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発明の名称 工業用ミシン
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−21077(P2007−21077A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−211249(P2005−211249)
出願日 平成17年7月21日(2005.7.21)
代理人 【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
発明者 柴田 到 / 加藤 勉
要約 課題
複数の電磁バルブを有するバルブユニットから排出される排気エアをミシン内部に確実に流入させないようにして、排気エアによる上糸への悪影響を防止し、排気エアに含まれる水によるメカ機構への悪影響も防止すること。

解決手段
脚柱部4とアーム部5の機枠である上部フレームFのうちの脚柱部4とその上方部分に、複数面が仕切り壁Fa〜Ffで仕切られたバルブユニット収納室21が形成され、そのバルブユニット収納室21にバルブユニット22が収納され、外側面は蓋部材23で蓋されている。更に、バルブユニット収納室21の底部仕切り壁Feの最下部分に排水孔Fgが形成され、この排水孔Fgにホース接続金具29が装着され、このホース接続金具29に排水ホース30の上端部が接続され、バルブユニット22から水が排出された場合でも、その水は排水ホース30を介して外部に排出される。
特許請求の範囲
【請求項1】
エアシリンダにエアを給排する為の電磁バルブとその電磁バルブに接続されたマニホールドとを含むバルブユニットを収納する工業用ミシンにおいて、
前記工業用ミシン本体に、その工業用ミシン内部と遮断すると共に前記バルブユニットを収納するバルブユニット収納室を備えたことを特徴とする工業用ミシン。
【請求項2】
前記バルブユニット収納室は、前記工業用ミシン本体の脚柱部に形成され、外側面以外の複数面において仕切り壁で仕切られたことを特徴とする請求項1記載の工業用ミシン。
【請求項3】
前記バルブユニット収納室の底部仕切り壁は傾斜状に形成され、この底部仕切り壁の最下部分に排水孔が形成され、この排水孔に接続された配管を備えたことを特徴とする請求項2に記載の工業用ミシン。
【請求項4】
前記工業用ミシン本体のうちの前記バルブユニット収納室に隣接する部分に、電気配線を収納する配線収納室であって外側面以外の複数面が仕切り壁で仕切られた配線収納室が設けられたことを特徴とする請求項2又は3に記載の工業用ミシン。
【請求項5】
前記バルブユニット収納室と前記配線収納室との境界を仕切る境界仕切り壁が形成され、この境界仕切り壁の上端付近部に配線収容室からバルブユニット収納室へエアホースと複数の電気配線を通す為の開口部が形成されたことを特徴とする請求項4に記載の工業用ミシン。
【請求項6】
前記バルブユニット収納室は縦長の直方体状に形成され、前記境界仕切り壁がほぼL字形に形成され、前記配線収納室は前記L字形の前記境界仕切り壁に沿うほぼL字形状に形成され、前記配線収納室の底部仕切り壁の穴から配線収納室へ導入された複数の電気配線の一部は前記配線収納室の奥側仕切り壁の上端付近の穴からアーム部へ導設されることを特徴とする請求項4又は5に記載の工業用ミシン。
【請求項7】
前記バルブユニット収納室と前記配線収納室は、前記脚柱部の縫製作業領域に面する側とは異なる側に形成されたことを特徴とする請求項4〜6の何れかに記載の工業用ミシン。
【請求項8】
前記バルブユニット収納室と前記配線収納室の外側面を共通に蓋部材で蓋するように構成されたことを特徴とする請求項4〜7の何れかに記載の工業用ミシン。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用ミシンに関し、特に電磁バルブを組み込んだバルブユニットを駆動させて、加圧エア源からの圧縮エアを布押え機構や糸切り機構等の駆動機構を作動させるエアシリンダに供排するバルブユニットを、専用のバルブユニット収納室に収納するようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鳩目かがり縫目とこれに連続する左右1対の直線かがり縫目とからなる鳩目穴かがり縫目を縫製する工業用の鳩目穴かがりミシンにおいては、加工布を送り台上に押圧する布押え機構と、針棒とこの針棒に対向するルーパーとを同期させて駆動する縫製機構と、ルーパーを設けたルーパー土台と針棒とを鉛直軸心回りに回転させる回転機構が設けられるとともに、加工布を載置する送り台をX方向とY方向とに移動させる送り機構、糸切り機構等が設けられ、鳩目穴かがり縫目等の各種の縫目データに基づいて、これら縫製機構と送り機構と回転機構とを駆動制御することにより、各種の鳩目穴かがり縫目が形成される。
【0003】
前述した工業用の鳩目穴かがりミシンには、バルブユニットが設けられ、このバルブユニットを制御装置により駆動させることにより、糸切り機構に有する糸切り用エアシリンダや布押え機構に有する布押えエアシリンダにエアを供排し、各種の駆動装置を切換え駆動させるようになっている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のボタン穴ミシンは、ベースプレートに固定されたベース本体内に、シリンダを有する変位駆動部が一体形成され、その変位駆動部のシリンダが電磁式マルチバルブからの圧縮エアで駆動されると、第1及び第2の切換えブロックが択一的にナイフの下側に位置するように切換えられる。
【0005】
一方、3つのマルチバルブにより3つのシリンダを択一的に切換え駆動することにより、3段階に切換えられた切断力が、二腕レバーと駆動ロッドとを介してナイフに伝達されるようになっている。即ち、電磁式マルチバルブは、ケーシングであるベースプレート内に設けられ、3つのマルチバルブはボタン穴ミシンの何れかの部位又はテーブルの下側に設けられている。
【0006】
また、特許文献2に記載のエアーシリンダにおけるエアー補給装置は、上押えを駆動させる押えシリンダがアーム部に設けられ、フットペダルに連結された操作用シリンダがテーブルの下側に設けられ、作業者が操作したフットペダルで作動する切換えスイッチに応じて電磁弁が切換えられ、圧縮空気源からの圧縮エアーが電磁弁を経て押えシリンダに供給されると上押えが下降し、加工布を下板との間で挟持するようになっている。即ち、電磁弁がテーブルの下側に設けられている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−8804号公報 (第4〜6頁、図7,図12)
【特許文献2】特開2000−104704号公報 (第4頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、特許文献1に記載のボタン穴ミシンに有する電磁式マルチバルブは、ケーシングであるベースプレート内に設けられているので、電磁式マルチバルブが排気側に切換えられた際の排気エアに多量の水が含まれている場合が多く、その水により、ベースプレート内に設けられている送り台移動機構、布押え駆動機構、針棒回動機構等の摺動部や回動部にサビが発生したり、これらの機構を駆動する駆動モータの駆動軸にもサビが発生するという問題がある。
【0009】
更に、外部の糸供給源から供給されてレース土台に鉛直向きに設けられた糸供給管に供給される露出状の糸が、電磁式マルチバルブから排出される排気エアのエア流で大きく揺れる為、糸供給源からの上糸が糸供給管にスムーズに供給されず、糸供給の妨げになり、縫目不良や縫目くずれが発生するという問題がある。
【0010】
一方、特許文献1に記載のボタン穴ミシンに有する3つのマルチバルブ、特許文献2に記載のエアーシリンダにおけるエアー補給装置に有する電磁弁が、テーブルの下側に設けられている場合には、メーカー組み立て工場において、ミシン本体をミシンテーブル上に組み付けるに際して、これらマルチバルブや電磁弁からミシン内部に設けられた各エアシリンダの各々に、ビニールチューブ等のエア供給管を所定の管通路に通しながら夫々配管せねばならず、組み付け作業に多大の時間を要し、セットアップ性に劣ること、バルブや電磁弁から外部に排出される排気エアによる排気音が大きいこと、等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の工業用ミシンは、エアシリンダにエアを給排する為の電磁バルブとその電磁バルブに接続されたマニホールドとを含むバルブユニットを収納する工業用ミシンにおいて、工業用ミシン本体に、工業用ミシン内部と遮断すると共にバルブユニットを収納するバルブユニット収納室を備えたものである。
【0012】
工業用ミシン本体にバルブユニット収納室が形成され、このバルブユニット収納室は工業用ミシン内部と遮断されている為、バルブユニット収納室に収納されたバルブユニットからマニホールドを介してエアが排出される際に、その排気エアに多量の水が含まれている場合でも、その水がミシン本体の内部に流入することが絶対にないため、ミシン本体の内部に設けられている各種の機構部にサビが発生することがない。
【0013】
また、バルブユニットから排出された排気エアがミシン本体の内部に流入することが絶対にないため、糸供給源からミシン本体の内部へ供給された上糸への影響がなくなり、綺麗な縫目が形成される。更に、バルブユニットがバルブユニット収納室に設けられているため、バルブユニットから排出される排気エアの排気音が小さくなる。加え、バルブユニットから各エアシリンダに短いエア供給管により配管される。
【0014】
請求項2の工業用ミシンは、請求項1において、前記バルブユニット収納室は、工業用ミシン本体の脚柱部に形成され、外側面以外の複数面において仕切り壁で仕切られたものである。
【0015】
請求項3の工業用ミシンは、請求項2において、前記バルブユニット収納室の底部仕切り壁は傾斜状に形成され、この底部仕切り壁の最下部分に排水孔が形成され、この排水孔に接続された配管を備えたものである。
【0016】
請求項4の工業用ミシンは、請求項2又は3において、前記工業用ミシン本体のうちのバルブユニット収納室に隣接する部分に、電気配線を収納する配線収納室であって外側面以外の複数面が仕切り壁で仕切られた配線収納室が設けられたものである。
【0017】
請求項5の工業用ミシンは、請求項4において、前記バルブユニット収納室と前記配線収納室との境界を仕切る境界仕切り壁が形成され、この境界仕切り壁の上端付近部に配線収容室からバルブユニット収納室へエアホースと複数の電気配線を通す為の開口部が形成されたものである。
【0018】
請求項6の工業用ミシンは、請求項4又は5において、前記バルブユニット収納室は縦長の直方体状に形成され、境界仕切り壁がほぼL字形に形成され、配線収納室はL字形の境界仕切り壁に沿うほぼL字形状に形成され、配線収納室の底部仕切り壁の穴から配線収納室へ導入された複数の電気配線の一部は配線収納室の奥側仕切り壁の上端付近の穴からアーム部へ導設されるものである。
【0019】
請求項7の工業用ミシンは、請求項4〜6の何れかにおいて、前記バルブユニット収納室と前記配線収納室は、脚柱部の縫製作業領域に面する側とは異なる側に形成されたものである。
【0020】
請求項8の工業用ミシンは、請求項4〜7の何れかにおいて、前記バルブユニット収納室と配線収納室の外側面を蓋部材で共通に蓋するように構成されたものである。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、エアシリンダにエアを給排する為の電磁バルブとその電磁バルブに接続されたマニホールドとを含むバルブユニットを収納する工業用ミシンにおいて、工業用ミシン本体に、工業用ミシン内部と遮断すると共にバルブユニットを収納するバルブユニット収納室を備えたので、バルブユニット収納室は工業用ミシン内部と確実に遮断されている為、バルブユニットからマニホールドを介してエアが排出される際に、その排気エアに多量の水が含まれている場合でも、その水が工業用ミシン内部に流入するようなことが絶対にないため、工業用ミシン内部に設けられている各種の駆動機構の駆動部や摺動部におけるサビの発生を確実に防止することができる。
【0022】
また、バルブユニットから排出された排気エアがミシン内部に流入することが絶対にないため、糸供給源からミシン内部に供給された上糸への影響がなくなり、縫目くずれや縫目不良を確実に防止して、綺麗な縫目を形成することができる。
【0023】
更に、バルブユニットがバルブユニット収納室に設けられているため、バルブユニットから排出される排気エアの排気音を格段に小さくすることができる。加えて、バルブユニットから各エアシリンダへの配管作業を大幅に短縮化することができる。
【0024】
請求項2の発明によれば、前記バルブユニット収納室は、工業用ミシン本体の脚柱部に形成され、外側面以外の複数面において仕切り壁で仕切られたので、バルブユニットから排出される水の工業用ミシン内部への遮断性だけでなく、バルブユニットから排出された排気エアの遮音性を格段に高めることができる。その他請求1と同様の効果を奏することができる。
【0025】
請求項3の発明によれば、前記バルブユニット収納室の底部仕切り壁は傾斜状に形成され、この底部仕切り壁の最下部分に排水孔が形成され、この排水孔に接続された配管を備えたので、バルブユニットから排出される排気エアに水が含まれている場合であっても、その水は傾斜状の底部仕切り壁を経て排水孔に流れ、排水孔に接続された配管を介して、工業用ミシン内の水受け部或いは外部への排水が可能になる。その他請求1と同様の効果を奏することができる。
【0026】
請求項4の発明によれば、前記工業用ミシン本体のうちのバルブユニット収納室に隣接する部分に、電気配線を収納する配線収納室であって外側面以外の複数面が仕切り壁で仕切られた配線収納室が設けられたので、配線収納室に設けられた電気配線の途中部に中継用コネクタ等の電気部品が使用されている場合でも、バルブユニットから排出された排気エアが配線収納室に流入するようなことが絶対にないため、電気部品にサビが発生するのを確実に防止することができる。その他請求項2又は3と同様の効果を奏する。
【0027】
請求項5の発明によれば、前記バルブユニット収納室と前記配線収納室との境界を仕切る境界仕切り壁が形成され、この境界仕切り壁の上端付近部に配線収容室からバルブユニット収納室へエアホースと複数の電気配線を通す為の開口部が形成されたので、バルブユニットに接続されるエアホースや各電磁バルブに接続される複数の電気配線が開口部で一段高く持ち上げられる為、バルブユニット収納室に水が溜まった場合でも、その水がこれらエアホースや複数の電気配線による配線収容室への流入を確実に防止することができる。その他請求項4と同様の効果を奏する。
【0028】
請求項6の発明によれば、前記バルブユニット収納室は縦長の直方体状に形成され、境界仕切り壁がほぼL字形に形成され、配線収納室はL字形の境界仕切り壁に沿うほぼL字形状に形成され、配線収納室の底部仕切り壁の穴から配線収納室へ導入された複数の電気配線の一部は配線収納室の奥側仕切り壁の上端付近の穴からアーム部へ導設されるので、複数の電気配線の一部は配線収納室を通ることでアーム部内を通らずに迂回させることができ、一部の電気配線に中継用コネクタが設けられている場合でも、そのコネクタをサビから確実に保護することができる。その他請求項4又は5と同様の効果を奏する。
【0029】
請求項7の発明によれば、前記バルブユニット収納室と前記配線収納室は、脚柱部の縫製作業領域に面する側とは異なる側に形成されたので、脚柱部の縫製作業領域側にスペースを設けることができ、ベッド部上の縫製作業領域を、縫製作業に必要な作業スペースとして有効活用することができる。その他請求項4〜6の何れかと同様の効果を奏する。
【0030】
請求項8の発明によれば、バルブユニット収納室と配線収納室の外側面を共通に蓋部材で蓋するように構成されたので、1つの蓋部材により、バルブユニット収納室と配線収納室の両室を同時に蓋することができるだけでなく、必要に応じて、その両室の蓋を同時に取り外すことができる。その他請求項4〜7の何れかと同様の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本実施形態の工業用ミシンである電子鳩目穴かがりミシンは、バルブユニットを工業用ミシン本体の脚柱部の左側に設けた専用のバルブユニット収納室に収納し、バルブユニットから排出される排気エアが工業用ミシン内部に流入しないように遮断し、排気エアによる上糸への悪影響を防止すると共に、排気エア中に含まれる水による駆動部や摺動部への悪影響も防止するようにしてある。
【実施例】
【0032】
先ず、工業用ミシンである電子鳩目穴かがりミシン1Aについて説明する。
図1〜図3に示すように、電子鳩目穴かがりミシン1Aは、略矩形箱状をなすベッド台2と、そのベッド台2に嵌め込むように載置されたベッド部3と、そのベッド部3の後方部から立設される脚柱部4と、その脚柱部4の上部から前方に延びるアーム部5等を有し、ミシンテーブルT上に載置固定されている。ここで、ミシンテーブルT以外のベッド台2とベッド部3と脚柱部4とアーム部5からなる本体部を工業用ミシン本体1とする。
【0033】
このベッド部3は、図7に示すように、水平状態から起立姿勢に回動可能にベッド台2に連結されている。ミシンテーブルTの上側には、図示を省略するが、複数種類の鳩目穴かがり縫目のうちから択一的に選択する等の各種の操作を指示する操作パネルなどが設けられるとともに、ミシンテーブルTの下側に、各駆動機構の作動を制御するマイクロコンピュータからなる制御装置が設けられている。
【0034】
アーム部5の先端部には、縫針6を下端に取付けた中空状(パイプ状)の針棒7が針棒上下動機構(図示略)により上下動可能に設けられ、更に、針棒7は図示外の針振り機構により所定幅分だけ左側揺動位置(内針位置)と右側揺動位置(外針位置)とに左右に揺動可能になっている。
【0035】
また、ベッド部3の下面側には、針棒7の上下駆動及び揺動やルーパー駆動機構等を同期駆動させる駆動源となるミシンモータ(図示略)、針棒7に対向するように左右1対のルーパー(図示略)を有するルーパー駆動機構を備えたルーパー土台が設けられ、このルーパー土台が回動機構(図示略)により鉛直軸周りに一体的に回動可能になっている。
【0036】
ここで、縫針6には糸供給源(図示略)から供給される上糸が挿通されるとともに、左ルーパーの先端部には下糸が挿通され、右ルーパーは上糸ループを編み込みながら下糸を交絡させてループ結合部を形成する。また、針棒7及びルーパー土台はベッド部3内に設けられたθ方向駆動モータ及びギヤ機構からなる回動機構(図示略)により、夫々水平面において、鉛直軸周りに一体的に回動させるようになっている。
【0037】
ベッド部3の上面部には、図1〜図3に示すように、鳩目穴かがり縫いに供する加工布がセットされる送り台8が設けられている。そこで、ベッド部3内には、この送り台8をX方向駆動モータ(図示略)の駆動によりX方向(左右方向)に送り移動させるX方向移動機構(図示略)と、Y方向駆動モータ(図示略)の駆動によりY方向(前後方向)に送り移動させるY方向移動機構(図示略)とが設けられている。
【0038】
図5に示すように、アーム部5内に主軸9が前後方向向きに配設され、複数箇所において機枠のうちの上部フレームFに回転可能に枢支されている。そこで、図示外のミシンモータにより主軸9が回転駆動され、針棒7が上下駆動されるとともに、ルーパーが駆動される。ここで、前述した針振り機構の為の回転軸10が、前後方向向きの主軸9と直交状に(左右方向向き)配設されている。
【0039】
回転軸10は、その左端部において、後述するバルブユニット収納室21を構成する奥側仕切り壁Fcに形成された軸孔Frにベアリング11を介して、またその右端部において、上部フレームFに形成された軸孔Ftにベアリング12を介して、夫々回転可能に支持されている。その回転軸10は主軸9に同期して回転できるように、主軸9に固着したハイポイドギヤ13に噛合するハイポイドギヤ14が固着されている。
【0040】
但し、奥側仕切り壁Fcに形成された軸孔Frには、バルブユニット収納室21側からゴム製のキャップ15が密着状に嵌め込まれている。奥側仕切り壁Fcには、更に、軸孔Fsが形成され、詳しくは説明しないが、針振り機構の為の枢支軸16(図6参照)がその軸孔Fsに嵌め込まれ、セットビス17により固着されている。その軸孔Fsにも、バルブユニット収納室21側からゴム製のキャップ18が密着状に嵌め込まれている。
【0041】
次に、バルブユニット22を収納するバルブユニット収納構造20について説明する。このバルブユニット収納構造20は、工業用ミシン本体1の脚柱部4とアーム部5の機枠である上部フレームFと、上部フレームFのうちの脚柱部4とその上方部分に形成され、外側面以外の複数面が仕切り壁Fa〜Ffで仕切られたバルブユニット収納室21と、バルブユニット収納室21に収納されたバルブユニット22と、バルブユニット収納室21の外側面を蓋する着脱可能な蓋部材23とを備えている。
【0042】
図3〜図6に示すように、脚柱部4とアーム部5の機枠である上部フレームFのうちの、脚柱部4とその上方部分であって、前方から視て左側、つまりベッド部3の上面上の縫製作業領域24(図2参照)に面する側とは異なる側にバルブユニット収納室21が形成されている。このバルブユニット収納室21は、図4〜図6に示すように、その上側面において上部仕切り壁Faで仕切られ、その前側面において前部仕切り壁Fbで仕切られ、その右側面において奥側仕切り壁Fcで仕切られている。
【0043】
更に、バルブユニット収納室21は、その後側面において後部仕切り壁Fdで仕切られるとともに、その下側面において底部仕切り壁Feで仕切られている。但し、これら後部仕切り壁Fdとこれに連続する底部仕切り壁Feとは、後述する配線収納室32を仕切るように機能するL字形の境界仕切り壁Ffとして構成されている。
【0044】
このように、複数面を仕切る仕切り壁Fa〜Ffは、上部フレームFと一体的に形成され、バルブユニット収納室21は縦長の直方体状に形成されている。但し、外側面だけは、着脱可能な合成樹脂製の蓋部材23で、後述する配線収納室32と共に蓋されている。即ち、奥側仕切り壁Fcの軸孔Frと軸孔Fsがゴム製のキャップ15,18で蓋されているため、バルブユニット収納室21は、仕切り壁Fa〜Ffと、これらに当接する蓋部材23により、密閉された部屋になっている。
【0045】
そこで、外側面以外の複数面が仕切り壁Fa〜Ffで仕切られたバルブユニット収納室21に、複数の電磁バルブを有するバルブユニット22が収納されている。このバルブユニット22は、図示外の6つのエアシリンダに圧縮エアを個別に給排する為に、縦一列状に配列した6つの電磁バルブ25と、これら6つの電磁バルブ25が共通に接続されたマニホールド26とを含んで構成されている。
【0046】
そこで、バルブユニット22はマニホールド26を介して固定ビス27により奥側仕切り壁Fcに固着されている。マニホールド26の下端部には、排気音を軽減させるサイレンサ28と、エアホース33を接続する為のホース接続金具29が固着されている。
【0047】
ところで、図3,図4に示すように、底部仕切り壁Feは、前方ほど低くなる下り傾斜状に形成されている。その傾斜状の底部仕切り壁Feの前端部、つまりマニホールド26に取付けたサイレンサ28の下側に対応する最下部分に排水孔Fgが形成され、この排水孔Fgに、排水ホース30の上端部に接続されたホース接続金具31が装着されている。図3に示すように、底部仕切り壁Feに溜まった水は排水ホース30を経て、ベース台2の内部に設けられた水受け容器31に排水されるようになっている。
【0048】
上部フレームFのうちのバルブユニット収納室21の後側に隣接する部分に、配線収納室32が設けられている。この配線収納室32は、図3,図4に示すように、その上側面において、上部仕切り壁Faに連続する上部仕切り壁Fhで仕切られ、その前側面において前述したL字形の境界仕切り壁Ffで仕切られ、その後側面において後部仕切り壁Fiで仕切られ、その下側面において底部仕切り壁Fjで仕切られ、その右側面において奥側仕切り壁Fkで仕切られている。
【0049】
ここで、図4に示すように、奥側仕切り壁Fkの上端付近に配線を通す為の上部貫通穴Fmが形成され、この上部貫通穴Fmはアーム部5の内部に連通している。また、底部仕切り壁Fjの前端部であって、排水孔Fgの下側に対応する部位には、配線や配管を通す為の下部貫通穴Fnが形成され、この下部貫通穴Fnはベース台2の内部に連通している。更に、境界仕切り壁Ffの上端付近部に開口部Foが形成されている。
【0050】
このように、複数面を仕切る仕切り壁Ff,Fh〜Fjは、上部フレームFと一体的に形成されている。但し、外側面だけは、前述した蓋部材23で、バルブユニット収納室21と共通に蓋されている。
【0051】
そこで、図示外の圧縮エア供給源から延びるエアホース33は、下部貫通穴Fnを経て、配線収納室32と境界仕切り壁Ffの開口部Foとを通ってマニホールド26のホース接続金具29に接続されている。6つの電磁バルブ25を駆動させる為の配線35も同様に、下部貫通穴Fnを経て、配線収納室32と境界仕切り壁Ffの開口部Foとを通って各電磁バルブ25に接続されている。
【0052】
ところで、アーム部5には、図示を省略するが、針棒7の針振り位置を検出する針振り位置検出センサ、上糸切れ検出センサ、ハンマ高さ位置検出センサ、緊急時に縫製を停止させる停止スイッチが設けられている。ミシンテーブルTの下側に設けられた制御装置に配線された1本の接続線36には、上述した4つの検出センサやスイッチの為の4本の配線コード36aが束ねられている。
【0053】
そこで、図4に示すように、制御装置に接続された接続線36が下部貫通穴Fnを経て配線収納室32まで延びている。但し、各配線コード36aの端部には接続用のコネクタ37が夫々固着されている。更に、これらコネクタ37に接続された4本の延長コード38が夫々上部貫通穴Fmを経て、アーム部5に設けられた各検出センサやスイッチに配線されている。この場合、これらエアホース33や接続線36等は、配線収納室32に固着したコードバンド39,40で夫々束ねられている。
【0054】
次に、このように構成された電子鳩目穴かがりミシン1Aのバルブユニット収納構造20の作用及び効果について説明する。
【0055】
バルブユニット収納構造20は、工業用ミシン本体1の脚柱部4とアーム部5の機枠である上部フレームFと、上部フレームFのうちの脚柱部4とその上方部分に形成され、外側面以外の複数面が仕切り壁Fa〜Ffで仕切られたバルブユニット収納室21と、バルブユニット収納室21に収納されたバルブユニット22と、バルブユニット収納室21の外側面を蓋する着脱可能な蓋部材23とを備えたので、バルブユニット22がバルブユニット収納室21に密閉状に収納され、工業用ミシン本体1の内部と遮断されている為、バルブユニット22からマニホールド26のサイレンサ28を介してエアが排出される際に、その排気エアに多量の水が含まれている場合でも、その水がミシン本体1の内部に流入するようなことが絶対にないため、ミシン本体1の内部に設けられている各種の駆動機構の駆動部や摺動部におけるサビの発生を確実に防止することができる。
【0056】
また、バルブユニット22から排出された排気エアがミシン本体1の内部に流入することが絶対にないため、外部の糸供給源からベッド部3に有する鉛直向きの糸供給管に供給された上糸への影響がなくなり、縫目くずれや縫目不良を確実に防止して、綺麗な縫目を形成することができる。
【0057】
更に、バルブユニット22がバルブユニット収納室21に設けられているため、バルブユニット22から各エアシリンダにエアチューブを配管する配管作業が簡単化して、セットアップ性を格段に向上することができ、排気エアの騒音も格段に低減させることができる。
【0058】
また、バルブユニット収納室21の底部仕切り壁Feは傾斜状に形成され、この底部仕切り壁Feの最下部分に排水孔Fgが形成され、この排水孔Fgに、排水ホース30の上端部に接続されたホース接続金具31が装着されたので、バルブユニット22のサイレンサ28から排出される排気エアに水が含まれている場合であっても、その水は排水孔Fgに接続されたホース接続金具31と排水ホース30を介して、ベース台2の内部への排水が可能になる。
【0059】
また、上部フレームFのうちのバルブユニット収納室21に隣接する部分に、電気配線と電気部品を収納する配線収納室32であって、外側面以外の複数面が仕切り壁Ff,Fh〜Fjで仕切られた配線収納室32が設けられたので、配線収納室32に設けられた電気配線の途中部に中継用コネクタ37等の電気部品が使用されている場合でも、バルブユニット22から排出された排気エアが配線収納室32に流入するようなことが絶対にないため、電気部品にサビが発生するのを確実に防止することができる。
【0060】
また、バルブユニット収納室21と配線収納室32との境界を仕切る境界仕切り壁Ffが形成され、この境界仕切り壁Ffの上端付近部に配線収納室32からバルブユニット収納室21へエアホース33と複数の電気配線を通す為の開口部Foが形成されたので、バルブユニット22に接続されるエアホース33や各電磁バルブ25に接続される複数の電気配線36,38が開口部Foで一段高く持ち上げられる為、バルブユニット収納室21に水が溜まった場合でも、その水がこれらエアホース33や複数の電気配線による配線収納室32への流入を確実に防止することができる。
【0061】
また、バルブユニット収納室21は縦長の直方体状に形成され、境界仕切り壁FfがほぼL字形に形成され、配線収納室32はL字形の境界仕切り壁Ffに沿うほぼL字形状に形成され、配線収納室32の底部仕切り壁Feの穴から配線収納室32へ導入された複数の電気配線の一部は配線収納室32の奥側仕切り壁Fkの上部貫通穴Fmからアーム部5へ導設されるので、複数の電気配線の一部が配線収納室32を通ることでアーム部5内を通らずに迂回させることができ、一部の電気配線に中継用のコネクタ37が設けられている場合でも、そのコネクタ37をサビから確実に保護することができる。
【0062】
また、図7に示すように、作業者がメンテナンスを行う為に、ベッド部3及びアーム部5をメンテナンスの起立姿勢に大きく回動させた場合に、仮に、バルブユニット収納室21に水が溜まっている場合であっても、境界仕切り壁FfがL字状に形成され、しかも開口部Foが上端付近に形成されているため、その水が配線収納室32に入り込むことは絶対になく、水によるコネクタ37の電気的なショートやサビの発生を確実に防止することができる。
【0063】
また、バルブユニット収納室21と配線収納室32は、脚柱部4からアーム部5が延びる方向と反対方向、つまり前方から視た場合における上部フレームFの左側部分に形成されたので、上部フレームFの右側であって、ベッド部3の上面上に十分な縫製作業領域24を設けることができ、脚柱部4及びアーム部5の右側を、縫製作業に必要な作業スペースとして有効活用することができる。
【0064】
更に、バルブユニット収納室21と配線収納室32の外側面が蓋部材23で共通に蓋するように構成されたので、1つの蓋部材23により、バルブユニット収納室21と配線収納室32の両室を同時に蓋することができるだけでなく、必要に応じて、その両室の蓋部材23を同時に取り外すことができる。
【0065】
次に、前記実施形態を部分的に変更した変更形態について説明する。
1〕バルブユニット収納室21に収納されるバルブユニット22は、6つの電磁バルブ25に限るものではなく、これ以上に多い電磁バルブ25を有する大型のものであってもよく、逆に、これ以下の少ない電磁バルブ25を有する小型のものであってもよい。
【0066】
2〕バルブユニット収納室21は、前後方向に長い横長の直方体に形成されたものであってもよい。
【0067】
3〕バルブユニット収納室21は、前方から視た場合における上部フレームFの右側部分に形成するようにしてもよい。
【0068】
4〕バルブユニット収納室21は、ベッド部3又はアーム部の上部に備えるようにしてもよい。
【0069】
5〕蓋部材23は、バルブユニット収納室21と配線収納室32とで別個に夫々設けるようにしてもよい。
【0070】
6〕境界仕切り壁Ffの上端付近に形成された開口部Foは、エアホース33や接続線36を配線した後、ゴム製のパッキング、コーキング材或いはパテ等で封止するようにしてもよい。
【0071】
7〕本発明は以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、当業者でれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施例に種々の変更を付加して実施することができ、本発明はそれらの変更形態をも包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る電子鳩目穴かがりミシンの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電子鳩目穴かがりミシンの正面図である。
【図3】電子鳩目穴かがりミシンの左側面図である。
【図4】上部フレームの要部部分拡大図である。
【図5】電子鳩目穴かがりミシンの要部横断断面図である。
【図6】電子鳩目穴かがりミシンの要部縦断断面図である。
【図7】起立姿勢に切換えた図3相当図である。
【符号の説明】
【0073】
1A 電子鳩目穴かがりミシン
1 工業用ミシン本体
4 脚柱部
5 アーム部
21 バルブユニット収納室
22 バルブユニット
23 蓋部材
25 電磁バルブ
26 マニホールド
30 排水ホース
32 配線収納室
33 エアホース
Fa 上部仕切り壁
Fb 前部仕切り壁
Fc 奥側仕切り壁
Fe 底部仕切り壁
Ff 境界仕切り壁
Fg 排水孔
Fh 上部仕切り壁
Fi 後部仕切り壁
Fj 下部仕切り壁
Fk 奥側仕切り壁
Fm 上部貫通穴
Fn 下部貫通穴
Fo 開口部




 

 


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