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発明の名称 プリンタ、液体吐出ヘッド及びその平型柔軟ケーブル
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−55249(P2007−55249A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2006−200459(P2006−200459)
出願日 平成18年7月24日(2006.7.24)
代理人 【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之
発明者 片山 直樹
要約 課題
液体吐出に伴う圧電変形部の変形が平型柔軟ケーブルの接触によって阻害されるのを抑制する。

解決手段
インクジェットヘッド1は、流路ユニット2と圧電アクチュエータ3とで構成されたヘッド本体4と、圧電アクチュエータ3の上側に配置されたFPC50とを備えている。圧電アクチュエータ3は、圧力室14と対向した個別電極45を有する圧電変形部を有している。FPC50は、可撓性を有する基材51と、複数の配線52とを有している。FPC50には、ヘッド本体2に向かって凸となるように湾曲した複数の突出部55が形成されている。複数の突出部55の先端は、圧電アクチュエータ3の表面3aにおいて、圧力室14と対向しない領域と接触している。
特許請求の範囲
【請求項1】
液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、
圧力室、液体吐出口及び前記圧力室を経て前記液体吐出口に至る複数の個別液体流路が形成された流路ユニット、並びに、前記圧力室と対向した個別電極を有し、前記個別電極に所定の電圧を印加することにより変形する複数の圧電変形部を含むヘッド本体と、
前記ヘッド本体に向かって突出する突出部が形成された、可撓性を有する基材、及び、前記基材上に延在し且つ複数の前記個別電極とそれぞれ電気的に接続された複数の配線を含み、前記複数の圧電変形部を覆うように配置された平型柔軟ケーブルとを備え、
前記突出部は、前記ヘッド本体の複数の前記圧力室と対向する領域を除く領域と接触することを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記突出部は、前記ヘッド本体に向かって凸となるように湾曲する湾曲部として形成されている請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記ヘッド本体は、前記複数の圧電変形部と、複数の前記圧力室に跨って形成され、複数の前記個別電極を支持する圧電層とを含むアクチュエータユニットを備え、
前記突出部は、前記アクチュエータユニットの表面の、複数の前記圧力室と対向する領域を除く領域と接触している請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記圧力室は細長い形状であって、前記圧力室の長手方向と直交する方向に配列された圧力室列を形成し、
前記突出部は、前記アクチュエータユニットの前記表面の、前記圧力室の前記長手方向の一端の近傍の領域であって、前記長手方向と直交する方向に隣接する2つの前記圧力室の間の領域である点状領域と接触し、前記点状領域の前記長手方向と直交する方向の幅は、隣接する2つの前記圧力室間の間隔以下である請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記圧力室は細長い形状であって、前記圧力室の長手方向と直交する方向に配列された圧力室列を形成し、
前記突出部は、前記アクチュエータユニットの前記表面の、前記圧力室の前記長手方向の一端近傍の領域であって、前記長手方向と直交する方向に隣接する2つの前記圧力室の間の領域である第1の点状領域と接触する第1の突出部と、前記アクチュエータユニットの前記表面の、前記圧力室の前記長手方向の他端近傍の領域であって、前記長手方向と直交する方向に隣接する2つの前記圧力室の間の領域である第2の点状領域と接触する第2の突出部を含み、
第1の点状領域の前記長手方向と直交する方向の幅は、隣接する2つの前記圧力室間の間隔以下であり、
第2の点状領域の前記長手方向と直交する方向の幅は、隣接する2つの前記圧力室間の間隔以下である請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記第1の突出部、及び、前記第2の突出部は、それぞれ、複数の第1の突出部及び複数の第2の突出部を含んで形成され、複数の第1の突出部及び複数の第2の突出部は、前記長手方向と直交する方向に等間隔で形成されている請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記第1の突出部、及び、前記第2の突出部が、千鳥状に配列されるように、前記長手方向と直交する方向において交互に配置されている請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記圧力室は細長い形状であって、前記圧力室の長手方向と直交する方向に配列された圧力室列を形成し、
前記突出部は、前記長手方向と直交する方向に沿って延在する長尺形状に形成され、前記アクチュエータユニットの前記表面の、前記圧力室列に属する複数の前記圧力室の前記長手方向の一端に近接する領域であって、前記長手方向と直交する方向に沿って延在した領域である細長領域と接触する請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記圧力室は細長い形状であって、前記圧力室の長手方向と直交する方向に配列された圧力室列を形成し、
前記突出部は環状に形成され、前記アクチュエータユニットの前記表面の、前記圧力室列に属する一又は複数の前記圧力室を取り囲む環状領域と接触する請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記圧力室は細長い形状であり、前記圧力室の長手方向と直交する方向に配列された圧力室列を形成し、
前記突出部は梯子状に形成され、前記アクチュエータユニットの前記表面の、前記圧力室列に属する複数の前記圧力室の前記長手方向の一端及び他端に近接し、且つ、前記長手方向と直交する方向に沿って延在する2つの細長領域と、前記アクチュエータユニットの前記表面の、2つの前記圧力室の間に対応する部分を延在した領域であって、前記2つの細長領域を連結する連結領域とに接触する請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記基材が樹脂材料によって形成され、
前記突出部がプレス加工により形成されている請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
圧力室、液体排出口、及び前記圧力室を経て前記液体吐出口に至る複数の個別液体流路が形成された流路ユニット、並びに、前記圧力室と対向した個別電極を有する複数の圧電変形部を含むヘッド本体に対し、前記複数の圧電変形部を覆って接続され、複数の前記個別電極に駆動信号を供給する液体吐出ヘッドの平型柔軟ケーブルであって、
前記ヘッド本体に接続されたときに複数の前記圧力室と対向する領域を除く領域と接触し、前記ヘッド本体に向かって突出する突出部が形成された、可撓性を有する基材と、
前記基材上に延在し複数の前記個別電極にそれぞれ電気的に接続される複数の配線とを備えることを特徴とする液体吐出ヘッドの平型柔軟ケーブル。
【請求項13】
前記突出部は、前記ヘッド本体に向かって凸に湾曲する湾曲部として形成されている請求項12に記載の液体吐出ヘッドの平型柔軟ケーブル
【請求項14】
液体を吐出して記録媒体に記録するプリンタであって、
圧力室、液体吐出口及び前記圧力室を経て前記液体吐出口に至る複数の個別液体流路が形成された流路ユニット、並びに、前記圧力室と対向した個別電極を有し、前記個別電極に所定の電圧を印加することにより変形する複数の圧電変形部を含むヘッド本体と、前記ヘッド本体に向かって突出する突出部が形成された、可撓性を有する基材、及び、前記基材上に延在し且つ複数の前記個別電極とそれぞれ電気的に接続された複数の配線を含み、前記複数の圧電変形部を覆うように配置された平型柔軟ケーブルとを有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを支持して移動するキャリッジと、
前記平型柔軟ケーブルの一端に接続されて、前記個別電極に前記所定の電圧を供給し、前記キャリッジに前記キャリッジの駆動を制御するための信号を供給する制御機構とを備え、
前記突出部は、前記ヘッド本体の複数の前記圧力室と対向する領域を除く領域と接触していることを特徴とするプリンタ。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出して記録するプリンタ、液体吐出口から液体を吐出する液体吐出ヘッド及びその平型柔軟ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2004−114342号公報)には、圧電シートの圧力室と対向する領域に、駆動電極(個別電極)がそれぞれ形成されたインクジェットヘッドが開示されている。このインクジェットヘッドにおいて、複数の圧電シートを積層して形成されたアクチュエータユニットは、ノズル及び圧力室が多数形成された流路ユニットに接着されている。そして、アクチュエータユニットの表面に形成された各個別電極は、FPC(Flexible Printed Circuit)やCOF(Chip On Film)などのフレキシブルケーブル(平型柔軟ケーブル)のコンタクトと電気的に接続されている。
【0003】
特許文献1に記載されたインクジェットヘッドにおいては、インク吐出時に圧電シートが圧電横効果によってユニモルフ変形する。この圧電変形部の変形効率を高めるために、アクチュエータユニットの圧力室と対向する領域には、FPCが接触しないようにする必要がある。このような観点から、特許文献1のインクジェットヘッドにおいては、ランドと称される個別電極よりも厚い導電部材が個別電極と接合されるように圧電シートの圧力室と対向しない領域に形成されており、個別電極とFPCに形成されたコンタクトとがランドを介して電気的に接続されている。さらに、平面視において台形形状を有する圧電シートの上下の辺に沿う方向に、多数のダミー電極が形成されている。これらダミー電極は、FPCに形成されたコンタクトと接合されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−114342号公報(図17、図22、図26)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたインクジェットヘッドにおいて、ランド及びダミー電極と、FPCに形成されたコンタクトとを接合するには、接合剤として半田又は熱硬化型の導電性接着剤などが用いられるため、接合時に加熱処理を行う必要がある。しかしながら、かかる加熱処理時にFPCが熱により下垂変形し、圧電シートの、圧力室と対向する領域に接触すると、常温に戻った後もFPCの変形は維持されたままであり、FPCは圧電シートから離れないため、インク吐出時に圧電変形部の変形が阻害されてインク吐出特性が悪化してしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、液体吐出に伴う圧電変形部の変形が、平型柔軟ケーブルとの接触によって阻害されるのを抑制する液体吐出ヘッド及びその平型柔軟ケーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の第1の態様に従えば、液体を吐出する液体吐出ヘッドであって、圧力室、液体吐出口及び前記圧力室を経て前記液体吐出口に至る複数の個別液体流路が形成された流路ユニット、並びに、前記圧力室と対向した個別電極を有し、前記個別電極に所定の電圧を印加することにより変形する複数の圧電変形部を含むヘッド本体と、前記ヘッド本体に向かって突出する突出部が形成された、可撓性を有する基材、及び、前記基材上に延在し且つ複数の前記個別電極とそれぞれ電気的に接続された複数の配線を含み、前記複数の圧電変形部を覆うように配置された平型柔軟ケーブルとを備え、前記突出部は、前記ヘッド本体の複数の前記圧力室と対向する領域を除く領域と接触する液体吐出ヘッドが提供される。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、平型柔軟ケーブルに突出部が形成されているので、平型柔軟ケーブルと圧電変形部とが離隔され接触しにくくなる。そのため、液体吐出に伴う圧電変形部の変形が平型柔軟ケーブルによって阻害されにくくなる。
【0009】
本発明の液体吐出ヘッドにおいて、前記突出部は、前記ヘッド本体に向かって凸となるように湾曲する湾曲部として形成されていてもよい。この場合には、突出部は平型柔軟ケーブルの基材と一体的に形成されているので、基材とは別部材として形成された突出部を、基材に接着した場合と比べて、突出部が基材から剥がれ落ちる恐れがない。
【0010】
本発明の液体吐出ヘッドにおいて、前記ヘッド本体は、前記複数の圧電変形部と、複数の前記圧力室に跨って形成され、複数の前記個別電極を支持する圧電層とを含むアクチュエータユニットを備え、前記突出部は、前記アクチュエータユニットの表面の、複数の前記圧力室と対向する領域を除く領域と接触してもよい。これにより、突出部がアクチュエータユニットと接触していても、その接触箇所がアクチュエータユニットの圧電変形部を除く領域となるため、平型柔軟ケーブルと圧電変形部とが離隔され接触しにくくなる。そのため、液体吐出に伴う圧電変形部の変形が平型柔軟ケーブルによって阻害されにくくなる。
【0011】
本発明の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧力室は細長い形状であって、前記圧力室の長手方向と直交する方向に配列された圧力室列を形成し、前記突出部は、前記アクチュエータユニットの前記表面の、前記圧力室の前記長手方向の一端の近傍の領域であって、前記長手方向と直交する方向に隣接する2つの前記圧力室の間の領域である点状領域と接触し、前記点状領域の前記長手方向と直交する方向の幅は、隣接する2つの前記圧力室間の間隔以下であってもよい。これにより、突出部が、アクチュエータユニットの表面における圧力室付近の点状領域と接触するため、平型柔軟ケーブルが撓んでも圧電変形部と接触しにくくなる。また、突出部が点状領域と接触する柱状となるため、例えば、パンチなどを用いたプレス加工で平型柔軟ケーブルに突出部を簡易に形成することができる。
【0012】
本発明の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧力室は細長い形状であって、前記圧力室の長手方向と直交する方向に配列された圧力室列を形成し、前記突出部は、前記アクチュエータユニットの前記表面の、前記圧力室の前記長手方向の一端近傍の領域であって、前記長手方向と直交する方向に隣接する2つの前記圧力室の間の領域である第1の点状領域と接触する第1の突出部と、前記アクチュエータユニットの前記表面の、前記圧力室の前記長手方向の他端近傍の領域であって、前記長手方向と直交する方向に隣接する2つの前記圧力室の間の領域である第2の点状領域と接触する第2の突出部を含み、第1の点状領域の前記長手方向と直交する方向の幅は、隣接する2つの前記圧力室間の間隔以下であり、第2の点状領域の前記長手方向と直交する方向の幅は、隣接する2つの前記圧力室間の間隔以下であってもよい。これにより、突出部が第1及び第2の点状領域と接触する柱状の第1及び第2の突出部を有するため、例えば、パンチなどを用いたプレス加工で平型柔軟ケーブルに突出部を簡易に形成することができる。また、平型柔軟ケーブルの圧力室と対向する領域と圧電変形部とが接触しにくくなる。
【0013】
本発明の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1の突出部、及び、前記第2の突出部は、それぞれ、複数の第1の突出部及び複数の第2の突出部を含んで形成され、複数の第1の突出部及び複数の第2の突出部は、前記長手方向と直交する方向に等間隔で形成されていてもよい。これにより、複数の第1及び第2の突出部が規則的に配列されるため、平型柔軟ケーブルに複数の第1及び第2の突出部をより簡易に形成することができると共に、平型柔軟ケーブルの複数の圧力室と対向する領域と複数の圧電変形部とがより一層接触しにくくなる。
【0014】
本発明の液体吐出ヘッドにおいて、前記第1の突出部、及び、前記第2の突出部が、千鳥状に配列されるように、前記長手方向と直交する方向において交互に配置されていてもよい。これにより、複数の第1及び第2の突出部が千鳥状に配列されるため、平型柔軟ケーブルに複数の第1及び第2の突出部を簡易に形成することができる。
【0015】
本発明の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧力室は細長い形状であって、前記圧力室の長手方向と直交する方向に配列された圧力室列を形成し、前記突出部は、前記長手方向と直交する方向に沿って延在する長尺形状に形成され、前記アクチュエータユニットの前記表面の、前記圧力室列に属する複数の前記圧力室の前記長手方向の一端に近接する領域であって、前記長手方向と直交する方向に沿って延在した領域である細長領域と接触してもよい。これにより、突出部の形成が簡易になるとともに、平型柔軟ケーブルの複数の圧力室と対向する領域と複数の圧電変形部とがより接触しにくくなる。
【0016】
本発明の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧力室は細長い形状であって、前記圧力室の長手方向と直交する方向に配列された圧力室列を形成し、前記突出部は環状に形成され、前記アクチュエータユニットの前記表面の、前記圧力室列に属する一又は複数の前記圧力室を取り囲む環状領域と接触してもよい。これにより、突出部が環状に形成されているので、平型柔軟ケーブルと突出部に囲まれた一又は複数の圧力室と対向する圧電変形部とがより接触しにくくなる。
【0017】
本発明の液体吐出ヘッドにおいて、前記圧力室は細長い形状であり、前記圧力室の長手方向と直交する方向に配列された圧力室列を形成し、前記突出部は梯子状に形成され、前記アクチュエータユニットの前記表面の、前記圧力室列に属する複数の前記圧力室の前記長手方向の一端及び他端に近接し、且つ、前記長手方向と直交する方向に沿って延在する2つの細長領域と、前記アクチュエータユニットの前記表面の、2つの前記圧力室の間に対応する部分を延在した領域であって、前記2つの細長領域を連結する連結領域とに接触してもよい。これにより、突出部が梯子状に形成されているので、平型柔軟ケーブルの圧力室と対向する複数の領域と突出部により囲まれた複数の圧電変形部とが接触しにくくなる。
【0018】
本発明の液体吐出ヘッドにおいて、前記基材が樹脂材料によって形成され、前記突出部がプレス加工により形成されていてもよい。これにより、プレス加工という容易な形成方法で、平型柔軟ケーブルに突出部を形成することができる。
【0019】
本発明の第2の態様に従えば、圧力室、液体排出口、及び前記圧力室を経て前記液体吐出口に至る複数の個別液体流路が形成された流路ユニット、並びに、前記圧力室と対向した個別電極を有する複数の圧電変形部を含むヘッド本体に対し、前記複数の圧電変形部を覆って接続され、複数の前記個別電極に駆動信号を供給する液体吐出ヘッドの平型柔軟ケーブルであって、前記ヘッド本体に接続されたときに複数の前記圧力室と対向する領域を除く領域と接触し、前記ヘッド本体に向かって突出する突出部が形成された、可撓性を有する基材と、前記基材上に延在し複数の前記個別電極にそれぞれ電気的に接続される複数の配線とを備える液体吐出ヘッドの平型柔軟ケーブルが提供される。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、平型柔軟ケーブルに突出部が形成されているので、平型柔軟ケーブルをヘッド本体に対して複数の圧電変形部を覆う状態で接続したときに、平型柔軟ケーブルと圧電変形部と離隔され接触しにくくなる。そのため、液体吐出に伴う圧電変形部の変形が平型柔軟ケーブルによって阻害されにくくなる。
【0021】
本発明の液体吐出ヘッドの平型柔軟ケーブルにおいて、前記突出部は、前記ヘッド本体に向かって凸に湾曲する湾曲部として形成されていてもよい。この場合には、突出部は平型柔軟ケーブルの基材と一体的に形成されているので、別部材として形成されている場合に比べて、機械的強度が強くなる。
【0022】
本発明の第3の態様に従えば、液体を吐出して記録媒体に記録するプリンタであって、圧力室、液体吐出口及び前記圧力室を経て前記液体吐出口に至る複数の個別液体流路が形成された流路ユニット、並びに、前記圧力室と対向した個別電極を有し、前記個別電極に所定の電圧を印加することにより変形する複数の圧電変形部を含むヘッド本体と、前記ヘッド本体に向かって突出する突出部が形成された、可撓性を有する基材、及び、前記基材上に延在し且つ複数の前記個別電極とそれぞれ電気的に接続された複数の配線を含み、前記複数の圧電変形部を覆うように配置された平型柔軟ケーブルとを有する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドを支持して移動するキャリッジと、前記平型柔軟ケーブルの一端に接続されて、前記個別電極に前記所定の電圧を供給し、前記キャリッジに前記キャリッジの駆動を制御するための信号を供給する制御装置とを備え、前記突出部は、前記ヘッド本体の複数の前記圧力室と対向する領域を除く領域と接触しているプリンタが提供される。この場合には、平型柔軟ケーブルに突出部が形成されているので、平型柔軟ケーブルをヘッド本体に対して複数の圧電変形部を覆う状態で接続したときに、平型柔軟ケーブルと圧電変形部と離隔され接触しにくくなる。そのため、液体吐出に伴う圧電変形部の変形が平型柔軟ケーブルによって阻害されにくくなるので、印字特性に優れたプリンタを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
本実施形態は、液体吐出ヘッドとして、ノズル(液体吐出口)から記録用紙に対してインクを吐出するインクジェットヘッドに本発明を適用した一例である。図1は、本発明の第1実施形態によるインクジェットヘッドが採用されたインクジェットプリンタの概略斜視図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、走査方向(図1の左右方向)に移動可能なキャリッジ101と、このキャリッジ101に設けられて記録用紙Pに対してインクを吐出するシリアル式のインクジェットヘッド1と、記録用紙Pを紙送り方向(図1の前方)へ搬送する搬送ローラ102を備えている。インクジェットヘッド1は、キャリッジ101と一体的に走査方向へ移動して、その下面のインク吐出面に形成されたノズル20(図5参照)から記録用紙Pに対してインクを吐出する。そして、インクジェットヘッド1により記録された記録用紙Pは、搬送ローラ102により紙送り方向へ排出される。
【0025】
次に、インクジェットヘッド1について図2〜図6を参照して詳細に説明する。図2は、インクジェットヘッド1の平面図である。図3は、図2に示すインクジェットヘッド1の振動板30から下側部分の平面図である。図4は、図2に示すインクジェットヘッド1の圧電アクチュエータから下側部分の平面図である。図5は、図2に示すV−V線に沿う部分断面図である。図6は、図2に示すVI−VI線に沿う部分断面図である。図2〜図6に示すように、インクジェットヘッド1は、その内部にインク流路が形成された流路ユニット2と流路ユニット2の上側に配置された圧電アクチュエータ(アクチュエータユニット)3とで構成されたヘッド本体4と、圧電アクチュエータ3に上側に配置されたフレキシブル配線板(FPC)50とを備えている。
【0026】
まず、流路ユニット2について説明する。図5、図6に示すように、流路ユニット2はキャビティプレート10、ベースプレート11、マニホールドプレート12、及び、ノズルプレート13を備えており、これら4枚のプレート10〜13が積層状態で接合されている。このうち、キャビティプレート10、ベースプレート11及びマニホールドプレート12は略矩形のステンレス鋼製の板である。また、ノズルプレート13は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂材料により形成され、マニホールドプレート12の下面に接着される。
【0027】
図2に示すように、キャビティプレート10には、平面に沿って配列された複数の圧力室14が形成されている。これら複数の圧力室14は、後述の振動板30側(図5の上方)へ開口している。また、複数の圧力室14は、紙送り方向(図2の上下方向)に千鳥状配列で2列に配列されている。各圧力室14は、平面視で走査方向(図2の左右方向)に長い、略楕円形状に形成されている。
【0028】
図3に示すように、平面視でベースプレート11の圧力室14の長手方向両端部に重なる位置には、それぞれ連通孔15,16が形成されている。また、マニホールドプレート12には、紙送り方向に2列に延び、平面視で圧力室14の左右何れか一方の端部と重なるマニホールド流路17が形成されている。このマニホールド流路17には、インクタンク(図示せず)から、後述の振動板30及びキャビティプレート10に形成されたインク供給口18を介してインクが供給される。また、マニホールドプレート12には、平面視で圧力室14のマニホールド流路17と反対側の端部と重なる位置に連通孔19が形成されている。さらに、ノズルプレート13には、平面視で複数の連通孔19に夫々重なる位置に、複数のノズル20がそれぞれ形成されている。ノズル20は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂の基板にエキシマレーザー加工を施すことにより形成される。そして、図3に示すように、2列に配列された圧力室列のうち、一方の列(左側の列)に属する圧力室14には、その長手方向における右端部にノズル20が連通しており、他方の列(右側の列)に属する圧力室14には、その長手方向における左端部にノズル20が連通している。
【0029】
そして、図5に示すように、マニホールド流路17は連通孔15を介して圧力室14に連通し、さらに、圧力室14は、連通孔16,19を介してノズル20に連通している。このように、流路ユニット2内には、マニホールド17から圧力室14を経てノズル20に至る個別インク流路(個別液体流路)21が複数形成されている。
【0030】
次に、圧電アクチュエータ3について説明する。図4〜図6に示すように、圧電アクチュエータ3は、キャビティプレート10の上面と接合された略矩形状の振動板30と、この振動板30の上面において複数の圧力室14に跨って連続的に形成された圧電層41と、複数の圧力室14にそれぞれ対応して、圧電層41の上面に形成された個別電極45とを備えている。また、圧電アクチュエータ3は、圧電層41の圧力室14と対向する領域と当該圧力室14に対応する個別電極45とで構成された複数の圧電変形部42を有している。
【0031】
振動板30は、ステンレス鋼等の鉄系合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、チタン合金等の金属材料からなり、複数の圧力室14を覆いつつ各圧力室14を画定する隔壁10aと接合されている。この振動板30は、複数の個別電極45に対向し、個別電極45と振動板30との間の圧電層41に電界を作用させる共通電極を兼ねており、接地されてグランド電位に保持されている。
【0032】
圧電層41は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり、主成分が強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)である。圧電層41は、複数の圧力室14に跨って形成されている。そのため、圧電層41をすべての圧力室14に対して一度に形成することができ、圧電層41の形成が容易になる。ここで、圧電層41は、例えば、超微粒子の圧電材料を振動板30の上面に高速で衝突させて堆積させるエアロゾルデポジション法(AD法)を用いて形成できる。その他、ゾルゲル法、スパッタ法、水熱合成法、あるいは、CVC(化学蒸着)法を用いることもできる。さらに、PZTのグリーンシートを焼成することによって得られた圧電シートを振動板30の上面に貼り付けて圧電層41を形成することもできる。
【0033】
圧電層41の上面には、圧力室14に対応して、平面視で圧力室14よりも一回り小さい略楕円形の形状を有する個別電極45がそれぞれ形成されている。個別電極45は、平面視で対応する圧力室14の中央部に重なるようにそれぞれ形成されている。個別電極45は金、銅、銀、パラジウム、白金、チタンなどの導電性材料からなる。さらに、圧電層41の上面には、複数の個別電極45の一端部(平面視で走査方向の外側端部)から、それぞれ、平面視で圧力室14に対向しない部分(隔壁10aと対向する部分)にまで引き出された引き出し部45aが形成されている。より具体的には、図2に示されるように、左側の列の圧力室14に対応する個別電極45からは、引き出し部45aが左側に向けて引き出されており、右側の列の圧力室14に対応する個別電極45からは、引き出し部45aが右側に向けて引き出されている。個別電極45及び引き出し部45aは、例えば、スクリーン印刷、スパッタ法、蒸着法などで形成することができる。また、引き出し部45a上には、平面視で円形のランド46が形成されている。ランド46は、例えば、ガラスフリットを含む金などによって形成される。
【0034】
次に、FPC50について説明する。図2、図5及び図6に示すように、FPC(平型柔軟ケーブル)50は、圧電アクチュエータ3の上面(表面)3aと対向する位置から制御部71まで延在する基材51と、基材51の延在方向(図2においては走査方向)に沿って形成された複数の配線52とを有している。基材51上には、ドライバIC70が実装されている。ここで、制御部71とドライバ70とを含んで構成される制御機構72は、個別電極4に対して所定の電圧を供給し、キャリッジ101に対してキャリッジの駆動を制御するための信号を供給している。複数の配線52は、個別電極45とドライバIC70とを、それぞれ電気的に接続する複数の個別配線52aと、ドライバIC70と制御部とを電気的に接続する複数の信号配線52bとを有している。複数の配線52は、基材51の上面に形成されている。基材51は、圧電アクチュエータ3の上面3a全体と対向するように薄板状に形成されている。これより、FPC50は、圧電アクチュエータ3に形成された複数の圧電変形部42を覆うように配置されている。また、基材51は、例えば、ポリイミド樹脂などから形成されており、可撓性及び絶縁性を有している。図5に示すように、基材51には、基材51を厚み方向に延びる複数の貫通孔53が形成されている。これら貫通孔53は、基材51のランド46と対向する位置にそれぞれ形成されている。各貫通孔53には、端子54が、基材51の下面から突出するように形成されている。端子54は、貫通孔53を通じて個別配線52aとそれぞれ電気的に接続されている。FPC50の各端子54は、複数のランド46と半田又は導電性接着剤などを介してそれぞれ接合されている。この構成より、ドライバIC70は、制御部71からシリアル転送されてきた印刷信号を、所定の電圧のパラレル信号に変換した駆動信号を、個別配線52aを介して各個別電極45に出力する。
【0035】
FPC50の圧電アクチュエータ3と対向する領域には、図5及び図6に示すように、圧電アクチュエータ3の上面3aに向かって突出した複数の突出部55が形成されている。本実施形態において、これら突出部55は、先端が丸まった棒状部材(パンチ)を有する雄金型と棒状部材が嵌合可能な穴を有する雌金型(共に図示せず)とを用いて、FPC50をプレス加工することにより形成される。突出部55は、圧電アクチュエータ3の上面3aに向かって突出し、先端が丸まった柱状に湾曲している。さらに突出部55の先端は、圧電層41の圧力室14と対向しない領域と接触している。具体的には、複数の突出部55の先端が、FPC50と対向する圧電層41の上面(圧電アクチュエータ3の上面3a)において、紙送り方向(圧力室の長手方向と直交する方向)に隣接する2つの圧力室14の間であって、圧力室14の長手方向(走査方向)の一端(ノズル20に連通する側の端部)付近における点状の領域(第1の点状領域)48a及び圧力室14の長手方向の他端(ノズル20に連通する側の端部と反対側の端部)付近における点状の領域(第2の点状領域)48bのいずれか一方と接触している。つまり、複数の突出部55は、第1の点状領域48aと接触する複数の突出部55a(第1の突出部)と、第2の点状領域48bと接触する複数の突出部(第2の突出部)55bとを備える。図5に示されるように、突出部55の先端は先細りの形状であり、図2に示されるように、突出部55の根本側の径は、紙送り方向に隣接する2つの圧力室の間隔にほぼ等しい。そのため、これら突出部55の先端と接触する点状領域48a,48b幅は、紙送り方向に隣接する2つの圧力室14間の間隔よりも短い。そして、図2に示すように、複数の突出部55a,55bは、それぞれ圧力室14の長手方向と直交する方向(圧力室14の列方向)に沿って等間隔に配列されており、圧力室14の長手方向の一端付近に突出部55aの列が配列され、他端付近に突出部55bの列が配列される。そして、これら2つの列に属する突出部55a,55bは、圧力室14の列方向に沿って千鳥状に配置されている。このような2つの列が圧力室14の列にそれぞれ対応して形成され、FPC50には、複数の突出部55a,55bからなる4つの列が形成されている。
【0036】
次に、インク吐出時の圧電アクチュエータ3の作用について説明する。用紙Pに対して印刷をするとき、制御部からドライバIC70に対して印刷信号が供給される。そして、ドライバIC70は、印刷信号を、電極に印加する電圧情報を含んだ駆動信号に変換し、個別配線52aを介して各個別電極45に出力する。このとき、振動板30はグランド電位に保持されているので、振動板30と個別電極45との間には電位差が生じる。すると、圧電層41の個別電極45と振動板30との間に挟まれた領域に厚み方向の電界が生じ、分極方向である厚み方向と垂直な水平方向に収縮する。この収縮に伴って、圧電変形部42及び振動板30の圧力室14に対向する領域に積層方向の歪みが発生し、個別電極45に対応するノズル20からインクが吐出される。こうして、用紙Pへの所定の印字が行われる。
【0037】
以上のように、本実施の形態におけるインクジェットヘッド1によると、FPC50には複数の突出部55が形成されその先端が圧電アクチュエータ3の圧力室14と対向する領域を除く上面3aと接触しているため、FPC50と圧電アクチュエータ3とを電気的に接続しても、FPC50と圧電アクチュエータ3の圧電変形部42との間に間隙がある。そのため、インク吐出に伴って圧電変形部42が変形しても、FPC50と圧電変形部42とが接触しにくくなる。したがって、圧電変形部42の変形がFPC50によって阻害されにくくなり、インク吐出特性が安定する。
【0038】
また、複数の突出部55a,55bは、点状領域48a,48bと接触するような柱状の形状であるため、パンチなどを用いたプレス加工により、FPC50に複数の突出部55を簡易に形成することができる。また、突出部55aが、圧電層41の圧力室14の長手方向の一端付近と対向する領域における点状領域48aと接触しているため、FPC50と圧電変形部42とが離隔される。つまり、圧電変形部42は圧力室14と対向する領域に形成されており、点状領域48aが圧力室14の近傍となるため、FPC50が撓んでも圧電変形部42と接触しにくくなる。また、複数の突出部55a,55bが、圧電層41の圧力室14の長手方向の両端付近と対向する領域における点状領域48a,48bと接触しているため、FPC50の圧力室14と対向する領域と圧電変形部42とが接触しにくくなる。
【0039】
また、突出部55aの列と突出部55bの列が、それぞれ圧力室の長手方向に直交する方向に沿って等間隔に規則的に配置されているので、FPC50に複数の突出部55を簡易に形成することができる。加えて、FPC50の圧力室14と対向する領域と圧電変形部42とが接触にくくなる。また、圧力室14の列に対応して突出部55aと突出部55bとが千鳥状に配列されているので、複数の突出部55をFPC50にそれほど多く形成しなくても、FPC50の圧力室14と対向する領域と圧電変形部42とが接触しないようにすることができる。そのため、FPC50に簡易に複数の突出部55を形成することができる。
【0040】
〈第2実施形態〉
続いて、第2実施形態によるインクジェットヘッド200について以下に説明する。図7は、本発明の第2実施形態によるインクジェットヘッド200の平面図である。なお、インクジェットヘッド200のFPC250を除く部分(ヘッド本体4)は、第1実施形態と同様であるため、同符号で示し説明を省略する。インクジェットヘッド200のFPC250は、図7に示すように、基材51と同様な基材251と、基材251上に形成された配線52と同様な配線252とを有している。基材251上には、ドライバIC270が実装されている。複数の配線252は、複数の個別電極45とドライバIC270とを個別電極45毎に電気的に接続する複数の個別配線252aと、ドライバIC270と制御部(図示せず)とを電気的に接続する複数の信号配線252bとを有している。基材251は、圧電アクチュエータ3の上面3a全体と対向するような薄い板材である。また、個別電極45の引き出し部45aに形成されたランド46と対向する領域には、貫通孔(図示省略)がそれぞれ形成されており、各貫通孔には、端子(図示省略)が基材251の下面から突出するように形成されている。端子は、基材251に形成された貫通孔を通じて個別配線252aとそれぞれ電気的に接続されており、半田又は導電性接着剤などを介してランド46とそれぞれ接合されている。この構成より、第1実施形態と同様に、ドライバIC270は、制御部からシリアル転送されてきた印刷信号を、所定の電圧のパラレル信号に変換した駆動信号を個別配線252aを介して各個別電極45に出力する。これより、第1実施形態と同様に、圧電変形部42と振動板30の圧力室14と対向する領域とに積層方向の歪みが発生し、個別電極45に対応するノズル20からインクが吐出される。こうして、用紙Pへの所定の印字が行われる。
【0041】
FPC250の圧電アクチュエータ3と対向する領域には、図7に示すように、圧電アクチュエータ3の上面3aに向かって突出し、且つ、紙送り方向に沿って並んだ複数の圧力室14によって形成された2つの圧力室列に対応する2つの突出部255,256が形成されている。また、圧電アクチュエータ3の、2つの突出部255,256と重なる領域には、細長領域210と連結領域211とが形成されている。細長領域210は、圧電アクチュエータ3の上面3aにおいて、圧力室14の長手方向の両端近傍に位置し、紙送り方向に延在した線状の領域であり、連結領域211は、走査方向に沿って延在し細長領域210とともに各圧力室14を個別に取り囲む環状領域を形成するように細長領域210を連結する線状の領域である。また、2つの突出部255,256は、細長領域210と先端が接触する細長部255a,256aと、連結領域211と先端が接触する連結部255b,256bとを有している。突出部255は細長部255a及び連結部255bがそれぞれ繋がって形成されており、突出部256は細長部256a及び連結部256bがそれぞれ繋がって形成されている。つまり、各突出部255,256は、各圧力室列に対応して梯子状に形成されており、圧力室14の各々の周囲が、突出部255,256によって取り囲まれている。なお、各突出部255,256は、梯子形状に突出した突起を有する雄金型と、雄金型の突起と嵌合可能な梯子状の凹部を有する雌金型(共に図示せず)を用いて、FPC250をプレス加工することによって、基材251及び個別配線252aを圧電アクチュエータ3の上面に向かって湾曲させて形成することができる。
【0042】
以上のように、本実施の形態におけるインクジェットヘッド200によると、FPC250には2つの梯子状の突出部255,256が形成されており、突出部255,256の先端が圧電アクチュエータ3の上面3aの圧力室14と対向しない領域と接触している。そのため、第1実施形態と同様にFPC250と圧電アクチュエータ3とを電気的に接続してもFPC250と圧電アクチュエータ3の圧電変形部42とが離隔される。したがって、インク吐出に伴う圧電変形部42の変形がFPC250によって阻害されにくくなり、安定なインク吐出特性が得られる。また、突出部255,256が細長部255a,256aを有しているので、FPC250の複数の圧力室14と対向する領域と複数の圧電変形部42とが接触しにくくなる。加えて、プレス加工で一度に細長部255a,256aを形成することが可能になるので、細長部255a、256aの形成が簡易になる。さらに突出部255,256は、細長領域210と連結領域211からなる環状領域と接触する先端を有する連結部255b,256bを備えており、突出部255,256は環状に形成されているので、FPC250と突出部255,256に囲まれた複数の圧力室14と対向する圧電変形部42とが接触しにくくなる。また、突出部255,256が梯子状に形成されているので、FPC250の複数の圧力室14と対向する領域と突出部255,256により囲まれた複数の圧電変形部42とがほとんど接触しない。
【0043】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述した第1及び第2実施形態においては、FPC50,250の突出部55,255,256の先端が圧電アクチュエータ3の上面3aに接触しているが、圧電層が圧力室14ごとに対応して互いに離隔して形成されている場合では、突出部の先端が振動板と接触していてもよい。また、突出部の先端が流路ユニット2と接触していてもよい。また、突出部の先端が、圧電アクチュエータ3の上面3aにおいて、圧力室14と比較的離れた領域(例えば、圧電層41の周縁部など)と接触していてもよい。また、各実施形態におけるFPC50,250には、2以上の突出部55,255,256が形成されているが、少なくとも1つの突出部がFPCに形成されておればよい。また、複数の突出部55が、紙送り方向に沿って等間隔に配置されていなくてもよい。また、複数の突出部55が、紙送り方向に沿って千鳥状に配置されていなくてもよい。また、第1実施形態において、突出部55a,55bは、圧力室14の長手方向の両端付近にそれぞれ列をなして形成されているが、必ずしも両端付近にそれぞれ形成する必要はなく、個別電極45の引き出し部45aが引き出されない側の一端付近にのみ、突出部55aが形成されていてもよい。すなわち、図2において、圧力室14の2つの列の間にのみ、突出部55aの列が2列形成される形態であってもよい。この場合、すべての突出部55aが引き出し部45aに形成されたランド46から離れて位置することになるので、ランド46とFPC50の端子54との半田接合の妨げになるおそれがなくなる。また、第2実施形態の突出部255,256は、細長部255a,256a及び連結部255b,256bが繋がって梯子状に形成されているが、細長部255a,256aのみからなる突出部であってもよく、あるいは、連結部255b,256bのみからなる突出部であってもよい。また、第2実施形態の突出部255,256は、各圧力室14を取り囲んで形成されているが、2以上の圧力室14をまとめて取り囲んだ環状の突出部であってもよい。さらに、上記実施形態においては、突出部はパンチなどを用いたプレス加工によってFPCの基材に形成された湾曲部であったが、これに限られず、例えば、樹脂又はゴムなどの材料で形成された突起部材をFPCの基材に接着して突出部を形成してもよい。あるいは、FPCの基材を製造する際に、突出部を含んだ基材として一体的に形成してもよい。各実施形態におけるFPC50,250の基材51,251はポリイミドなどの樹脂材料により形成されているが、可撓性及び絶縁性を有していればどのような材質から形成されていてもよく、例えばゴムなどで形成されていてもよい。また、各実施形態におけるインクジェットヘッド1,200は、シリアルタイプのインクジェットヘッドであるが、ラインタイプのインクジェットヘッドであってもよい。また、各実施形態においては、液体吐出ヘッドとして、ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドに本発明を適用した一例であるが、インク以外の液体に圧力を付与して液体を吐出する他の液体吐出ヘッドに本発明を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態によるインクジェットヘッドが採用されたインクジェットプリンタの概略斜視図である。
【図2】インクジェットヘッドの平面図である。
【図3】図2に示すインクジェットヘッドの振動板から下側部分の平面図である。
【図4】図2に示すインクジェットヘッドの圧電アクチュエータから下側部分の平面図である。
【図5】図2に示すV−V線に沿う部分断面図である。
【図6】図2に示すVI−VI線に沿う部分断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態によるインクジェットヘッドの平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1,200 インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)
2 流路ユニット
3 圧電アクチュエータ(アクチュエータユニット)
3a 上面(表面)
4 ヘッド本体
14 圧力室
20 ノズル(液体吐出口)
21 個別インク流路(個別液体流路)
41 圧電層
42 圧電変形部
45 個別電極
48a 点状領域(第1の点状領域)
48b 点状領域(第2の点状領域)
50,250 FPC(平型柔軟ケーブル)
51,251 基材
52,252 配線
55,255,256 突出部
55a 突出部(第1の突出部)
55b 突出部(第2の突出部)210 細長領域211 連結領域212 環状領域






 

 


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