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発明の名称 インクジェット記録装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−21937(P2007−21937A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−208620(P2005−208620)
出願日 平成17年7月19日(2005.7.19)
代理人 【識別番号】100090538
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 恵三
発明者 福嶋 達弥
要約 課題
インクジェット記録装置のインク交換後の印字においては、インクの混色が発生してしまい、印字安定性を損ねたり、画質劣化を招く。

解決手段
インクの種類を変更する際に、インク種変更用擬似記録ヘッド、該供給チューブ内の洗浄を行う洗浄用インク収容するインクタンク、洗浄後の洗浄液を収容する収容インクタンクを用い、前記擬似記録ヘッドにはインクのメニスカス保持が出来ない径のノズルが設けられており、洗浄インクを擬似記録ヘッドを通してポンプで吸引後、ノズル部を大気開放することによって洗浄液をインクタンクに戻す。その時のオーバーフローでインクタンクユニットに設けられた大気開放室の洗浄を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】
インクを噴射して記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、インクを収容するインクタンクと、インクタンクに収容されているインクを該記録ヘッドに供給する供給チューブと、該供給チューブ内のインクを該インクタンクから該記録ヘッド方向へ移動させるためのポンプと、を備え、該記録ヘッドと、該供給チューブを共用して、異なった種類のインクを、排他的に使用するインクジェット記録装置において、インクの種類を変更する際に、インク種変更用擬似記録ヘッド、該供給チューブ内の洗浄を行う洗浄用インク収容するインクタンク、洗浄後の洗浄液を収容する収容インクタンクを用い、該供給チューブを洗浄した後にインク種変更を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記インク種変更用擬似記録ヘッドには、前記洗浄液のメニスカス保持が出来ない径の吸引孔を持つことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記収容インクタンク内には、インク供給部に連結したパイプ状剛体を持ち、前記収容インクタンクと連結する対向方向は気体透過性防水幕でふさがれていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドから被記録材に対しインクを吐出させて記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大判のインクジェット記録装置は、多種の用途に使用されている。たとえば、広告や、垂れ幕(バナー)のように主に文字主体の出力や、写真、グラフィックスなどの芸術作品としての出力、印刷の校正・確認用の出力などである。そしてそれぞれの用途において出力画像や記録媒体に求められる特性が異なっている。価格広告などの場合は、文字が鮮鋭に再現されることが重要視され、記録媒体としては安価なコート紙や普通紙が主に用いられる。写真・グラフィックスの場合は発色がよく、階調性が豊かな出力が求められ、さらに高耐候性であることが要求され、光沢紙やアート紙などが用いられる。印刷校正の場合は、正確な色再現性と色安定性が求められ、印刷に使用する用紙に合わせた専用の用紙が用いられることが多い。
【0003】
このように多種の用途に用いられる大判インクジェット記録装置では、インクの特性が重要になる。特にブラックインクは、コート紙、普通紙での文字の鮮鋭性と、光沢紙、アート紙での写真の暗部階調性の再現に重要な役割を持っているが、残念ながら現時点では、両者を両立するインクが得られていないのが現状である。そのため、用途に合わせて使用するブラックインクを交換する方法がとられている。
【0004】
価格広告などの場合は、非浸透系のブラックインクを用いるのがよいとされる。これはインクが記録媒体に浸透しにくく比較的表面付近で定着するため、コート紙や普通紙のような比較的にじみ易い記録媒体でも、鮮鋭性の高い印字が可能だからである。逆に写真・グラフィックス等の場合は、浸透系のブラックインクを用いるのがよいとされる。これはインクが記録媒体に浸透することで、他色のインクとの親和性が高まり、階調性が高い印出力が可能だからである。さらに、非浸透系のインクを光沢紙に印字すると光沢を損ねるという問題もある。
【0005】
以上のように、用途によってインクを入れ替えることで、インクジェット記録装置は広範囲な用途で使用可能になるが、インクを入れ替える作業は従来、インクジェット記録装置内のインク流路を別の物に交換する必要があった。また、インク供給経路が密閉構造をとるインクジェット記録装置において、インクタンクホルダに設けられ、インク供給経路内を加圧する加圧ポンプと、記録ヘッドを通してインク供給経路内を減圧する吸引ポンプを設けることで、インク交換を行う方法が知られている。
【0006】
又、別の従来例としては、特許文献1をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2004−90432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術においては、インク供給経路内のインクを完全に排出することは非常に困難であり、インク交換後の印字においては、インクの混色が発生してしまい、印字安定性を損ねたり、画質劣化を招いてしまう。また、インク供給経路全てを交換するような方法では、高価な供給ユニットをユーザが用意しなくてならないばかりか、交換に伴う装置の故障、インクの漏れによる周囲の汚染が発生しやすい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
インクを噴射して記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、インクを収容するインクタンクと、インクタンクに収容されているインクを該記録ヘッドに供給する供給チューブと、該供給チューブ内のインクを該インクタンクから該記録ヘッド方向へ移動させるためのポンプと、を備え、該記録ヘッドと、該供給チューブを共用して、異なった種類のインクを、排他的に使用するインクジェット記録装置において、インクの種類を変更する際に、インク種変更用擬似記録ヘッド、該供給チューブ内の洗浄を行う洗浄用インク収容するインクタンク、洗浄後の洗浄液を収容する収容インクタンク用い、該供給チューブを洗浄した後にインク種変更を行うインクジェット記録装置であって、前記インク種変更用擬似記録ヘッドには、前記洗浄液のメニスカス保持が出来ない径の吸引孔を持っており、さらに前記収容インクタンク内には、インク供給部に連結したパイプ状剛体を持ち、前記収容インクタンクと連結する対向方向は気体透過性防水幕でふさがれているインクジェット記録装置を用いることにより、インク交換に伴うインク混色を防止する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成を用いることにより、インク交換作業に伴う、インク流路内の洗浄を完璧に行え、印字安定性を維持することが可能となり、優れた記録画質を得ることが可能となる。また、インク供給経路の交換も発生しないため、これまでのような過大な負担をユーザに強いることなくインクの交換が可能となる。また、この構成は、装置の大小、インク種、インクタンクの容量に関わらず適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【0011】
本発明に係るインクジェット記録装置における、チューブを介して記録ヘッドにインクを供給するインク供給システムの第一の実施例について図1から図3を用いて説明する。
【0012】
図1にインク供給概略図、図2にインクジェット記録装置におけるインク供給の基本原理説明図、図3に装置全体の構成配置説明図を示す。
【0013】
まず最初に、本実施例で用いるインクについて説明する。
【0014】
本実施例に適するインクとしては、水に対して不溶性あるいは難溶性の色材を分散したインクジェット用インクを挙げることができる。色材とは、物体に色を付与する性質のある物質のことである。ここでは、分散染料、金属錯塩染料、顔料などが使用される。
【0015】
さらに、インクの水性媒体に前記色材を分散させる化合物としては、いわゆる分散剤、界面活性剤、樹脂等を用いることができる。分散剤または界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系等が挙げられる。樹脂分散剤としては、スチレン及び誘導体、ビニルナフタレン及びその誘導体、アクリル酸及びその誘導体等が挙げられ、これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であることが望ましい。
【0016】
また、顔料としては、ウルトラマリン、酸化チタニウム、テナール青など無機顔料のほか、ジアゾイエロー、ジスアゾオレンジ、パーマネントカーミンFB、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、チオインジゴバイオレットなど有機顔料がこれらの顔料に限定されるものではない。この顔料インクは耐光性、耐水性に優れているため、近年、顔料インク搭載のインクジェット記録装置は増加傾向にある。
【0017】
いずれの調整方法においても程度差はあるものの経時的にインク色材が凝集、沈降が発生する。特に、後者の顔料系インクは染料系インクに比べ沈降しやすい傾向にある。
【0018】
次に、インクの供給の一般的な基本原理について図2を用いて説明する。
【0019】
記録ヘッド1とメインタンク4とをチューブ6で連通させ流路をインクで満たし、メインタンク4の液面から記録ヘッド1の吐出1gはノズルの位置を高さHに配置し、記録ヘッド1内が高さHの水頭差分の負圧に保たれた状態とする。
【0020】
インクジェット記録方式において、記録ヘッドの吐出ノズル1gは微細な穴であり、ノズルに特に弁機構はなく、ノズル内部を負圧に保つことによりノズルにインクのメニスカスを張らせ、ノズルからのインクの漏れ、大気からの空気の進入をなくしている。インクの吐出はノズル近傍に配置した図示せぬヒータの膜沸騰エネルギーによりノズル内のインクを押し出すことにより行われ、吐出後ノズルの毛細管力により再びノズル内にインクを満たすサイクルが繰り返され、インクは随時メインタンク4から吸い上げられるものである。
【0021】
本実施例において説明する装置は、上記原理を基本として構成を追加したものである。
【0022】
本実施例において説明する装置全体の斜視図を図3に示す。
【0023】
本実施形態のインクジェット記録装置は、記録媒体Sの搬送方向A(副走査方向)と直行方向B(主走査方向)に往復移動されるキャリッジ2に記録ヘッド1を搭載し、キャリッジ2の移動に伴う記録ヘッド1の往復移動と、搬送ローラ3による記録媒体Sの所定ピッチごとの送りとを交互に繰り返しながら、記録ヘッド1の移動中に記録ヘッド1からインクを吐出して記録媒体に記録を行うシリアルタイプのインクジェット記録装置である。
【0024】
記録ヘッド1の記録紙に対向した面には主走査と略直交した方向に複数のノズル列を持ち、各ノズル列ごとに異なるインクを吐出する。記録ヘッド1の各色のノズル列に対して各々のインクを収容しているメインタンク4、インク供給ユニット5、インク供給チューブ6からなるインク供給経路によりインクを供給する。
【0025】
インク供給ユニット5に隣接し、主走査方向において通紙範囲外で、かつ記録ヘッド1のノズル面に対向する位置に配置された回復ユニット7は、記録ヘッド1の吐出ノズル1g表面から強制的にインク又は空気を吸い出し、ノズルのクリーニングや後述するインク充填を行う機構である。
【0026】
各部構成について図1に示すインク供給経路略図を用いて説明する。
【0027】
まず、記録ヘッド1内の構成を説明する。
【0028】
記録ヘッド1の内部におけるインクの通過経路は、インク供給チューブ6が気密接続する液体コネクタ挿入口1aからインクが供給され、インクを一定量蓄えるサブタンク1b、インク中の異物を防ぐフィルタ1c、ノズル部にインクを直接供給する液室1fを経て吐出ノズル1gへ供給される。また、サブタンク1b上面開口穴には圧力調整室1hが連通固定されており、挿入口1aと吐出ノズル1gの間は大気に対して気密な状態に保たれている。
【0029】
吐出ノズル1gは微細なノズルよりインクを噴射し画像を形成していく。ノズル穴径は20μm程度の筒状の構造を持ち、筒内部にCPUの指令により選択的に発熱するヒータを持ち、このヒータを加熱するとこれに接しているインクの溶存空気が膨張、発泡し、ノズル内のインクを押し出しことによりインクを吐出し、吐出後ノズルの毛細管力のよりノズル内にインクが満たされる構造である。通常このインク吐出のサイクルを20KHz以上の高速で繰り返し、微細で高速な画像形成を行っている。
【0030】
吐出ノズル1g内におけるインクの負圧は、大気圧程度であっても弱すぎると、ノズル先端に汚れやインク滴が付着した場合、吐出ノズル1g内のインクメニスカスが崩れインクが漏れ出してしまうことがある。逆に、負圧が強すぎると、吐出する力より吐出ノズル1g内のインクを引き戻す力が強くなり吐出不良となってしまう。よって、吐出ノズル1gにおける負圧は大気圧よりも若干低く一定の範囲に保つ必要がある。この負圧の範囲は、ノズルの形状、ヒータの性能等でノズルタイプ毎に異なるが、本実施例では実験の結果により−40mmAq(約0.004atm)〜−200mmAq(約0.020atm)(インクの比重≒水とする)の範囲としている。
【0031】
フィルタ1cは上記吐出ノズル1gを詰まらせるような異物を除去する目的のもので、ノズル径よりも小さい10μm以下のみ透過する金属メッシュで異物を捕集する。
【0032】
フィルタの面積はインクによる圧力損失を許容値以下とするように設定される。圧力損失はフィルタのメッシュが細かいほど、インクの流量が多いほど高くなる。逆にフィルタの面積に反比例する。近年の高速、多ノズル、小ドットプリンタにおいては圧力損失が高くなる傾向があり、フィルタサイズが10×20mm程度と大きくなっており、フィルタの上流のサブタンク、下流の液室の空間を必要としている。フィルタの上流においてフィルタがインクに浸かっている面積がインク透過におけるフィルタの有効面積となるため、サブタンクの底面にフィルタを水平に配置している。
【0033】
フィルタは、フィルタにインクが染みると各メッシュに微細なメニスカスが張り、インクは透過容易であるが、空気の流れは困難な性質を持つ。メッシュが細かい程そのメニスカス強度が増し更に空気を通しにくくなる。本実施例でのフィルタでは空気を透過させるのに必要な圧力は0.1atm程度(実験値)である。そのため、フィルタの下流に位置する液室に空気が存在すると、空気は空気自身の浮力程度ではサブタンクに上がることができず液室に留まる。
【0034】
吐出ノズル1gには空気やインク内の泡が入り込むと、ノズルにインクが補充されず吐出不良を起こすため、一定量以上のインクを蓄える液室の底に吐出ノズル1gを下向きに配置し、吐出ノズル1gが空気に露出しないように常にインクの中に浸っている状態にする配置としている。
【0035】
圧力調整室1hは負圧が高まるにつれてその容積を縮小する部屋であり、ゴム材等による弾性部材により構成される。
【0036】
全ノズルよりインクを吐出するなど高い割合でインクを吐出する(以降、高Dutyと表現する)と、サブタンク1b内の圧力はチューブやインク供給ユニット、メインタンクをインクが通過する際の圧力損失による抵抗を受け、吐出されるインクに対して供給されるインクが不足状態になり負圧上昇してしまう。吐出ノズル部1gの負圧が前述した限界値-200mmAq(約-0.02atm)を越すと吐出が不安定になる。
【0037】
キャリッジ2に記録ヘッド1を搭載し主走査方向Bに往復印字させるプリンタにおいては、高Duty印字をした後、キャリッジ2の反転を行うため、吐出せず休む状態が存在するため、印字中に圧力調整室1hは容積を縮小サブタンク1b内の負圧上昇を緩和し、反転時に復元するといったコンデンサのような役割をするものである。
【0038】
次に、インク供給ユニット5及びインクタンク4について説明する。
【0039】
インクタンク4はインク供給ユニット5に対して着脱可能な構成であり、剛性をもつケース4aの下部に2口のゴム栓4b、4cを持ち、インクタンク4単体においては密閉された容器である。インクタンク4内にはインク9を液体のまま収容する。
【0040】
インク供給ユニット5にインクタンク4を装着すると、インク供給ユニット5に配置された中空の供給針5a、大気導入針5bが前記ゴム栓4b、4cを貫通し、インクタンク4内と各針内の流路が連通可能なる。
【0041】
供給針5aは、流路5cを経て選択的に開閉可能な遮断弁10、流路5dを経てインク供給チューブ6、記録ヘッド1へと連通する。
【0042】
大気導入針5bは、流路5e、大気連通室5f、大気連通口5gを経て大気へ連通する。供給針5a、大気導入針5b共にインクの流動抵抗を抑えるために内径をφ1.6と大きめに設定している。
【0043】
弁10はゴム材質によるダイヤフラム10aの上下により流路の開閉が行われる。ダイヤフラム10aの中心部をバネホルダ10bを介して押圧するバネ10cによりダイヤフラム10aの下面が流路5dの開口を押さえると流路遮断状態となる。バネホルダ10bは後述する回復ユニット7からのリンク7bによりレバー10dの力点を押されるとダイヤフラム10aを伴い持ち上げられ、流路5cと流路5dが連通可能状態となる。弁は、記録ヘッドがインクを吐出している状態では開、待機及び休止中は閉、後述するインク充填時には回復ユニットとのタイミングを合わせて開閉を行う。
【0044】
上記構成は黒、シアン、マゼンタ、イエローそれそれの色のインクごとに構成され、流路及び針、弁、大気連通室はインク供給ユニット5内に一体に配置しているが、弁10のレバー10dは1つであり、レバー10d作用点に各色の弁10のバネホルダ10bを系合し、各弁同時に開閉をする。
【0045】
記録ヘッド1がインクを消費すると、その負圧によりインクは随時インクタンクから記録ヘッド1に対して送られる。その際、インクと同量の空気が大気導入口5gから大気連通針5bを経てインクタンク4に導入される。
【0046】
大気連通室5fはインクタンク内の空気の膨張により押し出されたインクを一時保存する目的の部屋である。本体が待機及び休止中に、周囲の環境温度が上昇しインクタンク4内の空気が膨張した場合は、インクタンク4のインク9は大気連通針5bから、流路5eを経て、大気連通室5fへと流出する。逆に、周囲温度が低下するとインクタンク4内の空気が収縮し、大気連通室5f内に流出していたインクがインクタンク4へと戻る。また、大気連通室5fにインクが入っている状態で印字を行うと、まず大気連通室5fのインクがインクタンク4へと戻っていき、大気連通室5fのインクがなくなると、通常通りインクタンク4に空気が導入される。大気連通室5fの容積が不十分であると、大気連通口からインクが漏れ出してしまう。よって、装置の使用環境温度の範囲で、最大のインクの流出量を考慮して大気連通室の容積を確保することで、インクの漏れを防止できる。
【0047】
本発明では、最高温度時にタンク内の空気がタンク容積と等しくなることが最大膨張であり、その空気が最低温度にて収縮した容積との差が、大気連通室の容積として必要な容積となる。
【0048】
また、誤って記録ヘッド1を取り付けずにインク9の入ったインクタンク4を装着し、弁10を開いてしまった場合、供給針5aよりインクタンク4内に空気が導入される。この場合、供給針5aの先端が大気圧となるため、大気連通口5gが低い位置にあるとインクは低い方へと流れ漏れだしてしまう。そのため、大気連通室5fから大気連通口5gへの流路の途中5kを、供給針5aの上部開口よりも高い位置に配置することで問題解決している。
【0049】
インク供給ユニット5の供給針5aと大気連通針5bにはインク9の電気抵抗を測定する検出回路5hが接続されインクの有無を検出する。インクタンク4にインク9が存在すると電気的クローズ、インクが無い、又はタンクが装着されていない状態では電気的オープンを検出し本体制御装置に報告する。検出電流は微少なため、供給針5aと大気連通針5b間の絶縁性が重要であり、本実施例では供給針5aから記録ヘッド1を結ぶ流路と、大気連通針5bから大気口5gを結ぶ流路を完全に独立させ、インクタンク4内のインクのみの電気抵抗が測定可能なように配慮している。
【0050】
また、インクタンク4を外した場合は、インクなしと同じく、2本の針間はオープンとなるため、インクなしと判断し、印字不可能状態であることを知ることができる。
【0051】
回復ユニット7は、吐出ノズル1gよりインクや空気の吸引と、弁10の開閉を行う。吸引キャップ7aはゴム材質により構成され、上昇させると記録ヘッド1のノズル面を覆い密閉し、下げると記録ヘッド1から待避した位置に移動可能であり、カム7bにより上下移動する。吸引キャップ7aには吸引ポンプ7cが接続され、ポンプモータ7dを駆動することにより吸引キャップ7a内から吸引を行う。吸引ポンプ7cは複数コロを有するチューブポンプ方式であり、連続吸引が可能で、モータを回転量に応じて吸引量を替えることができる。また、吸引能力は0.4atmまで減圧可能なものである。リンク7eはカム7fによりスライドし、弁10のレバー10dを動かし弁10の開閉を行う。
【0052】
カム7bとカム7fは同軸に配置され、カム制御モータ7gにより図中矢印方向に回転、図中a,b,cの各位置で、吸引キャップ7a、リンク7eに当接するよう制御される。aの位置は図に示すように、吸引キャップ7aが開、弁10も開の状態、bの位置では吸引キャップ7aが閉、弁10も閉の状態、cの位置では吸引キャップ7aが閉、弁10は開の状態となる。
【0053】
印字動作の際は、カム7b、7fをaの位置とし、吸引キャップ7a、弁10を開き、吐出、インク供給を可能とする。装置停止待機中は、カム7b、7fをbの位置とし、吸引キャップ7aは記録ヘッド1のノズル面を覆い、吐出ノズル1gの乾燥を防ぐともに、弁10を閉じ、装置移動時の傾けによるインクの流出を防止する。
【0054】
また、インク充填はこの回復ユニット7により行われる。
【0055】
インク充填動作は、まず記録ヘッド1が吸引キャップと対向する位置までキャリッジ2を主走査方向に移動し、回復ユニット7のカム制御モータ7gを駆動しカム7bとカム7fをbの位置まで回転させる。するとキャップ7aは記録ヘッド1のノズル面を覆い密閉した状態となり、弁10はインク流路を閉じた状態となる。この状態でポンプモータ7dを駆動し、吸引ポンプ7cによりキャップ7a内から吸引を行う。吸引により、吐出ノズル1gを通して、記録ヘッド1内に残留しているインクと空気を吸い出し、記録ヘッド1内を減圧する。所定の吸引量(所定の圧力に達する吸引量。計算や実験より求め値)時点で、吸引ポンプ7cを停止し、カム制御モータ7gを駆動しカム7bとカム7fをcの位置まで回転させ、弁10を開く。
【0056】
すると、減圧されている記録ヘッド1内にインクが流れ込み、インクがサブタンク1b、液室1fの各々に充填される。充填されるインク量は減圧されている各室の圧力がほぼ大気圧に戻る際に必要な体積であり、各室の体積と圧力により決定するものである。
【0057】
インク充填は弁10を開いてから約1秒程度で完了する。インク充填が完了すると、カム制御モータ7gを駆動しカム7bとカム7fをaの位置まで回転させ、吸引キャップ7aを開き、吸引ポンプ7cにて吸引キャップ内に残ったインクを排出する。弁10も開いた状態であるので、印字可能な状態となる。印字命令が無ければ、再びカム制御モータ7gを駆動しカム7bとカム7fをbの位置まで回転させ、待機状態となる。
【0058】
インク排出もこの回復ユニット7により行われる。
【0059】
インク排出動作は、まず記録ヘッド1が吸引キャップと対向する位置までキャリッジ2を主走査方向に移動し、回復ユニット7のカム制御モータ7gを駆動しカム7b、カム7fをcの位置まで回転させる。するとキャップ7aは記録ヘッド1のノズル面を覆い密閉した状態となり、弁10はインク流路を開けた状態となる。この状態でポンプモータ7dを駆動し、吸引ポンプ7cによりキャップ7a内から吸引を行う。吸引により、吐出ノズル1gを通して、記録ヘッド1内のインクと空気、チューブ6内のインクを吸い出す。所定の吸引量時点で、吸引ポンプ7cを停止し、カム制御モータ7gを駆動しカム7bとカム7fをaの位置まで回転させ、吸引キャップ7aを開き、吸引ポンプ7cにて吸引キャップ内に残ったインクを排出する。このときに大気連通室5f内に存在するインクは壁面や流路内に濡れて残るインクのみとなる。その後、ユーザにインクタンク4の排出動作を促し、インクタンク4の排出が確認された時点で再び回復ユニット7のカム制御モータ7gを駆動しカム7b、カム7fをcの位置まで回転させる。ポンプモータ7dを駆動し、吸引ポンプ7cによりキャップ7a内から吸引を行う。吸引により、吐出ノズル1gを通して、記録ヘッド1内のインクと空気、チューブ6内のインクを吸い出す。所定の吸引量時点で、吸引ポンプ7cを停止し、カム制御モータ7gを駆動しカム7bとカム7fをaの位置まで回転させ、吸引キャップ7aを開き、吸引ポンプ7cにて吸引キャップ内に残ったインクを排出する。これで、インク流路内のインクは濡れて壁面に付着するインクだけとなる。
【0060】
ヘッド交換動作について説明する。ヘッド交換動作は一旦印字可能な状態にカム制御モータ7gを駆動しカム7bとカム7fをaの位置まで回転させ、吸引キャップ7aを開き、弁10も開いた状態で記録ヘッド1を印字主走査の中央近傍まで移動させる。その後カム制御モータ7gを駆動しカム7fをbの位置にまで回転させ、弁10を閉じた状態にし、記録ヘッド1への通電を遮断する。この状態で記録ヘッド1を取り出せば、弁10を閉じていることから、インクがインクタンク4に大気圧で戻ることも無く記録ヘッド1の交換が可能である。
【0061】
次に図4に本発明の第1の実施形態のフローチャートを示す。以下は、ブラックインクAをブラックインクBに交換するとして説明する。
【0062】
S100でユーザーが本体のパネル、もしくは、PCのドライバー画面等から、インク交換の開始を選択したのち、Aインクタンクをユーザが記録装置本体より外す。その後、前述したインク排出動作を行う。続いてS110で記録装置本体は、図示しないインクタンクカバーを開け、洗浄用インクタンクを装着するようにパネル上に指示を表示する。ユーザーが洗浄用インクタンクを装着し、インクタンクカバーを閉じると、S120として記録装置は洗浄用インクタンクが装着されたことを確認した後、前述したインク充填動作を行う。
【0063】
S130で、ヘッド交換作業を行い、印字用記録ヘッド1を外し、図5に示すような洗浄用ダミーヘッド11を装着する。洗浄用ダミーヘッド11には吐出ノズル1gの替わりに、吐出ノズル11gよりも大きな径の吸引孔が設けられており、洗浄インクや記録用インクのメニスカス保持が出来ない径に設定されている。また洗浄インク吸引時に圧損となるフィルタ1c、圧力調整室1hももたない。
【0064】
S140で洗浄用ダミーヘッドの装着をインクジェット記録装置本体が電気的に認識すると、洗浄用ダミーヘッド11を吸引キャップと対向する位置までキャリッジ2を主走査方向に移動し、回復ユニット7のカム制御モータ7gを駆動しカム7bとカム7fをcの位置まで回転させる。するとキャップ7aは洗浄用ダミーヘッド11の吸引孔11gを覆い密閉した状態となり、弁10はインク流路を開けた状態となる。この状態でポンプモータ7dを所定時間駆動し、吸引ポンプ7cによりキャップ7a内から吸引を行う。吸引により、吸引孔を通して洗浄用インクがインク流路内に吸引され、インク流路の洗浄が行われる。
【0065】
S150において、回復ユニット7のカム制御モータ7gを駆動しカム7bとカム7fをaの位置まで回転させる。するとキャップ7aを開いた状態となり、弁10はインク流路を開けた状態となる。ここで、吸引孔は洗浄インクをメニスカスで保持できない径であることから、大気圧により洗浄用インクはタンク4に戻り、大気導入針5bから洗浄インクが大気連通室5fに流れ込み、大気連通孔5gから図示しない廃インク回収部に収容される。その後、インクジェット記録装置は洗浄インクタンクの排出を促し、排出が確認されると、回復ユニット7のカム制御モータ7gを駆動しカム7bとカム7fをcの位置まで回転させる。するとキャップ7aを閉じた状態となり、弁10はインク流路を閉じた状態となる。その後吸引ポンプ7cを所定時間動作させ、インク流路に残った洗浄インクを排出し、壁面付着分だけとする。
【0066】
S160でインクジェット記録装置本体は排出用インクタンクの装着を促す。排出用インクタンク40は図6に示す構造を有しており、内部にインク供給針5aと連通するパイプ41の先端には通気性防水膜42をもち、空気のみが通過可能である。
【0067】
S170で排出用インクタンクの装着が確認されると、回復ユニット7のカム制御モータ7gを駆動しカム7bとカム7fをcの位置まで回転させる。するとキャップ7aは洗浄用ダミーヘッドの吸引孔を覆い密閉した状態となり、弁10はインク流路を開けた状態となる。この状態でポンプモータ7dを所定時間駆動し、吸引ポンプ7cによりキャップ7a内から吸引を行う。吸引により、吸引孔を通してインク流路内部が負圧となり、通気性防水膜42を通して、大気連通室5f内の洗浄インクを排出用インクタンク40内に収容する。通気性防水膜42を有している為、使用後の排出用インクタンク40は内部が満たされるまで再利用可能である。
【0068】
S180でインクジェット記録装置本体は交換用インクタンクの装着を促す。交換用インクタンクの装着が確認されると、前述のインク充填動作を行う。
【0069】
S190において、前述のS150、S160、S170と同様の動作を行い、大気連通室5f内の壁面に残った洗浄インクの交換用用インクBでの置換を行う。
【0070】
S200において再度S180と同様の動作を行う。
【0071】
S210において、ユーザに洗浄用ダミーヘッドと記録ヘッド1の交換を促す。
【0072】
S220において記録ヘッド1の装着が確認されると交換用インクBとの交換、装着を促す。
【0073】
S230において交換用インクBタンクの装着が確認されると再度インク充填を行い記録ヘッド1内の洗浄インクと記録インクBの置換を行いインク交換は終了する。
【0074】
この交換フローを行うことで、インク供給経路の洗浄が可能となり、ユーザは多様な記録用紙に合わせたインクシステムを用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施例説明図(インク供給概略図)
【図2】実施例説明図(インク供給原理説明図)
【図3】実施例説明図(装置概略斜視図)
【図4】実施例説明図(本発明フロー図)
【図5】実施例説明図(擬似記録ヘッド装着図)
【図6】実施例説明図(回収タンク装着図)
【符号の説明】
【0076】
L 孔ピッチ
H ヘッド水頭高さ
D パイプ内径
1 記録ヘッド
1b サブタンク
1c フィルタ
1f 液室
1g 吐出ノズル
2 キャリッジ
3 搬送ローラ
4 インクタンク
4d パイプ
4e1〜4e7 孔
4f リブ
4g ボール
5 インク供給ユニット
5a 供給針
5b 大気導入針
5c,5d,5e 流路
6 インク供給チューブ
7 回復ユニット
9 インク
10 弁




 

 


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