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発明の名称 インクジェットヘッド及びその検査方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−21854(P2007−21854A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−205966(P2005−205966)
出願日 平成17年7月14日(2005.7.14)
代理人 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫
発明者 森田 祥嗣
要約 課題
圧力室の開口を覆うセラミックス層における欠陥(ヘアクラック)が短小であっても、その有無を高い精度で検出する。

解決手段
圧電アクチュエータ21は、複数の圧力室24にわたる大きさを有する扁平形状で且つその扁平な方向と直交する方向に積層される複数のセラミックス層と、複数の圧力室24に対応する領域にわたって屈曲して配置されたクラック検査用電極51の層と、第3のセラミックス層43と、駆動用電極の層に挟まれた複数層の第2のセラミックス層42とが、圧力室24側からその順序で積層して構成されている。セラミックス層41にクラックがあって検査用電極51が断線していると、クラック検査用電極51に通電することでそれを検出することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
インクを吐出する複数のノズルが配置され、前記各ノズル毎に対応する複数の圧力室が平面上に開口形成されたキャビティユニットと、
前記キャビティユニットの前記圧力室が開口した面に積層され、インクが充填された前記圧力室に吐出圧力を与える圧電アクチュエータと、を備えるインクジェットヘッドにおいて、
前記圧電アクチュエータには、前記複数の圧力室にわたる大きさを有する扁平形状で且つその扁平な方向と直交する方向に積層される複数のセラミックス層と、このセラミックス層の扁平な方向の面上に配置される複数の電極層とが備えられ、
前記セラミックス層には、前記圧力室の開口を直接覆う第1のセラミックス層と、前記第1のセラミックス層における前記圧力室と対向する面とは反対の面側に配置される1層または複数層の第2のセラミックス層と、前記第1のセラミックス層と前記第2のセラミックス層との間に介在する第3のセラミックス層とが含まれ、
前記電極層には、前記第1のセラミックス層と第3のセラミックス層との間に形成されるクラック検査用電極の層と、前記第2のセラミックス層を挟んで対をなす駆動用電極の層とが含まれることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項2】
インクを吐出する複数のノズルが配置され、前記各ノズル毎に対応する複数の圧力室が平面上に開口形成されたキャビティユニットと、
前記キャビティユニットの前記圧力室が開口した面に積層され、インクが充填された前記圧力室に吐出圧力を与える圧電アクチュエータと、を備えるインクジェットヘッドにおいて、
前記キャビティユニットにおける前記圧電アクチュエータが積層される面は、電気絶縁性を有し、
前記圧電アクチュエータには、前記複数の圧力室にわたる大きさを有する扁平形状で且つその扁平な方向と直交する方向に積層される複数のセラミックス層と、このセラミックス層の扁平な方向の面上に配置される複数の電極層とが備えられ、
前記セラミックス層には、前記圧力室の開口を覆う第1のセラミックス層と、前記第1のセラミックス層における前記圧力室と対向する面とは反対の面側に積層される1層または複数層の第2のセラミックス層とが含まれ、
前記電極層には、前記第1のセラミックス層における前記圧力室と対向する面上に形成されるクラック検査用電極の層と、前記第2のセラミックス層を挟んで対をなす駆動用電極の層とが含まれることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記クラック検査用電極は、導線を、前記第1のセラミックス層の扁平な方向の面上の所望の領域内にわたって配置したものであり、前記導線の端部に検査用端子が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記導線は、前記領域内にわたって複数回連続して屈曲して配置されていることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記導線は、前記領域内にわたって複数本配置され、各導線の端部に検査用端子が、それぞれ設けられていることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記駆動用電極は、キャビティユニットの複数の圧力室に対応して共通に配置されたコモン電極と各圧力室毎に対応する個別電極とが前記第2のセラミックス層を挟んで構成され、
前記クラック検査用電極に設けられた検査用端子のうち一つは、前記圧電アクチュエータの内部あるいは表面において、前記コモン電極に電気的に接続されていることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
前記キャビティユニットは少なくとも一部に前記インクと接する導電性材料を含み、前記キャビティユニットは前記コモン電極と電気的に接続され、
前記圧電アクチュエータが駆動されるときには、前記コモン電極は接地されることを特徴とする請求項6に記載のインクジェットヘッド。
【請求項8】
前記第1のセラミックス層は、前記第2のセラミックス層よりも、厚みが薄く設定されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
【請求項9】
インクを吐出する複数のノズルが配置され、前記各ノズル毎に対応する複数の圧力室が平面上に開口形成されたキャビティユニットと、
前記キャビティユニットの前記圧力室が開口した面に積層され、インクが充填された前記圧力室に吐出圧力を与える圧電アクチュエータと、を備えるインクジェットヘッドにおいて、
前記圧電アクチュエータには、前記複数の圧力室にわたる大きさを有する扁平形状で且つその扁平な方向と直交する方向に積層される複数のセラミックス層と、このセラミックス層の扁平な方向の面上に配置される複数の電極層とが備えられ、
前記セラミックス層には、前記圧力室の開口を直接覆う第1のセラミックス層と、前記第1のセラミックス層における前記圧力室と対向する面とは反対の面側に配置される1層または複数層の第2のセラミックス層と、前記第1のセラミックス層と前記第2のセラミックス層との間に介在する第3のセラミックス層とが含まれ、
前記電極層には、前記第1のセラミックス層と第3のセラミックス層との間に形成されるクラック検査用電極の層と、前記第2のセラミックス層を挟んで対をなす駆動用電極の層とが含まれ、
前記クラック検査用電極に設けられた端子の電気的特性を測定し、前記第1のセラミックス層にクラックがあるか否かを検査するインクジェットヘッドの検査方法。
【請求項10】
インクを吐出する複数のノズルが配置され、前記各ノズル毎に対応する複数の圧力室が平面上に開口形成されたキャビティユニットと、
前記キャビティユニットの前記圧力室が開口した面に積層され、インクが充填された前記圧力室に吐出圧力を与える圧電アクチュエータと、を備えるインクジェットヘッドにおいて、
前記キャビティユニットにおける前記圧電アクチュエータが積層される面は、電気絶縁性を有し、
前記圧電アクチュエータには、前記複数の圧力室にわたる大きさを有する扁平形状で且つその扁平な方向と直交する方向に積層される複数のセラミックス層と、このセラミックス層の扁平な方向の面上に配置される複数の電極層とが備えられ、
前記セラミックス層には、前記圧力室の開口を覆う第1のセラミックス層と、前記第1のセラミックス層における前記圧力室と対向する面とは反対の面側に積層される1層または複数層の第2のセラミックス層とが含まれ、
前記電極層には、前記第1のセラミックス層における前記圧力室と対向する面上に形成されるクラック検査用電極の層と、前記第2のセラミックス層を挟んで対をなす駆動用電極の層とが含まれ、
前記クラック検査用電極に設けられた端子の電気的特性を測定し、前記第1のセラミックス層にクラックがあるか否かを検査するインクジェットヘッドの検査方法。




発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドに係り、特に、インクが充填されたキャビティユニットの圧力室に、圧電アクチュエータが吐出圧力を与えるように構成されたインクジェットヘッド及びその検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェットヘッドにおいては、圧電層と電極層とを交互に積層して形成されるプレート型の圧電アクチュエータを、キャビティユニットの圧力室に面して接合させて、この圧電アクチュエータの変位により、前記圧力室の容積に変化を与えインクを吐出させるものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のインクジェットヘッドでは、キャビティユニットが複数のプレートを積層して形成されており、その最前面のプレートに複数のノズルが設けられるとともに、最背面のプレートにノズル毎に対応する複数の圧力室が背面側に開口を有して設けられている。圧電アクチュエータでは、図10に模式的に示すように、キャビティユニット120の各圧力室124毎に対応した個別電極152の層と全圧力室124に共通なコモン電極153の層とが圧電層162を挟んで交互に積層されており、個別電極152とコモン電極153とに上下を挟まれた圧電層162の領域が活性部となっている。
【0004】
そして、前記各圧力室124の位置に各活性部を対応させて、キャビティユニット120の背面に圧電アクチュエータ121が積層固定され、インクジェットヘッド100が形成される。このインクジェットヘッド100では、接地されたコモン電極153に対して個別電極152に選択的に電圧を印加することで対応する活性部が変位し、この変位が伝達されて圧力室124に吐出圧力が与えられる。
【0005】
圧電アクチュエータの圧電層162は、一般的に、PZT系等の圧電材料(セラミックス粉末)からなるグリーンシートを積層して焼結することにより形成されているため、焼結体である圧電層162(以下、セラミックス層162と記載する)には、微小な欠陥(ヘアクラック)160が生じやすい。この欠陥160が、図10に示すように、圧力室の開口を覆うセラミックス層162aにおいて、その圧力室側の面からセラミックス層162を貫通して電極層の面に至るように延びていると、この欠陥160を通じて圧力室124からセラミックス層162aにインクが浸透する可能性が大きい。そして、さらにインクの浸透が進むと、電極間の電気的短絡を招くという問題があった。
【0006】
そのため、前記特許文献1では、キャビティユニットと圧電アクチュエータとの接着にインク非浸透性の接着シートを用い、この接着シートで、キャビティユニットと対向する圧電アクチュエータの面を全部覆うようにして、圧電アクチュエータのセラミックス層がインクと直接接触しないようにしている。
【特許文献1】特開2002−59547号公報(図7及び図8参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、キャビティユニットでは、静電気等によりインクに電荷が溜まることがある。通常インクは、正に帯電すると、図10に示すように、圧力室に充填されたインク170と、グランドに接続された圧電アクチュエータのコモン電極153との間には、最下層のセラミックス層162aを挟んで電位差が生じることになる。このような電位差は、正に帯電したインク170を陰極側(コモン電極153側)に移動させる電気浸透現象を発生させるため、インクには、セラミックス層162に浸透させようとする積極的な力が作用する。
【0008】
前述した特許文献1では、接着シートで圧電アクチュエータのセラミックス層を覆っているものの、微視的には、接着シートには微小な空孔が多数あるため、前述したようなインクを積極的にセラミックス層側に誘導する力が作用すると、インクが接着シートを通過する。その結果、セラミックス層に図10に示すような欠陥160があると、その内部にインクが浸透してしまい、従来同様の電気的短絡等の問題を招来する。
【0009】
また、セラミックス層の欠陥は、セラミックス層を焼成処理する工程で発生するだけでなく、圧電アクチュエータをキャビティユニットに接着する工程やフレキシブルフラットケーブル等の他の部材を圧電アクチュエータ上に積層して組立てる工程でも圧電アクチュエータをキャビティユニットの圧力室に向けて押す力を作用させるため、組立てられた状態でその内部に存在するセラミックス層の欠陥を目視で確認することは困難であった。そのため、従来は、欠陥(クラック)が圧力室から個別電極の位置にまで到達するほど長く延び、さらにインクが欠陥を通じて個別電極まで浸透し、個別電極間あるいは個別電極とコモン電極間の電気的短絡を引き起こさないと欠陥の有無が検出できなかった。従って、欠陥がもっと短小な状態でも検出できるようにしたいという要望があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解消するものであり、圧力室の開口を覆うセラミックス層における欠陥(ヘアクラック)が短小であっても、その有無を高い精度で検出することのできるインクジェットヘッド及びその検査方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明におけるインクジェットヘッドは、インクを吐出する複数のノズルが配置され、前記各ノズル毎に対応する複数の圧力室が平面上に開口形成されたキャビティユニットと、前記キャビティユニットの前記圧力室が開口した面に積層され、インクが充填された前記圧力室に吐出圧力を与える圧電アクチュエータと、を備えるインクジェットヘッドにおいて、前記圧電アクチュエータには、前記複数の圧力室にわたる大きさを有する扁平形状で且つその扁平な方向と直交する方向に積層される複数のセラミックス層と、このセラミックス層の扁平な方向の面上に配置される複数の電極層とが備えられ、前記セラミックス層には、前記圧力室の開口を直接覆う第1のセラミックス層と、前記第1のセラミックス層における前記圧力室と対向する面とは反対の面側に配置される1層または複数層の第2のセラミックス層と、前記第1のセラミックス層と前記第2のセラミックス層との間に介在する第3のセラミックス層とが含まれ、前記電極層には、前記第1のセラミックス層と第3のセラミックス層との間に形成されるクラック検査用電極の層と、前記第2のセラミックス層を挟んで対をなす駆動用電極の層とが含まれることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項2に記載の発明におけるインクジェットヘッドは、インクを吐出する複数のノズルが配置され、前記各ノズル毎に対応する複数の圧力室が平面上に開口形成されたキャビティユニットと、前記キャビティユニットの前記圧力室が開口した面に積層され、インクが充填された前記圧力室に吐出圧力を与える圧電アクチュエータと、を備えるインクジェットヘッドにおいて、前記キャビティユニットにおける前記圧電アクチュエータが積層される面は、電気絶縁性を有し、前記圧電アクチュエータには、前記複数の圧力室にわたる大きさを有する扁平形状で且つその扁平な方向と直交する方向に積層される複数のセラミックス層と、このセラミックス層の扁平な方向の面上に配置される複数の電極層とが備えられ、前記セラミックス層には、前記圧力室の開口を覆う第1のセラミックス層と、前記第1のセラミックス層における前記圧力室と対向する面とは反対の面側に積層される1層または複数層の第2のセラミックス層とが含まれ、前記電極層には、前記第1のセラミックス層における前記圧力室と対向する面上に形成されるクラック検査用電極の層と、前記第2のセラミックス層を挟んで対をなす駆動用電極の層とが含まれることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のインクジェットヘッドにおいて、前記クラック検査用電極は、導線を、前記第1のセラミックス層の扁平な方向の面上の所望の領域内にわたって配置したものであり、前記導線の端部に検査用端子が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のインクジェットヘッドにおいて、前記導線は、前記領域内にわたって複数回連続して屈曲して配置されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3に記載のインクジェットヘッドにおいて、前記導線は、前記領域内にわたって複数本配置され、各導線の端部に検査用端子が、それぞれ設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項3から5のいずれかに記載のインクジェットヘッドにおいて、前記駆動用電極は、キャビティユニットの複数の圧力室に対応して共通に配置されたコモン電極と各圧力室毎に対応する個別電極とが前記第2のセラミックス層を挟んで構成され、前記クラック検査用電極の両端部のうち一方は、前記圧電アクチュエータの内部あるいは表面において、前記コモン電極に電気的に接続されていることを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のインクジェットヘッドにおいて、前記キャビティユニットは少なくとも一部に前記インクと接する導電性材料を含み、前記キャビティユニットは前記コモン電極と電気的に接続され、前記圧電アクチュエータが駆動されるときには、前記コモン電極は接地されることを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれかに記載のインクジェットヘッドにおいて、前記第1のセラミックス層は、前記第2のセラミックス層よりも、厚みが薄く設定されていることを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項9に記載の発明におけるインクジェットヘッドの検査方法は、インクを吐出する複数のノズルが配置され、前記各ノズル毎に対応する複数の圧力室が平面上に開口形成されたキャビティユニットと、前記キャビティユニットの前記圧力室が開口した面に積層され、インクが充填された前記圧力室に吐出圧力を与える圧電アクチュエータと、を備えるインクジェットヘッドにおいて、前記圧電アクチュエータには、前記複数の圧力室にわたる大きさを有する扁平形状で且つその扁平な方向と直交する方向に積層される複数のセラミックス層と、このセラミックス層の扁平な方向の面上に配置される複数の電極層とが備えられ、前記セラミックス層には、前記圧力室の開口を直接覆う第1のセラミックス層と、前記第1のセラミックス層における前記圧力室と対向する面とは反対の面側に配置される1層または複数層の第2のセラミックス層と、前記第1のセラミックス層と前記第2のセラミックス層との間に介在する第3のセラミックス層とが含まれ、前記電極層には、前記第1のセラミックス層と第3のセラミックス層との間に形成されるクラック検査用電極の層と、前記第2のセラミックス層を挟んで対をなす駆動用電極の層とが含まれ、前記クラック検査用電極に設けられた端子の電気的特性を測定し、前記第1のセラミックス層にクラックがあるか否かを検査するものである。
【0020】
また、請求項10に記載の発明におけるインクジェットヘッドの検査方法は、インクを吐出する複数のノズルが配置され、前記各ノズル毎に対応する複数の圧力室が平面上に開口形成されたキャビティユニットと、前記キャビティユニットの前記圧力室が開口した面に積層され、インクが充填された前記圧力室に吐出圧力を与える圧電アクチュエータと、を備えるインクジェットヘッドにおいて、前記キャビティユニットにおける前記圧電アクチュエータが積層される面は、電気絶縁性を有し、前記圧電アクチュエータには、前記複数の圧力室にわたる大きさを有する扁平形状で且つその扁平な方向と直交する方向に積層される複数のセラミックス層と、このセラミックス層の扁平な方向の面上に配置される複数の電極層とが備えられ、前記セラミックス層には、前記圧力室の開口を覆う第1のセラミックス層と、前記第1のセラミックス層における前記圧力室と対向する面とは反対の面側に積層される1層または複数層の第2のセラミックス層とが含まれ、前記電極層には、前記第1のセラミックス層における前記圧力室と対向する面上に形成されるクラック検査用電極の層と、前記第2のセラミックス層を挟んで対をなす駆動用電極の層とが含まれ、前記クラック検査用電極に設けられた端子の電気的特性を測定し、前記第1のセラミックス層にクラックがあるか否かを検査するものである。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、圧力室を直接覆う第1のセラミックス層に欠陥が生じ、第1のセラミックス層と第3のセラミックス層との間に形成されたクラック検査用電極に亀裂が生じると、このクラック検査用電極の電気的特性が変化するので、この現象を利用して第1のセラミックス層における欠陥の有無を検出することができる。すなわち、クラック検査用電極は、第2のセラミックス層を挟む駆動用電極よりも圧力室に近い位置に設けられているので、圧力室側からセラミックス層の内部に延びる欠陥が、駆動用電極に到達しない短小な欠陥であっても検出することが可能となる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、圧力室を直接覆う第1のセラミックス層に欠陥が生じ、第1のセラミックス層の圧力室と対向する面上に形成されたクラック検査用電極に亀裂が生じると、このクラック検査用電極の電気的特性が変化するので、この現象を利用して第1のセラミックス層における欠陥の有無を検出することができる。すなわち、クラック検査用電極は、圧力室に面した位置に設けられているから、セラミックス層の圧力室側の面に欠陥が生じると直ちに検出することが可能となる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、クラック検査用電極は、導線を第1のセラミックス層の扁平な方向の面上に所望の領域内にわたって配置したものであるので、第1のセラミックス層に生じた欠陥が小さくても亀裂して断線し易い。そのため、クラック検査用電極の検査用端子を用いて端子間の導通の有無を確認することで、第1のセラミックス層に生じた欠陥を容易に検出することができる。また、断線の有無を検査することで、インクが欠陥に浸透しなくても検出することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、導線を複数回連続して屈曲させることで、所望の領域における導線の密度が高められるから、検出精度を向上させることができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、導線を複数本配置することで、所望の領域における導線の密度が高められるから、検出精度を向上させることができる。
【0026】
また、複数本の導線にはそれぞれの端部に検査用端子が設けられて、導線毎にそれぞれ独立して導通を確認できるので、どの導線が断線しているかを把握することにより、所望の領域のどの位置に欠陥が生じているかを検出することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、クラック検査用電極における検査用端子のうちの一つが、圧電アクチュエータに駆動用としてあらかじめ設けられているコモン電極に接続されているから、クラック検査用電極の検査に際して検査用の端子の一つとしてコモン電極を利用することで、検査作業を容易に行うことができる。
【0028】
請求項7に記載の発明によれば、圧電アクチュエータが駆動されるときには、コモン電極は接地されるので、キャビティユニットのインクが静電気等に帯電しても、この静電気を、キャビティユニットにおいてインクと接する導電性材料の部分とコモン電極とを介して速やかにグランドに逃がすことができ、静電気によりインクの吐出動作が不安定になることを防止することができる。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、第1のセラミックス層は、駆動用電極に挟まれていないので、電気的な耐圧を考慮する必要がなく、そのため、駆動用の第2のセラミックス層よりも厚みを薄くすることができる。従って、セラミックス層が厚い場合には電極に到達できなかかった短小な欠陥であっても、厚みの薄い第1のセラミックス層では圧力室側から延びてクラック検査用電極に到達するので、検出感度を向上させることができる。また、第1のセラミックス層が薄いと、第1のセラミックス層を付加しても、圧電アクチュエータ全体としての大型化を抑制することができる。
【0030】
請求項9に記載の発明によれば、圧力室を直接覆う第1のセラミックス層に欠陥が生じ、第1のセラミックス層と第3のセラミックス層との間に形成されたクラック検査用電極に亀裂が生じると、このクラック検査用電極の電気的特性が変化するので、この現象を利用して第1のセラミックス層における欠陥の有無を検出することができる。すなわち、クラック検査用電極は、駆動用電極で挟まれた第2のセラミックス層よりも、圧力室に近い位置に設けられているので、圧力室側からセラミックス層の内部に延びる欠陥が、駆動用電極に到達する前の微小な状態でも検出することが可能となる。
【0031】
請求項10に記載の発明によれば、圧力室を直接覆う第1のセラミックス層に欠陥が生じ、第1のセラミックス層の圧力室と対向する面上に形成されたクラック検査用電極に亀裂が生じると、このクラック検査用電極の電気的特性が変化するので、この現象を利用して第1のセラミックス層における欠陥の有無を検出することができる。すなわち、クラック検査用電極は、圧力室に面した位置に設けられているから、セラミックス層の圧力室側の面に欠陥が生じると直ちに検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態のインクジェットヘッドの斜視図、図2はインクジェットヘッドの分解斜視図、図3は図1のIII−III線矢視断面図、図4は圧電アクチュエータの分解斜視図、図5は図4のIV−IV線矢視断面図、図5(a)はクラック検査用電極のパターンの平面図、図5(b)はクラック検査用電極のパターンの他例の平面図、図7は圧電アクチュエータとキャビティユニットとの電気的接続を示す模式的な斜視図、図8はクラック検査用電極のコモン端子の引き出しの他例を示す要部断面図である。
【0033】
図1は、本発明の実施形態による圧電式のインクジェットヘッド1におけるキャビティユニット20、圧電アクチュエータ21、及びフレキシブルフラットケーブル22の斜視図であり、金属板製の複数枚のプレートからなるキャビティユニット20にプレート型の圧電アクチュエータ21が接合され、このプレート型の圧電アクチュエータ21の上面に外部機器との接続のためのフレキシブルフラットケーブル22が重ね接合されている。そして、キャビティユニット20の下面側に開口されたノズル23から、下向きにインクが吐出するものとする(図3参照)。
【0034】
前記キャビティユニット20は、図2に示すように、ノズルプレート30、スペーサプレート31、2枚のマニホールドプレート33a、33b、サプライプレート34、ベースプレート35、及びキャビティプレート36の合計7枚の薄い板をそれぞれ接着剤にて重ね接合した構造となっている。
【0035】
実施形態では、各プレート30〜36は50〜150μm程度の厚さを有し、ノズルプレート30はポリイミド等の合成樹脂製で、その他のプレート31〜36は42%ニッケル合金鋼板製である。前記ノズルプレート30には、微小径(25μm程度)のインク吐出用のノズル23が微小間隔で多数個穿設されている。このノズル23は、当該ノズルプレート30における長辺方向(X方向)と平行な2列に配列されている。
【0036】
また、前記キャビティプレート36には、図3に示すように、複数の圧力室24がキャビティプレート36の長辺(前記X方向)と平行な2列に配列されている。実施形態では、前記各圧力室24は、平面視細長形状に形成され、その長手方向がキャビティプレート36の短辺方向(Y方向)に沿うようにして穿設され、長手方向の一端部がノズル23と連通し、他端部が後述する共通インク室25と連通する。
【0037】
各圧力室24における先端部は、ベースプレート35、サプライプレート34と2枚のマニホールドプレート33a、33b、及びスペーサプレート31に穿設されている微小径の連通孔26を介して、ノズルプレート30における前記各ノズル23に連通している。
【0038】
キャビティプレート36の下面に隣接するベースプレート35には、各圧力室24の他端部に接続する貫通孔28が穿設されている。
【0039】
ベースプレート35の下面に隣接するサプライプレート34には、後述する共通インク室25から前記各圧力室24へインクを供給するための接続流路29が設けられる。そして各接続流路29には、共通インク室25からインクが入る入口孔と、圧力室24側(貫通孔28)に開口する出口孔と、入口孔と出口孔との間にあって、接続流路29中で最も大きな流路抵抗となるように断面積を小さくして形成された絞り部とが備えられている。
【0040】
2枚のマニホールドプレート33a,33bには、その長辺方向(X方向)に沿って長い2つの共通インク室25が前記ノズル23の各列に沿って延びるように板厚さを貫通して形成されている。すなわち、図2及び図3に示すように、2枚のマニホールドプレート33a、33bを積層し、かつその上面をサプライプレート34にて覆い、下面をスペーサプレート31にて覆うことにより、合計2つの共通インク室(マニホールド室)25が密閉状に形成される。各共通インク室25は、各プレートの積層方向から平面視したときに、前記圧力室24の一部と重なって圧力室24の列方向(ノズル23の列方向)に沿って長く延びている。接続流路29の一端は共通インク室25に他端は連通孔26を介して圧力室24にそれぞれ連通している。
【0041】
また、図2に示すように、キャビティプレート36、ベースプレート35、及びサプライプレート34の一方の短辺側の端部には、上下の位置を対応させて、それぞれ2つのインク供給口40が穿設されている。インク供給源からのインクが、これらインク供給口40から共通インク室25の一端部に連通するようになっている。また、インク供給口40には、フィルタ体40aが接着剤等で貼着されている。
【0042】
インク供給口40からノズル23に至るインク流通路では、インクは、インク供給口40からインク供給チャンネルとしての共通インク室25に供給された後、図3に示すように、サプライプレート34の接続流路29及びベースプレート35の貫通孔28を経由して各圧力室24に分配供給される。そして、インクは各圧力室24内から前記連通孔26を通って、その圧力室24に対応するノズル23に至るという構成になっている。
【0043】
一方、前記圧電アクチュエータ21には、特開平4−341853号公報等に開示された公知のものと同様に、複数の圧力室にわたる大きさを有する扁平形状で且つその扁平な方向と直交する方向に積層される複数のセラミックス層と、この複数のセラミックス層の扁平な方向の面上に配置される複数の電極層とが備えられている。ここでは、セラミックス粉末、バインダ、溶剤を混合したものを1枚の厚さが30μm程度になるように扁平に成形したグリーンシートの複数枚のうち適数枚のシート面に導電性ペーストで電極層を印刷法等によって形成し、その複数枚のグリーンシートを積層して焼成することで、圧電アクチュエータ21を形成している。これにより、各グリーンシートは、焼結体のセラミックス層となる。このセラミックス層としては、圧力室の開口を直接覆うように最も下面(キャビティユニット20)側に配置される第1のセラミックス層41と、第1のセラミックス層41の上面に重ねられる第3のセラミックス層43と、その上面に重ねられる複数層の第2のセラミックス層42と、第2のセラミックス層のうちの最上層の上面に重ねられる複数層の第4のセラミックス層44とが設けられている。この実施形態では、第2のセラミックス層42が4層、第4のセラミックス層44が3層設けられているが、第2、第4のセラミックス層42、44は、いずれも1層であってもよい。
【0044】
電極層としては、第1のセラミックス層41と第3のセラミックス層43との間に形成されるクラック検査用電極51の層と、第2のセラミックス層42を挟んで対をなす駆動用電極の層と、最上面に配置されフレキシブルフラットケーブル22と電気的に接続される表面電極46の層とが設けられている。
【0045】
駆動用電極は、図4に示すように、個別電極52とコモン電極53の対であり、個別電極52は各圧力室24に対応した箇所毎に細幅で圧電アクチュエータ21の長辺方向(X方向)に沿って列状に配置され、コモン電極53はすべての圧力室を覆ってこれらに共通に対応するように配置されている。コモン電極53は、キャビティユニット20のキャビティプレート36と電気的に接続する(後述する)ために、セラミックス層の端縁にまで延設されて、圧電アクチュエータ21の側面に引き出されている。この実施形態では、第3のセラミックス層43と第2のセラミックス層42との間、換言すれば、図5に示すように、4層ある第2のセラミックス層42のうちの最下層の第2のセラミックス層の下面側にコモン電極53の層が配置されて、これより上方に、個別電極52の層とコモン電極53の層とが、第2のセラミックス層42を挟んで交互に配置されている。そして、圧電アクチュエータ21の駆動時には、コモン電極53が接地され、個別電極52に駆動パルス信号が印加される。
【0046】
クラック検査用電極51は、導線状の電極を、すべての圧力室24に平面視において対応する領域内にわたって第1のセラミックス層41の上面に配置したものである。ここでは、図6(a)に示すように、1本の導線を領域内で複数回連続して屈曲させ、領域内の面上を導線ができるだけ多く行き渡るように引き回して配線している。そして、導線の両端部に検査用端子として、コモン端子55とチェック端子56とをそれぞれ設けている。なお、第1のセラミックス層41における所望の領域とは、欠陥が生じてインクが浸透した場合に、電気的短絡等のトラブルを招く虞のある領域であり、例えば、セラミックス層の端縁付近等の、欠陥が生じても支障がないと判断できる領域には、必ずしもクラック検査用電極51を設けなくてもよい。また、所望の領域内においても、特に欠陥の発生しやすい領域には、クラック検査用電極51の配線の密度を高めて検出精度を向上させることが望ましい。
【0047】
第3のセラミックス層43には、図5に示すように、クラック検査用電極51のコモン端子55の位置に対応して、導電性材料が充填されたスルーホール57が設けられており、コモン端子55がコモン電極53に電気的に接続されている。一方、第3、第2、及び第4のセラミックス層43,42,44には、チェック端子56の位置に対応して、導電性材料が充填されたスルーホール58が設けられており、チェック端子56が表面電極46cに電気的に接続されている。
【0048】
クラック検査用電極51の配置は、図6(a)のパターンに限定するものではなく、例えば、図6(b)に示すように、所望の領域内に複数本の導線を配置してもよい。この場合には、各導線毎に、その一方端にチェック端子56を他方端にコモン端子55をそれぞれ設けるが、コモン端子55は、図示したように、導線の他方端を繋げて共通の端子として設けることができる。このように、導線を複数本にしてチェック端子56を複数個設けると、後述するインクジェットヘッド1の検査において、欠陥の有無だけでなく、欠陥がどの位置で発生しているかを判別することができる。また、コモン端子55を共通にすることで、コモン端子55の引き出しが省略できるとともに、検査作業も容易となる。
【0049】
表面電極46は、図1、図4及び図5に示すように、最上層に配置された第4のセラミックス層44の上面に設けられており、積層方向に対応する前記個別電極52の各々に対して電気的に接続される表面電極46aと、前記コモン電極53に対して電気的に接続される表面電極46bと、クラック検査用電極51のチェック端子56と電気的に接続される表面電極46cとが設けられている。個別電極52と表面電極46aとの接続、及びコモン電極53と表面電極46bとの接続は、図4に示すように、導電性部材を充填したスルーホール58及び個別電極52とコモン電極53とのそれぞれに対応して設けられたダミー電極とによって行っているが、この他に、圧電アクチュエータ21の側面に積層方向(上下方向)に延びる側面電極を形成してこの側面電極で接続してもよい。
【0050】
また、前述したようにこの実施形態では、図5に示すように、クラック検査用電極51のコモン端子55を、圧電アクチュエータ21の内部にてコモン電極53に接続しているが、例えば、図8に示すように、コモン端子55をチェック端子56と同様に、スルーホール57によって最上層の表面電極に接続し、最上層でコモン電極53の表面電極46bと接続するように構成してもよい。なお、図4及び図5に示す各電極層の配置パターンは、一例であって、これに限定するものではない。
【0051】
このように電極層が設けられた圧電アクチュエータ21では、公知のように個別電極52とコモン電極53との間に高電圧を印加することで、両電極に挟まれたセラミックス層の部分が分極され、活性部として形成される。そして、インクを吐出させる圧力室に対応する個別電極52とコモン電極53との間に駆動電圧を印加すると、対応する活性部が変形し、圧力室の容積を変化させる。第4のセラミックス層44は3層設けられているが、これらは駆動用電極(個別電極52とコモン電極53)に挟まれていないから、前述した高電圧が印加されても、活性部が形成されない。すなわち、第4のセラミックス層44は、圧電アクチュエータ21の駆動時には変形しないで、前記活性部の変形を圧力室24側に効率よく生じさせるための拘束部として作用する。
【0052】
この圧電アクチュエータ21はキャビティユニット20の上面に、第1のセラミックス層41が圧力室24と対面するように接着固定される。接着剤には、耐インク性に優れたシート状の接着剤(図示せず)が用いられる。そして、接着固定されたキャビティユニット20と圧電アクチュエータ21とは、図3、図5及び図7に示すように、圧電アクチュエータ21の側面に引き出されたコモン電極53と金属製のキャビティプレート36とが、導電性部材59によって電気的に接続される。キャビティユニット20の内部のインクは、静電気等により帯電する場合があるが、圧電アクチュエータ21の駆動時には、コモン電極53は接地されるので、静電気はキャビティユニット20、導電性部材59及びコモン電極53を介してグランドに速やかに逃がされる。導電性部材59としては、導電性ペーストを用いており、圧電アクチュエータ21の外周のいずれか1箇所に配置すればよい。
【0053】
なお、この実施形態では、コモン電極45の層を3層設けているが、これら3層のコモン電極45は、電気的に接続されているので、キャビティプレート36は、必ずしも最もキャビティユニット20に近いコモン電極45の層と接続するように構成しなくてもよく、いずれかの層のコモン電極45と接続していればよい。
【0054】
次に、このように構成されたインクジェットヘッド1に対して、インクと接する第1のセラミックス層41に欠陥(ヘアクラック)が発生しているか否かを検査する検査方法について説明する。検査は、インクジェットヘッド1が、インクジェットプリンタ等の本体に接続される前に行われる。この実施形態では、図1に示すように、キャビティユニット20と圧電アクチュエータ21とフレキシブルフラットケーブル22とが接合され、且つキャビティユニット20にインクが充填されていない状態で検査を行う。
【0055】
検査に際しては、チェック端子56及びコモン端子55とが、表面電極46を介してそれぞれフレキシブルフラットケーブル22上に形成された配線パターンに接続されているので、チェック端子56及びコモン端子55に対応するフレキシブルフラットケーブル22の各端子を利用して、クラック検査用電極51の電気的特性である抵抗値を計測する。前述したように、コモン端子55はあらかじめコモン電極53に接続されているので、コモン端子55としては、フレキシブルフラットケーブル22のコモン電極53に対応する端子が用いられる。なお、チェック端子56はフレキシブルフラットケーブル22に接続されない構成とし、チェック用端子56に直接、検査用プローブを接触させて検査することもできる。
【0056】
インクジェットヘッド1の第1のセラミックス層41に生じた欠陥(クラック)がその上面(第3のセラミックス43側の面)に達していると、クラック検査用電極51に亀裂61を発生させる(図6(a)参照)。クラック検査用電極51のコモン端子55とチェック端子56との間は、本来電気的に導通しているのできわめて低い抵抗値であるが、亀裂61により、これら電極間の導線が断線あるいは部分的に断線している場合には、抵抗値が無限大あるいはきわめて高くなる。従って、クラック検査用電極51のコモン端子55とチェック端子56との間の抵抗値を測定することで、第1のセラミックス層41の上面に欠陥があるか否かを判定することができる。
【0057】
この第1のセラミックス層41の上面の欠陥は、圧力室24に連通するように延びていて、セラミックス層の内部にインクを浸透させる虞が大きいから、欠陥が生じていると判定されたインクジェットヘッド1は、不良品として製造工程から除外される。これにより、電気的短絡を招くような欠陥(クラック)が存在しない圧電アクチュエータ21を有するインクジェットヘッド1を良品として選別し、インクジェットプリンタ等の本体に接続して搭載することができるので、製造工程の効率化を図ることができる。なお、コモン端子55とチェック端子とを利用して抵抗値を測定するだけではなく、必要に応じて、電気的特性として静電容量等を測定してもよい。
【0058】
また、第1のセラミックス層41は、駆動用には用いられないため電気的な耐圧を考慮する必要がないので、駆動用に用いる第2のセラミックス層42よりも積層方向の厚みを薄くすることができる。従って、セラミックス層の厚みが厚い場合に比べて、圧力室24側からセラミックス層の積層方向に延びる欠陥が短小な欠陥であっても、クラック検査用電極51に到達し易いので、欠陥の検出感度を向上させるという効果を奏する。
【0059】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9は図5に対応する第2実施形態の断面図である。第2実施形態は、第1実施形態の変形例であるため、同じ構成には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0060】
第2実施形態のインクジェットヘッド1では、キャビティユニット20における圧電アクチュエータ21の積層される面が電気絶縁性を有している。この実施形態では、圧力室24を有するキャビティプレート36自体を電気絶縁性材料で形成しているが、この他に、キャビティユニット20における圧電アクチュエータ21が積層される面に電気絶縁性を有する薄膜が形成される形態や、キャビティユニット20と圧電アクチュエータ21との間に電気絶縁性を有するプレート(またはシート)が介挿される形態等でもよい。
【0061】
また、圧電アクチュエータ21では、第1実施形態における第3のセラミックス層43が省略され、圧力室24を覆う第1のセラミックス層41に、第2のセラミックス層42が重ねられている。そして、クラック検査用電極51が、第1のセラミックス層41の下面側、すなわち、圧力室24と対面する面上に形成されている。
【0062】
第2実施形態のクラック検査用電極51は、図6(a)あるいは図6(b)に図示されたようなパターンが適宜選択されて形成されており、チェック端子56は表面電極46cに、コモン端子55はコモン電極53を介して表面電極46bに電気的に接続されている。
【0063】
このように構成されたインクジェットヘッド1では、第1実施形態と同様に、クラック検査用電極51に設けられたコモン端子55とチェック端子56との間の抵抗値を測ることで、第1のセラミックス層41での欠陥の有無を検査することができるが、特に、クラック検査用電極51が圧力室24に面して設けられているから、欠陥が、セラミックス層へのインク浸透の入口となる圧力室に対面する位置に存在するだけで、換言すれば、欠陥が、セラミックス層の積層方向に長く延びていなくても、検出することができるのである。従って、セラミックス層へのインク浸透の虞を、高い感度で検出でき、電気的短絡等のトラブルを確実に防止することができる。
【0064】
なお、キャビティユニット20の内部のインクが導電性を有している場合、圧力室24にインクを充填した状態で検査を行うと、第1実施形態において欠陥にすでにインクが侵入していたりするものや、第2実施形態のようにインクとクラック検査用電極51とが直接接触するものでは、当該電極に亀裂61が生じて断線しても、インクを介してチェック端子56とコモン端子55との間には見掛け上導通があるように測定されることが考えられる。しかしながら、インクは、一般的に所定の電圧以上を印加した場合に、電気分解することで導電性を示すので、チェック端子56とコモン端子55との間の抵抗値を測定する際に、インクが電気分解しない程度の低い電圧を印加することによって、インクの導電性の影響がない状態で亀裂の有無を正確に検査することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態のインクジェットヘッドの斜視図である。
【図2】インクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III線矢視断面図である。
【図4】圧電アクチュエータの分解斜視図である。
【図5】図4のIV−IV線矢視断面図である。
【図6】(a)は、従来のインクジェットヘッドを説明する縦断面図、(b)はクラック検査用電極のパターンの他例の平面図である。
【図7】圧電アクチュエータとキャビティユニットとの電気的接続を示す模式的な斜視図である。
【図8】クラック検査用電極のコモン端子の引き出しの他例を示す要部断面図である。
【図9】図5に対応する第2実施形態の断面図である。
【図10】従来のインクジェットヘッドを説明する縦断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 インクジェットヘッド
20 キャビティユニット
21 圧電アクチュエータ
22 フレキシブルフラットケーブル
23 ノズル
24 圧力室
36 キャビティプレート
41 第1のセラミックス層
42 第2のセラミックス層
43 第3のセラミックス層
44 第4のセラミックス層
46 表面電極
51 クラック検査用電極
52 個別電極
53 コモン電極
55 コモン端子
56 チェック端子
61 亀裂





 

 


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