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発明の名称 インクジェット記録装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−45015(P2007−45015A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−232318(P2005−232318)
出願日 平成17年8月10日(2005.8.10)
代理人 【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
発明者 梅村 真由子 / 佐藤 紀章 / 加藤 龍二
要約 課題
インクジェット記録装置において、インク流路系に任意のインクや保存液を充填しても、インク流路系内に使用されるゴム部材に由来する不溶物が析出しないようにする。

解決手段
インク流路系に水性インク又は保存液が充填されるインクジェット記録装置において、インク流路系内で使用されるゴム部材が、ブチルゴムポリマー、有機過酸化物により加硫可能なゴムポリマー及び有機過酸化物から形成したゴムからなり、
特許請求の範囲
【請求項1】
インク流路系に水性インク又は保存液が充填されるインクジェット記録装置において、
インク流路系内で使用されるゴム部材が、ブチルゴムポリマー、有機過酸化物により加硫可能なゴムポリマー及び有機過酸化物から形成したゴムからなり、
水性インクが、少なくとも着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有し、最大泡圧法による測定温度25℃、ライフタイム100msにおける動的表面張力が35〜45mN/mであり、保存液が、少なくとも水及び水溶性有機溶剤を含有し、最大泡圧法による測定温度25℃のライフタイム100msにおける動的表面張力が30〜35mN/mであることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
ゴム部材におけるブチルゴムポリマーと有機過酸化物により加硫可能なゴムポリマーとの重量比が40/60〜95/5である請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
水性インクが、水溶性有機溶剤としてグリコールエーテルを水性インク全重量に対して0.7〜10重量%含有する請求項1又は2記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
水性インクが、さらに次式
【化1】


(式中、R=炭素数12〜15のアルキル基、M=Na又はトリエタノールアミン、n=2〜4)
のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩系界面活性剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
保存液が、着色剤を含有しない請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
保存液が、水溶性有機溶剤としてグリコールエーテルを保存液全重量に対して3〜10重量%含有する請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
保存液が、さらに次式
【化2】



(式中、R1,R2,R3及びR4=独立してアルキル基、m+n=0〜50)
のアセチレングリコール系界面活性剤を含有する請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク流路系に充填された水性インク又は保存液に、インク流路内で使用されるゴム部材に由来する不溶物が析出しないようにするインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、急激な加熱により気泡を発生させ、その時に生じる圧力により微細ノズルからインクの微小液滴を吐出させるサーマル方式、圧電素子を用いてインクの微小液滴を吐出させるピエゾ方式等のインク吐出方式により、記録紙等の被記録材にインクを付着させて記録を行う装置である。
【0003】
インクジェット記録装置において、インクタンクやインクジェットヘッドからなるインク流路系にはゴム部材が使用されており、このゴム部材としては、インクヘッドノズルを覆うキャップ、インクヘッドノズル端面を清浄するワイパー、部品の接合部分にかませるシールパッキン、インクタンクがインクジェットヘッドと別個に設けられている場合にはインクタンクからインクジェットヘッドへインクを供給するチューブ等がある。
【0004】
しかしながら、ゴム部材は、インクジェット記録で使用される水性インク(以下、インクとも言う)や、出荷時や長期保存時にインク流路系に充填される保存液に接すると、ゴム部材に含まれている添加物がインクや保存液中に溶出し、不溶物となって析出し、インクジェットヘッドのノズルを閉塞する等の問題を引き起こす。
【0005】
これに対しては、インク流路系で使用するゴム材料を密閉容器内で60℃の水中に所定期間浸漬し、溶出物の量を調べ、ゴム材料を選別するという方法が提案されている(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−119288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、インクや保存液で析出する不溶物の種類や量は、インクや保存液の組成によっても異なり、インク流路系を形成するゴム部材に、特許文献1の方法で選別したゴム材料を使用しても、インクを吐出安定性の点から好ましい動的表面張力を有する組成に調整し、保存液を濡れ性やインクとの置換容易性の点から好ましい動的表面張力を有する組成に調整すると、不溶物の析出が問題となることがあった。
【0008】
このような従来技術の課題に対し、インクジェット記録装置において、吐出安定性の点から好ましい動的表面張力を有するインクを使用し、また、濡れ性やインクとの置換容易性の点から好ましい動的表面張力を有する保存液を使用しても、インク流路系内で使用されるゴム部材に由来する不溶物が析出しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、インクジェット記録装置のインク流路系内で使用されるゴム部材を、有機過酸化物を加硫剤とする特定のゴムから形成し、インクや保存液を特定の動的表面張力を有するように調製すると、インクや保存液でゴムが膨潤することもなく、インクや保存液中でゴム部材に由来する不溶物の析出を顕著に低減でき、インクに吐出安定性を付与し、保存液に良好な濡れ性やインクとの置換容易性を付与できることを見出した。
【0010】
即ち、本発明は、インク流路系に水性インク又は保存液が充填されるインクジェット記録装置において、
インク流路系内で使用されるゴム部材が、ブチルゴムポリマー、有機過酸化物により加硫可能なゴムポリマー及び有機過酸化物から形成したゴムからなり、
水性インクが、少なくとも着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有し、最大泡圧法による測定温度25℃、ライフタイム100msにおける動的表面張力が35〜45mN/mであり、保存液が、少なくとも水及び水溶性有機溶剤を含有し、最大泡圧法による測定温度25℃のライフタイム100msにおける動的表面張力が30〜35mN/mであることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のインクジェット記録装置は、インク流路系内で使用されるゴム部材がブチルゴムポリマー、有機過酸化物により加硫可能なゴムポリマー及び有機過酸化物から形成したゴムからなり、このインクジェット記録装置で使用するインクや保存液が特定の動的表面張力を有するので、ゴムから加硫剤等の添加剤が溶出することがあっても、それはインクや保存液で安定に溶解状態を維持する。したがって、ゴムに由来する不溶物が、インク流路系に充填されたインクや保存液に析出することを防止できる。
【0012】
さらに、インクが特定の動的表面張力を有するので、インクの吐出安定性が良好であり、また、保存液が特定の動的表面張力を有するので、保存液のインク流路系内での濡れ性やインクとの置換容易性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明のインクジェット記録装置は、インク流路系内の一部で使用されるゴム部材が、ブチルゴムポリマー、有機過酸化物により加硫可能なゴムポリマー及び有機過酸化物から形成したゴムからなり、インクジェット記録装置で使用されるインクや保存液がそれぞれ特定の動的表面張力を有する組成に調製されていることを特徴としており、これ以外のインクジェット記録装置の構成は、公知のインクジェット記録装置と同様とすることができる。インク吐出方式に関しても制限はなく、サーマル方式、ピエゾ方式、その他任意の方式とすることができる。
【0015】
インクジェット記録装置において、インク流路系内の一部で使用されるゴム部材としては、インクジェットヘッドのノズルを覆うキャップ、インクジェットヘッドのノズル端面を清浄するワイパー、インクタンクがインクジェットヘッドと別個に設けられている場合にはインクタンクからインクジェットヘッドへインクを供給するチューブ、特願2004−207208号明細書に開示されたようなバッファタンクとヘッドユニットとの間に挟持される弾性部材であるシールパッキン等がある。
【0016】
ゴム部材を形成するゴムのブチルゴムポリマーとは、イソプレンとイソブチレンとを共重合させた未架橋のイソプレンイソブチレンゴムポリマーを指し、一部がハロゲン化置換した化合物も含まれる。このイソプレンイソブチレンゴムポリマーは、ゴムベースポリマーがこれ単独であると、有機過酸化物のみで加硫することが困難である。
【0017】
一方、有機過酸化物により加硫可能なゴムポリマーとしては、エチレン−α−オレフィンゴムポリマー、スチレン−ブタジエンゴムポリマー、イソプレンゴムポリマー、ブタジエンゴムポリマー、ニトリル−ブタジエンゴムポリマー、クロロプレンゴムポリマー等をあげることができる。ここで、エチレン−α−オレフィンゴムポリマーとは、エチレンとα−オレフィンの共重合体又はエチレン、α−オレフィン及び非共役ジエンの共重合体を指し、α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等が例示され、非共役ジエンとしては、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等及びこれらの誘導体が例示され、これらの市販品としては、JSR(株)製EP331、住友化学(株)製エスプレン(登録商標)505等を使用することができる。有機過酸化物により加硫可能なゴムポリマーの中でも、架橋反応が進みやすく架橋密度が高くなる点からエチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネンゴムポリマー、エチレン−1−ブテン−1,4−ヘキサジエンゴムポリマー等が好ましい。
【0018】
ブチルゴムポリマーと有機過酸化物により加硫可能なゴムポリマーとの配合割合は、重量比で40/60〜95/5とすることが好ましい。この比が40/60よりも小さいと、有機過酸化物により加硫可能なゴムポリマーの加硫が過度に進み、ゴムが柔軟性に劣り、インクジェット記録装置のインク流路系内で使用するゴム部材として適さなくなる。反対に95/5より大きいと、ゴム全体としての加硫が進行しにくくなる。
【0019】
以上のゴムポリマーの加硫剤として使用される有機過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシケタール等を、単独又は混合して使用することができる。有機過酸化物の具体例としては、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バルレート、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(tert−ブチルパーオキサイド)、ビス(tert−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、tert−ブチルパーオキシクメン等をあげることができる。
【0020】
有機過酸化物の好ましい配合量は、ブチルゴムポリマーと有機過酸化物により加硫可能なゴムポリマーとの合計量に対して、0.5〜10重量%とすることが好ましい。有機過酸化物の配合量が少なすぎると引っ張り強度が低下し、多すぎると引っ張り強度が低下すると共に硬度も低下する。
【0021】
また、ゴム組成には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができ、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素等の補強剤;パラフィンオイル等の軟化剤;老化防止剤;スコーチ防止剤等をあげることができる。ただし、加硫速度や加硫密度を調整する加硫促進剤は、インクや保存液における不溶物の析出防止の点から、配合しない方が好ましい。
【0022】
以上のゴム組成からゴム部材を製造する方法としては、バンバリーミキサー、ニーダー、2本ロール等の混練り機器を使用して混練りし、ゴムの加硫工程では、通常150〜200℃で5〜15分間の加熱を行う。
【0023】
一方、インクジェット記録装置のインク流路系において、上述のゴム部材と接することとなるインクとしては、少なくとも着色剤、水及び水溶性有機溶剤を含有し、最大泡圧法による測定温度25℃、ライフタイム100msにおける動的表面張力が35〜45mN/mのものを使用する。
【0024】
最大泡圧法による測定温度25℃、ライフタイム100msにおける動的表面張力を35〜45mNとすることにより、インクにインクジェットヘッドからの吐出安定性を付与することができ、インクに有機過酸化物が溶出してきてもその析出を防止することができる。この動的表面張力が35mN/m未満であると、インクジェットヘッドのノズルで望ましいメニスカスが形成されず、微小液滴としてインクを吐出させることが困難となる。また、紙等の被記録材に対するインクの濡れ性も過剰となり、印字品質の低下が引き起こされる。反対に45mN/mを超えると、インクジェットヘッドにインクを導入することが困難となり、インクの不吐出の問題が生じ、また有機過酸化物の析出も問題となる。
【0025】
なお、動的表面張力は、一般に振動ジェット法、メニスカス法、最大泡圧法等によって測定されることは知られているが、本発明で規定する動的表面張力の値は、最大泡圧法(バブルプレッシャー法)によるものである。
【0026】
最大泡圧法による動的表面張力測定では、気体供給源から気体をプローブに送り、インクに浸したプローブ先端から気泡を発生させる。この際の気体流量を変化させることで、気体発生速度を変え、それに伴い変化するインクからその気泡にかかる圧力により表面張力を測定する。気泡の半径がプローブ先端部分の半径に等しくなるとき、最大圧力(最大泡圧)を示す。このときのインクの動的表面張力σは、
【0027】
【数1】


(式中、rはプローブ先端部分の半径、
ΔPは気泡にかかる圧力の最大値と最小値との差である。)
で表される。
【0028】
また、ライフタイムとは、最大泡圧後に気泡がプローブから離れて、新しい表面が形成されてから次の最大泡圧に達するまでの時間をいう。
【0029】
インクに含まれる水や水溶性有機溶剤の配合組成は、上述の動的表面張力が満たされるように、調整する。
【0030】
具体的には、水溶性有機溶剤として、グリコールエーテルを使用することが好ましい。グリコールエーテルは、動的表面張力を低下させ、紙等の被記録材におけるインク浸透速度を適度に速め、乾燥性を向上させる。
【0031】
グリコールエーテルの具体例としては、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル等があげられる。中でも、動的表面張力の調整能力に優れ、かつ印字品質にも優れる点から、トリエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル等が好ましい。これらは、1種類又は2種類以上を混合して使用してもよい。
【0032】
グリコールエーテルの好ましい含有量はインク全重量に対して0.7〜10重量%、より好ましくは3〜7重量%である。グリコールエーテルの含有量が少なすぎると動的表面張力が過度に高くなるため、インクジェットヘッドへのインクの導入性が悪く、またインクの被記録材への浸透速度が遅く、乾燥時間やブリーデイングに問題をきたすため好ましくない。一方、グリコールエーテルの含有量が多すぎると動的表面張力が過度に低くなるため、インクジェットヘッドのノズルで望ましいメニスカスが形成できず、またゴム部材の膨潤を引き起こし、さらにまたインクが被記録材へ過度に浸透し、被記録材の裏面までインクが到達したり、滲みが著しくなるため好ましくない。
【0033】
水溶性有機溶剤としては、グリコールエーテルの他、ノズルにおけるインクの乾燥を防止し、インクの液安定性を向上させる湿潤剤を任意で添加してもよい。湿潤剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール等の多価アルコール;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物等をあげることができる。これらは、1種類又は2種類以上を混合して使用してもよい。
【0034】
湿潤剤の含有量は、インク組成又は所望とされるインク特性に依存して広い範囲で決定されるが、通常、各インク全重量に対し0重量%〜40重量%が好ましく、0重量%〜30重量%がより好ましい。40重量%を超えるとインクの粘度が必要以上に高くなることにより、インクジェットヘッドのノズルから吐出困難となったり、被記録材上で乾燥が極端に遅くなったりする等の問題を生じることがあるため好ましくない。
【0035】
また、インクの被記録材への浸透性、乾燥性を制御する目的で、エタノール、イソプロピルアルコール等の1価のアルコールを使用してもよい。
【0036】
一方、インクに含まれる水は、水中に含まれる不純物によるノズル及びインクフィルター等の目詰まりを防ぐために、一般の水道水ではなく、イオン交換水、蒸留水及び超純水等の純度の高いものを使用するのが好ましい。水の含有量は、インク全重量に対して10〜98重量%、さらに好ましくは30〜97重量%、より好ましくは40〜95重量%である。
【0037】
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料及び反応性染料等に代表される水溶性染料や、種々の無機顔料、有機顔料を使用することができる。さらに、顔料を表面処理した自己分散型顔料も使用することができる。
【0038】
本発明のインクジェット記録用装置で使用するインクには、上述の着色剤、水及び水溶性有機溶剤の他、任意成分として、一般に用いられる分散剤、粘度調整剤、界面活性剤、pH調整剤及び防腐防カビ剤等を必要に応じて添加してもよい。例えば、界面活性剤としては、印字品質が優れ、かつインクの導入性に優れている点から、次式のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩系界面活性剤
【0039】
【化1】


(式中、R=炭素数12〜15のアルキル基、M=Na又はトリエタノールアミン、n=2〜4)
を使用することが好ましく、この市販品としては、ライオン(株)製サンノール(登録商標)NL−1430、LMT−1430及びDM−1470;花王(株)製エマール(登録商標)20C、20CM及び20T;三洋化成工業(株)製サンデット(登録商標)EN、ET及びEND等をあげることができる。
【0040】
また、熱エネルギーの作用によってインクを吐出させるサーマル方式のインクジェットプリンターに適用する場合には、比熱、熱膨張係数及び熱電導率等の熱的な物性値を調整する添加剤を使用してもよい。
【0041】
なお、従来のインクジェット記録装置では、以上の成分から動的表面張力を35〜45mN/mに調整したインクは、インク中で加硫剤等に由来する不溶物が析出するためインクフィルターを閉塞させ、インクジェットヘッドのノズルの不吐出を生じさせていたが、本発明のインクジェット記録装置では、このような問題が解消される。
【0042】
本発明のインクジェット記録装置で使用する保存液は、上述のインクと同様の水、及びグリコールエーテル等の水溶性有機溶剤から調製されるが、着色剤は省略することができる。また、最大泡圧法による測定温度25℃、ライフタイム100msにおける動的表面張力は30〜35mN/mに調整する。動的表面張力が30mN/m未満であると、ゴム部材に対する保存液の濡れ性が過剰となり浸透性も過剰となるため、ゴム部材の膨潤が問題となる。反対に、35mN/mを超えると、インクジェットヘッド内へのインクの初期導入時に、保存液とインクの置換が円滑に行われなくなる。
【0043】
保存液において、このような動的表面張力が満たされるようにするため、グリコールエーテルの含有量は保存液全重量に対して3〜10重量%とすることが好ましく、4〜7重量%とすることがより好ましい。また、インクの導入性に優れている点から、次式のアセチレングリコール系界面活性剤を含有させることが好ましい。
【0044】
【化2】



(式中、R1,R2,R3及びR4=独立してアルキル基、m+n=0〜50)
を使用することが好ましく、この市販品としては、日信化学工業(株)製オルフィン(登録商標)E1010及びE1004、サーフィノール(登録商標)104E等をあげることができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
【0046】
(1)インク及び保存液の調製
インク及び保存液の組成は表1に示す通りとし、各成分を撹拌混合することによりインク1〜4、保存液1〜3を得た。なお、表1の組成は、実際の各成分の配合量を重量%で示したものである。
【0047】
(2)インク及び保存液の動的表面張力の測定
インク及び保存液の最大泡圧法による動的表面張力を、協和界面科学(株)製自動動的表面張力計BP−D4を用いて、測定温度25℃、ライフタイム20ms〜5000msの範囲で測定し、ライフタイム100msの動的表面張力の測定値を読み取った。この結果を表1に示す。
【0048】
(3)ゴムシートの作製
表2のゴム組成に従って各材料を順次、ゴムミキサー内に投入して混練し、排出した。これを2軸押し出し機によりシート状に押し出した後、加硫成形(170℃、10分)を行ない、評価用ゴムシート1〜6を得た。
【0049】
(4)ゴムの析出評価
(3)で作製したゴムシートを縦50mm×横10mm×厚さ2mmの寸法に加工し、評価用サンプルとした。
【0050】
表3、表4の実験例A−1〜A−24、B−1〜B−18の組み合わせで、密閉容器内で10mLのインク又は保存液に前記サンプルを1枚浸漬し、60℃の恒温槽に2週間放置した。その後、浸漬したサンプルを取り出し、サンプルを取り出した後のインク及び保存液を電鋳フィルター(孔径13μm、有効ろ過面積8cm)でろ過し、ろ過に要する時間を計測した。また、対照として、サンプルを加えないインク及び保存液のみを同条件(60℃、2週間)で放置し、同一規格の電鋳フィルターでろ過し、ろ過に要する時間(基準時間)を求めた。サンプルを浸漬させたインク及び保存液のろ過に要した時間の基準時間に対する割合を求め、以下の基準で評価した。結果を表3、表4に示す。
◎…基準時間の130%未満のろ過時間を要する
○…基準時間の130%以上200%未満のろ過時間を要する
△…基準時間の200%以上400%未満のろ過時間を要する
×…基準時間の400%以上のろ過時間を要する
【0051】
なお、ろ過後の電鋳フィルターを顕微鏡観察したところ、上述のろ過時間の基準時間に対する割合が大きいほど、析出物の量が多かった。
【0052】
(5)ゴムの重量変化評価
(4)でインク又は保存液に浸漬(60℃、2週間)したサンプルについて、浸漬前後の重量を測定し、その重量変化率により次の基準で評価した。結果を表3、表4に示す。
○…重量変化率が0〜5%
×…重量変化率が0%未満であるか、5%を超える
【0053】
なお、重量変化率が0%未満はインク又は保存液へのゴムの溶解を意味し、5%超はゴムの過膨潤を意味し、いずれも実使用において吐出不良が懸念されることとなる。













【0054】
【表1】






【0055】
【表2】






【0056】
【表3】



















【0057】
【表4】



【0058】
表3、表4の結果から、加硫剤として酸化亜鉛を使用し、有機過酸化物を使用しなかったゴムサンプル4〜6はいずれのインク及び保存液に対しても析出評価が劣っているのに対し、有機過酸化物を使用し、酸化亜鉛及び加硫促進剤を使用しなかったゴムサンプル1〜3は、インク1〜3及び保存液1〜3を使用した場合に析出評価が良好である。しかし、インク4は、動的表面張力が45mN/mを超えるため、ゴムサンプル1〜3に対して不溶物が析出した。
【0059】
一方、保存液3は、グリコールエーテルの含有量が多く、動的表面張力が30mN/mより低く、濡れ性が過剰となり浸透性も過剰となるため、ゴムサンプルが膨潤し、重量変化の評価が劣っている。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、インク又は保存液を充填した状態で、析出物による性能劣化をきたさないインクジェット記録装置として有用である。





 

 


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