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発明の名称 インクジェットヘッド及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30417(P2007−30417A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−219392(P2005−219392)
出願日 平成17年7月28日(2005.7.28)
代理人 【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之
発明者 今井 浩司
要約 課題
最大定格値の小さいドライバICが用いられた場合や全インク吐出チャンネルから同時にインクを吐出する場合においても、ドライバICが破壊されにくくする。

解決手段
インクジェットヘッド30の配線部材60は、ドライバIC80が実装されたFPC61とFFC71とを有している。FFC71には、信号配線75、低電位配線76及び高電位配線78が形成されている。FPC61は、ドライバIC80と個別電極とを電気的に接続する個別配線63と、信号配線75とドライバIC80とを電気的に接続する信号配線65と、高電位配線78とドライバIC80とを電気的に接続する高電位配線68と、共通電極と電気的に接続された共通配線66と、低電位配線76及びドライバIC80とを電気的に接続するとともに低電位配線76の一部を介して共通配線と電気的に接続された低電位配線67とを含んでいる。
特許請求の範囲
【請求項1】
圧電層、インク吐出チャンネル毎に前記圧電層の一方の面に形成された複数の個別電極、及び、前記圧電層を挟んで前記複数の個別電極と対向する共通電極を含み、インクに吐出エネルギーを付与するための圧電アクチュエータと、
低電位状態とこれよりも電位の高い高電位状態とを交互に繰り返す、前記個別電極に供給される駆動信号を生成するドライバICと、
複数の第1配線が形成された第1ケーブルと、
前記ドライバICが実装されていると共に、前記複数の第1配線と電気的に接続された複数の第2配線と、前記ドライバICと前記複数の個別電極とを電気的に接続して、前記ドライバICで生成された駆動信号を前記複数の個別電極に供給する複数の個別配線とが形成された第2ケーブルとを備えており、
前記複数の第1配線が、
前記ドライバICにおいて前記駆動信号を生成するために用いられる印字信号を供給する複数の第1信号配線と、
前記ドライバICに駆動電圧を付与するために印字時に高電位が印加される第1高電位配線と、
前記ドライバICに駆動電圧を付与するために印字時に前記高電位よりも低電位が印加される第1低電位配線とを含んでおり、
前記複数の第2配線が、
前記複数の第1信号配線と前記ドライバICとを電気的に接続する複数の第2信号配線と、
前記第1高電位配線と前記ドライバICとを電気的に接続する第2高電位配線と、
前記共通電極と電気的に接続された共通配線と、
前記第1低電位配線と前記ドライバICとを電気的に接続するとともに前記第1低電位配線の一部を介して前記共通配線と電気的に接続された第2低電位配線とを含んでいることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記共通配線及び前記第2低電位配線の各々の接合端子は、ともに前記第1低電位配線の接合端子と接合されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記共通配線と前記第2低電位配線とが、前記圧電アクチュエータからの前記第2ケーブルの引き出し方向と直交する方向に関して、互いに隣接していることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記共通配線及び前記第2低電位配線の各々の接合端子が、前記第1配線の接合端子との接合個所付近において、前記引き出し方向に関して互いに隣接していることを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記共通配線及び前記第2低電位配線の各々の接合端子の先端が、互いに隣接していることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記共通配線及び前記第2低電位配線の各々の接合端子には、互いに入り組む凸部及び凹部の少なくとも一方が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
前記共通配線と前記第2低電位配線のそれぞれの先端が、前記引き出し方向に直交する方向に関して同じ位置にあることを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッド。
【請求項8】
前記共通配線及び前記第2低電位配線の各々の先端に、前記共通配線及び前記第2低電位配線の各々の接合端子が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項9】
圧電層、インク吐出チャンネル毎に前記圧電層の一方の面に形成された複数の個別電極、及び、前記圧電層を挟んで前記複数の個別電極と対向する共通電極を含み、インクに吐出エネルギーを付与するための圧電アクチュエータと、
低電位状態とこれよりも電位の高い高電位状態とを交互に繰り返す、前記個別電極に供給される駆動信号を生成するドライバICと、
複数の第1配線が形成された第1ケーブルと、
前記ドライバICが実装されていると共に、前記複数の第1配線と電気的に接続された複数の第2配線と、前記ドライバICと前記複数の個別電極とを電気的に接続して、前記ドライバICで生成された駆動信号を前記複数の個別電極に供給する複数の個別配線とが形成された第2ケーブルとを備えており、
前記複数の第1配線が、
前記ドライバICにおいて前記駆動信号を生成するために用いられる印字信号を供給する複数の第1信号配線と、
前記ドライバICに駆動電圧を付与するために印字時に高電位が印加される第1高電位配線と、
前記ドライバICに駆動電圧を付与するために印字時に前記高電位よりも低電位が印加される第1低電位配線と、
前記第1低電位配線とで前記第1高電位配線を挟む位置に配置され且つ前記低電位に保持される接地配線と、
前記第1高電位配線と電気的に接続されないように前記第1高電位配線を迂回しつつ前記第1低電位配線の先端と前記接地配線の先端とを電気的に接続する接続線とを含んでおり、
前記複数の第2配線が、
前記複数の第1信号配線と前記ドライバICとを電気的に接続する複数の第2信号配線と、
前記第1高電位配線と前記ドライバICとを電気的に接続する第2高電位配線と、
前記接地配線と前記共通電極とを電気的に接続する共通配線と、
前記第1低電位配線と前記ドライバICとを電気的に接続する第2低電位配線とを含んでいることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、
前記複数の個別電極と前記複数の個別配線とを電気的に接続されるように接合すると共に、前記共通電極と前記共通配線とを電気的に接続されるように接合する配線接合工程と、
前記第2高電位配線を高電位とし、前記第2低電位配線を前記高電位より低い中間電位とし且つ前記共通配線を前記中間電位より低い低電位とすることによって、前記圧電層において前記複数の個別電極と前記共通電極とによって挟まれた領域を分極する分極工程と、
前記分極工程後に、前記複数の第1配線と前記複数の第2配線とを電気的に接続されるように接合するケーブル取付工程とを備えていることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェットヘッド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のプレートが積層され内部に連通路が形成されたキャビティプレートと、一対の電極間に存在し且つ分極された圧電変形部を有する圧電アクチュエータと、圧電変形部に電圧を印加するドライバICを搭載したフレキシブルプリント配線板(FPC)とを備えたインクジェットヘッドの製造方法について記載されている。このインクジェットヘッドの製造方法においては、まず、キャビティプレートと非分極状態の圧電アクチュエータとを重ね合わせる。その後、圧電アクチュエータにFPCを半田付けする。そして、FPCに分極装置を接続し、圧電アクチュエータの圧電変形部を高電圧を印加することで分極する。このように圧電アクチュエータとFPCとを半田付けしてから複数の圧電変形部を分極することによって、半田付け時の熱で分極が劣化するのを防止している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−160372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のインクジェットヘッドにおいては、インク吐出チャンネルごとに設けられた個別電極とすべてのインク吐出チャンネルに共通の共通電極とに挟まれた圧電変形部に高電圧(70V)を印加することで圧電変形部を分極した後に、共通電極に接続された導線VSS3と、FPCに支持されたドライバICに低電位信号を供給する導線VSS2とを配線を介して接続している。これは、分極時には導線VSS3と導線VSS2とを互いに異なる電位(具体的には導線VSS3が−40Vで導線VSS2が0V)とすることで導線VDD2を介してドライバICから個別電極に供給される高電位信号の電位をできるだけ低い電位(30V)として分極時におけるドライバICの破壊を防止すると共に、印字時には導線VSS2と導線VSS3とに同じ電位を与えても支障がないために配線構造を簡略化するためである。
【0005】
特許文献1には、導線VSS3と導線VSS2とを接続する配線をFPC上のどの位置に設けるかが明記されていない。例えば、この配線が導線VSS3及び導線VSS2において最もドライバIC及び圧電アクチュエータから離れた端部近傍で導線VSS3と導線VSS2とを接続している場合の印字動作について考察する。インク吐出チャンネルが300個であってそのうちの299チャンネルが印字動作を行い残りの1チャンネルが印字動作を行わないとき、印字動作を行わないチャンネルに対応した個別電極の電位はハイレベルに固定されたままである。一方、印字動作を行うチャンネルに対応した個別電極の電位はハイレベルとローレベルとを交互に取るので、当該299個の圧電変形部から導線VSS3及び導線VSS2を介してドライバICへと電流が流れる。導線VSS3及び導線VSS2における電気抵抗値をそれぞれRとすると、この電流に伴う電圧降下により、各個別電極の電位は、ドライバICのグランド端子よりもE=I×299×R×2(V)だけ上昇する。例えば、I=20mA、R=0.5Ωとすると、E=5.95Vとなる。したがって、ドライバICの印字動作を行わない個別電極側の出力端子の電位は、導線VDD2の電位(30V)とE(5.95V)とを加えた電位(35.95V)となり、ドライバICの最大定格値を超え、ラッチアップ破壊する危険がある。また、配線が導線VSS3及び導線VSS2において最もドライバIC及び圧電アクチュエータから離れた端部近傍で導線VSS3と導線VSS2とを接続している場合、同様の理由により、インクジェットヘッドの製造過程において、静電破壊(ESD:Electrostatic discharge)によるドライバICの破壊が生じる危険性が高い。一方、このような破壊を防止するためにドライバICを最大定格値の大きなものに変更するのは、コスト上昇につながるため好ましくない。また、全インク吐出チャンネルから同時にインクが吐出されないようにすることによってドライバICの破壊を防止するのは、印字品質の低下につながる。
【0006】
本発明の目的は、最大定格値の小さいドライバICが用いられた場合や印字品質の低下を防止するために全インク吐出チャンネルから同時にインクを吐出する場合においても、ドライバICが破壊しにくいインクジェットヘッド及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明のインクジェットヘッドは、圧電層、インク吐出チャンネル毎に前記圧電層の一方の面に形成された複数の個別電極、及び、前記圧電層を挟んで前記複数の個別電極と対向する共通電極を含み、インクに吐出エネルギーを付与するための圧電アクチュエータと、低電位状態とこれよりも電位の高い高電位状態とを交互に繰り返す、前記個別電極に供給される駆動信号を生成するドライバICと、複数の第1配線が形成された第1ケーブルと、前記ドライバICが実装されていると共に、前記複数の第1配線と電気的に接続された複数の第2配線と、前記ドライバICと前記複数の個別電極とを電気的に接続して、前記ドライバICで生成された駆動信号を前記複数の個別電極に供給する複数の個別配線とが形成された第2ケーブルとを備えている。そして、前記複数の第1配線が、前記ドライバICにおいて前記駆動信号を生成するために用いられる印字信号を供給する複数の第1信号配線と、前記ドライバICに駆動電圧を付与するために印字時に高電位が印加される第1高電位配線と、前記ドライバICに駆動電圧を付与するために印字時に前記高電位よりも低電位が印加される第1低電位配線とを含んでいる。前記複数の第2配線が、前記複数の第1信号配線と前記ドライバICとを電気的に接続する複数の第2信号配線と、前記第1高電位配線と前記ドライバICとを電気的に接続する第2高電位配線と、前記共通電極と電気的に接続された共通配線と、前記第1低電位配線と前記ドライバICとを電気的に接続するとともに前記第1低電位配線の一部を介して前記共通配線と電気的に接続された第2低電位配線とを含んでいる。
【0008】
これによると、圧電アクチュエータに接続されるケーブルを先端側の第1ケーブルと圧電アクチュエータ側の第2ケーブルとの2本に分け、第2ケーブルに形成された第2低電位配線と共通配線とが第1低電位配線の一部を介して電気的に接続されているので、印字動作時に共通配線及び第2低電位配線に流れる電流による電圧降下を小さくすることができる。したがって、各個別電極の電位上昇が抑制されるので、印字品質の低下を抑制するために全インク吐出チャンネルから同時にインクを吐出した場合や最大定格値の小さいドライバICが用いられた場合であっても、ドライバICの個別電極側の出力端子の電位がドライバICの最大定格値を超えることがほとんどなくなり、ラッチアップ破壊や静電破壊がほとんど起こらなくなる。そのため、インクジェットヘッドの製造コストを低下させることができる。
【0009】
また、第1ケーブルに形成された第1配線と第2ケーブルに形成された第2配線とを接続する前には、第2ケーブルに形成された第2低電位配線と共通配線とが電気的に接続されていない。したがって、このときに第2高電位配線に高電位(例えば正電位)を、第2低電位配線に中間電位(例えば接地電位)を、共通配線に低電位(例えば負電位)を与えて圧電層の分極を行うようにすれば、第2高電位配線に与えられる高電位と第2低電位配線に与えられる中間電位との差を小さくすることができるため、分極時におけるドライバICの破壊を防止することができる。
【0010】
さらに、第2ケーブルに形成された第2低電位配線及び共通配線に対応する配線として第1ケーブルに形成されているのが第1低電位配線だけであるので、第1配線の本数を少なくすることができる。
【0011】
加えて、圧電アクチュエータに接続されるケーブルを先端側の第1ケーブルと圧電アクチュエータ側の第2ケーブルとの2本に分けているので、配線ピッチが狭いために高コストにならざるを得ない第2ケーブルの長さをできるだけ短くし、残りを第1ケーブルとすることができる。その結果、インクジェットヘッドの製造コストを低下させることができる。
【0012】
本発明において、前記共通配線及び前記第2低電位配線の各々の接合端子は、ともに前記第1低電位配線の接合端子と接合されることが好ましい。これにより、配線同士を接合するよりも容易に共通配線及び第2低電位配線を第1低電位配線と電気的に接続するように接合することができる。また、接合端子と接合されることにより、印字動作時に共通配線及び第2低電位配線に流れる電流による電圧降下を最も小さくすることができる。
【0013】
また、このとき、前記共通配線と前記第2低電位配線とが、前記圧電アクチュエータからの前記第2ケーブルの引き出し方向と直交する方向に関して、互いに隣接していてもよい。これにより、共通配線と第2低電位配線とを容易に接合することができる。加えて、第1ケーブルに規格品を適用することが可能になり、ヘッドの製造コストをより低下させることができる。
【0014】
また、このとき、前記共通配線及び前記第2低電位配線の各々の接合端子が、前記第1配線の接合端子との接合個所付近において、前記引き出し方向に関して互いに隣接していてもよい。これにより、共通配線と第2低電位配線とを容易且つ確実に接合することができる。
【0015】
また、このとき、前記共通配線及び前記第2低電位配線の各々の接合端子の先端が、互いに隣接していてもよい。また、このとき、前記共通配線及び前記第2低電位配線の各々の接合端子には、互いに入り組む凸部及び凹部の少なくとも一方が形成されていてもよい。これにより、共通配線と第2低電位配線とをより確実に接合することができる。
【0016】
また、このとき、前記共通配線と前記第2低電位配線のそれぞれの先端が、前記引き出し方向に直交する方向に関して同じ位置にあってもよい。これにより、分極時に、共通配線及び第2低電位配線の各々の接合端子の先端にピンプローブを接触させやすくなる。
【0017】
また、本発明において、前記共通配線及び前記第2低電位配線の各々の先端に、前記共通配線及び前記第2低電位配線の各々の接合端子が設けられていることが好ましい。これにより、配線同士の接合が容易になる。
【0018】
また、本発明のインクジェットヘッドは、別の観点では、圧電層、インク吐出チャンネル毎に前記圧電層の一方の面に形成された複数の個別電極、及び、前記圧電層を挟んで前記複数の個別電極と対向する共通電極を含み、インクに吐出エネルギーを付与するための圧電アクチュエータと、低電位状態とこれよりも電位の高い高電位状態とを交互に繰り返す、前記個別電極に供給される駆動信号を生成するドライバICと、複数の第1配線が形成された第1ケーブルと、前記ドライバICが実装されていると共に、前記複数の第1配線と電気的に接続された複数の第2配線と、前記ドライバICと前記複数の個別電極とを電気的に接続して、前記ドライバICで生成された駆動信号を前記複数の個別電極に供給する複数の個別配線とが形成された第2ケーブルとを備えている。そして、前記複数の第1配線が、前記ドライバICにおいて前記駆動信号を生成するために用いられる印字信号を供給する複数の第1信号配線と、前記ドライバICに駆動電圧を付与するために印字時に高電位が印加される第1高電位配線と、前記ドライバICに駆動電圧を付与するために印字時に前記高電位よりも低電位が印加される第1低電位配線と、前記第1低電位配線とで前記第1高電位配線を挟む位置に配置され且つ前記低電位に保持される接地配線と、前記第1高電位配線と電気的に接続されないように前記第1高電位配線を迂回しつつ前記第1低電位配線の先端と前記接地配線の先端とを電気的に接続する接続線とを含んでいる。前記複数の第2配線が、前記複数の第1信号配線と前記ドライバICとを電気的に接続する複数の第2信号配線と、前記第1高電位配線と前記ドライバICとを電気的に接続する第2高電位配線と、前記接地配線と前記共通電極とを電気的に接続する共通配線と、前記第1低電位配線と前記ドライバICとを電気的に接続する第2低電位配線とを含んでいる。
【0019】
これによると、圧電アクチュエータに接続されるケーブルを先端側の第1ケーブルと圧電アクチュエータ側の第2ケーブルとの2本に分け、第2ケーブルに形成された第2低電位配線と共通配線とが接続線を介して電気的に接続されているので、印字動作時に共通配線及び第2低電位配線に流れる電流による電圧降下を小さくすることができる。したがって、各個別電極の電位上昇が抑制されるので、印字品質の低下を抑制するために全インク吐出チャンネルから同時にインクを吐出した場合や最大定格値の小さいドライバICが用いられた場合であっても、ドライバICの個別電極側の出力端子の電位がドライバICの最大定格値を超えることがほとんどなくなり、ラッチアップ破壊や静電破壊がほとんど起こらなくなる。そのため、インクジェットヘッドの製造コストを低下させることができる。
【0020】
また、第1ケーブルに形成された第1配線と第2ケーブルに形成された第2配線とを接続する前には、第2ケーブルに形成された第2低電位配線と共通配線とが電気的に接続されていない。したがって、このときに第2高電位配線に高電位(例えば正電位)を、第2低電位配線に中間電位(例えば接地電位)を、共通配線に低電位(例えば負電位)を与えて圧電層の分極を行うようにすれば、第2高電位配線に与えられる高電位と第2低電位配線に与えられる中間電位との差を小さくすることができるため、分極時におけるドライバICの破壊を防止することができる。
【0021】
加えて、圧電アクチュエータに接続されるケーブルを先端側の第1ケーブルと圧電アクチュエータ側の第2ケーブルとの2本に分けているので、配線ピッチが狭いために高コストにならざるを得ない第2ケーブルの長さをできるだけ短くし、残りを第1ケーブルとすることができる。その結果、インクジェットヘッドの製造コストを低下させることができる。
【0022】
本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェットヘッドの製造方法において、前記複数の個別電極と前記複数の個別配線とを電気的に接続されるように接合すると共に、前記共通電極と前記共通配線とを電気的に接続されるように接合する配線接合工程と、前記第2高電位配線を高電位とし、前記第2低電位配線を前記高電位より低い中間電位とし且つ前記共通配線を前記中間電位より低い低電位とすることによって、前記圧電層において前記複数の個別電極と前記共通電極とによって挟まれた領域を分極する分極工程と、前記分極工程後に、前記複数の第1配線と前記複数の第2配線とを電気的に接続されるように接合するケーブル取付工程とを備えている。
【0023】
これによると、配線接合工程後であってケーブル取付工程前に、第2ケーブルに形成された第2低電位配線と共通配線とが電気的に接続されていない状態で圧電層の分極を行うので、第2高電位配線に高電位(例えば、正電位)を、第2低電位配線に中間電位(例えば接地電位)を、共通配線に低電位(例えば負電位)を与えて圧電層の分極を行うようにすれば、第2高電位配線に与えられる高電位と第2低電位配線に与えられる中間電位との差を小さくすることができるため、分極時におけるドライバICの破壊を防止することができる。
【0024】
また、ケーブル取付工程において第2ケーブルに形成された第2低電位配線と共通配線とを第1低電位配線の一部を介して電気的に接続するので、全インク吐出チャンネルから同時にインクが吐出されるとしても、印字動作時に共通配線及び第2低電位配線に流れる電流による電圧降下を小さくすることができる。したがって、各個別電極の電位上昇が抑制されるので、印字品質の低下を抑制するために全インク吐出チャンネルから同時にインクを吐出した場合や最大定格値の小さいドライバICが用いられた場合であっても、ドライバICの個別電極側の出力端子の電位がドライバICの最大定格値を超えることがほとんどなくなり、ラッチアップ破壊や静電破壊がほとんど起こらなくなる。そのため、インクジェットヘッドの製造コストを低下させることができる。
【0025】
加えて、圧電アクチュエータに接続されるケーブルを先端側の第1ケーブルと圧電アクチュエータ側の第2ケーブルとの2本に分けているので、配線ピッチが狭いために高コストにならざるを得ない第2ケーブルの長さをできるだけ短くし、残りを第1ケーブルとすることができる。その結果、インクジェットヘッドの製造コストを低下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1実施形態によるインクジェットヘッドが採用されたインクジェットプリンタの概略平面図である。インクジェットプリンタ1の内部には、図1に示すように、2本のガイド軸6,7が設けられている。これらガイド軸6,7には、キャリッジを兼用するヘッドユニット8が取り付けられている。ヘッドユニット8は、合成樹脂材料からなるヘッドホルダ9を含んでいる。ヘッドホルダ9には、印刷用紙Pへインクを吐出して印刷を行うインクジェットヘッド30が保持されている。ヘッドホルダ9は、キャリッジモータ12により回転する無端ベルト11に取り付けられており、キャリッジモータ12の駆動により、ガイド軸6,7に沿って主走査方向に往復移動する。
【0028】
インクジェットプリンタ1には、イエローインクが収容されたインクカートリッジ5aと、マゼンタインクが収容されたインクカートリッジ5bと、シアンインクが収容されたインクカートリッジ5cと、ブラックインクが収容されたインクカートリッジ5dとが備えられている。各インクカートリッジ5a〜5dは、それぞれ可撓性のチューブ14a〜14dによってチューブジョイント20と接続されている。また、インクジェットプリンタ1には、ヘッドホルダ9が左端に移動したときに対向するインク吸収部材3が設けられている。インク吸収部材3は、フラッシングのときにノズルから吐出されたインクを吸収する。また、インクジェットプリンタ1には、ヘッドホルダ9が右端に移動したときに対向するパージ装置2が設けられている。パージ装置2は、パージ時にノズルからインクを吸引する。そのパージ装置2の左方には、ノズル面に付着したインクを払拭するワイパ4が設けられている。
【0029】
次に、ヘッドユニット8の主要構造について以下に説明する。図2は、図1に示すヘッドユニット8の分解斜視図であり、ヘッドホルダ9からバッファタンク48及びヒートシンク60を取り外した状態を示している。図3は、図2に示すインクジェットヘッドユニットの縦断面図である。
【0030】
図2及び図3に示すように、ヘッドホルダ9は、上方に向かって開口した略箱状に形成されており、その底部にはインクジェットヘッド30に含まれるヘッド本体25が固定されている。また、ヘッドホルダ9において、ヘッド本体25の上方には、ヘッド本体25へ供給するインクを一時的に貯溜するバッファタンク48が設置されている。ヘッド本体25は、複数のノズル28が形成されたノズル面(底面)25aがヘッドホルダ9の下方外側に露出するように設置されている。
【0031】
バッファタンク48の端部には、図2に示すように、インクをこのバッファタンク48に供給するためのチューブジョイント20が接続されている。バッファタンク48の下面には、4つのインク流出口(不図示)が設けられており、ヘッド本体25に設けられた4つインク供給口30a(後述する)とシール部材90を介して接続されている。バッファタンク48の上方には、後述の制御部131(図9参照)を構成する電子部品83及びコネクタ85が実装された制御基板84が設けられている。制御基板84の上方は、ヘッドホルダ9の上方を覆うカバー9aにより覆われている。
【0032】
ヘッドホルダ9には、図3に示すように、ヒートシンク60がバッファタンク48の左側側壁48aに隣接する位置に固定されている。ヒートシンク60は、図3中左右方向に延在する水平部60aと、水平部60aの一端部から上方に立ち上がった垂直部60bとを有している。水平部60a及び垂直部60bは、図2に示すように、共に横長の板状に形成されており、垂直部60bの内面がバッファタンク48の側壁48aと対向している。バッファタンク48の右方には、バッファタンク48内に蓄積された空気を外部へ排気する排気装置49が設けられている。ドライバIC80は、配線部材60上に実装されている。配線部材60は、インクジェットヘッド30の上面からヘッドホルダ9の底部に形成された孔17に通されて垂直部60bとヘッドホルダ9の側壁との間に形成された隙間を介して引き出され、制御基板84上に設けられたコネクタ85と電気的に接続されている。コネクタ85は、制御基板84上に設けられた電子部品83と電気的に接続されている。配線部材60は、ドライバIC80と対向する位置に配置された弾性部材18によりドライバIC80の上面がヒートシンク60の水平部60aの下面と接触するように押圧されている。これにより、ドライバIC80の発熱を効果的に放熱させることができる。
【0033】
次に、インクジェットヘッド30の主要構成について以下に説明する。図4は、インクジェットヘッド30の分解斜視図である。図4に示すように、インクジェットヘッド30は、配線部材60と、ヘッド本体25とを備えている。ヘッド本体25は、配線部材60が接合された圧電アクチュエータ21と、バッファタンク48からのインクが供給される流路ユニット27とを有している。図4に示すように、流路ユニット27は、上から、キャビティプレート108、サプライプレート107、アパーチャプレート106、2枚のマニホールドプレート104,105、ダンパプレート103、カバープレート102、ノズルプレート101の計8枚のシート材が積層された積層構造を有している。本実施の形態において、流路ユニット27を構成する8枚のプレート101〜108は、例えば、ステンレス鋼からなる。
【0034】
ノズルプレート101には、微小径のノズル28が微小間隔で多数個穿設されている。これらノズル28は、ノズルプレート101の長手方向に沿って、千鳥配列状で5列に配列されている。
【0035】
キャビティプレート108には、各ノズル28に対応する複数の圧力室10がキャビティプレート108の長手方向に沿って千鳥状配列で5列に穿設されている。各圧力室10の長手方向は、キャビティプレート108の長手方向に対して直交している。各圧力室10の一端部は、サプライプレート107、アパーチャプレート106、2枚のマニホールドプレート104,105、ダンパプレート103及びカバープレート102に千鳥状配列で穿設されている微小径の貫通孔29を介して、ノズルプレート101におけるノズル28に連通している。また、キャビティプレート108の一端部側には、インク供給口30aとなる4つの孔108aがキャビティプレート108の短手方向に沿って離隔して形成されている。
【0036】
図4に示すように、2枚のマニホールドプレート104,105のうち、アパーチャプレート106に近い側のマニホールドプレート105には、5つのインク室半部105aが貫通状に形成されている。これら5つのインク室半部105aは、マニホールドプレート105の長手方向に沿って延在されつつ、マニホールドプレート105の短手方向に互いに離隔している。
【0037】
一方、ダンパプレート103側のマニホールドプレート104にも、5つのインク室半部105aと同様の5つのインク室半部104aが貫通して形成されている。この構成で2枚のマニホールドプレート104,105、アパーチャプレート106及びダンパプレート103の計4枚を積層することにより、対向する2つのインク室半部104a,105aが相互に接合され、このときに形成される上下の開口が、上からのアパーチャプレート106と下からのダンパプレート103とにより覆われる。これにより、貫通孔29の列の間及び外側に計5つの共通インク室99が形成される。なお、共通インク室99の一端部がインク供給口30aとそれぞれ対向している。
【0038】
サプライプレート107には、複数の貫通孔29の他に、複数の連絡孔51が貫通して形成されている。これらの連絡孔51は、一方の開口において圧力室10と連通し他方の開口において後述のアパーチャ52と連通している。さらに、複数の連絡孔51は、各圧力室10に対応してサプライプレート107の長手方向に沿って千鳥状の5列に配列されている。また、サプライプレート107は、長手方向の一端部側に、図4に示すように、4つの孔107aを有している。これら孔107aは、それぞれキャビティプレート108の4つの孔108aと対向するように形成されている。
【0039】
アパーチャプレート106には、複数の貫通孔29の他に、アパーチャプレート106の短手方向に沿って延在した略長方形平面形状のアパーチャ52が、アパーチャプレート106の長手方向に沿って千鳥状の5列に配列されている。アパーチャ52は、一端部において連絡孔51と連通し、他端部において共通インク室99と連通している。アパーチャ52は、インク流動方向と直交する方向の断面積が若干小さくなっており、インク吐出時に圧力室10から共通インク室99側に逆流しようとするインクの流れを制限するものである。また、アパーチャプレート106には、4つの孔107aとそれぞれ対向する位置に孔106aが形成されている。各孔106aは、一方の開口において孔107aとそれぞれ連通し、他方の開口において対応する共通インク室99とそれぞれ連通している。
【0040】
なお、4つの孔106aのうち、図4中最も奥に位置する1つの孔106aは、図4中奥の2つの共通インク室99と連通しており、他の3つの孔106aは、図4中手前の3つの共通インク室99とそれぞれ連通している。つまり、5つの共通インク室99のうち、図4中奥に位置する2つの共通インク室99には、1つのインク供給口30aからのインクがそれぞれに供給され、他の3つの共通インク室99には、対応する1つのインク供給口30aからのインクがそれぞれに供給される。本実施の形態において、図4中奥の2つの共通インク室99には、ブラックのインクが供給され、図4中手前から奥に向かって配置する3つの共通インク室99には、イエロー、マゼンタ及びシアンの順にインクが供給されている。
【0041】
ダンパプレート103には、図4に示すように5列のダンパ溝103aが凹設されている。これらダンパ溝103aは、カバープレート102に向けてのみ開放するように形成され、その位置及び形状は共通インク室99と同形状となっている。したがって、マニホールドプレート104,105及びダンパプレート103を接合したときは、ダンパプレート103の共通インク室99と対向する部分には、ダンパ部53が位置する。ここで、ダンパ部53は、適宜弾性変形し得るステンレス鋼に形成された凹部の底面として構成されているので、共通インク室99側及びダンパ溝103a側に自由に振動することができる。このような構成により、インク吐出時に圧力室10で発生した圧力変動が共通インク室99に伝播しても、これに対応してダンパ部53が弾性変形することによって吸収減衰させることができる。
【0042】
このような流路ユニット27の構成により、流路ユニット27の内部には、インク供給口30aから順に共通インク室99、アパーチャ52、連絡孔51、圧力室10及び貫通孔29を通ってノズル28に至る個別インク流路(以下の説明において、適宜“チャンネル(Ch)”と称する)が構成されている。なお、本実施形態のインクジェットヘッド30の個別インク流路(チャンネル)の数は、Ch0〜Ch303までの304である。バッファタンク48からインク供給口30aを介して流路ユニット27内に流入したインクは、一旦共通インク室99に貯溜される。そして、アパーチャ52を経由して、各圧力室10に供給される。各圧力室10で、圧電アクチュエータ21により圧力が付与されたインクが、各貫通孔29を経由して、対応するノズル28から吐出される。なお、4つのインク供給口30aを覆う位置には、図4に示すように、各インク供給口30aと対向する位置に微細孔が複数形成されたフィルタ55が配置されている。これより、流路ユニット27内に流入するインクがフィルタ55によって濾過されたインクとなる。したがって、流路ユニット27内のインク流路がインク内のゴミなどによって目詰まりしにくくなる。
【0043】
図5は、図4に示す圧電アクチュエータ21の要部分解斜視図である。図5に示すように、圧電アクチュエータ21は、4枚の圧電シート33〜36とが積層されてなる。圧電シート36の上面には、複数の個別電極37が流路ユニット27における各圧力室10に対向配置するように形成されている。これら個別電極37は、圧力室10の配列に対応して、圧電シート36の長手方向に沿って千鳥状の5列に配列されている。各個別電極37は、全体として圧電シート36の短手方向に細長く形成されている。また、各個別電極37は、いずれか一方の端部から圧電シート36の長手方向に延出された引き出し部37aを有している。なお、いずれの引き出し部37aも、各圧力室10を区画する隔壁と対向する位置まで引き出されている。
【0044】
圧電シート(圧電層)35の上面には、複数の圧力室10に跨った共通電極38が設けられている。圧電シート35の上面には、共通電極38が形成されていない複数の非形成領域39が形成されており、各非形成領域39内に圧電シート35の厚み方向に貫通した孔40が形成されている。非形成領域39は、対応する個別電極37の引き出し部37aと対向する位置に形成されている。
【0045】
最上層の圧電シート33の上面(すなわち、圧電アクチュエータ21の上面)には、各個別電極37のそれぞれに接続された表面電極22と、共通電極38に接続された表面電極23とが設けられている。表面電極22は、圧力室10同士を区画する隔壁と対向する位置に配置されており、各個別電極37に対応して圧電アクチュエータ21の長手方向に沿って千鳥状の5列に配列されている。表面電極23は、圧電シート33の一端部上において、圧電アクチュエータ21の短手方向に沿って延在している。
【0046】
圧電シート33,34には、表面電極22と引き出し部37aとに対向する領域であって各孔40に対向する位置に、圧電シート33,34の厚み方向に貫通した連続孔41が形成されている。この構成で、孔40と連続孔41とを位置合わせした状態で、3枚の圧電シート33〜35を積層することで、圧電アクチュエータ21には、3枚の圧電シート33〜35を連続して貫通する複数のスルーホールが形成される。これらスルーホールには、圧電アクチュエータ21を製造するときに、表面電極22と個別電極37とをそれぞれ電気的に接続するために、導電性部材が充填されている。また、圧電シート33,34には、表面電極23と共通電極38とが対向する領域に、圧電シート33,34の厚み方向に貫通した3つの連続孔42が圧電シート33,34の短手方向に沿って離隔して形成されている。これら連続孔41にも、圧電アクチュエータ21を製造するときに、表面電極23と共通電極38とが電気的に接続されるように、導電性部材が充填されている。
【0047】
流路ユニット27と圧電アクチュエータ21とは、流路ユニット27の各圧力室10と、圧電アクチュエータ21の個別電極37とが対応するように積層される。圧電アクチュエータ21の上面において、配線部材60と表面電極22,23とが電気的に接合されている。そして、各圧力室10に対応する各表面電極22及び各個別電極37と、表面電極23及び共通電極38と、各圧電シート33〜36により、対応するノズル28からインク滴を吐出される1つのアクチュエータが構成されている。
【0048】
次に、圧電アクチュエータ21に接合された配線部材60について以下に説明する。図6は、配線部材60の模式図である。配線部材60は、図4及び図6に示すように、一端部側が圧電アクチュエータ21の上面に接合され且つドライバIC80が実装されたFPC(フレキシブルプリント配線板)61と、一端部がFPC61と接合され他端部がコネクタ85に接続されたFFC(フレキシブルフラットケーブル)71とから構成されている。
【0049】
FPC(第2ケーブル)61は、図6に示すように、圧電アクチュエータ21の上面から図6中下方に向かって延在する平板状のベースフィルム62と、各表面電極22からドライバIC80まで延在する複数の個別配線63と、複数の周辺配線(第2配線)64と、複数の個別配線63及び周辺配線64をベースフィルム62とで挟んで覆うカバーフィルム69とを含んでいる。図6において、カバーフィルム69が上側に、ベースフィルム62が下側に配置されており、これらの間に個別配線63及び周辺配線64が形成されている。ベースフィルム62及びカバーフィルム69は、絶縁性を有する樹脂フィルムからなり、複数の配線63,64のそれぞれが電気的に繋がってショートするのを防いでいる。また、ベースフィルム62及びカバーフィルム69は非常に薄く形成されているため、FPC61自体が柔軟性を有している。ベースフィルム62の表面電極22、23と対向する位置には、複数の孔(不図示)が形成されており、各孔に設けられた端子を介して個別配線63のそれぞれが表面電極22と電気的に接続されている。周辺配線64は、ドライバIC80からFPC61の他端部まで延在する複数の信号配線(第2信号配線)65と、表面電極23からFPC61の他端部まで延在する2本の共通配線66と、ドライバIC80の左右両端からFPC61の他端部まで延在する2本の低電位配線(第2低電位配線)67と、ドライバIC80の左右両端からFPC61の端部まで延在する2本の高電位配線(第2高電位配線)68とを有している。カバーフィルム69には、ドライバIC80と同形状の貫通部69aが形成されており、この貫通部69aを介してドライバIC80と、信号配線65、低電位配線67及び高電位配線68とが電気的に接続されている。また、カバーフィルム69は、FPC61の他端部において、信号配線65、共通配線66、低電位配線67及び高電位配線68の一方の面を露出するように形成されている。この露出部分が信号配線65、共通配線66、低電位配線67及び高電位配線68の接合端子65a,66a,67a,68aとなっている。そして、共通配線66の接合端子66aがFPC61の延在方向と直交する方向の両端(図6中左右側の両端)に位置し、中央に向かって低電位配線67の接合端子67a、高電位配線68の接合端子68a及び信号配線65の接合端子65aが順に配置されている。なお、各配線65〜68は、FPC61において、接合端子65a〜68aの並びに沿った配置となっている。
【0050】
FFC(第1ケーブル)71は、FPC61側の一端部(図6中上方にある端部)からコネクタ85側の他端部(図6中下方にある端部)まで延在する平板状のベースフィルム72と、ベースフィルム72の延在方向に平行に延在した複数の中継配線(第1配線)73と、複数の中継配線73をベースフィルム72とで挟んで覆うカバーフィルム79とを含んでいる。図6において、ベースフィルム72が上側に、カバーフィルム79が下側に配置されており、これらの間に複数の中継配線73が形成されている。これらベースフィルム72及びカバーフィルム79も、絶縁性を有する樹脂フィルムからなり、複数の中継配線73のそれぞれが電気的に繋がってショートするのを防いでいる。また、ベースフィルム72及びカバーフィルム79も非常に薄く形成されているため、FFC71自体が柔軟性を有している。中継配線73は、信号配線65と電気的に接続される複数の信号配線(第1信号配線)75と、共通配線66及び低電位配線67と電気的に接続される2本の低電位配線(第1低電位配線)76と、高電位配線68と電気的に接続される2本の高電位配線(第1高電位配線)78とを有している。カバーフィルム79は、FFC71の延在方向の両端部において、信号配線75、低電位配線76及び高電位配線78の一方の面を露出するように形成されている。この露出部分が信号配線75、低電位配線76及び高電位配線78の接合端子75a,76a,78aとなっている。そして、低電位配線76の接合端子76aがFFC71の延在方向と直交する方向の両端(図6中左右側の両端)に位置し、中央に向かって高電位配線78の接合端子78a及び信号配線75の接合端子75aが順に配置されている。なお、各配線75,76,78は、FFC71において、接合端子75a,76a,78aの並びに沿った配置となっている。
【0051】
図7(a)は図6に示す一点鎖線で囲まれた領域の拡大平面図であり、図7(b)は配線部材を構成するFPC61とFFC71とが接合された状態を示す拡大平面図である。図7(a)に示すように、FPC61に形成された共通配線66の接合端子66aは、先端付近において高電位配線68の接合端子68aの先端に向かって90°折れ曲がっている。また、低電位配線67の接合端子67aは、高電位配線68の接合端子68a及び信号配線65の接合端子65aと比して、FPC61の延在方向における延在長が短くなっている。また、接合端子67aの先端は、接合端子66aの先端とFPC61の延在方向において隣接している。また、FFC71に形成された接合端子75a,76a,78aは、いずれもFPC61に形成された接合端子65a,68aと同形状となっている。FFC71の接合端子75a,76a,78aは、図7(b)に示すように、信号配線75の接合端子75aが信号配線65の接合端子65aと、高電位配線78の接合端子78aが高電位配線68の接合端子68aと、低電位配線76の接合端子76aが低電位配線67の接合端子67a及び共通配線66の接合端子66aの先端部と重なるようにして配置されている。そして、対応する接合端子同士が半田などで接合されることで、信号配線75と信号配線65が、高電位配線78と高電位配線68が、低電位配線76と低電位配線67及び共通配線66が、電気的に接続される。こうして、FPC61とFFC71とが接合されることで、配線部材60が構成される。そして、制御部131から送信されるシリアルデータ形式の印字信号及び複数の波形信号などを信号配線65,75を介してドライバIC80に供給可能となる。複数の個別配線63は、ドライバIC80が印字信号及び波形信号に基づいて生成した駆動信号を対応する各表面電極22に供給する。共通配線66は、接地電位に接続された低電位配線76と電気的に接続されるため、表面電極23を介して共通電極38を接地する。なお、個別配線63の配線数は、個別電極37の数(すなわち、ノズル28の数)と同数以上必要になるが、信号配線65,75はシリアルデータ形式の印字信号及び比較的少数の波形信号などをドライバIC80に供給するだけなので、信号配線65,75の配線数は、個別配線63の配線数よりも大幅に少ない。また、FPC61の共通配線66及び低電位配線67が、FFC71の低電位配線76と電気的に接続されるため、共通配線66だけに対応する配線をFFC71に設ける必要がない。これより、FFC71は、図6に示すように、FPC61よりも延在方向に直交する方向の幅が小さくなっている。また、FFC71の配線本数が少なくなり高密度配線の必要がないため、FFC71自体のコストが低下する。
【0052】
続いて、インクジェットプリンタ1のインク吐出に関する電気的な構成について、図8〜図11を参照して詳細に説明する。図8は、制御部とインクジェットヘッドとの電気的な接続関係を示す概略ブロック図である。図9は、制御部のブロック図である。図10は、波形信号の形状を示す図である。図11は、ドライバICのブロック図である。
【0053】
図8、図9に示すように、インクジェットプリンタ1の制御部131は、FPC61及びFFC71に形成された信号配線65,75どうし、低電位配線67,76どうし、及び、高電位配線68,78どうしがそれぞれ電気的に接続されてなる複数の信号線を介して、インクジェットヘッド30を駆動するドライバIC80と電気的に接続されている。なお、これら信号線には、図8に示すように、波形信号FIRE1〜FIRE6、印字信号SIN-0,SIN-1,SIN-2,SIN-3(信号線140〜143に相当)、転送クロックCLK、ストローブ制御信号STBの他に、VDD1信号(3.3Vの定電位信号)、VDD2信号(20Vの高電位信号)、VSS2信号(0Vの低電位信号)が、制御部131から供給される。
【0054】
図9に示すように、制御部131の本体回路132は、波形信号生成部150、分配部151、4つの選択データ生成部170〜173、および、4つの転送バッファ180〜183を有する。波形信号生成部150は、階調印刷を行うために、複数のアクチュエータを互いに異なる複数態様で駆動する、図8に示す6つの波形信号(FIRE1〜FIRE6)を生成する。分配部151は、パソコン等の外部機器から本体回路132に伝送された複数の画素データセットを4つのグループに分配する。ここで、1つの画素データセットとは、1つのチャンネルについて、1印刷周期(用紙62が、インクジェットヘッド6に対して、印字解像度に対応する距離だけ相対移動するのに要する時間)における階調値を指示するものである。選択データ生成部170〜173は夫々、4つのグループに分配された画素データセットに基づいて、6つの波形信号及び吐出無しを表すVDD1信号の合計7つの信号(以下の説明では、これら7つの信号をすべて波形信号と称する)の何れかに対応した、3ビットの選択データセットを生成する。ここで、選択データセットとは、1つのチャンネルについて、1印刷周期において上記7個の波形信号の何れを用いるかを指示するものである。転送バッファ180〜183は、画素データセットが分配されたグループの数と同数の4本の信号線140〜143が夫々各グループに対応するよう接続されており、当該信号線140〜143を介して複数の選択データセットがシリアル配列された印字信号SIN-0,SIN-1,SIN-2,SIN-3をドライバIC80に伝送する。
【0055】
制御部131には、パソコン等の外部機器から、印刷される画像に関する画素データセットがI/F(インターフェース)コントローラ152を介して入力される。この画素データセットは、DMA(Direct Memory Access)コントローラ154を介してSDRAM(Synchronous Direct Random Access Memory)153に記憶される。尚、DMAコントローラ154は、CPU155と接続されたMAIN制御部156により制御される。
【0056】
このインクジェットプリンタ1においては、波形信号生成部150により6つの波形信号(FIRE1〜FIRE6)が生成され、これら6つの波形信号FIRE1〜FIRE6に基づいて階調印刷が可能に構成されている。図10には、6つの波形信号FIRE1〜FIRE6の形状が示されている。6つの波形信号FIRE1〜FIRE6のうち、FIRE1〜FIRE3の3つの波形信号は、LowからHiとなる回数が相互に異なるパルス列信号であり、LowからHiとなる回数に対応してノズル28からのインク吐出回数を異ならせて階調制御を行うための波形信号である。具体的には、1印刷周期内に、FIRE1の場合は1回、FIRE2の場合は2回、そして、FIRE3の場合は3回、インク滴が吐出されることにより、1印刷周期におけるインク吐出量が変化する。一方、FIRE4〜FIRE6は、直前のインク吐出量に応じてFIRE1〜FIRE3よりもパルス幅を狭めることにより印刷品質の向上を図る、いわゆる履歴制御を行うための波形信号である。
【0057】
SDRAM153には、各チャンネルに対する1走査分の画素データセットが順に格納される。SDRAM153に格納される画素データセットは、2ビット(b1,b0)で構成されている。そして、これら2ビットのビット値の組み合わせにより、1印刷周期における4種類(ゼロ、小、中、大)のインク吐出量が表現される。ここでインク吐出量ゼロとは、インクが吐出されないことを意味する。
【0058】
次に、SDRAM153に記憶された多数の画素データセットは、分配部151により画素データセットを単位として4つのグループに分配される。分配部151は、SRAM(Static Random Access Memory)からなる2つのピクセルRAM(Bank1,Bank0)157,158と、読み出しアドレスカウンタ159を含む。2つのピクセルRAM157,158の何れか一方に、Ch0〜Ch303の各々に対する16ビット(8ドット分)の画素データセットがSDRAM153から転送されて格納されると同時に、他方のピクセルRAM157,158において、読み出しアドレスカウンタ159で指定されたアドレスから画素データセットが読み出される。そして、多数の画素データセットが4つのグループに分配されて、分配された4つのグループの画素データセットが、夫々4つの選択データ生成部170〜173に転送される。
【0059】
選択データ生成部170〜173は、分配部151により4つのグループに分配された8ドット分の画素データセット(16ビット)を格納するメモリを備え、画素データセットに基づいて、後述のドライバIC80において、各ノズル28(各チャンネル)に対して、7つの波形信号FIRE1〜FIRE6,VDD1の中から何れか1つを選択する為の選択データセットを生成する。ここで、VDD1信号は、6つの波形信号FIRE1〜FIRE6のHiレベルと同じ電位に常に保持された信号である。選択データセットは、6つの波形信号FIRE1〜FIRE6及びVDD1信号の合計7つの信号に1対1で対応させるために、3ビット(d0,d1,d2)で構成されている。
【0060】
選択データ生成部170〜173においては、前回(直前)のインクの吐出量を考慮した履歴演算を行い、今回のインク吐出量に対応する波形信号を決定し、その波形信号に対応する選択データセットを生成する。具体的には、各選択データ生成部170〜173においては、今回の2ビットの画素データセットと前回の2ビットの画素データセットとに基づいて、履歴演算を行って波形信号を決定し、当該波形信号に対応する選択データセットd0〜d2を生成する。
【0061】
4つの選択データ生成部170〜173で夫々生成された3ビットの選択データセットd0〜d2は、選択データ生成部170〜173に夫々対応する転送バッファ180〜183に送られる。3ビットの選択データセットd0〜d2はさらに、図9に示すように、4つの転送バッファ180〜183から、夫々対応する4本の信号線140〜143を介してドライバIC80にシリアル出力される。
【0062】
次に、インクジェットヘッド30のドライバIC80の構成について説明する。図11に示すように、ドライバIC80は、4つの選択データ入力部190〜193、シリアル−パラレル変換器としての4つのシフトレジスタ200〜203、ラッチ回路としてのD−フリップフロップ210、波形信号選択部211、及び、ドライブバッファ212を含む。選択データ入力部190〜193の夫々には、本体回路132から印字信号となる3ビットの選択データセットがシリアル入力される。シフトレジスタ200〜203は、各選択データ入力部190〜193にシリアル入力された選択データセットをパラレル変換する。波形信号選択部211は、各チャンネルに対し、対応する選択データセットに基づいて、7つの波形信号FIRE1〜FIRE6,VDD1の中から1つの波形信号を選択する。波形信号選択部211により選択された波形信号は、ドライブバッファ212に出力され、ドライブバッファ212で増幅されてからアクチュエータに供給される。
【0063】
ドライバIC80の動作について、より詳細に説明する。4本の信号線140〜143(図9参照)を介して4つの選択データ入力部190〜193(図11参照)の夫々にシリアル入力された3ビットの選択データセットは、転送クロックCLKと同期して、4つのシフトレジスタ200〜203へ夫々シリアル入力される。各シフトレジスタ200〜203には76チャンネル分の選択データセットが夫々入力され、各シフトレジスタ200〜203のビット長は、チャンネル数(76)×選択データセットのビット数(3ビット)の、228ビットである。シフトレジスタ200〜203には、転送クロックCLKの立ち上がりのタイミングでシリアルの選択データセットが入力される。
【0064】
シフトレジスタ200〜203は、シリアル入力された3ビットの選択データセットをパラレルに変換し、各チャンネルのパラレル信号Sx-0,Sx-1,Sx-2を、D−フリップフロップ210へ出力する。ここでxは、チャンネル番号であって、0〜303までの整数の何れかを示す。より詳細には、xは、シフトレジスタ200に関しては0〜75までの整数の何れかを示し、シフトレジスタ201に関しては76〜151までの整数の何れかを示し、シフトレジスタ202に関しては152〜227までの整数の何れかを示し、シフトレジスタ203に関しては228〜303までの整数の何れかを示す。
【0065】
D−フリップフロップ210は、本体回路132から転送されてくるストローブ制御信号STBの立ち上がりのタイミングで、パラレル信号Sx-0,Sx-1,Sx-2を、選択信号SELx-0,SELx-1,SELx-2として、マルチプレクサで構成された波形信号選択部211に出力する。
【0066】
波形信号選択部211には、選択信号SELx-0,SELx-1,SELx-2と、7つの波形信号FIRE1〜FIRE6,VDD1が入力される。そして、7つの波形信号FIRE1〜FIRE6,VDD1の中から、選択信号SELx-0,SELx-1,SELx-2に基づいて、対応する1つの波形信号を選択し、その波形信号Bxをドライブバッファ212に出力する。ドライブバッファ212には、FPC61の高電位配線68が電気的に接続されており、高電位配線68からドライブバッファ212に高電位信号であるVDD2信号が供給される。また、ドライブバッファ212には、FPC61の低電位配線67が電気的に接続されており、低電位配線67からドライブバッファ212に低電位信号であるVSS2信号が供給される。そして、ドライブバッファ212は、波形信号選択部211から出力された波形信号Bxにおいて、Hiに対応する部分をVDD2信号の電位に等しい高電位に増幅し、Lowに対応する部分をVSS2信号の電位に等しい低電位とした所定電圧の吐出パルス信号OUTx(駆動信号)としてそのチャンネルに対応するアクチュエータ(表面電極22)へ供給する。
【0067】
この駆動信号となる吐出パルス信号が供給されたアクチュエータの表面電極22に電気的に接続された個別電極37と共通電極38との間に選択的に電圧が印加された場合、例えば、電界と分極とが同方向であれば圧電シート35中の電極に挟まれた電界印加部分が分極方向と直角方向に縮み、分極方向と垂直な方向への歪みに差を生じることとなる。これにより、圧電シート(圧電層)35の電界印加部分がLowからHiになるタイミングで圧力室10の容積を増大するように変形する。そして、圧電シート35の電界印加部分がHiからLowになるタイミングで圧力室10の容積を減少させるように変形し、圧力室10内のインクの圧力が上昇し、ノズル28からインクが吐出される。なお、波形信号VDD1をもとにして生成された吐出パルス信号は、Hiに一定に保たれることになるので、圧力室10内のインクの圧力が上昇しないので、ノズル28からインクが吐出されることはない。
【0068】
続いて、上述したインクジェットヘッド30の製造方法について、以下に説明する。図12及び図13は、インクジェットヘッド1の製造工程のフロー図である。インクジェットヘッド1を製造するには、流路ユニット27及びアクチュエータユニット21などの部品を別々に作製し、それから各部品を組み付ける。図12に示すように、まず、ステップ1(S1)では、流路ユニット27を作製する。流路ユニット27を作製するには、これを構成する各プレート101〜108に、パターニングされたフォトレジストをマスクとしたエッチングを施して、図4に示すような孔及び凹部を各プレート101〜108に形成する。その後、個別インク流路が形成されるように位置合わせされた8枚のプレート101〜108を、エポキシ系の熱硬化性接着剤を介して重ね合わせる。そして、8枚のプレート101〜108を熱硬化性接着剤の硬化温度以上の温度に加圧しつつ加熱する。これによって、熱硬化性接着剤が硬化して8枚のプレート101〜108が互いに固着され、図4に示すような流路ユニット27が得られる。
【0069】
一方、圧電アクチュエータ21を作製するには、まず、ステップ2(S2)において、圧電セラミックスのグリーンシートを複数用意する。グリーンシートは、予め焼成による収縮量を見込んで形成される。そのうちの2枚のグリーンシート上に、個別電極37と共通電極38のパターンにそれぞれ導電性ペーストをスクリーン印刷する。そして、治具を用いてグリーンシート同士を位置合わせしつつ、個別電極37のパターンに導電性ペーストが形成されたグリーンシート上に共通電極38のパターンに導電性ペーストが形成されたグリーンシートを重ね合わせる。そして、重ね合わされた2枚のグリーンシート上に、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートを2枚重ね合わせる。
【0070】
そして、ステップ3(S3)において、ステップ2で得られた積層体を公知のセラミックスと同様に脱脂し、さらに所定の温度で焼成する。これにより、4枚のグリーンシートが圧電シート33〜36となり、導電性ペーストが個別電極37及び共通電極38となる。その後、圧電シート33〜35に個別電極35の引き出し部37aと対向する位置にスルーホールとなる孔40及び連続孔41を形成する。そして、孔40及び連続孔41内に導電性部材を充填した後、最上層にある圧電シート33上に、導電性ペーストを表面電極22,23のパターンにスクリーン印刷する。そして、積層体を加熱処理することによって導電性ペーストを焼成して、圧電シート33上に表面電極22,23を形成する。こうして、図5に描かれたような圧電アクチュエータ21を作製する。
【0071】
なお、ステップ1の流路ユニット作製工程と、ステップ2〜3の圧電アクチュエータ作製工程は、独立に行われるものであるため、いずれを先に行ってもよいし、並行して行ってもよい。
【0072】
次に、ステップ4(S4)において、ステップ1で得られた流路ユニット27の圧力室10の開口が多数形成された上面に、エポキシ系の熱硬化性接着剤を、バーコーターを用いて塗布する。熱硬化性接着剤としては、例えば二液混合タイプのものが用いられる。
【0073】
続いて、ステップ5(S5)において、流路ユニット27に塗布された熱硬化性接着剤層上に、圧電アクチュエータ21を載置する。このとき、圧電アクチュエータ21は、圧力室間の桁部に支持されるとともに個別電極35と圧力室10とが対向するように流路ユニット27に対して位置決めされる。この位置決めは、予め作製工程(ステップ1〜ステップ3)において流路ユニット27及び圧電アクチュエータ21に形成された位置決めマーク(図示せず)に基づいて行われる。
【0074】
次に、ステップ6(S6)において、流路ユニット27と、流路ユニット27と圧電アクチュエータ21との間の熱硬化性接着剤と、圧電アクチュエータ21との積層体を図示しない加熱・加圧装置で熱硬化性接着剤の硬化温度以上に加熱しながら加圧する。これにより、圧力室10の開口は圧電アクチュエータ21によって塞がれる。そして、ステップ7(S7)において、加熱・加圧装置から取り出された積層体を自然冷却する。こうして、流路ユニット27と圧電アクチュエータ21とで構成されたヘッド本体25が製造される。
【0075】
続いて、FPC61を作製する。FPC61を作製するには、まず、ステップ8(S8)において、ベースフィルム62を準備し、ベースフィルム62の一面全体に接着剤を介して銅箔を貼り付ける。そして、ステップ9(S9)において、銅箔の表面に個別配線63、周辺配線64のパターンでフォトレジストを形成する。このとき、周辺配線64の一端部に、上述した接合端子65a〜68aの形状となるパターンのフォトレジストを形成する。その後、そのフォトレジストをマスクとして銅箔に対してエッチングを施して個別配線63、周辺配線64及び接合端子65a〜68aとなる部分以外の銅箔を除去し、その後フォトレジストを除去する。
【0076】
次に、ステップ10(S10)において、カバーフィルム69をベースフィルム62の個別配線63及び周辺配線64が形成された面に接着剤を介して貼り付ける。このとき、カバーフィルム69から接合端子65a〜68aが露出するように、カバーフィルム69をベースフィルム62に貼り付ける。
【0077】
次に、ステップ11(S11)において、ベースフィルム62の個別配線63及び共通配線66の一端部(表面電極22,23と対向する端部)と対向する位置に複数の孔を形成する。そして、ステップ12(S12)において、カバーフィルム69に貫通部69aを形成する。このとき、貫通部69aから個別配線63、信号配線65、低電位配線67及び高電位配線68のドライバIC80と接続される端部を露出させる。
【0078】
次に、ステップ13(S13)において、ベースフィルム62に形成された孔から露出した個別配線63の端部及び共通配線66の端部にそれぞれ電気的に接続されるように複数の端子を設ける。そして、ステップ14(S14)において、ベースフィルム69の貫通部69aから露出した個別配線63、信号配線65、低電位配線67及び高電位配線68の端部にドライバIC80の接合端子を接合する。こうして、複数の接合端子65a〜68aが形成されたFPC61が製造される。
【0079】
次に、ステップ15(S15)において、ヘッド本体25の圧電アクチュエータ21の表面電極22が、FPC61の個別配線63の端子と表面電極23が共通配線66の端子とに電気的に接続されるように半田を介してそれぞれ接合する。
【0080】
次に、ステップ16(S16)において、FPC61の接合端子66a〜68aに所定電位を供給する図示しない分極装置のピンプローブを接触させる。そして、FPC61の高電位配線68に20Vの正電位、低電位配線67に接地電位、共通配線66に−40Vの負電位を分極装置から供給する。こうして、圧電シート35の個別電極37と共通電極38とに挟まれた部分に60Vの電圧が印加され、圧電シート35の個別電極37と共通電極38とに挟まれた部分がそれぞれ分極する。
【0081】
次に、ステップ17(S17)において、FPC61とFFC71とを接合する。このとき、接合端子65aと接合端子75aが、接合端子68aと接合端子68aが、接合端子66a及び接合端子67aと接合端子76aが、それぞれ半田を介して接合される。こうして、FPC61の信号配線65及び高電位配線68が、FFC71の信号配線75及び高電位配線78とそれぞれ電気的に接続されるとともに、FPC61の共通配線66及び低電位配線67が、FFC71の低電位配線76と電気的に接続される。こうして、インクジェットヘッド30が完成する。
【0082】
以上のように、第1実施形態によるインクジェットヘッド30によると、配線部材60をFPC61とFFC71の2つのケーブルで構成し、FPC61及びFFC71の配線同士を電気的に接続するようにそれぞれの接合端子65a〜68a,75a,76a,78a同士を接合したときに、FPC61の共通配線66と低電位配線67とが、FFC71の低電位配線76の接合端子76aによって電気的に接続される。
ドライバIC80から個別配線63に吐出パルス信号(駆動信号)を供給して、吐出パルス信号においてLowからHiに電位が上昇するときに、共通配線66、低電位配線67及び個別配線63を介してドライバIC80へと電流が流れる。この電流に伴う電圧降下により、各個別電極37の電位は、ドライバIC80の接地電位よりも共通電極38からドライバIC80に電気的に接続される配線経路の電気抵抗値×LowからHiに上昇するチャンネル数×1つのチャンネルにおけるピーク電流から得られた値分だけ上昇するが、本実施形態における共通電極38からドライバIC80に電気的に接続される配線経路が、FPC61の共通配線66と低電位配線67となるため、その合計電気抵抗値が小さくなる。つまり、電圧降下が小さくなる。したがって、各個別電極37の電位の上昇が抑制されるので、印字品質の低下を抑制するために全インク吐出チャンネルから同時にインクを吐出した場合や最大定格値の小さいドライバIC80が用いられた場合であっても、ドライバIC80の個別電極37側の出力端子の電位がドライバIC80の最大定格値を超えることがほとんどなくなり、ラッチアップ破壊や静電破壊がほとんど起こらなくなる。そのため、インクジェットヘッドの製造コストを低下させることができる。また、FPC61とFFC71とを接合する前に、共通配線66と低電位配線67とが電気的に接合されていないので、上述のように高電位配線68に正電位を、低電位配線67に接地電位を、共通配線66に負電位を与えて分極を行うようにすれば、高電位配線68の電位と低電位配線67の電位との差を小さくすることができるため、分極時におけるドライバIC80の破壊を防止することができる。これにおいてもドライバIC80の最大定格を低くすることが可能になり、ヘッドの製造コストを低下させることができる。
【0083】
加えて、圧電アクチュエータ21に接続されるFPC61は配線ピッチが狭いため高コストになるが、そのFPC61をできるだけ短くし、残りをFFC71とすることで、インクジェットヘッド30のコストを低下させることができる。
【0084】
また、FPC61とFFC71との配線同士を接合端子65a〜68a,75a,76a,78a同士を接合するという容易な方法で電気的に接続することができるとともに、印字動作時に共通配線66及び低電位配線67に流れる電流による電圧降下を最も小さくすることができる。さらにFPC61の周辺配線64及びFFC74の中継配線73の先端に接合端子65a〜68a,75a,76a,78aが設けられているので、配線同士の接合が容易になる。また、FPC61の共通配線66と低電位配線67が、FPC61の延在方向に直交する方向に関して、互いに隣接しているので、共通配線66と低電位配線67とを容易に電気的に接続することができる。さらに、この場合では、FFC71を特別な形状に変更する必要がないので、FFC71に規格品を適用することができる。そのため、ヘッドの製造コストをより低下させることができる。また、共通配線66の接合端子66aの先端が、低電位配線67の接合端子67aの先端とFPC61の延在方向に関して互いに隣接しているので、FPC61の低電位配線67の接合端子67aとFFC71の低電位配線76の接合端子76aとを接合するときに、共通配線66と低電位配線67とを容易且つ確実に接合することができる。
【0085】
また、インクジェットヘッド30の製造方法によると、FPC61とFFC71とを接合する前に、圧電アクチュエータ21と接合されたFPC61を介して圧電アクチュエータ21を分極しているので、上述のようにドライバIC80の最大定格を低くすることができ、分極時におけるドライバIC80の破壊を防止することができる。これにおいても、上述の配線経路がFPC61の共通配線66及び低電位配線67となるため、電気抵抗値が小さくなり、電圧降下が小さくなる。そのため、ドライバIC80の個別電極37側の出力端子の電位がドライバIC80の最大定格値を超えることがほとんどなくなり、ラッチアップ破壊や静電破壊がほとんど起こらなくなる。したがって、インクジェットヘッドの製造コストを低下させることができる。
【0086】
続いて、第2実施形態のインクジェットヘッドについて、以下に説明する。図14(a)はFPCの拡大平面図であり、図14(b)はFPCとFFCとが接合された状態を示す拡大平面図である。本実施形態におけるインクジェットヘッドは、上述したFPC61の構成が異なるFPC261を有しているだけであり、その他はインクジェットヘッド30と同様である。なお、上述のインクジェットヘッド30と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
【0087】
図14(a)に示すように、FPC261には、上述の信号配線65及び高電位配線68と同様な信号配線265及び高電位配線268と、上述の共通配線66及び低電位配線67と形状は異なるものの役割が同じである共通配線266及び低電位配線267とがベースフィルム262上に形成されている。そして、各配線265〜268の端部を露出するようにカバーフィルム269が設けられており、各配線265〜268の露出した端部が接合端子265a〜268aとなっている。なお、ベースフィルム262及びカバーフィルム269は、上述したベースフィルム62とカバーフィルム69と同様なものである。また、FPC261には、上述のドライバIC80と同様なドライバIC(不図示)設けられており、共通配線266以外の各配線265,267,268と電気的に接続されている。
【0088】
また、共通配線266は、FPC261の延在方向に直交する方向に関して最も外側(図14(a)において右側)に配置されており、内側(図14(a)において左側)に向かって低電位配線267、高電位配線268、信号配線265と順に隣接配置されている。そして、FPC261の各接合端子265a〜268aの先端がいずれもFPC261の延在方向に直交する方向に関して同じ位置にある。低電位配線267は、信号配線265及び高電位配線268のほぼ半分程度の幅を有している。共通配線66は、信号配線265及び高電位配線268のほぼ1.5倍程度の幅を有している。そして、FPC261の延在方向と直交する方向の幅が、上述したFPC61と同様な幅であるため、図14(b)で示すように、上述と同様なFFC71をFPC261に接合すると、FFC71の低電位配線76の接合端子76aと重なる領域に共通配線266の接合端子266aと低電位配線267の接合端子267aとが存在する。このように、FPC261の共通配線266及び低電位配線267の配線幅及び接合端子幅を変更するだけで、FFC71の接合端子75a,78aをFPC261の接合端子265a,268aに接合し、FFC71の接合端子76aをFPC261の接合端子266a,267aの両方に接合することができる。これにより、FPC261の各配線265〜268を、FFC71の各配線75,76,78に電気的に接続することが容易にできる。また、接合端子265a〜268aの先端がいずれもFPC261の延在方向に直交する方向に関して同じ位置にあるので、各々の接合端子265a〜268aの先端にピンプローブを第1実施形態より接触させやすくなる。また、接合端子266a,267aが、第1実施形態のようにFPC261の延在方向に関して互いに隣接していなくても、FPC261とFFC271とを接合したときに、共通配線266及び低電位配線267とを電気的に接続することができる。
【0089】
続いて、第3実施形態のインクジェットヘッドについて、以下に説明する。図15(a)はFPCの拡大平面図であり、図15(b)はFPCとFFCとが接合された状態を示す拡大平面図である。本実施形態におけるインクジェットヘッドは、上述したFPC61の構成が異なるFPC361を有しているだけであり、その他はインクジェットヘッド30と同様である。なお、上述のインクジェットヘッド30と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
【0090】
図15(a)に示すように、FPC361には、上述の信号配線65及び高電位配線68と同様な信号配線365及び高電位配線368と、上述の共通配線66及び低電位配線67と形状は異なるものの役割が同じである共通配線366及び低電位配線367とがベースフィルム362上に形成されている。そして、各配線365〜368の端部を露出するようにカバーフィルム369が設けられており、各配線365〜368の露出した端部が接合端子365a〜368aとなっている。なお、ベースフィルム362及びカバーフィルム369は、上述したベースフィルム62とカバーフィルム69と同様なものである。また、FPC361には、上述のドライバIC80と同様なドライバIC(不図示)設けられており、共通配線366以外の各配線365,367,368と電気的に接続されている。
【0091】
また、共通配線366は、FPC361の延在方向に直交する方向に関して最も外側(図15(a)において右側)に配置されており、内側(図15(a)において左側)に向かって低電位配線367、高電位配線368、信号配線365と順に隣接配置されている。そして、FPC361の各接合端子365a〜368aの先端がいずれもFPC361の延在方向に直交する方向に関して同じ位置にある。低電位配線367の接合端子367aの中央部には、凹部367aが形成されている。共通配線366の接合端子366aの中央部には、凹部367bに入り込む凸部366bが形成されている。そして、図15(b)に示すように、上述と同様なFFC71をFPC361に接合すると、FFC71の低電位配線76の接合端子76aと重なる領域に共通配線366の凸部366bと低電位配線367の接合端子367aとが存在する。これにより、FFC71の接合端子75a,78aをFPC361の接合端子365a,368aに接合すると同時に、FFC71の接合端子76aをFPC361の接合端子366a,367aの両方に接合することができる。そのため、FPC361の各配線365〜368を、FFC71の各配線75,76,78に電気的に接続することが容易にできる。また、第2実施形態と同様に接合端子365a〜368aの先端がいずれもFPC361の延在方向に直交する方向に関して同じ位置にあるので、各々の接合端子365a〜368aの先端にピンプローブを第1実施形態より接触させやすくなる。
【0092】
続いて、第4実施形態のインクジェットヘッドについて、以下に説明する。図16(a)はFPCとFFCの拡大平面図であり、図16(b)はFPCとFFCとが接合された状態を示す拡大平面図である。本実施形態におけるインクジェットヘッドは、上述したFPC61及びFFC71と構成が異なるFPC461及びFFC471を有しているだけであり、その他はインクジェットヘッド30と同様である。なお、上述のインクジェットヘッド30と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
【0093】
図16(a)に示すように、FPC461には、上述の信号配線65及び高電位配線68と同様な信号配線465及び高電位配線468と、上述の共通配線66及び低電位配線67と形状は異なるものの役割が同じである共通配線466及び低電位配線467とがベースフィルム462上に形成されている。そして、各配線465〜468の端部を露出するようにカバーフィルム469が設けられており、各配線465〜468の露出した端部が接合端子465a〜468aとなっている。なお、ベースフィルム462及びカバーフィルム469は、上述したベースフィルム62とカバーフィルム69と同様なものである。また、FPC461には、上述のドライバIC80と同様なドライバIC(不図示)設けられており、共通配線466以外の各配線465,467,468と電気的に接続されている。
【0094】
また、共通配線466は、FPC461の延在方向に直交する方向に関して最も外側(図16(a)において右側)に配置されており、内側(図16(a)において左側)に向かって低電位配線467、高電位配線468、信号配線465と順に隣接配置されている。そして、FPC461の各接合端子465a〜468aの先端がいずれもFPC461の延在方向に直交する方向に関して同じ位置にある。低電位配線467の接合端子467aには、中央より基端側に凹部467bが形成されており、中央より先端側に凸部467cが形成されている。共通配線466の接合端子466aには、中央より基端側に凹部467bに入り込む凸部466bが形成されており、中央より先端側に凸部467cが入り込む凹部466cが形成されている。
【0095】
FFC471には、上述の信号配線75、低電位配線76及び高電位配線78と同様な信号配線475、低電位配線476及び高電位配線478と、FFC471の最も外側に配置された接地配線451とがベースフィルム472上に形成されている。そして、各配線475,476,478,451の端部を露出するようにカバーフィルム479が設けられており、各配線475,476,478,451の露出した端部が接合端子475a,476a,478a,451aとなっている。接地配線451の接合端子451aの反対側端部は接地されており、接地配線451が接地電位に保持されている。なお、ベースフィルム472及びカバーフィルム479は、接地配線451が形成された分だけサイズが大きくなっているが上述したベースフィルム72とカバーフィルム79とほぼ同様なものである。
【0096】
このようなFPC461及びFFC471の対応する接合端子465a〜468a,475a,476a,478a,451a同士を接合したときに、図16(b)に示すように、FPC461の接合端子466a,467aが、FFC471の接合端子476a,451aによりそれぞれ電気的に接続される。つまり、FFC471の接合端子475a,478aをFPC461の接合端子465a,468aに接合すると同時に、FFC471の接合端子476a,451aをFPC461の接合端子466a,467aの両方に2重に接合することができる。このように、FPC461の接合端子466a,467aが2重に電気的に接続されることで、その電気的に接続の信頼性が向上する。また、第2及び第3実施形態と同様に接合端子465a〜468aの先端がいずれもFPC461の延在方向に直交する方向に関して同じ位置にあるので、各々の接合端子465a〜468aの先端にピンプローブを第1実施形態より接触させやすくなる。
【0097】
続いて、第5実施形態のインクジェットヘッドについて、以下に説明する。図17(a)はFPCとFFCの拡大平面図であり、図17(b)はFPCとFFCとが接合された状態を示す拡大平面図である。本実施形態におけるインクジェットヘッドは、上述したFPC61及びFFC71と構成が異なるFPC561及びFFC571を有しているだけであり、その他はインクジェットヘッド30と同様である。なお、上述のインクジェットヘッド30と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
【0098】
図17(a)に示すように、FPC561には、上述の信号配線65及び高電位配線68と同様な信号配線565及び高電位配線568と、形状が高電位配線568とほぼ同形状で役割が上述の共通配線66及び低電位配線67と同じである共通配線566及び低電位配線567とがベースフィルム562上に形成されている。そして、各配線565〜568の端部を露出するようにカバーフィルム569が設けられており、各配線565〜568の露出した端部が接合端子565a〜568aとなっている。また、接合端子565a〜568aの形状はいずれも同形状である。そして、FPC561の各接合端子565a〜568aの先端がいずれもFPC561の延在方向に直交する方向に関して同じ位置にある。各配線565〜568の並びは、最も外側(図17において右側)に共通配線566が配置されており、内側(図17において左側)に向かって、高電位配線568、低電位配線567、信号配線565と順に隣接配置されている。なお、ベースフィルム562及びカバーフィルム569は、上述したベースフィルム62とカバーフィルム69と同様なものである。また、FPC561には、上述のドライバIC80と同様なドライバIC(不図示)設けられており、共通配線566以外の各配線565,567,568と電気的に接続されている。
【0099】
FFC571には、第4実施形態の信号配線475、低電位配線476、高電位配線478及び接地配線451と同様な信号配線575、低電位配線576、高電位配線578及び接地配線551とがベースフィルム572上に形成されている。ベースフィルム572には、低電位配線576、高電位配線578及び接地配線551が形成された領域からFFC571の延在方向に沿って延出された延出部572aが形成されている。延出部572a上には、高電位配線578と電気的に接続されないように高電位配線578の先端を迂回して低電位配線576の先端と接地配線551の先端とを電気的に接続する接続線552が形成されている。そして、各配線575,576,578,551の端部のみを露出するカバーフィルム479がベースフィルム572上に設けられており、各配線575,576,578,551の露出した端部が接合端子575a,576a,578a,551aとなっている。なお、ベースフィルム572及びカバーフィルム579は、第4実施形態のベースフィルム472とカバーフィルム479とほぼ同様なものである。
【0100】
このようなFPC561及びFFC571の対応する接合端子565a〜568a,575a,576a,578a,551a同士を接合したときに、図17(b)に示すように、FPC561の接合端子566a,567aが、FFC571の接合端子576a,551aに繋がった接地配線552によりそれぞれ電気的に接続される。つまり、FFC571の接合端子575a,576a,578a,551aをFPC561の対応する接合端子565a〜568aに接合すると同時に、FPC561の接合端子566a,567aを接続線552により電気的に接続することができる。このとき、共通配線566と低電位配線567との間に高電位配線568が存在していても、接続線552によって共通配線566と低電位配線567とが電気的に接続されるので、ドライバICから吐出パルス信号を個別配線に供給したときに、電流が接続線552までしか流れなくなる。そのため、低電位配線576及び接地配線551全体の電気抵抗がなくなり、電圧降下が小さくなる。したがって、上述のように、個別電極の電位上昇を抑制することが可能になり、ラッチアップ破壊や静電破壊がほとんど起こらなくなる。そのため、インクジェットヘッドの製造コストを低下させることができる。また、第2〜第4実施形態と同様に接合端子565a〜568aの先端がいずれもFPC561の延在方向に直交する方向に関して同じ位置にあるので、各々の接合端子565a〜568aの先端にピンプローブを第1実施形態より接触させやすくなる。
【0101】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述した各実施形態におけるFPCに接合端子を設けずに、FPCとFFCとが接合したときに、FPCの共通配線及び低電位配線がFFCの低電位配線によって電気的に接続されればよい。また、第1〜第3実施形態において、FFC71,271,371に代わって第4実施形態のFFC471が採用される場合、FPC61,261,361,の接合端子66a,67a,266a,267a,366a,367aの形状が互いに入れ替わっていてもよい。また、第2実施形態におけるFPC261の共通配線266及び低電位配線267は、対応する接合端子266a,267aと同じ幅を有しているが、高電位配線268や信号配線265と同じ幅を有していてもよい。また、上述した各実施形態におけるインクジェットヘッドは、シリアルタイプのインクジェットプリンタに適用されるものであるが、ラインタイプのインクジェットヘッドプリンタに適用されるインクジェットヘッドにも本発明を適用可能である。
【0102】
上述した各実施形態における圧電アクチュエータ21は、流路ユニット27の上面と同じ平面形状を有する共通電極を兼ねる振動板と、振動板上にエアロゾルデポジション法(AD法)を用いて形成された圧電層とから構成されていてもよい。なお、圧電層は、AD法以外に、例えば、スパッタ法、化学蒸着法(CVD法)、あるいは、水熱合成法などの他の既知の方法を用いても振動板上に形成可能である。圧電層の振動板と反対側の面には、スクリーン印刷法、スパッタ法、あるいは、蒸着法などにより、複数の個別電極、個別配線の端子と接合されるランド、及び、共通配線と接合される共通ランドが形成されている。また、圧電層には、厚み方向に貫通する孔が設けられており、その孔に充填された導電性部材を介して共通ランドと振動板とが電気的に接続されている。このような圧電アクチュエータが、個別電極と圧力室とが対向するようにして流路ユニット27上に接合されていても、上述と同様にドライバICから吐出パルス信号が個別電極に供給されることで、圧電層が歪み振動板が圧力室10の容積を変化させるように変形することで、圧力室10内のインクに圧力を付与する。これにより、ノズル28からインクが吐出される。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1実施形態によるインクジェットヘッドが採用されたインクジェットプリンタの概略平面図である。
【図2】図1に示すヘッドユニットの分解斜視図である。
【図3】図2に示すインクジェットヘッドユニットの縦断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるインクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図5】図4に示す圧電アクチュエータの要部分解斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるインクジェットヘッドの配線部材の模式図である。
【図7】(a)は図6に示す一点鎖線で囲まれた領域の拡大平面図であり、(b)は配線部材を構成するFPCとFFCとが接合された状態を示す拡大平面図である。
【図8】制御部とインクジェットヘッドとの電気的な接続関係を示す概略ブロック図である。
【図9】制御部のブロック図である。
【図10】波形信号の形状を示す図である。
【図11】ドライバICのブロック図である。
【図12】インクジェットヘッドの製造工程のフロー図である。
【図13】インクジェットヘッドの製造工程のフロー図である。
【図14】本発明の第2実施形態によるインクジェットヘッドの一部を示しており、(a)はFPCの拡大平面図であり、(b)はFPCとFFCとが接合された状態を示す拡大平面図である。
【図15】本発明の第3実施形態によるインクジェットヘッドの一部を示しており、(a)はFPCの拡大平面図であり、(b)はFPCとFFCとが接合された状態を示す拡大平面図である。
【図16】本発明の第4実施形態によるインクジェットヘッドの一部を示しており、(a)はFPCとFFCの拡大平面図であり、(b)はFPCとFFCとが接合された状態を示す拡大平面図である。
【図17】本発明の第5実施形態によるインクジェットヘッドの一部を示しており、(a)はFPCとFFCの拡大平面図であり、(b)はFPCとFFCとが接合された状態を示す拡大平面図である。
【符号の説明】
【0104】
10 圧力室
21 圧電アクチュエータ
30 インクジェットヘッド
35 圧電シート(圧電層)
37 個別電極
38 共通電極
60 配線部材
61,261,361,461,561 FPC(第2ケーブル)
63 個別配線
64 配線(第2配線)
65,265,365,465,565 信号配線(第2信号配線)
66,266,366,466,566 共通配線
66a,67a,76a,266a,267a,366a,367a,466a、467a、476a,566a、567a、576a 接合端子
67,267,367,467,567 低電位配線(第2低電位配線)
68,268,368,468,568 高電位配線(第2高電位配線)
71、471,571 FFC(第1ケーブル)
73 配線(第1配線)
75,475,575 信号配線(第1信号配線)
76,476,576 低電位配線(第1低電位配線)
78,478,578 高電位配線(第1高電位配線)
80 ドライバIC
366b,466b,467c 凸部
367b,466c,467b 凹部
451,551 接地配線
552 接続線




 

 


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