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発明の名称 液体移送装置、アクチュエータユニット及び液体移送装置の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−55243(P2007−55243A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2006−195196(P2006−195196)
出願日 平成18年7月18日(2006.7.18)
代理人 【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之
発明者 菅原 宏人
要約 課題
容易な構成で、個別電極とFPCの配線との電気的接続、及び、圧電層とFPCの基材との機械的接続を行う。

解決手段
圧電層41の上面には、基材42と基材42の上面に形成された配線43とを有するFPC33が配置されている。基材42の接点12a及び接点43aに重なる領域には貫通孔42aが形成され、基材42の圧力室10に重ならない領域には貫通孔42bが形成されている。貫通孔42aには導電性材料44が埋め込まれており、貫通孔42bには固定材料45が埋め込まれている。導電性材料44は個別電極12と配線43とに接合されており、導電性材料44を介して個別電極12と配線43とが電気的に接続されている。固定部材45は圧電層41と基材42とに接合されており、固定部材45により基材42が圧電層41に固定されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
液体を移送する液体移送装置であって、
圧力室、液体排出口、及び前記圧力室を経て前記液体排出口に至る液体流路が形成された流路ユニットと、
前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの一面に固定された板材、前記圧力室と対向するように前記板材に積層された圧電層、並びに、前記圧力室と対向する主領域及び前記圧力室に対向しない接続領域を有し、前記圧電層の前記板材と反対側の面において、前記主領域から前記接続領域にまで延在するように形成された第1電極を有し、前記圧力室内の前記液体に排出エネルギーを付与する圧電アクチュエータと、
前記圧電アクチュエータを覆うように配された絶縁性を有する基材、その基材の前記圧電アクチュエータと反対側の面に形成された第1の配線、前記基材の、第1電極の前記接続領域と重なる領域に形成された第1の貫通孔、及び、前記基材の前記圧力室と重なる領域を除く領域であって且つ第1電極の前記接続領域と重なる領域を除く領域に形成された第2の貫通孔を有し、前記圧電アクチュエータに対して駆動電圧を供給するために接続される配線部と、
前記第1の貫通孔に充填されて前記第1の配線と前記第1電極の前記接続領域とに接合されることによって、前記第1の配線と前記第1電極とを電気的に接続する導電性材料と、
前記第2の貫通孔内に充填されて前記基材と前記圧電アクチュエータとに接合されることによって、前記配線部を前記圧電アクチュエータに固定する固定材料とを備えている液体移送装置。
【請求項2】
前記液体流路は、複数の個別液体流路として形成されており、前記圧力室は、複数の圧力室を含んで形成され、前記圧電アクチュエータにおいて、前記板材及び前記圧電層は前記複数の圧力室に跨って形成されるとともに、前記第1電極は前記複数の圧力室に対応して複数の個別電極として形成されており、前記配線部において、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔は、それぞれ複数の第1の貫通孔及び複数の第2の貫通孔を含んで形成されている請求項1に記載の液体移送装置。
【請求項3】
前記複数の第2の貫通孔の一部は、前記複数の第1の貫通孔の、前記基材の所定の一方向において最も外側に形成されているものよりも外側に形成されている請求項2に記載の液体移送装置。
【請求項4】
前記基材の、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔を画成する面が、それぞれ前記基材の前記圧電層側ほど前記第1の貫通孔の中心及び前記第2の貫通孔の中心に向かって傾斜している請求項1に記載の液体移送装置。
【請求項5】
前記固定材料が、導電性材料により形成されている請求項1に記載の液体移送装置。
【請求項6】
前記圧電アクチュエータの前記圧電層は、前記板材とは反対側の面の、前記基材の前記第2の貫通孔が形成された領域と対向する領域に、前記個別電極とは絶縁されたダミー電極を有しており、
前記第2の貫通孔に充填された前記固定材料が、前記基材と前記ダミー電極とに接合されている請求項5に記載の液体移送装置。
【請求項7】
前記配線部が、前記基材において前記圧電アクチュエータとは反対側の面に形成された第2の配線をさらに含んでおり、
前記板材が導電性材料からなり、
前記圧電アクチュエータの、前記第2の貫通孔と重なる領域には前記圧電層を貫通する第3の貫通孔が形成されており、
前記固定材料が前記第2及び第3の貫通孔に充填されて前記第2の配線と前記板材とに接合されることによって、前記振動板と前記第2の配線とが電気的に接続されている請求項5に記載の液体移送装置。
【請求項8】
前記流路ユニットの前記一面には前記圧力室の開口が形成されており、前記第3の貫通孔は、前記圧電層と前記板材とを貫通するとともに、前記流路ユニットの前記一面における前記圧力室の開口が形成されていない位置に対応して設けられている請求項7に記載の液体移送装置。
【請求項9】
前記圧電層の前記板材と反対側の面の、前記圧力室に重ならない領域に、前記板材と反対側に突出した突出部が形成されている請求項1に記載の液体移送装置。
【請求項10】
前記配線部の前記基材の前記圧電層と対向する面の、前記圧力室に重ならない領域に、前記圧電層側に突出した突出部が形成されている請求項1に記載の液体移送装置。
【請求項11】
前記配線部は、前記圧力室と重なる領域において、前記圧電アクチュエータと間隙を有して配置されている請求項1に記載の液体移送装置。
【請求項12】
他の部分よりも剛性の高い支持部を有する板材、前記板材の一面に積層された圧電層、並びに、前記板材の前記支持部を除く領域と重なる主領域及び前記板材の前記支持部と重なる接続領域を有し、前記圧電層の前記板材と反対側の面において、前記主領域から前記接続領域まで延在するように形成された第1電極を有する圧電アクチュエータと、
前記圧電アクチュエータを覆うように配された絶縁性を有する基材、その基材の前記圧電アクチュエータと反対側の面に形成された第1の配線、前記基材の、第1電極の接続領域と重なる領域に形成された第1の貫通孔、及び、前記基材の、前記板材の前記支持部と重なる領域であって、第1電極の接続領域と重なる領域を除く領域に形成された第2の貫通孔を有し、前記圧電アクチュエータに対して駆動電圧を供給するために接続される配線部と、
前記第1の貫通孔に充填されて、前記第1の配線と前記第1電極とを電気的に接続する導電性材料と、
前記第2の貫通孔内に充填されて、前記配線部を前記圧電アクチュエータに固定する固定材料とを備えるアクチュエータユニット。
【請求項13】
圧力室、液体排出口、及び前記圧力室を経て前記液体排出口に至る液体流路が形成された流路ユニットと、前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの一面に固定された板材、前記圧力室と対向するように前記板材に積層された圧電層、並びに、前記圧力室と対向する主領域及び前記圧力室に対向しない接続領域を有し、前記圧電層の前記板材と反対側の面において、前記主領域から前記接続領域にまで延在するように形成された第1電極を有し、前記圧力室内の前記液体に排出エネルギーを付与する圧電アクチュエータと、
前記圧電アクチュエータを覆うように配された絶縁性を有する基材、その基材の前記圧電アクチュエータと反対側の面に形成された第1の配線を有し、前記圧電アクチュエータに対して駆動電圧を供給するために接続される配線部とを備える液体移送装置を製造する方法であって、
前記圧電アクチュエータ及び前記基材を提供する工程と、
前記基材の、前記基材が前記圧電アクチュエータに接続されたときに第1電極の前記接続領域と重なる領域に第1の貫通孔を形成し、前記圧力室と重なる領域を除く領域であって且つ第1電極の前記接続領域と重なる領域を除く領域に第2の貫通孔を形成して、前記配線部を形成する工程と、
前記基材の前記第1の貫通孔が形成された領域が、第1電極の前記接続領域と重なるように前記配線部の前記基材を配置する配置工程と、
前記基材の、前記圧電アクチュエータの前記圧電層と反対側から、前記第1の貫通孔に向かって前記導電性材料の液滴を噴射する導電性液滴噴射工程と、
前記導電性液滴噴射工程において噴射された前記導電性材料の液滴を硬化させる導電性液滴硬化工程と、
前記基材の前記圧電層と反対側から、前記第2の貫通孔に向かって固定材料の液滴を噴射する固定液滴噴射工程と、
前記固定液滴噴射工程において噴射した前記固定材料の液滴を硬化させる固定液滴硬化工程とを含む液体移送装置の製造方法。
【請求項14】
前記固定液滴噴射工程が、前記導電性液滴噴射工程よりも先に行われる請求項13に記載の液体移送装置の製造方法。
【請求項15】
前記固定液滴が前記導電性液滴であって、前記導電性液滴噴射工程と前記固定液滴噴射工程とを同時に行う請求項13に記載の液体移送装置の製造方法。
【請求項16】
前記導電性液滴噴射工程及び前記固定液滴噴射工程を同時に行った後、前記導電性液滴硬化工程及び前記固定液滴硬化工程を同時に行う請求項15に記載の液体移送装置の製造方法。
【請求項17】
前記配置工程の前に、前記圧電層の前記板材と反対側の面の、前記圧力室に重なる領域を除く領域に前記板材と反対側に突出した突出部を形成する突出部形成工程をさらに有する請求項13に記載の液体移送装置の製造方法。
【請求項18】
圧力室、液体排出口、及び前記圧力室を経て前記液体排出口に至る液体流路が形成されるとともに一面に前記圧力室の開口が形成された流路ユニットと、前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの前記一面に固定された導電性材料からなる板材、前記圧力室に対向するように前記板材に積層された圧電層、並びに、前記圧力室と対向する主領域及び前記圧力室に対向しない接続領域を有し、前記圧電層の前記板材と反対側の面において、前記主領域から前記接続領域にまで延在するように形成された第1電極を有し、前記圧力室内の液体に排出エネルギーを付与する圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータを覆うように配された絶縁性を有する基材、その基材の前記圧電アクチュエータとは反対側の面に形成された前記第1電極に駆動電圧を供給するための第1の配線、及び、前記振動板に定電位を付与するための第2の配線を有し、前記圧電アクチュエータに対して駆動電圧を供給するために接続される配線部とを備える液体移送装置を製造する方法であって、
前記基材、前記板材及び前記流路ユニットとを提供する工程と、
前記基材の、前記基材が前記圧電アクチュエータに接続されたときに第1電極の前記接続領域と重なる領域に第1の貫通孔を形成し、前記圧力室と重なる領域を除く領域であって且つ第1電極の前記接続領域と重なる領域を除く領域に第2の貫通孔を形成して、前記配線部を形成する工程と、
前記板材の、前記板材が前記流路ユニットに接続されたときに前記圧力室と重なる領域を除く領域に貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔を形成する工程に続いて、前記板材の一面上にAD法又は気相成膜法によって前記圧電層を形成して、前記板材の前記貫通孔が形成された領域に前記板材と前記圧電層とを貫通する第3の貫通孔を形成する工程と、
前記圧電層の前記板材と反対側の面に前記第1電極を形成する工程と、
前記基材の前記第1の貫通孔が形成された領域が第1電極の前記接続領域と重なり、且つ、前記基材の前記第2の貫通孔が形成された領域が、前記板材及び前記圧電層の前記第3の貫通孔が形成された領域と重なるように前記配線部の前記基材を配置する工程と、
前記基材の前記圧電層と反対側から、前記基材に形成された前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔に向けて導電性材料の液滴を噴射する導電性液滴噴射工程と、
前記導電性液滴噴射工程において噴射された前記導電性材料の液滴を硬化させる導電性液滴硬化工程とを含む液体移送装置の製造方法。




発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を移送する液体移送装置、アクチュエータユニット及び液体移送装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力室内のインクに圧電アクチュエータにより圧力を付与し、圧力室に連通するノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドにおいて、圧電アクチュエータの上面に形成された個別電極または共通電極と、圧電アクチュエータの上方に配置されたFPC(フレキシブルプリント基板)の配線とが電気的に接続されているものがある。例えば、特許文献1に記載のインクジェットヘッドにおいては、FPCの配線層のパッドが圧電アクチュエータの圧電シート(圧電層)の個別電極及び共通電極の接点ランド部に対向する位置に設けられており、各パッドには、ハンダ層が形成されている。そして、熱圧着により各パッドと個別電極及び共通電極とがハンダ層を介して電気的に接続される。
【0003】
【特許文献1】特開2005-22148号公報(図23)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェットヘッドでは、圧電シートの個別電極及び共通電極とFPCのパッドとを熱圧着により接合する際に、接点ランド部の高さのばらつきを吸収するために、高い圧力を加える必要があり、この圧力によって圧電シートが破損してしまう虞がある。また、圧電シートとFPCとはこの電気的接続が行われている部分においてのみ接合されているため、FPCに外力が加わると電気的接続が外れてしまう虞もある。このように、電気的接続が外れてしまうのを防止するために、電気的接続を行った後、圧電シートとFPCとの間に接着剤などを充填することも考えられるが、構成が複雑になってしまう。また、いわゆるユニモルフ型変形の圧電アクチュエータにおいて、圧電シートの表面が、その厚さ方向に大きく変位するような場合には、圧電シートとFPCとの間に接着剤などを充填すると、圧電アクチュエータの圧電シートの剛性が変化して、圧電アクチュエータの動作に支障をきたす場合がある。特に、圧電シートが単層又は2層である場合のように、圧電シートの層数が少ない圧電アクチュエータの場合には、圧電シートの表面における圧電アクチュエータの剛性が非常に小さいため、問題となる。
【0005】
本発明の目的は、圧電アクチュエータの表面において圧電層を破損することなく電気的接続を行うことができ、その電気的接続が外れにくく、且つ、構成が簡単な液体移送装置及びアクチュエータユニットを提供することと、このような液体移送装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、液体を移送する液体移送装置であって、圧力室、液体排出口、及び前記圧力室を経て前記液体排出口に至る液体流路が形成された流路ユニットと、前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの一面に固定された板材、前記圧力室と対向するように前記板材に積層された圧電層、並びに、前記圧力室と対向する主領域及び前記圧力室に対向しない接続領域を有し、前記圧電層の前記板材と反対側の面において、前記主領域から前記接続領域にまで延在するように形成された第1電極を有し、前記圧力室内の前記液体に排出エネルギーを付与する圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータを覆うように配された絶縁性を有する基材、その基材の前記圧電アクチュエータと反対側の面に形成された第1の配線、前記基材の、第1電極の前記接続領域と重なる領域に形成された第1の貫通孔、及び、前記基材の前記圧力室と重なる領域を除く領域であって且つ第1電極の前記接続領域と重なる領域を除く領域に形成された第2の貫通孔を有し、前記圧電アクチュエータに対して駆動電圧を供給するために接続される配線部と、前記第1の貫通孔に充填されて前記第1の配線と前記第1電極の前記接続領域とに接合されることによって、前記第1の配線と前記第1電極とを電気的に接続する導電性材料と、前記第2の貫通孔内に充填されて前記基材と前記圧電アクチュエータとに接合されることによって、前記配線部を前記圧電アクチュエータに固定する固定材料とを備えている液体移送装置が提供される。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、基材に形成された第1の貫通孔に導電性材料が充填され、第2の貫通孔に固定材料が充填された簡単な構成で、圧電層と第1の配線との電気的接続及び圧電層と基材との機械的接続を行うことができる。また、導電性材料及び固定材料は、第1の貫通孔及び第2の貫通孔にそれぞれ導電性材料の液滴及び固定材料の液滴を噴射することなどにより第1の貫通孔及び第2の貫通孔に充填することができるので、このような接続を行う際に、圧電層に圧力を加える必要がなく、圧電層の破損を防止することができる。さらに、固定材料により圧電層と基材とが機械的に接続されているため、第1の配線と個別電極との電気的接続が外れにくくなっている。
【0008】
また、本発明の液体移送装置においては、前記液体流路は、複数の個別液体流路として形成されており、前記圧力室は、複数の圧力室を含んで形成され、前記圧電アクチュエータにおいて、前記板材及び前記圧電層は前記複数の圧力室に跨って形成されるとともに、前記第1電極は前記複数の圧力室に対応して複数の個別電極として形成されており、前記配線部において、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔は、それぞれ複数の第1の貫通孔及び複数の第2の貫通孔を含んで形成されていてもよい。これによると、複数の個別液体流路が形成された液体移送装置においても、基材に形成された第1の貫通孔に導電性材料が充填され、第2の貫通孔に固定材料が充填された簡単な構成で、圧電層と第1の配線とを電気的に接続し、且つ、圧電層と基材とを機械的に接続することができる。
【0009】
また、本発明の液体移送装置においては、前記複数の第2の貫通孔の一部は、前記複数の第1の貫通孔の、前記基材の所定の一方向において最も外側に形成されているものよりも外側に形成されていてもよい。これによると、配線部の基材に所定の一方向から外力が加わったときに、導電性材料よりも固定材料に大きな応力が加わるので、第1の配線と個別電極との電気的接続は外れにくい。
【0010】
また、本発明の液体移送装置においては、前記基材の、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔を画成する面が、それぞれ前記基材の前記圧電層側ほど前記第1の貫通孔の中心及び前記第2の貫通孔の中心に向かって傾斜していてもよい。これによると、傾斜面に沿って導電性材料及び固定材料の液滴を流すことにより、導電性材料及び固定材料をそれぞれ第1の貫通孔及び第2の貫通孔に確実に充填することができる。
【0011】
また、本発明の液体移送装置においては、固定材料が、導電性材料により形成されていてもよい。これによると、導電性材料と固定材料とを同一の材料にすることにより、導電性材料と固定材料とを1つの工程において形成することができる。
【0012】
本発明の液体移送装置において、前記圧電アクチュエータの前記圧電層は、前記板材とは反対側の面の、前記基材の前記第2の貫通孔が形成された領域と対向する領域に、前記個別電極とは絶縁されたダミー電極を有しており、前記第2の貫通孔に充填された前記固定材料が、前記基材と前記ダミー電極とに接合されていてもよい。これによると、固定材料とダミー電極とを接合することにより、配線部と圧電層との接合強度が大きくなる。
【0013】
本発明の液体移送装置において、前記配線部が、前記基材において前記圧電アクチュエータとは反対側の面に形成された第2の配線をさらに含んでおり、前記板材が導電性材料からなり、前記圧電アクチュエータの、前記第2の貫通孔と重なる領域には前記圧電層を貫通する第3の貫通孔が形成されており、前記固定材料が前記第2及び第3の貫通孔に充填されて前記第2の配線と前記板材とに接合されることによって、前記振動板と前記第2の配線とが電気的に接続されていてもよい。これによると、圧電層を挟んで対向する第1電極との間に電位差を発生させるための共通電極として機能する振動板と、第1の配線と同一の面上に形成された第2の配線との電気的接続を、第2の貫通孔及び第3の貫通孔に導電性材料を充填することにより容易に行うことができる。また、固定材料が第2の貫通孔に加え第3の貫通孔にも充填されるので、基材と圧電層との接合強度が大きくなる。
【0014】
本発明の液体移送装置において、前記流路ユニットの前記一面には前記圧力室の開口が形成されており、前記第3の貫通孔は、前記圧電層と前記板材とを貫通するとともに、前記流路ユニットの前記一面における前記圧力室の開口が形成されていない位置に対応して設けられていてもよい。これによると、第3の貫通孔が振動板まで延びており、第3の貫通孔に固定材料が充填されているため、基材と圧電層との接合強度が大きくなる。また、貫通孔が形成された振動板の表面にAD法又は気相成膜法により圧電層を形成することにより、貫通孔が形成された圧電層を容易に形成することができる。
【0015】
また、本発明の液体移送装置においては、前記圧電層の前記板材と反対側の面の、前記圧力室に重ならない領域に、前記板材と反対側に突出した突出部が形成されていてもよく、前記配線部の前記基材の前記圧電層と対向する面の、前記圧力室に重ならない領域に、前記圧電層側に突出した突出部が形成されていてもよい。いずれの場合にも、突出部により、圧力室に対向する領域において圧電層と基材とが接触しにくくなるため、基材が液体の移送に影響を与えるのを防止することができる。
【0016】
本発明の液体移送装置において、前記配線部は、前記圧力室と重なる領域において、前記圧電アクチュエータとの間に間隙を有して配置されていてもよい。この場合には、配線部が圧電アクチュエータの変形を妨げる恐れがない。
【0017】
本発明の第2の態様に従えば、板材、前記板材の一面に積層された圧電層、及び、前記圧電層の前記板材と反対側の面に形成された第1電極を有する圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータを覆うように配された絶縁性を有する基材、その基材の前記圧電アクチュエータと反対側の面に形成された第1の配線、前記基材の、第1電極と重なる領域に形成された第1の貫通孔、及び、前記基材の第1電極のと重なる領域を除く領域に形成された第2の貫通孔を有し、前記圧電アクチュエータに対して駆動電圧を供給するために接続される配線部と、前記第1の貫通孔に充填されて、前記第1の配線と前記第1電極とを電気的に接続する導電性材料と、前記第2の貫通孔内に充填されて、前記配線部を前記圧電アクチュエータに固定する固定材料とを備えるアクチュエータユニットが提供される。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、
【0019】
本発明の第3の態様に従えば、圧力室、液体排出口、及び前記圧力室を経て前記液体排出口に至る液体流路が形成された流路ユニットと、前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの一面に固定された板材、前記圧力室と対向するように前記板材に積層された圧電層、並びに、前記圧力室と対向する主領域及び前記圧力室に対向しない接続領域を有し、前記圧電層の前記板材と反対側の面において、前記主領域から前記接続領域にまで延在するように形成された第1電極を有し、前記圧力室内の前記液体に排出エネルギーを付与する圧電アクチュエータと、
前記圧電アクチュエータを覆うように配された絶縁性を有する基材、その基材の前記圧電アクチュエータと反対側の面に形成された第1の配線を有し、前記圧電アクチュエータに対して駆動電圧を供給するために接続される配線部とを備える液体移送装置を製造する方法であって、前記圧電アクチュエータ及び前記基材を提供する工程と、前記基材の、前記基材が前記圧電アクチュエータに接続されたときに第1電極の前記接続領域と重なる領域に第1の貫通孔を形成し、前記圧力室と重なる領域を除く領域であって且つ第1電極の前記接続領域と重なる領域を除く領域に第2の貫通孔を形成して、前記配線部を形成する工程と、前記基材の前記第1の貫通孔が形成された領域が、第1電極の前記接続領域と重なるように前記配線部の前記基材を配置する配置工程と、前記基材の、前記圧電アクチュエータの前記圧電層と反対側から、前記第1の貫通孔に向かって前記導電性材料の液滴を噴射する導電性液滴噴射工程と、前記導電性液滴噴射工程において噴射された前記導電性材料の液滴を硬化させる導電性液滴硬化工程と、前記基材の前記圧電層と反対側から、前記第2の貫通孔に向かって固定材料の液滴を噴射する固定液滴噴射工程と、前記固定液滴噴射工程において噴射した前記固定材料の液滴を硬化させる固定液滴硬化工程とを含む液体移送装置の製造方法が提供される。
【0020】
これによると、第1の貫通孔及び第2の貫通孔が形成された配線部を形成し、第1の貫通孔と第1電極の接続領域とが重なるように配線部を配置し、第1の貫通孔に導電性材料の液滴を噴射して硬化させ、第2の貫通孔に固定材料の液滴を噴射して硬化させるという容易な方法により、第1の配線と個別電極とを電気的に接続し且つ基材と圧電層とを機械的に接続することができる。また、圧電層に圧力を加えることなく、配線部の基材と圧電アクチュエータの圧電層とを電気的に接続し、機械的に接続することができるので、圧電層の破損を防止することができる。さらに、固定材料により圧電層と基材とが機械的に接続されているため、第1の配線と第1電極との電気的接続が外れにくくなっている。
【0021】
また、本発明の液体移送装置の製造方法においては、固定液滴噴射工程が、導電性液滴噴射工程よりも先に行われてもよい。これによると、固定液滴噴射工程において、圧電層と基材とを機械的に接続した後、圧電層と基材とを固定している治具などを取り外しても圧電層及び基材の位置がずれないため、固定液滴噴射工程の後、圧電層と基材とを固定している治具などを取り外してから導電性液滴噴射工程を行うことができる。このため、複数の液体移送装置を製造する場合、導電性液滴噴射工程を行っている間に、取り外したその治具などを次の液体移送装置の製造に用いることができる。
【0022】
また、本発明の液体移送装置の製造方法においては、固定材料の液滴が導電性材料の液滴であって、導電性液滴噴射工程と固定液滴噴射工程とを同時に行ってもよい。これによると、導電性液滴噴射工程と固定液滴噴射工程を同時に行うことにより製造工程が簡略化される。
【0023】
本発明の液体移送装置の製造方法においては、導電性液滴噴射工程及び固定液滴噴射工程を同時に行った後、導電性液滴硬化工程及び固定液滴硬化工程を同時に行ってもよい。これによると、導電性液滴硬化工程と固定液滴硬化工程とを同時に行うことにより製造工程がさらに簡略化される。
【0024】
また、本発明の液体移送装置の製造方法においては、前記配置工程の前に、前記圧電層の前記板材と反対側の面の、前記圧力室に重なる領域を除く領域に前記板材と反対側に突出した突出部を形成する突出部形成工程をさらに有していてもよい。これによると、基材を配置する前に圧電層の板材(例えば振動板)と反対側の面に突出部を形成することにより、基材を配置したときに圧力室に対向する領域において基材が圧電層に接触しにくくなる。
【0025】
本発明の第4の態様に従えば、圧力室、液体排出口、及び前記圧力室を経て前記液体排出口に至る液体流路が形成されるとともに一面に前記圧力室の開口が形成された流路ユニットと、前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの前記一面に固定された導電性材料からなる板材、前記圧力室に対向するように前記板材に積層された圧電層、並びに、前記圧力室と対向する主領域及び前記圧力室に対向しない接続領域を有し、前記圧電層の前記板材と反対側の面において、前記主領域から前記接続領域にまで延在するように形成された第1電極を有し、前記圧力室内の液体に排出エネルギーを付与する圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータを覆うように配された絶縁性を有する基材、その基材の前記圧電アクチュエータとは反対側の面に形成された前記第1電極に駆動電圧を供給するための第1の配線、及び、前記振動板に定電位を付与するための第2の配線を有し、前記圧電アクチュエータに対して駆動電圧を供給するために接続される配線部とを備える液体移送装置を製造する方法であって、前記基材、前記板材及び前記流路ユニットとを提供する工程と、前記基材の、前記基材が前記圧電アクチュエータに接続されたときに第1電極の前記接続領域と重なる領域に第1の貫通孔を形成し、前記圧力室と重なる領域を除く領域であって且つ第1電極の前記接続領域と重なる領域を除く領域に第2の貫通孔を形成して、前記配線部を形成する工程と、前記板材の、前記板材が前記流路ユニットに接続されたときに前記圧力室と重なる領域を除く領域に貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔を形成する工程に続いて、前記板材の一面上にAD法又は気相成膜法によって前記圧電層を形成して、前記板材の前記貫通孔が形成された領域に前記板材と前記圧電層とを貫通する第3の貫通孔を形成する工程と、前記圧電層の前記板材と反対側の面に前記第1電極を形成する工程と、前記基材の前記第1の貫通孔が形成された領域が第1電極の前記接続領域と重なり、且つ、前記基材の前記第2の貫通孔が形成された領域が、前記板材及び前記圧電層の前記第3の貫通孔が形成された領域と重なるように前記配線部の前記基材を配置する工程と、前記基材の前記圧電層と反対側から、前記基材に形成された前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔に向けて導電性材料の液滴を噴射する導電性液滴噴射工程と、前記導電性液滴噴射工程において噴射された前記導電性材料の液滴を硬化させる導電性液滴硬化工程とを含む液体移送装置の製造方法が提供される。
【0026】
本発明の第4の態様によれば、貫通孔が形成された振動板等の板材に、AD法又は気相成膜法によりその表面に圧電層を形成することにより、圧電層に、板材に形成された貫通孔と連通する貫通孔を形成することができる。このため、圧電層に別途貫通孔を形成する工程が必要なく製造工程を簡略化することができる。また、第2の貫通孔に導電性液滴を噴射して第2の貫通孔及び第3の貫通孔に導電性材料を充填することにより共通電極として機能する振動板等の板材と第2の配線とを電気的に接続することができるので、別途板材と第2の配線との電気的接続を行うための工程を設ける必要がなく製造工程が簡略化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[第1の実施の形態]
以下、本発明に係る第1の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。第1の実施の形態は、本発明を、ノズルからインクを吐出することによって記録用紙に記録を行うインクジェットヘッドに適用した一例である。
【0028】
図1は、第1の実施の形態に係るインクジェットプリンタ1の概略斜視図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、図1の左右方向(走査方向)に移動可能なキャリッジ2と、キャリッジ2に設けられて記録用紙Pにインクを吐出するシリアル式のインクジェットヘッド3と、記録用紙Pを紙送り方向(図1の前方)に搬送する搬送ローラ4を有する。そして、インクジェットヘッド3はキャリッジ2と一体的に走査方向に移動しつつ、ノズル16(図2参照)からインクを吐出して記録用紙Pに画像及び/又は文字など(以下、単に画像とする)を記録する。また、インクジェットヘッド3によって画像を記録された記録用紙Pは、搬送ローラ4によって紙送り方向に排出される。
【0029】
次に、インクジェットヘッド3について図2〜図6を用いて説明する。図2は、インクジェットヘッド3の平面図である。図3は、図2の部分拡大図である。図4は、図3のIV−IV線断面図である。図5は、図3のV−V線断面図である。図6は、図2のFPC33の平面図である。
【0030】
図2〜図6に示すように、インクジェットヘッド3は、圧力室10を含む複数の個別インク流路が形成された流路ユニット31と、流路ユニット31の上面に配置された圧電アクチュエータ32と、圧電アクチュエータの上面に配置されたフレキシブルプリント基板(FPC)(配線部材)33とを有している。
【0031】
流路ユニット31は、図4、図5に示すように、キャビティプレート20、ベースプレート21、マニホールドプレート22及びノズルプレート23を備えており、これら4枚が積層されて接合状態で接続されている。このうちキャビティプレート20、ベースプレート21及びマニホールドプレート22はステンレス鋼製の板であり、これら3枚のプレートに後述するマニホールド流路(共通インク室)11や圧力室10などのインク流路がエッチングなどにより形成されている。また、ノズルプレート23は、ポリイミド等の高分子合成樹脂材料により構成されており、マニホールドプレート22の下面に接合される。または、ノズルプレート23も、他の3枚のプレート20〜22と同様、ステンレス鋼等の金属材料によって構成されていてもよい。
【0032】
図2〜図4に示すように、キャビティプレート21には、平面に沿って配列され、上面に開口を有する複数の圧力室10(例えば10個)が形成されており、これら複数の圧力室10は、紙送り方向(図2の上下方向)に2列に配列されている。各圧力室10の形状は、平面視で、走査方向(図2の左右方向)に長い略長円形である。
【0033】
ベースプレート21の平面視で複数の圧力室10の長手方向両端部に重なる領域には連通孔13、14が形成されている。マニホールドプレート22には、紙送り方向に延びるマニホールド流路11が形成されている。マニホールド流路11は、図2において左側に配列された圧力室10の左半分及び右側に配列された圧力室10の右半分に重なるように配置されている。そして、マニホールド流路11にはインク供給口9からインクが供給される。また、マニホールドプレート22には、平面視で連通孔14に重なる位置には、連通孔15が形成されている。
【0034】
ノズルプレート23には、平面視で連通孔15に重なる位置にノズル16が形成されている。なお、ノズルプレート23が合成樹脂材料から構成されている場合には、ノズル16はエキシマレーザ加工などによって形成することができ、ノズルプレート23が金属材料からなる場合には、ノズル16はプレスなどの方法によって形成することができる。
【0035】
そして、マニホールド流路11は連通孔13を介して圧力室10に連通し、圧力室10はさらに連通孔14、15を介してノズル16まで連通している。このように、流路ユニット31には、マニホールド流路11から圧力室10を経てノズル16に至る複数の個別インク流路が形成されている。
【0036】
次に、圧電アクチュエータ32について説明する。圧電アクチュエータ32は、図4、図5に示すように、流路ユニット31の上面に形成された振動板40と、振動板40の上面に形成された圧電層41と、圧電層41の上面に複数の圧力室10に対応して形成された複数の個別電極12とを有している。
【0037】
振動板40は、平面視で略矩形状の金属材料からなる板状体であり、例えば、ステンレス鋼等の鉄系合金、銅系合金、ニッケル系合金、あるいは、チタン系合金などからなる。振動板40は、キャビティプレート20の上面に複数の圧力室10の開口を覆うように配設され、キャビティプレート20の上面に接合される。金属製の振動板40は、導電性を有しており、圧電層41において個別電極12との間に挟まれた部分に電界を作用させるための共通電極を兼ねている。
【0038】
振動板40の上面には、図4に示すように、チタン酸鉛とジルコン酸鉛の固溶体であり、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電層41が配置されている。圧電層41は、マニホールド流路11が図2の左右方向に延びている部分及び振動板40の図2の左上の隅部に重なる領域を除いて、複数の圧力室10にわたって連続的に形成されている。圧電層41は、例えば、非常に小さな圧電材料の粒子を基板に吹き付けて高速で衝突させることによって基板に堆積させるエアロゾルデポジション法(AD法)により形成することができる。また、圧電層41は、スパッタ法、化学蒸着法(CVD法)、ゾルゲル法又は水熱合成法により形成することも可能である。あるいは、PZTのグリーンシートを焼成することによって生成された圧電シートを所定の大きさに切断し、振動板40の上面に貼り付けることによって形成することも可能である。
【0039】
圧電層41の上面には、平面視で複数の圧力室10に重なる領域(主領域)に、圧力室10よりも一回り小さい略長円形状の個別電極12が形成されている。個別電極12は、金、銅、銀、パラジウム、白金、あるいは、チタンなどの導電性材料からなる。また、個別電極12においては、個別電極12の長手方向に関する一方の端部が個別電極12の長手方向に圧力室10に重ならない領域(接続領域)まで延びており、この部分が接点12aとなっている。個別電極12は、例えば、スクリーン印刷、スパッタ法及び蒸着法等により形成することができる。
【0040】
圧電アクチュエータ32の上面には、図2〜図6に示すように、FPC33が配置されている。FPC33は、圧電層41の上面に配置された絶縁性の合成樹脂材料などにより構成される基材42と、基材42の上面に形成された接点12aとの接続を行うための配線(第1の配線)43と、振動板40に接続された配線46とを有する。
【0041】
基材42の、平面視で接点12aに重なる位置には、複数の貫通孔(第1の貫通孔)42aが形成されている。また、基材42の、平面視で、圧電アクチュエータ32の列間領域及び列外領域と重なる領域には、複数の貫通孔(第2の貫通孔)42bが形成されている。ここで、圧電アクチュエータ32の列間領域及び列外領域とは、圧電層41の、平面視でそれぞれ、2列に配置された圧力室10の列の間と重なる領域あって且つ圧力室10とは重ならない領域と、各列において紙送り方向(図2の上下方向)に隣接する圧力室10の間と重なる領域であって且つ貫通孔42aが形成された領域よりも走査方向(図2の左右方向)の外側と重なる領域をいう。貫通孔42a、42bの直径は、30〜40μm程度であり、これらの貫通孔42a、42bは、それぞれ基材42の下面側ほど(圧電層41側ほど)内径が小さく形成されている。
【0042】
図2〜図4に示すように、貫通孔42aには導電性材料44が充填されている。導電性材料44は配線43と個別電極12の接点12aとに接合されており、導電性材料44を介して、配線43の接点43aと個別電極12とが電気的に接続されている。後述するように、導電性材料44は、銀、金などのナノ粒子を含んだナノ導電粒子インク、溶融したハンダなどを基材42の上方から噴射することによって貫通孔42a内に充填される。貫通孔42bには、固定材料45が充填されている。固定材料45は、基材42と圧電層41とに接合されており、固定材料45により基材と圧電層41とが機械的に接続されている。後述するように、固定材料45はUV硬化樹脂、エポキシ樹脂などを基材の上方から噴射することによって貫通孔42b内に充填される。
【0043】
図2、図6に示すように、配線43は、基材42の貫通孔42aに重なる接点43aから、走査方向における基材42の中央と反対側に向かって延び、紙送り方向におけるインク供給口9からドライバIC50へ向かう向き(図2の上向き)に折れ曲がり、さらに、走査方向における基材42の中央側に向かって折れ曲がって、FPC33の上面に配置されたドライバIC50まで延びている。そして、ドライバIC50は、配線43及び導電性材料44を介して、所望の個別電極12を所定の電位に設定する。配線46は、図2、図6に示すように、基材42の一隅部(図2の左上の隅部)から走査方向における基材42の中央側(図2の右側)に延び、さらに、紙送り方向におけるドライバIC50からインク供給口9へ向かう向き(図2の下向き)に折れ曲がってドライバIC50に接続される。また、配線46の、基材42の図2の左上の隅部に対向する部分には接点46aが形成されており、接点46aにおいて、配線46と振動板40とが電気的に接続されている。そして、ドライバIC50は、配線46を介して、共通電極を兼ねている振動板40の電位を常にグランド電位に保持している。
【0044】
次に、圧電アクチュエータ32の動作について説明する。ドライバIC50によって個別電極12の電位が選択的に設定されると、個別電極12と、共通電極としての振動板40との間に電位差が発生し、これらに挟まれた圧電層41の部分に厚み方向の電界が発生する。このとき、圧電層41の分極方向がこの電界の方向と同じであれば、圧電層41は、厚み方向に直交する水平方向に収縮する。この圧電層41の収縮に伴って、振動板40が圧力室10に向かって凸になるように変形するため、圧力室10の体積が減少し、圧力室10内の圧力が増加するため、圧力室10に連通するノズル16からインクが吐出される。
【0045】
次に、インクジェットヘッド3の製造方法について図7を用いて説明する。図7は、インクジェットヘッド3の製造工程を表す図である。ただし、以下では、流路ユニット31の上面に振動板40を形成した後の製造工程について説明する。
【0046】
インクジェットヘッド3を製造するためには、流路ユニット31を形成し、流路ユニット31の上面に振動板40を形成した後、図7(a)に示すように、上面に配線43が形成された基材42に貫通孔42a及び貫通孔42bを形成して、FPC33を形成する(配線部形成工程)。ここで、貫通孔42aは、基材42の、次の工程でFPC33を圧電層41の上面に配置するときに平面視で個別電極12の接点12aと重なる領域(第1貫通孔形成領域)、つまり、基材42の接点43aが形成されている領域に形成される。貫通孔42bは、次の工程においてFPC33を圧電層41の上面に配置するときに、平面視で基材42の、圧電アクチュエータ32の列間領域及び列外領域と重なる領域に形成される。ここで、圧電アクチュエータ32の列間領域及び列外領域とは、それぞれ、2列に配置された圧力室10の列の間であって且つ圧力室10に重ならない領域と、各列において紙送り方向に隣接する圧力室10の間であって且つ貫通孔42aが形成された領域よりも走査方向の外側の領域とを示している。
【0047】
次に、図7(b)に示すように、平面視で、FPC33に形成された貫通孔42aと接点12aとが重なるようにFPC33を位置合わせして、圧電層41の上面に配置する(配線部配置工程)。このとき、FPC33の貫通孔42bが形成された領域は、平面視で圧電層41の列間領域及び列外領域と重なるように配置される。
【0048】
次に、図7(c)に示すように、インクジェットヘッド又はマイクロディスペンサなどによって、FPC33の上方から、FPC33の貫通孔42bが形成された領域に向かって、UV硬化樹脂、エポキシ樹脂などからなる直径が50μm程度の固定材料の液滴51を噴射し、貫通孔42bに固定材料45を充填する(固定液滴噴射工程)。
【0049】
次に、図7(d)に示すように、貫通孔42bに充填された固定材料45を硬化させる(固定液滴硬化工程)。ここで、固定材料45がUV硬化樹脂の場合には、例えばUVランプにより紫外線を照射することによって固定材料45を硬化させ、固定材料45がエポキシ樹脂の場合には、例えば赤外線ランプにより加熱することによって固定材料45を硬化させる。
【0050】
次に、図7(e)に示すように、FPC33の上方から、インクジェットヘッドやマイクロディスペンサなどによって、貫通孔42aに銀、金などのナノ粒子を含んだナノ導電粒子インク又は溶融したハンダなどからなる、直径が50μm程度の導電性材料の液滴52を噴射し、貫通孔42aに導電性材料44を充填する(導電性材料噴射工程)。
【0051】
次に、図7(f)に示すように、貫通孔42aに充填された導電性材料44を硬化させる(導電性材料硬化工程)。ここで、導電性材料44が銀、金などのナノ粒子を含むナノ導電粒子インクの場合には、例えば赤外線ランプにより加熱することによって導電性材料44を硬化させ、導電性材料44がハンダの場合には例えばハンダの温度が下がるのを待つことによって導電性材料を硬化させる。この後、基材42の配線46の接点46aが形成されている部分を振動板40に押し付けてハンダ付けを行うなどして振動板40と配線46との電気的接続が行われ、インクジェットヘッド3が完成する。
【0052】
以上に説明した第1の実施の形態によると、貫通孔42a及び貫通孔42bが形成された基材42を有するFPC33を圧電層41の上面に配置し;基材42(FPC33)の貫通孔42bが形成された領域に向かって固定材料の液滴51を噴射して、貫通孔42b内に固定材料45を充填し、固定材料45を硬化させ;基材42の貫通孔42aが形成された領域に向かって導電性材料の液滴52を噴射することにより貫通孔42a内に導電性材料44を充填し、導電性材料44を硬化させている。このような容易な方法で、FPC33の基材42と圧電層41とを機械的に接続し、且つ、FPC33の配線43と個別電極12とを電気的に接続することができるので、インクジェットヘッド3の製造工程が簡略化される。また、FPC33を圧電層41に接続する際に圧電層41に圧力を加える必要がないため、圧電層41に加えられた圧力により圧電層41が破損する恐れがない。さらに、導電性材料44に加えて固定材料45もFPC33と圧電層41との接合に寄与しているので、導電性材料44のみによって接合されている場合と比べて、FPC33と圧電層41との接合強度が大きくなり、導電性材料44による電気的接続が外れにくくなる。
【0053】
また、走査方向において、一部の貫通孔42bは、貫通孔42aが形成されている領域よりも外側の領域に形成されているので、走査方向に沿ってFPC33をはがすような外力が加わったときに、貫通孔42a内に充填された導電性材料44よりも、走査方向において貫通孔42aよりも外側の領域に形成された貫通孔42bに充填された固定材料45に大きな応力が加わる。つまり、これらの貫通孔42bに充填された固定材料45によって、貫通孔42aに充填された導電性材料44によるFPC33の配線43と圧電層に形成された個別電極12との接合が保護されることになるので、配線43と個別電極12との電気的接続は外れにくくなる。
【0054】
また、基材42の貫通孔42a及び貫通孔42bを画成している面は、それぞれ圧電層41側(下側)ほど貫通孔42a及び貫通孔42bの中心に向かって傾斜しているので、基材42の貫通孔42a,42bを画成する面に沿って導電性材料の液滴及び固定材料の液滴を流すことにより確実に貫通孔42a、42b内に導電性材料44及び固定材料45を充填することができる。
【0055】
また、固定液滴噴射工程及び固定液滴硬化工程は、導電性液滴噴射工程及び導電性液滴硬化工程よりも先に行われるので、固定液滴噴射工程及び固定液滴硬化工程において、圧電層と基材とを機械的に接続した後、圧電層と基材とを固定している治具などを取り外しても、圧電層と基材との位置がずれる恐れがない。そのため、固定液滴噴射工程及び固定液滴硬化工程の後、圧電層と基材とを固定している治具などを取り外してから導電性液滴噴射工程及び導電性液滴硬化工程を行うことができる。このため、複数のインクジェットヘッドを製造する場合、導電性液滴噴射工程及び導電性液滴硬化工程を行っている間に、取り外された固定用の治具などを用いて次のインクジェットヘッドの製造を行うことができる。
【0056】
次に、第1の実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、第1の実施の形態と同様の構成を有するものには同じ符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0057】
〈第1変更形態〉
第1の例として、図8、図9に示すように、圧電層41の表面の、平面視で紙送り方向に隣接する圧力室10の間であって圧力室10に重ならない領域に、上方に突出したエポキシ樹脂などからなる突出部60が形成されていてもよい。この場合、突出部60により、圧電層41の平面視で圧力室10に重なる領域において、FPC33との間に隙間ができ、この隙間により圧電層41とFPC33とが接触するのが防止される。これにより、FPC33が圧電層41の圧力室10に重なる領域に接触してインクの吐出特性に影響を与えてしまうのを防止することができる。なお、このような突出部60は、配置工程において圧電層41の上面にFPC33を配置する前に、圧電層41の上面に突出部60を形成する工程(突出部形成工程)を行うことにより形成することができる。
【0058】
第2の例として、圧電層41の上面に突出部60を形成することに加えて、あるいはこれに代わって、図10に示すように、FPC33の下面側(圧電層と対向する面側)の、平面視で圧力室10に重なる領域を除く領域に、下向きに突出する突出部60Aを設けてもよい。これにより、前述の突出部60と同様に、FPC33が圧電層41の圧力室10に重なる領域に接触して、インクの吐出特性に影響を与えてしまうのを防止できる。なお、このような突出部60Aは、FPC33の下面に、例えばエポキシ樹脂などにより形成してもよく、あるいは、FPC33にパンチなどで型押しすることによってFPC33を塑性変形させて形成してもよい。
【0059】
〈第2変更形態〉
図11に示すように、圧電層41の、平面視で貫通孔42bに重なる領域には、個別電極12と絶縁されたダミー電極17が形成されており、貫通孔42bに導電性材料49が充填されていてもよい。この場合でも、導電性材料49により圧電層41と基材42とが機械的に接続される。ここで、導電性材料49は圧電層41の表面に形成されたダミー電極17に接合されているので、ダミー電極17を形成せずに貫通孔42bに導電性材料49を充填した場合よりも接合強度が大きくなる。さらに、導電性材料49と導電性材料44とが同じ材料である場合には、導電性材料44と導電性材料49とを同じ工程で形成し、その後同時に硬化させることができ、製造工程が簡略化される。
【0060】
[第2の実施の形態]
次に本発明に係る第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、振動板及び圧電層の構造が第1の実施の形態と異なるので、特にこの部分について詳細に説明する。
【0061】
図12は第2の実施の形態に係るインクジェットヘッド53の平面図であり、図13は図12のXII−XII線断面図である。図12、図13に示すように、インクジェットヘッド53は第1の実施の形態と同様、圧力室10を含む複数の個別インク流路が形成された流路ユニット31と、流路ユニット31の上面に配置された圧電アクチュエータ62と、圧電アクチュエータ62の上面に配置されたFPC63とを有している。
【0062】
流路ユニット31は、第1の実施の形態の流路ユニットと同様であり、キャビティプレート20、ベースプレート21、マニホールドプレート22及びノズルプレート23の4枚が積層されて接合状態で接続されている。そして、第1の実施の形態と同様、流路ユニット31には、マニホールド流路11から圧力室10を経てノズル16に至る複数の個別インク流路が形成されている。
【0063】
圧電アクチュエータ62は、図13に示すように、流路ユニット31の上面に形成された振動板70と、振動板70の上面に形成された圧電層71と、圧電層71の上面に複数の圧力室10に対応して形成された複数の個別電極12とを有している。
【0064】
振動板70は、第1の実施の形態の振動板40(図4参照)と同様、平面視で略矩形状の金属板である。振動板70は、キャビティプレート20の上面に、複数の圧力室10を覆うように配設され、キャビティプレート20の上面に接合される。金属製の振動板70は、導電性を有しており、個別電極12との間に挟まれた部分の圧電層71に電界を作用させるための共通電極を兼ねている。また、振動板70の、複数の圧力室10のうち図11の最も左上にある圧力室の右側に隣接する領域に対向する部分であって、平面視で圧力室10とは重ならない部分には、貫通孔70aが形成されている。
【0065】
振動板70の上面には、図13に示すように、チタン酸鉛とジルコン酸鉛の固溶体であり、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電層71が配置されている。圧電層71は、マニホールド流路11が図12の左右方向に延びている部分に重なる領域を除いて、複数の圧力室10にわたって連続的に形成されている。また、圧電層71の、振動板70の貫通孔70aと平面視で重なる領域には、貫通孔71aが形成されている。圧電層71は、後述するようにエアロゾルデポジション法(AD法)又は気相成膜法により、非常に小さな圧電材料の粒子を振動板40の上面に堆積させて形成される。
【0066】
圧電層71の上面には、平面視で複数の圧力室10に重なる領域(主領域)に、圧力室10よりも一回り小さい略長円形状の個別電極12が形成されている。個別電極12は、金、銅、銀、パラジウム、白金、あるいは、チタンなどの導電性材料からなる。また、個別電極12においては、個別電極12の長手方向に関する一方の端部が個別電極12の長手方向に圧力室10に重ならない領域(接続領域)まで延びており、この部分が接点12aとなっている。個別電極12は、例えば、スクリーン印刷、スパッタ法及び蒸着法等により形成することができる。
【0067】
圧電アクチュエータ62の上面には、図12、図13に示すように、FPC63が配置されている。FPC63は、圧電層71の上面に配置された合成樹脂材料などにより構成される基材72と、基材72の上面に形成された、個別電極12の接点12aとの接続を行うための配線(第1の配線)73と、振動板70との接続を行うための配線(第2の配線)76とを有する。
【0068】
基材72において、前述の第1貫通孔形成領域には、複数の貫通孔(第1の貫通孔)72aが形成されており、列間領域及び列外領域には、複数の貫通孔(第2の貫通孔)72bが形成されている。貫通孔72a、72bの直径は30〜40μm程度であり、基材72の、貫通孔72a,72bを画成する面は、それぞれ下面側(圧電層71側)ほど、貫通孔72a、73aの中心に向かって傾斜している。また、貫通孔72bのうちの1つは貫通孔70a、71aに連通している。
【0069】
図12、図13に示すように、貫通孔72aには導電性材料74が充填されている。導電性材料74は配線73と個別電極12とに接合されており、導電性材料74を介して配線73と個別電極12とが電気的に接続されている。貫通孔72bには、導電性材料75が充填されている。貫通孔70a、71aに連通する貫通孔72bに充填されている導電性材料75は、貫通孔70a、71aを介して振動板70に接合されるとともに配線76に接合され、振動板70と配線76とを電気的に接続している。貫通孔72b以外の貫通孔に充填されている導電性材料75は、基材72と圧電層71とに接合されており、導電性材料75により基材72と圧電層71との機械的に接続されている。
【0070】
配線73は、図12に示すように、基材72の各貫通孔72aに重なる接点73aから基材72の図12の左右方向の外側に延び、図12の上方向に折れ曲がり、さらに、図12の左右方向内側に折れ曲がり、FPC63の上面に配置されたドライバIC50まで延びている。そして、ドライバIC50によって配線73及び導電性材料74を介して、所望の個別電極12に所定の電位が付与される。配線76は、基材72の、貫通孔72bと貫通孔70a、71aとが連通するように形成された位置から図12の上方に延びてドライバIC50に接続されている。そして、共通電極を兼ねる振動板70の電位は、ドライバIC50によって、配線76を介して常にグランド電位に保持されている。
【0071】
次に、インクジェットヘッド53の製造方法について図14、図15を用いて説明する。ただし、以下ではインクジェットヘッド53の製造方法のうち、流路ユニット31を製造した後の工程について説明する。図14は製造工程の前半を示す工程図であり、図15は製造工程の後半を示す工程図である。
【0072】
インクジェットヘッド53を製造するには、流路ユニット31を製造した後、図14(a)に示すように、配線73、配線76(図12参照)が形成された基材72に貫通孔72a、72bを形成することにより、FPC63を形成する(配線部形成工程)。ここで、貫通孔72aは、次の工程で基材72を圧電アクチュエータ62の上面に配置するときに、平面視で個別電極12の接点12aと重なる領域(第1貫通孔形成領域)、つまり、接点部73aに重なる領域に形成される。貫通孔72bは、次の工程で基材72を圧電アクチュエータ62の上面に配置するときに、平面視で、基材72の、圧電アクチュエータ62の列間領域及び列外領域と重なる領域に形成される。
【0073】
次に、振動板70にプレス加工などにより、図14(b)に示すように、貫通孔70aを形成する。このとき、貫通孔70aは、振動板70を流路ユニット31の上面に配置したときに、図13の最も左上にある圧力室10の、図13の右側に隣接する領域に重なるように形成される。
【0074】
次に、図14(c)に示すように、貫通孔70aが形成された振動板70の上面にAD法又は気相成膜法により圧電層71を形成する。このとき、振動板70の、平面視で貫通孔70aと重なる領域には、貫通孔71aが形成される。
【0075】
次に、図14(d)に示すように、圧電層71の上面に、スクリーン印刷、スパッタ法及び蒸着法等により個別電極12を形成する。このとき、個別電極12は、圧電層71の、圧電アクチュエータ62を流路ユニット31に接合したときに平面視で圧力室10に重なる領域に形成される。このようにして振動板70、圧電層71及び個別電極12を形成することにより圧電アクチュエータ62を形成する(圧電アクチュエータ形成工程)。そして、図14(e)に示すように、圧電アクチュエータ62を流路ユニット31のキャビティプレート20の上面に接合する。
【0076】
次に、図15(a)に示すように、FPC63の貫通孔72aが形成された領域と接点12aとが平面視で重なるように位置合わせして、FPC63を圧電層71の上面に配置する(配線部配置工程)。このとき、FPC63は、貫通孔72bのうちの1つの貫通孔と、圧電アクチュエータ62の列間領域において図12の最も上側に形成されている貫通孔70a、71aとが連通するように配置される。貫通孔72bのうち、貫通孔70a,71aと連通する貫通孔を、貫通孔72cと呼ぶ。
【0077】
次に、図15(b)に示すように、インクジェットヘッド、マイクロディスペンサなどによって、FPC63の上方から、FPC63の貫通孔72a、72bが形成された領域に向かって、銀、金などのナノ粒子を含むナノ導電粒子インク又は溶融したハンダなどからなる直径が50μm程度の導電性材料の液滴81を噴射し、貫通孔72aに導電性材料74を充填するとともに、貫通孔72bに導電性材料75を充填する(導電性材料噴射工程)。このとき、導電性材料75は、貫通孔70a、71aにも充填される。
【0078】
次に、図15(c)に示すように、貫通孔72aに噴射した導電性材料74及び貫通孔72bに噴射した導電性材料75を硬化させる(導電性材料硬化工程)。ここで、導電性材料74、75が銀、金などのナノ粒子を含むナノ導電粒子インクの場合には、例えば赤外線ランプにより加熱することによって導電性材料74、75を硬化させることができ、導電性材料74、75がハンダの場合には、例えばハンダの温度が下がるのを待つことによって導電性材料74、75を硬化させることができる。以上のような工程で、インクジェットヘッド3は製造される。
【0079】
以上に説明した第2の実施の形態によると、貫通孔72a及び貫通孔72bが形成された基材72を有するFPC63を圧電層71の上面に配置し、基材72の貫通孔72a、72bが形成された領域に向かって導電性材料の液滴81を噴射することによって、貫通孔72a、72bに導電性材料74、75を充填し、導電性材料74、75を硬化させている。このような容易な方法で、FPC63の基材72と圧電層71とを機械的に接続し、FPC63の配線73及び個別電極12と、FPCの配線76及び振動板70とを電気的に接続することができるので、インクジェットヘッド53の製造工程が簡略化される。また、FPC63を接続する際に圧電層71に圧力を加える必要がないため、加圧に起因する圧電層71の破損を防止することができる。
【0080】
また、一部の貫通孔72bは、FPC63の、貫通孔72aが形成されている領域及び、貫通孔72cが形成されている領域よりも走査方向において外側の領域に形成されている。そのため、走査方向に沿ってFPC63をはがす向きの外力が加わったときに、貫通孔72aに充填された導電性材料74及び貫通孔72bのうち貫通孔70a、71aに連通している貫通孔(貫通孔72c)に充填された導電性材料75よりも、他の貫通孔72b内に充填された導電性材料75に大きな応力が加わる。これにより、配線73及び個別電極12と、配線76及び振動板70との電気的接続が外れにくくなる。
【0081】
また、導電性材料74と導電性材料75とを同一の工程により形成することができるので製造工程が簡略化される。
【0082】
また、貫通孔70aが形成された振動板70の表面に、AD法又は気相成膜法により圧電層71を形成する際に、同時に貫通孔71aが形成されるので、別途貫通孔71aを形成する工程が必要なく製造工程が簡略化される。
【0083】
また、導電性液滴噴射工程において貫通孔72aに充填された導電性材料74により、個別電極12と配線73とが電気的に接続されるともに、貫通孔72cに充填された導電性材料75により、振動板40と配線76とが電気的に接続されるので、振動板70と配線76とを電気的に接続するための工程を別途設ける必要がなく製造工程がさらに簡略化される。
【0084】
また、第1の実施の形態の場合と同様、基材72の、貫通孔72a及び貫通孔72bを画成する面は、圧電層71側(下側)ほど貫通孔72a及び貫通孔72bの中心に向かって傾斜しているので、基材72のこれらの貫通孔を画成する面に沿って導電性材料の液滴を流すことにより確実に貫通孔72a、72bに導電性材料74、75を充填することができる。
【0085】
次に第2の実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。
【0086】
〈第3変更形態〉
振動板70に貫通孔70aが形成されていなくてもよい。この場合、貫通孔71aと貫通孔72cとが連通しており、貫通孔72c及び貫通孔71aに充填された導電性材料75は、配線76と振動板70の上面とに接合される。このため、導電性材料75により振動板70と配線76とが電気的に接続される。なお、この場合は、圧電層71にレーザ加工などにより貫通孔71aを形成する工程が別途必要となる。
【0087】
〈第4変更形態〉
第2の実施の形態では、貫通孔72bのうちの1つに連通する振動板70及び圧電層71に貫通孔70a、71aが1つ形成されていたが、貫通孔72bのうちの複数に連通するように、振動板70及び圧電層71に複数の貫通孔70a、71aが形成されていてもよい。
【0088】
第1、第2の実施の形態では、本発明をインクジェットヘッドに適用した例について説明したが、このほか、本発明は、試薬、生体溶液、配線材料溶液、電子材料溶液、冷媒用、燃料用などインク以外の液体を移送する液体移送装置に適用することも可能である。
【0089】
〈第3の実施の形態〉
本実施の形態のアクチュエータユニット101は、流路ユニット31に代えて金属製の板材131を有している点を除いて、第1の実施の形態のインクジェットヘッド3と同様の構成である。ここで、図16に示すように、板材131の、平面視で、アクチュエータユニット101の個別電極12の主領域と重なる領域には、圧電層41と反対側(下側)に開口する凹部132が形成されている。板材131の、凹部132が形成されている領域の剛性は、板材131の凹部132が形成されていない領域(支持部)の剛性と比べて低くなっている。そのため、共通電極を兼ねる板材131と所望の個別電極12との間に電圧を印加してこれらの電極に挟まれた部分の圧電層41を変形させる際に、圧電層41の変形が妨げられる恐れがない。このようなアクチュエータユニット101は、様々な用途に用いることができる。例えば、図16に示したように、凹部132にミラー140を設けることによって、所望の各ミラー140変形させることができるマルチミラーとして利用できる。ミラー140は、例えば、板材131の凹部132が形成された面に、銀を蒸着することによって形成することができる。所望のミラー140を変形させることにより、マルチミラーにより反射される光の反射方向、強度を調整することができ、あるいは、マルチミラーの表面に文字などを浮かび上がらせることもできる。
【0090】
本実施の形態のアクチュエータユニットにおいて、板材の、圧電アクチュエータの個別電極と重なる領域の剛性が、圧電層の変形を阻害しない程度に低くなっている限りにおいて、必ずしも、板材に凹部が形成されている必要はない。また、基材の材質、形状は任意にし得る。基材が絶縁性の材料で形成されている場合には、基材と圧電層との間に、共通電極を形成することができる。また、本実施の形態のアクチュエータユニットは、マルチミラー以外の任意の用途に使用しうる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るインクジェットプリンタの概略斜視図である。
【図2】図1のインクジェットヘッドの平面図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】図1のFPC及びドライバICの平面図である。
【図7】図2のインクジェットヘッドの製造工程を示す工程図である。
【図8】第1変更形態の第1の例に係る図2相当の平面図である。
【図9】第1変更形態の第1の例に係る図5相当の断面図である。
【図10】第1変形形態の第2の例に係る図5相当の断面図である。
【図11】第2変更形態の図4相当の断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るインクジェットヘッドの平面図である。
【図13】図12のXII−XII線断面図である。
【図14】第2の実施の形態に係るインクジェットヘッドの製造工程の前半を示す工程図である。
【図15】第2の実施の形態に係るインクジェットヘッドの製造工程の後半を示す工程図である。
【図16】第3の実施の形態に係るアクチュエータユニットの概略図である。
【符号の説明】
【0092】
3 インクジェットヘッド
10 圧力室
12 個別電極
17 ダミー電極
31 流路ユニット
32 圧電アクチュエータ
33 FPC
40 振動板
41 圧電層
42 基材
42a、42b 貫通孔
43 配線
44 導電性材料
45 固定材料
62 圧電アクチュエータ
63 FPC
70 振動板
70a 貫通孔
71 圧電層
71a 貫通孔
72 基材
72a、72b 貫通孔
73 配線
74、75 導電性材料




 

 


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