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液滴吐出装置 - ブラザー工業株式会社
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発明の名称 液滴吐出装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−69435(P2007−69435A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−258075(P2005−258075)
出願日 平成17年9月6日(2005.9.6)
代理人 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫
発明者 伊藤 敦 / 水谷 浩光
要約 課題
ノズル径の相違するノズルを備えていても、いずれのノズルに対してもインク供給不足や目詰まり等を生じずに、安定した吐出性能を得ることのできる液滴吐出装置の実現する。

解決手段
液体を吐出する複数のノズルグループと、ノズルグループ毎に液体の取入口31がキャビティユニット10に備えられ、複数の取入口31を覆うように取り付けられるフィルタ体50には、各取入口31の開口領域に対応して多数の小孔53が貫通形成されたフィルタ孔部51の複数個が一体的に連接して設けられ、複数のノズルグループのうちの少なくとも一部は、他のノズルグループとノズル径が相違し、フィルタ体50の各フィルタ孔部51は、当該フィルタ孔部51が対応するノズルグループのノズル径が大きいとき、小孔径が大きく、ノズル径が前記大きいノズル径よりも小さいとき、小孔径が前記大きい小孔径よりも小さく設定されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
液滴を吐出する多数のノズルに液体供給源側からの液体を供給するための取入口が開口形成されたキャビティユニットと、前記取入口の開口の領域に対応して多数の小孔が貫通形成されたフィルタ孔部を有し前記取入口を覆うように前記キャビティユニットに取り付けられるフィルタ体とを備える液滴吐出装置において、
前記多数のノズルは、複数のノズルグループに分けられ、
前記取入口は前記ノズルグループ毎に設けられ、
前記フィルタ体には前記フィルタ孔部が前記取入口毎に設けられるとともに、その複数のフィルタ孔部が一体に連接して設けられ、
前記複数のノズルグループのうちの少なくとも一部は、他のノズルグループとノズル径が相違し、
前記フィルタ体の前記各フィルタ孔部は、当該フィルタ孔部が対応するノズルグループのノズル径が大きいとき、小孔径が大きく、ノズル径が前記大きいノズル径よりも小さいとき、小孔径が前記大きい小孔径よりも小さく設定されていることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記ノズルのノズル径の設計値Dと、前記フィルタ孔部の小孔径の設計値dとは、
前記ノズルを加工する際の加工精度に基づくノズル径をD±α、前記フィルタ孔部の小孔を加工する際の加工精度に基づく小孔径をd±β、前記フィルタ孔部の小孔を通過可能な異物の最大径をd+γとしたときに、
D−(α+β+γ)≧d
の関係になるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記複数のノズルグループのうち、ノズル径の大きいノズルグループは、ノズルから吐出する1液滴当たりの吐出量が他のノズルグループよりも大きな値に設定されているノズルグループであることを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記フィルタ孔部は、該フィルタ孔部が対応するノズルグループに含まれるノズルの数が多いとき、前記小孔の数が多く、ノズルの数が前記多いノズル数よりも少ないとき、前記小孔の数が前記多い小孔数よりも少なく形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記フィルタ体は、電鋳法により、小孔径の相違する前記複数のフィルタ孔部が間隔をあけて一体的に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記フィルタ体は、前記各フィルタ孔部をそれぞれ囲みかつ複数のフィルタ孔部を一体に連接するほぼ板状の枠部を有し、その枠部は、前記フィルタ体全体の平面積の70%以下に設定されていることを特徴とする請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記液体としてブラックインクを含む複数のインク色のインクが供給され、前記ノズルは、該ノズルから吐出するインクのインク色に基づいて複数のノズルグループに分けられ、
複数のノズルグループのうち、ブラックインク用のノズルグループでは、その他のインク色用のノズルグループよりも、ノズル径が大きく設定され、
このノズル径に基づいて、ブラックインク用のフィルタ孔部で、その他のインク色用のフィルタ孔部よりも、小孔径が大きく設定されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の液滴吐出装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を液滴としてノズルから吐出する液滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液滴を吐出する液滴吐出装置としては、微小なインク滴を高い精度で吐出するインクジェットヘッド等がある。このようなインクジェットヘッドでは、インクを吐出するノズルに異物が詰まると吐出不良を引き起こし記録状態が悪化するので、例えば、特許文献1に記載されているように、多数の小孔が貫通形成されたフィルタ孔部を有するフィルタ体をインク供給路に設けて、フィルタ孔部を通過することで異物が取り除かれたインクをノズルに供給するようにしている。
【0003】
ところで、近年のインクジェットプリンタのカラー化に伴って、インクジェットヘッドでは、複数のインク色を吐出するように構成されているため、インク供給路もインク色に対応して複数形成されるようになっている。
【特許文献1】特開平11−291514号公報(図1及び図7参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インク供給路が複数設けられていると、前記フィルタ孔部もインク供給路毎に必要となるが、インクジェットヘッドにおける微細なインク供給路に個別にフィルタ体を取り付ける作業は困難性が高い。従って、フィルタ体の取り付け工程を簡便化するために、複数のフィルタ孔部を1つのフィルタ体に設けて、複数のインク供給路に一括してフィルタ体を取り付ける方法が考えられる。
【0005】
フィルタ孔部の小孔径は、異物の除去という機能上、ノズル径に対し小さくなければならないが、その小孔径がノズル径に比べて極端に小さいと、異物に対する除去性能が高められてノズルの目詰まりを確実に防止できる反面、流路抵抗が増しまた小孔自体が異物で閉塞し易く、その結果、必要なインク量をノズル側に供給できないという問題を生じる。
【0006】
複数色のインクを吐出させるインクジェットヘッドでは、インク色に応じてノズル径を相違させることが行われ、この場合、複数のインク色のインク供給路にそれぞれ対応する複数のフィルタ孔部を1つのフィルタ体に設けるが、前述したようなインク供給不足や、ノズル詰まり、フィルタ孔部の閉塞等の問題が生じないように、各フィルタ孔部の小孔径をそれぞれが対応するノズル径に応じて最適化させたいという要望があった。
【0007】
また、このようにノズル径に応じて複数のフィルタ孔部の小孔径を異ならせる場合、通常は、複数のフィルタ孔部を小孔径の大きさ毎に製作して各流路に対して組み付けることになり、製造に多くの工数がかかり、かつ品質も安定しないという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記問題を解消するものであり、ノズル径の相違するノズルを備えていても、いずれのノズルにおいてもインク供給不足や目詰まり等を生じずに、安定した吐出性能を得ることのできる液滴吐出装置の実現を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明における液滴吐出装置は、液滴を吐出する多数のノズルに液体供給源側からの液体を供給するための取入口が開口形成されたキャビティユニットと、前記取入口の開口の領域に対応して多数の小孔が貫通形成されたフィルタ孔部を有し前記取入口を覆うように前記キャビティユニットに取り付けられるフィルタ体とを備える液滴吐出装置において、前記多数のノズルは、複数のノズルグループに分けられ、前記取入口は前記ノズルグループ毎に設けられ、前記フィルタ体には前記フィルタ孔部が前記取入口毎に設けられるとともに、その複数のフィルタ孔部が一体に連接して設けられ、前記複数のノズルグループのうちの少なくとも一部は、他のノズルグループとノズル径が相違し、前記フィルタ体の前記各フィルタ孔部は、当該フィルタ孔部が対応するノズルグループのノズル径が大きいとき、小孔径が大きく、ノズル径が前記大きいノズル径よりも小さいとき、小孔径が前記大きい小孔径よりも小さく設定されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液滴吐出装置において、前記ノズルのノズル径の設計値Dと、前記フィルタ孔部の小孔径の設計値dとは、前記ノズルを加工する際の加工精度に基づくノズル径をD±α、前記フィルタ孔部の小孔を加工する際の加工精度に基づく小孔径をd±β、前記フィルタ孔部の小孔を通過可能な異物の最大径をd+γとしたときに、D−(α+β+γ)≧dの関係になるように設定されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の液滴吐出装置において、前記複数のノズルグループのうち、ノズル径の大きいノズルグループは、ノズルから吐出する1液滴当たりの吐出量が他のノズルグループよりも大きな値に設定されているノズルグループであることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の液滴吐出装置において、前記フィルタ孔部は、該フィルタ孔部が対応するノズルグループに含まれるノズルの数が多いとき、前記小孔の数が多く、ノズルの数が前記多いノズル数よりも少ないとき、前記小孔の数が前記多い小孔数よりも少なく形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の液滴吐出装置において、前記フィルタ体は、電鋳法により、小孔径の相違する前記複数のフィルタ孔部が間隔をあけて一体的に形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の液滴吐出装置において、前記フィルタ体は、前記各フィルタ孔部をそれぞれ囲みかつ複数のフィルタ孔部を一体に連接するほぼ板状の枠部を有し、その枠部は、前記フィルタ体全体の平面積の70%以下に設定されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の液滴吐出装置において、前記液体としてブラックインクを含む複数のインク色のインクが供給され、前記ノズルは、該ノズルから吐出するインクのインク色に基づいて複数のノズルグループに分けられ、複数のノズルグループのうち、ブラックインク用のノズルグループでは、その他のインク色用のノズルグループよりも、ノズル径が大きく設定され、このノズル径に基づいて、ブラックインク用のフィルタ孔部で、その他のインク色用のフィルタ孔部よりも、小孔径が大きく設定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、同一のキャビティユニットに備えられた複数のノズルグループのうち、少なくとも一部のノズルグループが他とノズル径が相違している場合に、大きい方のノズル径に対応するフィルタ孔部の小孔径を大きく、小さい方のノズル径に対応するフィルタ孔部の小孔径を小さくしているから、大きい方のノズル径あるいは小さい方のノズル径のいずれかに合わせて、小孔径をすべて同一にしている場合に比べると、径の小さい方のノズルが異物で詰まったり、径の大きい方のノズルに対応するフィルタ孔部の流路抵抗が増大してインク供給不足になったりすることを防止することができる。これにより、いずれのノズルにおいても、インク供給不足や目詰まりを引き起こすことなく、安定した吐出性能を確保することができる。
【0017】
もちろん、これら複数の小孔径を有する複数のフィルタ孔部を一体的にフィルタ体に設けることで、複数の取入口に一括してフィルタ体を取り付けることができるから、前記取入口に個別にフィルタ体を取り付ける場合に比べて、取り付け作業を極めて簡便化することができ、また、複数の取入口に対して複数のフィルタ孔部の位置が一定化し品質を安定することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、ノズルの加工精度、フィルタ孔部の小孔径の加工精度、及びフィルタ孔部の小孔を通過可能な異物の最大径の条件から、必要なノズル径の設計値Dにおいて異物でノズルを詰まらせないフィルタ孔部の小孔径の設計値dを容易に決定することができる。
【0019】
また、ノズル径の設計値Dと小孔径の設計値dとの関係式は、ノズル及び小孔の加工精度、異物の大きさに基づいて導出され、加工方法に応じたαあるいはβの値を入れるから、加工方法が変わっても容易に応用することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、ノズルからの1液滴当たりの吐出量に応じてノズル径を大きくしたり、あるいは小さくしたりしても、請求項1に記載の発明を適用することで、いずれのノズル径でも安定した吐出性能を得ることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、フィルタ孔部において、対応するノズルグループのノズル径に応じて小孔径を決定するだけでなく、前記ノズルグループのノズル数に応じて小孔の数も決定しているから、異物に対する捕捉性やノズルへのインク供給不足の問題を、フィルタ孔部の小孔径と小孔数とにより、総合的に解消することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、電鋳法は、母型(基板)上にフォトリソグラフィによって絶縁膜のパターン形成を行い、母型上の絶縁膜の無い領域に金属を堆積する製造方法であるから、フィルタ体及び小孔の個数や大きさは絶縁膜のパターンを変えるだけで変更でき、小孔径の相違する複数のフィルタ孔部を一体化したフィルタ体を容易に形成することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、フィルタ体には、金属膜が比較的広い面積で連続して広がる実質無孔の枠部と、複数の小孔で金属膜が極狭い面積に区切られて連接するフィルタ孔部とが備えられるが、枠部の平面積を少なくしこの平面積をフィルタ体全体の平面積の70%以下に設定することで、フィルタ孔部の小孔を安定して形成することができる。フィルタ体は電鋳法で形成されているため、金属を堆積させる領域面積の大小によって、金属の堆積状態が変化し、形成された金属膜の厚みにムラ等を生じる場合があるので、金属を堆積させる領域面積の大きい枠部がフィルタ体全体に占める面積比率を小さくすることで、金属を堆積させる領域面積の小さく区切られているフィルタ孔部の形状を安定化させ、歩留まりを向上させることができるのである。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、ブラックインクは、そのノズル径をカラーインク用のノズル径よりも大きくすることで、大きな液滴の吐出を行うことができる。ブラックインクは、主に高速のテキスト記録に使用され、主に写真画像の記録用に微小な液滴が要求されるカラーインクに比べると、大きな液滴の吐出を求められる。そのために、1つのキャビティユニットに備えられるブラックインク用のノズルとカラーインク用のノズルとでノズル径を相違させても、請求項1に記載の発明を適用することで、すべてのノズルにおいて、インク供給不足やノズル詰まりを引き起こすことなく、安定した吐出性能を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の基本的な実施形態を、図1〜図5を用いて説明する。
【0026】
本実施形態は、液滴吐出装置としてインクジェットヘッドに適用したものである。インクジェットヘッド1は、図示しないが、用紙の搬送方向(副走査方向、Y方向)と直交する方向(主走査方向、X方向)に往復移動するキャリッジに搭載されたヘッドユニットに設けられ、そのヘッドユニットには、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のカラーインクがそれぞれ充填されたインクカートリッジが着脱可能に搭載されるか、または画像形成装置の本体(図示せず)に静置されたインクカートリッジから供給パイプ(図示せず)を介して各色のインクが供給されるように構成されている。
【0027】
インクジェットヘッド1は、図1に示すように、前面(図1における下面)に複数個のノズル11a(図2参照)が複数の列状に配置されたキャビティユニット10と、その上面に対して接着剤または接着シートを介して接着し積層されるプレート型の圧電アクチュエータ12と、その背面(上面)に外部機器との電気的接続のために重ね接合されたフレキシブルフラットケーブル40とにより構成されている。
【0028】
キャビティユニット10は、図2に示すように、下層から順にノズルプレート11、スペーサプレート15、ダンパープレート16、二枚のマニホールドプレート17,18、サプライプレート19、ベースプレート20、及びキャビティプレート21の合計8枚の扁平な板をそれぞれ接着剤にて重ね接合して積層する構成である。合成樹脂製のノズルプレート11を除き、各プレート15〜21は、42%ニッケル合金鋼板製であり、それらの板厚さを50μm〜150μm程度としている。
【0029】
前記ノズルプレート11は、ポリイミド製であり、微小径(後述する)の多数のインク吐出用のノズル11aが、当該ノズルプレート11における長辺方向(Y方向、副走査方向)に沿って穿設されている。この実施形態では、ポリイミドシートに対してエキシマレーザを照射してノズル11aを穴加工している。これらノズル11aは、それぞれから吐出するインクのインク色に基づいて、4つのノズルグループに分けられて、各ノズルグループは列状(ノズル列N)に配置されている。
【0030】
各ノズル列Nはノズルプレート11における短辺方向(X方向、主走査方向)に適宜間隔で5列(個別の列には、図2における右から順番に符号N1〜N5を付する、但し、N4,N5は図示せず)に配列されており、ノズル列N1はシアンインク(C)用であり、ノズル列N2はイエローインク(Y)用であり、ノズル列N3はマゼンタインク(M)用であり、ノズル列N4及びN5はブラックインク(BK)用とする。すなわち、ブラックインクのノズルグループは、2つのノズル列N4、N5に分けて配列されている。
【0031】
ノズル11aのノズル径は、インク色に関係なく、全て同一径に形成される場合も多いが、カラーインクは主に写真画質の記録等に使用され、きわめて微小な液滴の吐出を求められるのに対して、ブラックインクは主に文字等のテキスト記録に使用され比較的大きな液滴を高速で吐出することを求められることを考慮して、この実施形態では、ブラックインク用のノズル11aは、他のシアンインク、マゼンタインク、イエローインク用のノズル11aよりも、ノズル径を大きく設定している。詳細には、ブラックインク用のノズルのノズル径が20.5μm、その他のインク(イエロー、マゼンタ、シアン)用のノズルのノズル径が18.0μmである。
【0032】
キャビティプレート21には、ノズル列N毎に、X方向に沿って延びる細幅の圧力室23(各圧力室の列を符合23−1,23−2,23−3,23−4,23−5とする)がノズル11aの個数に対応してキャビティプレート21を厚さ方向に貫通して形成されている。各列の圧力室23は隔壁24を介してY方向に配置されている。
【0033】
上下マニホールドプレート17,18には、Y方向に長いインク通路が各ノズル列N1〜N5に対応して板厚方向に貫通するように形成され、上側のサプライプレート19と下側のダンパープレート16とに挟まれて積層されることにより、前記インク通路が5列の共通インク室(マニホールド室)26となる。そして、図2において、右から順に共通インク室26a,26b,26c,26d,26eとするとき、共通インク室26aはシアンインク(C)用であり、共通インク室26bはイエローインク(Y)用であり、共通インク室26cはマゼンタインク(M)用であり、第4番目と第5番目の共通インク室26d,26eの対はブラックインク(BK)用となる。各共通インク室26a〜26eは、圧力室の各列23−1〜23−5に対応してそれぞれその列方向に延びている。
【0034】
図2において、キャビティプレート21のY方向の一端部にX方向に沿って適宜間隔で穿設された4つのインク供給口(請求項の取入口に相当)を右から順に符号31a,31b,31c,31dとするとき、インク供給口31a,31b,31cは、右端から順の共通インク室26a,26b,26cに各々対応し、右から4番目のインク供給口31dは、2つの共通インク室26d,26eの互いに近接した端部に共通に対応している。そのため、インク供給口31dは、その他のインク供給口31a〜31cに比べて、開口面積が大きく設定されている。そして、各インク供給口31の位置及び面積に対応して、ベースプレート20及びサプライプレート19の一端部にインク供給通路32が穿設され、各インク供給口31と対応する共通インク室26の一端部とを連通している。
【0035】
この4つのインク供給口31a〜31dの上面には、これら4つを一括して覆うようにフィルタ体50が貼着されている(図2参照)。フィルタ体50の詳細については後述する。
【0036】
また、下側のマニホールドプレート17の下面に接着されるダンパープレート16の下面側には、各共通インク室26に対応する位置にY方向に長いダンパー室27が下面方向にのみ開放するように凹み形成され、その下面側のスペーサプレート15にて塞がれて完全な密閉状のダンパー室27が構成される。
【0037】
この構成により、圧電アクチュエータ12の駆動で圧力室23に作用する圧力波のうち、インクにより伝播されて共通インク室26の方向に向かう後退成分を、板厚の薄いダンパー室27の天井部の振動により吸収し、いわゆるクロストークが発生することを防止するのである。
【0038】
サプライプレート19には、各圧力室23に対応する絞り部28がX方向に延びる細長形状で凹溝状に形成されている。この各絞り部28の一端は対応するマニホールドプレート18における共通インク室26a〜26eに連通し、各絞り部28の他端は上側のベースプレート20を上下貫通する連通孔29(図3参照)を介して圧力室23の一端に連通している。
【0039】
圧力室23の他端は、スペーサプレート15、ダンパープレート16、2枚のマニホールド17,18、サプライプレート19,及びベースプレート20に上下に貫通形成された連通路25を介して、それぞれ、ノズル列N1〜N5毎にノズル11aに連通している。
【0040】
このように各プレートにインク流通路が形成され、各インク供給口31a〜31dから各共通インク室26内に流入したインクは、絞り部28、連通孔29を通って各圧力室23内に分配されたのち、この各圧力室23内から連通路25を通って、この圧力室23に対応するノズル11aに至るという構成になっている。
【0041】
一方、圧電アクチュエータ12は、特開平4−341853号公報等に開示された公知のものと同様に、1枚の厚さが30μm程度の複数枚の圧電シートを積層した構造であり、複数枚の圧電シートのうちの一部は、キャビティユニット10における各圧力室23に対応した箇所ごとに設けられた細幅の個別電極の層と、複数個の圧力室23に対応して共通に設けられたコモン電極の層とで上下が挟まれている。最上層の圧電シートの上面には、前記個別電極及びコモン電極を、フレキシブルフラットケーブル40に電気的に接続するための表面電極58が設けられている(図2参照)。そして、公知のように個別電極とコモン電極との間に高電圧を印加することで、両電極間に位置する圧電シートの部分が分極され、活性部として形成される。
【0042】
次に、フィルタ体50について説明する。フィルタ体50は、図4(a)に示すように、インク供給口31の開口領域に対応して多数の小孔53がフィルタ体50の厚み方向に貫通形成されたフィルタ孔部51を有しており、この実施形態では、インク供給口31が4つ並設されているので、フィルタ孔部51も4つ並設されている。フィルタ体50全体は、フィルタ孔部51の並び方向に沿って長い平面視略長方形状に形成されている。4つのフィルタ孔部51は、フィルタ孔部51aがシアンインク用、フィルタ孔部51bがイエローインク用、フィルタ孔部51cがマゼンタインク用、フィルタ孔部51dがブラックインク用である。フィルタ孔部51dは、インク供給口31dの開口面積に対応して、他のフィルタ孔部51a〜51cよりも平面積が大きく形成されている。
【0043】
フィルタ体50には、各フィルタ孔部51をそれぞれ囲み4つのフィルタ孔部51a〜51dを一体に連接する実質無孔の板状の枠部52が設けられている。すなわち、隣接するフィルタ孔部51同士の間は、枠部52で区画されており、枠部52は、フィルタ体50をキャビティユニット10に接着するときの、接着しろとなる。隣接するフィルタ孔部51同士の間が枠部52をキャビティユニット10に接着することで分断されるから、フィルタ孔部51を通過するインクがフィルタ孔部51の隣接方向に広がって混色することを防止することができる。
【0044】
フィルタ体50は、金属製であり、電鋳法によって形成されている。この電鋳法では、まず、母型上に絶縁膜をフィルタ孔部51の小孔53に対応した突起部をパターン形成し、母型上の絶縁膜の無い部分に金属を所望の厚み(フィルタ体の厚み寸法)まで堆積形成して金属膜とし、絶縁膜を除去した後に、前記金属膜をフィルタ体として母型から剥離する。このように、電鋳法で形成されるフィルタ体50は、複数のフィルタ孔部51と枠部52とが同時に一体的に形成される。
【0045】
フィルタ孔部51の小孔53は、平面視円形に形成されており、その小孔径は、ノズル11aのノズル径に応じて決定される。ノズル11aが、図5(b)に示すように、ノズルがテーパ形状に形成されている場合には、最も細くなった部分の内径がノズル径となる。前述したように、ブラックインク用のノズル径は、イエローインク用、マゼンタインク用、シアンインク用のノズル径よりも大きく設定されているので、小孔径もブラックインク用の小孔径が、他のイエローインク、マゼンタインク、シアンインク用の小孔径よりも大きくなる。詳細には、ノズル径の設計値をD、小孔径の設計値をdとしたとき、ノズル11を加工する際の加工精度に基づくノズル径はD±α、フィルタ孔部51の小孔を加工する際の加工精度に基づく小孔径はd±β、フィルタ孔部51の小孔53を通過可能な最大異物の径はd+γとなる。したがって、小孔径の設計値dは、ノズル径の設計値Dに対して、
D−(α+β+γ)≧d (式1)
の関係になるように設定している。すなわち、フィルタ孔部51の小孔53を通過可能な最大径(d+β+γ)の異物が、ノズル11aが最小径(D−α)の場合でも、ノズル11aに詰まらずに吐出されるようにしている。
【0046】
この実施形態では、ノズル孔11aは、前述したようにノズルプレート11にエキシマレーザを照射して穴加工されており、この場合の加工精度で、平面視円形に穿設されるノズル11aの直径は統計的計算値で、D±3.5μm(α=3.5)となる。一方、小孔53は、前述した電鋳法により形成されており、この場合の加工精度で、小孔53の直径は統計的計算値で、d±2.0μm(β=2.0)となる。また、フィルタ孔部51の小孔53は、パージ動作による吸引圧力がインクにかかると、フィルタ孔部51が湾曲して小孔径dよりも大きい径の異物を通過させてしまうことが実験的にわかっており、その異物の最大径はd+1.0μm(γ=1.0)であった。これらα、β、γの値を前述の(式1)に適用すると、ノズル径の設計値Dと小孔径の設計値dとは、D−6.5(μm)≧dの関係となる。
【0047】
ここでは、前述したように、ブラックインク用のノズル径の設計値は20.5μmであるから、ブラックインク用のフィルタ孔部51dの小孔径の設計値は14.0μmとなる。その他のインク(イエロー、マゼンタ、シアン)用のノズル径の設計値は18.0μmであるから、その他のインク(イエロー、マゼンタ、シアン)用のフィルタ孔部51a〜51cの小孔径の設計値は11.5μmとなる。
【0048】
なお、加工精度(α、β)は加工方法によって変わるため、同じノズル径Dであっても、加工方法が変われば、小孔径dも変わる。例えば、ノズルプレート11を高精度のLIGA(Lithographie Galvanoformung und Abformung)で形成する場合には、ノズル径の加工精度αは、±0.5μmにまで向上する。また、フィルタ体50も電鋳母型の縮小等で加工精度の向上を図ると、小孔径の加工精度βは、±1.5μmになることが見込める。従って、このような加工方法を適用する場合には、(式1)から、ノズル径の設計値Dと小孔径の設計値dとが、D−3.0(μm)≧dの関係に導出される。
この加工方法の場合に、前述のノズル径から小孔径dを求めると、ブラックインク用のフィルタ孔部51dの小孔径の設計値は17.5μm、その他のインク(イエロー、マゼンタ、シアン)用のフィルタ孔部51a〜51cの小孔径の設計値は15.0μmとなる。
【0049】
各フィルタ孔部51では、インク供給不足を防止するために、前述のようにノズル径の設計値Dに応じて小孔径の設計値dが決定されることに加えて、1つのフィルタ孔部51に形成される小孔の数が、該フィルタ孔部51が対応するノズルの数に応じて決定されることが望ましい。
【0050】
本出願人は、ブラックインク用のノズル11aとフィルタ孔部51dとを用いて、ノズル数に応じて小孔数を最適化する検討を行った。実験で用いたブラックインクのノズル数Nは、148個であり、小孔数nは20170個であった。ノズル1個当たりの小孔数(n/N)を求めると136(=20170/74)個となる。このフィルタ孔部51dを通過したインクをノズル11aに供給し、製品ライフに相当する吐出実験を行ったところ、フィルタ孔部51dでは、136個のうちの41個、すなわち全体の約30%が異物により目詰まりを生じた。
【0051】
また、ノズル1個当たりの小孔数(n/N=136)における開通率(閉塞していない小孔の比率)を変えて、ノズルへのインク供給が不足するか否かの実験を行ったところ、ノズル1個当たりの小孔数(n/N)136個のうちの約50%である68個が開通していると、製品の吐出性能を損うことのない十分なインクを供給できることもわかった。
【0052】
すなわち、製品ライフにおいて、ノズル1個当たりの小孔数(n/N=136)のうち、68個開口していれば十分なインク供給が可能で、且つ41個は異物により目詰まりを生じてしまう。そのため、ノズル1個当たりの小孔数n/Nは、少なくとも110(≒68+41)個以上存在すれば、製品として十分機能することがわかる。換言すれば、実験に用いた、ノズル1個当たりの小孔数n/Nが136個に設定されたフィルタ孔部は、製品として必要以上に十分な性能を有している(マージンがある)ことがわかった。
【0053】
この実験結果から得られた関係式、n/N≧110(式2)は、他のインクのフィルタ孔部51にも応用することができる。例えば、イエローインク用、マゼンタインク用、シアンインク用のノズルは、ブラックインク用のノズルよりも少なく、そのノズル数Nは、74個である。これを、(式2)に当てはめると、前記カラーインク用の小孔数nは、8140(=74×110)個以上あればよいことがわかる。このように(式2)を用いることで、設計変更等でノズル数Nが変わっても、容易に小孔数nを求めることができる。
【0054】
また、フィルタ体50は電鋳法で形成されるが、電鋳法は、前述したように母型が露出した部分に金属を堆積させていく方法であるため、露出している面積の大小によって、堆積速度等に差異が生じる。フィルタ体50において、枠部52は、広い面積が連続してベタ状に広がっているが、フィルタ孔部51は、狭い面積の小孔53が連接した状態になっているため、枠部52の平面積がフィルタ体50の全体に占める割合によって、小孔53の形状に影響を及ぼす。本出願人は、フィルタ体50全体の平面積に対する枠部52の平面積を変えて実験したところ、フィルタ体50の平面積に対して枠部52の平面積が70%以下の場合に、小孔53の形状が安定化し、フィルタ体50の歩留まりが向上することがわかった。
【0055】
また、フィルタ体50の製造においては、図4(b)に示すように、フィルタ体50が金属膜として母型54上に形成されているので、このフィルタ体50を母型54から剥離する工程が必要である。この工程でフィルタ体50と母型54との剥離性が悪い場合には、フィルタ体50が不良品となるため、本出願人は、母型54からの剥離性の観点から、フィルタ体50の外形状の最適化を検討した。
【0056】
フィルタ体50となる金属膜を母型54から分離する際には、まず、母型全体を湾曲させて撓みが加えられて、金属膜の端部から徐々に剥離を開始させる。すなわち、金属膜の端部が母型54の湾曲に追従せずに外れることをきっかけとして、フィルタ体50を取り外す。そのため、金属膜の端部が速やかに母型54から外れるようにすることで、フィルタ体50の剥離性が向上される。
【0057】
そのため、本出願人は、フィルタ体50の短辺方向の長さ寸法W(図4(a)参照)と、フィルタ体50の厚み寸法t(図4(b)参照)の比率を変えて、実験を行ったところ、W/t≧293の場合に、剥離性が安定し、フィルタ体50の歩留まりが向上することがわかった。
【0058】
このように、本実施形態では、インクジェットヘッドの諸条件から決定されたノズル径Dを(式1)に当てはめるだけで、ノズル径Dに最適なフィルタ孔部51の小孔径dを容易に求めることができる。従って、上記実施形態のように、1つのインクジェットヘッドにおいて、ブラックインク用のノズルのみが、他のインク色用のノズルよりも大径に形成され、ノズル径の相違するノズルが混在していても、それぞれのノズルグループには、そのノズル径に適した小孔径dが設定されているので、いずれのノズルに対しても、ノズル詰まりを防止しかつインクも速やかに供給することのできる。
【0059】
また、小孔径dをノズル径Dに応じて設定するだけでなく、小孔53の数も、そのフィルタ孔部51が対応するノズルの数が多いほど多くなるように設定され、その小孔数も(式2)を用いることで、容易に決定できるので、ノズル詰まりとインク供給不足をさらに確実に防止することができる。
【0060】
さらに、フィルタ体50を電鋳法で形成することにより、フィルタ体50に複数のフィルタ孔部51を設けたり、1つのフィルタ体50における小孔53の径を相違させたりすることが、極めて容易であるため、製造工程を簡略化することができる。また、前述したように、枠部53の平面積の全体に対する比率や、フィルタ体50の外形状を規定することで、フィルタ体50を安定して製造でき、歩留まりを向上させることもできる。
【0061】
なお、上記実施形態では、ブラックインク用のノズルのみをその他のノズルより大径に設定したが、これに限定するものではなく、他のインク色のノズルを必要に応じて大径に設定してもよい。
【0062】
また、フィルタ孔部の小孔は、円形にかぎらず、多角形にすることもできる。特に、六角形にして蜂の巣状に配置すると、他の多角形及び円形のものに比して、単位面積当たりの小孔数を多くでき、異物の閉塞による流路抵抗増加の感度を鈍くすることができる。さらに、枠部52に、製造時に母型54あるいは絶縁膜の情報を、文字、記号等で記入しておくこともできる。
【0063】
また、液滴吐出装置としては、インクを吐出するインクジェットヘッドに限定するものではなく、例えば、化学薬品等の液体を液滴として吐出する、精密なピペッター等の液滴吐出装置に適用してもよい。特に、物性の異なる複数種類の薬品が液体として液滴吐出装置に供給され、薬品の粘性に応じてノズル径を相違させたり、薬品の種類によって1滴当たりの吐出量を相違させそのためにノズル径を相違させたりする構成等に、本発明は好適である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施形態のインクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図2】キャビティユニットの分解斜視図である。
【図3】キャビティユニットの一部分解斜視図である。
【図4】(a)はフィルタ体の平面図、(b)は(a)のIVb−IVb線矢視断面図でフィルタ体が母型上にある状態を示す図である。
【図5】(a)は図4(a)のVa−Va線矢視断面図、(b)はノズルの断面形状を示す説明図である。
【符号の説明】
【0065】
1 インクジェットヘッド
10 キャビティッユニット
11 ノズルプレート
11a ノズル
12 圧電アクチュエータ
31 インク供給口
40 フレキシブルフラットケーブル
50 フィルタ体
51 フィルタ孔部
52 枠部
53 小孔
54 母型





 

 


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