米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 繊維;紙;印刷 -> ブラザー工業株式会社

発明の名称 インクジェット記録装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−38562(P2007−38562A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2005−226356(P2005−226356)
出願日 平成17年8月4日(2005.8.4)
代理人 【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
発明者 井▲土▼ 正俊
要約 課題
優れた画質の両面記録を迅速に行うことができるコスト安価なインクジェット記録装置の提供。

解決手段
この複合機10は、記録用紙28を搬送する駆動ローラ60及び押さえローラ61と、排紙ローラ62及び押さえローラ63と、これらの駆動を制御する制御装置とを有する。記録用紙82への画像記録が終了した後に、当該記録用紙82が矢印85の方向に逆送され、反転される。上記表面への記録が終了したときに、記録用紙82の後端83が駆動ローラ60によるニップ部84から距離x1の位置にある場合は、記録用紙82は、高速でジャム回避領域へ戻される。ジャム回避領域とは、上記ニップ位置84から距離D1の領域である。このジャム回避領域に進入した記録用紙82は、低速で逆送された後、所定時間だけ一旦待機され、上記ニップ部84に進入する。
特許請求の範囲
【請求項1】
記録用紙にインク滴を吐出する記録ヘッドと、
記録ヘッドの上流側に配置され、搬送路に沿って記録用紙を搬送する搬送ローラ対と、
記録ヘッドの下流側に配置され、記録用紙を搬送路から排出する排紙ローラ対と、
搬送ローラを逆転させ、記録用紙の表裏を反転させた後再び当該記録用紙を当該搬送ローラ対に搬送する用紙反転機構と、
記録用紙の表面への画像記録の際に、当該記録用紙の後端が搬送ローラから外れる位置まで当該記録用紙を搬送させてから第1の所定時間内に排紙ローラ対を逆転させて当該記録用紙の後端を搬送ローラ対のニップ部から搬送ローラ対の上ローラの半径領域まで搬送する制御手段とを備えたインクジェット記録装置。
【請求項2】
上記制御手段は、
上記記録用紙の後端が上記搬送ローラ対から外れる位置まで搬送された後、上記排紙ローラ対を逆転させて当該記録用紙の後端を上記搬送ローラ対のニップ部まで逆送し、その状態で第2の所定時間だけ待機させ、その後上記排紙ローラ対の逆転を再開して当該記録用紙を上記用紙反転機構へ搬送するものである請求項1に記載インクジェット記録装置。
【請求項3】
上記制御手段は、
上記排紙ローラ対を逆転させて上記記録用紙の後端を上記上ローラの半径領域に進入させるときの逆送速度が当該記録用紙への画像記録時の搬送速度に比して低速となるように制御するものである請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
上記制御手段は、
上記排紙ローラ対の逆転を再開させて上記記録用紙の後端を上記搬送ローラ対にニップさせた後、当該記録用紙を上記用紙反転機構へ搬送するものである請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。




発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置、特に、記録用紙の表裏両面に画像を記録することができるインクジェット記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、搬送される記録用紙に対してインクジェット記録ヘッドからインク滴が吐出されることにより、当該記録用紙に所定の画像が記録される。この記録用紙は、一対の搬送ローラによってニップされ、当該搬送ローラが回転されることによって搬送路を搬送される。画像記録がなされた記録用紙は、搬送路下流側に配置された一対の排紙ローラにニップされ、当該排紙ローラが回転されることによって排出される。
【0003】
また、記録用紙の表面及び裏面に記録することができるインクジェット記録装置も提供されている。記録用紙の表裏両面に画像記録がなされる場合には、記録用紙は、まず、所定方向に搬送されながら表面に画像記録される。そして、表面への画像記録が終了すると、この記録用紙は、上記一対の搬送ローラが逆転することによって一旦反所定方向に逆送される。その後、この記録用紙は、用紙反転機構により表裏反転され、再び上記所定方向に搬送されつつ裏面に画像記録がなされる。特に、いわゆる縁なし記録が行われる場合においては、記録用紙の縁までインク滴が吐出されるから、表面への画像記録が終了したときは、当該記録用紙は上記排紙ローラによりニップされており、当該記録用紙の後端は上記搬送ローラから離脱している。
【0004】
ところで、記録用紙の表面への画像記録が終了した直後は、特に記録用紙の後端部分に吐出されたインク滴が乾いていない。したがって、その状態で当該記録用紙が逆送されると、一対の搬送ローラが当該記録用紙をニップした際にインクが搬送ローラに付着したり、記録された画像が乱れる場合がある。そのため、従来のインクジェット記録装置では、記録用紙の逆送の際に一対の搬送ローラが互いに離隔する手段が採用されたり(例えば、特許文献1参照)、記録用紙に吐出されたインクを乾燥させるために当該記録用紙を所定時間だけ待機させる手段が採用されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−331400号公報
【特許文献2】特開2004−224057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、記録用紙が逆送される際に一対の搬送ローラを互いに離隔させる機構は一般に複雑であり、インクジェット記録装置の製造コストが上昇してしまうという問題がある。
【0007】
また、一般に記録用紙にインク滴が吐出された場合、このインク滴が乾燥する過程において「コックリング」と称される現象が生じる。このコックリングとは、記録用紙に吐出されたインク滴の乾燥に伴って当該記録用紙が波打つように変形する現象をいう。前述のように、裏面への画像記録のために上記記録用紙が逆送される場合には、この記録用紙は、その後端側から上記一対の搬送ローラ間に突入する。このとき、従来のように、単に当該後端部分に吐出されたインク滴を乾燥させるために当該記録用紙が待機されると、当該後端部分にコックリング現象が生じる。コックリング現象が生じた後端部分が上記一対の搬送ローラ間に導かれた場合には、この後端部分がニップされずにジャムが発生しやすくなると共に、全体としての印刷時間が大幅に長くなってしまうおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ジャムの発生を防止して優れた画質の両面記録を迅速に行うことができるコスト安価なインクジェット記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 上記目的が達成されるため、本発明に係るインクジェット記録装置は、記録用紙にインク滴を吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドの上流側に配置され、搬送路に沿って記録用紙を搬送する搬送ローラ対と、記録ヘッドの下流側に配置され、記録用紙を搬送路から排出する排紙ローラ対と、搬送ローラを逆転させ、記録用紙の表裏を反転させた後再び当該記録用紙を当該搬送ローラ対に搬送する用紙反転機構と、記録用紙の表面への画像記録の際に、当該記録用紙の後端が搬送ローラから外れる位置まで当該記録用紙を搬送させてから第1の所定時間内に排紙ローラ対を逆転させて当該記録用紙の後端を搬送ローラ対のニップ部から搬送ローラ対の上ローラの半径領域まで搬送する制御手段とを備えている。
【0010】
この構成によれば、搬送路を搬送される記録用紙の表面にインクジェット記録ヘッドによって画像が記録される。この記録用紙は、用紙反転機構によって表裏反転された後、上記搬送路に戻される。搬送路に戻された記録用紙は、搬送ローラ対によって再び上記搬送路を搬送され、インクジェット記録ヘッドによってその裏面に画像が記録される。
【0011】
記録用紙の表面への画像記録が終了した際に、当該記録用紙は、その後端が搬送ローラ対から外れる位置まで搬送される。その後、この記録用紙は、第1の所定時間内に、その後端が搬送ローラ対のニップ部から搬送ローラ対の上ローラの半径領域(以下、本明細書において、この領域は、「ジャム回避領域」と称される。)に進入するように逆送される。この場合、上記「第1の所定時間」とは、例えば、この記録用紙の後端部に吐出されたインク滴が乾燥するまでの時間である。なお、用紙後端検知センサにより、この記録用紙の後端は、画像記録の際に当該記録用紙の後端が検知されるように構成されていてもよい。この用紙後端センサは、記録用紙の後端を検知したときに、後端検知信号を出力するように構成されていてもよい。
【0012】
一般に、記録用紙にインク滴が吐出された場合には、このインク滴が乾燥する過程において当該記録用紙が波形に撓む現象(コックリング現象)が生じる。ところが、この発明では、上記第1の所定時間内に当該記録用紙の後端が上記ジャム回避領域に進入しているから、その後に上記インク滴が乾燥してコックリング現象が生じた場合であっても、当該記録用紙の後端が上記搬送ローラ対のニップ部に到達するように逆送されると、当該記録用紙は、ジャム現象を起こすことなく搬送ローラ対によって正常にニップされる。しかも、この記録用紙がニップされるときは、すでに上記インク滴が乾燥しているから、インクの滲み等が発生することはない。
【0013】
(2) 上記制御手段は、上記記録用紙の後端が上記搬送ローラ対から外れる位置まで搬送された後、上記排紙ローラ対を逆転させて当該記録用紙の後端を上記搬送ローラ対のニップ部まで逆送し、その状態で第2の所定時間だけ待機させ、その後上記排紙ローラ対の逆転を再開して当該記録用紙を上記用紙反転機構へ搬送するものであるのが好ましい。この構成では、上記記録用紙の後端が上記ニップ部に達した状態で、当該記録用紙の搬送が第2の所定時間だけ待機されるので、当該記録用紙は、当該待機時間内に完全に乾燥される。したがって、当該記録用紙が逆送され、上記用紙反転機構へ搬送された場合に、インクの滲みや搬送ローラ対へのインクの付着等の不具合が確実に防止される。
【0014】
(3) 上記制御手段は、上記排紙ローラ対を逆転させて上記記録用紙の後端を上記上ローラの半径領域に進入させるときの逆送速度が当該記録用紙への画像記録時の搬送速度に比して低速となるように制御するものであるのが好ましい。上記逆送速度が当該記録用紙への画像記録時の搬送速度よりも低速に設定されることにより、ジャムの発生がより確実に防止される。
【0015】
(4) 上記制御手段は、上記排紙ローラ対の逆転を再開させて上記記録用紙の後端を上記搬送ローラ対にニップさせた後、当該記録用紙を上記用紙反転機構へ搬送するものであるのが好ましい。この構成では、搬送ローラ対が当該記録用紙をニップし、確実に用紙反転機構側へ搬送する。したがって、当該記録用紙の反転が確実に且つ迅速に行われる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ジャム現象が発生する大きな原因の一つであるコックリング現象が起こる前に当該記録用紙がジャム現象が発生しにくい領域に配置され得るから、たとえ記録用紙への両面縁なし記録が施された場合であっても、ジャム現象の発生が確実に防止される。しかも、記録用紙の搬送が制御されることによってジャム現象の発生が防止されるから、インクジェット記録装置の構造が複雑になることはなく、製造コストの上昇も抑えられるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る複合機10の外観斜視図である。
【0019】
複合機10は、下部にプリンタ部11及び図示されていない通信部を備えると共に、上部にスキャナ部12を一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)である。この複合機10は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能及びファクシミリ機能を有する。プリンタ部11は、本実施形態ではインクジェット記録装置として構成されており、そのため、この複合機10は、小型装置として構成されている。ただし、複合機10は、複数の給紙カセットや自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)を備えていてもよいことは勿論である。また、複合機10は、図示されていないパーソナルコンピュータと接続されて、当該コンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて記録用紙に画像や文書を記録するように構成されていてもよい。さらに、複合機10は、デジタルカメラと接続されて、当該デジタルカメラから出力される画像データを記録用紙に記録したり、各種記憶媒体が装填されることにより、当該記憶媒体に記録された画像データ等を記録用紙に記録するように構成されていてもよい。
【0020】
図1が示すように、複合機10は、概ね幅広薄型直方体の外形を呈し、複合機10の高さ寸法より横幅寸法及び奥行寸法が大きく設定されている。上記プリンタ部11は、正面に開口13を有する。給紙トレイ14及び排紙トレイ15は、この開口13に露出するようにして上下2段に設けられている。給紙トレイ14は、記録用紙を貯蔵するためのものであり、A4サイズ以下の、B5サイズ、はがきサイズ等の各種サイズの記録用紙が収容可能となっている。給紙トレイ14は、スライドトレイ16を備えている。必要に応じてスライドトレイ16が引き出されることにより、トレイ面が拡大されるようになっている。後に詳述されるが、給紙トレイ14に収容された記録用紙は、プリンタ部11の内部へ給送され、所定の画像が記録される。画像が記録された記録用紙は、排紙トレイ15へ排出されるようになっている。
【0021】
上記スキャナ部12は、いわゆるフラットベッドスキャナとして構成されている。複合機10は、原稿カバー17を備えている。原稿カバー17は、複合機10に対して開閉自在に設けられており、複合機10の天板として構成されている。原稿カバー17の下側に、図示されていないプラテンガラス及びイメージスキャナが設けられている。プラテンガラスは原稿を載置するためのものである。イメージスキャナは、このプラテンガラスの下方に設けられており、複合機10の幅方向にスライド可能である。イメージスキャナは、複合機10の幅方向にスライドしつつ原稿を走査する。
【0022】
複合機10の正面上部に操作パネル18が設けられている。この操作パネル18は、プリンタ部11やスキャナ部12の操作をするため、及びフラッシュメモリ等の記憶媒体やデジタルカメラから画像データを受信するための装置である。また、複合機10の下部に、プリンタ部11及びスキャナ部12の作動並びに複合機10全体の動作を制御する制御装置が備えられている。そして、上記通信部は、この制御装置により構成されている。この制御装置の構成については、後に詳述される。
【0023】
複合機10は、上記操作パネル18からの操作指示に基づき、あるいはプリンタドライバを介して上記コンピュータから送信される指示に基づいて動作するようになっている。この操作パネル18は、各種操作ボタン36及び液晶パネル29を備えている。上記各操作ボタン36が操作されることにより、プリンタ部11等が操作され、例えば、種々の印刷モードが設定されるようになっている。この印刷モードとは、プリンタ部11による印刷の態様を決定するものであって、片面記録設定、両面記録設定のほか、印刷解像度及び用紙サイズ(はがきサイズ、A4サイズ等)の設定を含む。
【0024】
複合機10の正面の左上部にスロット部19が設けられている。記憶媒体である各種小型メモリカードがこのスロット部19に装填されるようになっている。このスロット部19は、小型メモリーカード等の記憶媒体が装填されることにより、当該記憶媒体から画像データを受信する。小型メモリーカードに記憶された画像データは、上記液晶パネル29に表示される。そして、操作パネル18が操作されることにより、小型メモリーカードに記憶された任意の画像がプリンタ部11によって印刷される。このとき、操作ボタン36が操作されることによって、小型メモリーカードに記憶された画像のうち指定された画像のみが印刷されるようになっていてもよい。
【0025】
図2は、複合機10のプリンタ部11の構造を示す模式図である。同図において、紙面に垂直な方向が複合機10の幅方向である。
【0026】
複合機10の底部に給紙トレイ20が設けられている。この給紙トレイ20の奥側(図中右側)には、給紙トレイ20に積載された記録用紙を分離して上方へ案内するための分離傾斜板21が配設されている。この分離傾斜板21から上方へ向かって搬送路22が形成されている。搬送路22は、上方へ延びた後に左方へ湾曲し、複合機10の背面側から正面側へと延びている。さらに、この搬送路22は、画像記録部23を通過して排紙トレイ24へ通じている。したがって、給紙トレイ20に収容された記録用紙は、搬送路22により下方から上方へUターンするように案内されて画像記録部23に至る。この画像記録部23が搬送路22を搬送される記録用紙に画像記録を行った後、この記録用紙は、排紙トレイ24に排出されることとなる。この搬送路22に沿う方向が記録用紙の搬送方向である。
【0027】
給紙トレイ20の上側に給紙ローラ25が設けられている。給紙ローラ25は、給紙トレイ20に積載された記録用紙を1枚ずつ分離して搬送路22へ供給する。給紙ローラ25の構造は既知であって、本実施形態では、この給紙ローラ25は、給紙トレイ20に接離可能に上下動する給紙アーム26の先端に軸支されている。この給紙ローラ25は、図示されていない駆動伝達機構を介してモータに連結されている。この駆動伝達機構は、複数のギアが噛合されて構成され得る。そして、上記モータが作動することにより、その駆動力が給紙ローラ25に伝達され、給紙ローラ25が回転するようになっている。回転する給紙ローラ25は、上記記録用紙を搬送路22へ送り出す。
【0028】
給紙アーム26は、基端軸27に支持されており、当該基端軸27の周りに回動可能に設けられている。これにより、給紙アーム26は、基端軸27を揺動中心として上下方向に揺動可能である。この給紙アーム26は、給紙トレイ20が装着された状態では、図示されていない給紙クラッチやバネ等により給紙トレイ20側に付勢されており、給紙トレイ20が取り外された状態で、上側へ跳ね上げられるようになっている。給紙アーム26が下側へ揺動することにより、その先端に軸支された給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙の表面に圧接し、その状態で、給紙ローラ25が回転する。給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間の摩擦力は、最上位置の記録用紙を分離傾斜板21へ送り出す。この送り出された記録用紙は、その先端が分離傾斜板21に当接して上方へ案内され、搬送路22へ送り込まれる。なお、給紙ローラ25によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その直下の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出される場合がある。しかし、この記録用紙は分離傾斜板21に当接することによって制止される。
【0029】
搬送路22は、画像記録部23等が配設されている箇所以外では、所定間隔で対向する外側ガイド面と内側ガイド面とにより区画形成されている。この複合機10では、外側ガイド面は、複合機10のフレームの内壁面により構成されており、内側ガイド面は、複合機10のフレーム内に設けられたガイド部材の表面によって構成されている。また、特に搬送路22が曲がっている箇所には、搬送コロが設けられていてもよい。同図では搬送コロが図示されていないが、搬送コロは、搬送路22の幅方向(同図において紙面に垂直な方向)を回転中心軸方向として回転自在に設けられていてもよい。搬送コロは、そのローラ面が上記外側ガイド面又は内側ガイド面に露出するように取り付けられる。この搬送コロが設けられることにより、記録用紙は、搬送路22が曲がっている箇所においてもガイド面に接触して円滑に搬送される。
【0030】
上記画像記録部23は、搬送路22が下方から上方へUターンした後の下流側に設けられている。前述のように、本実施形態では、プリンタ部11がインクジェット記録装置として構成されているので、上記画像記録部23は、インクジェット記録ヘッド部28(以下、「ヘッド部28」と称される。)を備えている。このヘッド部28と対向してプラテン41が設けられている。また、画像記録部23は、予めインクが貯留されたカートリッジタイプのインクタンク37を備えている。このインクタンクは、例えば、ブラックインク、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクをそれぞれ独立して貯留している。そして、インクタンク37から各色のインクが上記ヘッド部28に供給され、当該ヘッド部28がインク滴として吐出するようになっている。
【0031】
このヘッド部28は、図示されていないキャリッジに搭載されている。このキャリッジは、CRモータによって、同図において紙面に垂直な方向(以下、当該方向は「走査方向」と称される。)にスライドされる。ヘッド部28の位置及びスライド動作は、図示されていないキャリッジ用エンコーダ(CRエンコーダ)により監視されている。ヘッド部28は、スライドされつつインク滴を上記記録用紙に吐出し、これにより、当該記録用紙に画像が記録される。なお、インクタンク37からヘッド部28へのインクの供給手段及びヘッド部28からのインク滴の吐出手段については既知のものが採用され得る。
【0032】
上記ヘッド部28の搬送路上流側に駆動ローラ60及び押さえローラ61(搬送ローラ対)が設けられている。駆動ローラ60は、LFモータにより回転駆動されるようになっており、正転及び逆転が可能である。駆動ローラ60が正転することにより、記録用紙は搬送路下流側へ送られ、駆動ローラ60が逆転されることにより、記録用紙は搬送路上流側へ逆送される。これら駆動ローラ60及び押さえローラ61は、搬送路22を搬送される記録用紙を狭持し、プラテン41上へ送る。記録用紙の搬送は、図示されていない用紙搬送用エンコーダ(LFエンコーダ)により監視されている。具体的には、LFエンコーダは、駆動ローラ60の回転軸に設けられたエンコーダディスク及び回転するエンコーダディスクからパルスを読み取るフォトセンサからなる。したがって、上記駆動ローラ60の回転数がLFエンコーダによって検出されることによって上記記録用紙の搬送距離が算出される。この記録用紙の搬送距離は、後に詳述される制御装置が所定の演算に基づいて算出する。
【0033】
搬送路22の所定位置、具体的には上記駆動ローラ60及び押さえローラ61の搬送路上流側にレジストセンサ66(用紙後端センサ)が配置されている。このレジストセンサ66は、記録用紙が当該レジストセンサ66の位置に存在するか否かを二値(ON/OFF)判断することができる。したがって、搬送される記録用紙がこのレジストセンサ66を通過したときは、当該レジストセンサ66の出力が切り換わり、これが後端検知信号として上記制御装置に入力される。この後端検知信号に基づいて当該記録用紙の後端が検知されるようになっている。
【0034】
上記ヘッド部28の搬送路下流側に排紙ローラ62及び押さえローラ63(排紙ローラ対)が設けられている。排紙ローラ62は、上記駆動ローラ60を駆動するLFモータにより回転駆動されるようになっている。すなわち、排紙ローラ62は、図示されていない連動機構を介して駆動ローラ60と同期駆動されるようになっており、正転及び逆転が可能である。これら排紙ローラ62及び押さえローラ63は、インク滴が吐出された記録用紙を狭持し、排紙ローラ62は、正転することにより記録用紙を搬送路下流側へ送り、また、逆転することにより記録用紙を上流側へ逆送する。この場合の記録用紙の搬送についても、上記LFエンコーダが監視している。したがって、このLFエンコーダが上記排紙ローラ62の回転数を上記駆動ローラ60を介して検出することによって、上記記録用紙の搬送距離が算出される。この記録用紙の搬送距離は、後に詳述される制御装置が所定の演算に基づいて算出する。
【0035】
上記押さえローラ61は、上記駆動ローラ60を所定の押圧力で押圧するように駆動ローラ60に対して弾性付勢されている。したがって、駆動ローラ60と押さえローラ61との間に記録用紙が進入した場合には、押さえローラ61は、記録用紙の厚み分だけ弾性的に退避しつつ駆動ローラ60と協働して記録用紙を狭持する。すなわち、この駆動ローラ60と押さえローラ61とが接触する部位が記録用紙を挟持するニップ部84(図4参照)を構成する。このように記録用紙がニップされるので、駆動ローラ60の回転力は、確実に記録用紙へ伝達される。他方、上記押さえローラ63も上記排紙ローラ62に対して同様に設けられている。ただし、本実施形態では、押さえローラ63は、記録済みの記録用紙に圧接されるので、記録用紙に記録された画像を劣化させないようにローラ面が拍車状に形成されている。
【0036】
駆動ローラ60及び押さえローラ61に狭持された記録用紙は、所定の改行幅でプラテン41上を間欠的に搬送される。ヘッド部28は、記録用紙の改行ごとに上記走査方向にスライドされ、記録用紙の先端側から画像記録を行う。画像記録が行われた記録用紙は、その先端側から排紙ローラ62及び押さえローラ63に狭持される。すなわち、記録用紙は、その先端側を排紙ローラ62及び押さえローラ63に、その後端側を駆動ローラ60及び押さえローラ61に狭持された状態で所定の改行幅で間欠して搬送され、このように搬送されつつヘッド部28によって画像の記録が行われる。特に、いわゆる縁なし記録の場合には、記録用紙の後端まで記録されるから、この記録用紙は、その後端が駆動ローラ60及び押さえローラ61を通過した後も搬送される。すなわち、この記録用紙は、駆動ローラ60及び押さえローラ61から開放された後も、排紙ローラ62及び押さえローラ63によって所定の改行幅で間欠して搬送される。記録用紙の所定領域に画像が記録された後は、排紙ローラ62が連続的に回転駆動され、排紙ローラ62及び押さえローラ63により狭持された記録用紙は、排紙トレイ24へ排出される。
【0037】
記録用紙の表裏両面に画像が記録される場合には、当該記録用紙の表面に画像記録がなされた後に、上記搬送ローラ60及び上記排紙ローラ62が逆転する。これにより、この記録用紙は搬送路22を逆送され、当該搬送路22から退避される。上記搬送ローラ60及び押さえローラ61よりも搬送路上流側に用紙反転機構68が設けられている。この用紙反転機構68は、表面に画像記録がなされた記録用紙を上記搬送路22の外で表裏反転させて再び当該搬送路22に導く。表裏反転された記録用紙は、再び上記プラテン41上に送られ、ヘッド部28によって画像記録がなされる。ここで、「表裏反転」とは、当該記録用紙の先端と後端とが逆になり且つヘッド部28に対して当該記録用紙の表裏が逆になることをいう。
【0038】
この用紙反転機構68は、第1反転ローラ69及び第1押さえローラ70と、第2反転ローラ71及び第2押さえローラ72とを備えている。用紙反転機構68は、同図において二点鎖線で示される反転経路74を形成しており、上記搬送路22を逆送された記録用紙は、この反転経路74を搬送されることによって表裏反転される。
【0039】
第1押さえローラ70は、第1反転ローラ69を所定の押圧力で押圧するように当該第1反転ローラ69に対して付勢されている。第1反転ローラ69が回転することにより、上記記録用紙は、矢印の方向に沿って上記反転経路74の下流側に送られる。この反転経路74の下流側に上記第2反転ローラ71及び第2押さえローラ72が設けられている。この第2反転ローラ71及び第2押さえローラ72は、上記第1反転ローラ69及び第1押さえローラ70と同様の構成である。第2押さえローラ72は、第2反転ローラ71を所定の押圧力で押圧するように当該第2反転ローラ71に対して付勢されている。したがって、反転経路74を下流側に搬送された記録用紙は、第2反転ローラ71及び第2押さえローラ72によって挟持され、さらに、この第2反転ローラ69が回転することによって当該反転経路74から再び上記搬送路22に戻される。
【0040】
このように記録用紙が搬送路22に戻されたときには、当該記録用紙の表裏が反転している。この記録用紙は、上記後端側から上記駆動ローラ60及び押さえローラ61に挟持され、上記プラテン41上に搬送される。このとき、当該記録用紙の裏面が上記ヘッド部28と対向することになる。その後、記録用紙の表面への画像記録と同様に、ヘッド部28が上記走査方向にスライドしつつ当該記録用紙の裏面に画像記録を行う。裏面への画像記録が行われた記録用紙は、上記排紙ローラ62及び押さえローラ63に狭持され、搬送路22の下流側に搬送された後、排紙トレイ24へ排出される。このような要領で、記録用紙への両面記録が行われる。
【0041】
図3は、複合機10の制御装置の構成を示すブロック図である。
【0042】
同図が示すように、本実施形態に係る複合機10に搭載される制御装置31(制御手段)は、中央処理部32を備えている。この中央処理部32は、CPU(Central Processing Unit)33、ROM(Read Only Memory)34及びRAM(Random Access Memory)35を備えている。また、中央処理部32は、バス39及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)40を介して、各種センサ(レジストセンサ66、LFエンコーダ75、CRエンコーダ76等)、LFモータ77、CRモータ81、ヘッド部28、スロット部19、操作パネル18、液晶パネル29、パーソナルコンピュータ38、スキャナ部12等とデータ送受信可能に接続されている。
【0043】
ROM34は、複合機10の各種動作を制御するためのプログラム等を記憶している。RAM35は、CPU33が上記プログラムを実行するために必要な各種データを一時的に記憶する記憶領域又は作業領域として使用される。ASIC40は、CPU33からの指令にしたがい、上記LFモータ77やCRモータ81等を駆動するための信号を出力する。これら各信号に基づき、プリンタ部11及びスキャナ部12等の作動が総合的に制御されるようになっている。
【0044】
CPU33は、ROM34に記憶されたプログラムを読み込んで一時的にRAM35に記憶する。CPU33は、後述されるように、当該プログラムにしたがって記録用紙の後端位置を把握し、LFモータ77を駆動して記録用紙を搬送し、また、CRモータ81及びヘッド部28を駆動して当該記録用紙に画像を記録する。また、操作パネル18が操作されることによって、記録用紙への印刷モード(例えば、片面印刷/両面印刷の設定、縁有り/縁無し印刷の設定、印刷解像度の設定、用紙サイズや印刷枚数等)が決定される。
【0045】
各種センサ66等、LFモータ77、CRモータ81、スキャナ部12、操作パネル18、液晶パネル29、パーソナルコンピュータ38、スロット部19等は、ASIC40に接続されている。また、ASIC40と操作パネル18及び液晶パネル29との間で信号を送受信するためのインターフェイス(I/F)が設けられている。さらに、パーソナルコンピュータ38やスロット部19に装着された記憶媒体から送信される画像データや文書データに基づいて記録用紙に画像や文書が記録され得ることから、パーソナルコンピュータ38とデータを送受信するためのインタフェース(I/F)、スロット部19とデータを送受信するためのインターフェイス(I/F)も備えられている。
【0046】
ASIC40には、NCU(Network Control Unit )64及びMODEM65が接続されている。これらNCU64及びMODEM65は、上記ファクシミリ機能を実現する。NCU64及びMODEM65が外部からファクシミリデータを受信すると、NCU64は、このファクシミリデータをRAM35に一時記憶させるようになっている。上記CPU33は、上記プログラムにしたがって当該ファクシミリデータを印刷するための印刷データに変換する。CPU64は、この印刷データに基づき、上記プログラムにしたがってLFモータ77を駆動して記録用紙を搬送しつつCRモータ81及びヘッド部28を駆動して当該記録用紙に画像を記録する。これにより、上記ファクシミリデータが画像として記録用紙上に出力される。ファクシミリデータの出力態様としては、RAM35に一旦記憶された後に印刷される態様のほか、いわゆるオンデマンド受信により印刷出力される態様でもよいし、複合機10に接続されたパーソナルコンピュータのメモリに出力される態様でもよい。
【0047】
図4は、本実施形態に係る複合機10の要部拡大図であり、駆動ローラ60及び排紙ローラ62によって記録用紙82が搬送される要領を図示している。また、図5は、この複合機10による縁なし両面印刷の要領を示すフローチャートである。
【0048】
この複合機10は、次の要領で記録用紙82の表面及び裏面に画像を縁なし印刷する。この場合、画像記録に先立って、操作パネル18が操作されることにより、印刷モードが両面印刷及び縁なし印刷に設定される。もっとも、このような印刷モードは、当該複合機10の印刷モードのうちの一例であって、縁有り印刷や、片面印刷が設定されることもあり得る。
【0049】
印刷が開始されると、給紙ローラ25が作動し、記録用紙82が給紙トレイ20から引き出される。この記録用紙82は、搬送路22に沿って移動し、レジストセンサ66を通過した後、駆動ローラ60及び押さえローラ61によってニップされ、さらにプラテン41上に配置される(ステップS1)。続いてこの記録用紙82は、駆動ローラ60によって搬送路下流側に搬送され、ヘッド部28がインク滴を吐出することによって当該記録用紙82の表面に所定の画像が記録される(ステップS2)。本実施形態では、この記録用紙82に縁なし印刷が行われるから、上記画像は、この記録用紙82の縁部まで記録される。これにより、記録用紙82の表面への画像記録が終了する(ステップS3)。
【0050】
次に、記録用紙82の裏面への画像記録が実施されるために、当該記録用紙82が表裏反転される。まず、レジストセンサ66が当該記録用紙82の後端83を検知したかどうかが判断される(ステップS4)。前述のように、本実施形態では縁なし印刷が行われるから、記録用紙82の縁部までインク滴が吐出される。したがって、この記録用紙82は、印刷中に駆動ローラ60と押さえローラ61とのニップ部84から離脱し、表面への画像記録が終了した時点で、この記録用紙82の後端83は、上記ヘッド部28の直下に位置することになる。
【0051】
レジストセンサ66が記録用紙82の後端83を検出していない場合、例えば、印刷モードが縁有り印刷に設定されている場合等、表面への画像記録が終了した時点で当該記録用紙82の後端83が上記ニップ部84にて挟持されている場合には、当該後端83を検出するまで(すなわち、当該記録用紙82の後端83がレジストセンサ66を通過するまで、特に本実施形態では、レジストセンサ66を通過して上記ニップ部84から外れるまで)当該記録用紙82が搬送路下流側へ搬送される(ステップS5)。
【0052】
レジストセンサ66が記録用紙82の後端83を検出した場合、すなわち、本実施形態のように、記録用紙82の表面への画像記録が終了した時点で、当該記録用紙82の後端83が上記ヘッド部28の直下に位置する場合には、レジストセンサ66は、記録用紙82の後端83を検知して後端検知信号を出力すると共に、制御装置31は、この後端検知信号並びに駆動ローラ60に対応するLFエンコーダの出力によって当該記録用紙82の後端83の位置を正確に把握する。この距離は、図4においてx1として表されており、ニップ部84を基準として左方が当該x1の正の方向である。
【0053】
次に、当該記録用紙82の長さが両面印刷に適合するものであるかどうかが判断される(ステップS6)。具体的には、両面印刷が行われるためには、上記用紙反転機構68によって記録用紙82が反転されなければならないから、主として反転経路74の長さに起因して当該記録用紙82の長さは、所定の範囲内(長さL1以上L2以下)になければならない。例えば、長さL2は、図2において駆動ローラ60から反転経路74を経て再び当該駆動ローラ60に至る経路の長さであり、長さL1は、第2反転ローラ71から反転経路74を経て駆動ローラ60に至る経路の長さである。記録用紙82の長さがL1より小さい場合やL2より大きい場合は、当該記録用紙82が反転されず、したがって、表面への画像記録の後、この記録用紙82は、そのまま搬送路下流側に搬送され排紙される(ステップS7)。なお、記録用紙82の長さは、給紙された記録用紙82の先端が上記レジストセンサ66を通過した後、当該記録用紙82の後端83が当該レジストセンサ66を通過するまでの間の当該記録用紙82の搬送距離によって把握され得る。
【0054】
記録用紙82の長さが一定の範囲内であれば、次に、上記距離x1が負の値であるかどうかが判断される。つまり、記録用紙82が上記ニップ部84にてニップされているかどうかが判断される(ステップS8)。この距離x1が負の値をとる場合には、記録用紙82は、上記ニップ部84にてニップされていることになる。この場合、一旦記録用紙82の搬送が中断され、記録用紙82が所定時間t1だけ待機される(ステップS13)。この記録用紙82の待機時間t1は、記録用紙82の表面に吐出されたインク滴が乾燥するために必要かつ十分な時間である。
【0055】
上記距離x1がゼロ又は正の値を取る場合には、さらに上記距離x1が距離(D1+α)よりも小さい値であるかどうかが判断される(ステップS9)。ここで、距離D1は、押さえローラ61の半径寸法の値であって、本実施形態では、この距離D1は、上記ニップ部84から押さえローラ61(搬送ローラ対の上ローラ)の外縁までの領域(半径領域)を規定する。なお、駆動ローラ60が押さえローラ61の上方に配置される場合には、上記距離D1は、この駆動ローラ60の半径寸法の値となる。また、上記数値αは、所定の正の値をとり、本実施形態では、例えば2.0mmに設定されている。さらに、上記ニップ部84から距離D1内の領域は、当該ニップ部84及び押さえローラ61の外縁によって決定され、当該領域は、記録用紙83のジャムを回避する「ジャム回避領域」と定義される。
【0056】
このステップS9において、上記距離x1が上記距離(D1+α)以上であるとき、すなわち、本実施形態のように、表面への画像記録が終了した時点で、記録用紙82の後端83が上記ヘッド部28の直下に位置する場合には(図4参照)、当該記録用紙82が矢印85の方向に逆送される(ステップS10)。このときの逆送速度は、v1である。本実施形態では、この逆送速度v1は、上記画像記録が行われている際の当該記録用紙82の搬送速度よりも低速に設定されている。すなわち、当該記録用紙82は、緩やかに上記ジャム回避領域に進入する。ただし、この逆送速度v1は、例えば、排紙ローラ62による記録用紙82の排紙速度と同等の速度に設定され得るし、また、この逆送速度v1は、排紙ローラ62の最大送り速度に設定されてもよいことは勿論である。
【0057】
上記距離x1が上記距離(D1+α)よりも小さくなったとき、すなわち、速度v1で逆送される記録用紙82の後端83がジャム回避領域の近傍に進入した場合には、この記録用紙82の逆送速度が減速され(ステップS11)、その後、この記録用紙82の後端83がジャム回避領域に進入したときに、この記録用紙82は、矢印85の方向に速度v2で逆送される(ステップS12)。換言すれば、記録用紙82の後端83がジャム回避領域に進入する直前から当該記録用紙82が制動されて上記逆送速度が減速され始め、当該記録用紙82の後端83が速度v2でジャム回避領域に進入することになる。そして、上記ジャム回避領域の直前の位置が上記数値αによって規定されており、この数値αは、記録用紙82の逆送速度に応じて適宜設計変更され得るものである。このときの逆送速度v2は、上記速度v1よりも小さく設定されている。具体的には、この逆送速度v2は、記録用紙82が上記ジャム回避領域に進入したときに、仮に上記駆動ローラ60又は押さえローラ61に衝突したとしても、当該記録用紙82が蛇腹状に変形しないような速度である。
【0058】
記録用紙82が速度v2で逆送されるときに、当該記録用紙82の後端83が上記ニップ部84に到達したかどうかが判断される(ステップS13)。すなわち、上記距離x1がゼロであるかどうかが判断される。そして、記録用紙82の後端83が上記ニップ部84に到達していない場合には、そのまま速度v2で逆送が続けられる(ステップS12)。
【0059】
記録用紙82の後端83が上記ニップ部84に到達した場合には(x1=0)、前述のように、一旦記録用紙82の搬送が中断され、記録用紙82が待機される(ステップS14)。すなわち、記録用紙82の後端83が上記ニップ部84に到達した状態で、排紙ローラ62の駆動が所定時間t1(第2の所定時間)だけ停止される。この記録用紙82の待機時間t1は、記録用紙82の後端83近傍の表面に吐出されたインク滴が乾燥するために必要かつ十分な時間である。
【0060】
上記待機時間t1が経過した後、排紙ローラ62が再び駆動され、記録用紙82が逆送される(ステップS15)。このときの逆送速度はv3(第3の逆送速度)である。この速度v3は、上記速度v2よりも大きく設定されている。この速度v3は、駆動ローラ60の最大送り速度に設定されてもよい。上記ニップ部84に到達した記録用紙82が逆送されることにより、当該記録用紙82は、上記ニップ部84にてニップされる。すなわち、このステップS14では、上記駆動ローラ60も逆転駆動され、当該記録用紙82を逆送することになる。
【0061】
排紙ローラ62及び駆動ローラ60によって搬送路22を逆送された記録用紙82は、上記反転経路74(図2参照)に進入する。そして、用紙反転機構68の第1反転ローラ69が駆動され、当該記録用紙82が当該反転経路74に沿って搬送される(ステップS16)。さらに、この記録用紙82が第2反転ローラ71に到達したときに、この第2反転ローラ71が駆動され、当該記録用紙82は、この反転経路74から上記搬送路22に戻される(ステップS17)。このとき、記録用紙82は、表裏反転されており、当該記録用紙82の先端と後端とが逆になり且つ当該記録用紙82の裏面が上記ヘッド部28と対向している。
【0062】
搬送路22に戻された記録用紙82は、前述のステップS1、S2と同様に、当該搬送路22に沿って移動し、レジストセンサ66を通過する。駆動ローラ60及び押さえローラ61は、この記録用紙82をニップし、プラテン41上に送る。さらに、当該記録用紙82は、駆動ローラ60によって搬送路下流側に搬送され、ヘッド部28がインク滴を吐出することによって当該記録用紙82の裏面に所定の画像が記録される(ステップS18)。記録用紙82の裏面への画像記録が終了すると、当該記録用紙82は、排紙ローラ62によって排紙トレイ15へ排出される(ステップS19)。
【0063】
このように、本実施形態に係る複合機10では、記録用紙82の表面への印刷の後に続いて裏面に印刷が行われる際に、表面に吐出されたインク滴が乾いた後に当該記録用紙82が表裏反転され、裏面への印刷が行われる。したがって、記録用紙82が逆送される際に、表面に吐出されたインクが駆動ローラ60に付着したり、画像が乱れてしまうことがない。
【0064】
しかも、記録用紙82の表面への画像記録が終了した時点で、当該記録用紙82の後端83の位置が把握され、この後端83が上記ジャム回避領域の外に位置する場合には、当該記録用紙82が上記速度v1で逆送される。すなわち、記録用紙82の表面に吐出されたインク滴が乾燥しながらコックリング現象が発生する過程において、当該記録用紙82の後端83が押さえローラ61の中心を通る仮想線IL(図4参照)よりも上側領域まで変形する前に(第1の所定時間内に)、この記録用紙82は、その後端83が上記ジャム回避領域に進入するように逆送される。その後、この記録用紙82の後端83が上記駆動ローラ60及び押さえローラ61によってニップされ、当該記録用紙82が用紙反転機構68へ送られる。したがって、記録用紙82の後端83が上記ジャム回避領域に進入した後にコックリング現象が生じた場合であっても、記録用紙82の後端83は、ジャムを起こすことなく駆動ローラ60及び押さえローラ61のニップ部に進入する。なお、上記第1の所定時間は、記録用紙82の材質や吐出されるインク滴の量等によって異なる。そのため、記録用紙82の材質やインク滴の量に応じて上記速度v1が変更されるように構成されていてもよい。
【0065】
換言すれば、この複合機10によれば、ジャム現象が発生する大きな原因の一つであるコックリング現象が起こる前に記録用紙82がジャム回避領域に配置されるから、記録用紙82への表裏両面への縁なし印刷が行われる場合にジャム現象の発生が確実に防止される。しかも、本実施形態では、記録用紙82の搬送が制御されることによってジャム現象の発生が防止されるから、複合機10構造が複雑になることはなく、製造コストの上昇も抑えられる。
【0066】
また、記録用紙82の表面に画像記録がなされた後に記録用紙82が反転される際に、当該記録用紙82の後端83が上記ジャム回避領域に高速で進入する場合(例えば上記速度v1が排紙ローラ62による記録用紙82の排紙速度と同等の速度に設定された場合)には、この記録用紙82は、その表面からインク滴が乾燥する前に確実に上記ジャム回避領域に進入することができる。また、本実施形態では、この記録用紙82は、低速で(上記速度v2で)上記ニップ部84まで送られるから、記録用紙82の後端83はより確実にニップされる。したがって、ジャムの発生が確実に回避される。
【0067】
また、本実施形態では、上記記録用紙82の後端83が上記速度v2で上記ニップ部84に到達したときに、所定時間t1だけ待機されるから(ステップS14)、この記録用紙82は、当該待機中に完全に乾燥される。したがって、記録用紙82が逆送された場合に、インクの滲みや駆動ローラ60へのインクの付着等の不具合が確実に防止される。
【0068】
さらに、上記記録用紙82は、上記ニップ部84から逆送される際に、上記速度v3で送られるから、比較的高速で送られる。しかも、この速度v3は、駆動ローラ60の最大送り速度に設定され得るから、画像記録に要する時間がより短縮され得るという利点がある。
【0069】
加えて、本実施形態では、駆動ローラ60及び押さえローラ61が記録用紙82をニップし、確実に用紙反転機構68へ搬送する。したがって、この記録用紙82の反転が確実に且つ迅速に行われるという利点がある。
【0070】
次に、本実施形態の変形例が説明される。
【0071】
上記実施形態では、記録用紙82が完全に乾燥されるために当該記録用紙82の搬送が所定時間t1だけ待機されるのに対し(ステップS14)、本変形例では、上記逆送速度v2(ステップS12)が所要の速度に設定される。この所要の速度とは、記録用紙82の後端83が上記ジャム回避領域に進入してから上記ニップ部84に到達するまでの間に当該記録用紙82の後端83近傍に吐出されたインク滴が乾燥するために必要且つ十分な速度である。この場合には、記録用紙82の後端83は、上記インク滴が確実に乾燥した後に上記ニップ部84に進入するから、駆動ローラ60へのインク滴の付着が確実に防止される。なお、本変形例では、上記速度v2が上記所要の速度に設定されることにより、上記ステップS13は省略されてもよい。その場合には、画像記録に要する時間(給紙から排紙までの時間)がさらに短縮されるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、インクジェット記録装置及びこれを備えた複合機に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る複合機の外観斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る複合機のプリンタ部の構造を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る複合機の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る複合機の要部拡大図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る複合機による縁なし両面印刷の要領を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
10・・・複合機
11・・・プリンタ部
22・・・搬送路
23・・・画像記録部
28・・・ヘッド部
31・・・制御装置
41・・・プラテン
60・・・駆動ローラ
61・・・押さえローラ
62・・・排紙ローラ
63・・・押さえローラ
66・・・レジストセンサ
68・・・用紙反転機構
75・・・LFエンコーダ
77〜80・・・LFモータ
82・・・記録用紙
83・・・記録用紙の後端
84・・・ニップ部




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013