸取り付け用冶具および吊戸の施工方法を示す斜視図。 【図5】従来例である吊戸の施工方法を示す斜視図。 【図6】従来例である吊戸の施工方法を示す斜視図。 【符号の説明】 【0029】 1 吊戸 2 係止凹部 3 上レール 4 吊具 5 支持凸部 6 吊戸取り付け用冶具 7 上端面 8 板部 9 呼び込み開口部 10 戸板 11スペーサー部 12固着部 13側端面 14裏面 15前方嵌合部 16後方嵌合部
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