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発明の名称 インクジェット式記録装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−38596(P2007−38596A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2005−227469(P2005−227469)
出願日 平成17年8月5日(2005.8.5)
代理人 【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
発明者 長谷川 真
要約 課題
インク液滴を大きくしたり、走査回数を増やしたりすることなく、単位面積あたりの噴射液滴量を多くする。

解決手段
各ノズルは、2つ1組のノズル穴5a,5bを備える。各ノズルの各ノズル穴5a,5bに連通する圧力室11a,13aが上下に重複して配置され、両圧力室11a,13aが圧電アクチュエータ3によって同時に加圧される。通常の記録時には、両圧力室11a,13aへの加圧力を小さくし、一方のノズル穴5aのみからインク液滴を噴射させる。このとき、他方のノズル穴5bからはインク液滴は噴射されないが、加圧力は作用するので、インクを撹拌し、インクの増粘や乾燥が防止される。単位面積あたりの噴射液滴量を多くしたい記録時には、通常の記録時よりも両圧力室11a,13aへの加圧力を高くし、両ノズル穴5a,5bからインク液滴を噴射させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
インクを噴射する複数のノズル、前記複数のノズルにインクを供給する複数の圧力室及び前記圧力室に供給するインクを一時的に貯留するマニホールドを含むキャビティユニットと、前記圧力室を加圧して前記ノズルによりインクを噴射させる加圧手段とを備え、記録媒体に前記インクを噴射して記録するインクジェット式記録装置において、
前記各ノズルは、2つ1組のノズル穴を備えるものであり、
前記各ノズルの各ノズル穴に連通する圧力室が上下に重複して配置され、
前記加圧手段が、前記上下に重複して配置される圧力室を同時に加圧する構成とされていることを特徴とするインクジェット式記録装置。
【請求項2】
前記上下に重複して配置される圧力室の対向する側の壁が、一方の圧力室から他方の圧力室へ圧力を伝播することが可能な弾性体で構成されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット式記録装置。
【請求項3】
前記上下に重複して配置される圧力室の間に、空間部であるダンパー室が配置されていることを特徴とする請求項2記載のインクジェット式記録装置。
【請求項4】
前記各ノズルを構成する2つ1組のノズル穴は、前記圧力室の長手方向に直交する方向に並んで設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット式記録装置。
【請求項5】
前記各ノズルを構成する2つ1組のノズル穴は、記録媒体に対して、前記2つのノズル穴の並び方向に交差する方向に走査されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット式記録装置。
【請求項6】
前記上下に重複して配置される圧力室は、平面視で、長手方向の中央部分は重複し、端部が前記ノズル穴の位置に対応してずれていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット式記録装置。
【請求項7】
前記加圧手段は、制御態様として、前記両ノズル穴の一方のみを用いてインクを噴射させる第1のモードと、前記各ノズルにおいて、前記両ノズル穴を用いてインクを噴射させる第2のモードとを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット式記録装置。
【請求項8】
前記第1のモードは、通常の記録モードであり、前記第2のモードは、前記通常の記録モードよりもインクの重ね打ちの回数が少なくなる記録モードであることを特徴とする請求項7記載のインクジェット式記録装置。
【請求項9】
前記2つ1組のノズル穴を備えるノズルは、少なくともブラックインクを噴射するものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット式記録装置。
【請求項10】
前記2つ1組のノズル穴は、穴径が異なっていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット式記録装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インクを噴射する複数のノズル、前記複数のノズルにインクを供給する複数の圧力室及び前記圧力室に供給するインクを一時的に貯留するマニホールドを含むキャビティユニットと、前記圧力室を加圧して前記ノズルによりインクを噴射させる加圧手段とを備え、前記インクを記録媒体に向けて噴射して記録するインクジェット式記録装置は知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
そのようなインクジェット式記録装置においては、記録濃度(紙面濃度)を高めるために、記録媒体の単位面積あたりに噴射する液滴量を多くしたい場合がある。
【特許文献1】特開2002−19102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単位面積あたりの噴射液滴量を多くするためにはインク液滴を大きくすることが考えられるが、インク液滴を大きくするには、噴射安定性を損なわないための限界、駆動周波数の制限が存在する。また、単位面積あたりの走査回数を増やして噴射回数を多くすることも考えられるが、走査回数を増やすと、記録速度が低下する。
【0005】
そこで、発明者は、各ノズルを、2つ1組のノズル穴を備える構成とし、通常の記録時には前記2つ1組のノズル穴の一方のみからインク液滴を噴射させる一方、単位面積あたりの噴射液滴量を多くして記録濃度を高めたい記録時には、前記2つ1組のノズル穴から同時にインク液滴を噴射させれば、上記課題を解決できることに着想し、本発明をなすに至ったものである。
【0006】
本発明は、インク液滴を大きくしたり、走査回数を増やしたりすることなく、単位面積あたりの噴射液滴量を多くすることができるインクジェット式記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、インクを噴射する複数のノズル、前記複数のノズルにインクを供給する複数の圧力室及び前記圧力室に供給するインクを一時的に貯留するマニホールドを含むキャビティユニットと、前記圧力室を加圧して前記ノズルによりインクを噴射させる加圧手段とを備え、記録媒体に前記インクを噴射して記録するインクジェット式記録装置において、前記各ノズルは、2つ1組のノズル穴を備えるものであり、前記各ノズルの各ノズル穴に連通する圧力室が上下に重複して配置され、前記加圧手段が、前記上下に重複して配置される圧力室を同時に加圧する構成とされていることを特徴とする。
【0008】
このようにすれば、上下に重複して配置される両圧力室へ、前記加圧手段により同時に加圧することで、両ノズル穴からインク液滴を噴射させ、単位面積あたりの噴射液滴量を多くして記録することができる。よって、記録濃度を高めることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1のインクジェット式記録装置において、前記上下に重複して配置される圧力室の対向する側の壁が、一方の圧力室から他方の圧力室へ圧力を伝播することが可能な弾性体で構成されていることを特徴とする。
【0010】
このようにすれば、上下に重複して配置される圧力室の対向する側の壁が、一方の圧力室から他方の圧力室へ圧力を伝播することが可能な弾性体で構成されているので、この弾性体の弾性変形によって、上側の圧力室に加えられた加圧力が、下側の圧力室に伝播される。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2のインクジェット式記録装置において、前記上下に重複して配置される圧力室の間に、空間部であるダンパー室が配置されていることを特徴とする。
【0012】
このようにすれば、上側の圧力室からの加圧力が、ダンパー室によって減衰され、下側の圧力室に伝播される。よって、下側の圧力室に作用する加圧力は、上側の圧力室に加圧手段によって加えられる加圧力よりも小さくなる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかのインクジェット式記録装置において、前記各ノズルを構成する2つ1組のノズル穴が、前記圧力室の長手方向に直交する方向に並んで設けられていることを特徴とする。
【0014】
このようにすれば、各ノズルを構成する2つ1組のノズル穴が、前記圧力室の長手方向に直交する方向に並んで設けられているので、2つのノズル穴から噴射されるインク液滴は、記録媒体上の近接した位置に着弾される。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかのインクジェット式記録装置において、前記各ノズルを構成する2つ1組のノズル穴が、記録媒体に対して、前記2つのノズル穴の並び方向に交差する方向に走査されることを特徴とする。
【0016】
このようにすれば、各ノズルを構成する2つ1組のノズル穴は、記録媒体に対して、前記2つのノズル穴の並び方向に交差する方向に走査されるので、2つのノズル穴から噴射されるインク液滴は、走査方向に交差する方向に高密度に着弾される。
【0017】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかのインクジェット式記録装置において、前記上下に重複して配置される圧力室が、平面視で、長手方向の中央部分は重複し、端部が前記ノズル穴の位置に対応してずれていることを特徴とする。
【0018】
このようにすれば、圧力室とノズル穴とを連通する連通路や、共通インク室(マニホールド)と圧力室とを連通する連通路(絞り部)を、複雑な構造とすることなく形成することができる。
【0019】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかのインクジェット式記録装置において、前記加圧手段が、制御態様として、前記各ノズルにおいて、前記両ノズル穴の一方のみを用いてインクを噴射させる第1のモードと、前記両ノズル穴を用いてインクを噴射させる第2のモードとを有することを特徴とする。
【0020】
このようにすれば、単位面積あたりの噴射液滴量を多くする必要がある場合には、第2のモードとされ、多くする必要がない場合には、第1のモードとされる。そして、このような第1及び第2のモードの切り替えを、加圧手段による加圧力の大きさを制御するだけで、簡単に実現される。
【0021】
請求項8の発明は、請求項7のインクジェット式記録装置において、前記第1のモードが、通常の記録モードであり、前記第2のモードが、前記通常の記録モードよりもインクの重ね打ちの回数が少なくなる記録モードであることを特徴とする。
【0022】
このようにすれば、通常の記録モードよりもインクの重ね打ちの回数が少なくなる記録モードにおいて、両ノズル穴を用いてインクを噴射させるので、重ね打ちの回数が少なくても、通常の記録モードと同程度に単位面積あたりの噴射液滴量を多くすることができる。よって、通常の記録モード(第1の記録モード)よりもインクの重ね打ちの回数が少なくなる記録モード(第2の記録モード)においても、通常の記録モードと同程度の記録濃度が確保され、記録品質の向上が図れる。
【0023】
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれかのインクジェット式記録装置において、前記2つ1組のノズル穴を備えるノズルが、少なくともブラックインクを噴射するものであることを特徴とする。
【0024】
このようにすれば、ブラックインクにより例えば文字データを記録する場合において、インク液滴を大きくしたり走査回数を増やしたりすることなく、単位面積あたりの噴射液滴量を多くして、記録濃度を確保して、高速で記録することができる。
【0025】
請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれかのインクジェット式記録装置において、前記2つ1組のノズル穴が、穴径が異なっていることを特徴とする。
【0026】
このようにすれば、加圧手段による加圧力の大きさを制御することと、2つのノズル穴の穴径を異ならせることとの組み合わせで、1つのノズルが受け持つ単位面積あたりの噴射液滴量について、さらに細かい制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、上記のように、各ノズルが2つ1組のノズル穴を備え、前記各ノズルの各ノズル穴に連通する圧力室を上下に重複して配置し、前記上下に重複して配置される圧力室を同時に加圧するようにしているので、両ノズル穴からインク液滴を噴射させ、単位面積あたりの噴射液滴量を簡単に多くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。なお、本実施の形態に係る記録装置は、記録媒体に沿って往復移動するキャリッジ上に記録ヘッドが搭載され、記録ヘッドからインク液滴を前記記録媒体に向けて噴射させる、周知のインクジェット式の記録装置である。
【0029】
図1は本発明に係るインクジェット式記録装置に用いられる圧電式のインクジェットヘッドの断面図、図2は同インクジェットヘッドにおけるキャビティユニットの平面図である。
【0030】
図1に示すように、インクジェットヘッド1は、複数枚の金属プレートを備えるキャビティユニット2の上側にプレート型の圧電アクチュエータ3(加圧手段)が接合され、このプレート型の圧電アクチュエータ3の上側に外部機器との接続のためのフレキシブルフラットケーブル4が重ね接合されている。そして、キャビティユニット2の下面側に開口されたノズル(後述するノズル穴5a,5b)から、下向きにインクを噴射する構成とされている。
【0031】
キャビティユニット2は、図1に示すように、8枚のプレート11〜18及び弾性シート19,20それぞれを積層状態で接着剤にて重ね接合した構造となっている。つまり、上側から順に積層される、上側キャビティプレート11、ダンパープレート12、下側キャビティプレート13、ベースプレート14、2枚のマニホールドプレート15,16、スペーサプレート17および、ノズルプレート18の合計8枚の薄いプレートと、下側キャビティプレート13とダンパープレート12との間及びダンパープレート12と上側キャビティプレート11との間に介装される2枚の弾性シート19,20とで構成される。なお、各プレート11〜18は50〜150μm程度の厚さを有し、42%ニッケル合金鋼板製の金属プレートである。
【0032】
キャビティプレート11,13には、それぞれ、複数の、平面視細長形状の圧力室11a,13aが、それらの長手方向がキャビティプレート11,13の短辺方向(図1の左右方向)に沿うようにして貫通穴として形成されている。圧力室11a,13aは、平面視で、上下(プレートの積層方向)に重複する位置関係で配置され、キャビティプレート11,13の長辺方向(図1の紙面に直角方向、図2のX方向)に沿って、千鳥配列状で2列に配列されている。また、両圧力室11a,13aは、上下に重複して配置されているので、それらを上側から圧電アクチュエータ3によって同時に加圧することができるようになっている。
【0033】
また、ダンパープレート12にはダンパー室12aが貫通穴として形成され、これにより前記上下に重複して配置される圧力室11a,13aの間に、空間部であるダンパー室12aが配置される。圧力室11a,13aとダンパー室17aとの間が弾性シート19,20にて仕切られている。これらの弾性シート19,20が、上下に重複して配置される圧力室11a,13aの対向する側の壁となっており、弾性シート19は、圧力室11a内のインクの圧力変化により圧力室11aとダンパー室12aとを容積変化させる方向に変形可能で、また弾性シート20は、そのダンパー室12aの容積変化にもとづくダンパー室12a内の空気の圧力変化によりダンパー室12aと圧力室13aとを容積変化させる方向に変形可能な弾性体で構成されている。
【0034】
2枚のマニホールドプレート15,16には、その長辺方向に沿って長い2つの共通インク室41がノズル(ノズル穴5a,5b)の各列に沿って延びるように板厚を貫通して形成されている。すなわち、図1に示すように、2枚のマニホールドプレート15,16を積層し、かつその上面をベースプレート14で覆い、下面をスペーサプレート17にて覆うことにより、合計2つの共通インク室41が密閉状に形成される。各共通インク室41は、各プレートの積層方向から平面視したときに、図2のように圧力室11a,13aの一部と重なって圧力室11a,13aの列方向(ノズル穴5a,5bの列方向)に沿って長く延びている。各共通インク室41の一端部は、インク供給口(図示せず)を介してインク供給源に連通している。
【0035】
ノズルプレート18には、図2に示すように、微小径(この実施の形態では25μm程度)のインク噴射用のノズルとして2つ1組のノズル穴5a,5bが微小間隔で多数個穿設されている。このノズル(ノズル穴5a,5b)は、ノズルプレート18における長辺方向(図1の紙面に直角な方向、図2のX方向)に沿って、千鳥配列状で2列に配列されている。これら2つ1組のノズル穴5a,5bは、圧力室11a,13aの長手方向に直交する方向に並んで、相互に接近して設けられている。そして、2つ1組のノズル穴5a,5bは、記録媒体に対して、2つのノズル穴5a,5bの並び方向に交差する方向に走査される。
【0036】
圧力室11aにおける一端部11aaは、弾性シート19,ダンパープレート12、下側キャビティプレート13、ベースプレート14、2枚のマニホールドプレート15,16、スペーサプレート17に、同じく千鳥配列状にて穿設されている微小径の連通路31を介して、ノズルプレート18におけるノズル穴5aに連通している。また、同様に、圧力室13aにおける一端部13aaは、ベースプレート14、2枚のマニホールドプレート15,16およびスペーサプレート17に、同じく千鳥配列状にて穿設されている微小径の連通路32を介して、ノズルプレート18におけるノズル穴5bに連通している。
【0037】
また、上側キャビティプレート11の下側の、弾性シート19,ダンパープレート12、下側キャビティプレート13及びベースプレート14には、各圧力室11aの他端部11abに接続する連通路33が穿設されている。下側キャビティプレート13の下側のベースプレート14には、各圧力室13aの他端部13abに接続する連通路34が穿設されている。この連通路33,34は、共通インク室41から各圧力室11a,13aへインクを供給するとともに、流路抵抗となり絞り部として機能するように断面積を小さくして形成されている。
【0038】
そして、下側の圧力室13aの一端部13aaが、上側の圧力室11aの一端部11aaに対して、ノズル穴5a,5bの位置に対応してずれ、圧力室11a,13aとノズル穴5a,5bとを連通する連通路31,32の構成が容易となるようにされている。また、下側の圧力室13aの他端部13abも、上側の圧力室11aの他端部11abに対してずれ、圧力室11a,13aと共通インク室41(マニホールド穴15a,16a)とを連通する連通路33,34の構成が容易となるようにされている。
【0039】
これにより、インク供給口からノズル穴5a,5bに至るインク流通路では、インクは、インク供給口からインク供給チャンネルとしての共通インク室41に供給された後、連通路33,34を経由して各圧力室11a,13aに分配供給される。そして、圧電アクチュエータ3の駆動により、インクは各圧力室11a,13a内から連通路31,32を通って、その圧力室11a,13aに対応するノズル穴5a,5bに至るという構成になっている。
【0040】
一方、圧電アクチュエータ3は、特開平4−341853号公報等に開示された公知のものと同様に、複数枚の圧電シート51を積層した構造で、1枚の厚さが30μm程度の各圧電シートのうち下側から偶数段目の圧電シート51aの上面(広幅面)には、キャビティユニット2における各圧力室11a,13aに対応した箇所ごとに細幅の個別電極52が長辺方向に沿って列状に形成されている。下から奇数段目の圧電シート51bの上面(広幅面)には、複数個の圧力室11a,13aに対して共通のコモン電極53が形成されている。
【0041】
そして、このような構成のプレート型の圧電アクチュエータ3における下面(圧力室111aと対面する広幅面)全体に、接着剤としてのインク非浸透性の合成樹脂材からなる接着材シート(図示せず)を予め貼着し、次いで、キャビティユニット2に対して、圧電アクチュエータ3が、その各個別電極52をキャビティユニット2における各圧力室11aの各々に対応させて接着固定される。また、この圧電アクチュエータ3における上側の表面には、各電極52に接続される配線パターンを有するフレキシブルフラットケーブル4が固定される。
【0042】
圧電アクチュエータ3(加圧手段)は、制御態様として、両ノズル穴5a,5bの一方のノズル穴5a(上側の加圧室11aに連通するノズル穴5a)のみを用いてインクを噴射させる第1の記録モード(通常の記録モード)と、両圧力室11a,13aに対し上側から、第1の記録モードのときよりも大きな加圧力を付与して、両ノズル穴5a,5bを用いてインクを噴射させる第2の記録モードとを有する。図3は、その記録モードを制御するための概略回路図を示す。制御装置は、シリアル転送されてきた記録データをノズル穴5a、5bの配列に対応するようにパラレル変換する変換回路61と、変換された記録データを記録モードに対応する電圧またはパルス幅のパルス波形に生成する生成回路62と、記録ヘッドを組のノズル穴5a、5bの並び方向と交差(例えば直角)する方向(図3のY)に走査する走査制御手段と、記録媒体を前記走査方向に対して直角方向に所定量ずつ搬送する搬送制御手段とからなる。
【0043】
第1の記録モードにおいては、個別電極52とコモン電極53との間に第2の記録モードに比して比較的低い電圧のパルス波形が印加され、上側の加圧室11a内のインクに対しては、ノズル穴5aから噴射するのに必要な圧力が加えられる。しかし、下側の加圧室13aに対し加圧力が伝播される際にはダンパー室12aによって前記加圧力は減衰され、下側の圧力室13aのインクに対する加圧力が弱くなり、ノズル穴5bからのインク液滴の噴射が行われない。このため、図3(B)に示すように、記録ヘッドのY方向の走査によって、そのY方向と直角方向に加圧室11aのノズル穴5aのピッチP1でドットが形成される。ただし、第1の記録モードときには、他方のノズル穴5bからはインク液滴は噴射されないが、前記加圧力によってメニスカスを振動するので、ノズル穴5b内のインクが撹拌され、その結果インクの増粘あるいは乾燥が防止される。よって、定期的な、非印刷のためのインクの噴射(いわゆるパージ処理)を低減することができる。
【0044】
また、第2の記録モードにおいては、ダンパー室12aによる減衰にかかわらず下側の圧力室13aのインクにも噴射のための十分な圧力が加わるように高い電圧のパルス波形が電極間に印加される。このため、図3(A)に示すように、ノズル穴5aによるドット間に、ノズル5bによるドットが形成されるので、単位面積当たりの噴射液滴量が多くなる、つまり高濃度に記録される。しかも、上側の圧力室11aに対する加圧力が第1の記録モードのときよりも大きくなるので、一方のノズル穴5aから噴射されるインク液滴の大きさが、第1の記録モードの場合よりも大きくなるので、この点からも単位面積あたりの噴射液滴量が多くなる。
【0045】
両記録モードのいずれも、1回の走査で記録を完成するのではなく、上記(A)(B)で形成したドットの媒体搬送方向の間に、さらにドットを形成するように、媒体搬送量を制御して媒体を搬送した後、記録ヘッドを走査することができる。また、第1の記録モードでは、第2の記録モードの2倍の回数走査して、第2の記録モードと同等の記録濃度が得られることになる。換言すれば、第2の記録モードは、第1の記録モードよりも走査回数(つまりインクの重ね打ちの回数)が少ない、高速記録モードとすることができる。
【0046】
本発明は、前記実施の形態に制限されるものではなく、次のように変更することも可能である。
【0047】
(i)両ノズル穴5a,5bからインク液滴が噴射される第2の記録モードに加えて、第1の記録モードにおいて、他方のノズル穴5bからはインク液滴が噴射されない程度の大きさの範囲で加圧力を2段階に変化させることで、大きい加圧力の場合にはノズル穴5aから中滴が噴射されるモードと、小さい加圧力の場合にはノズル穴5aから小滴が噴射されるモードとの、2つのモードを有する構成とすることも可能である。このようにすれば、第1の記録モードの、2つのモードに加えて、第2の記録モードを有するので、加圧力を3段階に変化させることで、実質的に大中小の三種類の大きさのインク液滴を噴射することが可能となる。
【0048】
(ii)前記2つ1組のノズル穴は、穴径が同一であるが、穴径が異なっている構成とすることも可能である。このようにすれば、加圧手段による加圧力の大きさの制御(例えば、上記(i)に記載のような制御)に加えて、2つのノズル穴の穴径を変えることで、1つのノズルが受け持つ単位面積あたりの噴射液滴量について、さらに細かい制御を行うことができる。
【0049】
(iii)前記2つ1組のノズル穴を備えるノズルは、カラー記録を行うインクジェット式記録装置の場合には、すべてのノズルについて適用する必要はなく、少なくともブラックインクを噴射するノズルに適用するだけでもよい。このようにすれば、文字データなどブラックインクによる記録を、インク液滴を大きくしたり走査回数を増やしたりすることなく、単位面積あたりの噴射液滴量を多くして、記録濃度を確保して、高速でおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るインクジェット式記録装置に用いられる圧電式のインクジェットヘッドであって、図2のI-I線における断面図である。
【図2】同インクジェットヘッドにおけるキャビティユニットの平面図である。
【図3】2つのノズル穴のうち一方のノズル穴のみを用いてインクを噴射させる第1の記録モードと、2つのノズル穴を用いてインクを噴射させる第2の記録モードとを制御するための概略回路図である。
【符号の説明】
【0051】
1 インクジェットヘッド
2 キャビティユニット
3 圧電アクチュエータ
5a,5b ノズル穴
11 上側キャビティプレート
11a 圧力室
12 ダンパープレート
12a ダンパー室
13 下側キャビティプレート
13a 圧力室
14,15 マニホールドプレート
14a,15a マニホールド穴
19,20 弾性シート(弾性体)
41 共通インク室




 

 


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