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発明の名称 廃インク吸収体、該廃インク吸収体を搭載したインクジェット記録装置及び廃インク収納容器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15288(P2007−15288A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−200533(P2005−200533)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
発明者 仁藤 康弘 / 酒井 淳一 / 鈴木 克彦 / 須釜 定之 / 袴田 慎一 / 大角 孝一
要約 課題
廃インク吸収体中での移動や拡散が阻害され吸収性能が低下しやすいインクを用いた場合であっても、廃液を効率よく吸収させる。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
インクを用いて画像形成を行うインクジェット記録装置に用いられ、前記画像形成に寄与しない廃液を吸収保持する廃インク吸収体であって、
前記廃液が導入される位置を開放する孔部と、該孔部から延びたスリットとが形成され、
前記孔部と前記スリットとの連結部の幅は、前記廃液が導入される位置の中心を通る前記孔部内の最短径よりも小さいことを特徴とする廃インク吸収体。
【請求項2】
前記スリットは前記孔部に対し垂直方向に形成され、更に前記孔部と前記スリットとの連結部の幅は、前記スリットの長手方向に平行な方向および垂直な方向でのそれぞれの幅よりも狭い、請求項1に記載の廃インク吸収体。
【請求項3】
前記スリットの幅方向での中心線と、前記スリットの幅方向と垂直な方向での前記孔部の中心線との交点上から、前記廃液が導入される、請求項1または2に記載の廃インク吸収体。
【請求項4】
互いに同じ寸法で前記孔部およびスリットが形成された複数の前記廃インク吸収体を有し、前記複数の廃インク吸収体は、前記孔部およびスリットが重なるように互いに積層されている、請求項1または3に記載の廃インク吸収体。
【請求項5】
前記孔部は、導入された前記廃液が前記廃インク吸収体の少なくとも一部に接触する大きさを有する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の廃インク吸収体。
【請求項6】
廃液の導入位置に対応して前記孔部が形成され、該孔部の内面における前記廃液が接触する領域が廃液の表面エネルギーを平衡状態にしないようになっている、請求項5に記載の廃インク吸収体。
【請求項7】
前記孔部は、前記廃インク吸収体の側面に開口した開放部を有する、請求項6に記載の廃インク吸収体。
【請求項8】
前記孔部の内面は、廃液が少なくとも2種の異なる表面エネルギーを有するように処理されている、請求項6に記載の廃インク吸収体。
【請求項9】
前記孔部の内面の一部に親水化処理または撥水処理が施されている、請求項8に記載の廃インク吸収体。
【請求項10】
前記孔部の内面の一部が、前記廃インク吸収体とは、廃液の表面エネルギーを異ならせる別の部材で構成されている、請求項8に記載の廃インク吸収体。
【請求項11】
インクを用いて画像形成するインクジェット記録装置において、
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の廃インク吸収体と、
前記廃インク吸収体に、前記画像形成に寄与しない廃液を導入させるための廃液導入手段と、
を有するインクジェット記録装置。
【請求項12】
請求項1ないし10何れか1項に記載の廃インク吸収体が収納される領域に対して、少なくとも廃インク吸収体への拡散速度が相対的に小さい第1のインクに由来する廃液と、拡散速度が相対的に大きい第2のインクに由来する廃液とが、廃インク吸収体の異なる場所より導入されるインクジェット記録装置であって、
前記第2のインクに由来する廃液の導入位置よりも前記第1のインクに由来する廃液の導入位置が、相対的に高く位置していることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項13】
インクを用いて画像形成を行うインクジェット記録装置に用いられ、前記画像形成に寄与しない廃液を受容する廃インク受容タンクおいて、
前記廃液を吸収保持する少なくとも1つの廃インク吸収体と、
前記廃インク吸収体を収納するタンク本体と、を有し、
前記廃インク吸収体には、前記廃液が導入される位置を含む孔部、および該孔部から延びたスリットが形成され、
前記孔部と前記スリットとの連結部の幅は、前記廃液が導入される位置の中心を通る前記孔部内の最短径よりも小さいことを特徴とする廃インク収納容器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置において発生する、記録に寄与しない廃液を効率よく吸収保持可能な廃インク吸収体、およびこの廃インク吸収体を搭載したインクジェット記録装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドから吐出させたインクの液滴を普通紙やその他の記録媒体上に飛翔させて画像を形成する装置であり、その高画質化、低価格化、高速化が進んだことにより、急速に普及している。また、インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドからインクを吐出させる方式であるため、記録とは別にインクジェットヘッドから強制的にインクを排出させて、正常な吐出状態を維持している(ヘッド回復処理)。そのため、インクジェット記録装置は、回復処理のためにインクをインクジェットヘッドから強制的に排出させる機構と、ヘッド回復処理によって強制的に排出されたインクである廃液を貯蔵する廃インク受容タンクと、を一般に備えている。廃インク受容タンクは、廃インク吸収体を有し、この廃インク吸収体に廃液を吸収保持させている。
【0003】
記録画像の高画質化といった背景から、インクジェット記録装置には、さらなる技術革新が望まれるようになり、用いるインクや記録方法等についても様々な検討がなされている。
【0004】
例えば、色材として顔料を用いたインク組成物とこのインク組成物中の色材を不安定化させる反応液とを使用し、2液の反応を利用して色材を凝集させ、普通紙上でのインクの滲みや混色(ブリード)を抑制するインクが提案されている(特許文献1)。また、色材として顔料を用い、更にインク中に特定の塩を含有させ、ブリードを抑制するインクおよびインクセットも提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
一般に、普通紙への記録で高画質化を得る方法として、前述したように紙面上での色材の凝集を促進させることが行われている。それにともない、記録に用いられない廃液の凝集性も高くなり、このような凝集性の高い廃液を効率的に廃インク吸収体に吸収させることが重要となっている。
【0006】
廃液を貯蔵するための従来の構成としては、例えば、廃液の導入口を含む位置に延在する凹部を形成した廃インクタンク(特許文献3参照)が提案されている。また、廃インクが滴下される貫通孔と、この貫通孔から放射状に形成された切欠き溝を有する廃インクタンク(特許文献4参照)が提案されている。さらに廃インクの滴下部位に孔部を設けるとともに、底面に突起部を設け、さらに底面に、インクを誘導する流路を設けた廃インク吸収体収納部(特許文献5参照)が提案されている。
【0007】
また、顔料インクと染料インクに由来するそれぞれの廃液の排出口を近接させ、両者のインクを混合することにより廃液の凝集物を抑制するという思想の廃インク吸収体収納部(特許文献6参照)も提案されている。
【特許文献1】特開2000−63719号公報
【特許文献2】特開2000−198955号公報
【特許文献3】特開2000−127439号公報
【特許文献4】特開2001−105626号公報
【特許文献5】特開2004−34412号公報
【特許文献6】特開2002−225313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らが、画像濃度やブリード抑制性能など画像性能の一層の向上を目指しつつ、インクの改良に関して鋭意検討した結果、水分蒸発等で瞬時に分散安定性が低下したり粘度が上昇したりするインクほど、高い画像性能が得られることがわかった。しかしながら、このような水分蒸発等により瞬時に分散安定性が低下してしまうインクの廃インク吸収体への吸収性能は、従来用いられているインクに比べて低く、従来開示されているような廃インク吸収体では十分な吸収性が得られない場合があることがわかった。
【0009】
例えば、特許文献6に記載のものでは、廃インク吸収体上に顔料固着物が形成される前に染料インクと混合させることによって顔料固着物の形成を抑制し、廃インク吸収体の吸収性能を向上させる発明が開示されている。しかし、本発明者が検討したような従来のインクに比べ水分蒸発等により分散安定性が瞬時に低下してしまうインクでは、混合によって凝集物の生成を逆に促進してしまったりする場合があった。
【0010】
特許文献3および4では、廃液の導入部を含む位置から延びた凹部または切欠き溝を形成することにより、廃液導入部付近で廃液が蒸発し、流動性を失うような現象が回避されるという開示がある。しかしながら、本発明者が検討したような水分蒸発等により分散安定性が瞬時に低下してしまうインクでは、インクの廃液の滴下位置、より具体的には、廃液の流動性が低下する前に廃インク吸収体に接する場合、滴下位置で顔料が固着してしまう。その結果、その後、同位置に滴下された廃液は、固着物を核として堆積し、最終的には凹部あるいは切欠き溝へのインクの流れを塞いでしまう場合があった。その結果、凹部あるいは切欠き溝全体を最大限に活用する前に廃液導入部位付近から廃液が溢れてでてしまい、結局廃インク吸収体全体を有効に使用できない場合があった。
【0011】
特許文献4にはさらに、複数の廃インク吸収体を、切欠き溝を互いにずらして上下方向に積層するという内容がさらに開示されている。これに関して本発明者らが検討した結果、以下のような課題が確認された。下層の廃インク吸収体の切欠き溝に堆積した廃液が一定量以上になると、その上層の廃インク吸収体に廃液が接触し、上層の廃インク吸収体においても廃液の吸収が始まる。その際に廃液中の水や溶剤等の液体成分と色材等の固体成分との間で固液分離が進行していた。すなわち、浸透性は液体成分の方が高いために、上層の廃インク吸収体には液体成分が相対的に多くなった廃液成分が吸収されているのが確認された。逆に、下層の切欠き溝には、固体成分が相対的に多くなった廃液成分が残った状態になった。その結果、下層の切り欠き溝においては、廃液の増粘と凝集物の生成を助長してしまい、切り欠き溝、もしくは廃液導入口付近で廃液が目詰まりし、廃インク吸収体全体を有効に使用できなかった。
【0012】
特許文献5では、廃液容器の底面に廃液の滴下部位を中心にして放射状に延びる溝を設けている。しかし、このような構成では、放射状に延びた溝にあふれるまで廃液が充填されないと溝の上方にある廃インク吸収体に接しないため、廃液が廃インク吸収体に吸収される前に、既に廃液中の水分等の蒸発によって大きく粘度が上昇したり、凝集物が生成したりする場合があった。
【0013】
このように、従来の廃インク吸収体の廃液吸収性能では、本発明で対象としているようなインクを用いる場合には不十分であることがわかった。
【0014】
本発明の目的は、水分の蒸発などによる色材が急激に不安定化し、廃インク吸収体へのインクの移動や拡散を阻害することで、吸収性能が低下しやすいインクを用いた場合であっても、生じた廃液を効率よく吸収し保持できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため本発明の廃インク吸収体は、インクを用いて画像形成を行うインクジェット記録装置に用いられ、前記画像形成に寄与しない廃液を吸収保持する廃インク吸収体において、
前記廃インク吸収体には、前記廃液が導入される位置を含む孔部、および該孔部から延びたスリットが形成され、
前記孔部と前記スリットとの連結部の幅は、前記廃液が導入される位置の中心を通る前記孔部内の最短径よりも小さいことを特徴とする。。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、廃インク吸収体に上記のような寸法関係を有する孔部およびスリットを形成することで、廃インク吸収体中での移動や拡散が阻害され吸収性能が低下しやすいインクを用いた場合であっても、廃液を効率よく吸収させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の廃インク吸収体は、インクジェット記録ヘッドからインクを吐出して画像形成を行うインクジェット記録装置において生じる廃液を回収するものである。インクジェット記録装置は、記録時の吐出動作とは別にインクジェット記録ヘッドからインクを強制的に排出させることによって吐出特性を維持させる(ヘッド回復処理)ための回復機構を有する。また、ヘッド回復処理によって生じた廃液を吸収保持する廃インク吸収体と、回復機構から廃インク吸収体へ廃液を導き、廃液を廃インク吸収体へ導入させるための導入手段とを有する。
【0018】
廃インク吸収体は、導入手段によって導かれた廃液が導入される部分である導入部を含む孔部と、この孔部から延びたスリットとを基本的な構成とする。なお、廃インク吸収体は、インクジェット記録装置の下ケースに直接収納される場合、または廃インク受容タンク内に収納される場合等が考えられるが、特に限定されるものではない。
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態によるインクジェット記録装置の下ケース内に収納されている廃インク吸収体の平面図である。
【0021】
廃インク吸収体31は、全体として略直方体形状であり、その側面および底面がインクジェット記録装置の下ケース35の内壁面に接して収容される寸法とされる。廃インク吸収体31には、孔部33およびスリット32が、廃インク吸収体31の厚さ方向(高さ方向)に貫通して形成されている。そのため、孔部33が形成された領域およびスリット32が形成された領域では、インクジェット記録装置の下ケース35の底壁が露出している。
【0022】
孔部33は、廃インク吸収体31の一側面からそれに対向する側面に向かって延びた切込みとして廃インク吸収体31に形成されている。スリット32は、孔部33の長さ方向途中から、幅Wslで孔部33と直交する方向に延び、廃インク吸収体31の側面に達している。孔部33の寸法について、スリット32の長手方向と平行な方向での幅をW1、スリット32の長手方向と垂直な方向での幅をW2としたとき、スリット32の幅Wslは、孔部33の各幅W1、W2の両者よりも狭い。スリット32の幅Wslとは、スリット32の長手方向と垂直な方向での寸法をいう。
【0023】
廃インク吸収体31としては、廃液を適度に保持する機能を備えた材料であれば特に限定されるものではない。スポンジ等の多孔質体やパルプを材料とした繊維状体により構成されたもの、あるいは高分子吸収体または高分子吸収体を紙状体にまぶした部材等が好適に使用可能である。
【0024】
廃液は、孔部33の内側に位置する廃液導入部34より滴下される。廃液導入部34は、上記の回復処理によって生じた廃液を廃インク吸収体31へ導く、例えばチューブといった導入手段による、廃液の導入位置を示す。このように、廃液導入部34は孔部33の内側に位置するので、図1のような形態の場合、廃液は、インクジェット記録装置の下ケース35の底壁面上に直接滴下されることになる。
【0025】
本件の廃インク吸収体は、孔部とスリットの連結部の幅が、孔部内に設けられた廃液が導入される位置の中心を通る孔部内の最短径よりも小さいことを特徴としている。この特徴を、図1を用いて具体例として説明する。図1のスリット32は、スリット32との連結部からほぼ同一の幅を保ちつつ、インクジェット記録装置の下ケース方向に伸びている。よって、図1における孔部33とスリット32の連結部の幅とはWslを意味する。また、孔部33内に設けられた、廃液が導入される位置の中心を通る孔部33内の最短径とはW1を意味する。本発明においては、上記Wslの幅がW1の幅よりも小さいことを特徴としたものである。
【0026】
なお、上記は孔部33が長方形の形を有した場合を例として説明したものである。しかし、孔部33の形状はこれに限らず円形、多角形、または後述する図12(a)〜(c)に示す形状等、どのような形状であってもよい。いずれの形状の場合においても、本発明の孔部とスリットの連結部の幅、および孔部内に設けられた廃液が導入される位置の中心を通る孔部内の最短径とは、上記と同様の考え方を反映させたものとする。
【0027】
また、滴下された廃液の一部は、少なくとも水分蒸発により色材の分散安定性が損なわれる前に廃インク吸収体に接触する必要がある。よって、廃液導入部34の導入位置及びW1の長さは、上記内容を考慮した形態にする必要がある。廃液導入部34から孔部33内へ滴下された廃液の一部は、廃インク吸収体31に吸収され、それと同時に、残りの一部は、スリット32に吸い寄せられるようにスリット32へと移動する。スリット32は、孔部33に対して上記のとおりの寸法関係となっている。廃インク吸収体31をこのような形状にすると、水分の蒸発などによる凝集や粘度上昇によって廃インク吸収体31への廃液の移動や拡散を阻害し、吸収性能が低下し易いインクを用いた場合であっても、廃液の吸収能力が劇的に向上する。理由は定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。
【0028】
第1に、スリット32と孔部33との境界部39の存在が挙げられる。この境界部39が存在すると、廃インク吸収体31自身が持つ毛細管力によって、廃液がスリット32の方向に向かう力が作用する。そのため、廃液導入部34からスリット32の方向へのインクの流れが生じる。スリット32方向へと移動した廃液はスリット32を形成している廃インク吸収体壁40に吸収されながら広がっていく。
【0029】
第2に、孔部33の各幅W1、W2とスリット32の幅Wslとの大小関係自体がいわゆる毛細管現象を発生するような構成になっていることが挙げられる。すなわち、廃液導入部34より孔部33へ導入された廃液は、より幅の狭いスリット32へと移動する力が作用する。なお、廃液導入部34の導入位置は、滴下直後の廃液が境界部39に接するように滴下することが好ましい。
【0030】
この2つの作用によって、廃液の吸収能力が劇的に向上するものと思われる。特許文献3,4には、前述したように、廃液導入部を含む位置から延びた凹部または切欠き溝を形成することが開示されている。しかしながら、特許文献3、4には廃液導入部の幅とスリットの幅に関する記載がなく、しかも図面では同程度の幅で描かれていることから、本発明のような思想は全く読み取れない。またそれらの技術から本発明を容易に想到することも困難である。
【0031】
図2および図3には、本発明の参考例として、孔部33の各幅W1、W2のいずれかがスリット32の幅Wslと同じか、または狭い例を示す。
【0032】
図2では、スリット32の幅Wslは、孔部33の、スリット32と平行な方向での幅W1と等しい。そのため、廃液導入部34から廃液が導入されると、孔部33の、スリット32との交差部では、スリット32へ向かう方向への毛細管力と同程度の毛細管力が、孔部33の開放端へ向かう方向(図の下方向)にも作用してしまう。その結果、スリット32へ向かう方向への廃液の流れが大きく妨げられてしまう。この傾向は、孔部の幅W1が狭ければ狭いほど顕著になる。
【0033】
図3は、スリット32と平行な方向での孔部33の幅W1はスリット32の幅Wslよりも広いが、垂直な方向での幅W2がスリット32の幅Wslよりも狭い例である。この場合には、廃液導入部34からスリット32へ向かう向きに働く毛細管力よりも逆向きに働く毛細管力のほうが大きいため、スリット32を有効に利用できなくなってしまう。
【0034】
図4および図5は、図1に示す実施形態の変形例であり、いずれも孔部33から2本のスリット32が延びている例を示す。もちろん、各スリット32の幅Wslは、孔部33の幅W1よりも狭い。孔部33から延びたスリット32の数は特に限定されるものではない。ただし、スリット32の数が多すぎると廃インク吸収体31自体の容積が減少し、廃液の総吸収容量が減ってしまうため、あまり好ましくない。また、各スリット32は互いに平行である必要はなく、例えば孔部33から放射状に延びていてもよい。
【0035】
スリット32の幅Wslは本発明で規定する条件を満足していれば特に制限されるものではない。しかし、スリット32の幅Wslが狭すぎると、増粘した廃液でスリット32自体がふさがれてしまうおそれがある。逆に、スリット32の幅Wslが太すぎると、廃インク吸収体31の総容積が減り、吸収できる廃液量自体が少なくなってしまう。このような理由から、スリット32の幅Wslとしては、3mm以上15mm以下であることが好ましく、より好ましくは3mm以上5mm未満である。さらに、孔部33の幅W1としては、6mm以上30mm以下であることが好ましく、さらには幅Wslの2倍以上であることがより好ましい。幅W1を幅Wslの2倍以上とすることで、廃液導入部34の位置によっては、本発明の技術思想である毛細管力の作用が非常に顕著に現れる場合がある。また、孔部33の幅W2としては、6mm以上30mm以下であることが好ましく、さらには幅Wslの2倍以上であることがより好ましい。幅W2を幅Wslの2倍以上とすることで、廃液導入部34の位置によっては、本発明の技術思想である毛細管力の作用が非常に顕著に現れる場合がある。
【0036】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態によるインクジェット記録装置の下ケース内に収納されている廃インク吸収体の平面図である。
【0037】
図6に示す孔部33およびスリット32の位置や寸法といった、廃インク吸収体31の形状は図4に示したものと同じであるが、廃液導入部34の位置が図4に示した例と異なる。すなわち、本実施形態では、廃液導入部34は、孔部33の幅W1方向での中心線と、スリット32の幅Wsl方向での中心線との交点に位置している。
【0038】
本実施形態では、上述のように孔部33とスリット32との交差部の中心に廃液導入部34が位置しているので、廃液をスリット32へ導くのに有効に作用する境界部39の数が、図4に示した形態と比較して倍になる。すなわち、図4に示した形態では、孔部33に関して廃液導入部34からの廃液の流れ方向の途中でスリット32が延びている。そのため、廃液をスリット32の方向へ誘導する力の根源として有効に作用する境界部39は、廃液の流れ方向に関して上流側の2箇所である。これに対して、図6に示す形態では、廃液導入部34の位置から、孔部33とスリット32との全ての境界部39までの距離が等しいため、4つの境界部39が有効に作用する。その結果、廃液をより効率的にスリット32へと導くことが可能となる。
【0039】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態による廃インク吸収体と廃インク吸収体を収納しているインクジェット記録装置の下ケースの分解斜視図である。
【0040】
本実施形態の廃インク吸収体は、それぞれ孔部33およびスリット32を有し、互いに積み重ねられた2つの廃インク吸収体31がインクジェット記録装置の下ケース内に収容された構成となっている。各廃インク吸収体31は、孔部33およびスリット32も含めて互いに同じ形状およびサイズに形成されており、孔部33およびスリット32の位置が実質的に完全に重なるように積層されている。図7では、孔部33は廃インク吸収体31の側端面に達していない例を示しているが、前述した各実施形態で述べた種々の構成が適用可能である。スリット32についても、図7に示したものに限られず、前述した各実施形態で述べた種々の構成が適用可能である。また、廃インク吸収体31の積層数は、3層以上であってもよい。
【0041】
廃液は、白抜き矢印で示したように、廃インク吸収体31の上方から滴下され、孔部33が開口した領域内の、インクジェット記録装置の下ケース35の底壁面上に位置する廃液導入部34より廃インク受容タンク内へ導入される。なお、廃液導入部34の導入位置は特に限定されるものではないが、上述したように、滴下された廃液の一部が、少なくとも水分蒸発により色材の分散安定性が損なわれる前に廃インク吸収体に接触する必要がある。
【0042】
本実施形態のように、複数の廃インク吸収体31を互いに積層した構成は、廃液導入部34を含む孔部33と、孔部33より延びた、孔部33の幅よりも狭いスリット32とを有する廃インク吸収体31の形状の効果を最も発揮させる。この効果は、境界部39の上下方向の高さが増すことに起因する。すなわち、複数の廃インク吸収体31を積層することで、境界部39付近で少々の固着物が仮に生成したとしても、それよりも高い位置まで、境界部39を含む廃インク吸収体31が存在するようになる。そのため、上向きに働く毛管作用と、スリット32の延びる方向に働く毛管作用とによって、固着物を乗り越えてスリット32の延びる方向に廃液が流れるように、絶えず力が作用する。その結果として、スリット32の先端までしっかりと廃液が行き渡り、そこから平面全体に廃液が広がり、最終的には最下層から順に隅々まで有効に3次元的に廃液を吸収させることが可能となる。
【0043】
上下方向に廃インク吸収体31を積層している従来例も存在するが、本発明のような技術を想到できる従来例は存在しない。例えば、特許文献3に開示された例では、下層のスリットを上の層で完全に覆ってしまっている。これでは、上述したように固液分離が進行してしまう。また特許文献4では、切欠き溝をあえて重ならないようにずらして重ねる、と開示されており、切欠き溝の位置を重ねて積層することは意図していない。
【0044】
廃インク吸収体31の高さ方向の厚みとしては、全ての層の合計で少なくとも8mm以上あると、本発明の効果を得る上で好ましい。さらには、10mm以上であることがより好ましい。
【0045】
また、廃インク吸収体31を2層以上積層する場合には、より上層の廃インク吸収体31に、細孔のより細かい廃インク吸収体31を用いるのが好ましい。これにより、互いに上下に隣接する廃インク吸収体31の関係で上層側が下層側よりも大きな毛細管力を有することになるので、その隣接する層間で毛細管力が上向きに働き、廃液を下層から上層へ、より吸収しやすくなる。
【0046】
廃インク吸収体の細孔の大きさは同じ材質で圧縮率を変えることにより調製してもよいし、材質自体が異なるものを使用しても良い。
【0047】
また、積層する少なくとも2層以上の廃インク吸収体31が有する各々の孔部33およびスリット32の寸法は、完全に同一でなくとも孔部、及びスリットが実質的に重なるように配置されていれば、本発明の効果が発揮される。
【0048】
(第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態による廃インク吸収体と廃インク吸収体を収納しているインクジェット記録装置の下ケースの分解斜視図である。
【0049】
本実施形態は、それぞれ孔部33およびスリット32を有し、互いに積み重ねられた2つの廃インク吸収体31a,31bがインクジェット記録装置の下ケース35内に収容された構成となっている。上層の廃インク吸収体31aは、孔部33およびスリット32を有し、下層の廃インク吸収体31bは、孔部33およびスリット32は有さない。図8では、孔部33は廃インク吸収体31aの側端面に達していない例を示しているが、前述した各実施形態で述べた種々の構成が適用可能である。スリット32についても、図8に示したものに限られず、前述した各実施形態で述べた種々の構成が適用可能である。また、廃インク吸収体31a、31bの積層数は、さらに、孔部33およびスリット32を有する廃インク吸収体または孔部33およびスリット32を有さない廃インク吸収体を積層させることにより、3層以上とすることができる。
【0050】
廃液は、白抜き矢印で示したように、上層の廃インク吸収体31aの上方から滴下され、孔部33が開口した領域内の、下層の廃インク吸収体31bに位置する廃液導入部34より導入される。なお、廃液導入部34の導入位置は特に限定されるものではない。
【0051】
廃インク吸収体31a、31bの高さ方向の厚みとしては、全ての層の合計で少なくとも8mm以上あると、本発明の効果を得る上で好ましい。さらには、10mm以上であることがより好ましい。
【0052】
また、廃インク吸収体を2層以上積層する場合には、より上層の廃インク吸収体に、細孔のより細かい廃インク吸収体を用いるのが好ましい。これにより、互いに上下に隣接する廃インク吸収体の関係で上層側が下層側よりも大きな毛細管力を有することになるので、その隣接する層間で毛細管力が上向きに働き、廃液を下層から上層へ、より吸収しやすくなる。
【0053】
廃インク吸収体の細孔の大きさは同じ材質で圧縮率を変えることにより調製してもよいし、材質自体が異なるものを使用しても良い。
【0054】
以上本発明について幾つかの実施形態を例に挙げて説明したが、上述した各実施形態に適用可能な孔部の形状等について以下に説明する。
【0055】
孔部の大きさとしてはスリットの幅よりも幅が広いことが本発明の効果を発揮するために必要である。具体的な大きさは特に制限がないが、1回の回復動作により排出される廃液を廃液導入部に滴下したとき、滴下された廃液滴が、廃インク吸収体の少なくとも一部に接触するような大きさであることが好ましい。
【0056】
孔部の形状としては、孔部の内面(内側の断面)における廃液が接触する領域において、廃液の表面エネルギーを平衡状態にしないような形状とすることが好ましい。
【0057】
なお、本発明で言う廃液滴が接触する領域とは、例えば図9の領域A、Bに示すように、大気、および廃インク吸収体31の部分と、廃液4とが接する地点を意味する。
【0058】
また、“廃液の表面エネルギーを平衡状態にしない”現象とは、図10に示すように、廃インク吸収体31dに対してある方向に廃液4が偏って吸収されていく現象を意味する。図10において、符号33dは孔部を示す。
【0059】
逆に、“廃液の表面エネルギーが平衡状態になる”現象、すなわち表面エネルギーがどの方向においても均一になる具体例としては図11のような例が挙げられる。図11では、断面が円形の孔部2aが廃インク吸収体2に形成されている。その底面が、廃インク吸収体2の孔部2aが開口する領域でドーム状に盛り上がっており、その盛り上がった部分の頂部が廃液導入部3となっている。このような構成の場合、廃液導入部3に滴下された廃液は、重力の作用によって放射状に広がり、廃インク吸収体2の孔部の内周面全周に廃液滴が表面エネルギーが均一の状態で接触する。その結果、図11(a)に示すように、中心付近で廃液が取り残される。その後、残留した廃液が固着し、該固着物が核となり、廃液が廃インク吸収体2へ吸収、拡散する際の阻害物となりうる。従って、廃液滴が接触する領域の表面エネルギーが平衡状態になるような孔部の形状は好ましくない。
【0060】
孔部とスリットが形成された別の廃インク吸収体の例を、図12(a)〜(c)に示す。図12(a)に示す廃インク吸収体31aでは、孔部33aの先端部が半円形状とされている。図12(b)に示す廃インク吸収体31bでは、互いに間隔をあけて形成された2つの孔部33bが根元の部分とスリットにより互いに接続された形状を有する。図12(c)に示す廃インク吸収体31cでは、孔部33cの幅が、先端部へ向かって広くなっている。いずれの孔部33a〜33cも、閉じた孔ではなく一部が廃インク吸収体31a〜31cの側面に開放した形状となっている。また、各孔部33a〜33cからの延びているのはスリットである。
【0061】
なお、廃液導入部付近に存在する廃液が接触する領域の廃液の表面エネルギーを平衡状態にしない別の手段としては、孔部の内面に少なくとも2種の異なる表面エネルギーを付与することが挙げられる。異なる表面エネルギーを付与する方法としては、孔部の内面の一部に親水化処理または撥水処理を施す方法などが挙げられる。孔部の内面の一部を親水化または撥水化する方法としては、孔部の内面の一部で廃インク吸収体自体を親水化処理または撥水処理する方法や、廃インク吸収体とは表面エネルギーの異なる別の部材で孔部の内面の一部を構成する方法などが挙げられる。後者の場合の一例を図13に示す。図13に示す廃インク吸収体31eには、一部に開放部を有して孔部33eが形成されている。そして、その孔部33eの開放部を塞ぐように、プレート51が取り付けられている。プレート51は、樹脂材料といった材料で形成され、その少なくとも孔部33eの内面を構成する面に、撥水処理が施されている。
【0062】
また、廃液滴の接触する領域の表面エネルギーを平衡状態にしないようにするためには、孔部に開口部を設けない場合においても、図14に示すように、導入された廃液4の外周の一部だけが廃インク吸収体31fに接触するように、孔部33fの面積や、廃液4の排出速度などを制御することも可能である。
【0063】
本発明における、表面エネルギーが平衡状態にならないように廃インク吸収体が形成されているか否かは、廃液の導入により孔部に形成されたインク滴の拡散が一様でなく、特定の方向に拡散していることを確認することにより確認される。
【0064】
また、インクジェット記録装置としては、一回の回復動作によりに排出される総廃液により形成される廃液滴が接触する領域の表面エネルギーを平衡状態にならないように設計することが好ましい。
【0065】
1回の回復動作により排出される廃液により形成される廃液滴が、廃インク吸収体に接触しない場合には、廃液は少なくとも次回の回復動作まで吸収されないまま放置される状態となり、固着物の生成や増粘などが極めて生じやすくなる。したがって、排出された廃液を確実に吸収させるためには、一回の回復動作によりに排出される総廃液により形成される廃液滴が廃インク吸収体に接することが重要である。その上で、廃液滴の接触する領域の表面エネルギーを平衡状態にしないことで、効率よく廃インク吸収体に廃液を吸収させることができる。
【0066】
本発明における回復動作とは、記録ヘッドのインク吐出口内部の固着インクや増粘インクを吸い出すことにより、記録ヘッドのインク吐出性能を回復させる動作をいう。通常、非記録動作時間に応じて、1回の回復動作時に排出される廃液量が異なる場合があるが、本発明における1回の回復動作とは、記録装置により決定される回復動作のうち、最小の廃液排出量の場合を意味する。したがって、それ以上の量の廃液が排出される場合においては、排出された廃液により形成される廃液滴の一部は、廃インク吸収体収納部に接触する。
【0067】
また、廃液導入手段から廃インク吸収体への廃液の導入は、廃インク吸収体やインクジェット記録装置本体の下ケース、または廃インクタンク本体とは非接触な状態で行われることが望ましい。非接触な状態とは、廃液導入手段から排出される廃液が、廃液導入手段と廃インク吸収体、もしくは下ケース、もしくはタンク本体の底部と同時に接することなく、廃液が排出されることをいう。
【0068】
なお、廃インクタンク本体とは、廃インク吸収体を収納しているタンクを意味したものである。
【0069】
廃液が廃インク吸収体に直接接触する場合などでは、孔部の断面に固着物が生成しやすく、廃液導入手段を閉塞する可能性があるため好ましくない。
【0070】
孔部の形状としては、1回の回復動作時に排出されるインクにより形成されるインク滴の表面エネルギーを平衡状態にしなければ特に限定されないが、スリットと平行方向、および垂直方向ともに幅が広いことが必須である。
【0071】
スリットの形状としては、特に限定されず使用することができる。好ましい具体的な実施形態を図15に示すが、これに限定されるものではない。図15(a)は、インクジェット記録装置の下ケース35内に収納されている廃インク吸収体31の平面図であり、図15(a)のA−Bで示される直線における断面図により示されるスリットの形状の例を図15(b)〜(d)に示す。
【0072】
図15(b)に示すスリット32は、上部と下部でスリット32の幅Wslが等しい形状となっている。図15(c)に示すスリット32は、上部のスリット幅が下部のスリット幅Wslよりも広い形状となっている。図15(d)に示すスリット32は、上部のスリット幅が下部のスリット幅Wslよりも狭い形状となっている。
【0073】
次に、本発明に好ましく用いることのできるインクおよび色材等の例を説明する。本発明は、ブリード性能をより向上させることを目的としたインクを用いると廃インク吸収体において、色材が析出するという、従来では認識されていない現象が生じるようなインクにおいて、より優れた効果を発揮することができる。このような現象が生じる原因あるいは要因に対して追求すると、以下に説明する、色材単体の特徴、色材と溶剤との関係、混合状態の新たな現象などを挙げることができる。ただし、本発明は以下に限るものではなく、本発明が新たに見出した現象をもたらす各種のインク色材やインクに対して有効であることは言うまでもない。
【0074】
ブリード性能を向上させたインクとは、例えば、色材として、親水性を有する官能基を直接若しくは他の原子団を介して結合している自己分散顔料(カーボンブラック等)を用い、さらに複数の水溶性有機溶剤として少なくとも1種類が、この顔料の分散安定性を低下させる特性を有する貧溶媒である水溶性有機溶剤を用いたものである(第1のインク)。上記のようなインクを記録媒体に付与した場合、水分が蒸発するにつれ顔料に対する貧溶媒の比率が高まるため、記録媒体の上層部で顔料同士が凝集し始める。その結果、単体としても周辺に他のインクがあってもブリードを抑制できる効果がある。さらに第1のインクの色材としては、顔料表面に結合させる親水性を有する基の顔料表面に対し高密度とした顔料を色材として使用する場合、上記利点と廃インク吸収体上で色材が固着し、廃インク吸収体の吸収性能が極端に低下する現象が共により顕著になることである。この場合、色材構造による立体障害の影響により、従来の自己分散顔料に比べてインク中の溶剤が顔料と溶媒和しにくくなり、わずかな水分蒸発で顔料の分散安定性が低下する傾向を示す。その結果、ブリードをより緩和させる効果がある。
【0075】
更に、水の蒸発に伴い増粘や粒径が増大するインク、より具体的には、液体から水分が40%蒸発した時に、蒸発前後での平均粒径が25%以上変化してしまうインクなどはブリードをより緩和させることが可能となる。なお、粒径は、例えば、濃厚系粒径アナライザFPAR−1000(商品名;大塚電子社製)により、希釈を行わずに粒径を測定することにより簡単に確認できる。
【0076】
また、第1のインクと第2のインクを混ぜて粘度を測定した場合に、その粘度が第1のインクと第2のインクの粘度のいずれよりも高くなるような第1のインクと第2のインクであるような場合にはブリードをより緩和させる効果がある。
【0077】
上記のようなインクの場合には、廃インク吸収体に吸収されづらく、インク中の水分が蒸発し、凝集物の生成や増粘が生じると、たとえ回復操作を繰り返して、新たに水分の蒸発が少ない廃液を供給しても、再分散させたり、粘度を元通りに下げることは困難である。
【0078】
廃液からの蒸発の度合いは、例えば、廃液チューブ等の材質、チューブ内径の他、一回当たりの回復動作で排出される廃液の量などによっても変わってくる。しかし、一般的に使われている廃液チューブの材質やチューブ内径は、限定されており、一回当たりの回復動作で排出される廃液の量も一般的には所定の範囲内である。
【0079】
上記のようなインクが搭載されたインクジェット記録装置に用いる廃インク吸収体として、本発明の廃インク吸収体を利用する場合としない場合では、廃インク吸収体の吸収性能に明らかな差が見られる。
【0080】
なお、本発明における貧溶媒とは、「判定しようとする溶媒50質量%程度を含み、且つインクに用いる色材を分散状態で含む顔料分散液を、60℃で、48時間保存したときの当該液体中の粒子径が、判定しようとする溶媒を含まない、もしくは少量含み、かつ当該インクに用いる水不溶性色材を分散状態で含む顔料分散液の粒径と比較して大きい」とういう特性を示す溶媒である。また、良溶媒とは、貧溶媒以外の特性を示す溶媒である。
【0081】
本発明の廃インク吸収体に対しては、上記のような溶剤および色材を含み前記溶剤が前記色材に対する貧溶媒を含むインク(第1のインク)以外の第2のインクに由来する廃液を本発明の廃インク吸収体に吸収させることも可能である。第2のインクに由来する廃液の廃インク吸収体に対する導入位置は特に限定されるものではない。しかし、第1のインク由来の廃液と第2のインク由来の廃液が廃インク吸収体上または内部で接触した際、両廃液の廃インク吸収体中への拡散または移動を阻害してしまう場合は、両廃液の廃インク吸収体に対する導入位置を考慮する必要がある。より具体的には、各廃液が廃インク吸収体に導入された時、第1のインクに含まれる溶剤が、単独で廃インク吸収体中を拡散または移動でき、かつ、この移動した廃液と、第2のインクに由来する廃液とが接することができるだけの距離だけ離すことが必要である。より具体的には、図16に示すように、第1のインクに由来する廃液の導入位置12と、前記第2のインクに由来する廃液の導入位置13との、前記廃インク吸収体内での最短距離として、5cm以上20cm以下である。
【0082】
図16における第1、第2のインクに由来する廃液の導入位置12、13の底部には、インク吸収性のないプラスチック製の板が備え付けられている。そのプラスチック製の板に各廃液が滴下され、その後、廃インク吸収体へと廃液は拡散していく。
【0083】
また、図16に示すように、廃インク吸収体への拡散速度が相対的に小さいインクに由来する廃液の導入位置12を廃インク吸収体への拡散速度が相対的に大きいインクに由来する廃液の導入位置13よりも相対的に高くすることで、廃インク吸収体をより効率よく使用することが可能となる。
【0084】
廃インク吸収体への廃液の拡散速度は、以下の方法によって比較することが可能である。
【0085】
即ち、インクジェット記録装置の廃インク吸収体に使用する廃インク吸収体と同材質のものを使用し、幅5mm×長さ150mm×厚さ5mmの大きさとする。50ccビーカーへ測定しようとする液体を10ml用意し、この中へ上記の大きさにした廃インク吸収体を入れる。5分間放置した後に、ビーカーから廃インク吸収体を取り出し、それぞれの液体の移動した距離を測定し、拡散速度を算出する。
【0086】
第1と第2のインクが接触した際、両液体の廃インク吸収体中への拡散または移動を阻害してしまう第2のインクの例を示す。例えば、記録媒体上でのブリードをより緩和させることを目的として、第2のインク中に、第1のインク中に含まれる顔料に対する貧溶媒となる溶剤を含有させた場合、さらには、色材として端部にベンゼン環(疎水部が大半出あれば、一部が親水部を有していても良い)を有する構造をもつ色材を少なくとも色材として有するインク等が挙げられる。端部にベンゼン環を有する構造をもつ色材は、一般的に顔料へ吸着しやすい性質を持つ。このことから、顔料の分散安定性を阻害することから、第1及び第2のインク由来の廃液が廃インク吸収体で接触した場合、廃インク吸収体中への拡散又は移動を阻害する障壁を構成しやすくなる。そのため、本発明における課題が顕著に発生し、その課題を解決してなされる効果も顕著となる。
【0087】
更に、第1のインクと第2のインクが以下の関係にある場合も、各インクに由来する廃液の導入位置を上記のように規定する必要がある。具体的には、両インクを混ぜて粘度を測定した場合に、その粘度が核インク単独の粘度のいずれよりも高くなる関係にある第1のインクと第2のインクが挙げられる。
【0088】
上記のようなインクの場合には、廃インク吸収体に吸収されづらく、インク中の水分が蒸発し、凝集物の生成や増粘が生じると、たとえ回復操作を繰り返して、新たに水分の蒸発が少ない廃液を供給しても、再分散させたり、粘度を元通りに下げることは困難である。
【0089】
第1及び第2のインクに由来する廃液が廃インク吸収体で接触した場合、廃インク吸収体中への拡散または移動を阻害する障壁を構成しやすくなる第2の色材の具体的として以下の構造式(1)、構造式(2)で示す色材が挙げられる。
【0090】
【化1】


【0091】
(構造式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロヘキシル基、モノもしくはジアルキルアミノアルキル基、またはシアノ低級アルキル基を示し、Yは、塩素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、またはモノもしくはジアルキルアミノ基(アルキル基上にスルホ基、カルボキシル基、およびヒドロキシル基からなる群から選択される置換基を有していてもよい)を示し、R2、R3、R4、R5、R6は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはカルボキシル基(但し、R2、R3、R4、R5、R6のすべてが水素原子である場合を除く。)を示す。)
構造式(1)で表される化合物の具体例としては、遊離酸の形で下記の構造となる例示化合物が挙げられ、特にM7の例示化合物が好ましく用いられる。
【0092】
【化2】


【0093】
【化3】


【0094】
(構造式(2)中、l=0〜2、m=1〜3、n=1〜3、但し、l+m+n=3〜4であり、置換基の置換位置は、4もしくは4’位を表し、Mはアルカリ金属またはアンモニウムを示し、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、スルホ基、またはカルボキシル基(但し、R1、R2は、同時に水素原子となる場合を除く。)を示し、Yは、塩素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、またはモノもしくはジアルキルアミノ基を示す。)
構造式(2)で示す色材は4−スルホフタル酸誘導体又は、4−スルホフタル酸誘導体と(無水)フタル酸誘導体を金属化合物の存在下に反応させる事で得られるフタロシアニン化合物を原料に用い、スルホン基をクロロスルホン基に変換した後、有機アミン存在下にアミノ化剤を反応させたフタロシアニン化合物、すなわち、構造式(2)中の4及び4’位置(構造式(2)中のR2、R3、R6、R7、R10、R11、R14、R15)に限定して無置換スルファモイル基(−SO2NH2)と置換スルファモイル基(下記構造式(3))を導入したフタロシアニン化合物であるという特徴を持ち、かかる化合物を色材として用いたインクが極めて耐環境ガス性が優れている事を見出した。
【0095】
【化4】


【0096】
構造式(3)で表される化合物の具体例としては、遊離酸の形で下記の構造となる例示化合物が挙げられ、特にC1の例示化合物が好ましく用いられる。
【0097】
【化5】


【0098】
上記のような特性を有する第1のインク及び、第2のインクを用いることで、ブリード性能を従来のインクに比べ格段に向上させることが可能となる。しかしながら、上記の各々の廃液を廃インク吸収体の隣接させた部分に滴下させた場合、廃インク吸収体中への拡散又は移動を阻害する障壁を構成してしまうという、従来では起きなかった現象を引き起こしてしまった。
【0099】
また、第1のインクが顔料を色材に有するブラックインクとして、第2のインクが染料を色材に有するブラックインクとする、本発明の好ましい一態様がある。この場合の、好ましい染料を色材に有するブラックインクは、上記カラーインクの場合と同様であるが、好ましく用いられる色材として以下の構造式(4)、構造式(5)で示される色材が挙げられる。
【0100】
【化6】


【0101】
(構造式(4)中、R1、R2は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、R3、R4は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基もしくはカルボキシル基で置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、またはアルキル基もしくはアシル基によって置換されているアミノ基を示し、nは0又は1である)。
【0102】
【化7】


【0103】
(構造式(5)中、R5、R6、R7、R8は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基もしくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基、カルボキシル基もしくはスルホ基でさらに置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、アルキル基、またはアシル基によって置換されているアミノ基を示し、nは0又は1である)。
【0104】
以下に、構造式(4)で示される染料の具体例として例示化合物Bk1〜Bk3、構造式(5)で示される染料の具体例として例示化合物Bk4〜Bk6を遊離酸の形で示すが、本発明で使用する色材は、これらに限定されるものではない。また、下記に挙げるような色材を同時に2種類以上用いてもよく、例示化合物Bk3と例示化合物Bk4を同時に用いるものが特に好ましい。
【0105】
【化8】


【実施例】
【0106】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。
【0107】
(使用インク)
(ブラックインク用顔料分散体の作製)
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸1.5gを加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。この溶液を更に15分間撹拌後、比表面積が220m2/gでDBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、更に15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2;アドバンテック製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、自己分散型カーボンブラックを調製した。さらに、得られた自己分散型カーボンブラックに水を加えて顔料濃度が10質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子表面に−C63−(COONa)2基が導入されてなる自己分散型カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散液を得た。
【0108】
(インクの作製)
・ブラックインク1の作製;
上記顔料分散液(35質量部)、グリセリン(7.0質量部)、ジエチレングリコール(6質量部)、フタル酸2アンモニウム(0.5質量部)、アセチレノールE100(川研ファインケミカル社製、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物)(0.2質量部)、および水(45.3質量部)を混合し、1時間攪拌した。その後、フィルター(富士フィルム製 FR20)で加圧ろ過し、ブラックインク1を調製した。ブラックインク1の25℃における粘度は2.3mPa・sであった。
【0109】
・イエローインク1の作製;
C.I.ダイレクトイエロー132(4質量部)、グリセリン(7質量部)、ポリエチレングリコール600(4質量部)、2−ピロリドン(5質量部)、アセチレノールE100(川研ファインケミカル社製、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物)(1質量部)、および水(79質量部)を混合し、1時間攪拌した。その後、フィルター(富士フィルム製 FR20)で加圧ろ過し、イエローインク1を調製した。イエローインク1の25℃における粘度は2.0mPa・sであった。
(インクジェット記録装置)
インクジェット記録装置として、PIXUS550i(商品名;キヤノン製)を改造し、例えば図17のような長方形の廃インク受容タンクを収納できるようにし、さらに、廃液を廃インク吸収体収納部に導入するチューブを、ブラックインク側、カラーインク側にそれぞれ設け、廃液導入部の位置を自由に調節できるような改造機を作製した。
【0110】
記録装置本体には、ブラックインクのみを搭載し、評価を行った。
【0111】
廃インク吸収体には、パルプ繊維を主材料として構成されたものを各実施例、及び比較例に示す形状に加工し、使用した。
【0112】
(混合インクの粘度)
上記、ブラックインク1とイエローインク1とを1:1で混合し、十分攪拌した。その後、その混合液の25℃における粘度を測定したところ、3.0mPa・sであり、2つのインクを混合することで、増粘していることがわかった。
【0113】
(実施例1)
図17に示すように孔部33およびスリット32が形成された廃インク吸収体31をインクジェット記録装置の下ケース35に収容したものを用いた。廃インク吸収体31の厚みは8mmとした。廃液導入部34は、孔部33の中心線CL1上に位置するが、スリット32の中心線CL2上からは外れた位置にある。ブラックインク1を用いて印字を行い、廃液導入部34より廃液を滴下した。
【0114】
1回の回復動作後、廃インク吸収体31の孔部33の内面を観察したところ、廃液の一部が廃インク吸収体31に接触していた。
【0115】
(実施例2)
廃インク吸収体として図18に示す構成のものを用いた。これは、実施例1と廃液導入部34の位置が異なっており、本例では、廃液導入部34は、孔部33の中心線CL1とスリット32の中心線CL2との交点に位置している。廃インク吸収体31の厚みは8mmとした。ブラックインク1を用いて印字を行い、廃液導入部34より廃液を滴下した。
【0116】
1回の回復動作後、廃インク吸収体31の孔部33の内面を観察したところ、廃液の一部が廃インク吸収体31に接触していた。
【0117】
(実施例3)
廃インク吸収体として図7に示す構成のものを用いた。廃インク吸収体31の厚みは2層合計で14mmとした。ブラックインク1を用いて印字を行い、廃液導入部34より廃液を滴下した。
【0118】
1回の回復動作後、廃インク吸収体31の孔部33の内面を観察したところ、廃液の一部が廃インク吸収体31に接触していた。
【0119】
(比較例1)
廃インク吸収体として図19に示す構成のものを用いた。すなわち、廃インク吸収体31はスリット32のみを有し、そのスリット32内に廃液導入部34が位置している。廃インク吸収体31の厚みは8mmとした。ブラックインク1を用いて印字を行い、廃液導入部34より廃液を滴下した。
【0120】
1回の回復動作後、廃インク吸収体31のスリット32の内面を観察したところ、廃液の一部が廃インク吸収体31に接触していた。
【0121】
(比較例2)
廃インク吸収体として図20に示す構成のものを用いた。すなわち、廃インク吸収体31は、孔部33のみを有している。孔部33は開放部を有していない。廃インク吸収体31の厚みは8mmとした。ブラックインク1を用いて印字を行い、廃液導入部34より廃液を滴下した。
【0122】
1回の回復動作後、廃インク吸収体31の孔部33の内面を観察したところ、廃液が全周にわたり均一に廃インク吸収体31に接触していた。
【0123】
(比較例3)
廃インク吸収体として図2に示す構成のものを用いた。廃インク吸収体31の厚みは8mmとした。ブラックインク1を用いて印字を行い、廃液導入部34より廃液を滴下した。
【0124】
1回の回復動作後、廃インク吸収体31の孔部33の内面を観察したところ、廃液の一部が廃インク吸収体31に接触していた。
【0125】
(比較例4)
廃インク吸収体として図3に示す構成のものを用いた。廃インク吸収体31の厚みは8mmとした。ブラックインク1を用いて印字を行い、廃液導入部34より廃液を滴下した。
【0126】
1回の回復動作後、廃インク吸収体31の孔部33の内面を観察したところ、廃液の一部が廃インク吸収体31に接触していた。
【0127】
(比較例5)
廃インク吸収体として図21に示す、2層に積層された廃インク吸収体31を有する構成のものを用いた。各廃インク吸収体31は孔部33のみを有し、かつ孔部33は開放部を有していない。廃インク吸収体31の厚みは2層合計で14mmとした。ブラックインク1を用いて印字を行い、廃液導入部34より廃液を滴下した。
【0128】
1回の回復動作後、廃インク吸収体31の孔部33の内面を観察したところ、廃液が全周にわたり均一に接触していた。
【0129】
(比較例6)
廃インク吸収体として、図22に示す構成のものを用いた。廃インク吸収体2の厚みは8mmとした。ブラックインク1を用いて印字を行い、図22および図23(a)に示されるとおり、廃液4を孔部2a全面に廃液4が接触するように、廃液を滴下した。
【0130】
1回の回復動作後、廃インク吸収体2の孔部2aの内面を観察したところ、廃液が全周にわたり均一に接触していた。また、廃インク吸収体2へ廃液4が吸収されるのに伴い、図23(b)に示すように、孔部2aの中心付近で廃液4が取り残された。
【0131】
(廃液吸収性能評価1)
実施例1〜3、および比較例1〜6に示した廃インク吸収体を装着したインクジェット記録装置で、数行に渡り、ブラックインクでアルファベットをAからZまで記載した印字パターンを、PPC用紙(キヤノン製)に5枚印字し、その後、回復動作を行い、所定量のブラックインク1を廃インク吸収体に導入した。また、100枚印字ごとに温度30℃、湿度10%の環境に2時間放置した。随時インクタンクを交換しながら、最終的に4000枚を間欠印字した。そのときの廃インク吸収体の状態を評価した。評価基準は以下の通りとした。
【0132】
(評価基準)
◎:廃液が廃インク吸収体全体に行き渡っている。孔部、スリットに凝集物は全く見られないか、もしくはほとんどない。
○:孔部、もしくはスリットに少量の凝集物があるが、廃液が廃インク吸収体全体に行き渡っており、インクの溢れは全くない。
△:印字枚数が3000枚程度までは吸収性が良好である。最終的にはインクの溢れが生じる。孔部、もしくはスリットに多くの凝集物がある。
×:印字枚数が500枚程度ですでに吸収性が低下している。最終的にはインクの溢れが生じる。孔部、もしくはスリットに多くの凝集物がある。
【0133】
評価結果を表1に示す。
【0134】
【表1】


【0135】
(廃液吸収性能評価2)
実施例3、および比較例5に示した廃インク吸収体を装着したインクジェット記録装置で、数行に渡り、ブラックインクでアルファベットをAからZまで記載した印字パターンを、PPC用紙(キヤノン製)に5枚印字し、その後、回復動作を行い、所定量のブラックインク1を廃インク吸収体に導入した。また、100枚印字ごとに温度30℃、湿度10%の環境に2時間放置した。随時インクタンクを交換しながら、最終的に5000枚を間欠印字した。そのときの廃インク吸収体の状態を評価した。評価基準は以下の通りとした。
【0136】
(評価基準)
◎:廃液が廃インク吸収体全体に行き渡っている。孔部、スリットに凝集物は全く見られないか、もしくはほとんどない。
○:孔部、もしくはスリットに少量の凝集物があるが、廃液が廃インク吸収体全体に行き渡っており、インクの溢れは全くない。
△:印字枚数が3000枚程度までは吸収性が良好である。最終的にはインクの溢れが生じる。孔部、もしくはスリットに多くの凝集物がある。
×:印字枚数が500枚程度ですでに吸収性が低下している。最終的にはインクの溢れが生じる。孔部、もしくはスリットに多くの凝集物がある。
【0137】
評価結果を表2に示す。
【0138】
【表2】


【0139】
(ブリード性能評価)
ブラックインク1とイエローインク1を用い、イエローのベタ印字を背景とした黒線を印字し、ブリード抑制性能を評価したところ、極めて良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の第1の実施形態による廃インク吸収体の平面図である。
【図2】本発明の参考例である廃インク吸収体の一例の平面図である。
【図3】本発明の参考例である廃インク吸収体の他の例の平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による廃インク吸収体の一変形例を示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による廃インク吸収体の他の変形例を示す平面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による廃インク吸収体の平面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態による廃インク吸収体の分解斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施形態による廃インク吸収体の分解斜視図である。
【図9】廃液が接触する領域を説明する、廃インク吸収体の平面図および断面図である。
【図10】廃液の表面エネルギーを平衡状態にしない現象を説明する、廃インク吸収体の平面図である。
【図11】廃液の表面エネルギーが平衡状態になる現象を説明する、廃インク吸収体の平面図および断面図である。
【図12】開放部を有する孔部の種々の例を示す廃インク吸収体の平面図である。
【図13】孔部の内面に少なくとも2種以上の異なる表面エネルギーを付与するように構成された廃インク吸収体の一例の平面図である。
【図14】開放部を有していない孔部において、廃液滴の接触する領域の表面エネルギーを不均一にした例を示す廃インク吸収体の平面図である。
【図15】本発明に適用されるスリットの種々の断面形状を示す図である。
【図16】複数種の廃液が導入される廃インク吸収体の一例を示す斜視図である。
【図17】本発明の実施例1で用いた廃インク吸収体の平面図である。
【図18】本発明の実施例2で用いた廃インク吸収体の平面図である。
【図19】比較例1で用いた廃インク吸収体の平面図である。
【図20】比較例2で用いた廃インク吸収体の平面図である。
【図21】比較例5で用いた廃インク吸収体の分解斜視図である。
【図22】比較例6で用いた廃インク吸収体の平面図である。
【図23】図22に示した廃インク吸収体の、廃液の吸収を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0141】
31 廃インク吸収体
32 スリット
33 孔部
34 廃液導入部
35 下ケース
39 境界部
40 廃インク吸収体壁




 

 


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