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発明の名称 画像記録方法および装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−21891(P2007−21891A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−207310(P2005−207310)
出願日 平成17年7月15日(2005.7.15)
代理人 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一
発明者 毛利 明広 / 谷内 洋
要約 課題
中間転写方式の画像記録を行うにあたり、インク中の色材を不溶化または凝集させる処理液量の低減化を図りつつも、中間転写体上で確実にインクと処理液とが出会うようにして、良好な画像が形成できるようにする。

解決手段
インクドットの形成範囲に対して、処理液のドットを少なくとも2つ形成することで、インクおよび/または処理液の付与位置のずれが生じても、インクと処理液とが出会う確率が高くなるようにする。
特許請求の範囲
【請求項1】
中間転写体上にインクを吐出してインクドットでなる画像を形成し、当該形成された画像を記録媒体に転写することで記録を行う画像記録方法において、前記インクドットの形成範囲に対して、前記インク中の色材を不溶化または凝集させる処理液のドットを少なくとも2つ形成することを特徴とする画像記録方法。
【請求項2】
前記インクドットの形成位置を定める記録データに基づき、前記中間転写体への画像形成に先立って、前記少なくとも2つの処理液のドットを形成することを特徴とする請求項1に記載の画像記録方法。
【請求項3】
前記処理液のドットを形成する前記処理液の量が、前記インクドットを形成する前記インクの量よりも小であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像記録方法。
【請求項4】
前記インクは色材として顔料を含み、前記処理液はカチオン性物質を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像記録方法。
【請求項5】
前記処理液は少なくとも金属塩を含む液体であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像記録方法。
【請求項6】
インクを吐出するためのインク用記録ヘッドを用いて中間転写体上にインクドットでなる画像を形成し、当該形成された画像を記録媒体に転写することで記録を行う画像記録装置において、
前記インク中の色材を不溶化または凝集させる処理液を吐出するための処理液用記録ヘッドを用い、前記インクドットの形成範囲に対して前記処理液のドットを少なくとも2つ形成する処理液付与手段を具えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項7】
前記インク用記録ヘッドおよび前記処理液用記録ヘッドは吐出を行うための吐出口の配列を有しており、
前記中間転写体を前記インク用記録ヘッドおよび前記処理液用記録ヘッドに対して前記配列方向とは異なる方向に相対移動させる手段をさらに具え、
前記処理液付与手段は、前記相対移動の過程で前記処理液用ヘッドを前記インク用記録ヘッドより高い周波数で駆動すること、および/または、前記インク用記録ヘッドより高い吐出口の配列密度を有する前記処理液用ヘッドを用いることで、前記相対移動の方向および/または前記吐出口の配列方向について、前記インクドットの形成範囲に対して前記処理液のドットを少なくとも2つ形成することを特徴とする請求項6に記載の画像記録装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録方式を用いて中間転写体にインク像を形成し、そのインク像を記録媒体に転写して記録を行う画像記録方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、コンピュータによって作成された画像や、印刷物、ファクシミリ装置等で受信した画像等を、ユーザの要求に従って記録し出力する画像記録装置の記録方式として、インクジェット記録方式、電子写真方式、サーマルヘッド方式、ドットインパクト方式等が利用されている。
【0003】
これらの方式の中で、インクジェット記録方式は、画像信号に応じてインクを記録媒体上に直接吐出して、文字や画像等をプリントする低騒音のプリント方式である。この方式は、複雑な装置を必要としないため、ランニングコストが低く、装置の小型化やカラー化が容易であること、カードサイズのものから大版のポスター等に至るまで、記録媒体サイズに対して自由度があること等の種々の利点を有している。また、画像品位においても、近年では、銀塩カラー写真と同等の高画質画像の出力が可能になっている。インクジェット方式を用いた記録装置は、以上のような利点を有していることから、パーソナルコンピュータに接続される出力装置としてのプリンタに限らず、ファクシミリ装置や複写機等のOA機器の出力装置として用いられている。さらには産業生産分野でも、各種のカード印刷、パッケージ印刷または大判のポスター作成等、広範な応用がなされている。
【0004】
最近の傾向としては、インクジェット記録方法の上述のような利点を生かし、各種の分野において記録媒体の種類によらず、インクジェット記録方法によって画像を高品位に出力したいという要望が高まっている。このような要望に応えるためには、特に記録媒体上での画像品位の低下や印刷物の風合いの低下をもたらす要因を抑制することが強く望ましい。具体的には、例えばフェザリングやビーディング,ブリーディングといった現象や、記録媒体に水系のインクが浸透することにより生じる記録媒体の波打ち現象(コックリング)を抑制する必要がある。これらの現象は、インクジェット記録の高精細化および高速化に伴って記録媒体の単位面積あたりに多量のインクが高速に付与されるようになり、また記録媒体としても様々な材質のものが用いられるようになってきている状況下、一層効果的に抑制されなければならない。
【0005】
そこで、インクジェット記録方式により中間転写体上にインクを付与してインク像を形成し、当該インク像をインクの乾燥によってさらに増粘させ、またはインク像の溶剤を除去してインクを濃縮し、その後にインク像を中間転写体から記録媒体上に転写する転写方式と呼ばれる方法が提案されている。
【0006】
この転写方式による記録方法は、記録ヘッドからインクを直接記録媒体に付与して記録を行うものではない。従って、インク中の水分を記録媒体に素早く浸透・定着させることでフェザリング,ビーディングやブリーディングといった現象を抑制するものではないので、用いられ得る記録媒体の種類を拡大することができる。すなわち、インク浸透性の劣る記録媒体が用いられる場合であっても、画像品位の低下の問題に対して有効な解決策となる。また、中間転写体上に形成されたインク像を記録媒体へ転写する前にインク像を形成しているインクの液体成分をほとんど除去する工程を経ることで、記録媒体側に浸透する液体量が少ない。従ってコックリングも生じにくいことで、「こし」や手触りなど記録媒体の風合いを損ねないという利点もある。
【0007】
さらに、インクジェット記録において中間転写体を用いることには、インクを吐出するためのノズルを有する記録ヘッドが記録媒体に対して離れた位置に配置される構成となるので、記録媒体から発生する紙粉等の塵埃がノズルに付着しにくいものとなるという利点がある。すなわち、紙粉等がノズルに付着することで生じる目詰まりなど問題を防止できることになる。
【0008】
しかし良好な品位の画像記録を行う前提として、中間転写体上でも上記画像品位の低下をもたらす現象が抑制されていなければならない。そのため、インク像の形成に先立って、インクと反応することでインクの増粘または色材の凝集・不溶化を生じさせる処理液を中間転写体上に付与する方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【0009】
ここで、処理液を多量に、すなわち中間転写体上に形成される1インクドットの直径以上の厚さに付与すると、インク像が中間転写体上に付着する力が低下し、画像が乱れる現象が生じる。このことから、中間転写体上においては増粘あるいは凝集効果の低下をきたすことなく、処理液を必要十分な量だけ中間転写体上に付与することが重要な課題となっている。
【0010】
中間転写体上に処理液を付与する方法としては、ローラ、ブレードやスプレーなどを用いて処理液を塗布するものや、インクを吐出する記録ヘッドと同等の記録ヘッドを用いて処理液を吐出するものが挙げられる。ローラ、ブレードやスプレーなどを用いることで、処理液を中間転写体上に薄く塗布し、かつ全面に付与することが可能ではある。しかし一方、記録ヘッドによって付与する方法は、これら塗布によるものとは異なり、処理液を画像に応じて選択的に付与することができることから、画像データに応じた中間転写体上のインク像の形成部分において処理液の厚みを減らし、かつ処理液の消費を低減することができるので、より好ましい。
【0011】
特許文献2には、記録ヘッドを用い、インク(色材等を含有するインク)と接触することでインク中の色材成分を凝集させる作用を持つ処理液(色材等を含有するインク)をインク像形成の前に付与する方法が開示されている。そして、処理液については、インク量に比べて付与量を小さくすることや、画素を間引いて付与することが記載されている。
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,958,169号明細書
【特許文献2】特開2002−370441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、記録ヘッドによって処理液を選択的に付与するものでは、中間転写体上にインクが付与されたときに処理液とインクとが確実に出会わなければならない。
【0014】
一方、中間転写体を用いる画像記録方法では、中間転写体はインクの記録媒体への転写時に離型性のある表面を有さなければならず、これには表面エネルギが低いことが要件となるが、処理液が中間転写体上で濡れ広がりにくくなる。処理液に界面活性剤を添加することで表面張力を低下させ、濡れ拡がりを促進することは可能である。しかし記録ヘッドからの処理液の漏れや吐出特性を考慮すると、界面活性剤の添加量には制限があり、従って処理液の濡れ広がり量にも限界がある。
【0015】
すると、特許文献2の如く、中間転写体上において処理液の少量化や記録位置の間引きを行う場合、中間転写体上での処理液のはじきや、記録ヘッドから処理液・インク滴の着弾位置のずれなどにより、処理液とインクとが出会わない部分が生じる恐れがある。例えば、記録ヘッドの経時変化やヘッド表面のよごれ、揺らぎなどで吐出方向の変化すなわち「よれ」が生じると、中間転写体上で着弾位置がずれ、処理液とインクとが出会わない部分が生じ、この部分は未反応領域となってしまう。すると、転写時においてこの部分の画像が乱れてしまい、転写後のドットの変形による画像の「ぼけ」や「すじ」が生じて画像劣化を引き起こす場合がある。
【0016】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたもので、処理液量の低減化を図りつつも確実にインクと処理液とが出会うようになし、すなわち処理液を最適な位置に適量だけ付着させて処理液の機能を最大限に発揮させることができるようになし、良好な画像が形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そのために、本発明は、中間転写体上にインクを吐出してインクドットでなる画像を形成し、当該形成された画像を記録媒体に転写することで記録を行う画像記録方法において、前記インクドットの形成範囲に対して、前記インク中の色材を不溶化または凝集させる処理液のドットを少なくとも2つ形成することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、インクを吐出するためのインク用記録ヘッドを用いて中間転写体上にインクドットでなる画像を形成し、当該形成された画像を記録媒体に転写することで記録を行う画像記録装置において、
前記インク中の色材を不溶化または凝集させる処理液を吐出するための処理液用記録ヘッドを用い、前記インクドットの形成範囲に対して前記処理液のドットを少なくとも2つ形成する処理液付与手段を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、中間転写方式の画像記録を行うにあたり、処理液量の低減化を図りつつも、中間転写体上で確実にインクと処理液とが出会うようにして処理液の機能を最大限に発揮させることができるので、良好な画像が形成できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0021】
1.画像記録装置の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る画像記録装置の主要部の概略構成を示す模式的断面図である。
【0022】
図1において、転写ドラム1は、インク離型性の表面層を有する中間転写体である。この転写ドラム1は軸1aに支持され、不図示のドラム駆動装置によって、軸1aを中心に矢印A方向に回転駆動可能である。転写ドラム1の円周との対向位置には、A方向の上流側から下流側に向かって順に、処理液付与部2、インク付与部3、インク像処理部4、記録媒体分離部6、転写部5およびクリーニング部7が配置されている。
【0023】
また画像記録装置には、記録媒体8を不図示の記録媒体格納部(給紙カセット)から記録媒体分離部6へ搬送するための給紙搬送部9が設けられる。さらに画像記録装置には、中間転写体である転写ドラム1上に形成されたインク像が記録媒体8に転写された後に記録媒体8上のインク像を定着させるとともに、不図示の排紙トレイに記録媒体8を排紙する排紙搬送定着部10が配置されている。
【0024】
図2は画像記録装置の制御部系の概略構成例を示すブロック図である。
【0025】
全体を符号100で示す画像記録装置において、CPU101は、本記録装置の動作の制御処理やデータ処理等を実行する。メモリ103は、それらの処理手順等のプログラムを格納したROM(不図示)と、それらの処理を実行するためのワークエリア等として用いられるRAM(不図示)とを有する記憶部である。I/F105は、インクジェット記録装置と、ホストコンピュータ等の画像データの供給源である画像供給装置110との間でデータやコマンド等の情報を授受するためのインターフェイスである。
【0026】
以上の各部のほか、転写ドラム1、処理液付与部2、インク付与部3、インク像処理部4、転写部5、記録媒体分離部6、クリーニング部7、給紙搬送部9および排紙搬送定着部10は、バスライン120に接続されている。従って、CPU101は、バスライン120を介して各部と適宜信号を授受しながら所要の制御を実行することができる。また、制御対象である各部には状態検出用センサが配設され、その検出信号はバスライン120を介してCPU101に伝達することができる。
【0027】
2.各部の詳細
2.1 中間転写体
図1に示されるように、中間転写体である転写ドラム1は、アルミニウム製の支持体12の周囲に、シリコーンゴム製の表面層13が積層されてなる。
【0028】
支持体12として使用される材料は、特にアルミニウムに限定されるわけではない。転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、回転のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するため等について要求される特性を満たすものであればよく、例えば、ニッケル、燐酸鉄等の金属や、アセタールのような強度に優れる熱硬化性樹脂、またはセラミック等によって成型されたものを用いることもできる。
【0029】
また、インク離型性の表面層13についても、シリコーンゴムに限定されるものではない。好ましい離型性および弾性特性を有し、インク像を記録媒体に転写する際の転写率に優れているものであればよく、適宜にその層構成を変えてもよい。離型性とは、上述したように、インク像が中間転写体表面に固着することなく除去可能である状態を示し、離型性が高いほど、クリーニング時の負荷やインクの転写率の面で有利である。
【0030】
なお、転写ドラム1に対しては、ヒータその他の温度調整手段を付加することができる。
【0031】
2.2 処理液付与部
2.2.1 構成
図1に示した処理液付与部2は、制御部より送られてくる画像信号に応じて、処理液の吐出を制御できる複数のノズルを有する記録ヘッド14を用いることによって、中間転写体に処理液の付与を行う。本実施形態に係る画像記録装置では、処理液用の記録ヘッド14として、通電に応じ処理液を吐出するために利用される熱エネルギを発生する電気熱変換素子である発熱素子(吐出ヒータ)を有するノズルが配列されたものを用いている。また、記録ヘッド14は、かかるノズルを転写ドラム1の軸方向(図1の紙面に垂直な方向)に配列してなるライン型のものである。記録ヘッド14は、不図示の処理液タンクから処理液の供給を受ける。記録ヘッド14の発熱素子は、処理液を付与するための画像信号に応じて発熱して処理液の温度を上昇させ、バブルを発生させる。そして、発生したバブルが膨張することによって、記録ヘッド14のノズルから処理液が吐出される。
【0032】
なお、記録ヘッド14の構成としてはライン型のものに限られない。複数のノズル列を転写ドラム1の円周方向または軸方向の所定範囲に配列してなる所謂シリアル型の記録ヘッドを用い、この記録ヘッドを軸方向に走査しながら順次転写ドラム1に画像形成を行うものでもよい。かかる記録ヘッドを用いる場合、転写ドラム1の回転駆動は断続的に行われ、ヘッドの円周方向のノズル配列範囲または使用範囲を単位とした回転駆動と、記録ヘッドのシリアルスキャン時における駆動停止とを交互に繰り返すものとなる。
【0033】
また、インクジェット記録ヘッドは、上記発熱素子を用いる形態に限らず、圧電素子を用いるものなど、処理液を記録ヘッドのノズルから吐出可能なものであればいずれの吐出方式のものも使用できる。
【0034】
これらのことは、後述するインク付与用の記録ヘッドについても同様である。
【0035】
2.2.2 処理液
ここで、本実施形態に係る処理液について詳細に説明する。処理液とは、着色インクを構成している組成物の一部である着色剤や樹脂等に対して、化学的に反応または物理的に吸着することで、インク全体の流動性の低下すなわち粘度上昇を生じさせるものを言う。また、インクを構成する組成物の固形分を凝集させることにより、局所的に流動性の低下すなわち粘度上昇を生じるためのものをも言う。
【0036】
具体的には、処理液は少なくともカチオン物質を含んでいる。カチオン物質は、高分子であるか低分子であるかに限らず、インクを不溶化してインク流動性の低下や凝集を生じさせるものであれば良く、好ましくは迅速に流動性を低下させるために金属塩を含んで構成される。詳しくは、インクとの接触によって中間転写体上におけるインクの流動性を低下させ、中間転写体上に着弾したインクを極力、着弾位置に保持させる役割を担うものである。これにより中間転写体上でインク滴同士が接触しても、ビーディングやブリーディングの発生を抑制し良好な画像を形成することができる。
【0037】
処理液としては、インクと接触することでインクを凝集させる材料が好適であり、例えば、金属塩を含む液体が好適である。処理液を構成する金属塩の最も好適なものとしては、多価金属塩が挙げられる。多価金属塩とは、二価以上の多価金属イオンと、これら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成される。多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+等の二価金属イオン、そしてFe3+、Al3+等の三価金属イオンが挙げられる。また、これらと結合する陰イオンとしては、Cl-、NO3-、SO42-、I-、Br-、ClO3-、RCOO-(Rは、アルキル基)等の陰イオンが挙げられる。 また、処理液には、上述の多価金属塩等の金属塩と共に、水溶性有機溶剤を含有させることができる。水溶性有機溶剤の、処理液中の含有量については特に制限はないが、処理液全質量の5〜60質量%、好ましくは5〜40質量%の範囲である。
【0038】
さらに、処理液は、凝集補助材として、例えば、水溶性樹脂、水溶性架橋剤や酸性溶液等を含有してもよい。好適に用いられる材料としては、多価金属塩と共存できるものであればよい。水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンなどが用いられる。これらの凝集補助材は、分子量が比較的大きいことから、多価金属塩との併用によって形成されたインク凝集像の内部凝集力を高めることができる。この結果、インク凝集像の記録媒体8への転写効率や耐擦過性を高めることができる。
【0039】
さらに、転写ドラム1への処理液の記録ヘッド14の安定吐出を行うことを目的として、処理液に界面活性剤を用いることが好ましい。
界面活性剤としては、水溶性のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の、各種の界面活性剤を用いることができる。
【0040】
界面活性剤の添加量は、処理液に対して、0.05〜5質量%程度とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%程度である。
【0041】
処理液には、この他必要に応じて、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤を適宜に配合してもよい。また、本実施形態で使用する処理液は、無色であることがより好ましいが、記録媒体上でインクと混合された際に、各色インクの色調を変えない範囲の淡色のものでもよい。さらに、上述のような形成材料からなる処理液は、25℃付近での粘度が1〜30cP(mPa・s)の範囲となるように、物性を調整されたものであることが好ましい。
【0042】
本実施形態では、処理液は金属塩を含む構成であるが、インクの流動性を低下させるものであれば、金属塩を含まない構成としても良い。
【0043】
インク中の着色剤としての顔料を凝集する処理液は、一例として以下のようにして得ることができる。すなわち、下記の成分を混合溶解した後、さらにポアサイズが0.22μmのメンブレンフィルタ(商品名:フロロポアフィルタ、住友電工製)にて加圧濾過した後、KOHでpHを5.8に調整し、無色の処理液Alを得ることができる。
(A1の成分)
・塩化カルシウム・2水塩 10部
・ジエチレングリコール 20部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.5部
・水 残部
【0044】
2.3 インク付与部
2.3.1 構成
インク付与部3は、上述のような処理液付与部2によって処理液が付与された転写ドラム1上に、制御部より送られてくる画像信号に応じて、少なくとも着色剤を含むインクの吐出を制御可能な複数のノズルを有する記録ヘッド15によりインクを付与することによって、インク像を形成する。
【0045】
図1において、インク付与部3は、転写ドラム1上の処理液付与部2の下流側に配置されており、記録ヘッド15a、15b、15cおよび15dを含んで構成されている。なお、以下では記録ヘッド15a、15b、15cおよび15dを総じて記録ヘッド15と呼ぶこともある。これらの記録ヘッドは、基本的に上述した処理液用記録ヘッド14と同様の形態を有する。また、構成や吐出方式について上述と同様の変形例を採用することが可能であることは勿論である。
【0046】
記録ヘッド15、15b、15cおよび15dは、転写ドラム1の円周方向に一定間隔を置いて配置されている。そしてそれぞれが異なる色のインクを付与し、カラー画像を形成するように構成されている。図1の構成においては、記録ヘッド15a、15b、15cおよび15dが、それぞれ、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の各色のインクを付与するものとなっている。しかし、本実施形態におけるインク付与部3を構成するインクジェット記録ヘッドの数、転写ドラム1に吐出されるインクの色順序、および使用されるインクの色相は、上述に限定されるものではない。
【0047】
なお、転写ドラム1上に形成されるインク像は、転写の際に反転することを考慮し、記録媒体8に最終的に形成すべき画像の鏡面画像としなければならない。当然、記録ヘッド15に供給される画像信号は鏡面画像に対応した画像信号でなければならない。そこで、図2の制御系において、画像供給装置110から送られてくる画像信号(すなわち記録媒体8に最終的に形成される画像に対応した画像信号)に対し、ミラー反転処理(反転データを得る処理)を施し、鏡面画像に対応した画像信号を取得し、これを記録ヘッドへ供給するようにしている。
【0048】
2.3.2 インク
インク付与部3で使用するインクとしては、特に限定されるものではなく、一般的なインクジェット用インクのいずれも使用することができる。特に、顔料インクは、染料インクと比べて、記録媒体に対して滲みにくく、耐水性、耐光性に優れているので、本実施形態において好適に使用できるインクの着色剤として少なくとも顔料を含有する顔料インクを用いることが好ましい。
【0049】
しかしインクとしては、着色剤として顔料を用いる顔料インクに限定されるものではない。染料インクを用いることも、また、顔料に染料を加えた混合インク、例えば色相を変えるために従来既知の染料を添加した混合インクを用いることもできる。また、処理液として金属塩を含有したものを用いている場合には、インクおよび/または処理液中にインク凝集像の内部凝集力を強めるために水溶性樹脂や架橋剤等を添加したものを用いてもよい。
【0050】
前述した処理液である無色液体A1と混合して凝集を引き起こす各色顔料インクの一例として、以下のものを挙げることができる。すなわち、下記に述べるようにして、それぞれ顔料とアニオン性化合物とを含むブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの各色インクK、C、MおよびYを得ることができる。
【0051】
ブラックインクK
アニオン系高分子P−1(スチレン−メタクリル酸−エチルアクリレート、酸価400、重量平均分子量6,000、固形分20%の水溶液、中和剤:水酸化カリウム)を分散剤として用い、以下に示す材料をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、1mm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ3時間分散処理を行った。分散後の粘度は9cps、pHは10.0であった。この分散液を遠心分離機にかけ粗大粒子を除去し、重量平均粒径100nmのカーボンブラック分散体を作製した。
【0052】
(カーボンブラック分散体の組成)
・P−1水溶液(固形分20%) 40部
・カーボンブラック Mogul L(キャブラック製) 24部
・グリセリン 15部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 0.5部
・イソプロピルアルコール 3部
・水 135部
次に、上記で得られた分散体を充分に拡散して顔料が含有されたインクジェット用のブラックインクKを得た。最終調製物の固形分は、約10%であった。
【0053】
シアンインクC
ブラックインクKの作製の際に使用したアニオン系高分子P−1を分散剤として用い、以下に示す材料を用いて、前記したカーボンブラック分散体の場合と同様の分散処理を行い、重量平均粒径120nmのシアン色分散体を作製した。
(シアン色分散体の組成)
・P−1水溶液(固形分20%) 30部
・C.I.ビグメントブルー15:3 24部
(ファストゲンブル−FGF、大日本インキ化学製)
・グリセリン 15部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.5部
・イソプロピルアルコール 3部
・水 135部
上記で得られたシアン色分散体を充分に攪拌して、顔料が含有されたインクジェット用のシアンインクCを得た。最終調製物の固形分は、約9.6%であった。
【0054】
マゼンタインクM
ブラックインクKの作製の際に使用したアニオン系高分子P−1を分散剤として用い、以下に示す材料を用いて、前記したカーボンブラック分散体の場合と同様の分散処理を行い、重量平均粒径115nmのマゼンタ色分散体を作製した。
【0055】
(マゼンタ色分散体の組成)
・P−1水溶液(固形分20%) 20部
・C.I.ピグメントレッド122(大日本インキ化学製) 24部
・グリセリン 15部
・イソプロピルアルコール 3部
・水 135部
上記で得られたマゼンタ色分散体を充分に拡散して、顔料が含有されたインクジェット用のマゼンタインクMを得た。最終調製物の固形分は、約9.2%であった。
【0056】
イエローインクY
アニオン系高分子P−2(スチレン−アクリル酸−メチルメタアクリレート、酸価280、重量平均分子量11,000、固形分20%の水溶液、中和剤:ジエタノールアミン)を分散剤として用い、以下に示す材料を用いて、ブラックインクK2の作製の場合と同様に分散処理を行い、重量平均粒径103nmのイエロー色分散体を作製した。
【0057】
(イエロー分散体の組成)
・P−2水溶液(固形分20%) 35部
・C.I.ピグメントイエロー180 24部
(ノバパームイエロー PH−G、ヘキスト製)
・トリエチレングリコール 10部
・ジエチレングリコール 10部
・エチレングリコールモノブチルエーテル 1.0部
・イソプロピルアルコール 0.5部
・水 135部
上記で得られたイエロー分散体を充分に拡散して、顔料が含有されたインクジェット用のイエローインクYを得た。最終調製物の固形分は、約10%であった。
【0058】
2.4 インク像処理部
次に、図1において、インク像処理部4は、エアーナイフ16および溶剤受け皿17を含んで構成される。インク像処理部4では、インク付与部3で形成されたインク像から、水を含む溶剤成分を除去することで、記録媒体8へと転写する場合により最適なインク粘着条件で行なえるようにインク像の処理を行うものである。
【0059】
インク像処理部5には、インク中の溶剤、主にインク中の水分を蒸発または分離して除去するために、不図示のヒータにより加熱された温風を送るエアーナイフ16と、溶剤受け皿17とが設けられている。すなわち、インク像処理部5は、記録媒体8へのインク凝集像であるインク像の浸透性の相違を勘案し、エアーナイフから送風されるエアーの量、またはそのエアーの温度に関する熱量を調節することによって、インク像の記録媒体8への転写特性を制御する目的で設けられている。
【0060】
なお、本実施形態では、エアーナイフ16を用いてインク像の乾燥を促進させているが、赤外線ヒータなど、温度調節可能で、インク像の転写特性を制御可能であるものを使用することもできる。また、インク中の水を含む溶剤を制御可能に除去できるものであれば、水を含む溶剤を吸収する公知の手段や、水を含む溶剤を絞りとるスキージブレード・ローラを用いる手段なども使用可能である。
【0061】
2.5 転写部5、給紙搬送部6および記録媒体分離部6
図1において、転写部5は転写ローラ18を含んで構成される。また、給紙搬送部6は搬送ローラ19aおよび19bと、搬送ガイド20aおよび20bとを含んで構成される。転写部5では、給紙搬送部6の搬送ローラ19aおよび19bの回転に伴い搬送ガイド20aおよび20b間のガイド部を介して搬送された記録媒体8を、転写ローラ18によって転写ドラム1に圧接することで、転写ドラム1上のインク像を記録媒体表面に転写させる。
【0062】
転写ローラ18は、転写ドラム1とのニップ部に記録媒体8を通過するように配置されており、ゴムローラや金属ローラ等で形成することができる。この転写部5に押圧制御装置(不図示)を付加することで、転写ドラム1に対する押圧およびその解除の制御が可能となるようにすることができる。
【0063】
図1において、搬送ローラ19aおよび19bは矢印B方向に、転写ローラ18は矢印C方向に回転する。転写ローラ18は、転写ドラム1に対する押圧状態では、記録媒体8を介して転写ドラム1に従動して回転することができる。このような従動回転とするほか、独立の転写ローラ駆動手段(不図示)によって回転制御可能としてもよい。また、本実施形態においては、転写ローラ18は、転写時において記録媒体8を介し転写ドラム1を線荷重0.6kg/cmで押圧するように構成されている。しかしこれに限定されるものではない。
【0064】
一方、図1において、記録媒体分離部6は、分離爪21を含んで構成されている。記録媒体分離部6では、記録媒体8の搬送タイミングに応じて分離爪21が稼動する。分離爪21は、上述の転写が終了すると、不図示の駆動装置によって駆動され、記録媒体9を転写ドラム1から分離させ、搬送ガイド22aおよび22b間のガイド部を介して記録媒体8を排紙搬送定着部11へと導く。
【0065】
2.6 排紙搬送定着部
図1において、排紙搬送定着部10は、搬送ガイド22aおよび22bと、搬送定着ローラ23aおよび23bとを含んで構成されている。排紙搬送定着部10では、搬送ガイド22aおよび22b間に導かれたインク像が転写された記録媒体8を、赤外線ヒータを内蔵した搬送定着ローラ23aおよび23bにて加熱して転写像を定着させる。かつ、それらローラの回転によって記録媒体8を不図示の排紙トレイに送り、当該記録媒体への記録を終了する。搬送定着ローラ23aおよび23bには、公知の定着ローラを使用することができ、温度は30〜200℃程度とすることが好ましい。また、ローラ材質は、金属やシリコーンゴム等とすることができる。記録媒体8の剥離性を向上させるために、ローラ表面にシリコーンオイル等を塗布してもよい。
【0066】
2.7 クリーニング部
図1において、クリーニング部7は、クリーニング液保持部材25、クリーニング液供給ローラ26aおよびクリーニングローラ26bを含んで構成されている。クリーニング液保持部材25はクリーニング液24を貯留・保持する。クリーニングローラ26bは転写ドラム1と当接しながら回転し、これによってクリーニング液24を塗布して転写ドラム1上のごみ等を取り除く。クリーニング液供給ローラ26aは、これらの中間にあってクリーニング液保持部材25からクリーニングローラ26bにクリーニング液24を供給する。
【0067】
同図において、クリーニングローラ26bは、転写ドラム1に従動回転するものでもよいし、または不図示の駆動手段によって駆動制御可能なものでもよい。クリーニング液供給ローラ26aは、クリーニングローラ26bに従動回転するものでもよいし、または不図示の駆動手段によって駆動制御可能なものでもよい。いずれにしても、クリーニング液供給ローラ26aおよびクリーニングローラ26bが回転することによって、クリーニング液24は、これらローラを介して転写ドラム1上に塗布され、転写ドラム1のクリーニングが行われる。
【0068】
なお、クリーニング部7は、転写ドラム1表面を適切にクリーニング可能なものであれば、その構成は図示のものに限定されない。また、クリーニング液24の種類も特に限定されるものではなく、例えば上記処理液で使用した界面活性剤、水溶性有機溶剤等を含む水溶液が好ましく使用可能である。
【0069】
また、クリーニングローラ26bに対しても、転写部5と同様に押圧制御装置(不図示)を付加することで、転写ドラム1に対する押圧およびその解除の制御が可能となるようにすることができる。
【0070】
3.記録手順
画像記録装置の一連の記録動作を説明する。
【0071】
図3は図1および図2に示した実施形態に係る画像記録装置の記録処理手順を示す。
【0072】
画像記録装置の電源が投入され、記録開始が指示されると、まず開始処理を実行する(ステップS1)。開始処理としては、転写ドラム1の回転駆動のほか、転写ドラム1の内部、エアーナイフ16、搬送定着ローラ23aおよび23bに対するそれぞれのヒータをオンとし、各部を所定温度に設定・調節する処理を含めることができる。また、必要に応じ記録媒体搬送系各部の位置設定等を行うことができる。さらに、後述する画像形成動作に先立って転写ドラム1表面のクリーニングを行うことが望ましい場合には、クリーニングローラ26bを転写ドラム1に押圧させることで、クリーニング液の塗布および清浄化が行われるようにしてもよい。
【0073】
コンピュータ等の画像供給装置110から画像信号を受け取ると、画像信号に応じてインク用記録ヘッド15および処理液用記録ヘッド14による吐出動作を規定するための記録データの生成およびメモリ領域への展開を行う(ステップS3)。
【0074】
具体的には、例えば、本実施形態で使用する各インク色(K、C、MおよびY)に対応し、かつ吐出の有無に対応した2値の画像信号が画像供給装置110から送られてくるのであれば、そのままミラー反転処理を施して、各色記録ヘッド用のメモリ領域に記録データとして展開する。また、3値以上の多値の画像信号が画像供給装置110から送られてくるのであれば、CPU101が所定の2値化処理プログラムを実行することによって2値の画像信号に変換した上でミラー反転処理を施し、展開を行う。また、処理液用記録ヘッドに対しては、記録位置に対応して上記各色記録データの論理和をとり、当該論理和演算された各記録位置のデータ1ドットに対し、複数ドットの処理液が付与されるように処理液用の記録データを生成・展開する。
【0075】
記録位置のデータ1ドットに対して複数ドットの処理液が付与されるようにするための具体的な実施例については後述する。なお、処理液用記録ヘッドの記録データは各色インクの記録データの論理和に対応して生成されるものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、各色インクの論理和データをそのまま処理液データとするのではなく、インクと処理液とが確実に出会うようにするという本発明所期の目的を達成し得る範囲で、適宜処理液データの間引きを行うようにしてもよい。
【0076】
次に、回転駆動されている転写ドラム1に対し、上記展開した記録データに基づいて処理液用記録ヘッド14とインク用記録ヘッド15(15a、15b、15cおよび15d)とを駆動することで吐出動作を行わせ、インク像(記録媒体8に最終的に記録される画像のミラー反転画像)を形成して行く(ステップS7)。
【0077】
この際、インク用記録ヘッド15によって転写ドラム1上に付与されたインクと、処理液用記録ヘッド14によって先に付与されていた処理液との反応によって迅速に凝集等が生じるため、転写ドラム1上には凝集インクの像が形成されることになる。そしてこれによって、上述したように転写ドラム1上へ効率良くインク像を形成することができるだけでなく、転写ドラム1上に濃度の異なるインクや複数のカラーインクによってカラーインク像を形成した場合においても、転写ドラム1上のカラーインク像は凝集インクで形成されているので、ビーディングやブリーディング等の現象が生じることがない。しかも、このカラーインク像を記録媒体上に転写しても、記録媒体に対してビーディングやブリーディングのない高画質なカラー画像を形成することができるという効果が得られる。そして特にこの効果は、高速記録を行う場合や、カラー画像を形成する場合における複数色のインクの多重付与を行う場合において、さらに顕著となる。そして特に本発明では、処理液付与の適切に態様を定めることによって、効率的かつ効果的な処理液の使用が実現される。
【0078】
続いて、インク像は、インク処理部4で水分を含む溶剤が蒸発乾燥され、その後に行われる転写に対してより最適なインク条件となる。
【0079】
一方、当該形成されたインク像との位置が整合するよう記録媒体の搬送を行う(ステップS9)。すなわち、上述のようにして転写ドラム1上に形成されたインク像の先端位置と、記録媒体8とが転写位置であるニップ部で重なるように、搬送ローラ19aおよび19bによって転写部5に対し記録媒体8が搬送される。転写部5では、記録媒体8の先端が転写ドラム1と転写ローラ18とのニップ部に到達したと不図示のセンサにより検知されると、転写ローラ18が駆動され、記録媒体8を介して転写ドラム1に押し当てられる。ここで、押圧制御装置によって所定の転写圧が生じ、転写ドラム1上のインク像が記録媒体8に転写される。
【0080】
そして、記録媒体8の先端が転写部5から排出されたことが不図示のセンサによって検出されると同時に、分離爪21が駆動されて転写ドラム1と記録媒体8との間に挿入され、記録媒体8を転写ドラム1から分離する。そして、転写ドラム1から分離した記録媒体8は、搬送ガイド22aおよび22bを通過し、搬送定着ローラ23aおよび23bによって熱が加えられて定着処理が行われた後、排紙トレイに導かれる。
【0081】
以上の一連のインク像形成、記録媒体搬送および転写が継続され、1枚の記録媒体8に対する記録が完了すると、終了処理が実行される(ステップS11)。具体的には、転写ローラ18および分離爪21をそれぞれ転写ドラム1から離隔させる処理が行われる。また、クリーニングローラ26bを転写体ドラム1に当接させ、クリーニング液24を塗布しながら転写ドラム1表面をクリーニングして行き、転写ドラム1が1回転するとクリーニングローラ24bを転写ドラム1から離隔させる処理を実行することができる。さらに、後続の記録媒体に対しても記録が続けられる場合には、画像信号に応じた上記一連のインク像形成、記録媒体搬送および転写動作を繰り返す一方、記録動作を終了し電源を切る場合には、各ヒータの駆動および転写ドラム1の回転駆動のオフを行うようにすることができる。
【0082】
4. 具体的な実施例
次に、記録位置のデータ1ドットに対して複数ドットの処理液が適切に付与されるようにするための具体的な実施例について説明する。
【0083】
4.1 第1実施例
図4において、英字「a」〜「k」は、上記実施形態の転写ドラム回転方向Aにおける記録位置を表し、数字「0」〜「6」は、転写ドラム軸方向(ノズル列方向)における記録位置を表している。
【0084】
本実施例では、転写ドラム回転方向については、1200dpi(ドット/インチ;参考値)の画像形成密度となるようにインク用記録ヘッド15を駆動する一方、2400dpiの処理液付与密度となるように処理液用記録ヘッドの駆動を行う。また、インク用記録ヘッド15としては1ノズルあたりの吐出量が4plのものを、処理液用記録ヘッド14としては1ノズルあたりの吐出量が1plのものを用いた。
【0085】
すなわち本実施例では、中間転写体である転写ドラム1上に形成すべきインクドットD1に対して、処理液ドットD2は転写ドラム回転方向に2倍の密度で形成される。具体的には、ある位置にK、C、MおよびYのうち少なくとも1色のインクを付与する記録データがあるとすると、各色インクのそれぞれに対応する記録データの論理和演算を行うとその位置の論理和データは1となる。図4において白抜きの円で示すインクドットD1は、このような少なくとも1色のインクが付与されるデータ位置を示している。このようなインクドットを示すデータをドラム回転方向に2倍に拡大し、これを処理液データとするとともに、処理液用記録ヘッドを転写ドラム回転方向にインク用記録ヘッドの2倍の周波数で駆動する。この結果、ハッチングを施した円で示す位置に処理液ドットD2が形成されることになる。
【0086】
従って、インク1ドットに対して2つの処理液が付与されることとなり、インクおよび/または処理液に着弾位置のずれが生じても、インクと処理液とが出会う確率が従来よりも増加する。この方法により着実に処理液がインクドットに接触し、インク色材が凝集または不溶化されるため、インク像が中間転写体上に固定され、ひいては良好な画像記録が行われることになる。また、処理液用記録ヘッド15として1ノズルあたりの吐出量がインク用記録ヘッド15よりも吐出量が小さいものとしたことにより、転写ドラム上に付与する処理液の量を適切に制限することが可能となる。インク用記録ヘッド15よりも処理液の量が同等に近いものとすると、中間転写体が非吸収体であるため、処理液のビーディングが多くなり、実質的局所的に処理液の厚さが厚くなり良好な画像が形成できないこととなる。
【0087】
なお、本例では転写ドラム回転方向について処理液用記録ヘッドの処理液付与密度がインク用記録ヘッドの処理液付与密度の2倍となるようにしたが、これに限られることはなく、前者が後者より大きくなるよう記録ヘッドの駆動を行うものであればよい。
【0088】
4.2 第2実施例
図5においても、英字「a」〜「k」は、上記実施形態の転写ドラム回転方向Aにおける記録位置を表し、数字「0」〜「6」は、転写ドラム軸方向(ノズル列方向)における記録位置を表している。但し、本実施例においては、A方向の各位置は600dpiであり、インク用記録ヘッド15としては600dpiの密度でノズルが配列されているものを、また処理液用記録ヘッド14としては1200dpiの密度でノズルが配列されているものを用いた。また、インク用記録ヘッド15および処理液用記録ヘッド14は、それぞれ、1ノズルあたりの吐出量が5plおよび1plのものとした。
【0089】
すなわち本実施例は、中間転写体である転写ドラム1上に形成すべきインクドットD1に対して、インク用記録ヘッドより高解像の処理液用記録ヘッドを用いて処理液ドットD2を形成する。
【0090】
この記録方法は、予めインクドットを形成すべき記録データ(以下、「記録ドット形成データ」という)の存在の有無をノズル列方向について1ドットごとに判定し、その判定結果に応じて、処理液による処理液ドットD2を形成する。
【0091】
すなわち、図5のノズル列方向のラインに対応する記録データについて、ノズル列方向における位置の記録ドット形成データの存在の有無を判定する。まず、座標(b,2)において記録ドット形成データが存在するため、それに対応する座標(b,2)の位置と座標(b,1)および(b,3)の位置に処理液を吐出して、処理液ドットD2を形成するようにする。次に、座標(b,4)から(c,0)においては記録ドット形成データが存在しないため、それに対応する位置には処理液を吐出しないようにする。次に、座標(c,2)においては記録ドット形成データが存在するため、それに対応する座標(c,2)の位置と座標(c,1)および(c,3)の位置に処理液を吐出して処理液ドットD2を形成する。次に、座標(c,4)においても記録ドット形成データが存在するため、それに対応する座標(c,4)位置と座標(c,3)および(c,5)の位置に処理液を吐出して処理液ドットD2を形成するようにする。
【0092】
このようにして、各ラインについて処理液の吐出位置を決定する。以降、同様にして判定位置に対応する全ての記録データについて、記録ドット形成データの有無を判定して、処理液の吐出位置を決定する。
【0093】
図5のD2は、このようにして決定された処理液の吐出位置に形成される処理液ドットを表している。図5からも明らかなように、インクドットD1の形成前に予め形成される処理液ドットD2は、一つのインクドットD1の形成範囲内に複数存在するように位置し、一つのインクドットD1に対して複数の処理液ドットによるインクの不溶化あるいは凝集効果が及ぼされることになる。これにより実施例1と同様の基本的な効果を得ることができる。
【0094】
また、本実施例では、各インクドットD1のノズル列方向の境界部では複数の処理液ドットD2が重なって付与量が大きくなるため、特にノズル列方向の吐出のよれが生じても処理液とインクとが好ましく混じり合うことで、ドラム回転方向と平行な方向における筋むらの発生を低減できる効果が得られる。
【0095】
なお、本例では処理液用記録ヘッドがインク用記録ヘッドの2倍のノズル配列密度となるものを用いたが、これに限られることはなく、前者が後者より大きいノズル配列密度を有していればよい。
【0096】
3.3 第3実施例
図6は記録位置のデータ1ドットに対して複数ドットの処理液が適切に付与されるようにするための第3実施例の説明図、図7は第3実施例で用いられる処理液用記録ヘッドの構成を説明するために吐出口方向から見た模式的正面図である。
【0097】
ここで、インク用記録ヘッド15としては、600dpiの密度でノズルが配列され、1ノズルあたりの吐出量が8plであるものを用いた。一方処理液用記録ヘッド14としては、図7に示すように、不図示の発熱素子等の吐出エネルギ発生素子が配置された1つのインク室28に対して2つの吐出口(ノズル)29のセットが設けられ、このノズルセットが600dpiの密度で配列されるものを用いた。また、その吐出量は、吐出エネルギ発生素子の駆動に応じ1ノズルあたり2pl、すなわち1ノズルセットあたり合計4plであるものとした。
【0098】
本実施例では、図6に示すように、中間転写体である転写ドラム1上に形成すべきインクドットD1(白抜きの円で示す)に対して、2つの処理液ドットD2(ハッチングを施した円で示す)が形成される。具体的には、上述と同様にして各色インクのそれぞれに対応する記録データの論理和をとり、本実施例ではこの論理和データを処理液データとして処理液用記録ヘッド14を駆動する。
【0099】
これにより、本実施例においてもインク1ドットに対して2つの処理液が付与されることとなり、インクおよび/または処理液に着弾位置のずれが生じても、インクと処理液とが出会う確率が従来よりも増加するので、基本的に上例と同様の効果が得られる。さらに本実施例では、論理和データを得ればその後には処理液用データを作成するための処理が不要であるため、データ処理が簡略となり、時間も短縮されるという利点がある。
【0100】
なお、本実施例では、処理液用記録ヘッドのノズル口は2つであるがこの形態に限らず、インク液滴に対し複数の処理液を付与するものならばよい。1つのインク室28に対して2つのノズルをもつものとしたが、これに限られず、3以上のノズルをもつものでもよい。
【0101】
5.その他
インクドットの形成範囲に対して処理液のドットを少なくとも2つ形成する態様は、上記各実施例に限られない。また、適宜組み合わせて用いることもできる。例えば、ドラム回転方向に対して処理液の付与密度をインクの付与密度より大とする実施例1と、処理液用記録ヘッドがインク用記録ヘッドより大きいノズル配列密度を有することでノズル配列方向について処理液の付与密度を高めた実施例2とを組み合わせることも可能である。すなわち、ドラム回転方向およびノズル配列方向の両方向について、処理液の付与密度を高めることも可能である。
【0102】
また、用いられる中間転写体の形態としても、上述のようなドラム状のものに限られることはない。中間転写体の表面層が記録媒体と少なくとも線接触可能となるものであればいずれでもよく、適用する画像形成装置の形態ないしは記録媒体への転写に態様に合わせ、例えばローラ状、ベルト状、シート状のもの等も使用することができる。また、線接触するものだけではなく、例えばパッド印刷において用いられるパッドのような弾性変形の大きい材料も、中間転写体として用いることができる。
【0103】
さらに、記録に用いる色調の種類および数は上記に限られない。例えば、上例ではシアン、マゼンタおよびイエローのいわゆる印刷の3原色に加えてブラックを含めた4色のインクを用いるものとしたが、シアン、マゼンタおよびイエローのインクのみを用いるものでもよいし、これらに代えて、あるいはこれらとともに、レッド、グリーン、ブルーその他の色を用いるものでもよい。また、同系色であっても濃度の異なるインクを用いるものでもよく、本明細書でいう色調とは濃度をも含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像記録装置の主要部の概略構成を示す模式的断面図である。
【図2】図1に示した画像記録装置の制御部系の概略構成例を示すブロック図である。
【図3】図1および図2に示した画像記録装置の記録処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図1および図2に示した画像記録装置において、記録位置のデータ1ドットに対して複数ドットの処理液が適切に付与されるようにするための具体的な第1実施例を説明する説明図である。
【図5】図1および図2に示した画像記録装置において、記録位置のデータ1ドットに対して複数ドットの処理液が適切に付与されるようにするための具体的な第2実施例を説明する説明図である。
【図6】図1および図2に示した画像記録装置において、記録位置のデータ1ドットに対して複数ドットの処理液が適切に付与されるようにするための具体的な第3実施例を説明する説明図である。
【図7】図6に示す第3実施例で用いられる処理液用記録ヘッドの構成を説明するための模式的正面図である。
【符号の説明】
【0105】
1 転写ドラム
2 処理液付与部
3 インク付与部
4 インク像処理部
6 記録媒体分離部
5 転写部
7 クリーニング部
8 記録媒体
9 給紙搬送部
12 支持体
13 表面層
14 処理液用記録ヘッド
15、15a、15b、15c、15d インク用記録ヘッド
10 排紙搬送定着部
101 CPU
103 メモリ
105 インターフェイス(I/F)
110 画像供給装置





 

 


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