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発明の名称 インクジェット記録装置およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15237(P2007−15237A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−199771(P2005−199771)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人
発明者 今井 浩司
要約 課題
インクジェット記録装置の製造工程において、分極処理後に蓄積される焦電電荷の放電による駆動回路の破壊を防止することを課題とするものである。

解決手段
インクジェット記録装置において、駆動回路92を介して導線VSS2と導線VSS3との間に、高抵抗体Rを接続する。吐出用電源が接続されるVDD2には吐出用電圧と同等の電源が、コモン電極に繋がる導線VSS3には電源−VCC2が接続し、導線VSS3の電位を下げて分極を行う。このため、分極終了後に蓄積される焦電電荷は、高抵抗体Rを介して除々に放電される。このため、製造工程中に端子分が金属に接触したとしても、一度に多くの放電量が駆動回路92に流れないので、駆動回路92を破壊させることがない。
特許請求の範囲
【請求項1】
インクを吐出する複数のノズルと、その各々のノズルに連通して配置された複数の圧力室とを有するキャビティユニットと、
前記複数の圧力室毎に対向する位置に配置された個別電極と、前記複数の圧力室に共通のコモン電極と、前記個別電極と前記コモン電極に挟まれた圧電体とを含み、前記個別電極と前記コモン電極の間に電圧を印加することにより前記圧電体を変形して前記圧力室の容積を変化させるアクチュエータを備え、
前記個別電極と前記コモン電極との間に、前記圧電体と並列に高抵抗体を接続したことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット記録装置において、前記個別電極と前記コモン電極との間に選択的に電圧を印加する駆動回路をさらに備え、前記高抵抗体は、前記駆動回路を介して前記個別電極と前記コモン電極とに接続していることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載のインクジェット記録装置において、前記駆動回路は、前記コモン電極とほぼ同電位とされる第1の導線に接続され、その第1の導線と前記コモン電極とを前記高抵抗体で接続したことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載のインクジェット記録装置において、前記駆動回路は、前記各個別電極に対応した駆動データを出力するデータ出力部と、
そのデータ出力部が出力した駆動データに基づいて、前記アクチュエータを駆動するための電圧信号を発するドライバ部を有し、前記第1の導線は前記ドライバ部に接続されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記高抵抗体は、ほぼ1MΩであることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項6】
インクを吐出する複数のノズルと、その各々のノズルに連通して配置された複数の圧力室とを有するキャビティユニットと、
前記複数の圧力室毎に対向する位置に配置された個別電極と、前記複数の圧力室に共通のコモン電極と、前記個別電極と前記コモン電極に挟まれた圧電体とを含み、その電極間に電圧を印加することにより前記圧電体を変形して前記圧力室の容積を変化させるアクチュエータと、
前記圧電体を変形させるための電圧を発する吐出用電源と、
その吐出用電源の発する電圧を、外部からの信号に応じて前記個別電極と前記コモン電極間に選択的に印加する駆動回路を備えたインクジェット記録装置の製造方法において、
あらかじめ、高抵抗体を前記駆動回路を介して前記個別電極と前記コモン電極とに接続した状態で、
前記個別電極に前記駆動回路を通して前記吐出用電源とほぼ同等の第1の電源を接続するとともに、前記コモン電極にそれとは別の第2の電源を接続し、前記個別電極と前記コモン電極の間に、前記第1の電源による電圧に前記第2の電源による電圧を加えて、前記圧電体を分極するための電圧を生成し、その電圧を印加して分極させることを特徴とするインクジェット記録装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のインクジェット記録装置の製造方法において、前記第2の電源による電圧は、前記第1の電源による電圧の逆極性の電圧であることを特徴とするインクジェット記録装置の製造方法。
【請求項8】
請求項6〜7のいずれかに記載のインクジェット記録装置の製造方法において、前記第1の電源による電圧の印加を開始した後、前記第2の電源による電圧の印加を開始することを特徴とするインクジェット記録装置の製造方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載のインクジェット記録装置の製造方法において、前記第1の電源による電圧の印加を停止した後、前記第2の電源による電圧の印加を停止することを特徴とするインクジェット記録装置の製造方法。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれかに記載のインクジェット記録装置の製造方法において、前記駆動回路を前記吐出用電源に接続する2つの導線のうち前記コモン電極とほぼ同電位とされる第1の導線と、前記コモン電極と接続した第2の導線とを分離して形成し、前記駆動回路を前記吐出用電源に接続する2つの導線のうちの残りの第3の導線と前記第1の導線との間に前記第1の電源による電圧を印加するとともに、前記第2の導線と前記第1の導線との間に前記第2の電源による電圧を印加することを特徴とするインクジェット記録装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載のインクジェット記録装置の製造方法において、前記圧電体を分極した後、前記第1の導線と前記第2の導線とを接続することを特徴とするインクジェット記録装置の製造方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置のインクジェットヘッドは、図1、図2に示すようにキャビティユニット20にプレート型のアクチュエーター30を接合し、更にフレキシブルプリント配線材40を重ねた構造をしている。キャビティユニット20は、図2に示すように複数の薄いプレートが積層して構成され、インクを吐出させるための複数のノズル15とその各々のノズルに連通した複数の圧力室16とを有する。アクチュエータ30は、複数枚の圧電体31が積層され、各圧電体31のうち下から偶数段目の圧電体31bの上面(広幅面)には、キャビティユニット20における各々の圧力室16に対応した箇所に細幅の個別電極33が長辺方向に沿って列状に形成されている。また下から奇数段目の圧電体31aの上面(広幅面)には、複数の圧力室16に対して共通のコモン電極32が形成されている。個別電極33とコモン電極32とは圧電体31を挟んで互いに対向している。そして、アクチュエータ30における各々の個別電極33と、キャビティユニット20における各々の圧力室16を対応させて、キャビティユニット20とアクチュエータ30が接着・固定される。アクチュエータ30の最上層の上面には、個別電極33およびコモン電極32とに対応する表面電極26および27が形成されていて、外部からの制御信号を伝達するための配線パターンを有するフレキシブルプリント配線材40がその表面電極26、27に接合されている。表面電極26、27は、積層された圧電体31に積層する方向に貫通したスルーホール(図示しない)に充填された導通性材料を介して個別電極33およびコモン電極32と導通されている。また、フレキシブルプリント配線材40には、駆動回路92が実装されていて、電圧を印加することで圧電体31を駆動可能とする。
【0003】
駆動回路92は、後述するように、吐出しない通常の状態では、すべての個別電極33とコモン電極32の間に電圧を印加し、圧電体の活性部が伸長変形して圧力室16の容積を縮小した状態にある。この状態から、個別電極33とコモン電極32の間の電圧印加を選択的に停止すると、伸長状態にある圧電体の活性部が収縮して圧力室16内を負圧にするとともにインクに圧力波を発生する。この圧力波がほぼ正の圧力に転じるタイミングで、再び電圧を印加して活性部を伸長し圧力室16の容積を縮小することで、容積縮小による圧力と圧力波の正の圧力とが重畳されてインクがノズル15から吐出される。
【0004】
特許文献1では、上記インクジェットヘッドにおける駆動回路およびアクチュエータを分極させる製造方法が開示されている。図3は、本発明のインクジェット記録装置の電気回路図であるが、そのうち駆動回路92は特許文献1の駆動回路とほぼ同じものであるので、図3にしたがって特許文献1の駆動回路について説明する。
【0005】
図3に示すように、インクジェットヘッド100において、駆動回路92には、シフトレジスタ106、Dフリップフロップ107、ORゲート108等からなるデータ出力部96、およびドライバ部97等から構成されている。ノズル数に対応してシフトレジスタ106は150段、Dフリップフロップ107は150個用意されていて、導線VDD1、VSS1はこれらデータ出力部96の駆動電圧を供給するための導線である。また、ドライバ部97、符号C(PZT)であらわされる圧電体31に駆動電圧(ここでは30V)を供給するための導線がVDD2、VSS2となっている。圧電体PZTのコモン電極に接続した導線VSS3と導線VSS2とは導線65で示すように接続され、データ出力部96の上記導線のうち一方の導線VSS1と導線VSS2とは導線66で示すように接続されており、これらは共通の電位、例えば0V、つまりアースされている。導線VSS1、VSS2、VSS3は、データ出力部96およびドライバ部97内の各回路の共通電位の部分、アクチュエータのコモン電極32にそれぞれ接続されている。フレキシブルプリント配線材40上には、駆動回路92が搭載され、上記各導線や後述するイネーブル信号等のための信号線が形成されている。ドライバ部97は、データ出力部96が出力した駆動データを、アクチュエータの活性部を駆動するための電圧に変換して出力するためのドライバ回路110をアクチュエータの個別電極33に対応して備える。
【0006】
インクの吐出を行なう際の動作について図5(b)を用いて説明する。シフトレジスタ106及びDフリップフロップ107のリセット信号がLの状態にあるとき、周知のようにイメージメモリから印字データ(吐出ありのとき0、吐出なしのとき1)がシリアルに読み出されてシフトレジスタ106に入力され、1つのインクジェットヘッドのノズル数に対応するパラレルデータに変換される。さらに、パラレルデータに変換された印字データは、Dフリップフロップ107にラッチされ、ストローブ信号に同期してORゲート108に出力される。一方、各ORゲート108には通常時において、イネーブル信号がHの状態で印加されており、通常時の印字データ(吐出なしの1)にもとづいてイネーブル信号がORゲート108から出力されて、各ドライバ回路110をオンさせ、導線VDD2の電圧(30V)をアクチュエータの個別電極33に印加する。この状態では、まだインクを吐出しない。イネーブル信号は、吐出時間すなわち個別電極33への電圧印加時間だけLの状態に切り替えられ、その後再びHの状態に切り替えられる動作を繰り返しており、そのLの状態にあるとき、Dフリップフロップ107にラッチされたデータが吐出なしの1ならば、そのデータに対応するドライバ回路110はオンを継続し、インクは吐出しない。Dフリップフロップ107にラッチされたデータが吐出ありの0ならば、そのデータに対応するドライバ回路110はオフし、圧力室16の容積を拡大する。そしてイネーブル信号が電圧印加時間後再び立ち上がると、ORゲート108がHになり、ドライバ回路110が個別電極33への通電を再開する。これにより前述のようにインクに圧力が加えられインクが吐出される。
【0007】
インクジェットヘッド100の製造工程においては、キャビティユニット20に圧電アクチュエータ30を重合し、更に圧電アクチュエータ30の表面電極26、27にフレキシブルプリント配線材40をハンダ付けした後、圧電アクチュエータ30の各圧電体が分極される。この工程を図4に示す。分極装置70は、分極用電圧の一部を発生する回路73と、分極用電圧の残りの部分を発生するための上記吐出動作を行う電源と同等の電源72と、イネーブル信号およびリセット信号等の信号を発生する回路71からなる。その電源72、信号発生回路71は、吐出動作を行うためにプリンタ本体内に設ける公知のものと同等であるので、詳細には説明しない。
【0008】
それらの各回路71、73及び電源72は、フレキシブルプリント配線材40上に形成された前記各導線や各信号線の端子部分に接続される。回路73は、アクチュエータの全活性部のコモン電極と接続した導線VSS3と、全ドライバ回路110の共通電位の部分(アース側)に共通接続した導線VSS2との間に分極用電圧を印加するための回路で、負電源−VCC2、スイッチSW1とSW2、抵抗R2からなる。また、導線VDD1と導線VSS1との間、及び導線VDD2と導線VSS2との間には、上記吐出動作を行うための電源と同等の電源72が接続される。なお、このとき、導線VSS3と導線VSS2との間には、導線65は接続されてない。この状態において、個別電極33とコモン電極32とに挟まれる圧電体の分極が行われる。なお、分極をする際には、スイッチSW1をG側、スイッチSW2をG側(負電源−VCC2を導線VSS3に接続しない側)にしておく。
【0009】
この状態において、シフトレジスタ106及びDフリップフロップ107のリセット信号をHとし、シフトレジスタ106及びDフリップフロップ107の全データを吐出あり0の状態にする。そして、イネーブル信号をLをHに立ち上げると、ORゲートの出力がHとなり、全てのドライバ回路110が全個別電極33への通電を開始する。この時はまだスイッチSW1、SW2がG側になっているため、圧電体PZTにかかる電圧Vpztは30V(抵抗R1による電圧低下分をここでは無視する)となる。これは吐出時圧電体PZTに掛かる電圧と同じであるため、分極はなされない。(図5(a)参照)
この状態からややあって、スイッチSW1、SW2がN側にされる。すると電源−VCC2の電圧(ここでは−40V)が加わり、圧電体PZTの両端電圧は先の30Vに加えて合計70Vとなる。この電圧により分極が開始される。分極を開始するにあたり、高温下(例えば80℃)にて、電源72および電源73による電圧を印加させる。分極が完了するとイネーブル信号をLにする。Dフリップフロップ107の出力はリセット信号によりLにされているため、イネーブル信号がLになるとORゲート108の出力もLになる。これによりドライバ110により圧電体PZTへの通電が停止され、圧電体PZTには電源−VCC2による電圧40Vのみが掛かる。そしてここから所定時間経過後、スイッチSW2がG側に戻され、個別電極33の電圧Vpztがゼロとなる。こうして分極が完了する(すなわち活性部が形成される)と、分極装置をフレキシブルプリント配線材40から取り外す。
【0010】
【特許文献1】特開2002−160372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述したように分極工程は通常、圧電体を高温下で直流高電圧を印加して、強制的に分子構造を歪ませて分極が行われる。このとき、分極終了後、温度上昇している圧電体を分極装置から取り外し、次工程に移る間に放置されることで室温まで自然冷却されるため、その温度差により圧電体は焦電電荷が発生し蓄積される。特許文献1のような、駆動回路92を介して第1の電源VDD2と第2の電源−VCC2の電圧が圧電体に印加される分極装置においては、分極直後、導線VSS2と導線VSS3が接続されていないため、圧電体に蓄積された焦電電荷は放電されない。この蓄積された焦電電荷は、このまま放置しておいても少しずつゆっくりと自然放電されていくが、長時間圧電体中に蓄積されたままとなる。この状態で次工程へインクジェットヘッドが運ばれる。この時、フレキシブルプリント配線材40は、インクジェットヘッド上面から飛び出て自由に動く状態にあるため、フレキシブルプリント配線材40の先端の端子部が周辺の金属と接触しショートを起こすと、蓄積されていた焦電電荷が急激に放電し、駆動回路92に流れる。そのため、駆動回路92が破壊されたり、故障してしまうことがある。
【0012】
本発明は、上述した問題点を解消するものであり、インクジェット記録装置の製造工程において、分極処理した時に発生する焦電電荷を良好に放電できるようにし、また急激な放電による駆動回路の破壊を防止することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、インクを吐出する複数のノズルと、その各々のノズルに連通して配置された複数の圧力室とを有するキャビティユニットと、前記各々の圧力室毎に対向する位置に配置された個別電極と、前記複数の圧力室に共通のコモン電極と、その電極間に挟まれた圧電体とを含み、前記個別電極と前記コモン電極との間に電圧を印加することにより前記圧電体を変形して前記圧力室の容積を変化させるアクチュエーターを備え、前記個別電極と前記コモン電極との間に前記圧電体と並列に高抵抗体を接続したことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明では、前記個別電極と前記コモン電極との間に選択的に電圧を印加する駆動回路をさらに備え、前記高抵抗体は、前記駆動回路を介して前記個別電極と前記コモン電極とに接続していることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明では、前記駆動回路は、前記コモン電極とほぼ同電位とされる第1の導線に接続され、その第1の導線と前記コモン電極とを前記高抵抗体で接続したことを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明では、前記駆動回路は、前記各個別電極に対応した駆動データを出力するデータ出力部と、そのデータ出力部が出力した駆動データに基づいて、前記アクチュエータを駆動するための電圧信号を発するドライバ部を有し、前記第1の導線は前記ドライバ部に接続されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明では、前記高抵抗体は、ほぼ1MΩであることを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明では、インクを吐出する複数のノズルと、その各々のノズルに連通して配置された複数の圧力室とを有するキャビティユニットと、
前記各々の圧力室毎に対向する位置に配置された個別電極と、前記複数の圧力室に共通のコモン電極と、その電極間に挟まれた圧電体とを含み、前記個別電極と前記コモン電極との間に電圧を印加することにより前記圧電体を変形して前記圧力室の容積を変化させるアクチュエーターと、
前記圧電体を変形させるための電圧を発する吐出用電源と、
その吐出用電源の発する電圧を、外部からの信号に応じて前記個別電極と前記コモン電極間に印加させることにより、前記キャビティ内のインクを前記ノズルから吐出させる駆動回路とを備えたインクジェット記録装置の製造方法において、
あらかじめ高抵抗体を、前記駆動回路を介して前記個別電極と前記コモン電極とに接続した状態で、
前記個別電極に前記駆動回路を通して前記吐出用電源とほぼ同等の第1の電源を接続するとともに、前記コモン電極にそれとは別の第2の電源を接続し、前記個別電極と前記コモン電極の間に、前記第1の電源による電圧に前記第2の電源による電圧を加えて、前記圧電体を分極するための電圧を生成し、その電圧を印加することを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明では、前記第2の電源による電圧は、前記第1の電源による電圧の逆極性の電圧であることを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の発明では、前記第1の電源による電圧の印加を開始した後、前記第2の電源による電圧の印加を開始することを特徴とする。
【0021】
請求項9に記載の発明では、前記第1の電源による電圧の印加を停止した後、前記第2の電源による電圧の印加を停止することを特徴とする。
【0022】
請求項10に記載の発明では、前記駆動回路を前記吐出用電源に接続する2つの導線のうち前記コモン電極とほぼ同電位とされる第1の導線と、前記コモン電極と接続した第2の導線とを分離して形成し、前記駆動回路を前記吐出用電源に接続する2つの導線のうちの残りの第3の導線と前記第1の導線との間に前記第1の電源による電圧を印加するとともに、前記第2の導線と前記第1の導線との間に前記第2の電源による電圧を印加することを特徴とする。
【0023】
請求項11に記載の発明では、前記圧電体を分極した後、前記第1の導線と前記第2の導線とを接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に記載の発明では、アクチュエータの個別電極とコモン電極との間に、圧電体と並列に高抵抗体を接続することにより、圧電体を分極処理するときには、高抵抗体の抵抗値が高いことで個別電極とコモン電極との間が短絡されることなく、その両電極間に分極用の電圧を印加することができる。また、分極処理後、圧電体に蓄積された焦電電荷の放電回路が高抵抗体によって確保されるため、製造工程中の次工程に移るまでには、蓄積された焦電電荷を放電することができる。したがって、インクジェットヘッドの端子部分が他の金属に接触する等しても急激に大容量の電荷放電を起こすことがない。
【0025】
請求項2に記載の発明のように、前記高抵抗体が、駆動回路を介して前記個別電極と前記コモン電極とに接続されているものでは、分極処理後、圧電体に蓄積された焦電電荷を、高抵抗体、駆動回路を介して放電することができ、インクジェットヘッドの端子部分が他の金属に接触する等しても、駆動回路をとおして急激に大容量の電荷放電を起こすことがなくなり、駆動回路の破壊や故障を防止することができる。
【0026】
請求項3に記載の発明では、前記駆動回路は、前記コモン電極とほぼ同電位とされる第1の導線に接続され、その第1の導線と前記コモン電極とが、前記高抵抗体で接続されていることによって、コモン電極とほぼ同電位とされる第1の導線を介して、圧電体に蓄積された焦電電荷が放電されやすい。
【0027】
請求項4に記載の発明では、前記駆動回路は、前記各個別電極に対応した駆動データを出力するデータ出力部と、そのデータ出力部が出力した駆動データに基づいて、前記アクチュエータを駆動するための電圧信号を発するドライバ部を有し、前記第1の導線は前記ドライバ部に接続されていることによって、圧電体に蓄積された焦電電荷が、データ出力部を通ることなく、アクチュエータを駆動する電圧を発するドライバ部を介して放電されるので、電荷が放電されやすい。
【0028】
請求項5に記載の発明では、高抵抗体はほぼ1MΩであるため、圧電体を分極処理するときには、個別電極とコモン電極との間に短絡されることなく、その両電極間に分極用の電圧を印加することができる。また、分極処理後、圧電体に蓄積された焦電電荷の放電回路が高抵抗体によって確保されるため、製造工程中の次工程に移るまでには、蓄積された焦電電荷を放電することができる。
【0029】
請求項6に記載の発明では、あらかじめ高抵抗体を、駆動回路を介して個別電極とコモン電極とに接続した状態で、その個別電極とコモン電極の間に、駆動回路を通して吐出用電源とほぼ同等の第1の電源を接続するとともに、それとは別の第2の電源を接続し、その電極間に、第1の電源による電圧に第2の電源による電圧を加えて、圧電体を分極するための電圧を生成し、その電圧を印加することにより分極を行なうので、インクジェットヘッドにフレキシブルプリント配線材などをハンダ付けした後にも分極を行なうことができる。そのとき、高抵抗体の抵抗値が高いことで個別電極とコモン電極との間が短絡されることなく、その両電極間に分極用の電圧を印加することができる。また、分極処理後、圧電体に蓄積された焦電電荷の放電回路が高抵抗体によって確保されるため、製造工程中の次工程に移るまでには、蓄積された焦電電荷を放電することができる。したがって、インクジェットヘッドの端子部分が他の金属に接触する等しても急激に大容量の電荷放電を起こすことがなく、駆動回路の破壊や故障を防止することができる。
【0030】
請求項7に記載の発明では、前記第2の電源による電圧が逆極性であることにより、圧電体の両側の電位の絶対値を低くすることができる。これに反し、分極に必要な電圧を得るために圧電体の一方の電極の電位をゼロにしておくと、他方の電極の電位を極めて高くする必要が生じ、インクジェット記録装置の設計が困難となる。しかし、請求項7に記載のインクジェット記録装置の製造方法によれば、圧電体の両側で分極用の電圧を分担するので、インクジェット記録装置の設計を容易に行なうことができる。
【0031】
請求項8に記載の発明では、吐出用電源と同等の第1の電源による電圧の印加を開始した後、第2の電源による電圧の印加を開始することで、段階的に電圧を印加することができるので、駆動回路への悪影響も心配する必要がない。
【0032】
請求項9に記載の発明では、前記第1の電源による電圧の印加を停止した後、前記第2の電源による電圧の印加を停止することにより、第2の電源側から第1の電源側、ひいては駆動回路への電流の流入を抑えることができ、駆動回路の破壊を防止することができる。
【0033】
請求項10に記載の発明では、前記駆動回路を前記吐出用電源に接続する2つの導線のうち前記コモン電極とほぼ同電位とされる第1の導線と、前記コモン電極と接続した第2の導線とを分離して形成し、前記駆動回路を前記吐出用電源に接続する2つの導線のうちの残りの第3の導線と前記第1の導線との間に前記第1の電源による電圧を印加するとともに、前記第2の導線と前記第1の導線との間に前記第2の電源による電圧を印加することにより、前述の圧電体の両側で分極用の電圧を分担することや、電圧の印加の順序による効果を着実に奏することができる。
【0034】
請求項11に記載の発明では、前記圧電体を分極した後、前記第1の導線と前記第2の導線とを接続することにより、その両導線をほぼ同電位とし、第3の導線に吐出用電源を接続するだけで、吐出用電圧を圧電体に印加することができる。よって、分極後、インクジェット記録装置として使う際にも、第2の導線を有効に活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態は、図3、4のように、従来の駆動回路92をそのまま用い、フレキシブルプリント配線材40上において、導線VSS2と導線VSS3との間に、圧電体と並列に、つまりアクチュエータの個別電極33とコモン電極32とにドライバ部97を介して、高抵抗体Rを接続している。通常の吐出動作を行う時は、駆動電圧VDD2は20Vを用いる。分極する時には駆動電圧VDD2に吐出時と同等の20Vおよび電源−VCC2に−40Vを用いている。この分極方法は高温下(例えば80℃)で、前述した特許文献1に記載の方法と同様に行う。この時、導線VSS2と導線VSS3との間で前述したように高抵抗体Rで接続されているが、その抵抗値が非常に大きいので、圧電体PZTは高抵抗体Rで短絡されることなく、20Vと−40Vを加えた合計60Vが印加される。こうして分極が完了すると、分極装置70をフレキシブルプリント配線材40から取り外し、インクジェットヘッド100をプリンタ本体に取り付ける。
【0036】
分極時に温度上昇した圧電体は、次工程に行くまでの間に放置され室温まで自然冷却されることで、その温度差により圧電体には焦電電荷が発生し蓄積される。しかし、高抵抗体Rが駆動回路を介して導線VSS2と導線VSS3との間に接続されていることにより、蓄積された焦電電荷が高抵抗体Rをとおして放電され、従来のようにフレキシブルプリント配線材40の自由に動く状態にある端子が他の金属に接触しても、一度に多くの放電量が駆動回路に流れることがないため、駆動回路を破壊したり、故障させたりすることを防止することができる。
【0037】
高抵抗体が1MΩより大幅に小さいと、分極工程において圧電体に所定の電圧がかからず分極できない。また、高抵抗体が1MΩより大幅に大きいと、蓄積されていた焦電電荷が、放電されないまま蓄積されてしまう。高抵抗体がこのように機能するものであれば、1MΩにかぎらず、回路の各種の条件によって決めてもよい。
【0038】
また、上記形態では、高抵抗体Rは駆動回路を介してVSS2とVSS3との間に接続しているが、個別電極とコモン電極とを駆動回路を介して接続するならば、VSS3と他の導線(例えばVSS1)とを接続しても差し支えない。
【0039】
さらに、高抵抗体Rは、インクジェットヘッドの製造工程において、分極する前までに駆動回路を介して個別電極とコモン電極の間に接続すればよい。そのため、あらかじめフレキシブルプリント配線材40上に高抵抗体Rを所定の導線と接続した状態で形成したり、あるいは部品としての高抵抗体Rをフレキシブルプリント配線材40上に実装しても差し支えない。
【0040】
ここでインクジェットプリンタ全体の電気回路について説明する。図3において、インクジェットプリンタは、本体側基板90とヘッド基板91と駆動回路92と圧電アクチュエータ30とが互いに接続されている。本体側基板90には制御回路93と制御信号用電源94と吐出用電源95とが搭載されている。
【0041】
本体側基板90は、インクジェットヘッドを搭載したキャリッジの外側の静止位置に設置され、ヘッド基板91は、駆動回路92および圧電アクチュエータ30とともにキャリッジに搭載される。
【0042】
制御回路93は、データ出力部96に所定の記録情報に基づきイネーブル、印字データ、クロック、ストローブ信号等の制御信号を出力するもので、その制御信号を出力するために制御信号導線98を介してデータ出力部96に配線接続されている。制御信号用電源94は、データ出力部96に電圧(例えば、5ボルト)を供給するもので、駆動用導線VDD1と、アース用導線VSS1とを介してデータ出力部96に配線接続されている。具体的には、本体側基板90とヘッド基板91との間は、駆動用導線VDD1とアース用導線VSS1と制御信号導線98とを幅方向に平面状に配置したフレキシブルプリント配線材99の各端部を、本体側基板90に配設されたコネクタ101と、ヘッド基板91に配設されたコネクタ102とに連結して接続されている。
【0043】
吐出用電源95は、ドライバ部97に電圧(例えば20ボルト)を供給するもので、駆動電圧を印加する駆動用導線VDD2と、アース用導線VSS2とを介してドライバ部97に配線接続されている。具体的には、本体側基板90とヘッド基板91との間は、駆動用導線VDD2とアース用導線VSS2とを幅方向に平面状に配置したフレキシブルプリント配線材103の各端部を、本体側基板90に配設されたコネクタ104と、ヘッド基板91に配設されたコネクタ105とに連結して接続されている。また、ヘッド基板91上には、駆動用導線VDD2とアース用導線VSS2とに電解コンデンサ109がバイパス接続されおり、ドライバ部97に供給する電荷を貯え、ドライバ部97に瞬時の大電流が流れた場合の電圧降下の発生を抑制している。
【0044】
一方、ヘッド基板91と駆動回路92との間は、前記導線98、VDD1、VSS1、VDD2、VSS2、VSS3を有するフレキシブルプリント配線材40と、ヘッド基板91に配設されたコネクタ111に連結することによって配線接続されている。ヘッド基板91上には、アース用導線VSS2とコモン電極に接続された導線VSS3とを接続する導線65、アース用導線VSS1とVSS2とを接続する導線66が形成され、フレキシブルプリント配線材40をコネクタ111に連結することによって、それらがフレキシブルプリント配線材40上の各導線と接続されている。

【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】圧電インクジェットプリンタヘッドの分解斜視図である。
【図2】圧電インクジェットプリンタヘッドの拡大側断面図である。
【図3】本発明を適用したインクジェットプリンタ装置の電気回路図である。
【図4】本発明を適用したインクジェットプリンタ装置のインクジェットヘッドの分極の様子を説明する回路図である。
【図5】インクジェットヘッドで吐出する際、および圧電体を分極する際のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0046】
20 キャビティユニット
26,27 表面電極
30 圧電アクチュエーター
31 圧電体
32 コモン電極
33 個別電極
40, 99, 103 フレキシブルプリント配線材
91 ヘッド基板
92 駆動回路
93 制御回路
94 制御信号用電源
95 吐出用電源
96 データ出力部
97 ドライバ部
100 インクジェットヘッド
101, 102等 コネクタ
106 シフトレジスタ
107 Dフリップフロップ
108 ORゲート
110 ドライバ
R 高抵抗体




 

 


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