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インク滴吐出装置 - ブラザー工業株式会社
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発明の名称 インク滴吐出装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−7955(P2007−7955A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−190339(P2005−190339)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
代理人 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫
発明者 関口 恭裕
要約 課題
残留圧力を抑制するための非吐出パルスを含まずに駆動波形を構成しながら、吐出全体の安定化を図ることのできるインク滴吐出装置の提供を目的とするものである。

解決手段
インクが充填された圧力室の容積を変化させるアクチュエータに、駆動パルス信号を印加することにより、インク滴を被記録媒体に吐出させるインク滴吐出装置において、被記録媒体にドットを形成する場合に、その駆動波形は、前記駆動パルス信号としてインク滴を吐出するメインパルス信号Pmのみを複数有し、前記各メインパルス信号Pmのパルス幅Tpと、先行する前記メインパルス信号Pmの終端と後続の前記メインパルス信号Pmの始端との間隔Twとがそれぞれ、前記圧力室が含まれるインク流路内を圧力波が片道伝播する時間ALに対して、1.1AL≦Tp≦1.5AL、3.5AL≦Tw≦4.5AL、の関係を満たしている。
特許請求の範囲
【請求項1】
インクが充填された圧力室の容積を変化させるアクチュエータに、駆動パルス信号を印加することにより、インク滴を被記録媒体に吐出させるインク滴吐出装置において、
被記録媒体にドットを形成する場合に、その駆動波形は、前記駆動パルス信号としてインク滴を吐出するメインパルス信号Pmのみを複数有し、前記各メインパルス信号Pmのパルス幅Tpと、先行する前記メインパルス信号Pmの終端と後続の前記メインパルス信号Pmの始端との間隔Twとがそれぞれ、前記圧力室が含まれるインク流路内を圧力波が片道伝播する時間ALに対して、
1.1AL≦Tp≦1.5AL、3.5AL≦Tw≦4.5AL、
の関係を満たしていることを特徴とするインク滴吐出装置。
【請求項2】
前記駆動波形に含まれるメインパルス信号の数は、2個以上4個以下であることを特徴とする請求項1に記載のインク滴吐出装置。
【請求項3】
前記駆動波形は、当該ドットを形成する駆動周期の次に駆動周期に形成するドットがない場合に、当該ドットの形成に用いることを特徴とする請求項1または2に記載のインク滴吐出装置。
【請求項4】
前記複数のメインパルス信号を有する駆動波形は、被記録媒体にドットを形成するための駆動周期の複数周期に跨っていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインク滴吐出装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッド方式によるインク滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インク滴吐出装置であるインクジェットプリンタにはインクジェットヘッドが備えられており、圧電式のアクチュエータを有するインクジェットヘッドでは、駆動パルス信号の印加によるアクチュエータの変位で、インクに吐出圧力が与えられてノズルからインク滴が吐出される構成が知られている。
【0003】
前記インクジェットヘッドの構成によれば、ノズルから吐出されるインク滴は、アクチュエータに印加される駆動パルス信号のパルス幅を、インク流路での圧力波の片道伝播時間ALと一致させたときに、最も高いエネルギー効率で吐出され、その吐出量も最大となる。
【0004】
ところで、一般的に、インクジェットプリンタでは、階調表現のために、複数種類の大きさ(記録面積)のインクドットを混在させて被記録媒体に記録を行っており、1ドット当たりの吐出量を変える必要がある。
【0005】
1ドット当たりの吐出量を多くする場合には、例えば、本出願人が特許文献1で開示しているように、第1のインク滴がノズルから離れる前に第2のインク滴を吐出させて合体させる方法がある。具体的には、メイン(第2)の駆動パルス信号のパルス幅を圧力波の伝播時間T(前記ALに相当)と一致させ、それより前にパルス幅が0.35T〜0.65Tの第1の駆動パルス信号を印加している。さらに、メイン(第2)の駆動パルス信号の後に、第3の駆動パルス信号としてインク滴を吐出しない短いパルス幅の信号を印加している。これにより第1の駆動パルス信号によるインク滴がエネルギー効率の悪い状態で吐出し、このインク滴がノズルから離れる前に、第2の駆動パルス信号によるインク滴がエネルギー効率よく吐出されて合体する。そして、第3の駆動パルス信号が、残留する圧力波成分を抑制するようにしている。
【特許文献1】特許第3551822号公報(図1及び図6参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている駆動波形では、メインパルス信号の後に、第3の駆動パルス信号として、残留する圧力波成分を抑制する非吐出パルスを印加して、吐出全体を安定化している。しかしながら、この非吐出パルスは、圧力波を抑制し且つインクを吐出させないように印加する必要があるから、そのパルス幅や印加のタイミングは、極めて微妙であり、僅かなずれが生じると吐出全体に大きな影響を与えていた。従って、前記非吐出パルスを含まずに駆動波形を構成し、その波形で安定した吐出状態を得たいという要望があった。また、連続して吐出した後の激しい振動を効果的に抑えたいという要望もあった。
【0007】
本発明は、上記問題を解消するものであり、残留圧力を抑制するための非吐出パルスを含まずに駆動波形を構成しながら、吐出全体の安定化を図ることのできるインク滴吐出装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明におけるインク滴吐出装置は、インクが充填された圧力室の容積を変化させるアクチュエータに、駆動パルス信号を印加することにより、インク滴を被記録媒体に吐出させるインク滴吐出装置において、被記録媒体にドットを形成する場合に、その駆動波形は、前記駆動パルス信号としてインク滴を吐出するメインパルス信号Pmのみを複数有し、前記各メインパルス信号Pmのパルス幅Tpと、先行する前記メインパルス信号Pmの終端と後続の前記メインパルス信号Pmの始端との間隔Twとがそれぞれ、前記圧力室が含まれるインク流路内を圧力波が片道伝播する時間ALに対して、1.1AL≦Tp≦1.5AL、3.5AL≦Tw≦4.5AL、の関係を満たしていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインク滴吐出装置において、前記駆動波形に含まれるメインパルス信号の数は、2個以上4個以下であることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のインク滴吐出装置において、前記駆動波形は、当該ドットを形成する駆動周期の次に駆動周期に形成するドットがない場合に、当該ドットの形成に用いることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載のインク滴吐出装置において、前記複数のメインパルス信号を有する駆動波形は、被記録媒体にドットを形成するための駆動周期の複数周期に跨っていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、前記Tp及びTwが前記関係を満たすように組み合わされることにより、駆動波形として、吐出用のメインパルス信号Pmを複数個用いるだけで、換言すれば、従来のような残留圧力波を抑制するための非吐出パルスを用いなくても、安定した吐出を行うことができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明によれば、メインパルス信号の数が2個以上4個以内の範囲であれば、安定した吐出を得ながら、前記範囲内で所望の大きさのドットを得ることが可能となる。
【0014】
また、請求項3に記載の発明によれば、当該ドットを形成する駆動周期の次に駆動周期に形成するドットがない場合に、当該ドットの形成に上記駆動波形を用いることで、吐出によって生じた振動を効果的に抑え、安定した吐出動作を行うことができる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明によれば、複数の周期に跨って駆動波形を構成することで、大きなサイズのドットを安定して形成することが可能となる。また、請求項3に記載の発明のように次に駆動周期に形成するドットがない場合に、複数の周期に跨って駆動波形を発生することで、より効果的に振動を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明のインク滴吐出装置に適用されるインクジェットヘッドの斜視図、図2はインクジェットヘッドの分解斜視図、図3はキャビティユニットの拡大分解斜視図、図4は図1のIV−IV線矢視拡大断面図、図5は図1のV−V線矢視拡大断面図、図6は制御装置のブロック図、図7は駆動波形を示すタイムチャート、図8は駆動波形におけるパルス幅及び間隔の値の組み合わせを変えたときの実験結果を示す図である。
【0017】
本発明の実施形態のインク滴吐出装置は、インクジェットプリンタであり、このインクジェットプリンタに備えられるインクジェットヘッド100は、被記録媒体の搬送方向(副走査方向、以下X方向という)と直交する方向(主走査方向、以下Y方向という)に往復移動するキャリッジ(図示せず)に搭載されるものである。このインクジェットヘッド100には、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のカラーインクがそれぞれ充填されたインクカートリッジが、キャリッジ上に着脱可能に搭載されるか、あるいは、インクジェットプリンタの本体に静置され供給パイプ等を介するかして、各色のインクが供給されるように構成されている。
【0018】
インクジェットヘッド100は、図1に示すように、金属板製の複数枚のプレートからなるキャビティユニット1にプレート型の圧電アクチュエータ2が接合され、このプレート型の圧電アクチュエータ2の上面(背面)に外部機器との接続のためのフレキシブルフラットケーブル3(図4参照)が重ね接合されている。そして、キャビティユニット1の下面(前面)側に開口されたノズル4から、下向きにインクが吐出するものとする。
【0019】
前記キャビティユニット1は、図2に示すように、ノズルプレート11、スペーサプレート12、ダンパープレート13、2枚のマニホールドプレート14a、14b、サプライプレート15、ベースプレート16、及びキャビティプレート17の合計8枚の薄い板をそれぞれ接着剤にて重ね接合した構造となっている。
【0020】
実施形態では、各プレート11〜17は50〜150μm程度の厚さを有し、ノズルプレート11はポリイミド等の合成樹脂製で、その他のプレート12〜17は42%ニッケル合金鋼板製である。前記ノズルプレート11には、微小径(25μm程度)のインク吐出用のノズル4が微小間隔で多数個穿設されている。このノズル4は、当該ノズルプレート11における長辺方向(X方向)と平行な5列に配列されている。
【0021】
また、前記キャビティプレート17には、図2に示すように、複数の圧力室36がキャビティプレート17の長辺(前記X方向)と平行な5列に配列されている。実施形態では、前記各圧力室36は、平面視細長形状に形成され、その長手方向がキャビティプレート17の短辺方向(Y方向)に沿うようにして穿設されている。
【0022】
図3に示すように、各圧力室36における先端部36aは、サプライプレート15、ベースプレート16と2枚のマニホールドプレート14a、14b、ダンパープレート13、及びスペーサプレート12に穿設されている微小径の連通孔37を介して、ノズルプレート11における前記各ノズル4に連通している。
【0023】
キャビティプレート17の下面に隣接するベースプレート16には、各圧力室36の他端部36bに接続する貫通孔38が穿設されている。
【0024】
ベースプレート16の下面に隣接するサプライプレート15には、後述する共通インク室7から前記各圧力室36へインクを供給するための接続流路40が設けられる。そして各接続流路40には、共通インク室7からインクが入る入口孔と、圧力室36側(貫通孔38)に開口する出口孔と、入口孔と出口孔との間にあって、接続流路40中で最も大きな流路抵抗となるように断面積を小さくして形成された絞り部とが備えられている。
【0025】
2枚のマニホールドプレート14a,14bには、その長辺方向(X方向)に沿って長い5つの共通インク室7が前記ノズル4の各列に沿って延びるように板厚さを貫通して形成されている。すなわち、図2及び図4に示すように、2枚のマニホールドプレート14a、14bを積層し、かつその上面をサプライプレート15にて覆い、下面をダンパープレート13にて覆うことにより、合計5つの共通インク室(マニホールド室)7が密閉状に形成される。各共通インク室7は、各プレートの積層方向から平面視したときに、前記圧力室36の一部と重なって圧力室36の列方向(ノズル4の列方向)に沿って長く延びている。
【0026】
図3及び図4に示すように、マニホールドプレート14aの下面に隣接するダンパープレート13の下面側には、共通インク室7と隔絶されたダンパ室45が凹み形成されている。この各ダンパ室45の位置および形状は、図2に示すように、前記各共通インク室7と一致させている。このダンパープレート13は、適宜弾性変形し得る金属素材であるため、ダンパ室45上部の薄い板状の天井部は、共通インク室7側にも、ダンパ室45側にも自由に振動することができる。インク吐出時に、圧力室36で発生した圧力変動が共通インク室7に伝播しても、前記天井部が弾性変形して振動することにより、前記圧力変動を吸収減衰させるというダンパ効果を奏する。これは、圧力変動が他の圧力室36へ伝播する所謂クロストークの低減を図ったものである。
【0027】
また、図2に示すように、キャビティプレート17、ベースプレート16、及びサプライプレート15の一方の短辺側の端部には、上下の位置を対応させて、それぞれ4つのインク供給口47が穿設されている。インク供給源からのインクが、これらインク供給口47から共通インク室7の一端部に連通するようになっている。4つのインク供給口47を、図2の左側から順に個別に47a、47b、47c、47dと付す。
【0028】
インク供給口47からノズル4に至るインク流通路では、インクは、インク供給口47からインク供給チャンネルとしての共通インク室7に供給された後、図3に示すように、サプライプレート15の接続流路40及びベースプレート16の貫通孔38を経由して各圧力室36に分配供給される。そして、後述するように、圧電アクチュエータ2の駆動により、インクは各圧力室36内から前記連通孔37を通って、その圧力室36に対応するノズル4に至るという構成になっている。そして、後述する圧電アクチュエータ2の駆動により、圧力室36に吐出圧力が加えられると、圧力波が圧力室36内から、連通孔37を通ってノズル4に伝達し、インクを吐出する。
【0029】
この実施形態では、図2に示すように、インク供給口47が4つ設けられているのに対して、共通インク室7が5つ設けられており、インク供給口47aだけが、2つの共通インク室7,7に接続されている。インク供給口47aには、ブラックインクが供給されるように設定されており、ブラックインクがその他のカラーインクに比べて使用頻度が高いことを考慮したものである。他のインク供給口47b、47c、47dには、イエロー、マゼンタ、シアンの各インクがそれぞれ単独に供給される。インク供給口47a,47b,47c,47dには、それぞれの開口に対応する濾過部20aを有するフィルタ体20が接着剤等で貼着されている(図1参照)。
【0030】
一方、前記圧電アクチュエータ2は、特開平4−341853号公報等に開示された公知のものと同様に、ここでは1枚の厚さが30μm程度の複数枚の圧電シート41〜43を、図5に示すように積層した構造で、各圧電シートのうち下から所定数の偶数段目の圧電シート42の上面(広幅面)には、前記キャビティユニット1における各圧力室36に対応した箇所ごとに細幅の個別電極44が長辺方向(X方向)に沿って列状に形成されている。下から所定数の奇数段目の圧電シート41の上面(広幅面)には、複数個の圧力室36に対して共通のコモン電極46が形成されており、最上段のシートの上面には、積層方向に対応する前記個別電極の各々に対して電気的に接続される表面電極48と、前記コモン電極に対して電気的に接続される表面電極とが設けられている。そして、公知のように個別電極54とコモン電極55との間に高電圧を印加することで、両電極間に位置する圧電シートの部分が分極され、活性部として形成される。活性部は各圧力室82ごとにその上方に位置する。
【0031】
そして、このプレート型の圧電アクチュエータ2における下面(圧力室36と対向する広幅面)全体に、接着剤としてのインク非浸透性の合成樹脂からなる接着剤シート(図示せず)を予め貼着し、次いで、前記キャビティユニット1に対して、圧電アクチュエータ2が、その各個別電極44を前記キャビティユニット1における各圧力室36の各々に対向配置させて接着・固定される。また、この圧電アクチュエータ2における上側の表面には、前記フレキシブルフラットケーブル3が重ね押圧されることにより、このフレキシブルフラットケーブル3における各種の配線パターン(図示せず)が、前記各表面電極に電気的に接合される。
【0032】
次に、各電極に印加する駆動電圧を制御するための制御装置の構成を、図6に基づいて説明する。この制御装置は、フレキシブルフラットケーブル3上に配置されるLSIチップ50として設けられている。これに、個別電極44及びコモン電極46のそれぞれに対応する表面電極が接続されている。また、LSIチップ50には、クロックライン51、データライン52、電圧ライン53及びアースライン54も接続されている。LSIチップ50は、クロックライン51から供給されるクロックパルスに基づいて、データライン52上に現れるデータから、どのノズル4にてインクを吐出するべきかを判断し、インクを吐出させる活性部に印加する駆動波形の制御を行う。すなわち、コモン電極46にアースライン54を接続するとともに、インクの吐出の有無に応じて、対応する活性部の個別電極44に対して、電圧ライン53に基づく駆動パルス信号(駆動電圧)の印加を選択的に行う。
【0033】
そして、この制御装置により、任意の活性部に対応する個別電極44に駆動波形を出力すると、活性部が変位し、この活性部に対応する圧力室36のインクに吐出圧力が加えられる。そして、圧力室36からノズル4に至る圧力波の前進成分により、ノズル4からインク滴が吐出する。
【0034】
このように構成されたインクジェットヘッド100が搭載されたインクジェットプリンタでは、階調表現を行うために、1ドット当たりの吐出量が異なる複数種類のインクドット、例えば、1ドットを3から4滴のインク滴を合体させて構成される大玉、2滴のインク滴から構成される中玉、1滴のインク滴から構成される標準、1滴をさらに小型化した小玉等のサイズの異なるドットを形成することができる。
【0035】
本実施形態では、1つの駆動周期に大玉のインク滴を吐出する指令があって次の駆動周期で吐出データがない場合、その大玉の体積のインク滴を吐出する駆動波形を図7(a)に示すように、2つの駆動周期に跨るように設定している。具体的には、インク吐出用のメインパルス信号Pmのみを複数、例えば3つ含む駆動波形によって大玉のドットを形成し、このメインパルス信号Pmを2つの駆動周期に跨る間隔で配置している。通常、大玉を吐出するとき、大きな体積の流れがインク流路内に激しい振動を生じさせ、隣接する駆動周期で大玉の吐出が連続する場合、振動にタイミングを合わせて効率よく吐出することができる。しかし、次の駆動周期に吐出データがない場合、振動が抑えられず、所望でない吐出が生じたりするなど不安定になる。上記のように複数のメインパルス信号Pmが2つの駆動周期に跨ることによって、1周期内で大玉を吐出する場合と同等のインク滴の体積を確保しながら、従来のような非吐出パルスを印加することなしに、インク流路内に生じる振動を抑え、安定に吐出することができる。
【0036】
つまり、制御装置もしくはその制御装置にデータを出力する上位の制御装置は、図9に示すように、各ノズルに対して供給するデータを判断し(ステップS1)、大玉のインク滴を吐出するとき、次の駆動周期の吐出データの有無を判断し(S2)、吐出データがある場合には当該大玉の吐出のために駆動周期内に納まる駆動波形(図7(c))を選択する(S3)。次の駆動周期に吐出データがないとき、次の非吐出の駆動周期に跨る図7(a)の駆動波形を選択する(S4)。
【0037】
この実施形態では、制御装置は、各駆動パルス信号の電圧が立ち上がったとき、個別電極44には電圧の印加が停止され、各駆動信号の電圧が立ち下がったとき、個別電極44には電圧が印加されるように、個別電極44への電圧を制御する。つまり、個別電極44には図7(a)の状態とは反転した電圧が印加される。
【0038】
従って、インク吐出前は、全個別電極44に正の電圧が印加され、コモン電極46が接地されており、その間の活性部が伸長し、全圧力室36の容積が収縮された状態にある。インクを吐出しようとする圧力室に対応する、積層方向の各個別電極44への電圧印加を停止すると、活性部が収縮状態に復帰して圧力室36の容積を拡大する。すると、圧力室36内のインクが負圧になり圧力波が発生する。この圧力波の圧力が反転して正圧になるタイミングで前記各個別電極44に再び電圧を印加すると、活性部の伸長による圧力と、正圧に反転した圧力とが重畳され、インク滴がノズル4から吐出される。
【0039】
なお、上述とは逆に、特許第3551822号公報(特許文献1)に開示されているアクチュエータのように、個別電極に電圧を印加することで、圧力室の容積を拡大して圧力波を発生し、圧力波が反転した時点で電圧の印加を停止することで、圧力室の容積を縮小してインク滴を吐出するようにしてもよい。
【0040】
インクの圧力波が、負圧から正圧になるまでの時間は、圧力室36、連通孔37及び貫通孔38を含む各ノズル毎のインク流路を圧力波が片道伝播する時間ALで決まる。この片道伝播時間ALは、インクの固有振動数及びインク流路の長さだけでなく、流路抵抗、流路を構成する各プレートの剛性などにも影響される。
【0041】
つまり、駆動パルス信号の立ち上がりから立ち下がりまでの時間、すなわちパルス幅を、上記圧力波の片道伝播時間ALに一致させると、最も大きな圧力が重畳されてエネルギー効率が最高となり、インク滴の吐出速度、吐出量(液滴体積)がピークになる。
【0042】
図7(a)に示す駆動波形において、メインパルス信号Pmのパルス幅をTp、複数設けられたメインパルス信号Pmの先行のメインパルス信号Pmの終端と後続のメインパルス信号Pmの始端との間隔をTwとし、このTpとTwを最適化する検討を行った。この図7(a)の駆動波形の前の各駆動周期に印加される駆動波形は、図7(a)の駆動波形と同等の体積のインク滴を吐出するものを使用した。
【0043】
図8に示すように、Tpは、前記ALと同じかこれより若干大きな値である、1.0AL〜1.6ALの範囲内で7つの値を設定した。Twは、2.5AL〜5.5ALの範囲内で7つの値を設定した。そして、これらを組み合わせた49通りの駆動波形についてそれぞれ吐出実験を行った。なお、図8に示された数値は、片道伝播時間ALに乗じる値である。本実施形態では、ALは約5μsecである。
【0044】
実験での吐出状態を観察すると、目的とする大玉の吐出にてしぶきを生じる等の吐出不良がある場合(図8では×で表示)と、目的とする大玉のみの吐出は良好であるが上記のように連続する各駆動周期で大玉を吐出した後図7(a)の駆動波形を組み合わせると吐出不良がある場合(図8では△で表示)と、目的とする大玉のみだけでなく連続する各駆動周期で大玉を吐出した後に組み合わせても良好な吐出状態が得られる場合(図8では○で表示)とに分かれた。
【0045】
図8に示す実験結果からわかるように、評価結果が確実に○となるのは、1.1AL≦Tp≦1.5ALで、且つ3.5AL≦Tw≦4.5ALの場合であり、TpとTwがこの条件を満たすことが連続した大玉の吐出の最後において振動を安定させるのに有効であることがわかった。
【0046】
なお、図7(a)では、駆動波形が2つの駆動周期に跨る場合を例示したが、図7(b)に示すように、駆動波形を1つの駆動周期に納まるように構成してもよい。また、図(a)では、駆動波形に4個のメインパルス信号を含んでも次の駆動周期に納まる。メインパルス信号の数は、所望のドッドの大きさに応じて決めればよい。また、図7(a)の駆動波形の前で用いられる波形は、その直後の安定を考慮しなくてもよいから、図7(a)の駆動波形のメインパルス信号と同数のパルス信号を駆動周期内に納めたもの、あるいは他の任意の波形でよい。
【0047】
このように、本実施の形態では、駆動波形に従来のような圧力波を抑制するための非吐出パルスを含まなくても、吐出用のパルスのみで吐出の安定化を図ることできる。そのため、駆動パルス信号のわずかなズレ等による吐出への悪影響が少なく、確実な吐出を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のインク滴吐出装置に適用されるインクジェットヘッドの斜視図である。
【図2】インクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図3】キャビティユニットの拡大分解斜視図である。
【図4】図1のIV−IV線矢視拡大断面図である。
【図5】図1のV−V線矢視拡大断面図である。
【図6】制御装置のブロック図である。
【図7】(a)、(b)及び(c)は駆動波形を示すタイムチャートである。
【図8】駆動波形におけるパルス幅及び間隔の値の組み合わせを変えたときの実験結果を示す図である。
【図9】制御装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1 キャビティユニット
2 圧電アクチュエータ
3 フレキシブルフラットケーブル
4 ノズル
7 共通インク室
36 圧力室
41〜43 圧電シート
44 個別電極
46 コモン電極
48 表面電極
50 LSIチップ
100 インクジェットプリンタ






 

 


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