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発明の名称 待機時間設定方法、画像形成方法および画像形成装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−21945(P2007−21945A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−208814(P2005−208814)
出願日 平成17年7月19日(2005.7.19)
代理人 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一
発明者 古市 智美 / 兼松 大五郎 / 長村 充俊 / 尾形 隆雄 / 鈴木 一生
要約 課題
様々な条件に応じて記録媒体へのインク定着時間が影響を受ける状況においても、両面記録における適切な待機時間を検出および設定する。

解決手段
複数のテストパッチを、タイミングをずらしながら記録し機内に再給紙する。このとき機内の搬送手段(ピンチローラ)には未定着のインクが付着し、再度記録媒体の白紙領域に転写する。複数のテストパッチが異なるタイミングで記録されていることから、転写の有無や位置を確認することでインクの定着に要する時間が確認できる。次回、画像出力を行うときは、確認された定着時間に基づいた時間だけ待機し、その後記録媒体は搬送される。
特許請求の範囲
【請求項1】
画像を形成するのに付与された記録剤が記録媒体に定着するまでの時間を待機時間として設定するための待機時間設定方法であって、
記録媒体を所定の方向に搬送しながら前記記録媒体に対し記録剤を付与することによって所定のテストパターンを形成する工程と、
該テストパターン形成工程後の前記記録媒体を、前記所定の方向とは反対の方向に搬送する逆方向搬送工程と、
該逆方向搬送工程において、前記テストパターンを記録した記録剤によって生じる、前記記録媒体上の所定の痕跡の有無の位置情報を取得する工程と、
前記位置情報に基づいて待機時間を設定する工程と
を有することを特徴とする待機時間設定方法。
【請求項2】
前記テストパターン形成工程では、前記テストパターンとして、複数のテストパッチを互いに異なるタイミングで前記記録媒体の異なる箇所に記録し、
前記逆搬送工程では、前記複数のテストパッチのうち未定着なテストパッチの記録剤が所定の部材に付与された後、更に前記記録媒体の白紙領域に転写することにより前記所定の痕跡が形成されることを特徴とする請求項1に記載の待機時間設定方法。
【請求項3】
前記記録剤は少なくとも顔料を色材とする顔料インクと染料を色材とする染料インクを含む複数種類のインクから構成され、前記テストパターン形成工程では前記複数のテストパッチを前記顔料インクによって記録することを特徴とする請求項2に記載の待機時間設定方法。
【請求項4】
前記テストパターン形成工程では、前記複数のテストパッチとともに、前記所定の部材に付着した記録剤を除去するためのクリーニングパッチを前記染料インクによって記録することを特徴とする請求項3に記載の待機時間設定方法。
【請求項5】
前記位置情報取得工程は、前記所定の痕跡の有無を確認したユーザの入力によって前記位置情報を取得することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の待機時間設定方法。
【請求項6】
前記位置情報取得工程は、前記所定の痕跡の有無を検出した検出手段の出力によって前記位置情報を取得することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の待機時間設定方法。
【請求項7】
前記待機時間は、前記記録媒体の種類に応じて設定可能であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の待機時間設定方法。
【請求項8】
記録媒体を所定の方向に搬送しながら画像データに基づいて前記記録媒体に記録剤を付与することによって画像を形成する工程と、
該画像形成工程後に、請求項1乃至7のいずれかの待機時間設定方法によって設定された待機時間だけ前記記録媒体を保持する待機工程と、
該待機工程の後に、前記画像形成が行われる領域から前記記録媒体全体が離脱するように前記記録媒体を搬送する工程と
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項9】
前記搬送工程では、前記記録媒体は前記所定の方向とは逆の方向に搬送され、
前記搬送工程後に前記記録媒体の表裏面を反転する工程と、
該反転工程後の前記記録媒体を前記所定の方向に搬送しながら画像データに基づいて前記記録媒体に記録剤を付与することによって画像を形成する工程と
を更に有することを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項10】
記録媒体を所定の方向に搬送しながら画像データに基づいて前記記録媒体に記録剤を付与することによって画像を形成する手段と、
該画像形成手段によって画像が形成された前記記録媒体を、請求項1乃至7のいずれかの待機時間設定方法によって設定された待機時間だけ保持する待機手段と、
該待機手段による保持の後に、前記画像形成が行われる領域から前記記録媒体全体が離脱するように前記記録媒体を搬送する手段と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記搬送手段は、前記記録媒体を前記所定の方向とは逆の方向に搬送するものであり、
前記記録媒体の裏面に画像を形成するために、前記搬送手段による搬送後の前記記録媒体の表裏面を反転する手段を更に具備することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着速度の遅いインク(記録剤)を用いながらも、好適な待機時間を設けることによって、機内や記録媒体の非記録面への汚染を抑制しつつ、極力高速に画像を出力するための記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置の記録方式としては様々なものが知られているが、インクを滴として吐出する記録ヘッドを用いたインクジェット方式が近年特に有用されている。
【0003】
図1は、シリアル型のインクジェット記録装置の概略構成を説明するための斜視図である。図において、4は記録ヘッドであり、複数色のインクを吐出することができる。
【0004】
記録開始前、ホームポジションにある記録ヘッド4は、記録開始命令を受けると、矢印C方向(主走査方向)に移動しながら、記録媒体Sに記録ヘッド4の吐出口の配列範囲に対応した幅で記録を行う。この1走査分の記録が終了すると、搬送ローラ1が回転することにより、記録媒体Sを矢印A方向に所定量搬送する。その後、記録ヘッド4は再び矢印C方向への記録を行う。以上説明したような1回分の記録走査と所定量の搬送動作とを繰り返すことにより、記録媒体Sに所望の画像が形成される。記録中の記録媒体は、搬送ローラ1とこれに従動するピンチローラ2、および排出ローラ12とこれに連動する拍車13のような2組のローラ対によって、挟持され、張架されながら、搬送されている。1ページ分の画像形成が終了すると、記録媒体は排出ローラ12によって、装置外へと排出される。
【0005】
ところで、近年では記録装置の用途も多様化し、記録媒体の両面に画像を形成する、いわゆる両面記録への需要も増大しつつある。そして、そのような記録装置も既に数多く提供されている。両面記録を実現するインクジェット記録装置では、記録媒体の片面への記録が終了した後、当該記録媒体を排出せずに装置内に再給紙することが多い。そして、装置内に配備された反転手段によって記録媒体の表裏を反転した後、もう片面に対する記録を実行するために、再び記録ヘッドの記録領域へとこれを搬送する。
【0006】
例えば図1の構成であれば、記録された直後の記録面がピンチローラ2に接触しながら反転手段16へと給紙されていくことになる。しかし、この際、記録面におけるインクの定着が不十分であると、未定着のインクがピンチローラ2に転写し、更に反転後の記録媒体に転写・汚染してしまう恐れが生じる。よって、両面記録を実行するインクジェット記録装置では、片面の記録が終了後、搬送ローラ1およびピンチローラ2からなるローラ対と、排出ローラ12および拍車13からなるローラ対によって、記録媒体を保持しながら待機し、定着が完了したとみなされる程度の時間が経過した後に、当該記録媒体を再給紙する方法が採用されている(例えば特許文献1参照。)。
【0007】
インクを乾燥させるための待機時間は、自動で設定される場合もあるが、ユーザがホスト装置内のプリンタドライバもしくは記録装置の本体上で設定する場合もある。後者の場合、ユーザは乾燥のための時間を、例えば「なし(=0秒待ち)」「標準(=5秒待ち)」「長い(=10秒待ち)」「もっと長い(=20秒待ち)」といった数段階分にわたって用意された設定値の中から選出したり、あるいは自ら乾燥時間を秒単位で入力したりしている。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6149327号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のような設定方法は、必ずしも最適な待機時間が設定されるものではなかった。記録媒体への定着時間は、記録する環境の温度や湿度、記録する画像、記録媒体の種類などによって大きく影響を受ける。
【0010】
特に近年では、黒文字の品位とカラーの写真画像品位とを両立させるために、浸透性や拡散性などの点で異なる性質を有するブラックインクとカラーインクを搭載するインクジェット記録装置も数多く提供されている。例えば、ブラックインクは色材として顔料を用い、カラーインクは染料を用いるような記録装置も提供されている。このような場合、扱う色材の違いからブラックインクとカラーインクの溶剤も異なり、定着性などの性質も異なってくる。また、同じ性質のインクであっても、記録する記録媒体の種類によって定着性は左右されることが知られている。更に実際に記録を実行する環境の温度や湿度によっても、定着のために必要な時間は影響を受ける。
【0011】
このように定着時間が様々に変動する状況においても、従来のインクジェット記録システムでは、予め定められた何段階かの待機時間の中から、自動で、あるいはユーザの判断に応じて選択的に設定されるものであった。よって、定着時間が不十分でピンチローラのような機内の部材や非記録面を汚染してしまったり、必要以上に定着時間を長く設定してしまい出力時間を多大なものにしてしまったりと、数々の弊害が免れ得なかった。
【0012】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、様々な条件に応じて記録媒体へのインク定着時間が影響を受ける状況においても、適切な待機時間を検出および設定することによって、必要以上に出力時間を長引かせることもなく汚染もない状態で両面記録を可能とするような、待機時間設定方法、画像形成方法および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのために本発明においては、画像を形成するのに付与された記録剤が記録媒体に定着するまでの時間を待機時間として設定するための待機時間設定方法であって、記録媒体を所定の方向に搬送しながら前記記録媒体に対し記録剤を付与することによって所定のテストパターンを形成する工程と、該テストパターン形成工程後の前記記録媒体を、前記所定の方向とは反対の方向に搬送する逆方向搬送工程と、該逆方向搬送工程において、前記テストパターンを記録した記録剤によって生じる、前記記録媒体上の所定の痕跡の有無の位置情報を取得する工程と、前記位置情報に基づいて待機時間を設定する工程とを有することを特徴とする。
【0014】
また、記録媒体を所定の方向に搬送しながら画像データに基づいて前記記録媒体に記録剤を付与することによって画像を形成する工程と、該画像形成工程後に、前記待機時間設定方法によって設定された待機時間だけ前記記録媒体を保持する待機工程と、該待機工程の後に、前記画像形成が行われる領域から前記記録媒体全体が離脱するように前記記録媒体を搬送する工程とを有することを特徴とする。
【0015】
更に、記録媒体を所定の方向に搬送しながら画像データに基づいて前記記録媒体に記録剤を付与することによって画像を形成する手段と、該画像形成手段によって画像が形成された前記記録媒体を、前記待機時間設定方法によって設定された待機時間だけ保持する待機手段と、該待機手段による保持の後に、前記画像形成が行われる領域から前記記録媒体全体が離脱するように前記記録媒体を搬送する手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、インクの定着に要する時間を正確に設定するための「待機時間設定モード」を備えることにより、必要以上の待機時間によって出力時間を長引かせることもなく、機内や記録媒体の非記録部分を汚染することもなく、良好な状態で両面記録を実行することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、背景技術の項でも説明したが、本発明に適用可能なインクジェット記録装置の概略構成を説明するための斜視図である。ここで改めて、詳細に説明する。
【0019】
不図示の給紙手段によって給紙された記録媒体Sは、搬送ローラ1とこれに従動するピンチローラ2との間に挟まれ、搬送ローラ1の回転により、プラテン3上に案内されながら図中矢印A方向に搬送される。プラテン3上には記録媒体押さえ14が設けられており、記録媒体Sの側端部が浮き上がることを規制している。プラテン3は記録媒体Sを裏面側から支持し、記録ヘッド4のインク吐出面とこれに対向する記録媒体Sの表面とは、所定の距離に維持されている。
【0020】
図2は、本実施形態に適用可能なプラテン3の一例を説明するための拡大図である。図において、プラテン3には矢印A方向に延在する複数のプラテンリブ3aが所定の間隔で配備されている。また、32は記録媒体ガイドであり、搬送方向においてより上流側の非記録領域で、且つプラテンリブ3aの間に位置する様に配備されている。記録媒体Sは、その裏面を複数のプラテンリブ3aの頂部によって、表面を記録媒体ガイド32によって規制されながら、紙浮きが抑制された状態で搬送される。なお、記録媒体ガイド32としては、可撓性の部材が好適に採用される。プラテン3上に搬送された記録媒体Sは、その後、回転する排出ローラ12とこれに従動する拍車13との間に挟まれ、搬送が継続される。
【0021】
再び図1に戻る。排出ローラ12の周速の比(すなわち理想上の搬送速度の比)は、搬送ローラ1のそれよりも若干増速されている。また、排出ローラ12と拍車13との間の挟持力は、搬送ローラ1とピンチローラ2との間の挟持力に対して、約5%〜10%程度に設定されている。以上より、記録媒体Sは、排出ローラ12に対して相対的に滑るように且つ弛みのない状態で図中矢印A方向に搬送される。
【0022】
7は、記録ヘッド4を着脱可能に搭載可能なキャリッジである。キャリッジ7は、キャリッジモータ(不図示)の駆動力により、ガイドレール5および6に沿った往復移動が可能となっている。記録ヘッド4は、キャリッジ7の移動走査に伴ってインクを吐出し、記録媒体Sに画像を形成する。キャリッジ7の移動方向(C方向)は記録媒体搬送方向(A方向)と交差する方向であり、主走査方向と呼ばれる。これに対し、記録媒体搬送方向は副走査方向と呼ばれている。
【0023】
記録ヘッド4はインクジェット方式の記録ヘッドであるが、インクを吐出するための方法はいかなるものであっても良い。例えば、個々の記録素子の中に熱エネルギを発生する手段(例えば発熱抵抗素子)を備え、その熱エネルギによりインクの状態変化(膜沸騰)を生起させるものであってもよい。また、個々の記録素子の中に例えばピエゾ素子のような、振動エネルギを発生させる構成を備えたものであっても良い。
【0024】
記録ヘッド4にはそれぞれ異なる色のインクを吐出するための複数の記録素子列が設けられている。本実施形態の場合、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4種類のインクを採用しており、ブラックインクには色材として顔料、シアン、マゼンタ、イエローインクには染料が用いられている。また、ブラックインクは文字品位を重視するために、浸透速度の遅い(定着の遅い)溶剤を適用しており、カラーインクに関しては、カラー間のブリードを避けるために浸透速度の速い(即乾性の)溶剤を用いている。
【0025】
8は、記録ヘッド4から吐出されるインクに対応して4色分用意されたインクタンクである。インクタンク8は、タンク装着ユニット9に対し4色が独立に着脱および交換が可能な構成になっている。タンク装着ユニット9と記録ヘッド4とは、それぞれのインクに対応した複数の液体供給チューブ10によって接続されている。インクタンク8をタンク装着ユニット9に装着することで、インクタンク8内に収納されたインクを、当該インクに対応する記録ヘッド4の記録素子列に供給することが可能となっている。
【0026】
記録ヘッド4の往復移動範囲内で、かつ、記録媒体Sに対する記録領域外には、回復ユニット11が記録ヘッド4のインク吐出面と対向するように配置されている。回復ユニット11は、記録ヘッド4のインク吐出面をキャッピングするためのキャップ部、インク吐出口面をキャッピングした状態で記録ヘッド4から強制的にインクを吸引するための吸引機構、インク吐出面の汚れを払拭するためのクリーニングブレード等を有している。
【0027】
記録ヘッド4によるC方向への記録主走査と、記録媒体Sに対する所定量の搬送動作を間欠的に繰り返すことにより、記録媒体には順次画像が形成されていく。両面記録でない場合、あるいは両面記録であっても両面ともの記録が完了した場合、対象ページの記録動作が完了すると、記録媒体Sは排出ローラ12の回転により装置外へ排出される。両面記録の場合、片面の記録が完了すると、所定時間待機した後、記録媒体は反転手段16へと再給紙される。
【0028】
図3(a)および(b)は、反転手段16の構成を説明するための本実施形態で適用する記録装置の断面図である。図3(a)において、片面への記録が完了すると、記録媒体Sは図のような状態、すなわち搬送ローラ1およびピンチローラ2によるローラ対、排出ローラ12および拍車13によるローラ対、によって挟持された状態で所定時間待機する。本実施形態において、この乾燥のための所定時間は、事前に行われた待機時間設定モードによって予め設定されている。待機時間設定モードについては、後に詳しく説明する。
【0029】
所定時間待機した後の画像においては、定着が完了したとみなされ、もう片面の記録を実行するために、記録媒体Sは反転手段16へと搬入される。この際、記録媒体Sは搬送ローラ1およびピンチローラ2の間を矢印B方向へ進む。図1にも示したが、ピンチローラ2は主走査方向に複数個用意されており、それぞれに対応して配備されたピンチローラホルダ15によって回動自由に保持されている。反転手段16に搬入される際、記録媒体Sの記録面はピンチローラ2に接触するが、適切な待機時間によってインクは完全に定着しているので、この動作によってピンチローラ2が汚染されることはない。
【0030】
20は、反転手段16の入り口近傍に配備されたフラップである。フラップ20は軸21を中心に回転可能であるが、通常は自重によって図の様に傾斜部22に押し付けられている。よって、反転手段16に搬入されて来た記録媒体Sは、フラップ22に案内されながら図中矢印D方向に搬送される。
【0031】
図3(b)は、反転された記録媒体Sが、再び記録部に搬入されていく状態を示した断面図である。反転ローラ17は、記録媒体Sを周囲に巻きつけた状態で回転することにより、その表裏面を反転させる役割を果たす。記録媒体Sは、反転ローラ17と、その従動ローラである第一の反転コロ18および第2の反転コロ19との間にニップされた状態で、D方向、E方向およびF方向へと回転し、再度搬送ローラ1とピンチローラ2によるローラ対の間に送出される。本実施形態において、反転コロ18および反転コロ19は、記録媒体Sのサイズに応じて幅方向に複数配置されている。反転ローラ17はゴムローラであり、反転コロ18および19はモールドコロである。反転コロ18および19は、不図示の圧縮ばねにより反転ローラ17に圧接されている。
【0032】
記録媒体Sが反転手段16から排出されるとき、フラップ22は記録媒体Sの先端部の剛性により押し下げられている。再度記録部へと搬送された記録媒体Sにおいて、その上面、すなわち記録ヘッド4に対向する面は前回記録された面(第1面)とは逆の面(第2面)となっている。
【0033】
記録媒体Sの第2面の記録動作が開始された状態でも、記録媒体Sの中央部以降は反転ローラ17に巻きついた状態となっている。本実施形態において、反転ローラ17の周速は、搬送ローラ1の周速より若干大きく設定されていることが望ましい。また、反転ローラ17と第2の反転コロ19の挟持力は、搬送ローラ1とピンチローラ2の挟持力の約20%程度に設定されていることが好ましい。以上のような設定構成であれば、搬送ローラ1およびピンチローラ2によるローラ対と、反転ローラ17および第2の反転コロ19によるローラ対の、双方によってニップされている状態の記録媒体Sは、反転ローラ17に対して滑るような状態で搬送される。すなわち、反転手段16による搬送ローラ1に対する負荷は抑制され、搬送ローラの搬送精度を悪化させる恐れも少ない。
【0034】
図4は、本発明に適用可能なインクジェット記録装置の制御の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態のインクジェット記録装置240は、外部に接続されたホスト装置200より画像データを受信する。イメージコントローラ210は、ホスト装置200から入力された画像データを解析・展開し、各色について最終的に2値の画像データを生成する。また、装置本体に直接入力されたコマンドに従って、プリントエンジン220に制御コマンドなどを通知する。プリントエンジン220は、イメージコントローラ210から受信した制御コマンドや画像データを基に実際の記録動作を制御する。
【0035】
イメージコントローラ210とプリントエンジン220とは専用のインタフェイスで接続されている。イメージコントローラ210からプリントエンジン220へ制御コマンドを通知するコマンド送信、プリントエンジン220からイメージコントローラ210へ装置の状態変化を通知するステータス送信、さらにイメージコントローラ210からプリントエンジン220へ画像データを転送する通信が、このインタフェイスを介して行われる。
【0036】
プリントエンジン220は、ROM227に記録されたプログラムに従って、MPU(Micro Processor Unit)221により制御される。この際、RAM228はMPU221の作業領域や一時的なデータ保存領域として利用される。MPU221は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)222を介することによって、キャリッジ駆動系223、搬送駆動系224、回復駆動系225、およびヘッド駆動系226の制御を行う。また、MPU221はASIC222を介することによって、プリントバッファ229への読み書きを行うことが出来る。プリントバッファ229は、記録ヘッドへ転送出来る形式に変換された画像データを一時的に保管する役割を果たしている。更に、MPU221は、装置内部に設けられた各種センサ230からの検出情報を取得し、この情報を利用して各種機構を制御することが出来る。
イメージコントローラ210がホスト装置200からの画像データを受信することにより、記録動作が開始される。イメージコントローラ210は、受信したデータを解析し、記録モード、マージン情報等の記録に必要な情報を生成する。さらに画像データを解析・展開して各色について2値信号となるように画像データを変換する。記録モード、マージン情報等プリントエンジン220での記録動作に必要な情報は、プリントエンジン220に通知される。
【0037】
プリントエンジン220では、通知された情報をMPU221で処理し、RAM228に一時的に保存する。この情報は、その後も必要に応じて参照され、処理の切り分けに利用される。
【0038】
必要な情報の通知が終了すると、イメージコントローラ210は、画像データから変換した各色2値の画像データを、プリントエンジン220へ転送開始する。プリントエンジン220は、受け取った画像データをプリントバッファ229に保存する。イメージコントローラ210から、画像の転送が繰り返されることにより、プリントエンジン220では、プリントバッファ229に記録ヘッドへの転送データが蓄積されていく。
【0039】
プリントバッファ229に蓄積されたデータが、1回分の記録走査が可能な量に達すると、MPU221はASIC222を介して、搬送駆動系224により記録媒体の給紙および搬送を行い、キャリッジ駆動系223によりキャリッジ11を移動させる。また、回復駆動系225により回復系を駆動して記録動作前に必要な回復動作を実施する。さらにASIC222に対して、画像の出力位置等の設定を行い、キャリッジ11を駆動して、記録動作を開始する。キャリッジ1が移動して、ASIC222に設定した記録開始位置に到達すると、吐出タイミングに合わせて画像データが順次プリントバッファ229から読み出される。読み出された2値データが最終的な記録データとなり、記録ヘッドに転送される。記録ヘッドは、ヘッド駆動系226の制御によって、転送されたデータに従ったインクの吐出を実行する。
【0040】
上述した構成のインクジェット記録装置を用いて、以下に本発明の特徴となる待機時間設定モードについて説明する。
【0041】
図5は、本実施形態の待機時間設定モードにおいて、MPU221およびユーザが実行する処理の工程を説明するためのフローチャートである。図において、待機時間設定モードが開始されると、まずステップS1において記録媒体の給紙が行われる。ここで給紙される記録媒体は、ユーザが所望の画像を出力しようとしている記録媒体と同じ種類の記録媒体であることが好ましく、ユーザは予めこの記録媒体を給紙トレイなどに設置しておく。
【0042】
続くステップS2〜ステップS6において、待機時間を設定するためのテストパターンを記録する。
【0043】
図6は本実施形態で適用する待機時間設定モードにおけるテストパターンの一例である。ステップS2において、MPU221は、記録ヘッド4がSCAN1に示す位置に配置するように記録媒体Sを矢印A方向に搬送する。そして、記録ヘッド4によって所定のパターン24および26を記録する。ここで、パターン24はカラーインク(シアン、マゼンタおよびイエロー)のうちの少なくとも1つによって形成された枠状のパターンである。枠の内部は白紙のままになっている。また、枠の脇には、その枠を示す番号(SCAN1では“3”)が付与されている。一方、パターン26はブラックインクの100%ベタによって記録された棒状のパターンである。当該パターンは、記録媒体Sが再給紙された際に、ピンチローラ2の1つ(2a)に接触する位置と幅になっている。SCAN1による記録が完了後、ステップS3へ進み、そのままの状態で10秒待機する。
【0044】
次に、ステップ4へ進み、SCAN2による記録を実行する。SCAN2では、図6のSCAN2に示す位置に記録ヘッド4が配置するように記録媒体Sを搬送し、その後、SCAN1と同様に所定のパターン24および26を記録する。但し、パターン24に付与する番号は、ここでは“2”となっている。また、ここでのパターンは、記録媒体Sが再給紙された際に、ピンチローラ2の別の1つ(2b)に接触する位置と幅になっている。SCAN2による記録が完了後、ステップS5へ進み、そのままの状態で5秒待機する。
【0045】
続くステップ6では、SCAN3による記録を実行する。SCAN3では、図6のSCAN3に示す位置に記録ヘッド4が配置する様に記録媒体Sを更に搬送し、その後、SCAN1および2と同様に所定のパターン24および26を記録する。但し、パターン24に付与する番号は、ここでは“1”となっている。また、ここでのパターンは、記録媒体Sが再給紙された際に、ピンチローラ2の更に別の1つ(2c)に接触する位置と幅になっている。SCAN3による記録が完了後、特に待機すること無しにステップS7へ進む。
【0046】
ステップS7では、記録媒体8を反転手段16へと再給紙する。このとき、パターン24は速乾性のカラーインクで記録されているから既に定着しているが、パターン26は定着が確認されないままピンチローラに接触することになる。よって、例えば直前に記録されたSCAN3のパターン26が未定着であった場合、左側に設置されたピンチローラ2cにブラックインクが付着され、連続して給紙される1番の枠内にそのインクが転写される。
【0047】
SCAN1やSCAN2で記録されたパターン26については、SCAN3よりも先行して記録されている。よって、ステップS7で再給紙した時点では、既に定着している可能性はSCAN3のパターンよりも高い。これらのパターンの定着状態に応じて、それぞれの枠内には、インクが転写されたり転写されなかったりする。
【0048】
図7(a)および(b)は、各SCANの実行タイミングや待機時間を1つの時間軸に沿って説明するための図である。図7(a)において、時間は矢印下方に進んでいるとする。本実施形態の場合、SCAN1で記録されたパターンは、記録直後から10秒および5秒の待機が行われた後に再給紙されている。結果として、同図(b)を参照するに15秒の待機時間の後に再給紙されたことになる。また、SCAN2で記録されたパターンは、記録直後から5秒の待機時間が設けられた後に再給紙され、SCAN3は、待機時間なしに再給紙されたことになる。
【0049】
再び図5に戻る。ステップS7で再給紙され、全枠内への転写動作が完了すると、ステップS8に進み、記録媒体を排出する。
【0050】
ユーザは、排出された記録媒体を確認し、転写によって汚染されていない枠のうち、最も数字の小さい番号を選択する。例えば、図6に示したパターンのうち、1のみに転写が確認され2および3に転写が確認されなかった場合、ユーザは2を選択し、この情報を記録装置に入力する。
【0051】
ステップS9の入力情報により、MPU221は定着のための待機時間として5秒が適当であると判断し、この値を記録装置内のメモリに格納する(ステップS10)。以上で、本処理が終了する。
【0052】
次にユーザが所望の画像を両面記録する際には、ステップS9で設定された値が乾燥のための待機時間として設定され、第1面を記録した後の記録媒体は、搬送ローラ1およびピンチローラ2によるローラ対と、排出ローラ12および拍車13によるローラ対とによって挟持された状態で5秒待機した後に、反転ローラに再給紙される。
【0053】
以上説明した様に本実施形態によれば、実際の記録物を記録する前に、「待機時間設定モード」によって、適切な待機時間を設定することにより、実際の記録物を汚染することもなく、また必要以上に待機時間を多くとりすぎることもない。特に多数枚の記録物を出力しようとする場合などには、1枚ごとに要される待機時間は少しでも短いほうが好ましい。このような状況において、本実施形態の効果は大きく発揮される。
【0054】
なお、以上では、ステップS9においてユーザが待機時間情報を記録装置に直接入力する形態で説明したが、本実施形態はこのような構成に限定されるものではない。通常の記録コマンドやメンテナンスコマンドと同様に、外部に接続されたホスト装置200にインストールされたプリンタドライバによって設定しても無論構わない。
【0055】
更に、本実施形態では、図7に示した動作タイミングに基づき、図6に示した3段階のパターンを記録する例で説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。記録装置に備えられたピンチローラの数やその大きさに応じて、パターンの数を更に多く用意したり、2枚以上の記録媒体にテストパターンを記録するようにしたりして、更に細かく刻んだ待機時間によって定着を確認できる構成であっても良い。この際、実際には、通常の待機時間に加えてキャリッジの走査方向を反転させるための時間や、記録媒体を搬送するための時間、また再給紙動作が開始されてから実際に各パターンがピンチローラに到達するまでの時間など、様々な時間が一連の動作内には含まれている。但し、このような細かい時間に比べて、1秒単位の待機時間は充分に長いとみなせることから、本実施形態においては上記のような個々の動作にかかる時間を考慮に含まずに説明を行っている。無論、これらも考え合わせた上で、より正確な待機時間を設定する構成であっても構わない。
【0056】
更にまた、上記実施形態では、簡単のため、1つのパターンを1回の記録走査で記録する1パス記録方法で説明したが、本発明はこのような方法に限定されるものではない。実際、フルカラーの画像を高品位に記録しようとするインクジェット記録装置においては、記録媒体の同一画像領域に対して、複数回の記録走査を実行することにより画像を形成する、いわゆるマルチパス記録方法を採用することが多くなっている。このようなマルチパス記録方法を採用する場合であっても、本発明は有効である。図6で示したようなパターンを実際の記録時と同じマルチパス数で記録することにより、上述した実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0057】
このように、マルチパス数によって、あるいは適用する記録媒体の種類によって、適切な待機時間やこれを調整するためのレンジは、互いに異なっていることが充分予想される。よって、記録装置においては、記録モード(マルチパス数)や記録媒体の種類に応じて、待機時間が独立に設定できるような、複数の待機時間設定モードや待機時間を記憶しておくためのメモリが用意されていることが好ましい。
【0058】
なお、図6では、ピンチローラ2に付着したインクは用意された枠内に転写させる内容で説明したが、実際にピンチローラに付着したインクは、用意された枠内のみで完全に除去されるとは限らない。多少とは言え、付着したままのインクはその後の記録において不意に転写される恐れもある。よって、上記「待機時間設定モード」中あるいは完了した直後に、付着したインクは出来るだけ完全な状態で除去されていることが好ましい。
【0059】
図8は、付着したインクの転写を促すためのパターンを同時に記録したテストパターン例である。ここでは、各SCANにおける枠24や棒状パターン26に先立って、クリーニングパターン27が複数記録されている。
【0060】
本実施形態の場合、ピンチローラ2に付着するインクは、ブラックの顔料インクであり、この顔料インクは本実施形態で適用するカラーインクの溶剤と融合しやすい成分を有しているものとする。よって、ピンチローラ2が、枠24内に付着したインクを転写した後に、カラーインクを充分に含んだ記録媒体に接触するように、クリーニングパッチ27を配備することにより、テストパターン排紙後に、積極的にピンチローラのクリーニングを実行することが出来る。この場合、クリーニングパッチ27には通常の記録時よりも多量のインクが付与されていることが好ましい。また、棒状パターン26によってブラックインクが付着したピンチローラ2の部分のみをクリーニングすればよいことから、本例では当該部分が接触する箇所の記録媒体にのみクリーニングパターン27を記録している。
【0061】
(他の実施形態)
上記実施形態では、ユーザが枠内の汚れを目視で検出し、汚れていない枠内の最小値を入力するという工程を用意することで説明したが、このようにユーザの判断を仰ぐ構成では、誤入力を招く恐れもある。このような状況を懸念する場合には、記録装置内部に枠内の転写の有無を認識するためのセンサを具え、当該センサの出力値によって待機時間を自動的に設定する構成としてもよい。このような構成であれば、ユーザの手を煩わせることなく、最適な待機時間を設定することが出来る。この場合、図5で説明したフローチャートにおいて、ステップS9が、センサによる検出工程に変更される。
【0062】
また、上記実施形態では、シリアル型のインクジェット記録装置を例に説明を加えてきたが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。複数の記録素子が記録媒体の幅に相当する分だけ配置され、この配置方向と交差する方向に記録媒体を一定速度で搬送させながら画像を形成するフルライン型のインクジェット記録装置であっても、本発明を好適に適用することは出来る。この場合、図6や図8に示したようなSCAN1〜SCAN3という記録走査はなく、これに相当する位置およびタイミングでフルライン型の記録ヘッドからインクが吐出される構成となる。
【0063】
以上説明したように、本発明によれば、インクジェット記録システムの両面記録時において、片面記録後であって再給紙前の待機時間を適切に設定するための「待機時間設定モード」を備えることにより、必要以上に待機時間によって出力時間を長引かせることもなく、機内や記録媒体の非記録部分を汚染することもなく、良好な状態で両面記録を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に適用可能なシリアル型のインクジェット記録装置の概略構成を説明するための斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に適用可能なプラテンの一例を説明するための拡大図である。
【図3】(a)および(b)は、反転手段の構成を説明するための断面図である。
【図4】本発明に適用可能なインクジェット記録装置の制御の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態の待機時間設定モードにおいて、MPUおよびユーザが実行する処理の工程を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態で適用する待機時間設定モードにおけるテストパターンの一例を示した図である。
【図7】(a)および(b)は、各SCANの実行タイミングや待機時間を1つの時間軸に沿って説明するための図である。
【図8】付着したインクの転写を促すためのパターンを同時に記録したテストパターン例を示した図である。
【符号の説明】
【0065】
S 記録媒体
1 搬送ローラ
2 ピンチローラ
3 プラテン
4 記録ヘッド
5、6 ガイドレール
7 キャリッジ
8 インクタンク
9 タンク装着ユニット
10 液体供給チューブ
11 回復ユニット
12 排出ローラ
13 拍車
14 記録媒体押さえ
15 ピンチローラホルダ
16 反転手段
17 反転ローラ
18 第1の反転コロ
19 第2の反転コロ
20 フラップ
21 軸
22 傾斜部
24 枠パターン
26 棒状パターン
27 クリーニングパターン
32 記録媒体ガイド
200 ホスト装置
210 イメージコントローラ
220 プリントエンジン
221 MPU
222 ASIC
223 キャリッジ駆動系
224 搬送駆動系
225 回復駆動系
226 ヘッド駆動系
227 ROM
228 RAM
229 プリントバッファ
230 各種センサ
240 記録装置本体




 

 


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