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発明の名称 インクジェットプリンタ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−21726(P2007−21726A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−202445(P2005−202445)
出願日 平成17年7月12日(2005.7.12)
代理人 【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之
発明者 加賀 光
要約 課題
パージ処理後にノズル面に付着したインクが、ノズル内へ逆流するのを確実に抑制することが可能なインクジェットプリンタを提供すること。

解決手段
インクジェットヘッド4は、孔径が大きいブラックインクのノズル10とそれよりも孔径が小さいカラーインクのノズル11〜13とを有する。ノズル10〜13から強制的にインクを排出させるパージ処理を行うパージ位置よりもプラテン5側にワイプ部材36を配置し、インクジェットヘッド4は、孔径が大きいノズル10がワイプ部材36側になるよう配置している。パージ処理後にインクジェットヘッド4をプラテン5側へ移動させることにより、ワイプ部材36がノズル面40に付着したインクを拭き取る際、孔径の大きなノズル10の出射口付近を一番先に拭き取り、その孔径の大きなノズル10へインクが逆流するのを抑える。
特許請求の範囲
【請求項1】
異なる色のインク別に孔径が異なる2種類以上のノズルを有するインクジェットヘッドと、
前記2種類以上のノズルから強制的にインクを排出させるパージ処理を行うパージ手段と、
前記パージ処理後に、前記インクジェットヘッドのノズル面に付着したインクを拭き取るワイプ部材とを備え、
前記ワイプ部材が、前記ノズル面のうちの、前記2種類以上のノズルの中で最も孔径の大きな第1ノズルの出射口付近を、前記第1ノズルよりも孔径の小さな第2ノズルのうち少なくとも一部の第2ノズルの出射口付近よりも先に拭き取るように構成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記パージ処理後の状態では、前記ワイプ部材は、前記第2ノズルのうち少なくとも一部の第2ノズルよりも前記第1ノズルに近い位置にあることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記ワイプ部材が、前記ノズル面のうちの前記第1ノズルの出射口付近を、一番先に拭き取るように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記インクジェットヘッドは、前記パージ処理後、前記ワイプ部材の位置する一端側から前記第1ノズルおよび前記第2ノズルをその順に配列して有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記インクジェットヘッドは、前記パージ処理後、前記ワイプ部材の位置する一端側から前記第2ノズルの一部、第1ノズルおよび第2ノズルの残りをその順に配列して有することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記パージ手段は、前記パージ処理として、前記ノズルの上流側からインクに圧力を付与することによりノズルからインクを排出させる正圧パージを行うことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記第1ノズルからはブラックインクが噴射され、前記第2ノズルからはカラーインクが噴射されることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のインクジェットプリンタ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体にインクを噴射して記録するインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
カラーインクジェットプリンタは、ブラックインク及び複数種類のカラーインクをそれぞれ噴射する複数のノズルを有するインクジェットヘッドを備えており、複数のノズルから記録用紙等の被記録媒体に対して複数色のインクをそれぞれ噴射することにより、記録用紙等にカラー画像を記録する。
【0003】
ところで、このようなインクジェットプリンタにおいて、インクジェットヘッド内のノズルを含むインク流路内にエアや塵等の異物が混入したり、あるいは、乾燥して粘度が高くなったインク(増粘インク)がノズル内に詰まったりすると、インクの噴射方向が曲がったり、しぶきが発生したり、さらには、ノズルから全くインクを噴射できなくなるなどして印字不良が生じる虞がある。そこで、一般的なインクジェットプリンタは、ノズルからインクを強制的に排出させて、インク流路内のエアなどをインクとともに外部へ排出する、いわゆるパージ処理を実行してノズルの噴射不良を回復できるように構成されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のインクジェットプリンタは、記録用紙の搬送方向と直交する方向に移動するキャリッジと、このキャリッジに搭載されたインクジェットヘッドと、ヘッド走査方向(キャリッジの移動方向)の一方側に配置されたメンテナンスユニットを備えている。メンテナンスユニットは、インクジェットヘッドのノズル面を覆うキャップとこのキャップに接続された吸引手段を有し、ノズル面にキャップが密着した状態でキャップ側から吸引手段でインクを吸引することにより、ノズルからキャップ内へインクを排出させる、いわゆる、吸引パージによるパージ処理を行う。
【0005】
ここで、パージ処理の際には、ノズルから排出されたインクの一部が、インクジェットヘッドのノズル面に付着する。そこで、メンテナンスユニットは、パージ処理後にノズル面に付着したインクを拭き取るワイプ部材(クリーニングブレード)をさらに備えている。
【0006】
尚、ノズルから噴射されるインクのうち、カラーインクは、高い画質が求められる写真画像等を記録する際に主に用いられることから、微小な液滴を噴射することができるように、カラーインク用のノズルの孔径はできるだけ小さくすることが好ましい。一方、ブラックインクはモノクロ文字を記録する際に主に用いられることから、それほどノズルの孔径を小さくする必要はなく、逆に、印字濃度を高めるためにある程度孔径が大きい方が望まれる場合もある。そこで、前述の特許文献1に記載のインクジェットプリンタにおいては、ブラックインクを噴射するノズルは、カラーインクを噴射するノズルよりも孔径が大きくなっている。
【0007】
【特許文献1】特開平8−39805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
インクジェットプリンタのノズルに連通するインク流路には、負圧(背圧)が作用しており、パージ処理後にノズル面に付着しているインクは、ノズルからインク流路に引き込まれる力を受ける。このインクは、パージ処理の際に微小のエアが泡立った状態にあるため、このエアがインク流路に侵入すると噴射不良を生じる虞がある。また、前述した特許文献1に記載のインクジェットプリンタのように、2種類の異なる孔径のノズルを有する場合には、孔径が大きいノズルの方がノズルを通過するインクの流動抵抗は小さくなる。そのため、パージ処理が終了してからワイプ部材によりノズル面に付着した泡立ったインクを拭き取るまでの時間(ワイプ部材からノズルまでの距離)によっては、孔径が大きい(流動抵抗が小さい)ノズルの方が孔径が小さいノズルよりも、多くの泡立ったインクがノズル内へ逆流し、噴射不良が生じやすくなる。
【0009】
本発明の目的は、パージ処理後にノズル面に付着したインクがノズル内へ逆流するのを確実に抑制することが可能なインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
第1の発明のインクジェットプリンタは、異なる色のインク別に孔径が異なる2種類以上のノズルを有するインクジェットヘッドと、前記2種類以上のノズルから強制的にインクを排出させるパージ処理を行うパージ手段と、前記パージ処理後に、前記インクジェットヘッドのノズル面に付着したインクを拭き取るワイプ部材とを備え、前記ワイプ部材が、前記ノズル面のうちの、前記2種類以上のノズルの中で最も孔径の大きな第1ノズルの出射口付近を、前記第1ノズルよりも孔径の小さな第2ノズルのうち少なくとも一部の第2ノズルの出射口付近よりも先に拭き取るように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
前述したように、パージ手段によるパージ処理が実行されたときには、ノズルから強制的に排出されたインクの一部がインクジェットヘッドのノズル面に付着するが、この付着したインクは、ワイプ部材により拭き取られる。その際、ワイプ部材は、最も大きい孔径の第1ノズルの出射口付近を、この第1ノズルよりも孔径の小さなノズルである第2ノズルのうち少なくとも一部の第2ノズルの出射口付近よりも先に拭き取るため、パージ処理が終わってから出射口付近をワイプ部材で拭き取られるまでの時間(ワイプ部材からノズルまでの距離)は、第1ノズルの方が少なくとも一部の第2ノズルよりも短くなるため、ノズル面のインクが第1ノズルへ逆流するのが抑制される。即ち、第1ノズルの出射口付近を少なくとも一部の第2ノズルよりも先にワイプ部材で拭き取るという簡単な構成にするだけで、孔径が大きい第1ノズルからのインクの逆流(エアの混入)を効果的に抑制できる。この第1の発明では、ワイプ部材が、最も孔径の大きな第1ノズルの出射口付近を一番先に拭き取る必要は必ずしもなく、第1ノズルよりも孔径の小さいノズルのうち、少なくとも一部の第2ノズルよりも先に拭き取る(つまり、第1ノズルの出射口付近を最後に拭き取らない)ように構成されていればよい。
【0012】
第2の発明のインクジェットプリンタは、前記第1の発明において、前記パージ処理後の状態では、前記ワイプ部材は、前記第2ノズルのうち少なくとも一部の第2ノズルよりも前記第1ノズルに近い位置にあることを特徴とするものである。この構成によれば、パージ処理後に、ワイプ部材が、第1ノズルの出射口付近を少なくとも一部の第2ノズルよりも先に拭き取るのを容易に実現することができる。
【0013】
第3の発明のインクジェットプリンタは、前記第1又は第2の発明において、前記ワイプ部材が、前記ノズル面のうちの前記第1ノズルの出射口付近を、一番先に拭き取るように構成されていることを特徴とするものである。この構成によれば、孔径の最も大きな第1ノズルからのインクの逆流をより効果的に抑制できる。
【0014】
第4の発明のインクジェットプリンタは、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記パージ処理後、前記ワイプ部材の位置する一端側から前記第1ノズルおよび前記第2ノズルをその順に配列して有することを特徴とするものである。この構成によれば、パージ処理後に、ワイプ部材が、孔径の最も大きな第1ノズルの出射口付近を第2ノズルよりも先に拭き取るのを容易に実現することができ、第1ノズルからのインクの逆流をより効果的に抑制できる。
【0015】
第5の発明のインクジェットプリンタは、前記第1又は第2の発明において、前記パージ処理後、前記ワイプ部材の位置する一端側から前記第2ノズルの一部、第1ノズルおよび第2ノズルの残りとをその順に配列して有することを特徴とするものである。この構成によれば、孔径の最も大きな第1ノズルの出射口付近を、少なくとも一部の第2ノズルよりも先に拭き取ることができる。
【0016】
第6の発明のインクジェットプリンタは、前記第1〜第5の何れかの発明において、前記パージ手段は、前記パージ処理として、前記ノズルの上流側からインクに圧力を付与することにより前記ノズルからインクを排出させる正圧パージを行うことを特徴とするものである。一般的にパージ処理としては、ノズル面にキャップを密着させ、キャップ側からインクを吸引する吸引パージと、ノズルの上流側からインクに圧力を付与して押し出す正圧パージとがある。ここで、正圧パージは、吸引パージと比べて、パージ圧力を高くすることができるためにエアや増粘インク等の排出効果が高く、また、インクの色ごとにパージを行うこと(単色パージ)が可能であるなどの様々な利点がある。しかし、正圧パージでは、吸引パージよりもノズル面に多くのインクが付着しやすく、孔径の大きな第1ノズルからより多くのインクがノズル内へ逆流しやすくなるため、その逆流を抑制することが特に求められている。そこで、特にこのような正圧パージを行う場合に、孔径が最も大きな第1ノズルの出射口付近を、第1ノズルよりも孔径の小さな第2ノズルの出射口付近よりも先に拭き取ることで、第1ノズルからのインクの逆流(エアの混入)を効果的に抑制することができる。
【0017】
第7の発明のインクジェットプリンタは、前記第1〜第6の何れかの発明において、前記第1ノズルからはブラックインクが噴射され、前記第2ノズルからはカラーインクが噴射されることを特徴とするものである。主にモノクロ文字を記録する際に用いられるブラックインクに比べ、高画質が求められる写真画像等の記録に主に用いられるカラーインクは、液滴を小さくするために、できるだけ小さな孔径のノズルから噴射されることが好ましい。そこで、この第7の発明のインクジェットプリンタにおいては、最も孔径の大きな第1ノズルからはブラックインクが噴射され、孔径の小さな第2ノズルからはカラーインクが噴射されるように構成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態について図1〜図4を参照して説明する。本実施形態は、4色(ブラック(Bk)、イエロー(Y)、シアン(C)、及び、マゼンタ(M))のインクを記録用紙に対して噴射して画像を記録する、カラーインクジェットプリンタに本発明を適用した一例である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態のインクジェットプリンタ1は、本体フレーム2に相対移動可能に設けられたキャリッジ3と、このキャリッジ3に搭載され、4色のインクをそれぞれ噴射するノズル10、11,12,13を有するインクジェットヘッド4を備えている。尚、図1〜図4において、ノズル10〜13が形成されているインクジェットヘッド4の下端部を一部断面で示している。また、本体フレーム2内にはプラテン5が設けられており、このプラテン5上において、図示しない送りローラ等により記録用紙Pが前方(図1の紙面手前方向)へ搬送される。
【0020】
キャリッジ3は、本体フレーム2に設けられた2本のガイド軸15、16に沿って、図1の左右方向に移動可能に構成されている。インクジェットヘッド4は、4色(ブラック(Bk)、イエロー(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M))のインクをそれぞれ貯留するサブタンク6を有し、対応する4つのインクカートリッジ20〜23がチューブ7によって接続され、インクカートリッジ20〜23からそれぞれサブタンク6へインクが供給される。そして、図1に2点鎖線で示すように、プラテン5の上方において、インクジェットヘッド4は、キャリッジ3と一体的に走査方向(図1の左右方向)に往復移動しながら、前方へ搬送される記録用紙Pにノズル10〜13から4色のインクをそれぞれ噴射して、記録用紙Pに所望の画像を記録するように構成されている。
【0021】
ここで、インクジェットヘッド4で噴射される4色のインクのうち、3色のカラーインク(イエローインク、シアンインク、及び、マゼンタインク)は、高い画質が求められる写真画像等を記録する際に主に用いられる。そのため、液滴をできるだけ小さくするために、カラーインクを噴射するノズル11、12,13の孔径は小さいことが好ましい。一方、ブラックインクはモノクロ文字を記録する際に主に用いられることから、ブラックインクを噴射するノズル10の孔径をそれほど小さくする必要はない。逆に、印字濃度を高めるために大きめの液滴を噴射する場合などには、ノズル10の孔径がある程度大きい方が好ましい。そこで、本実施形態では、図1〜図4に示すように、4色のインクをそれぞれ噴射するノズル10〜13のうち、カラーインクを噴射するノズル11〜13の孔径は、ブラックインクを噴射するノズル10の孔径よりも小さく設定されている(例えば、ブラックインクのノズル10の孔径20μmに対して、カラーインクのノズル11〜13の孔径16μm)。
【0022】
尚、図1に示すように、4色のインクをそれぞれ噴射するノズル10〜13は、左側から、ブラック(Bk)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の順に並んでいる。つまり、ブラックインクを噴射する、孔径の最も大きなノズル10が、最も左側の位置に配置されている。そして、各色のノズル10〜13は、キャリッジの移動方向と直角方向あるいはそれと所定角度(直角よりも小さい角度)傾いた方向にそれぞれ複数個配列されている。
【0023】
また、本実施形態のインクジェットプリンタ1は、インクジェットヘッド4内に形成された、ノズル10〜13を含むインク流路内にエアや塵等の異物が混入したり、乾燥して粘度が高くなったインク(増粘インク)がノズル10〜13内に詰まったりして、吐出不良が生じたときに、ノズル10〜13から強制的にインクを排出させてインクと共にエア等を外部に除去するパージ処理を行う、パージ機構30(パージ手段)を備えている。
【0024】
図1に示すように、パージ機構30は、空気ポンプ31と、この空気ポンプ31で加圧された空気を一旦貯留するサージタンク32と、サージタンク32の空気を4つのインクカートリッジ20〜23に選択的に供給する切替ユニット33とを備えている。そして、このパージ機構30は、空気ポンプ31で加圧された空気をサージタンク32及び切替ユニット33を介して所定のインクカートリッジ20〜23に選択的に供給して、インクカートリッジ20〜23内でインクに圧力を付与することにより、対応するノズル10〜13からインクを強制的に排出させる、いわゆる、正圧パージによりパージ処理を行うように構成されている。
【0025】
また、インクジェットヘッド4が記録用紙Pに対する記録を行わないときに、記録用紙Pの搬送経路であるプラテン5に対して走査方向一方側(図1では左側)に退避する位置(以下、退避位置という)には、ノズル面を密封し、インクの乾燥を防止するキャップが設置されている(図示省略)。一方、図1に示すように、プラテン5に対して走査方向のもう一方側(図1では右側)のパージ処理を行う位置(以下、パージ位置という)には、廃液フォーム34を備えた基台35が設置されている。そして、図1に実線で示すように、パージ処理を行うときには、退避位置から、キャリッジ3とともにインクジェットヘッド4がパージ位置に移動して、ノズル10〜13の出射口10a〜13a(図2〜図4参照)が配置されたノズル面40(インクジェットヘッド4の下面)が廃液フォーム34に対向している状態で、パージ機構30は、空気ポンプ31で加圧された空気によりインクに圧力を付与して、ノズル10〜13から廃液フォーム34へ向けてインクを排出させる。
【0026】
このような正圧パージでは、ノズルからインクを吸引することによりノズルからインクを排出させる吸引パージに比べて、パージ圧力(インクの排出圧力)を高くすることができるため、インク流路内に混入したエアや塵などの異物やノズル10〜13内に詰まった増粘インクなどを排出する効果が高く、消費(排出)するインクの量が少なくてすむ。さらに、切替ユニット33により、加圧された空気を供給するインクカートリッジ20〜23を切り替えることで、ある特定の吐出不良のノズルを回復させるために、その特定の色のノズルのインクを噴射してパージすること(単色パージ)が可能である。この単色パージを行えば、パージする必要のない(吐出不良が生じていない)ノズルから余計なインクを排出させずにすむため、パージ処理におけるインクの消費量をさらに少なくすることができる。
【0027】
ところで、パージ処理の際にノズル10〜13からインクが排出されると、図2に示すように、ノズル面40には微小なエアを含んだ状態の泡立ったインクが付着する。そして、このノズル面40に付着した泡立ったインクは、インクジェットヘッド4内のインク流路に生じる背圧によりノズル10〜13インク流路内へ逆流し、それに伴って、インク中に含まれる微小なエアがノズル10〜13内へ流れ込んで、再び吐出不良が生じてしまう虞がある。そこで、インクジェットプリンタ1は、パージ処理後に、インクジェットヘッド4のノズル面40に付着したインクを拭き取るワイプ部材36を備えている。
【0028】
ワイプ部材36はブチルゴムやエチレンプロピレンゴム(A/25°〜60°/5)等の可撓性を有する材料からなり、図1に示すように、廃液フォーム34が設けられた基台35の左側(プラテン5側)に、上下に延びる状態で設置されている。尚、このワイプ部材36は、図示しない駆動機構により、パージ処理を行うためにインクジェットヘッド4が退避位置からパージ位置へ移動する際にはその先端部がノズル面40に接触しないように下方へ駆動される。一方、パージ位置においてパージ処理が行われた後には、ワイプ部材36は駆動機構により上方へ駆動されるようになっており、インクジェットヘッド4がパージ位置から左方へ移動したときに、図3、図4に示すように、その先端部がノズル面40に接触して付着したインクを拭き取るようになっている(ワイピング)。
【0029】
ここで、前述したように、4色のインクをそれぞれ噴射するノズル10〜13のうち、カラーインクをそれぞれ噴射するノズル11〜13は、ブラックインクを噴射するノズル10よりも孔径が小さくなっている。従って、孔径が最大のノズル10内のインクの流動抵抗は他のノズル11〜13に比べて小さくなり、パージ処理後にノズル面40に付着したインクの一部が、ワイプ部材36により拭き取られる前に、最大径のノズル10へ逆流しやすくなる。
【0030】
しかし、本実施形態では、図1、図2に示すように、パージ処理直後(ワイピング直前)のインクジェットヘッド4がパージ位置にある状態では、インクジェットヘッド4は、基台35の左側に設けられたワイプ部材36側から、最も孔径の大きいブラックインクを噴射するノズル10が最も左側に位置しており、そのノズル10の右側にノズル10よりも小径のカラーインクを噴射するノズル11〜13が順に配列されている。つまり、ワイプ部材36は、最も孔径の大きいノズル10に最も近く位置している。従って、図3に示すように、パージ処理後に、ワイピングを行うためにインクジェットヘッド4が左方に移動すると、そのノズル面40のうちの、ブラックインクを噴射するノズル10の出射口10a付近が一番先に拭き取られることになり、パージ処理が終わってからワイプ部材36で拭き取られるまでの時間が短くなるため、この最大径のノズル10からのインクの逆流が抑制される。つまり、孔径が最も大きなノズル10の出射口10a付近をワイプ部材36で一番先に拭き取るという簡単な構成にするだけで、このノズル10からのインクの逆流(即ち、エアの混入)を効果的に抑制することができる。その後、図4に示すように、カラーインク(イエローインク、シアンインク、及び、マゼンタインク)をそれぞれ噴射する、孔径の小さなノズル11〜13の出射口11a〜13a付近が順にワイプ部材36により拭き取られる。そして、ワイピング後には、図1左側の退避位置において、インクジェットヘッド4のノズル面40に、その乾燥を防止するためのキャップ(図示省略)が装着される。尚、ブラックインクを噴射する、孔径の最も大きなノズル10が、本願発明の第1ノズルに相当し、カラーインクを噴射する、孔径の小さなノズル11〜13が本願発明の第2ノズルに相当する。
【0031】
尚、本実施形態のインクジェットプリンタ1においては、前述したように、ノズル10〜13を含むインク流路からエアや異物等を排出する効果が高く、また、単色パージが可能になるなどの理由から、パージ処理として正圧パージが採用されている。しかし、正圧パージは、吸引パージに比べて、ノズル10〜13からインクを排出させたときにノズル面40に付着するインクの量が多くなるため、その分、最大径のノズル10からより多くのインクが逆流しやすく、その逆流を抑制することが特に求められる。そこで、このような正圧パージを行う場合に本発明を適用して、孔径が最も大きなノズル10の出射口10a付近を一番先に拭き取ることで、多くのインクが逆流する虞のあるノズル10からのインクの逆流(エアの混入)をより効果的に抑制することができる。
【0032】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]前記実施形態のように、ノズル面のうちの最も孔径の大きなノズルの出射口付近が、一番先にワイプ部材で拭き取られる必要は必ずしもなく、このノズルよりも孔径の小さなノズルの中で、少なくとも一部のノズルよりも先に拭き取られればよい。言い換えれば、最も孔径の大きなノズルの出射口付近が少なくとも最後に拭き取られなければよい。例えば、図5のインクジェットヘッド4Aのように、ブラックインクを噴射する、最も孔径の大きなノズル50はワイプ部材36の位置する側から左から2番目の位置に配置されており、最も孔径の大きなノズル50よりも小さい孔径を持つノズル51〜53の少なくとも1色のノズルが、ワイプ部材36の位置する側から一番左側の位置に配置される。例えば、イエローインクを噴射するノズル51がワイプ部材36の位置する側から一番左側に配置され、ブラックインクを噴射するノズル50の右側に、シアンインク及びマゼンタインクを噴射するノズル52、53が順に配置されていてもよい(変更形態1)。この構成では、パージ処理後にインクジェットヘッド4Aが左方へ移動すると、ワイプ部材36により、ノズル面40Aのうちの、イエローインクのノズル51の出射口51a付近が一番先に拭き取られ、次に最大径のブラックインクのノズル50の出射口付近50a付近が拭き取られ、さらに、シアンインクとマゼンタインクのノズル52、53の出射口52a、53aが順に拭き取られる。この変更形態1では、前記実施形態に比べると、パージ処理が終了してから最大径のノズル50の出射口50a付近がワイプ部材36により拭き取られるまでに要する時間は少し長くなるが、このノズル50の出射口50a付近が最後に拭き取られる場合に比べるとその時間は短くなることから、その分、インクの逆流抑制効果が期待できる。尚、この変更形態1では、イエローインクのノズル51が本願発明の一部の第2ノズルに相当し、ブラックインクのノズル50が本願発明の第1ノズルに相当し、シアンインク及びマゼンタインクのノズル52が本願発明の残りの第2ノズルに相当する。
【0033】
2]本発明の適用可能な形態は、孔径の最も大きなノズルが、ブラックインクを噴射するノズルである形態に限られない。例えば、図6のインクジェットヘッド4Bのように、カラーインクをそれぞれ噴射するノズル61、62、63の孔径が、ブラックインクを噴射するノズル60の孔径よりも大きい場合にも本発明を適用できる(変更形態2)。この変更形態2においては、図6に示すように、インクジェットヘッド4Bは、ワイプ部材36の位置する側に対して、カラーインクを噴射する大径のノズル61〜63が左側に配置される一方で、ブラックインクを噴射する小径のノズル60は最も右側に配置されている。そして、インクジェットヘッド4Bがパージ位置にあるときには、ワイプ部材36が、ブラックインクのノズル60よりも、カラーインクのノズル61〜63に近くなっているため、インクジェットヘッド4Bが左方へ移動したときに、ワイプ部材36により、大径のカラーインクのノズル61〜63の出射口61a〜63a付近が、小径のブラックインクのノズル61の出射口60a付近よりも先に拭き取られる。尚、この変更形態2では、カラーインクのノズル61〜63が本願発明の第1ノズルに相当し、ブラックインクのノズル60が本願発明の第2ノズルに相当する。
【0034】
3]インクジェットヘッドが、異なるインク色別に孔径の異なる3種類以上のノズルを有する場合にも本発明を適用できる。例えば、3色のカラーインクのうち、イエローインクは、シアンインクやマゼンタインクを比べて色が薄いことから、多少液滴が大きくても粒状感が出にくいことから、図7のインクジェットヘッド4Cのように、イエローインクを噴射するノズル71の孔径を、シアンインク及びマゼンタインクをそれぞれ噴射するノズル72、73よりも大きくなるようにしてもよい(変更形態3)。即ち、インクジェットヘッド4Cは、最大径のブラックインクのノズル70、中間径のイエローインクのノズル71、及び、最小径のシアンインク及びマゼンタインクのノズル72、73を有する。図7に示すように、インクジェットヘッド4Cは、ワイプ部材36の位置する側に対して、最大径のブラックインクのノズル70は最も左側に配置され、中間径のイエローインクのノズル71が左から2番目に配置され、最小径のシアンインク及びマゼンタインクのノズル72、72がさらにその右側に配置されており、最大径のノズル70、中間径のノズル71、最小径のノズル72、73の順番で、それらの出射口70a〜73a付近がそれぞれワイプ部材36で拭き取られる。この変更形態3においては、ブラックインクのノズル70が本願発明の第1ノズルに相当し、イエローインク、シアンインク及び、マゼンタインクをそれぞれ噴射するノズル71〜73が本願発明の第2ノズルに相当する。
【0035】
4]前述した変更形態3のように、3種類以上の孔径の異なるノズルがある場合であっても、最大径のノズルの出射口付近がワイプ部材で一番先に拭き取られることが好ましいが、最大径のノズルの出射口付近が少なくとも一部の小径のノズルよりも先に拭き取られる(即ち、最大径のノズルの出射口が最後に拭き取られない)ように構成されているだけでも、このノズルからのインクの逆流はある程度抑制される。例えば図8のインクジェットヘッド4Dのように、ワイプ部材36の位置する側に対して、中間径のイエローインクのノズル81が最も左側に配置され、最大径のブラックインクのノズル80が中間径のイエローインクのノズル81よりも右側にあり、ブラックインクのノズル80の右側にシアンインク、及びマゼンタインクのノズル82、83がその順で配置されていて、最大径のブラックインクのノズル80a付近が2番目に拭き取られるように構成されていてもよい(変更形態4)。即ち、中間径のノズル81、最大径のノズル80、最小径のノズル82、83の順番で、それらの出射口80aから83a付近がそれぞれワイプ部材36で拭き取られていく。この変更形態4においては、イエローインクのノズル81が本願発明の一部の第2ノズルに相当し、ブラックインクのノズル80が本願発明の第1ノズルに相当し、シアンインク及びマゼンタインクをそれぞれ噴射するノズル82、83が本願発明の残りの第2ノズルに相当する。
【0036】
5]前記実施形態においては、パージ処理として特に正圧パージを採用しているが、吸引パージを採用する場合に本発明を適用することも当然可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係るカラーインクジェットプリンタの概略構成図である。
【図2】インクジェットヘッドとワイプ部材の関係(パージ処理直後)を示す図である。
【図3】インクジェットヘッドとワイプ部材の関係(ワイピング開始直後)を示す図である。
【図4】インクジェットヘッドとワイプ部材の関係(ワイピング終了直前)を示す図である。
【図5】変更形態1のインクジェットヘッドとワイプ部材の関係(パージ処理直後)を示す図である。
【図6】変更形態2のインクジェットヘッドとワイプ部材の関係(パージ処理直後)を示す図である。
【図7】変更形態3のインクジェットヘッドとワイプ部材の関係(パージ処理直後)を示す図である。
【図8】変更形態4のインクジェットヘッドとワイプ部材の関係(パージ処理直後)を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 インクジェットプリンタ
4,4A,4B,4C,4D インクジェットヘッド
10〜13 ノズル
10a〜13a 出射口
30 パージ機構
36 ワイプ部材
40,40A ノズル面
50〜53 ノズル
50a〜53a 出射口
60〜63 ノズル
60a〜63a 出射口
70〜73 ノズル
70a〜73a 出射口
80〜83 ノズル
80a〜83a 出射口




 

 


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