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発明の名称 インクジェット記録装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1304(P2007−1304A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2006−146489(P2006−146489)
出願日 平成18年5月26日(2006.5.26)
代理人 【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
発明者 伊藤 正春
要約 課題
バーコードのバー周縁の印字品質を高めることができるインクジェット記録装置を実現する。

解決手段
バーコードの印字であると判定すると(S1:Yes)、印字データを読出し(S2)、当該ドットがあると判定すると(S3:Yes)、当該ドットの前後に印字するドットがあるか否かを判定する(S4)。ここで、当該ドットの前または後に印字するドットがない、つまり当該ドットは、バーコードの主走査方向の端部を印字するドットであると判定すると(S4:No)、1ドットにつき1つのインク滴を吐出するための駆動波形信号Bを選択する印字データを生成する(S7)。また、バーコードの主走査方向の端部を印字するドットではないと判定すると(S4:Yes)、1ドットにつき3つのインク滴を吐出するための駆動波形信号Aを選択する印字データを生成する(S5)。これにより、バーコードの端部は、インク滴1つだけで印字するため、インクが主走査方向へ滲み出る量を少なくすることができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
インク流路と、このインク流路に連通するノズルと、前記インク流路内のインクに吐出するためのエネルギーを与えるアクチュエータとを備えた印字ヘッドと、前記アクチュエータを駆動するための駆動波形信号を出力する制御回路とを備えており、前記印字ヘッドを被印字媒体に対して主走査方向に移動させ、前記駆動波形信号を前記アクチュエータへ出力することにより、前記インク流路内のインクを前記ノズルから前記被印字媒体へ吐出するインクジェット記録装置において、
前記制御回路は、1ドットの印字について吐出するインク滴の数を異にする前記駆動波形信号を複数種類格納する格納手段と、前記主走査方向に連続して印字するドットのうち当該ドットの前と後との双方に印字するドットの有無を判断する判断手段と、その判断手段の判断にもとづいて前記格納手段から前記アクチュエータに出力する駆動波形信号を選択する選択手段とを備え、
前記判断手段が、当該ドットの前と後との双方に印字するドットがあると判断したとき、前記選択手段は、当該ドットに対して、複数のインク滴を吐出する駆動波形信号を前記格納手段から選択して前記アクチュエータに出力し、
前記判断手段が、当該ドットの前と後とのいずれかに印字するドットがないと判断したとき、前記選択手段は、当該ドットに対して、前記当該ドットの前と後とに印字するドットがあると判断したときに選択した駆動波形信号よりも少ない数のインク滴を吐出する駆動波形信号を前記格納手段から選択して前記アクチュエータに出力する
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
インク流路と、このインク流路に連通するノズルと、前記インク流路内のインクに吐出するためのエネルギーを与えるアクチュエータとを備えた印字ヘッドと、前記アクチュエータを駆動するための駆動波形信号を出力する制御回路とを備えており、前記印字ヘッドを被印字媒体に対して主走査方向に移動させ、前記駆動波形信号を前記アクチュエータへ出力することにより、インクを被印字媒体へ吐出するインクジェット記録装置において、
前記制御回路は、このインクジェット記録装置が置かれている環境温度を検出する温度検出手段と、前記主走査方向に連続して印字するドットのうち当該ドットの前と後との双方に印字するドットの有無を判断する判断手段とを備え、
前記判断手段が、当該ドットの前と後との双方に印字するドットがあると判断したとき、当該ドットに対して、複数のインク滴を吐出する駆動波形信号を前記アクチュエータに出力し、
前記判断手段が、当該ドットの前と後とのいずれかに印字するドットがないと判断し、かつ前記温度検出手段が検出した温度が所定温度よりも高いとき、当該ドットに対して、複数のインク滴を吐出する駆動波形信号を前記アクチュエータに出力し、
前記判断手段が、当該ドットの前と後とのいずれかに印字するドットがないと判断し、かつ前記温度検出手段が検出した温度が所定温度以下のとき、当該ドットに対して、前記温度が所定温度よりも高いときの駆動波形信号よりも少ない数のインク滴を吐出する駆動波形信号を前記アクチュエータに出力する
ことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記制御回路は、1ドットの印字について吐出するインク滴の数を異にする前記駆動波形信号を複数種類格納する格納手段と、前記判断手段の判断にもとづいて前記格納手段から前記アクチュエータに出力する駆動波形信号を選択する選択手段とをさらに備え、
前記判断手段が、当該ドットの前と後との双方に印字するドットがあると判断したとき、前記選択手段が、当該ドットに対して、前記格納手段から複数のインク滴を吐出する駆動波形信号を選択して前記アクチュエータに出力し、
前記判断手段が、当該ドットの前と後とのいずれかに印字するドットがないと判断し、かつ前記温度検出手段が検出した温度が所定温度よりも高いとき、前記選択手段が、当該ドットに対して、前記格納手段から複数のインク滴を吐出する駆動波形信号を選択して前記アクチュエータに出力し、
前記判断手段が、当該ドットの前と後とのいずれかに印字するドットがないと判断し、かつ前記温度検出手段が検出した温度が所定温度以下のとき、前記選択手段が、当該ドットに対して、前記格納手段から前記温度が所定温度よりも高いときの駆動波形信号よりも少ない数のインク滴を吐出する駆動波形信号を選択して前記アクチュエータに出力する
ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記当該ドットの前後に印字するドットの有無を判断するものに代えて前記当該ドットの前に印字するドットの有無のみを判断するものであって、
その判断手段による当該ドットの前に印字するドットの有無の判断にもとづいて、前記選択手段は、前記駆動波形信号を選択することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記判断手段は、前記当該ドットの前後に印字するドットの有無を判断するものに代えて前記当該ドットの後に印字するドットの有無のみを判断するものであって、
その判断手段による当該ドットの後に印字するドットの有無の判断にもとづいて、前記選択手段は、前記駆動波形信号を選択することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記格納手段は、1ドットについて3つのインク滴を吐出する駆動波形信号と、1ドットについて1つのインク滴を吐出する駆動波形信号とを格納することを特徴とする請求項1または3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記制御回路は、印字する画像がバーコードであるかどうかを判別し、バーコードであるとき、上記制御を行うことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、アクチュエータの駆動によりインクをノズルから被印字媒体へ吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のインクジェット記録装置として、印字した画像の輪郭部分において、ドットが空白部分へ拡がるいわゆる滲みを防止するため、ドットの印字を制御するものが知られている(特許文献1から4)。特に、バーコードを印字するもの(特許文献1、3)では、バーコードの誤読を防止するためにもその要求が大きい。
【0003】
【特許文献1】特開2003−237059号公報
【特許文献2】特開2002−292848号公報
【特許文献3】特開2000−103042号公報
【特許文献4】特開2003−285453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1ないし3に記載のものは、いずれもノズルから1滴のインク滴を吐出して被印字媒体に1ドットを印字するものであり、画像の周縁を印字するときは、周縁以外を印字するときよりも少ない体積のインク滴を使用するが、1ドットの大きさが1滴のインク滴に依存しているため、インク滴の体積のばらつきがドットの形状、大きさおよび濃度などに大きな影響を与え、画像周縁の印字品質が低下する。
また、特許文献4に記載のものは、画像の周縁は1滴のインク滴によって1ドットを印字し、周縁以外は2滴または3滴のインク滴によって1ドットを印字するが、複数パルスを有する共通の駆動波形をタイミング信号で切り分けることにより、1滴用、2滴用および3滴用の駆動パルスとしている。
しかし、インク滴吐出後におけるインク流路内の残留圧力変動の状態は、連続して吐出するインク滴の数によって異なるため、共通の駆動パルスを切り分けるだけでは、連続して吐出するインク滴の数に応じた最適な吐出エネルギーをインクに与えることができないため、画像周縁の印字品質が低下する。
つまり、特許文献1ないし4に記載のものは、いずれもドットの大きさを正確に制御することが困難であるため、画像周縁のドットが拡がって印字品質が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、この発明は、上記各問題を解決するため、画像周縁の印字品質を高めることができるインクジェット記録装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、請求項1に記載の発明では、インク流路と、このインク流路に連通するノズルと、前記インク流路内のインクに吐出するためのエネルギーを与えるアクチュエータとを備えた印字ヘッドと、前記アクチュエータを駆動するための駆動波形信号を出力する制御回路とを備えており、前記印字ヘッドを被印字媒体に対して主走査方向に移動させ、前記駆動波形信号を前記アクチュエータへ出力することにより、前記インク流路内のインクを前記ノズルから前記被印字媒体へ吐出するインクジェット記録装置において、前記制御回路は、1ドットの印字について吐出するインク滴の数を異にする前記駆動波形信号を複数種類格納する格納手段と、前記主走査方向に連続して印字するドットのうち当該ドットの前と後との双方に印字するドットの有無を判断する判断手段と、その判断手段の判断にもとづいて前記格納手段から前記アクチュエータに出力する駆動波形信号を選択する選択手段とを備え、前記判断手段が、当該ドットの前と後との双方に印字するドットがあると判断したとき、前記選択手段は、当該ドットに対して、複数のインク滴を吐出する駆動波形信号を前記格納手段から選択して前記アクチュエータに出力し、前記判断手段が、当該ドットの前と後とのいずれかに印字するドットがないと判断したとき、前記選択手段は、当該ドットに対して、前記当該ドットの前と後とに印字するドットがあると判断したときに選択した駆動波形信号よりも少ない数のインク滴を吐出する駆動波形信号を前記格納手段から選択して前記アクチュエータに出力するという技術的手段を用いる。
【0007】
ここで、「インクジェット記録装置」には、ホストコンピュータなどの上位の装置から印字データを受信しなくても自身が印字開始から終了までを完結できるタイプと、パーソナルコンピュータに接続されたプリンタのように、上位の装置から印字データを受信して印字を行う装置および上位の装置を組み合わせたタイプとを含む。このため、後者のタイプにおいては、上記「制御回路」、「格納手段」、「判断手段」および「選択手段」の少なくとも1つは、上位の装置および印字を行う装置のどちらに備えていてもよい。
さらに、一般に、単一の印字パルスをアクチュエータに印加すると、主たるインク滴と共に複数のサテライト滴が吐出されるが、これらサテライト滴は、通常、被印字媒体のほぼ同一箇所に着弾し、1つのドットを形成するため、主たるインク滴とサテライト滴とを合わせて1つのインク滴として数える。
【0008】
請求項2に記載の発明では、インク流路と、このインク流路に連通するノズルと、前記インク流路内のインクに吐出するためのエネルギーを与えるアクチュエータとを備えた印字ヘッドと、前記アクチュエータを駆動するための駆動波形信号を出力する制御回路とを備えており、前記印字ヘッドを被印字媒体に対して主走査方向に移動させ、前記駆動波形信号を前記アクチュエータへ出力することにより、インクを被印字媒体へ吐出するインクジェット記録装置において、前記制御回路は、このインクジェット記録装置が置かれている環境温度を検出する温度検出手段と、前記主走査方向に連続して印字するドットのうち当該ドットの前と後との双方に印字するドットの有無を判断する判断手段とを備え、前記判断手段が、当該ドットの前と後との双方に印字するドットがあると判断したとき、当該ドットに対して、複数のインク滴を吐出する駆動波形信号を前記アクチュエータに出力し、前記判断手段が、当該ドットの前と後とのいずれかに印字するドットがないと判断し、かつ前記温度検出手段が検出した温度が所定温度よりも高いとき、当該ドットに対して、複数のインク滴を吐出する駆動波形信号を前記アクチュエータに出力し、前記判断手段が、当該ドットの前と後とのいずれかに印字するドットがないと判断し、かつ前記温度検出手段が検出した温度が所定温度以下のとき、当該ドットに対して、前記温度が所定温度よりも高いときの駆動波形信号よりも少ない数のインク滴を吐出する駆動波形信号を前記アクチュエータに出力するという技術的手段を用いる。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のインクジェット記録装置において、前記制御回路は、1ドットの印字について吐出するインク滴の数を異にする前記駆動波形信号を複数種類格納する格納手段と、前記判断手段の判断にもとづいて前記格納手段から前記アクチュエータに出力する駆動波形信号を選択する選択手段とをさらに備え、前記判断手段が、当該ドットの前と後との双方に印字するドットがあると判断したとき、前記選択手段が、当該ドットに対して、前記格納手段から複数のインク滴を吐出する駆動波形信号を選択して前記アクチュエータに出力し、前記判断手段が、当該ドットの前と後とのいずれかに印字するドットがないと判断し、かつ前記温度検出手段が検出した温度が所定温度よりも高いとき、前記選択手段が、当該ドットに対して、前記格納手段から複数のインク滴を吐出する駆動波形信号を選択して前記アクチュエータに出力し、前記判断手段が、当該ドットの前と後とのいずれかに印字するドットがないと判断し、かつ前記温度検出手段が検出した温度が所定温度以下のとき、前記選択手段が、当該ドットに対して、前記格納手段から前記温度が所定温度よりも高いときの駆動波形信号よりも少ない数のインク滴を吐出する駆動波形信号を選択して前記アクチュエータに出力するという技術的手段を用いる。
【0010】
請求項4に記載の発明では、請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記判断手段は、前記当該ドットの前後に印字するドットの有無を判断するものに代えて前記当該ドットの前に印字するドットの有無のみを判断するものであって、その判断手段による当該ドットの前に印字するドットの有無の判断にもとづいて、前記選択手段は、前記駆動波形信号を選択するという技術的手段を用いる。
【0011】
請求項5に記載の発明では、請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記判断手段は、前記当該ドットの前後に印字するドットの有無を判断するものに代えて前記当該ドットの後に印字するドットの有無のみを判断するものであって、その判断手段による当該ドットの後に印字するドットの有無の判断にもとづいて、前記選択手段は、前記駆動波形信号を選択するという技術的手段を用いる。
【0012】
請求項6に記載の発明では、請求項1または3に記載のインクジェット記録装置において、前記格納手段は、1ドットについて3つのインク滴を吐出する駆動波形信号と、1ドットについて1つのインク滴を吐出する駆動波形信号とを格納するという技術的手段を用いる。
【0013】
請求項7に記載の発明では、請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記制御回路は、印字する画像がバーコードであるかどうかを判別し、バーコードであるとき、上記制御を行うという技術的手段を用いる。
なお、上記「バーコード」とは、線状または帯状の黒色領域を白色領域を挟んで所定間隔置きに配置してなるバーコードおよび黒色領域および白色領域をマトリクス状に配置してなる2次元コードを含む意味である。
【発明の効果】
【0014】
(請求項1に記載の発明の効果)
印字すべき当該ドットの前後に印字するドットがある場合は、当該ドットに対して、複数のインク滴を吐出する駆動波形信号をアクチュエータに出力し、当該ドットの前または後に印字するドットがない場合は、上記駆動波形信号よりも少ない数のインク滴を吐出する駆動波形信号をアクチュエータに出力することができる。つまり、印字すべき画像の縁においては、吐出するインク滴の数を少なくすることにより、1ドットの印字に用いるインク滴の体積を少なくすることができるため、1つのインク滴自身の体積を少なくするものよりも、画像の縁に印字されるドットの形状、大きさおよび濃度などを正確に制御することができる。
また、吐出するインク滴の数に対応した専用の駆動波形信号によってアクチュエータを駆動することができるため、印字されるドットの形状、大きさ及び濃度などを正確に制御することができる。
【0015】
例えば、インク滴吐出後におけるインク流路内の残留圧力変動の状態が、連続して吐出するインク滴の数によって異なることを考慮して駆動波形信号を各インク滴の数毎に作成し、それらを上記格納手段に格納しておく。そして、格納手段から選択した駆動波形信号をアクチュエータへ出力する。これにより、連続して吐出するインク滴の数に応じた最適な吐出エネルギーをインクに与えることができるため、画像の縁に印字されるドットの形状、大きさおよび濃度などを正確に制御することができる。
また、インク流路の流路抵抗など、インクジェットヘッドの特性に個体差が存在する場合であっても、その個体差に対応した駆動波形信号を作成することができるため、個体差によるインク吐出特性のばらつきを吸収することができる。
以上のように、請求項1に係る発明によれば、画像周縁のドットの拡がりを抑え、印字品質を高めることができるインクジェット記録装置を実現することができる。
【0016】
(請求項2に記載の発明の効果)
本願発明者の実験によれば、環境温度が低く、インクの粘度が低下した状態で主走査方向にドットを印字した場合、印字されたドットを形成するインクは、副走査方向よりはむしろ主走査方向に多く滲み出る傾向のあることが分かった。
これは、インクの温度が低下するとインクの粘度が上昇するため、複数のインク滴によって1ドットを印字する場合、各インク滴の着弾位置がずれてしまい、ドットが主走査方向に拡がることが原因の1つであると考えられる。
しかし、請求項2に記載の発明では、画像の縁のドットを印字するときにインクジェット記録装置が置かれている環境温度が所定温度以下のときは、1ドットの印字に対して吐出するインク滴の数を少なくすることができるため、ドットの主走査方向への拡がりをなくすことができるので、画像の縁における印字品質を高めることができる。
【0017】
(請求項3に記載の発明の効果)
印字すべき当該ドットの前または後に印字するドットがない場合でも、環境温度が所定温度よりも高いときは、複数のインク滴を吐出して当該ドットを印字し、環境温度が所定温度以下のときは、環境温度が所定温度よりも高いときのインク滴よりも少ない数のインク滴を吐出して当該ドットを印字することができるため、当該ドットを印字するためのインク量を少なくし、当該ドットを形成するインクが主走査方向に滲み出る量を少なくすることができる。
また、1ドットの印字について吐出するインク滴の数を異にする駆動波形信号を複数種類格納する格納手段を備え、その格納手段から上記各駆動波形信号を選択してアクチュエータに出力することができる。
【0018】
つまり、環境温度の相違により、1ドットに対して吐出するインク滴の数が異なる専用の駆動波形信号を環境温度の各範囲毎に格納手段に格納しておき、印字を行うときの環境温度に対応した駆動波形信号を格納手段から選択してアクチュエータへ出力することができるため、環境温度に対応してドットの形状、大きさおよび濃度などを正確に制御することができる。
また、インク流路の流路抵抗など、インクジェットヘッドに個体差が存在する場合であっても、その個体差に対応した駆動波形信号を作成することができるため、個体差によるインク吐出特性のばらつきを吸収することができる。
【0019】
(請求項4または5に記載の発明の効果)
請求項1から3のいずれかに記載の記載のインクジェット記録装置の発明の効果は、印字すべき当該ドットの前または後のみに印字するドットがない場合、あるいは温度が所定温度以下で印字すべき当該ドットの前または後のみに印字するドットがない場合において、吐出するインク滴の数を少なくすることにより、画像の主走査方向の前または後縁のドットの拡がりを抑え、印字品質を高めるようにしてもよい。
【0020】
(請求項6に記載の発明の効果)
本願発明者が行った実験によれば、画像の縁から主走査方向に印字するときに画像の縁に印字する1ドットについては1つのインク滴で印字し、それ以外のドットについては1ドットについて3つのインク滴で印字することにより、画像の縁における主走査方向への滲み量を少なくできることが分かった。
そこで、請求項6に記載の発明のように、1ドットについて3つのインク滴を吐出する駆動波形信号と、1ドットについて1つのインク滴を吐出する駆動波形信号とを格納手段に格納しておき、画像の縁を印字するときは、1ドットについて1つのインク滴を吐出する駆動波形信号を格納手段から選択し、画像の縁以外の領域を印字するときは、1ドットについて3つのインク滴を吐出する駆動波形信号を選択することにより、画像の縁において主走査方向への滲み量が少ない高品質の印字を行うことができる。
【0021】
(請求項7に記載の発明の効果)
制御回路は、印字する画像がバーコードであるかどうかを判別し、バーコードであるとき、上記制御を行い、誤読のないバーコードを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態について図を参照して説明する。
[インクジェット記録装置の主要構成]
最初に、インクジェット記録装置の主要構成について図1を参照して説明する。図1はインクジェット記録装置の主要構成を示す平面説明図である。
インクジェット記録装置1の内部には、相対向する2本のガイド軸6,7が設けられており、そのガイド軸6,7には、キャリッジを兼用するヘッドホルダ9が取付けられている。ヘッドホルダ9には、印刷用紙Pへインクを吐出して印刷を行う印字ヘッドすなわちインクジェットヘッド30が保持されている。インクジェットヘッド30は、ノズルが設けられたヘッド本体と、各ノズルに連通するインク流路にインク吐出のためのエネルギーを与えるアクチュエータとを備える。この実施形態では、アクチュエータとして圧電素子を用いた圧電アクチュエータを用いており、インク流路の壁面の一部を構成するように配設されている。
【0023】
ヘッド本体には、ブラックインク滴を吐出する複数のノズルが配列されたブラックインクノズル列、イエローインク滴を吐出する複数のノズルが配列されたイエローインクノズル列、シアンインク滴を吐出する複数のノズルが配列されたシアンインクノズル列およびマゼンタインク滴を吐出する複数のノズルが配列されたマゼンタインクノズル列が配列されている。各ノズルの開口部は、インクジェット記録装置内に給紙された印刷用紙Pの印刷面に所定の間隙を介して対向している。
【0024】
ヘッドホルダ9は、キャリッジモータ10により回転する無端ベルト11に取付けられており、キャリッジモータ10の駆動により、ガイド軸6,7に沿って主走査方向に往復移動する。
また、インクジェット記録装置1には、イエローインクが収容されたインクタンク5aと、マゼンタインクが収容されたインクタンク5bと、シアンインクが収容されたインクタンク5cと、ブラックインクが収容されたインクタンク5dとが備えられている。各インクタンク5a〜5dは、それぞれ可撓性のチューブ14a、14b、14c、14d、チューブジョイント20を介してインクジェットヘッド30と接続されている。各インクタンクに収容されたインクは、それぞれインクジェットヘッド30内の対応するインク流路へ供給される。
【0025】
さらに、ヘッドホルダ9の移動方向の左端には、フラッシングのときにノズルから吐出された不良インクを吸収する吸収部材4が設けられている。ヘッドホルダ9の移動方向の右端には、パージングのときにインクジェットヘッド30内部の不良インクをノズルから吸引するパージ装置2が設けられており、そのパージ装置2の左方には、ノズル面に付着したインクを払拭するワイパ3が設けられている。
【0026】
[制御系の主要構成]
次に、インクジェット記録装置1の制御系の主要構成について、それをブロックで示す図2を参照して説明する。
インクジェット記録装置1は、CPU57およびゲートアレイ60を備える。CPU57は、駆動回路80への印字動作指令、後述する印字制御、フラッシング、パージングなどのメンテナンス指令の出力などの印字に必要な主な制御を実行する。ゲートアレイ60は、ホストコンピュータ71から送信された印字データをインターフェース(I/F)41を介して受信し、印字データを展開し、イメージメモリ51に格納する制御を行う。CPU57およびゲートアレイ60には、アドレスバスおよびデータバスを介してROM43およびRAM44が接続されている。
【0027】
ROM43には、駆動回路80が圧電アクチュエータ32を駆動するための駆動信号の元になる駆動波形信号が格納された格納領域43aが備えられている。この実施形態では、格納領域43aには、1ドットの印字につき1滴のインク滴を吐出するための駆動波形信号Bと、1ドットの印字につき3滴のインク滴を連続して吐出するための駆動波形信号Aとが格納されている。
また、格納領域43a以外の格納領域には、CPU57が後述する印字制御を実行するためのコンピュータプログラムなどが格納されている。RAM44は、ゲートアレイ60がホストコンピュータ71から受信した各種データ、CPU57の処理結果などを一時的に記憶する。
【0028】
また、CPU57には、印刷用紙Pが装填されているか否かを検出する媒体センサ58、インクジェットヘッド30がホームポジションにあることを検出する原点センサ46、このインクジェット記録装置1が置かれている環境温度を計測する温度センサ59、キャリッジモータ10を駆動するためのモータドライバ48、紙送りモータ(LFモータ)50を駆動するためのモータドライバ49、各種の信号をCPU57に与える操作パネル56などが接続されている。
【0029】
ゲートアレイ60には、ホストコンピュータ71から受信した印字データをイメージデータとして一時的に記憶するイメージメモリ51が接続されている。
また、ゲートアレイ60には、バーコードの印字か否かを判別する判別手段61と、主走査方向に連続して印字するドットのうち当該ドットの前後に印字するドットの有無を判断する判断手段62と、データ生成手段63とが備えられている。データ生成手段63は、判断手段62の判断結果に基づいて駆動波形信号Aによって印字を実行させるための印字データおよび駆動波形信号Bによって印字を実行させるための印字データを生成する。
【0030】
駆動波形信号Aは、図4に示すように、1ドット分の印字データに対して3つのインク滴を吐出して1ドットを印字するための駆動波形信号であり、駆動波形信号Bは、1ドット分の印字データに対して1つのインク滴を吐出して1ドットを印字するための駆動波形信号である。この実施形態では、駆動波形信号Aを選択する印字データは、「01」の2ビットで、駆動波形信号Bを選択する印字データは、「10」の2ビットでそれぞれ構成されている。また、「00」は非印字(ドットなし)を示すデータ(以下、非印字データという)である。
【0031】
(駆動回路の主要構成)
次に、駆動回路80の主要構成について、それをブロックで示す図3を参照して説明する。なお、この実施形態では、インクジェットヘッド30は、ch0〜ch63の計64チャンネルである。
駆動回路80は、シリアル・パラレル変換回路81と、ラッチ回路82と、各チャンネル毎に配置されたセレクタ83と、各チャンネル毎に配置されたドライバ84とを備えている。シリアル・パラレル変換回路81は、64ビット長のシフトレジスタから構成されており、ゲートアレイ60(図2)から転送クロック53と同期してシリアル転送されてくる印字データ52を入力し、転送クロックの立ち上がりに従って、印字データを各パラレルデータに変換することにより、印字データのシリアル・パラレル変換を行う。つまり、データ生成手段63によって生成された印字データ52が2ビットの選択信号sel-0,sel-1として各チャンネル毎に設定される。
【0032】
ラッチ回路82は、ゲートアレイ60から転送されてくるラッチ信号54の立ち上がりに従って、シリアル・パラレル変換回路81から出力される各パラレルデータをそれぞれラッチする。各チャンネル毎に設けられた64個のセレクタ83は、それぞれ、ラッチ回路82から出力される各パラレル印字データに基づき、ゲートアレイ60から転送されてくる複数種類の駆動波形信号Aまたは駆動波形信号Bを選択し出力する。
【0033】
ROM43の格納領域43aに格納されている駆動波形信号A,Bは、ゲートアレイ60からセレクタ83に常に一定の周期で繰り返し出力されており、これ自身が噴射タイミング信号でもある。セレクタ83への印字データsel-0,sel-1の入力に応じていずれかの駆動波形信号が選択される。この実施形態では、各印字データsel-0,sel-1が、0,0では非印字(ドットなし)を、0,1では駆動波形信号Aを、1,0では駆動波形信号Bをそれぞれ選択する。このように、各印字データを2ビットで構成することで、駆動波形信号Aまたは駆動波形信号Bをノズル単位で選択することができる。
64個のドライバ84は、それぞれセレクタ83から出力された駆動波形信号を、インクジェットヘッド30に適した電圧の駆動波形信号とし、インクジェットヘッド30の各圧電アクチュエータに接続された電極へ出力する。
【0034】
(駆動波形信号の構成)
次に、駆動波形信号A,Bの構成について、それを示す図4を参照して説明する。
駆動波形信号Aは、1ドット分の印字データに対して3つのインク滴を吐出させるための3つの印字パルスA1〜A3と、インク滴吐出後のインク流路内に発生する残留圧力変動を打ち消すための3つのキャンセルパルスC1〜C3とから構成される。駆動波形信号Bは、1ドット分の印字データに対して1つのインク滴を吐出させるための1つの印字パルスB1から構成される。
【0035】
駆動波形信号Aの第1印字パルスA1のON(印加)時間はtp1であり、第1印字パルスA1がOFFになってからtw2時間経過後に、第1印字パルスA1の印加によりインク流路内に発生した残留圧力変動を打ち消すための第1キャンセルパルスC1がtp2時間印加される。第1キャンセルパルスC1がOFFになってからtw3時間経過後に第2印字パルスA2がtp3時間印加され、第2印字パルスA2がOFFになってからtw4時間経過後に、第2印字パルスA2の印加によりインク流路内に発生した残留圧力変動を打ち消すための第2キャンセルパルスC2がtp4時間印加される。第2キャンセルパルスC2がOFFになってからtw5時間経過後に第3印字パルスA3がtp5時間印加され、第3印字パルスA3がOFFになってからtw6時間経過後に、第3印字パルスA3の印加によりインク流路内に発生した残留圧力変動を打ち消すための第3キャンセルパルスC3がtp6時間印加される。印字パルスA1を印加する前のtw1時間は、印字タイミング間の待機時間である。駆動波形信号Bの印字パルスB1のON(印加)時間はtp7である。
【0036】
例えば、駆動波形信号Aのtw1=3.067(単位は、*0.133μs、以下同じ)、tp1=6.533、tw2=9.067、tp2=8.533、tw3=24.000、tp3=6.533、tw4=9.067、tp4=8.533、tw5=24.000、tp5=6.533、tw6=9.067、tp6=8.533であり、駆動波形信号Bのtp7=3.067である。
【0037】
[印字制御の流れ]
次に、図2に示した制御系による印字制御の流れを図5および図7を参照して説明する。図5は印字制御の流れを示すフローチャートである。図7(A)は2次元コードの一部を模式的に示す説明図であり、図7(B)は2次元コードの端部に印字されたドットを模式的に示す説明図である。
【0038】
印字開始が指示されると、判別手段61は、その印字がバーコード印字か、他の画像データの印字か否かを判断する(ステップ(以下Sと略す)S1)。この印字モードの判別は、インターフェース41を介して受信したデータに含まれる指示信号、あるいは操作パネル56からの指示信号にもとづいて行われる。あるいは、他の画像データの印字でも、バーコード印字と同様に画像周辺でのドット制御が行われる場合は、この判別は不要である。他の画像データの印字を行う場合(S1:No)、公知のものと同様の他の印字処理を行って(S10)終了する。ここでは、本発明と関係がないので説明を省略する。
【0039】
バーコード印字を行う場合(S1:Yes)、ゲートアレイ60(図2)は、ホストコンピュータ71から送信され、イメージメモリ51に格納されている印字データを読出し(S2)、ドットを印字すべき印字データ、つまり当該ドットがあるか否かを判定する(S3)。ここで、当該ドットがあると判定した場合は(S3:Yes)、判断手段62は、インクジェットヘッド30の主走査方向及び副走査方向において今回の印字周期の前後の周期で印字した、あるいは印字すべきドット(つまり、現在のドットに対して上下左右に印字すべきドット)があるか否かを判断する(S4)。ここで、上下左右のいずれかのドットがないと判断した場合は(S4:No)、データ生成手段63は、駆動波形信号Bの選択を指令する印字データ「10」を生成する(S7)。また、上下左右にドットがあると判断した場合は(S4:Yes)、駆動波形信号Aの選択を指令する印字データ「01」を生成し(S5)、S3において、当該ドットがないと判断した場合は(S3:No)、非印字を指令するデータ「00」を生成する(S8)。
【0040】
これらの生成されたデータは、シリアル・パラレル変換回路81へ出力され、各インク流路毎に選択信号sel-0,sel-1が設定され、各セレクタ83は、それぞれ、ラッチ回路82から出力される各パラレル印字データに基づき、ゲートアレイ60から転送されてくる駆動波形信号A、Bあるいは非印字を選択し、それをドライバ84へ出力する。そして、インク流路は、選択された駆動波形信号によるインク滴を1つまたは3つ吐出する。
つまり、主走査方向の印字のみに限定して説明すると、インクジェットヘッド30が走査方向における2次元コードの前端部と後端部を印字するときは、駆動波形信号Bを選択し、図7(B)にD1で示すように、インク滴1つだけで1ドットを印字する。また、2次元コードの端部から、またその両端よりも内側を印字するときは、打ち始めに印字した1ドットを除き、2ドット目以降は、駆動波形信号Aを選択し、図7(B)にD2で示すように、インク滴3つで1ドットを印字する。
但し、ここで説明する実施形態では副走査方向の端部についても同様にドットの打ち分けをするものとしている。
【0041】
[実験]
次に、本願発明者が行った実験について図8および図9を参照して説明する。図8は実験結果を示す図表であり、図9は図8の実験結果をグラフ化したものである。
本願発明者は、環境温度の変化による2次元コードのPrint Growthの変化を駆動波形信号の種類を変えて測定した。2次元コードは、図7(A)に示すように、例えば6ドット×6ドットで形成される正方形の黒色セルGおよび白色セルWをマトリクス状に配置して構成されている。ここで、Print Growthとは、2次元コードを印字した場合の黒色セルGの端部の成長の大きさ(滲みの大きさ)のことであり、図7(A)において黒色セルG1個の幅をE、高さをHとし、黒色セルGの主走査方向の端部から主走査方向(X方向)へ成長した(滲み出た)インクの幅をFとした場合のF/EをX方向に対するPrint Growthとして求めた。また、黒色セルGの副走査方向の端部から副走査方向(Y方向)へ成長した(滲み出た)インクの高さをJとした場合のJ/HをY方向に対するPrint Growthとして求めた。つまり、Print Growthの値が小さいほど、黒色セルGの端部におけるインクの滲みが少ない。
【0042】
図8の駆動波形信号における「P28」とは、総てのドットを28plの体積のインク滴で同一の波形で印字したことを示す。「P28FR」は、印字すべき当該ドットの前に印字すべきドットがなく、当該ドットの後に印字すべきドットがある場合は、波形を切り替えて28plの体積のインク滴1つだけで1ドットを印字し、それ以外は、28plの体積のインク滴を連続で3つ吐出して1ドットを印字することを示す。
「P28NR」は、印字すべき当該ドットの前に印字すべきドットがあり、当該ドットの後に印字すべきドットがない場合は、波形を切り替えて28plの体積のインク滴1つだけで1ドットを印字し、それ以外は、28plの体積のインク滴を連続で3つ吐出して1ドットを印字することを示す。
【0043】
「PGX」は、X方向(主走査方向)のPrint Growthを示し、「PGY」は、Y方向(副走査方向)のPrint Growthを示す。
例えば、「P28−PGX」は、28plの体積のインク滴を連続で3つ吐出して1ドットを印字する方法で黒色セルGの全領域を印字した場合のX方向のPrint Growthを示す。また、「P28FR−PGX」及び「P28NR−PGX」はそれぞれ、黒色セルGのX方向の前端および後端のいずれか1ドットだけ、28plの体積のインク滴1つだけで印字し、それ以外の領域は、28plの体積のインク滴を連続で3つ吐出して1ドットを印字する方法で印字した場合のX方向のPrint Growthを示す。また、環境温度は10,15,20,25,30,35,38゜Cに変化させた。
【0044】
その結果、駆動波形信号P28を用いて黒色セルGを印字した場合、X方向のPrint Growthは環境温度が25゜Cのときに最大の0.145であり、環境温度が35゜Cおよび38゜Cのときにそれぞれ最小の0.136であった。また、Y方向のPrint Growthは環境温度が10゜Cのときに最大の0.1248であり、環境温度が38゜Cのときにそれぞれ最小の0.1005であった。
また、駆動波形信号P28FRを用いて黒色セルGを印字した場合、X方向のPrint Growthは環境温度が10゜Cのときに最大の0.115であり、環境温度が35゜Cのときに最小の0.093であった。また、Y方向のPrint Growthは環境温度が10゜Cのときに最大の0.1150であり、環境温度が38゜Cのときに0.099であった。
【0045】
つまり、黒色セルGを印字する場合に打ち始めの1ドットだけをインク滴1つで印字し、それ以降はインク滴3つで1ドットを印字すれば、1ドットにつき3つのインク滴で印字する方法により黒色セルGの全領域を印字する場合よりも、X方向およびY方向におけるPrint Growthを小さくできることが分かった。具体的には、X方向のPrint Growthを0.115以下に、Y方向のPrint Growthを0.1150以下にそれぞれ抑制できることが分かった。
【0046】
また、駆動波形信号P28NRを用いて黒色セルGを印字した場合、X方向のPrint Growthは環境温度が10゜Cのときに最大の0.095であり、環境温度が38゜Cのときに最小の0.076であった。また、Y方向のPrint Growthは環境温度が10゜Cのときに最大の0.1146であり、環境温度が38゜Cのときに最小の0.1003であった。
つまり、黒色セルGを印字する場合に打ち終わりの1ドットだけをインク滴1つで印字し、それ以前はインク滴3つで1ドットを印字すれば、1ドットにつき3つのインク滴で印字する方法により黒色セルGの全領域を印字する場合よりも、X方向におけるPrint Growthを小さくできることが分かった。具体的には、X方向のPrint Growthを0.095以下に、Y方向のPrint Growthを0.1146以下にそれぞれ抑制できることが分かった。
図8の実験結果に基づいて、黒色セルの左右や上下の両端の各1ドットを1つのインク滴で印字する制御を行った場合のPrint Growthを算出し、図9及び図10のグラフに「両端調整」として示した。具体的には、(「P28FR−PGX」+「P28NR−PGX」−「P29−PGX」)で算出された値を両端調整されたときのX方向のPrint Growthとし、(「P28FR−PGY」+「P28NR−PGY」−「P29−PGY」)で算出された値を両端調整されたときのY方向のPrint Growthとしている。この結果から、X方向のPrint Growthを0.069以下に、Y方向のPrint Growthを0.1131以下にそれぞれ抑制できることが見込まれる。
したがって、黒色セルの端縁の各1ドットを1つのインク滴で印字すると、特に主走査方向においてより高い精度で黒色セルの大きさを制御することができる。但し、実験結果からも分かるように片側のみでも充分な効果が出ているので、主走査方向若しくは副走査方向において黒色セルの前端のみ、あるいは後端のみを上記のように1つのインク滴で印字するようにしてもよい。
【0047】
[実施形態の効果](1)以上のように、上記実施形態のインクジェット記録装置1を使用すれば、2次元コードの黒色セルGを印字する場合に、印字すべき当該ドットの前または後若しくは上または下に印字するドットがない場合、つまり黒色セルGを主走査方向に印字する場合に前端と後端及び上端と下端のドットを印字するときは、1ドットの印字につき1つのインク滴を吐出する駆動波形信号Bを圧電アクチュエータ32に出力し、当該ドットの上下左右に印字するドットがある場合、つまり両端(正確には端縁)よりも内側のドットを印字するときは、1ドットの印字につき3つのインク滴を吐出する駆動波形信号Aを圧電アクチュエータ32に出力することができる。
つまり、黒色セルの縁においては、インク滴の数を少なくしているため、1つのインク滴自身の体積を少なくするものよりも、打ち始めに対応する黒色セルGの縁に印字されるドットの形状、大きさおよび濃度などを正確に制御し、ドットの拡がりを抑えることができる。
【0048】
(2)また、駆動波形信号Aおよび駆動波形信号BをROM43の格納領域43aに格納しており、それら格納されている各駆動波形信号から選択して、黒色セルGの縁においては駆動波形信号Bを使用し、それ以外のドットを印字するときは駆動波形信号Aを使用することができる。つまり、吐出するインク滴の数に対応した専用の駆動波形信号によって圧電アクチュエータ32を駆動することができるため、印字されるドットの形状、大きさ及び濃度などを正確に制御することができる。
【0049】
(3)さらに、インク流路の流路抵抗など、インクジェットヘッド30に個体差によるインク吐出特性のばらつきが存在する場合であっても、その個体差に対応した駆動波形信号を格納領域43aに格納することができるため、個体差によるインク吐出特性のばらつきを吸収することができる。(4)さらに、判別手段61は、今回の印字がバーコードの印字か否かを判別し、バーコードの印字であると判別したとき、駆動波形信号Aまたは駆動波形信号Bを選択して印字を行い、誤読のないバーコードを印字することができる。
以上のように、上記実施形態のインクジェット記録装置1を使用すれば、バーコードのバー周縁の印字品質を高めることができる。
【0050】
<第2実施形態>
次に、この発明の第2実施形態について図6を参照して説明する。
この実施形態のインクジェット記録装置は、環境温度によるインク粘度の変化を考慮した高品質の印字を行うことができることを特徴とする。図6は、インクジェット記録装置が実行する印字制御の流れを示すフローチャートである。なお、印字制御の流れの一部以外は前述の第1実施形態のインクジェット記録装置と同じ構成および機能であるため、同じ部分については説明を省略または簡略化し、同じ構成および機能については同じ符号を使用する。
【0051】
本願発明者の実験によれば、図8で説明したとおり、環境温度が低く、インクの粘度が上昇した状態で主走査方向にドットを印字した場合、印字されたドットを形成するインクは多く滲み出る傾向のあることが分かった。
これは、インクの温度が低下するとインクの粘度が上昇するため、複数のインク滴によって1ドットを印字する場合、各インク滴の着弾位置がずれてしまい、ドットが主走査方向に拡がることが原因の1つであると考えられる。
そこで、本願発明者は、環境温度に応じて駆動波形信号を使い分けることにより、環境温度が変化しても黒色セルGの周縁の印字品質が低下しない構成を開発した。
つまり、印字すべき当該ドットの前に印字するドットがない場合は、環境温度が基準温度を超えているか基準温度以下であるかを判定し、基準温度を超えている場合は3つのインク滴で当該ドットを印字し、基準温度以下の場合は1つのインク滴で当該ドットを印字する。
【0052】
温度センサ59(図2)は、環境温度に対応した信号をCPU57へ出力し、CPU57は、温度センサ59から取込んだ信号に基づいて環境温度を計算し、その計算した環境温度をRAM44に格納する。
そして、判断手段62は、今回の印字周期の前または後及び上または下のいずれかの周期で印字したドットがないと判断した場合は(S4:No)、RAM44に格納されている環境温度を参照し、予め設定されている基準温度(例えば、21.3゜C)よりも高いか低いかを判定する(S6)。ここで、環境温度が基準温度よりも高いと判定した場合は(S6:高)、データ生成手段63は、駆動波形信号Aを選択する印字データを生成する(S5)。また、環境温度が基準温度よりも低いと判定した場合は(S6:低)、データ生成手段63は、駆動波形信号Bを選択する印字データを生成する(S7)。
つまり、黒色セルGの端部であっても、環境温度が基準温度よりも高い場合は、駆動波形信号Aによって3つのインク滴を吐出してドットを印字し、基準温度よりも低い場合は、駆動波形信号Bによって1つのインク滴を吐出してドットを印字する。
【0053】
[第2実施形態の効果](1)以上のように、第2実施形態のインクジェット記録装置を使用すれば、黒色セルGの主走査方向の端部を印字する場合に環境温度が基準温度以下のときは、駆動波形信号Bによって1つのインク滴を吐出することにより、黒色セルGの端部におけるインクの主走査方向への滲み量を小さくすることができる。
また、インクの主走査方向への滲み量が問題とならない程度にインクの粘度が低くなく、環境温度が低くない場合にインク滴1つだけで黒色セルGの端部を印字すると、逆にインク量が不足し、端部の印字品質が低下するおそれがあるが、環境温度が基準温度を超えているときは、3つのインク滴を吐出して黒色セルGの端部を印字することができるため、黒色セルGの端部の印字品質を高めることができる。
【0054】
(2)また、上記第2実施形態のインクジェット記録装置は、図6に示した印字制御の一部以外は、前述の第1実施形態のインクジェット記録装置1と同じ構成および機能を備えるため、第1実施形態の効果(2)ないし(4)を奏することができる。
【0055】
<他の実施形態>(1)駆動波形信号Aにより1ドットあたりに吐出されるインク滴の数は、2つまたは4つ以上でもよい。また、駆動波形信号Bにより1ドットあたりに吐出されるインク滴の数は、駆動波形信号Aによるインク滴の数よりも少なければよく、2つまたは3つ以上でもよい。
【0056】
(2)2次元コード以外のバーコードの印字、あるいはバーコード以外の画像の印字についても本願発明を適用することができる。(3)この発明は、圧電素子などの電気機械変換素子を利用した圧電アクチュエータの他、電気熱変換素子を利用したアクチュエータを駆動源とするインクジェット記録装置にも適用することができる。また、インクジェットヘッド上にインクカートリッジを備えたタイプのインクジェット記録装置、あるいは、スキャナー機能またはコピー機能を備えたインクジェット記録装置にも適用することができる。
【0057】
[各請求項と実施形態との対応関係]
圧電アクチュエータ32が請求項1のアクチュエータに、インクジェットヘッド30が印字ヘッドにそれぞれ対応する。CPU57、イメージメモリ51、ROM43、RAM44、ゲートアレイ60および駆動回路80が請求項1の制御回路に、印刷用紙Pが被印字媒体に、格納領域43aが格納手段にそれぞれ対応する。S4が請求項1の判断手段として、S5およびS7が選択手段としてそれぞれ機能する。温度センサ59が請求項2の温度検出手段に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の主要構成を示す平面説明図である。
【図2】インクジェット記録装置1の制御系の主要構成をブロックで示す説明図である。
【図3】駆動回路80の主要構成をブロックで示す説明図である。
【図4】駆動波形信号A,Bの構成を示す説明図である。
【図5】印字制御の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態における印字制御の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7(A)は2次元コードの一部を模式的に示す説明図であり、図7(B)は2次元コードの端部に印字されたドットを模式的に示す説明図である。
【図8】実験結果を示す図表である。
【図9】図8のX方向の実験結果をグラフ化したものである。
【図10】図8のY方向の実験結果をグラフ化したものである。
【符号の説明】
【0059】
1 インクジェット記録装置
30 インクジェットヘッド(印字ヘッド)
32 圧電アクチュエータ(アクチュエータ)
43a 格納領域(格納手段)
59 温度センサ(温度検出手段)
60 ゲートアレイ(制御回路)
P 印刷用紙(被印字媒体)




 

 


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