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発明の名称 ミシン
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−54261(P2007−54261A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−242603(P2005−242603)
出願日 平成17年8月24日(2005.8.24)
代理人 【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
発明者 藤原 慎也
要約 課題
自動糸掛け装置を用いて上糸の糸掛けを自動的に行え、しかも自動糸掛け装置を使わない手作業による上糸の糸掛けを簡単に且つ確実に行えるようにすること。

解決手段
ミシンカバー35を構成する合成樹脂製の複数のカバー35a〜35gのうち、糸導入前カバー35bの下面に右側シャッター部材102をスライド移動可能に支持するとともに、糸導入前カバー35bに隣接する糸導入左カバー35dの下面に左側シャッター部材113をスライド移動可能に支持する。右側シャッター部材102を押え上げレバー77の押え上げ装置に連動して左位置から右位置に移動し、右側シャッター部材102の右位置への移動をスライド検知センサ110で検知し、電磁石121により左側シャッター部材113を左位置から右位置に移動させ、可動糸導入溝34C2を左側ルートから右側ルートに切換える。
特許請求の範囲
【請求項1】
上下に往復移動可能な針棒と、上下に往復揺動可能な天秤と、針棒に装着された縫針に上糸を供給する糸供給源と、この糸供給源から供給される上糸を天秤を含む複数の糸掛け部に糸掛けする際に少なくとも1つの糸掛け部に自動的に糸掛けする自動糸掛け装置とを備えたミシンにおいて、
前記糸供給源から供給される上糸を前記自動糸掛け装置による糸掛けを可能にする第1糸掛け準備経路の為の第1糸導入溝と、
前記糸供給源から供給される上糸を手作業により前記複数の糸掛け部に糸掛けする第2糸掛け準備経路の為の第2糸導入溝とを備え、
前記第1糸掛け準備経路の一部の為の可動糸導入溝であって前記天秤に糸掛けが可能である第1位置と、前記第2糸掛け準備経路の一部の為の可動糸導入溝であって前記天秤に糸掛けが不能である第2位置とに切換え可能な可動糸導入溝を形成する可動部材を有し、
前記可動糸導入溝が前記第1位置と前記第2位置とに切り換わるように前記可動部材を切換える切換え機構を設けたことを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記可動部材は、前記可動糸導入溝が前記第1位置と前記第2位置とに切り換わるように、前記第1位置に対応する第1位置対応位置と前記第2位置に対応する第2位置対応位置とに亙って夫々スライド移動可能に支持される第1,第2可動部材で構成され、前記第1,第2可動部材は上糸を導入可能な可動糸導入溝を形成するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記切換え機構は、前記第1可動部材をスライド移動させるように駆動する第1駆動手段と、その第1駆動手段の駆動を検知する第1検知手段と、この第1検知手段の検知に基づいて前記第2可動部材をスライド移動させるように駆動する第2駆動手段とを有することを特徴とする請求項2に記載のミシン。
【請求項4】
前記切換え機構は、手作業により糸掛けされる前記上糸が前記第2位置に位置する前記可動糸導入溝を通過して糸掛けが開始されたことを検知する第2検知手段を有し、この第2検知手段の検知に基づいて前記第1,第2可動部材を前記第2位置対応位置から前記第1位置対応位置にスライド移動させるように前記第1駆動手段と前記第2駆動手段とを駆動することを特徴とする請求項3に記載のミシン。
【請求項5】
前記第1駆動手段は、押え棒を昇降させる押え上げレバーの押え上げ操作に連動して前記第1可動部材をスライド移動させるように駆動することを特徴とする請求項3又は4に記載のミシン。
【請求項6】
前記第2駆動手段は、電気的アクチュエータからなることを特徴とする請求項3又は4に記載のミシン。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸供給源から供給される上糸を糸掛け準備経路により予め糸掛け準備しておき、その糸掛け準備された上糸を少なくとも1つの糸掛け部に自動的に糸掛けする自動糸掛け装置を備えたミシンに関し、特に、手作業でも上糸を複数の糸掛け部へ糸掛け可能にしたミシンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ミシンにおいて、糸駒から供給される上糸は、複数の糸掛け部(糸調子器、糸取バネ、天秤等)に所定の経路に沿って順々に糸掛けされ、最終的に針棒に装着された縫針の目孔に糸通しされ、縫製可能になる。この場合、複数の糸掛け部に対する上糸の糸掛けを、手動操作にて行うようにしたミシンが一般的に実用化されている。
【0003】
ところで、糸駒から供給される上糸を予め所定の糸掛け準備経路に沿って糸掛けして糸掛け準備しておき、その糸掛け準備経路に沿って糸掛け準備された上糸を引っ掛け部で引っ掛けた状態で移送しながら、複数の糸掛け部に順々に糸掛けする自動糸掛け装置を備えたミシンも実用化されつつある。
【0004】
例えば、特許文献1の自動糸掛け装置は、糸保持部材、糸保持部材が先端部に枢支され基端部がミシン機枠に枢支された作動レバー、先端部に係止部を有し基端部がミシン機枠に枢支された糸移送部材、操作部等を有する。糸調子器はミシンアーム部の上側に臨む位置に設けられている。そこで、上糸の糸掛けに際して、先ず、作業者は天秤の先端部の天秤糸掛け部、糸保持部材、糸移送部材の係止部を、ミシンアーム部の上側に突出させた状態にし、糸駒から供給される上糸を、糸調子器、天秤糸掛け部、糸保持部材の順に糸掛けして縫製準備をする。
【0005】
この状態で、操作部を操作すると、作動レバーと糸移送部材が回動して、上糸を保持した糸保持部材が縫針の近傍まで下降し、その上糸が糸通しフックを有する自動糸通し装置により縫針の目孔に糸通しされ、また、糸移送部材の係止部が上糸を引っ掛けて下降し、その上糸がミシンアーム部内の糸取バネに掛けられる。ところで、自動糸掛け装置の故障等により、複数の糸掛け部に上糸を自動糸掛け装置で自動的に糸掛けできない場合には、作業者は糸掛けを手作業で行う必要性がある。
【0006】
しかし、特許文献1には、複数の糸掛け部への上糸の糸掛けを手作業で行えるようにした糸掛け技術は開示されていない。即ち、特許文献1のようなミシンでは、糸取バネ、天秤、糸調子皿等の糸掛け部がミシン内部に設けられている為、複数の糸掛け部への上糸の糸掛けを手作業で行うことは非常に困難である。そこで、ミシンカバーのうち、糸取バネ、天秤や糸調子皿を覆っている前側のカバー部を取外し、その状態で、手作業による糸掛けを可能にすることが考えられる。
【特許文献1】特公平2−14866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のような自動糸掛け装置を備えたミシンでは、そもそも、複数の糸掛け部への上糸の糸掛けを手作業で行えるように構成したものではない為、自動糸掛け装置の故障等が発生すると、複数の糸掛け部に上糸を糸掛けすることが非常に困難になり、例えば、自動糸掛け装置の故障が直るまでは、上糸を複数の糸掛け部に簡単に且つ確実に糸掛けすることができず、縫製作業に支障をきたす虞がある。
【0008】
そこで、ミシンカバーのうち、糸取バネや天秤や糸調子皿の前側のカバー部を取外し、その状態で、手作業により糸掛けを行うことが考えられる。しかし、手作業により糸掛けを行う場合には、カバー部を取外し、糸掛け後にはそのカバー部を元の状態に取付けるという面倒で余分な作業が必要である。また、カバー部を取外した場合でも、上糸を複数の糸掛け部に簡単且つ確実に糸掛けできるという保障はない。更に、カバー部を取外した状態で、外部に露出する天秤や針棒等が作動すると好ましくない事態が発生する虞もある。
【0009】
本発明の目的は、自動糸掛け装置を用いて上糸の糸掛けを自動的に行え、しかも自動糸掛け装置を使わない手作業による上糸の糸掛けを、簡単に且つ確実に行えるようなミシンを実現できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のミシンは、上下に往復移動可能な針棒と、上下に往復揺動可能な天秤と、針棒に装着された縫針に上糸を供給する糸供給源と、この糸供給源から供給される上糸を天秤を含む複数の糸掛け部に糸掛けする際に少なくとも1つの糸掛け部に自動的に糸掛けする自動糸掛け装置とを備えたものを対象として、特に、糸供給源から供給される上糸を自動糸掛け装置による糸掛けを可能にする第1糸掛け準備経路の為の第1糸導入溝と、糸供給源から供給される上糸を手作業により複数の糸掛け部に糸掛けする第2糸掛け準備経路の為の第2糸導入溝とを備え、第1糸掛け準備経路の一部の為の可動糸導入溝であって天秤に糸掛けが可能である第1位置と、第2糸掛け準備経路の一部の為の可動糸導入溝であって天秤に糸掛けが不能である第2位置とに切換え可能な可動糸導入溝を形成する可動部材を有し、可動糸導入溝が第1位置と第2位置とに切り換わるように可動部材を切換える切換え機構を設けたものである。
【0011】
切換え機構により可動部材が第1位置対応位置に切換えられると、可動糸導入溝が第1位置に切換えられるので、上糸が第1糸導入溝により第1糸掛け準備経路に糸掛け準備され、自動糸掛け装置による糸掛けに際して、上糸が天秤に糸掛けされるとともに、複数の糸掛け部のうちの少なくとも1つの糸掛け部に自動的に糸掛けされる。一方、切換え機構により可動部材が第2位置対応位置に切換えられると、可動糸導入溝が第2位置に切換えられるので、手作業による糸掛けに際して、上糸が第2糸導入溝により第2糸掛け準備経路に糸掛けされた場合、糸供給源から供給される上糸は、天秤に糸掛けされることはなく、先に糸調子器や糸取りバネに糸掛けされる。
【0012】
請求項2のミシンは、請求項1において、前記可動部材は、可動糸導入溝が第1位置と第2位置とに切り換わるように、第1位置に対応する第1位置対応位置と第2位置に対応する第2位置対応位置とに亙って夫々スライド移動可能に支持される第1,第2可動部材で構成され、第1,第2可動部材は上糸を導入可能な可動糸導入溝を形成するように配置されるものである。
【0013】
請求項3のミシンは、請求項2において、前記切換え機構は、第1可動部材をスライド移動させるように駆動する第1駆動手段と、その第1駆動手段の駆動を検知する第1検知手段と、この第1検知手段の検知に基づいて第2可動部材をスライド移動させるように駆動する第2駆動手段とを有するものである。
【0014】
請求項4のミシンは、請求項3において、前記切換え機構は、手作業により糸掛けされる上糸が第2位置に位置する可動糸導入溝を通過して糸掛けが開始されたことを検知する第2検知手段を有し、この第2検知手段の検知に基づいて第1,第2可動部材を第2位置対応位置から第1位置対応位置にスライド移動させるように第1駆動手段と第2駆動手段とを駆動するものである。
【0015】
請求項5のミシンは、請求項3又は4において、前記第1駆動手段は、押え棒を昇降させる押え上げレバーの押え上げ操作に連動して第1可動部材をスライド移動させるように駆動するものである。
【0016】
請求項6のミシンは、請求項3又は4において、前記第2駆動手段は、電気的アクチュエータから構成されたものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1のミシンによれば、上下に往復移動可能な針棒と、上下に往復揺動可能な天秤と、針棒に装着された縫針に上糸を供給する糸供給源と、この糸供給源から供給される上糸を天秤を含む複数の糸掛け部に糸掛けする際に少なくとも1つの糸掛け部に自動的に糸掛けする自動糸掛け装置とを備えたものを対象として、特に、第1糸導入溝と、第2糸導入溝とを備え、第1位置と第2位置とに切換え可能な可動糸導入溝を形成する可動部材を有し、可動糸導入溝が第1位置と第2位置とに切り換わるように可動部材を切換える切換え機構を設けたので、切換え機構により可動部材が第1位置対応位置に切換えられた場合、可動糸導入溝が第1位置に切換えられるので、上糸が第1糸導入溝により第1糸掛け準備経路に糸掛け準備され、自動糸掛け装置による糸掛けに際して、上糸が自動的に少なくとも天秤に糸掛けされる。
【0018】
一方、切換え機構により可動部材が第2位置対応位置に切換えられると、可動糸導入溝が第2位置に切換えられるので、手作業による糸掛けに際して、上糸が第2糸導入溝により第2糸掛け準備経路に糸掛けされた場合、糸供給源から供給される上糸は、天秤に糸掛けされることはなく、先に糸調子器や糸取りバネに糸掛けでき、その後天秤等の複数の糸掛け部に順々に糸掛けすることができる。
【0019】
即ち、手作業による糸掛けに際して、糸供給源から供給される上糸が先に天秤に引っ掛かることなく、上糸を糸調子器、糸取りバネ、天秤等の複数の糸掛部に順々に簡単且つ確実に糸掛けできる。それ故、自動糸掛け装置が故障した場合でも、手作業による上糸の糸掛け順序を間違えることなく、上糸を複数の糸掛け部に順々に糸掛けできるため、縫製作業に支障をきたす虞もない。
【0020】
しかも、自動による糸掛け時における第1糸導入溝と、手作業による糸掛け時の第2糸導入溝との違いが、可動部材の切換えによる可動糸導入溝の切換えにより明瞭になったので、作業者による自動糸掛け操作と手動糸掛け操作の違いが分かり易くなる。
【0021】
請求項2のミシンによれば、前記可動部材は、可動糸導入溝が第1位置と第2位置とに切り換わるように、第1位置に対応する第1位置対応位置と第2位置に対応する第2位置対応位置とに亙ってスライド移動可能に支持される第1,第2可動部材で構成され、第1,第2可動部材は上糸を導入可能な可動糸導入溝を形成するように配置されるので、第1可動部材と第2可動部材とが、上糸が導入可能な可動糸導入溝を形成しながら一体的に切り換わることができる。その他請求項1と同様の効果を奏する。
【0022】
請求項3のミシンによれば、前記切換え機構は、第1可動部材をスライド移動させるように駆動する第1駆動手段と、その第1駆動手段の駆動を検知する第1検知手段と、この第1検知手段の検知に基づいて第2可動部材をスライド移動させるように駆動する第2駆動手段とを有するので、作業者により第1駆動手段が駆動されるだけで、第1検知手段を介して第2駆動手段が同時に作動し、第1可動部材と第2可動部材の連動動作が可能になる。その他請求項2と同様の効果を奏する。
【0023】
請求項4のミシンによれば、前記切換え機構は、手作業により糸掛けされる上糸が第2位置に位置する可動糸導入溝を通過して糸掛けが開始されたことを検知する第2検知手段を有し、この第2検知手段の検知に基づいて第1,第2可動部材を第2位置対応位置から第1位置対応位置にスライド移動させるように第1駆動手段と第2駆動手段とを駆動するので、作業者による糸掛けが開始され、手作業で上糸が第2位置に位置する可動糸導入溝を通過すると、可動糸導入溝は自動的に第1位置に切換えられるようになり、可動糸導入溝の自動切換えが可能になる。その他請求項3と同様の効果を奏する。
【0024】
請求項5のミシンによれば、前記第1駆動手段は、押え棒を昇降させる押え上げレバーの押え上げ操作に連動して第1可動部材をスライド移動させるように駆動するので、簡単な構成で、作業者の手作業による糸掛けを確実に行うことができる。その他請求項3又は4と同様の効果を奏する。
【0025】
請求項6のミシンによれば、前記第2駆動手段は、電気的アクチュエータから構成されるので、簡単な構成で、第2可動部材のスライド移動を第1可動部材のスライド移動に連動させることができる。その他請求項3又は4と同様の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本実施形態のミシンは、自動糸掛け用の糸掛け準備経路に沿って予め糸掛けしておいた上糸を自動糸掛け装置を用いて複数の糸掛け部に自動的に糸掛けできる一方、自動糸掛け装置を使用しない場合でも、作業者が上糸を手動糸掛け用の糸掛け経路に沿って移動させることで、上糸を複数の糸掛け部に手作業で糸掛けできるようにしてある。
【実施例】
【0027】
図1〜図4に示すように、ミシンMは、ベッド部1と、ベッド部1の右側部分に立設された脚柱部2と、ベッド部1と対向するように脚柱部2の上部から左方へ延びるアーム部3と、アーム部3の左端部に設けられた頭部4とを有する。ベッド部1には針板1aが設けられ、その下側に釜機構(図示略)が設けられ、その釜機構に下糸が巻かれたボビンが着脱自在に装着されている。脚柱部2の前面には縦型の液晶ディスプレイ5が設けられている。
【0028】
アーム部3には、その上部側を全長に亙って覆う開閉カバー6が配設されている。この開閉カバー6はアーム部3の上部後端側において、左右方向向きの枢支軸により開閉可能に枢支されている。開閉カバー6を開けた状態で表れるアーム内カバー35aに糸収容凹部7が形成され、その糸収容凹部7内に糸立て棒8が配設されている。
【0029】
糸供給源である糸駒9は糸立て棒8に装着した状態で糸収容凹部7に収容されている。この糸駒9から供給される上糸10が、糸調子器14、糸取バネ15、天秤13等の複数の糸掛け部を順々に経由して、最終的に針棒11の下端部に装着された縫針19に供給される(図19−1、図20−1参照)。
【0030】
図5、図11、図12に示すように、頭部4内に、針棒11、押え棒12、天秤13、糸調子器14、糸取バネ15、自動糸掛け装置16、自動糸通し装置17等が収納されている。針棒11はミシン機枠に上下に往復移動可能に支持され、針棒11の下端部に針棒糸案内18や縫針19が取付けられている。この針棒11はミシンモータを有するミシン駆動機構(図示略)により上下に移動駆動される。
【0031】
押え棒12は針棒11の後側のミシン機枠に昇降可能に支持され、押え棒12の下端部に押え足20(図1、図2参照)が装着されている。その押え棒12は、後述するように、作業者による押え上げレバー77の操作で上昇位置と下降位置とに亙って手動で操作でき、しかも押え足昇降パルスモータ73を有する押え棒昇降機構70により、上昇位置と下降位置とに亙って昇降するように駆動される。
【0032】
ここで、図1、図2,図4に示すように、アーム部3の前面には、縫製開始スイッチ21と、縫製終了スイッチ22と、自動糸掛け準備スイッチ23と、自動糸掛け開始スイッチ25等が設けられている。
【0033】
図5,図11,図12に示すように、天秤13は針棒11の前側の上側部分に配設され、その基端部がミシン機枠に左右方向向きの軸回りに回動可能に枢支されている。この天秤13は、図5〜図9に示すように、側面視にてその全体が略ヘ字形に形成されると共に、正面視にてクランク状に形成され、図示しないミシン駆動機構により針棒11と同期して上下に揺動駆動されるように構成されている。
【0034】
図6〜図9に示すように、天秤13は、揺動駆動される天秤本体部40と、これに連なる糸受け部45と、縫製に際して上糸10が常に係合される糸掛け部41と、この糸掛け部41に上糸10を導入する糸導入部42と、この糸導入部42に上糸10を案内する糸案内部43とを有し、これらは一体形成されている。
【0035】
糸掛け部41から糸案内部43に連なる湾曲状の逃し案内部44が形成されている。この逃し案内部44は、手作業により、上糸10を第2糸掛け準備経路に沿って糸取りバネ15に糸掛けを行った後に、第1糸掛け準備経路に沿って天秤13に糸掛けを行うとき、上糸10を逃し案内部44の右側に沿って後方に移動させるように案内する。
【0036】
前記糸掛け部41は、天秤先端部13aに設けられた小形の楕円形状をなす糸孔であり、天秤本体部40から天秤先端部13aに繋がる糸受け部45と糸導入部42とで構成される隙間である糸導入溝13bに通じている。それ故、糸導入部43に供給された上糸10はこの糸導入溝13bを通って糸掛け部41へ導かれる。
【0037】
糸案内部43は、糸導入溝13bの開放端である糸導入口13cから糸導入部42と略同じ長さで糸受け部45に対して約120度の角度をなす直線状の案内部である。糸案内部43の上端部13dには、糸掛けに際して糸案内部43に係合された上糸10が糸案内部43から上側に外れないように、上糸10を係止する第1糸係止部46が形成されている。
【0038】
また、糸受け部45の基端部には、糸受け部45で受け止められた上糸10が天秤本体部40側へ外れないように、上糸10を係止する第2糸係止部47が形成されている。また、糸導入部42と糸案内部43の連結部には、糸受け部45よりも下側に張り出す張出し部48が形成されている。その張出し部48は、側面視にて糸受け部45とラップ状態であり、この張出し部48により、一旦、糸掛け部41に導入された上糸10が糸導入溝13bを通って糸抜けしないようになっている。
【0039】
図11に示すように、糸調子器14は、左右1対の糸調子皿14a,14bを有し、天秤13の右側、つまり糸駒9側に配置されている。1対の糸調子皿14a,14bは後述する第1ガイドフレーム52の上端部分に左右方向向きの糸調子軸14cを介して取り付けられている。
【0040】
糸取りバネ15は、捩じりコイル状のバネで形成され、図10,図11に示すように、糸調子器14の下側であって、第1ガイドフレーム52の下端部分に取り付けられたバネ保持部材27に設けられている。但し、このバネ保持部材27の内部に糸取りバネ15のコイル部が内蔵され、糸取りバネ15の上糸10が糸掛けされる糸掛け部の先端部は図10において常に反時計回りに付勢されている。また、バネ保持部材27の近傍部に、フォトセンサからなる糸取り検出センサ29(これが第2検知手段に相当する)が設けられ、糸取りバネ15の糸掛け部の基端部に被検出部である扇状の糸取り作動片28の基端部が連結され、糸取りバネ15の糸掛け部の上下方向の回動に伴い糸取り作動片28が回動するようにバネ保持部材27に支持されている。
【0041】
糸取りバネ15に上糸10が糸掛けされていない場合には、図10の実線で示すように、糸取り作動片28は糸取り検出センサ29に対応した位置にある。しかし、糸取りバネ15に上糸10が糸掛けされると、糸取り作動片28が図10に2点鎖線で示す位置に回動して糸取り検出センサ29から外れ、糸取り検出センサ29は、糸取りバネ15に上糸10が糸掛けされた糸掛け信号を出力するようになっている。
【0042】
さて、このミシンMには、図1〜図5、図11、図12に示すように、糸立て棒8に装着された糸駒9から供給される上糸10を、自動糸掛け装置16で複数の糸掛け部(糸調子器14、糸取りバネ15、天秤13等)に自動的に糸掛け可能に且つ自動糸通し装置17で縫針19の目孔19aに糸通し可能に準備するために糸掛けする第1糸掛け準備経路30と、その第1糸掛け準備経路30に上糸10を導入可能にミシンカバー35に形成された第1糸導入溝31が設けられている。
【0043】
また、糸立て棒8に装着された糸駒9から供給される上糸10を手作業により複数の糸掛け部に糸掛けする為の第2糸掛け準備経路32と、その第2糸掛け準備経路32に上糸10を導入可能にミシンカバー35に形成された第2糸導入溝33が設けられている。
【0044】
次に、第1糸導入溝31と第2糸導入溝33について説明する。
図1〜図4に示すように、アーム部3を覆うミシンカバー35は、開閉カバー6を開けたときに現れる合成樹脂製の複数のカバー35a〜35gからなっている。これら複数のカバーは、アーム部3のほぼ右半部分を覆う水平なアーム内カバー35aと、そのアーム内カバー35aの左側に設けられた糸導入前カバー35bと、その糸導入前カバー35bの後側の糸導入後カバー35cと、糸導入前カバー35bの左側の糸導入左カバー35dと、アーム部3の前面部を覆う前面カバー35eと、頭部4の大部分を覆う面板カバー35fと、面板カバー35fの右端側に縦方向に長く設けられた帯状カバー35g等からなっている。
【0045】
そこで、アーム内カバー35aと糸導入前カバー35bとの間の隙間で導入溝部34aが形成され、糸導入前カバー35bと糸導入後カバー35cとの間の隙間でほぼ直線状の導入溝部34bが形成され、糸導入前カバー35bと糸導入左カバー35dと前面カバー35eとの間の隙間で湾曲状の導入溝部34cが形成されている。但し、この導入溝部34cの一部は、後述するように、左側ルート(図13参照)と右側ルート(図15参照)とに切換え可能になっている。
【0046】
更に、糸導入左カバー35dと面板カバー35fとの間の隙間でL形の導入溝部34dが形成されている。一方、糸導入左カバー35dと帯状カバー35gと前面カバー35eとの間の隙間で導入溝部34eが形成され、帯状カバー35gと面板カバー35fとの間の隙間で導入溝部34fが形成され、帯状カバー35gと糸導入左カバー35dとの間の隙間で導入溝部34gが形成されている。
【0047】
これら入溝部34a,34b,34cは直列状に繋がり、導入溝部34cの下端部に、2つの導入溝部34d,34fが分岐状に繋がっている。そこで、これら4つの導入溝部34a,34b,34c,34dから第1糸導入溝31が構成され、その第1糸導入溝31は自動糸掛け用の第1糸掛け経路30の為のものである。
【0048】
また、これら6つの導入溝部34a,34b,34c,34e,34f,34gから第2糸導入溝33が構成され、その第2糸導入溝33は手動糸掛け用の第2糸掛け経路32の為のものである。即ち、第1糸導入溝31の一部の導入溝部34a,34b,34cと、第2糸導入溝33の一部の導入溝部34a,34b,34cとが共用されるので、第2糸掛け経路32は、第1糸掛け経路30の一部である導入溝部34a,34b,34cを共用している。
【0049】
ここで、導入溝部34cの一部である可動糸導入溝34C2を、天秤13の左側に位置する左側ルートとして設ける場合と、天秤13の右側に位置する右側ルートとして設ける場合とに切換える為に、可動部材である1対のシャッター部材102,113を同時に切換える切換え機構100について説明する。
【0050】
図13,図14に示すように、前述した糸導入前カバー35bと糸導入左カバー35dのほぼ前半部分においては均等な導入溝前部34C1が形成されているが、そのほぼ後半部分においては、左右方向に大きな隙間が形成されている。そこで、その後半部分においても、導入溝前部34C1と同様の隙間を有する可動糸導入溝34C2を構成し、その可動糸導入溝34C2を右側ルートと左側ルートとに切換える為に、これらカバー35b,35dの各々の下面にシャッター部材102,113が設けられている。
【0051】
先ず、糸導入前カバー35bの下面に設けられた右シャッター部材102(これが第1可動部材に相当する)について説明する。図13,図14に示すように、糸導入前カバー35bの後半部分の下面側に、前列の下向きの2つの101支持ピンと、後列の下向きの2つの支持ピン101とが夫々一体形成されている。
【0052】
糸導入前カバー35bの直ぐ下側に板状の右シャッター部材102が配設され、この右シャッター部材102に、左右方向に所定長さを有する平行な2つのスリット102aが前後に夫々形成されるとともに、前列の支持ピン101の近傍部に対応するように、下向きの係合ピン103が一体形成されている。
【0053】
そこで、右シャッター部材102の各スリット102aに対応する枢支ピン101が夫々貫通され、各支持ピン101の下端部はEリング(ストッパ部材)104が嵌め込まれ、右シャッター部材102が支持されている。それ故、右シャッター部材102は、これら支持ピン101とスリット102aとの係合を介して、糸導入前カバー35bの直ぐ下側において、可動糸導入溝34C2を天秤13に対して左側(図13参照)に設けるように、その左端が天秤13よりも左側に位置する左位置(第これが第1位置対応位置に相当する)と、可動糸導入溝34C2を天秤13に対して右側(図15参照)に設けるように、その左端が天秤13よりも右側に位置する右位置(第これが第2位置対応位置に相当する)とに水平姿勢でスライド可能に支持されている。
【0054】
但し、支持ピン101と右シャッター部材102とに引っ張りコイルバネ105が掛装されているので、右シャッター部材102は、常に左位置側に付勢されている。ところで、右シャッター部材102の下側に対応するミシン機枠に固定された支持板106の水平壁部106aに、前後方向向きに配設された右シャッター作動レバー107がその後端部寄りの部位においてピン108で回動可能に枢支されている。
【0055】
その右シャッター作動レバー107の前端部に部形成された係合穴107aに、右シャッター部材102の係合ピン103の下端部が係合している。ここで、右シャッター作動レバー107の後端部は、後述する押え棒昇降機構70に連動連結された押え上げ連動レバー109の上端部に左方から当接している。それ故、押え上げ連動レバー109の上半部分が右方に回動(図14参照)すると、右シャッター部材102は右シャッター作動レバー107を介して左位置(図13参照)にスライド移動し、押え上げ連動レバー109の上半部分が左方に回動(図16参照)すると、右シャッター部材102は右シャッター作動レバー107を介して右位置(図15参照)にスライド移動する。
【0056】
ところで、右シャッター部材102の前端位置近傍に対応する支持板106に、右シャッター部材102が右位置にスライドしたことを検知する為に、フォトセンサからなるスライド検知センサ110(これが第1検知手段に相当する)が設けられている。
【0057】
次に、糸導入左カバー35dの下面に設けられた左シャッター部材113(これが第2可動部材に相当する)について説明する。図15,図16に示すように、糸導入左カバー35dの後半部分の下面側に、前列に下向きの2つの支持ピン112と、後列に下向きの2つの支持ピン112とが夫々一体形成されている。糸導入左カバー35dの直ぐ下側に板状の左シャッター部材113が配設され、この左シャッター部材113に、左右方向に所定長さを有する平行なスリット113aが前後に夫々形成されるとともに、下向きの係合ピン114が一体形成されている。
【0058】
そこで、左シャッター部材113のスリット113aに対応する支持ピン112が夫々貫通され、各支持ピン112の下端部にEリング115が嵌め込まれ、左シャッター部材113が支持されている。それ故、左シャッター部材113は、これら支持ピン112とスリット113aとの係合を介して、糸導入左カバー35dの直ぐ下側において、導入溝部34cを天秤13に対して左側(図13参照)に設けるように、その右端が天秤13よりも左側に位置する左位置(これが第1位置対応位置に相当する)と、導入溝部34cを天秤13に対して右側(図15参照)に設けるように、その右端が天秤13よりも右側に位置する右位置(これが第2位置対応位置に相当する)とに水平姿勢でスライド可能に支持されている。
【0059】
ところで、左シャッター部材113の直ぐ後側の糸導入左カバー35dの下側に、前後方向向きに配設された左シャッター作動レバー116がその後端部寄りの部位においてピン117で回動可能に枢支されている。その左シャッター作動レバー116の前端部に形成された係合穴116aに、左シャッター部材113の係合ピン114の下端部が係合している。
【0060】
更に、左シャッター部材113の後側のミシン機枠に支持板120が固着され、その支持板120に電磁石121(これが第2駆動手段に相当する)が固定されている。支持板120には、更に、平面視ほぼL字形の回動レバー122が枢支ピン123で回動可能に枢支されている。回動レバー122の吸着部は電磁石121に吸着可能であり、回動レバー122の作動連結部の前端部は、左シャッター作動レバー116の後端部に連結されている。
【0061】
電磁石121が励磁されない場合には、回動レバー122は、図示外の引っ張りコイルバネにより、常に図13に示す非吸着位置に回動付勢されるので、左シャッター作動レバー116の時計回りの回動を介して左シャッター部材113は常には左位置に位置している。しかし、電磁石121が作動した場合、図15に示すように、回動レバー122は吸着位置に回動するので、左シャッター作動レバー116の反時計回りの回動を介して左シャッター部材113は右位置にスライド移動する。
【0062】
ここで、第2糸掛け準備経路32は、第1糸掛け準備経路30の一部の為の可動糸導入溝34C2を有している。即ち、導入溝部34cのうちの左右両シャッター部材102,113で形成される導入溝部分が可動糸導入溝34C2である。そこで、切換え機構100により、右シャッター部材102と左シャッター部材113とが同時に左位置にスライド移動した場合(図13参照)、その可動糸導入溝34C2が左側ルート(これが第1位置に相当する)に切換えられる一方、右シャッター部材102と左シャッター部材113とが同時に右位置にスライド移動した場合(図15参照)、可動糸導入溝34C2が右側ルート(これが第2位置に相当する)に切換えられる。
【0063】
このミシンMでは、図5に示すように、天秤13の位置が上昇限界位置近傍の糸掛けに最適な糸掛け位置にある状態で、第1糸掛け準備経路30に自動で上糸10の糸掛けを可能に構成すると共に、第2糸掛け準備経路32に手作業による上糸10の糸掛けを可能に構成してある。この場合、糸掛け準備スイッチ23を操作して、天秤13を糸掛けに最適な糸掛け位置に自動的に移動させて停止させることで、自動糸掛けと手作業による手動糸掛けの両方が行えるようになっている。
【0064】
この場合、第2糸掛け準備経路32の可動糸導入溝34C2が天秤13の右側に位置する右側ルートに切換えられ、上糸10を糸駒9から導入溝部34cを経て下方に向かう方向に手作業による糸掛けに際して、上糸10が天秤13の糸掛け部41に掛かってしまうことは絶対にない。
【0065】
しかし、第2糸掛け準備経路32の可動糸導入溝34C2が天秤13の左側に位置する左側ルートに切換えられた場合には、導入溝部34cに糸駒から下方に向かう方向に手作業による糸掛けに際して、上糸10は、自動糸掛けと同様に、天秤13に糸掛け可能になる。
【0066】
次に、押え棒12を、押え上げレバー77の操作で昇降できる一方、電動により昇降駆動できる押え棒昇降機構70について、図17,図18に基づいて説明する。
【0067】
押え棒昇降機構70は、針棒11の後側に配設されて、下端に押え足20が装着されミシン機枠に昇降可能に支持された押え棒12と、押え棒12の上端部分に昇降可能に外嵌されたラック形成部材71と、押え棒12を昇降させる押え足昇降パルスモータ73と、押え足昇降パルスモータ73による押え棒12の昇降動作とは独立して押え棒12を昇降させる操作が可能な押え上げレバー77等を備えている。
【0068】
ラック形成部材71は押え棒12の上端部分に昇降可能に外嵌され、押え棒12の上端に止め輪72が固定されている。押え足昇降パルスモータ73は、ラック形成部材71のすぐ右側においてミシン機枠に固定されている。押え足昇降パルスモータ73の出力軸に駆動ギヤ73aが連結され、駆動ギヤ73aに噛合する中間ギヤ74とラック形成部材71に噛合するピニオン74aとが一体形成されている。
【0069】
更に、押え棒12の高さ方向中段部に押え棒抱き75が固定され、ラック形成部材71と押え棒抱き75の間の押え棒12に押えバネ76が外装されている。但し、押え上げレバー77には、時計回り方向に付勢する図示しないコイルバネが設けられている。
【0070】
押え上げレバー77は、ミシン機枠に固着された枢支ピン77aにその一端部を回動可能に支持され、他端部の操作部77bを手動操作することで、図17に示す下降位置と、図18に示す上昇位置とに亙って回動可能である。この押え上げレバー77の回動により、押え棒20と共にこの押え棒12に装着された押え足20も昇降移動する。
【0071】
押え上げレバー77は、押え棒抱き75に一体的に設けられたカム従動子75aと当接するカム面77dを有する。押え上げレバー77が図17に示す下降位置に切換えられた場合、押え上げレバー77のボス面77cとカム従動子75aとの間に僅かの隙間がある状態であり、押え棒12は押え足20が針板1aに当接する押圧位置に切換えられる。
【0072】
一方、押え上げレバー77が図18に示す上昇位置に切換えられた場合、カム面77dとカム従動子75aとが当接した状態であり、押え棒12は上昇した退避位置に切換えられる。このとき、押え足パルスモータ83は回転を停止した状態で励磁されているので、ラック形成部材71の上下位置は保持される。
【0073】
従って、押えバネ76は圧縮され、その弾性力により従動子85aはカム面77dに押圧される。そのとき、その押圧力は押え上げレバー77を反時計回り方向に押圧するので、押え上げレバー77はその位置で係止される。
【0074】
ところで、押え足昇降パルスモータ73が駆動されると、その駆動力が中間ギヤ74、ピニオン74aに伝達されてラック形成部材71を昇降移動させる。図17に示すように、ラック形成部材71を上昇させたときには、そのラック形成部材71の上端面が押え棒12の上端に固定された止め輪72を上昇させるため、押え足20も上昇する。
【0075】
次に、図18に示すように、押え上げレバー77を手動操作して押え足20を上昇位置にした状態から、押え足昇降パルスモータ73を駆動して押え上げレバー77とカム従動子75aとの係合を解除させて、押え上げレバー77を図17に示す下降位置にすると共に押え足20も最下降位置にさせる動作を説明する。
【0076】
図18における状態から、押え足昇降パルスモータ73を駆動して、ラック形成部材71を最上昇位置に上昇させる。すると、ラック形成部材71の上端面が押え棒12の上端に固定された止め輪72を上昇させるので、押え棒12と共に押え棒抱き75が上昇してカム従動子75aと押え上げレバー77のカム面77dとが離間するので、押え上げレバー77に設けられた時計回り方向に付勢するコイルバネにより、押え上げレバー77はコイルバネのバネ力により時計回りに回動して下降位置に回動する。
【0077】
その後、押え足昇降パルスモータ73を駆動によりラック形成部材71を下降させることにより、押え棒12が下降する。ここで、押え上げレバー77、押え上げ連動レバー109、右シャッター作動レバー107等により第1駆動手段が構成されている。
【0078】
次に、自動糸掛け装置16について説明する。
図11、図12、図19−1〜図19−6、図20−1〜図20−6、図21−1〜図21−6に示すように、自動糸掛け装置16は、第1糸掛け準備経路30にセットされた上糸10を天秤13を含む複数の糸掛け部(糸調子器14、糸取りバネ15、天秤13等)に移送して糸掛けする第1糸移送部材51を有する第1糸移送機構50と、この第1糸移送機構50を駆動する為の第1パルスモータ54と、天秤13よりも下流側の上糸10を縫針19に移送する第2糸移送部材61を有する第2糸移送機構60と、この第2糸移送機構60を駆動する為の第2パルスモータ69とを備えている。
【0079】
第1糸移送機構50において、第1糸移送部材51が、天秤13の糸案内部43よりも上流側の上糸10を引っ掛けて糸取りバネ15の方へ移送し、その上糸移送途中に上糸10を糸調子器14に糸掛けし、移送後の上糸10を糸取りバネ15に糸掛けし、第1,第2糸移送機構50,60おいて、第1,第2糸移送部材51,61が、上糸移送途中に上糸10を天秤13の糸掛け部41に糸掛けするように構成されている。
【0080】
第1糸移送機構50は、ミシン機枠に固定された第1ガイドフレーム52と、第1ガイドフレーム52にガイド支持されて図19−1、図20−1、図21−1に示す待機位置と図19−4、図20−4に示す糸渡し位置とに亙って移動可能な第1糸移送部材51と、第1糸移送部材51を駆動する第1駆動機構部(図示略)とを有する。第1ガイドフレーム52は、針棒11及び天秤13の右側に配設されて、面が左右方向に向く上下に長い板状フレームであり、その外形形状において、上端縁部分が大径の円弧状に、前端縁部分が上下に長い直線状に、下端縁部分が小径の円弧状に夫々形成され、その上端縁部分と前端縁部分と下端縁部分に沿って、帯状の前記帯状カバー35gが固定されている。
【0081】
第1ガイドフレーム52の右側に糸調子器14と糸取りバネ15が配設され、その上端部分に糸調子器14の糸調子皿14a,14bが糸調子軸14cを介して取り付けられ、その下端部分に糸取りバネ15が取り付けられている。第1ガイドフレーム52の下部には、下端から上側へ供給される切欠部52aが形成され、この切欠部52aに糸取りバネ15が臨み、この切欠部52aによって糸取りバネ15が確実に機能することになる。
【0082】
第1糸移送部材51は、図19−1、図20−1、図21−1に示すように、その待機位置が第1ガイドフレーム52の上端部分の後側の位置であり、図19−4、図20−4、図21−4に示すように、その糸渡し位置が第1ガイドフレーム52の下端部分の後側の位置であり、この待機位置と糸渡し位置とに亙って、第1ガイドフレーム52の上端縁部分と前端縁部分と下端縁部分に沿って移動する。第1糸移送部材51の糸引掛部は帯状カバー35gの表面側に位置し、第1糸移送部材51の脚部が第1ガイドフレーム52の縁部分に係合してガイド支持されている。
【0083】
第1糸移送部材51が待機位置から糸渡し位置へ移動する際に、第1糸掛け準備経路30に糸掛けされた上糸10を引っ掛けて下方へ移送し、第1糸移送部材51よりも上流側の上糸10を糸調子器14に糸掛けし、第1糸移送部材51が糸渡し位置に移動すると、第1糸移送部材51に引っ掛けられた上糸10が第1ガイドフレーム52の下端部分を前側から後側へ渡り、上糸10が第2糸移送部材61により引っ張られることにより、切欠部52aに下端から導入されて糸取りバネ15に糸掛けされる。
【0084】
第1駆動機構部は、詳しくは図示しないが、第1糸移送部材51が連結された無端状のワイヤと、このワイヤの一部を第1ガイドフレーム52の上端縁部分と前端縁部分と下端縁部分に沿うように案内して第1ガイドフレーム52に取り付ける為の複数のガイドローラとを有し、そのワイヤが第1パルスモータ54により引っ張り駆動されて、第1糸移送部材51が待機位置と糸渡し位置とに亙って駆動される。
【0085】
ここで、糸調子器14を有する糸調子機構55について説明する。
図11に示すように、糸調子機構55は、上糸10を挟持して上糸10に張力を付与する為の1対の糸調子皿14a,14bと、その糸調子皿14a,14bを押圧するバネ部材(図示略)と、そのバネ部材のバネ力を可変調整する調整機構(図示略)と、その調整機構を作動させる糸調子パルスモータ57からなる。この糸調子パルスモータ57により前記調整機構が駆動され、縫製時には糸調子皿14a,14bが押圧されると共に、糸掛け時には糸調子皿14a,14bが開放される。
【0086】
第2糸移送機構60は、図11,図12に示すように、ミシン機枠に固定された左右2つの第2ガイドフレーム62,63と、第2ガイドフレーム62,63にガイド支持されて図19−1、図20−1、図21−1に示す退入位置と図19−5、図20−5、図21−5に示す突出位置とに亙って移動可能な可動フレーム64と、可動フレーム64にガイド支持され且つ可動フレーム64の移動も加わって図19−1、図20−1、図21−1に示す待機位置と図19−5、図20−5、図21−5に示す糸渡し位置とに亙って移動可能な第2糸移送部材61と、可動フレーム64及び第2糸移送部材61を夫々駆動する第2駆動機構部65とを有する。
【0087】
第2ガイドフレーム62,62は、針棒12及び天秤13の左側に配設されて、夫々面が左右方向に向く上下に長い板状フレームである。第2ガイドフレーム62,63は所定間隔を空けて対面状に配置され、それらの間に可動フレーム64が退入可能に設けられている。可動フレーム64は、細長い左右1対の可動片を対面状に連結した構造であり、それらの間に第2糸移送部材61の脚部が挿入されている。
【0088】
第2ガイドフレーム62,63に夫々ガイド溝62a,63aが形成され、これらガイド溝62a,63aに可動フレーム64がガイドされ、また、可動フレーム64の1対の可動片には夫々ガイド溝64aが形成され、このガイド溝64aに第2糸移送部材61がガイドされている。
【0089】
第2糸移送部材61は、図19−1、図20−1、図21−1に示すように、その待機位置が天秤13のすぐ前側且つ下側の位置で下向き姿勢あり、図19−5、図20−5、図21−5に示すように、その糸渡し位置が縫針19の前側の位置で後向き姿勢である。第2糸移送部材61は、第1糸掛け準備経路30における上糸10を保持可能な左右1対の糸保持部61a,61bを有し、各糸保持部61a,61bは二股に形成され、左側の糸保持部61aには、上糸10を解除可能に挟持する挟持片が可動に装着されている。
【0090】
第2糸移送部材61が待機位置から糸渡し位置へ移動する際に、第1糸掛け準備経路30に糸掛けされた上糸10を保持して下方へ移送し、第2糸移送部材61が糸渡し位置に移動すると、その第2糸移送部材61により、上糸10が縫針19の目孔19aの前側において左右にピンと張って保持された状態になる。
【0091】
第2駆動機構部65は、図12に示すように、駆動ギヤ66、2段ギヤ67a,67b、ラック形成部材68を有し、これら66,67a,67b、68と第2パルスモータ69は第2ガイドフレーム62の左側に配設されている。ミシン機枠に第2パルスモータ69が固定され、その出力軸に駆動ギヤ66が連結されている。
【0092】
2段ギヤ67a,67bは夫々ミシン機枠に回転自在に支持され、出力ギヤ66が2段ギヤ67aの大径ギヤと噛合し、2段ギヤ67aの小径ギヤが2段ギヤ67bの大径ギヤに噛合している。ラック形成部材68は第2ガイドフレーム62,63に対して昇降自在にガイドされ、そのラック68aに2段ギヤ67bの小径のピニオンが噛合している。
【0093】
第2パルスモータ69が駆動されると、その駆動力が駆動ギヤ66、2段ギヤ67a,67b、ラック68aを介してラック形成部材68に伝達されて、ラック形成部材68が昇降駆動される。ラック形成部材68が昇降すると、そのラック形成部材68に複数の滑車及びワイヤ(図示略)を介して連結された可動フレーム64が、ラック形成部材68の約2倍の速度で移動駆動されると共に、可動フレーム64に複数の滑車及びワイヤ(図示略)を介して連結された第2糸移送部材61が、可動フレーム64の約2倍(即ち、ラック形成部材68の約4倍)の速度で移動駆動される。
【0094】
尚、この自動糸掛け装置16は、第2糸移送部材61で縫針19の方へ移送されてきた上糸10を引っ掛けて針棒11に設けられ針棒糸案内18に移送して糸掛けする鎌状の第3糸移送部材38を有する第3糸移送機構37と、この第3糸移送機構37を駆動する為の駆動機構(図示略)とを備えている。この第3糸移送機構37等の詳細な説明については省略する。
【0095】
次に、自動糸通し装置17について簡単に説明する。
図11、図12、図19−1〜図19−6、図20−1〜図20−6、図21−1〜図21−6に示すように、自動糸通し装置17は、針棒11のすぐ左側(付近)に昇降可能に配設された上下に長い糸通し軸80と、糸通し軸80のすぐ左側に配設されて糸通し軸80と一体的に昇降可能な上下に長い糸通しガイド軸81と、糸通し軸80と糸通しガイド軸81の上端部分に昇降可能に外嵌された糸通しスライダ82と、糸通しスライダ82を昇降駆動する駆動機構(図示略)と、糸通し軸80の下端に設けられ且つ縫針19の目孔19aに挿通可能な糸通しフックを有するフック機構83と、糸通し軸80をその下降限界位置でフック機構83の糸通しフックが縫針19の目孔19aに挿通するように約90度だけ回動させる回動機構(図示略)を備えている。
【0096】
自動糸通し装置17は、自動糸掛け装置16の第2糸移送機構60と同期して作動し、第2糸移送部材61が糸渡し位置に移動するのと略同時に、糸通し軸80が下降限界位置に達し、フック機構83の糸通しフックが約90度回動して縫針19の目孔19aを挿通して、第2糸移送部材61で保持された上糸10を引っ掛け、続いて、フック機構83の糸通しフックが約90度逆方向へ回動して縫針19の目孔19aから抜けて、その目孔19aに上糸10が通され、その後、糸通し軸80等が上昇して元の位置に復帰する。
【0097】
ここで、第1糸掛け準備経路30と第2糸掛け準備経路32について説明する。
前述のように、第1糸掛け準備経路30は、糸駒9から供給される上糸10を自動糸掛け装置16で複数の糸掛け部(糸調子器14、糸取りバネ15、天秤13等)に糸掛け可能に準備するために糸掛けする為の経路であり、この第1糸掛け準備経路30へ上糸10はミシンカバー35に形成された第1糸導入溝31から導入される。
【0098】
第2糸掛け準備経路32は、糸駒9から供給される上糸10を手作業により複数の糸掛け部に順々に糸掛けする為の経路であり、この第2糸掛け準備経路32へ上糸10はミシンカバー35に形成された第2糸導入溝33から導入される。
【0099】
図4、図19−1、図20−1に示すように、糸導入前カバー35bの右端下部は左側へ凹む凹部36になっており、この凹部36から外部へ臨む糸掛け部材90,91が設けられている。ミシンカバー35内部には、第1ガイドフレーム52と糸掛け部材91の間に、受板92に上糸10を適度な押圧力で押圧可能な板状のプリテンショナー93が設けられ、その左側に軸状糸掛け部材94が突設され、待機位置における第2糸移送部材61の右側の糸保持部61bの直ぐ下側且つ第2糸移送部材61の移動軌跡の右側に糸掛け部材95が設けられている。
【0100】
この糸掛け部材95は、詳しくは図示しないが、第2糸移送部材61が動作して、上糸10が糸保持部61a,61bに糸掛けされるために、上糸10を所定位置に軽く係止させておく為の部材である。また、糸導入左カバー35dと面板カバー35fとの間のL形の導入溝部34dの縦溝部分に臨む糸掛け部材96が設けられている。
【0101】
第1糸掛け準備経路30に掛けられた上糸10は次のようになる。
先ず、上糸10は、糸駒9から左方へ延びて糸掛け部材90に上側から掛かり、糸掛け部材91の下部糸掛け部91aに下側から掛かって上方へ延び、糸掛け部材91の上突出糸掛け部91bに前側から掛かってその右側且つ後側を通って左方へ供給される。
【0102】
次に、上突出糸掛け部91bから左方へ延びる上糸10は、受板92とプリテンショナー93の間を通って、軸状糸掛け部94に後側から掛かり、続いて、天秤13の糸案内部43に後側から掛かる。軸状糸掛け部94と糸案内部43の間の上糸10は、帯状カバー35gの上端部分に近接し、待機位置から糸渡し位置へ移動する第1糸移送部材51に確実に掛かる状態となる。
【0103】
天秤13の糸案内部43に掛けられた上糸10は、前方且つ下方へ延びて糸掛け部材95に掛かって左方へ延び、糸掛け部材96の下部糸掛け部96aに掛かって上方へ延び、糸掛け部材96の上部糸保持部96bに掛かって保持され、上糸10の下流端は、糸掛け部材96に取り付けられたカッター97で切断された状態となる。
【0104】
糸掛け部材95,96の間の上糸10は、第2糸移送部材61の1対の糸保持部61a,61bの移動経路内を通り、待機位置から糸渡し位置へ移動する第2糸移送部材61の1対の糸保持部61a,61bに確実に掛かり保持される状態となる。
【0105】
次に、このように構成されたミシンMの作用及び効果について説明する。
ミシンMに縫製可能にセットされた上糸10が切れた場合や、糸駒9を交換する場合に、糸立て棒8に装着された糸駒9から供給される上糸10を、新たに、複数の糸掛け部(糸調子器14、糸取りバネ15、天秤13等)に掛け、縫針19の目孔19aに通して縫製可能な状態にする場合を想定する。この場合、この上糸10の糸掛けと糸通しを、自動的に行うこともできるし、手作業により行うこともできる。
【0106】
先ず、上糸10の糸掛けと糸通しを自動的に行う場合について説明する。
糸掛け準備スイッチ23を操作して、天秤13を上糸掛けに最適な糸掛け位置に自動的に移動させて停止させる。但し、この場合には、糸通し装置と押え足とが干渉しないように、押え棒12が自動的に下降位置に下降する。
【0107】
或いは、主軸に連結されたプーリーを手動操作により回動させて、天秤13をその糸掛け位置に移動させる。この場合、天秤13を糸掛け位置に確実に位置決めするために、プーリー及びプーリーの近くのミシンカバー35に、上糸掛けに最適な糸掛け位置に対応する合印を表示することが好ましい。
【0108】
このように、糸掛け準備スイッチ23をオン操作して、自動糸掛けを開始するに際して、押え棒12が下降位置に下降する為、前述したように、図13,図14に示すように、押え上げレバー77は下降位置に回動する。その為、押え上げ連結レバー109は図14にて時計回りに回動するので、右シャッター作動レバー107が図13にて時計回りに回動し、右シャッター部材102は左位置にスライド移動する。
【0109】
このとき、スライド検知センサ110は、右シャッター部材102の右位置へのスライド移動を検知しない為、電磁石121が励磁されないので、回動レバー122は非吸着位置に回動され、左シャッター作動レバー116を介して左シャッター部材113は左位置にスライド移動する。それ故、両シャッター部材の隙間で構成される可動糸導入溝34C2は左側ルート(図13参照)に切換えられている。
【0110】
この状態で、糸駒9から供給される上糸10が、ミシンカバー35に形成された第1糸導入溝31に、導入溝部34a→導入溝部34b→導入溝部34c→導入溝部34dの糸掛け順に基づいて糸掛けする。そして、最終的に、導入溝部34dの縦溝部分に臨む糸掛け部材96を上側から跨ぐようにUターンさせて、糸掛け部材96の上部糸保持部96bに掛かけて保持し、その下流側部分をカッター97で切断する。こうして、第1糸導入溝31に挿入された上糸10は、この第1糸導入溝31により第1糸掛け準備経路30に導入され糸掛け準備がなされたことになる。
【0111】
図19−1、図20−1、図21−1に示すように、第1糸掛け準備経路30にセットされた上糸10は、特に、第1糸移送部材51の移動軌跡を通過し、天秤13の糸案内部43に後側から掛かり、第2糸移送部材61の1対の糸保持部61a,61bの移動経路を通過した状態となる。
【0112】
次に、自動糸掛け開始スイッチ25を操作すると、自動糸掛け装置16と自動糸通し装置と17が作動して、第1糸掛け準備経路30にセットされた上糸10が、自動的に、複数の糸掛け部(糸調子器14、糸取りバネ15、天秤13等)に掛けられ、縫針19の目孔19aに糸通しされる。このとき、糸調子器14の糸調子皿14a,14bは開放された状態になっている。
【0113】
この場合、ほぼ同時に、第1,第2パルスモータ54,69が駆動され、これらパルスモータ54,69により第1,第2糸移送機構50,60が駆動されて、第1,第2糸移送部材51,61が夫々待機位置から糸渡し位置の方へ移動する。すると、先ず、図19−2、図20−2、図21−2に示すように、第1糸移送部材51により、軸状糸掛け部94と天秤13の糸案内部43の間の上糸10が上側から引っ掛けられ、第2糸移送部材61の1対の糸保持部61a,61bにより、糸掛け部95,96の間の上糸10が上側から引っ掛けられて保持される。
【0114】
その後、第1糸移送部材51は上糸10を引っ掛けて下方へ移動し、第2糸移送部材61は上糸10を保持して下方へ移動する。このとき、図19−3、図20−3、図21−3に示すように、糸移送部材51,61間の上糸10が引っ張られる。そこで、引っ張られる上糸10のうち、天秤13の糸案内部43に後側から掛けられた上糸10が、その糸案内部43により糸導入部42に案内され、糸導入部42により糸掛け部41に導入され掛けられる。
【0115】
また、軸状糸掛け部材94から第1糸移送部材51へ供給される上糸10が、糸調子器14の開放された1対の糸調子皿14a,14bの間に導入される。その後、第1糸移送部材51が下方へ移動した後、図19−4、図20−4、図21−4に示すように、第1ガイドフレーム52の円弧状の下端部分の後側へ移動して糸渡し位置に到達するが、その際、第1糸移送部材51に引っ掛けられた上糸10が第1ガイドフレーム52の下端部分を前側から後側へ渡った状態になる。
【0116】
第1糸移送部材51が糸渡し位置に到達した直後、第2糸移送部材61は糸渡し位置の手前の位置となり、その位置から糸渡し位置へ移動すると、その上流側の上糸10は下流側へ引っ張られることになる。つまり、図19−5、図20−5、図21−5に示すように、第2糸移送部材61が糸渡し位置に到達する際、第1ガイドフレーム52の下端部分を前側から後側へ渡った上糸10が引き上げられる。
【0117】
その為、その上糸10が切欠部52aに導入されて糸取りバネ15に掛けられる。また、第2糸移送部材61が糸渡し位置に到達すると、その第2糸移送部材61により、縫針19の目孔19aの前側で上糸10が左右に張られて保持された状態になる。その後、図19−6、図20−6、図21−6に示すように、第3糸移送機構37が作動し、その第3糸移送部材38により、第2糸移送部材61で縫針19の方へ移送されてきた上糸10が、引っ掛けられ針棒11に設けられ針棒糸案内18に移送され糸掛けされる。
【0118】
一方、自動糸掛け装置16とほぼ同時に、自動糸通し装置17が作動を開始し、図13−1〜6、図20−1〜6、図21−1〜図1〜6に示すように、第2糸移送部材61が下降するのと同期して、糸通しスライダ82と一体的に糸通し軸80と糸通しガイド軸81が下降し、第2糸移送部材61が糸渡し位置に達する。
【0119】
このとき、糸通し軸80と糸通しガイド軸81が同時に下降を停止し、フック機構83の糸通しフックが縫針19の目孔19aと同高さ位置になる。その後、更に、糸通しスライダ82が下降することで、回動機構によりフック機構83の糸通しフックが鉛直軸心回りに回動して縫針19の目孔19aを挿通し、第2糸移送部材61で保持された上糸10を引っ掛ける。
【0120】
その後、フック機構83の糸通しフックが逆方向へ回動して縫針19の目孔19aから抜けて、その目孔19aに上糸10が通される。その後、糸通しスライダ82、糸通し軸80、糸通しガイド軸81が上昇して元の位置に復帰する。また、第1,第2糸移送部材51,61も元の位置へ復帰して、縫製可能な状態となる。
【0121】
次に、作業者の手作業により上糸10の糸掛けと糸通しを行う場合について説明する。
糸掛け準備スイッチ23を操作して、天秤13を上糸掛けに最適な糸掛け位置に自動的に移動させて停止させる。或いは、作業者は手動操作により主軸に連結されたプーリーを回動させて、天秤13を糸掛けに最適な位置に移動する。このとき、前述したように押え棒12が下降するので、作業者は手動操作で押え上げレバー77を上昇位置に回動操作して押え棒12を上昇させる。
【0122】
その結果、図15,図16に示すように、押え上げレバー77は上昇位置に回動するので、押え上げ連結レバー109は図16にて反時計回りに回動し、右シャッター作動レバー107が図13にて反時計回りに回動し、右シャッター部材102は右位置にスライド移動する。
【0123】
このとき、スライド検知センサ110は、右シャッター部材102の右位置へのスライド移動を検知する為、電磁石121が励磁され、回動レバー122は吸着位置に回動され、左シャッター作動レバー116を介して左シャッター部材113は右位置にスライド移動する。それ故、両シャッター部材102,113の隙間で構成される可動糸導入溝34C2は右側ルート(図15参照)に切換えられている。
【0124】
次に、作業者が糸駒9から供給される上糸10を、ミシンカバー35に形成された第2糸導入溝33に、先ず、導入溝部34a→導入溝部34b→導入溝部34cの順に挿入していく。このとき、作業者により上糸10が、糸掛け部材91、軸状糸掛け部材94に順々に糸掛けされるが、可動糸導入溝34C2が右側ルートに切換えられている為、上糸10は、天秤13に引っ掛かることなく、天秤13の右側を素通りして糸調子器14にだけ糸掛けされる。
【0125】
その後、作業者は上糸10を帯状カバー35gに沿って下降移動させ、第1ガイドフレーム52の下端部分に上糸10を掛けて、天秤13側にUターンさせて上方に移動させる。それに伴って、第1ガイドフレーム52の下端部分に掛けられた上糸10が引き上げられ、切欠部52aに導入されて糸取りバネ15に掛けられる。
【0126】
このとき、前述したように、糸取り検出センサ29は、糸取りバネ15に上糸10が糸掛けされた糸掛け信号を出力するので、その糸掛け信号に基づいて、押え足昇降パルスモータ73が駆動される。即ち、前述したように、押え足昇降パルスモータ73が駆動されると、押え上げレバー77は下降位置に回動し、ラック形成部材71の下降により押え棒12が下降する。
【0127】
その為、押え上げレバー77と押え上げ連動レバー109と右シャッター作動レバー107を介して、右シャッター部材102が左位置にスライド移動する。これと同時に、スライド検知センサ110により右シャッター部材102の左位置へのスライド移動が検知され、電磁石121の励磁が停止されるため、回動レバー122と左シャッター作動レバー116の回動を介して、左シャッター部材113も左位置にスライド移動する。それ故、両シャッター部材102,113の隙間で構成される可動糸導入溝34C2は左側ルート(図13参照)に切換えられる。
【0128】
この状態で、作業者は上糸10を、導入溝部34f→導入溝部34gの順に順々に糸掛けし、更に、導入溝部34cの最上流位置まで上糸10を上昇させると、糸取りバネ15を経由して上方に移動された上糸10は、天秤13の逃し案内部44に右側から接触しながら天秤13の後側に案内される。
【0129】
その後、更に、操作者が導入溝部34c→導入溝部34g→導入溝部34fに沿って上糸10を下降させると、上糸10は、天秤13の第1糸係止部46の後方を回って正面視にて左側後方稜線(図9参照)から左側を通り、下側に引っ張られる。その後、第1糸係止部46に係止されていた上糸10は、再び、糸案内部43を下降し、糸導入部42に案内され、その糸導入部42により糸掛け部41に導入されて糸掛けされる。その後、作業者は上糸10を針棒糸案内18に掛けてから、縫針19の目孔19aを通して、縫製可能な状態となる。
【0130】
以上説明したように、このミシンMによれば、ミシンMの複数のカバー35a〜35gにより第1糸導入溝31と第2糸導入溝33とが形成され、左側ルートと右側ルートとに切換え可能な可動糸導入溝34C2を形成するシャッター部材102、113を有し、可動糸導入溝34C2が左側ルートと右側ルートとに切り換わるようにシャッター部材102、113を切換える切換え機構100を設けたので、切換え機構100によりシャッター部材102、113が左位置に切換えられた場合、可動糸導入溝34C2が左側ルートに切換えられるので、上糸10が第1糸導入溝31により第1糸掛け準備経路30に糸掛け準備され、自動糸掛け装置16による糸掛けに際して、上糸10が自動的に少なくとも天秤13に糸掛けされる。
【0131】
一方、切換え機構100によりシャッター部材102、113が右位置に切換えられると、可動糸導入溝34C2が右側ルートに切換えられるので、手作業による糸掛けに際して、上糸10が第2糸導入溝33により第2糸掛け準備経路32に糸掛けされた場合、糸駒9から供給される上糸10は、天秤13に糸掛けされることはなく、先に糸調子器14に糸掛けでき、その後天秤13等の複数の糸掛け部に順々に糸掛けすることができる。
【0132】
即ち、手作業による糸掛けに際して、糸駒9から供給される上糸10が先に天秤13に引っ掛かることなく、上糸10を糸調子器14、糸取りバネ15、天秤13等の複数の糸掛部に順々に簡単且つ確実に糸掛けできる。それ故、自動糸掛け装置16が故障した場合でも、手作業による上糸の糸掛け順序を間違えることなく、上糸10を複数の糸掛け部に順々に糸掛けできるため、縫製作業に支障をきたす虞もない。
【0133】
しかも、自動による糸掛け時における第1糸導入溝31と、手作業による糸掛け時の第2糸導入溝33との違いが、シャッター部材102、113の切換えによる可動糸導入溝34C2の切換え位置で明瞭になったので、作業者による自動糸掛け操作と手動糸掛け操作の違いが分かり易くなる。
【0134】
また、シャッター部材102、113は、可動糸導入溝34C2が左側ルートと右側ルートとに切り換わるように、左側ルートに対応する左側位置と右側ルートに対応する右側位置とに亙ってスライド移動可能に支持され、シャッター部材102、113は上糸10を導入可能な可動糸導入溝34C2を形成するように配置されるので、右側シャッター部材102と左側シャッター部材113とが、上糸10が導入可能な可動糸導入溝34C2を形成しながら一体的に切り換わることができる。
【0135】
また、切換え機構100は、押え上げレバー77の操作で右側シャッター部材102をスライド移動させるようにし、その押え上げレバー77の操作を検知するスライド検知センサ110と、このスライド検知センサ110の検知に基づいて左側シャッター部材113をスライド移動させるように駆動する電磁石121とを有するので、作業者により押え上げレバー77が操作されるだけで、スライド検知センサ110を介して電磁石121が同時に作動し、右側シャッター部材102と左側シャッター部材113の連動動作が可能になる。
【0136】
また、切換え機構100は、手作業により糸掛けされる上糸10が右側ルートに位置する可動糸導入溝34C2を通過して糸掛けが開始されたことを検知する糸取り検出センサ29を有し、この糸取り検出センサ29の検知に基づいてシャッター部材102,113を右位置から左位置にスライド移動させるように、押え上げ連動レバー109及び右シャッター作動レバー107と電磁石121とを駆動するので、作業者による糸掛けが開始され、手作業で上糸10が右側ルートに位置する可動糸導入溝34C2を通過すると、可動糸導入溝34C2は自動的に左側ルートに切換えられるようになり、可動糸導入溝34C2の自動切換えが可能になる。
【0137】
次に、前記実施形態を部分的に変更した変更形態について説明する。
1〕手作業により糸掛けが開始されたことを、糸取り検出センサ29に代えて、シャッター部材102,113の下側に設けた糸通過検知センサにより検知するようにしてもよい。
【0138】
2〕シャッター部材102,113を、スライド移動以外に、回転可能に構成したり、撥ね上げ式に構成するようにしてもよい。
【0139】
3〕可動糸導入溝34C2に代わる自動用と手動用の2つの糸導入溝を予め形成しておき、1つのスライド板を移動させることでこれら2つの糸導入溝の何れか一方を塞ぐようにしたり、複数のLEDを発光させて糸掛け経路を指示するようにしてもよい。
【0140】
4〕本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記以外に種々の変更を付加して実施可能である。また、本発明は、家庭用、更には工業用の種々のミシンに適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明のミシンの斜め上側からの斜視図である。
【図2】ミシンの上側からの斜視図である。
【図3】ミシンの平面図である。
【図4】図2の要部拡大図である。
【図5】ミシン(自動糸掛け可能状態)の透視左側面図である。
【図6】天秤の左側面図である。
【図7】天秤の右側面図である。
【図8】天秤の平面図である。
【図9】天秤の正面図である。
【図10】第1ガイドフレームの右側面図である。
【図11】自動糸掛け装置と自動糸通し装置の右斜め上側からの斜視図である。
【図12】自動糸掛け装置と自動糸通し装置の左斜め上側からの斜視図である。
【図13】ミシンの頭部の内部機構を示す平面図である。
【図14】糸導入前カバー及び右シャッター部材の駆動系の説明図である。
【図15】ミシンの頭部の内部機構を示す平面図である。
【図16】糸導入前カバー及び右シャッター部材の駆動系の説明図である。
【図17】布押え状態における押え棒昇降機構の概略正面図である。
【図18】布押えしない状態における図17相当図である。
【図19−1】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(待機状態)の斜視図である。
【図19−2】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(糸掛け状態)の斜視図である。
【図19−3】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(天秤への糸掛け状態)の斜視図である。
【図19−4】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(糸取りバネへの糸掛け状態)の斜視図である。
【図19−5】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(糸渡し状態)の斜視図である。
【図19−6】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(針棒糸案内への糸掛け状態)の斜視図である。
【図20−1】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(待機状態)の斜視図である。
【図20−2】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(糸掛け状態)の斜視図である。
【図20−3】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(天秤への糸掛け状態)の斜視図である。
【図20−4】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(糸取りバネへの糸掛け状態)の斜視図である。
【図20−5】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(糸渡し状態)の斜視図である。
【図20−6】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(針棒糸案内への糸掛け状態)の斜視図である。
【図21−1】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(待機状態)の側面図である。
【図21−2】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(糸掛け状態)の側面図である。
【図21−3】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(天秤への糸掛け状態)の側面図である。
【図21−4】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(糸取りバネへの糸掛け状態)の側面図である。
【図21−5】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(糸渡し状態)の側面図である。
【図21−6】自動糸掛け装置と自動糸通し装置(針棒糸案内への糸掛け状態)の側面図である。
【符号の説明】
【0142】
M ミシン
9 糸駒
11 針棒
13 天秤
16 自動糸掛け装置
30 第1糸掛け準備経路
32 第2糸掛け準備経路
77 押え上げレバー
100 切換え機構
102 右シャッター部材
107 右シャッター作動レバー
109 押え上げ連動レバー
110 スライド検知センサ
113 左シャッター部材
121 電磁石
34C2 可動糸導入溝




 

 


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