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液滴噴射装置及び液体移送装置 - ブラザー工業株式会社
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発明の名称 液滴噴射装置及び液体移送装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−55242(P2007−55242A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2006−195195(P2006−195195)
出願日 平成18年7月18日(2006.7.18)
代理人 【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之
発明者 高橋 義和
要約 課題
引き打ちを行う液滴噴射装置及び液体移送装置において、耐久性を高くし、消費電力を低減する。

解決手段
インクジェットヘッドにおいて、圧電アクチュエータは、複数の圧力室10を覆うように流路ユニットの上面に配置された導電性基材42と導電性基材42の上面に形成された絶縁層43とを有する振動板40と、振動板40の上面の圧力室10に対向する領域に圧力室10の幅方向の一方の縁から、圧力室10の幅方向に延びた圧電層41が形成されている。振動板40の下面には、圧力室10の幅方向の他方の縁から幅方向に延びた凹部42aが形成されている。圧電層41の上面には個別電極45が形成され、下面には共通電極44が形成されている。振動板40の上面のうち、圧電層41が形成されていない部分には個別電極45に接続された配線50が形成されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
液滴を噴射する液滴噴射装置であって、
ノズルに連通する圧力室を含む流路ユニットと、
前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの一表面に配置された板材、この板材の前記圧力室と反対側の面の、前記圧力室と重なる領域において、前記圧力室の所定の方向の一方の縁からその所定の方向に延びるように配置された圧電層、この圧電層の一方の面に配置された個別電極、及び、前記圧電層の他方の面に配置された共通電極とを有し、前記圧力室の容積を変化させて前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電アクチュエータとを備え、
この圧電層の前記圧力室と対向する部分の前記所定の方向における長さは前記圧力室の前記所定の方向における長さの半分よりも短い液滴噴射装置。
【請求項2】
前記圧力室は、前記板材の面方向に直交する方向から見て、前記圧力室の重心を通り前記所定の方向と直交する直線に関して対称な形状を有している請求項1に記載の液滴噴射装置。
【請求項3】
前記圧力室は細長い形状を有しており、前記所定の方向は、前記圧力室の短手方向である請求項1に記載の液滴噴射装置。
【請求項4】
液滴を噴射する液滴噴射装置であって、
ノズルに連通する圧力室を含む流路ユニットと、
前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの一表面に配置され、前記圧力室と反対側の面は絶縁性を有する板材、この板材の前記圧力室と反対側の面の、前記圧力室と重なる領域において、前記圧力室の所定の方向の一方の縁からその所定の方向に延びるように配置された圧電層、この圧電層の一方の面に配置された個別電極、及び、前記圧電層の他方の面に配置された共通電極とを有し、前記圧力室の容積を変化させて前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電アクチュエータとを備え、
この圧電層の前記圧力室と対向する部分の前記所定の方向における長さは前記圧力室の前記所定の方向における長さの半分よりも短く、
前記板材の前記圧力室と反対側の面の、前記圧電層が配置されていない領域に、前記個別電極に接続された配線が形成されている液滴噴射装置。
【請求項5】
前記圧力室は、前記板材の面方向に直交する方向から見て、前記圧力室の重心を通り前記所定の方向と直交する直線に関して対称な形状を有している請求項4に記載の液滴噴射装置。
【請求項6】
前記圧力室は細長い形状を有しており、前記所定の方向は、前記圧力室の短手方向である請求項4に記載の液滴噴射装置。
【請求項7】
前記板材は、
前記流路ユニットの一表面に配置された板状の導電性基材と、
この導電性基材の前記圧力室と反対側の面に形成された絶縁層とを有する請求項4に記載の液滴噴射装置。
【請求項8】
前記板材は、絶縁性材料により構成されている請求項4に記載の液滴噴射装置。
【請求項9】
前記圧電層の前記圧力室と対向する部分の前記所定の方向における長さは、前記圧力室の前記所定の方向における長さの12分の1〜3分の1である請求項4に記載の液滴噴射装置。
【請求項10】
前記圧電層の前記圧力室と対向する部分の前記所定の方向における長さが、前記圧力室の前記所定の方向における長さの4分の1である請求項9に記載の液滴噴射装置。
【請求項11】
前記板材の前記圧力室に対向する部分に、他の部分よりも厚さが薄い薄肉部が形成され、
この薄肉部は、前記圧電層と重ならない領域を有する請求項4に記載の液滴噴射装置。
【請求項12】
前記薄肉部が、前記圧力室の前記所定の方向における他方の縁から前記所定の方向に延びており、且つ、前記圧電層に重ならない請求項11に記載の液滴噴射装置。
【請求項13】
前記薄肉部の前記所定の方向における長さは、前記圧電層の前記所定の方向における長さよりも長い請求項12に記載の液滴噴射装置。
【請求項14】
前記薄肉部の前記所定の方向における長さは、前記圧力室の前記所定の方向における長さの半分以上である請求項13に記載の液滴噴射装置。
【請求項15】
液体を移送する液体移送装置において、
圧力室を含む流路ユニットと、
前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの一表面に配置された板材、この板材の前記圧力室と反対側の面の前記圧力室と対向する領域において、所定の方向における一方の縁のみからその所定の方向に延びるように配置された圧電層、この圧電層の一方の面に配置された個別電極、及び、前記圧電層の他方の面に配置された共通電極とを有し、前記圧力室の容積を変化させて前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電アクチュエータとを備え、
この圧電層の前記圧力室と対向する部分の前記所定の方向の長さは前記圧力室の前記所定の方向の長さの半分よりも短い液体移送装置。
【請求項16】
液体を移送する液体移送装置において、
圧力室を含む流路ユニットと、
前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの一表面に配置された板材、この板材の前記圧力室と反対側の面の前記圧力室と対向する領域において、所定の方向における一方の縁のみからその所定の方向に延びるように配置された圧電層、この圧電層の一方の面に配置された個別電極、及び、前記圧電層の他方の面に配置された共通電極とを有し、前記圧力室の容積を変化させて前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電アクチュエータとを備え、
この圧電層の前記圧力室と対向する部分の前記所定の方向の長さは前記圧力室の前記所定の方向の長さの半分よりも短く、
前記板材の前記圧力室と反対側の面の、前記圧電層が配置されていない領域に、前記個別電極に接続された配線が形成されている液体移送装置。


発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴を噴射する液滴噴射装置及び液体を移送する液体移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルに連通する圧力室内のインクに圧力を付与してノズルからインクを吐出し、記録媒体に記録を行うインクジェットヘッド(液滴噴射装置)において、圧電アクチュエータにより圧力室を覆うように配置された振動板を変形させることにより圧力室内のインクに圧力を付与するものがある。例えば、特許文献1(特開2005−125743号公報(図3))に記載のインクジェットヘッドにおいては、振動板の上面に圧電層が形成されており、圧電層の上面の圧力室に重なる部分には、上部電極(個別電極)が形成されている。そして、上部電極の電位を下部電極である振動板よりも高くすることによって振動板を圧力室側に凸になるように変形させて圧力室内のインクに圧力を付与してノズルからインクを吐出する、いわゆる押し打ちを行っている。
【0003】
特許文献1に記載のインクジェットヘッドにおいては、前述の押し打ちのほか、いわゆる引き打ちを行うことも可能である。すなわち、上部電極の電位を予め振動板よりも高い電位にして、振動板を圧力室側に凸になるように変形させておき、インクの吐出要求がある毎に一旦振動板の変形を元に戻した後、所定のタイミングで再び振動板を変形させることによってノズルからインクを吐出することができる。このような引き打ちでは、振動板の変形を元に戻したときに圧力室内に発生する負の圧力波が正に反転するタイミングで再び振動板を圧力室側に凸に変形させて圧力波を重ね合わせることにより、圧力室内のインクに付与する圧力を押し打ちを行う場合よりも大きくすることができる。このため、引きうちを行うほうが押し打ちを行うよりも低電圧駆動が可能となる。
【0004】
これに対して、特許文献2(特開2004−166463号公報)に記載のインクジェットヘッドは、複数の圧力室が形成された流路ユニットと、複数の圧電シート、並びにそれらの間に交互に配置された個別電極(駆動電極)及び共通電極(コモン電極)を有する圧電アクチュエータとを備えており、個別電極と共通電極は、圧電シートの面に直交する方向から見て、圧力室と重なり且つ圧力室の縁に沿うような環状に形成されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−125743号公報(図3)
【特許文献2】特開2004−166463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェットヘッドにおいて引き打ちを行うためには、インクの吐出を行わないときに常に上部電極を振動板よりも高い電位にし、圧電層に電界を印加し続けておく必要がある。このため、圧電層の耐久性が低下する虞がある。また、消費電力も大きくなってしまう。
【0007】
一方、特許文献2に記載の圧電アクチュエータは、共通電極がグランド電位に保持された状態で、個別電極に駆動電圧が印加されると、複数枚の圧電シートが圧力室と反対側に凸となるように変形する。そのため、前述のような引き打ちを行うことができる。しかも、この場合には、インクを吐出するタイミングにおいてのみ個別電極に駆動電圧を印加すればよい。従って、インクの吐出タイミング以外では圧電層に電界が付与されず、圧電層に分極劣化が生じにくくなることから、アクチュエータの耐久性も高くなるという利点がある。
【0008】
しかしながら、特許文献2の圧電アクチュエータにおいては、クロストークなどの問題から、各個別電極とドライバICとを結ぶ配線は、圧電シートの最上面の個別電極と重ならない領域に形成される。ここで、各個別電極は、平面視で圧力室とほぼ重なる大きさであるため、圧電シートの最上面の、配線を形成しうる領域は、実質上、圧力室と重ならない領域に制限される。このため、圧力室を高密度に配置する際に、各個別電極とドライバICとを結ぶ配線の取り回しが非常に困難になる。特に、圧力室を3列以上の多列に配置する場合には、内側の列に配置された圧力室に対応する個別電極からの配線の取り回しが問題となる。これまでは、このような場合には、FPC等の配線部材を利用する方法が採られることが多かったが、接続強度が非常に弱く機械的接続の信頼性に欠ける。
【0009】
本発明の目的は、耐久性が高く、消費電力の小さいことに加えて、高密度に配置された圧力室に対応した配線ができる液滴噴射装置及び液体移送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
本発明の第1の態様に従えば、液滴を噴射する液滴噴射装置であって、ノズルに連通する圧力室を含む流路ユニットと、前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの一表面に配置された板材、この板材の前記圧力室と反対側の面の、前記圧力室と重なる領域において、前記圧力室の所定の方向の一方の縁からその所定の方向に延びるように配置された圧電層、この圧電層の一方の面に配置された個別電極、及び、前記圧電層の他方の面に配置された共通電極とを有し、前記圧力室の容積を変化させて前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電アクチュエータとを備え、この圧電層の前記圧力室と対向する部分の前記所定の方向における長さは前記圧力室の前記所定の方向における長さの半分よりも短い液滴噴射装置が提供される。
【0011】
本発明の第1の態様によると、個別電極と共通電極との間に電位差を発生させ、圧電層のこれらの電極に挟まれた部分に電界を発生させると、板材(例えば振動板)の圧電層が配置された部分の端部がそり上がるように変形し、圧力室の容積が増加する。したがって、個別電極と共通電極との間に電位差を発生させることにより圧力室の容積を増加させ、その後、個別電極と共通電極との間の電位差をなくして圧力室の容積を元に戻すことにより、圧力室内の液体に圧力を付与して、ノズルから液滴を噴射することができる。これにより、圧力室の容積を一旦増加させてから元に戻すことによってノズルから液滴を噴射する引き打ちを行う場合、液滴を噴射しないときに予め個別電極と共通電極との間に電位差を発生させておく必要がなく、圧電層の耐久性が向上するとともに消費電力を低減することができる。ただし、圧電層の所定の方向の長さが長すぎると、振動板の圧電層が配置された部分の中間部が圧力室側にへこんで、圧力室の容積が減少してしまうので、圧電層の所定の方向の長さは圧力室の所定の方向の半分よりも短いことが好ましい。
【0012】
本発明の液滴噴射装置においては、前記圧力室は、前記板材の面方向に直交する方向から見て、前記圧力室の重心を通り前記所定の方向と直交する直線に関して対称な形状を有していてもよい。この場合には、圧力室は重心を通る直線に関して対称であるので、圧電層を、この直線に対してどちら側にも配置することもでき、圧電層の配置の自由度が高くなる。
【0013】
本発明の液滴噴射装置において、前記圧力室は細長い形状を有しており、前記所定の方向は、前記圧力室の短手方向であってもよい。この場合には、圧力室を容易に高密度に配置することができる。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、液滴を噴射する液滴噴射装置であって、ノズルに連通する圧力室を含む流路ユニットと、前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの一表面に配置され、前記圧力室と反対側の面は絶縁性を有する板材、この板材の前記圧力室と反対側の面の、前記圧力室と重なる領域において、前記圧力室の所定の方向の一方の縁からその所定の方向に延びるように配置された圧電層、この圧電層の一方の面に配置された個別電極、及び、前記圧電層の他方の面に配置された共通電極とを有し、前記圧力室の容積を変化させて前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電アクチュエータとを備え、この圧電層の前記圧力室と対向する部分の前記所定の方向における長さは前記圧力室の前記所定の方向における長さの半分よりも短く、前記板材の前記圧力室と反対側の面の、前記圧電層が配置されていない領域に、前記個別電極に接続された配線が形成されている液滴噴射装置が提供される。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、例えば振動板等の板材の圧力室と重なる領域には圧電層が形成されていない部分が存在し、さらに、振動板の圧力室と反対側の面が絶縁性を有するため、この圧電層が形成されていない部分にも配線を形成することができる。したがって、板材の圧力室と反対側の面における、個別電極に電圧を印加するための配線の配置自由度が高まる。つまり、個別電極(又は圧力室)が多数存在する場合には、配線を高密度に配置できる。また、圧電層が形成されていない部分に配線を形成することにより、配線により圧電層に余分な静電容量が発生するのを防止し、エネルギー損失を低減することができる。さらに、FPC等の外部配線を利用しないため、配線の機械的接続強度を上げることができる。
【0016】
本発明の液滴噴射装置において、前記圧力室は、前記板材の面方向に直交する方向から見て、前記圧力室の重心を通り前記所定の方向と直交する直線に関して対称な形状を有していてもよい。また、本発明の液滴噴射装置において、前記圧力室は細長い形状を有しており、前記所定の方向は、前記圧力室の短手方向であってもよい。
【0017】
本発明の液滴噴射装置において、前記板材は、前記流路ユニットの一表面に配置された板状の導電性基材と、この導電性基材の前記圧力室と反対側の面に形成された絶縁層とを有していてもよい。これによると、金属材料などからなる導電性基材の表面に絶縁層を形成することにより、圧力室と反対側の面において絶縁性を有する板材を容易に形成することができる。
【0018】
また、本発明の液滴噴射装置においては、前記板材は、絶縁性材料により構成されていてもよい。これによると、表面が絶縁性の板材を容易に形成することができる。
【0019】
本発明の液滴噴射装置において、前記圧電層の前記圧力室と対向する部分の前記所定の方向における長さは、前記圧力室の前記所定の方向における長さの12分の1〜3分の1であってもよい。これによると、個別電極と共通電極との間に電位差を発生させたときに、圧力室の容積を確実に増加させることができる。
【0020】
また、本発明の液滴噴射装置においては、前記圧電層の前記圧力室と対向する部分の前記所定の方向における長さが、前記圧力室の前記所定の方向における長さの4分の1であってもよい。これによると、個別電極と共通電極との間に電位差を発生させたときに圧力室の容積を特に大きく増加させることができる。
【0021】
また、本発明の液滴噴射装置においては、板材の圧力室に対向する部分に、他の部分よりも厚さが薄い薄肉部が形成され、この薄肉部は、圧電層と重ならない領域を有してもよい。これによると、振動板の薄肉部が形成された部分において振動板が特に変形しやすくなっているため、個別電極と共通電極との間に電位差を発生させたときに圧力室の容積が大きく増加する。
【0022】
本発明の液滴噴射装置において、薄肉部が、圧力室の所定の方向における他方の縁から所定の方向に延びており、且つ、圧電層に重ならなくてもよい。これによると、個別電極と共通電極との間に電位差を発生させたときの圧力室の容積の増加量をさらに大きくすることができる。
【0023】
本発明の液滴噴射装置において、薄肉部の所定の方向における長さは、圧電層の所定の方向における長さよりも長くてもよい。これによると、個別電極と共通電極との間に電位差を発生させたときの圧力室の容積の増加量をさらに大きくすることができる。
【0024】
本発明の液滴噴射装置において、薄肉部の所定の方向における長さは、圧力室の所定の方向における長さの半分以上であってもよい。これによると、個別電極と共通電極との間に電位差を発生させたときの圧力室の容積の増加量を一層大きくすることができる。
【0025】
本発明の第3の態様に従えば、液体を移送する液体移送装置において、圧力室を含む流路ユニットと、前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの一表面に配置された板材、この板材の前記圧力室と反対側の面の前記圧力室と対向する領域において、所定の方向における一方の縁のみからその所定の方向に延びるように配置された圧電層、この圧電層の一方の面に配置された個別電極、及び、前記圧電層の他方の面に配置された共通電極とを有し、前記圧力室の容積を変化させて前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電アクチュエータとを備え、この圧電層の前記圧力室と対向する部分の前記所定の方向の長さは前記圧力室の前記所定の方向の長さの半分よりも短い液体移送装置が提供される。
【0026】
本発明の第3の態様によれば、圧力室の容積を一旦増加させてから元に戻すことによってノズルから液体を移送する、いわゆる引き打ちを行う場合、液体を移送しないときに予め個別電極と共通電極との間に電位差を発生させておく必要がなく、圧電層の耐久性が向上するとともに消費電力を低減することができる。ただし、圧電層の所定の方向の長さが長すぎると、板材の圧電層が配置された部分の中間部が圧力室側にへこんで、圧力室の容積が減少してしまうので、圧電層の所定の方向の長さは圧力室の所定の方向の半分よりも短いことが好ましい。
【0027】
本発明の第4の態様によれば、液体を移送する液体移送装置において、圧力室を含む流路ユニットと、前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの一表面に配置された板材、この板材の前記圧力室と反対側の面の前記圧力室と対向する領域において、所定の方向における一方の縁のみからその所定の方向に延びるように配置された圧電層、この圧電層の一方の面に配置された個別電極、及び、前記圧電層の他方の面に配置された共通電極とを有し、前記圧力室の容積を変化させて前記圧力室内の液体に圧力を付与する圧電アクチュエータとを備え、この圧電層の前記圧力室と対向する部分の前記所定の方向の長さは前記圧力室の前記所定の方向の長さの半分よりも短く、前記板材の前記圧力室と反対側の面の、前記圧電層が配置されていない領域に、前記個別電極に接続された配線が形成されている液体移送装置が提供される。
【0028】
板材の圧力室と重なる領域には圧電層が形成されていない部分が存在し、さらに、振動板の圧力室と反対側の面が絶縁性を有するため、この圧電層が形成されていない部分にも配線を形成することができる。したがって、板材の圧力室と反対側の面における、個別電極に電圧を印加するための配線の配置自由度が高まる。つまり、個別電極(又は圧力室)が多数存在する場合には、配線を高密度に配置できる。また、圧電層が形成されていない部分に配線を形成することにより、配線により圧電層に余分な静電容量が発生するのを防止し、エネルギー損失を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施の形態は、本発明を、ノズルからインクを吐出することによって記録用紙に印字を行うインクジェットプリンタに適用した一例である。
【0030】
図1は、本実施の形態に係るインクジェットプリンタの概略斜視図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、走査方向(図1の左右方向)に移動可能なキャリッジ2と、キャリッジ2に設けられて記録用紙Pにインクを吐出するシリアル式のインクジェットヘッド3と、記録用紙Pを図1の前方(紙送り方向)に搬送する搬送ローラ4を備えている。インクジェットヘッド3は、キャリッジ2と一体的に移動しつつ、その下面に設けられたノズル15(図2参照)から記録用紙Pにインクを吐出して印字を行う。また、インクジェットヘッド3により印字が行われた記録用紙Pは、搬送ローラ4により紙送り方向に排出される。
【0031】
次にインクジェットヘッド3について図2〜図5を用いて説明する。図2は、インクジェットヘッド3の平面図である。図3は、図2の部分拡大図である。図4は、図3のIV−IV線断面図である。図5は、図3のV−V線断面図である。図2〜図5に示すように、インクジェットヘッド3は、圧力室10を含む複数の個別インク流路が形成された流路ユニット31と、流路ユニット31の上面に配置された圧電アクチュエータ32とを有している。
【0032】
流路ユニット31は、図4、図5に示すように、キャビティプレート20、ベースプレート21、マニホールドプレート22及びノズルプレート23を有し、これら4枚のプレート20〜23が積層状態で接合されている。このうち、キャビティプレート20、ベースプレート21及びマニホールドプレート22の3枚は、ステンレス鋼などの金属材料からなり、これら3枚のプレート20〜22には、後述する圧力室10、マニホールド11などのインク流路がエッチングなどの方法により形成されている。また、ノズルプレート23はポリイミド等の高分子合成樹脂材料からなり、マニホールドプレート22の下面に接着される。あるいは、他の3枚のプレート20〜22と同様に、マニホールドプレート23もステンレス鋼などの金属材料によって構成されていてもよい。
【0033】
図2〜図5に示すように、キャビティプレート20には、紙送り方向に3列に配列された複数の圧力室10(例えば15個)が形成されている。図3に示すように、各圧力室10は、平面視で、走査方向(図2の左右方向)に長い略長円形状に形成されている。さらに、各圧力室10は、各圧力室10の重心を通る、走査方向に平行な直線Lに対して対称な形状である。なお、本実施の形態では、圧力室の短手方向を所定の方向とし、圧力室10の幅Wc(所定の方向における長さ)は約300μmである。
【0034】
ベースプレート21の、平面視で圧力室10の長手方向の両端部に重なる位置には、それぞれ連通孔12、13が形成されている。マニホールドプレート22には、紙送り方向に延びたマニホールド11が形成されている。図2、図3に示すようにマニホールド11は、3列に配列された圧力室10の略右半分に重なるように形成されている。また、マニホールド11は後述する振動板40に形成されたインク供給口9に連通しており、マニホールド11にはインク供給口9からインクが供給される。また、マニホールドプレート22には、平面視で複数の圧力室10の長手方向の、マニホールド11と反対側の端部に、それぞれ、連通孔13に連通する連通孔14が形成されている。
【0035】
さらに、ノズルプレート23には、平面視で複数の連通孔14に重なる位置にそれぞれノズル15が形成されている。ノズルプレート23が合成樹脂材料から構成されている場合には、複数のノズル15はエキシマレーザ加工などにより形成することができ、ノズルプレート23が金属材料から構成されている場合には、複数のノズル15はプレス加工などの方法により形成することができる。
【0036】
そして、マニホールド11は、各連通孔12を介して各圧力室10に連通している。また、圧力室10は、それぞれ連通孔13、14を介してノズル15に連通している。このように、流路ユニット31には、マニホールド11から各圧力室10を経て各ノズル15に連通する複数の個別インク流路が形成されている。
【0037】
次に、圧電アクチュエータ32について説明する。圧電アクチュエータ32は、流路ユニット31の上面に配置された板材である振動板40と、振動板40の上面に複数の圧力室10に対応して配置された圧電層41と、圧電層41の上面に配置された個別電極45と、圧電層41の下面に配置された共通電極44とを有している。
【0038】
振動板40は、厚みが約20μmの略矩形状の板である導電性基材42と、導電性基材42の上面に形成された、厚みが約2μmの絶縁層43とからなり、振動板40の上面は絶縁性を有している。ここで、導電性基材42は、例えば、ステンレス鋼等の鉄系合金、銅系合金、ニッケル系合金、あるいは、チタン系合金などからなる。また、導電性基材42は流路ユニット31の上面に複数の圧力室10を覆うように配設され、キャビティプレート20に接合されている。また、導電性基材42の下面には、圧力室10の所定の方向における一方の縁(図5における左側の縁)に対向する部分から、圧力室10の幅方向(所定の方向)の中心側に延びた凹部42aが形成されている。凹部42aが形成された部分の導電性基材42の厚みは、他の部分よりも薄くなっている(薄肉部となっている)。凹部42aの幅Wsは、圧力室10の幅Wcの約半分である。つまり、凹部42aの幅Wsは約150μmである。また、導電性基材42は常にグランド電位に保持されており、後述するように導電性基材42に接続された共通電極44がグランド電位に保持される。
【0039】
絶縁層43は、導電性基材42の上面の全域にわたって形成されている。この絶縁層43の圧力室10に対向する部分の一部には絶縁層43を貫通するスルーホール43aが形成され、スルーホール43aには導電性材料49が充填されている。
【0040】
振動板40の上面の、平面視で圧力室10と重なる領域において、図5の圧力室10の右側の縁(所定方向において、圧力室10の、凹部42aと対向する側と反対側の縁)に対向する部分から、圧力室10の短手方向中央側に向かって延びた圧電層41が形成されている。圧電層41は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛の固溶体であり強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分としている。圧電層41の幅Wpは、後述するように圧力室10の幅Wcの半分よりも短いことが好ましく、本実施の形態では、圧電層41の幅Wpは圧力室10の幅Wcの4分の1、つまり、約75μmになっている。また、圧力室10の長手方向に関して、圧電層41は圧力室10をほぼ覆っている。圧電層41は、例えば、非常に小さい圧電材料の粒子を、基板に吹き付けて高速で衝突させることにより、基板の表面に堆積させるエアロゾルデポジション法(AD法)により形成することができる。また、圧電層41は、スパッタ法、化学蒸着法(CVD法)、ゾルゲル法及び水熱合成法によって形成することも可能である。または、PZTのグリーンシートを焼成させることによって生成した圧電シートを所定の大きさに切断し、振動板40の上面に貼り付けることも可能である。
【0041】
圧電層41の下面及び上面にはそれぞれ、圧電層41をほぼ覆うように共通電極44及び個別電極45が形成されている。共通電極44及び個別電極45は、金、銅、銀、パラジウム、白金、あるいは、チタンなどの導電性材料からなる。共通電極44は、スルーホール43aに充填された導電性材料49を介して導電性基材42に電気的に接続されており、グランド電位に保持されている。
【0042】
また、絶縁層43の上面の、圧電層41が形成されていない部分には、個別電極45に接続された配線50が形成されている。配線50は、図2の個別電極45の長手方向の右端から図2の右方に延びており、図示しないドライバICに接続されている。そして、ドライバICから配線50を介して複数の個別電極45の電位が制御される。
【0043】
次に、圧電アクチュエータ32の動作について図6を用いて説明する。ドライバICにより個別電極45に選択的に電位が付与されると、個別電極45と共通電極44との間に電位差が生じ、これらの間に挟まれた圧電層41に厚み方向の電界が生じる。圧電層41の分極方向がこの電界の方向と同じであれば、圧電層41は、厚み方向に直交する水平方向に収縮する。ここで振動板40の圧力室10の縁の部分はキャビティプレート20に固定されて変形が拘束されているため、この収縮に伴って、図6に示すように、振動板40の圧電層41に対向する部分の左端部が圧力室10と反対側(上方)にそり上がるように変形する。この変形に伴って振動板40の圧電層41よりも左側の部分も上方に押し上げられる。ただし、圧電層41の幅が長すぎると、振動板40の圧電層41に重なる部分の幅方向における中間部が圧力室10側に下がってしまい、圧力室10の容積が減少してしまう場合がある。したがって、圧電層41の幅は前述したように圧力室10の幅の半分よりも短いことが好ましい。また、導電性基材42の圧電層41に対向しない部分には凹部42aが形成されてその厚みが薄くなっており、振動板40は、凹部42aが形成された部分において変形しやすくなっている。振動板40の凹部42が形成された部分は、凹部42aが形成されていない場合よりも大きく上方に押し上げられる。これにより、圧力室10内の容積が増加し、圧力室10内のインクの圧力が減少するため、マニホールド11から圧力室10内にインクが流れ込む。
【0044】
そして、振動板40を変形させたときに圧力室10内に発生した負の圧力波が正に反転したタイミングで個別電極45の電位をグランド電位に戻すと、振動板40の変形が元に戻り、圧力室10内の容積も元に戻る。このとき、振動板40を変形させたときに発生した圧力波と振動板40の変形を元に戻したときに発生する圧力波とが重ね合わされ、圧力室10内の圧力が増加するので、圧力室10に連通するノズル15から記録用紙Pにインクが吐出される。
【0045】
以上に説明したような、個別電極45と共通電極44との間に電位差を発生させたときの圧力室10の容積の変化量は、圧力室10の幅、圧電層41の幅及び/又は凹部42aの幅などによって異なり、これらの幅の選び方によっては個別電極45と共通電極44との間に電位差を発生させたときに、圧力室10の容積がかえって小さくなってしまう場合もある。そこで、圧力室10の幅、圧電層41の幅及び凹部42aの幅と、個別電極45と共通電極44との間に電位差を発生させたときの圧力室10の容積の増加量との関係について図7〜図11を用いて説明する。
【0046】
圧力室10の幅及び圧電層41の幅と、圧力室10の容積の増加量との関係を調べるためのシミュレーションモデル(以下、単にモデルと記載する)として、図7に示すように、幅がWcで高さがHcである圧力室10が形成されたキャビティプレート20と、キャビティプレート20の上面全体に形成され、厚さがHvである導電性基材42及び導電性基材42の上面全体に形成され、厚さがHiである絶縁層43からなる振動板40と、圧力室10の幅方向の一方の縁から圧力室10の幅方向に延び、幅がWpで厚さがHpである圧電層41と、圧電層41の下面全体に形成され、厚さが0である共通電極44(図7には図示しない)と、圧電層41の上面全体に形成され、厚さが0である個別電極45(図7には図示しない)とからなる断面を考える。このような断面において、個別電極45と共通電極44との間に電位差を発生させたときの振動板41の下面の各点における上下方向の変位量をシミュレーションにより求めた。図8にシミュレーションの結果を示す。図8の横軸は、圧力室10の幅方向中心を原点とした、圧力室の幅方向における位置を示し、縦軸は振動板40の上下方向の変位量を示している。モデルに用いた圧力室10は、幅Wcが300μm、高さHcが50μmであり、導電性基材42は厚さHvが20μmであり、絶縁層43は厚さHiが2μmであり、圧電層41は厚さHpが10μmに固定され、幅Wpはそれぞれ25,50,75,100,125,150及び200(又は175)μmであり、個別電極45と共通電極44との間の電位差は20(V)である。図8の各グラフには、圧電層の幅Wpを上述のいずれかの長さに設定した場合における、圧力室10の幅方向の位置に対する振動板40の上下方向の変位量が示されている。図8に示された結果を、圧力室10の幅方向(図7の左右方向)に関して積分することによって、図9に示すように、振動板40の変形に起因した、この断面における圧力室10の断面積の増加量を求めることができる。ここで、この断面積の増加量が大きいほど圧力室10の容積の増加量が大きい。また、圧力室10の容積の増加量が負の値の場合には、圧力室10の容積が減少している。
【0047】
図9に示すように、圧電層41の幅Wpが大きくなりすぎると(このシミュレーションパターンではWp>120μm)圧力室10の断面積の増加量が負の値になり、振動板40の変形により圧力室10の容積が小さくなることになるので、この場合には引き打ちを行うことができない。
【0048】
さらに、図9に示したシミュレーション結果から、圧電層41の幅が25μmから100μmの間にある場合、つまり、圧電層41の幅が圧力室10の幅の12分の1から3分の1の間である場合には、断面積の増加量は確実に正の値になり、この範囲においては、振動板40の変形により圧力室10の容積は確実に増加する。さらに、この中でも、圧電層41の幅Wpが75μmであるとき、つまり、圧電層41の幅Wpが圧力室10の幅Wcの4分の1のときには断面積の増加量が特に大きくなっている。したがって、本実施の形態においては、圧電層41の幅Wpが圧力室10の幅Wcの約4分の1の長さになるように、圧電層41を形成した。
【0049】
次に、圧力室10の幅及び凹部42aと圧力室10の容積の増加量との関係を調べるために、以下のシミュレーションを行った。図7と同様の断面において、図10(a)〜(h)に示すような、下面に凹部42aが形成された振動板40を想定し、前述と同様にして、このような断面において、個別電極45と共通電極44との間に電位差を発生させたときの振動板41の下面の上下方向の変化量をシミュレーションにより求めた。その結果を上述したのと同様に積分して、振動板40の変形による圧力室10の断面積の増加量を求めた。
【0050】
このようなモデルにおいて、圧力室10の幅Wcを300μm、高さHcを50μm、導電性基材42の厚さHvを20μm、絶縁層43の厚さHiを2μm、圧電層41の厚さHpを10μm、圧電層41の幅Wpを75μm、凹部42aの深さHsを10μmに固定し、凹部42aの幅Ws及び凹部42aの形成位置を図10(a)〜(h)に示すように変化させて、個別電極45と共通電極44との間の電位差を20(V)にしてシミュレーションを行った。ここで、図10(a)は、導電性基材42の下面に、凹部42aを形成していない場合であり、図10(b)は、導電性基材42の下面の、圧力室10に対向する部分全体に凹部42aを形成した場合であり、図10(c)、(d)、(e)は、圧力室10の幅方向において、導電性基材42の下面の、圧電層41と重なる側と反対側の縁から、それぞれ幅Wsが75μm、150μm、225μmとなるように凹部42aを形成した場合であり、図10(f)、(g)、(h)は、圧力室10の幅方向において、導電性基材42の下面の、圧電層41と重なる側の縁から、それぞれ幅Wsが75μm、150μm、225μmとなるように凹部42aを形成した場合のシミュレーションモデルを示している。
【0051】
図10の(a)〜(h)は、それぞれ、図9(a)〜(h)のモデルに基づくシミュレーションにおける、圧力室10の断面積の増加量を表したものである。図11に示すように、図10(f)のモデルを除く図9(b)〜(h)のモデルでは、導電性基材42の下面に凹部42aを形成していない図10(a)のモデルの場合よりも圧力室10の断面積の増加量は大きくなっている。つまり、凹部42aが、導電性基材42の、少なくとも一部が平面視で圧電層41に重ならない領域に形成されているときには、凹部42aが形成されていない場合よりも圧力室10の容積の増加量が大きくなる。
【0052】
さらに、この中で、図10(c)、(d)、(e)のモデルの場合に圧力室10の断面積の増加量が大きくなっている。つまり、凹部42aが導電性基材42の下面において、圧力室10の幅方向の、圧電層41と重なる側と反対側の縁から、圧力室10の幅方向中央側に向かって延在するように形成され、且つ、凹部42aが、導電性基材42の下面において、圧電層41と対向しないように形成されている場合に、圧力室10の容積の増加量が大きくなる。
【0053】
さらに、この中で、特に図10(d)、(e)のモデルの場合に圧力室10の断面積の増加量が大きくなっている。つまり、凹部42aが導電性基材42の下面において、圧力室10の幅方向の、圧電層41と重なる側と反対側の縁から、圧力室10の幅方向中央側に向かって延び、且つ、凹部42aの幅Wsが、圧力室10の幅Wcの半分以上である場合に、圧力室10の容積の増加量が特に大きくなる。また、このとき、凹部42aの幅Wsは、圧電層41の幅Wpよりも大きい。
【0054】
図11の結果では、図10(b)に示されたモデルのように、凹部42aを、導電性基材42の下面の、平面視で圧力室10に重なる領域全体に形成した場合に、圧力室10の容積の増加量が最も大きくなっている。しかしながら、この場合には、振動板40の強度が低下してしまうため、本実施の形態では、凹部42aが導電性基材42の下面において、圧力室10の短手方向の、圧電層41と重なる側と反対側の縁から延在し、その幅Wsが圧力室10の幅Wcの約半分程度の長さになるように形成した。
【0055】
以上説明した実施の形態によると、圧電層41が、振動板40の上面の、圧力室10の幅方向の一方の縁と重なる領域から、圧力室10の幅方向中央側に向かってに延びるように配置され、圧電層41の幅が圧力室10の幅の4分の1であるため、個別電極45と共通電極44との間に電位差を発生させると、これらの電極に挟まれた部分の圧電層41が変形する。それに伴う振動板40の変形により圧力室10の容積が増加する。この場合には、インクジェットヘッド3において、引き打ちを行うために予め個別電極45と共通電極44との間に電位差を発生させておく必要がないため、圧電層41の耐久性が向上し、インクジェットヘッド3の消費電力も低減することができる。
【0056】
また、絶縁層43の表面において、圧力室10と重なる部分のうち、圧電層41が形成されていない部分にも配線50を形成することができる。従って、絶縁層43の表面において流路ユニット31に複数の圧力室10が形成されている場合であっても、配線50を高密度に配置できる。特に、圧力室が3以上の多数の列に配置されている際に、内側の列の圧力室に対応する個別電極に対して、必要な配線を容易に設けることができる。さらに、配線50は、圧電層41の表面に形成されていないため、配線50により圧電層41に余分な静電容量が発生するのを防止し、エネルギー損失を低減することができる。
【0057】
また、振動板40の導電性基材42の下面には、圧力室10の幅方向の、他方の縁(圧電層43と重ならない側の縁)から圧力室10の幅方向中心側に向かって延在し、圧力室10の幅の半分の幅を有する凹部42aが形成されているため、凹部42aが形成された部分において振動板40が変形しやすくなっており、個別電極45と共通電極44との間に電位差を発生させたときに圧力室10の容積の増加量が大きくなる。この場合、必ずしも振動板40の下面に凹部が形成されている必要はなく、例えば、振動板40の上面に凹部が形成されていてもよい。
【0058】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成を有する部分については同じ符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0059】
〈第1変更形態〉
図12に示すように、振動板60の導電性基材62の下面に凹部が形成されておらず、導電性基材62の厚みが均一であってもよい。この場合でも、図7、図9に示されたシミュレーションの結果によれば、個別電極45と共通電極44との間に電位差を発生させることにより、振動板60を変形させて圧力室10の容積を増加させることができるため、予め個別電極45と共通電極44との間に電位差を発生させて振動板60を変形させておくことなく、引き打ちを行うことができる。
【0060】
〈第2変更形態〉
図13に示すように振動板65が絶縁性材料から構成されていてもよい。この場合でも、振動板65の表面の圧力室10と重なる領域のうち、圧電層41に重ならない部分に配線50を形成することができるので、配線50を高密度に配置することができる。また、この場合には、振動板65の下面の圧力室10と重なる領域において、圧力室10の幅方向の、圧電層41と重なる側と反対側の縁から、圧力室10の幅方向中央側に向かって延在する凹部65aが形成されており、この凹部65が形成された部分が変形しやすくなっている。さらに、振動板65の共通電極44と重なる部分にはスルーホール65bが形成され、スルーホール65bに充填された導電性材料69により共通電極44とキャビティプレート20とが電気的に接続されている。そして、キャビティプレート20をグランド電位に保持することによって共通電極44がグランド電位に保持されている。
【0061】
また、圧力室の平面視の形状は、実施の形態の場合のような長円形状には限られず、円、楕円、菱形、長方形、平行四辺形などであってもよい。
【0062】
本実施の形態では、本発明をインクジェットプリンタに適用した一例について説明したが、このほか、試薬、生体溶液、配線材料溶液、電子材料溶液、冷媒用、燃料用などインク以外の液体を噴射する液滴噴射装置及びこれらの液体を移送するノズルのない液体移送装置に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明における実施の形態に係るインクジェットプリンタの概略斜視図である。
【図2】図1のインクジェットヘッドの平面図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】図5の圧電アクチュエータの動作を示す図である。
【図7】図5の圧電層の幅を決定するためのシミュレーションモデルを示す図である。
【図8】図7のシミュレーションモデルにおけるシミュレーション結果を示す図である。
【図9】図8のシミュレーション結果から求めた解析結果を示す図である。
【図10】図5の凹部の幅を決定するためのシミュレーションモデルを示す図である。
【図11】図10のシミュレーションモデルにおけるシミュレーション結果を示す図である。
【図12】第1変更形態の図5相当の断面図である。
【図13】第2変更形態の図5相当の断面図である。
【符号の説明】
【0064】
10 圧力室
15 ノズル
31 流路ユニット
32 圧電アクチュエータ
40 振動板
41 圧電層
42 導電性基材
42a 凹部
43 絶縁層
44 共通電極
45 個別電極





 

 


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