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発明の名称 液体吐出ヘッド及び該液体吐出ヘッドの液体注入方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15280(P2007−15280A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−200371(P2005−200371)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
発明者 但馬 裕基
要約 課題
比較的簡素な構成で、空気室内に気泡を良好に溜め、吐出動作の信頼性を向上する。

解決手段
圧力によってインクを吐出するためのノズルを有する記録素子基板H1100と、インク吸収体H1600から記録素子基板H1100にインクを供給するためのインク供給流路H1510を有するインク供給部材H1500と、インク吸収体H1600とインク供給流路H1510との間に設けられたフィルタH1700とを備える。そして、インク供給部材H1500には、インク供給流路H1510に連通された連通口H1550を有するフィルタ受けリブH1540と、フィルタH1700の一部とを含む周壁で包囲された空気室H1520が設けられている。
特許請求の範囲
【請求項1】
圧力によって液体を吐出するためのノズルを有する液体吐出部材と、液体貯留部から前記液体吐出部材に液体を供給するための液体供給流路を有する液体供給部材と、前記液体貯留部と前記液体供給流路との間に設けられたフィルタとを備える液体吐出ヘッドにおいて、
前記液体供給部材には、前記液体供給流路に連通された連通口を有する隔壁と、前記フィルタの一部とを含む周壁で包囲された空気室が設けられていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
複数の前記空気室を有する請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記各空気室が互いに離間されて配置されている請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記フィルタは、前記空気室の周壁をなす領域が、該フィルタの他の領域に比べて流体抵抗が大きくされている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記空気室の少なくとも1つは、複数の仕切り壁で複数の空気室に分割され、前記複数の空気室同士が前記仕切り壁に設けられた連通口で連通されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記空気室の周壁には撥水処理が施されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
圧力によって液体を吐出するためのノズルを有する液体吐出部材と、液体貯留部から前記液体吐出部材に液体を供給するための液体供給流路を有する液体供給部材と、前記液体貯留部と前記液体供給流路との間に設けられたフィルタとを備え、前記液体供給部材には、前記液体供給流路に連通された連通口を有する隔壁と、前記フィルタの一部とを含む周壁で包囲された空気室が設けられた液体吐出ヘッドの前記液体供給流路内に液体をほぼ充填し、前記空気室内に空気が存在する状態にするための液体注入方法であって、
前記フィルタに対する液体流動方向の上流側に液体を加圧して注入した後、前記ノズルから吸引を行って前記液体供給流路内を液体で満たすことを特徴とする液体吐出ヘッドの液体注入方法。
【請求項8】
圧力によって液体を吐出するためのノズルを有する液体吐出部材と、液体貯留部から前記液体吐出部材に液体を供給するための液体供給流路を有する液体供給部材と、前記液体貯留部と前記液体供給流路との間に設けられたフィルタとを備え、前記液体供給部材には、前記液体供給流路に連通された連通口を有する隔壁と、前記フィルタの一部とを含む周壁で包囲された空気室が設けられた液体吐出ヘッドを用意する工程と、
前記液体貯留部に液体を注入することで前記液体流路内を液体で満たすと共に前記空気室内に空気を介在させる工程と、を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの液体注入方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインク等の液体を吐出するための液体吐出ヘッド及び該液体吐出ヘッドの液体注入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、いわゆるノンインパクト記録方式の記録装置であり、高速な記録と様々な被記録材に対して記録することが可能であって、記録における騒音が殆ど生じないと言った特徴を持つ。このようなことから、インクジェット記録装置は、プリンタ、複写機、ファクシミリ、ワードプロセッサ等の記録機構を担う装置として、広く採用されている。
【0003】
このようなインクジェット記録装置に搭載される記録ヘッドにおける代表的なインク吐出方式としては、ピエゾ素子等の電気機械変換体を用いたもの、レーザー等の電磁波を照射して発熱させ、この発熱による作用でインク滴を吐出させるもの、あるいは発熱抵抗体を有する電気熱変換素子によってインクを加熱し、膜沸騰の作用によりインク滴を吐出させるもの等が知られている。電気熱変換素子を用いたインクジェット記録ヘッドは、電気熱変換素子が記録液室内に設けられ、この電気熱変換素子に記録信号となる電気パルスを供給して発熱させることによりインクに熱エネルギーを与え、そのときの記録液の相変化により生じる記録液の発泡時(沸騰時)の気泡圧力を利用して、微小な吐出口から微小なインク滴を吐出させて、被記録材に対し記録を行うものである。
【0004】
このようなインクジェット記録ヘッドでは、インクを吐出するときの圧力振動が、ノズルと連通する共通液室およびインク供給流路にも伝わるため、場合によっては隣接するノズルにも振動が伝わって、吐出動作に不具合を生じさせるおそれがある。
【0005】
そのため、共通液室およびインク供給流路の一部には、空気室(エアバッファとも呼ぶ。)が連通されて設けられており、インク供給流路を流れるインク中の一部に気泡を閉じ込めることで、伝わってくる振動が、空気室内の気泡によって吸収されて、隣接するノズルに振動が伝わることによる悪影響を防ぐ工夫がされている。
【0006】
このような空気室は、その機能上、空気室内の気泡がインクと置換されることを防ぐために閉じられた空間である必要がある。このため、空気室の構成としては、例えばインク供給流路に連通する連通路を有する空間部を成形し、成形品の状態で空間部に予め開口を設けて、この開口を、洗浄・組立後に熱溶着や接着剤等で封止するするタイプや、部品を追加して栓をするタイプ等が挙げられる。
【特許文献1】特開2004−122463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような従来のインクジェット記録ヘッドには、以下の問題があった。
【0008】
上述したように、従来のインクジェット記録ヘッドが備える空気室の構成は、成形品の状態で空間部に設けられた開口を、洗浄・組立後に熱溶着や接着剤等で栓をするタイプや、部品を追加して栓をするタイプ等があるが、いずれにしても加工工程の追加や部品の追加が生じる。
【0009】
具体的には、熱溶着工程では、溶着装置における加熱温度や加熱時間の管理が必要になり、空気室は密閉性が重要な部分であるので、品質的にもシビアに管理する必要がある。
【0010】
また、空間部の開口を接着剤等で封止する方法では、同様に、接着剤の硬化状態をシビアに管理しなければならず、さらにはインクへの影響を考慮した接着剤の選定も重要な要素となる。また、部品を追加して栓をする場合には、部品代による製造コストの増加の他、部品の接合方法等で考慮すべき項目が多く、例えば超音波溶着する際に塵埃の発生に関する問題を解決する必要があり、接着剤で接着する際にも上述と同様の問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、可能な限り簡素な構成で、空気室内に確実に気泡を溜めて、吐出動作の信頼性を向上することができる液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、圧力によって液体を吐出するためのノズルを有する液体吐出部材と、液体貯留部から液体吐出部材に液体を供給するための液体供給流路を有する液体供給部材と、液体貯留部と液体供給流路との間に設けられたフィルタとを備える。そして、液体供給部材には、液体供給流路に連通された連通口を有する隔壁と、フィルタの一部とを含む周壁で包囲された空気室が設けられている。
【発明の効果】
【0013】
上述したように、本発明によれば、液体供給流路内の空気室内に気泡を確実に溜めることが可能になり、比較的簡素な構成で吐出動作の信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
まず、実施形態の記録ヘッドの各構成要素について説明する。
【0016】
本実施形態の記録ヘッドは、図1および図4に示すように、インクタンクと一体に構成されており、図1(a),(b)に示す第1の記録ヘッドH1000にはブラックインクが搭載されており、図4(a),(b)に示す第2の記録ヘッドH1001にはカラーインク(シアンインク、マゼンタインク、イエローインク)がそれぞれ搭載されている。これら第1および第2の記録ヘッドH1000,H1001は、インクジェット記録装置本体に載置されているキャリッジの位置決め機構および電気的接点によって固定支持される。また、キャリッジに対して着脱可能となっており、搭載したインクが消費されるとそれぞれ交換される。
【0017】
次に、これら記録ヘッドに関して、さらに詳しく記録ヘッドを構成しているそれぞれの構成要素毎に順を追って説明する。
【0018】
(1)記録ヘッド
本実施形態の第1の記録ヘッドH1000および第2の記録ヘッドH1001は、電気信号に応じて膜沸騰をインクに生じさせるための熱エネルギを、ヒータ等の電気熱変換素子を用いて生成し、インク中に生じさせた気泡によってインクを吐出する。この記録ヘッドは、電気熱変換素子の主面とインク吐出口とが対向するように配置された、いわゆるサイドシュータ型の記録ヘッドである。
【0019】
(1−1)第1の記録ヘッド
第1の記録ヘッドH1000は、ブラックインク用として使用される。図2に示すように、記録素子基板H1100、電気配線テープH1300、インク供給部材H1500、フィルタH1700、インク吸収体H1600、蓋部材H1900、およびシール部材H1800から構成されている。
【0020】
(1−1−1)第1の記録素子基板
図3は第1の記録素子基板H1100の構成を説明するために一部破断して示す斜視図である。第1の記録素子基板H1100は、例えば、厚さ0.5〜1mm程度のSi基板H1110に、インク流路である長溝状の貫通口のインク供給口H1102がSiの結晶方位を利用した異方性エッチングやサンドブラスト等の方法で形成されている。
【0021】
インク供給口H1102を間に挟んだ両側には、電気熱変換素子H1103がそれぞれ1列ずつ並べて配置されて形成されており、さらに電気熱変換素子H1103に電力を供給するAl等からなる不図示の電気配線が形成されている。これら電気熱変換素子H1103と電気配線とは成膜技術により形成されている。電気熱変換素子H1103は、各列千鳥状に配列されて、すなわち各列の吐出口H1107の位置が、その並び列方向に直交する方向に並ばないように少しずれて配置されている。さらに、この電気配線に電力を供給したり、電気熱変換素子H1103を駆動するための電気信号を供給したりするための電極部H1104が電気熱変換素子H1103の両外側の側辺に沿って配列して形成されている。また、電極部H1104上にはAu等からなるバンプH1105が形成されている。
【0022】
さらに、Si基板H1110には、ヘッド固有の情報を格納するためのヒューズH1117が形成されている。図7にSi基板の概略を示す。ヒューズH1117は、本実施形態ではポリシリコン抵抗体で形成されており、インク供給口の短辺側に配置される。ヒューズH1117を溶断、読み出しをするために駆動する第2の駆動素子H1118は、第1の駆動素子H1116に隣接して配置される。第2の駆動素子H1118によってヒューズH1117を選択的に駆動する選択信号は、電気熱変換素子H1103を選択する信号をそのまま用いていることから、電気熱変換素子H1103と同じように選択することができる。つまり、インクジェット記録基板外部から入力される信号線から、シフトレジスタ、ラッチ回路、デコーダを経て第2の駆動素子H1118近くの信号線までが、電気熱変換素子H1103を駆動している第1の駆動素子H1116を選択する回路と同じ回路を用いて駆動される。また、第2の駆動素子H1118をシフトレジスタ等から出力された信号線より最終的に選択する選択回路H1112は、第1の駆動素子H1116用の回路と同様な形態である。
【0023】
なお、電気熱変換素子H1103にVH電源を供給するためのVH電源パッドH1104cから延ばされたVH電源配線H1114は、電気熱変換素子H1103に接続されている。また、GNDH電源を供給するためのGNDH電源パッドH1104dから延ばされたGNDH電源配線H1113は、電気熱変換素子H1103に接続された第1の駆動素子H1116とヒューズH1117に接続された第2の駆動素子H1118とで共用している。
【0024】
IDパッドH1104aは、ヒューズH1117の溶断時に電圧を印加するヒューズ切断電源端子として機能し、ヒューズH1117による情報の読み出し時に信号出力端子として機能する。すなわち、ヒューズH1117の溶断時は、IDパッドH1104aに電圧(例えば電気熱変換素子H1103を駆動する24V)を印加して、選択回路によって選択された第2の駆動素子H1118を駆動して対応するヒューズH1117を瞬間的に溶断する。このとき、ヒューズ読み出し用電源端子であるID電源パッドH1104bはオープンである。一方、情報の読み出し時は、ID電源パッドH1104bに電圧(例えばロジック回路の電源電圧の3.3V)を印加することにより、ヒューズH1117が溶断されていればHiレベルが出力される。溶断されていなければヒューズH1117の抵抗値より明らかに大きい読み出し抵抗H1111によりLoレベルが、IDパッドH1104aに出力される。
【0025】
Si基板H1110上のこれらパターンが形成された面上には、電気熱変換素子H1103に対応したインク流路を形成するインク流路壁H1106と、このインク流路壁H1106の上方を覆う天井部とを有する。また、天井部に吐出口H1107が開口された、樹脂材料からなる構造体がフォトリソグラフィ技術によって形成されている。吐出口1107は、電気熱変換素子H1103に対向して設けられており、吐出口群H1108を形成している。この第1の記録素子H1100では、インク流路H1102から供給されたインクが、各電気熱変換素子H1103の発熱によって発生した気泡の圧力によって、各電気熱変換素子H1103に対向されている吐出口1107から吐出される。
【0026】
(1−1−2)電気配線テープ
電気配線テープH1300は、第1の記録素子基板H1100に対してインクを吐出するための電気信号を印加する電気信号経路を形成するものである。電気配線テープH1300には記録素子基板を組み込むための開口部H1303が形成されており、この開口部H1303の縁付近には、記録素子基板の電極部H1104に接続される電極端子H1304が形成されている。また、電気配線テープH1300には、本体装置からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1302が形成されており、電極端子H1304と外部信号入力端子H1302とが連続した銅箔の配線パターンでつながれている。
【0027】
電気配線テープH1300と第1の記録素子基板1100の電気的な接続は、例えば、第1の記録素子基板H1100の電極部H1104に形成されたバンプH1105と、第1の記録素子基板H1100の電極部H1104に対応する電気配線テープH1300の電極端子H1304とが熱超音波圧着法によって電気的に接合されている。
【0028】
(1−1−3)インク供給部材
インク供給部材H1500は、例えば、樹脂材料による射出成形によって形成されている。形状的剛性を向上させるため樹脂材料にガラスフィラーを5〜40%程度混入させた繊維強化樹脂材を使用することが望ましい。図2(a),(b)に示すように、インク供給部材H1500は、内部にインクを保持し負圧を発生するためのインク吸収体H1600を有することでインクタンクの機能と、記録素子基板H1100にそのインクを導くためのインク流路を形成することでインク供給経路の機能とを備えている。インク吸収体H1600としては、PP繊維を圧縮したものが使われているが、ウレタン繊維を圧縮したものでもよい。インク流路の上流部であるインク吸収体H1600との境界部には、記録素子基板H1100内部にゴミの進入を防ぐためのフィルタH1700が溶着によって接合されている。フィルタH1700は、SUS金属メッシュタイプでも良いが、SUS金属繊維焼結タイプの方が好ましい。
【0029】
インク流路の下流部には、第1の記録素子基板H1100にブラックのインクを供給するためのインク供給口H1200が形成されている。また、第1の記録素子基板H1100のインク供給口1102がインク供給部材H1500のインク供給口H1200に連通するよう、第1の記録素子基板H1100がインク供給部材H1500に対して位置精度良く接着固定される。この接着に用いられる第1の接着剤は、低粘度で硬化温度が低く、短時間で硬化し、硬化後に比較的高い硬度を有し、かつ、耐インク性を有するものが望ましい。例えば、第1の接着剤としては、エポキシ樹脂を主成分とした熱硬化接着剤が用いられ、その際の接着層の厚みは50μm程度が望ましい。
【0030】
また、第1の記録素子基板H1100の接着面周囲の平面には、電気配線テープH1300の一部の裏面が第2の接着剤によって接着固定される。第1の記録素子基板H1100と電気配線テープH1300との電気接続部分は、図8に示すように、第1の封止剤H1307および第2の封止剤H1308によって封止され、電気接続部分をインクによる腐食や外的衝撃から保護されている。第1の封止剤H1307は、主に電気配線テープH1300の電極端子H1302と記録素子基板のバンプH1105との接続部の裏面側と記録素子基板の外周部分を封止し、第2の封止剤H1308は、上述の接続部の表側を封止している。そして、電気配線テープH1300の未接着部は、折り曲げられ、インク供給部材H1500の第1の記録素子基板H1100の接着面にほぼ垂直な側面に熱溶着もしくは接着剤等で固定される。
【0031】
(1−1−4)蓋部材
蓋部材H1900は、インク供給部材H1500の上端側の開口部に溶着されることで、インク供給部材H1500内部が閉じられている。なお、蓋部材H1900には、図2(b)に示すように、インク供給部材H1500内部の圧力変動を逃がすための細口H1910と、この細口H1910に連通された微細溝H1920とを有している。また、細口H1910と微細溝H1920のほとんどをシール部材H1800で覆い、微細溝H1920の一端部を開口することで大気連通口を形成している。また、第1の記録ヘッドH1000をインクジェット記録装置に固定するための係合部H1930を有している。
【0032】
(1−2)第2の記録ヘッド
第2の記録ヘッドH1001は、シアン、マゼンタ、イエローの3色のインクを吐出するためのものである。図5(a),(b)に示すように、記録素子基板H1101、電気配線テープH1301、インク供給部材H1501、フィルタH1701、H1702、H1703、インク吸収体H1601、H1602、H1603、蓋部材H1901、およびシール部材H1801とを備えて構成されている。また、図5、図6に示すように、第2の記録素子基板、電気配線テープ、インク供給部材、蓋部材は上述した実施形態と基本的には同様の構成である。
【0033】
(1−3)記録ヘッドのインクジェット記録装置への装着
図1(a),(b)および図4(a),(b)に示すように、第1の記録ヘッドH1000および第2の記録ヘッドH1001には、インクジェット記録装置本体のキャリッジの装着位置に案内するための装着ガイドH1560、ヘッドセットレバーによりキャリッジに装着固定するための係合部H1930、およびキャリッジの所定の装着位置に位置決めするためのX方向(キャリッジスキャン方向)の突き当て部H1570、Y方向(記録メディア搬送方向)の突き当て部H1580、Z方向(インク吐出方向)の突き当て部H1590を備えている。各突き当て部H1570,H1580,H1590によって位置決めされることで、電気配線テープH1300,H1301上の外部信号入力端子H1302が、キャリッジ内に設けられた電気接続部のコンタクトピンと良好に電気的に接触される。
【0034】
(2)インクジェット記録装置
次に、上述したようなカートリッジタイプの記録ヘッドを搭載可能なインクジェット記録装置について説明する。図9は、本実施形態の記録ヘッドを搭載可能なインクジェット記録装置の一例を示す説明図である。
【0035】
図9に示すインクジェット記録装置では、図1および図4に示した記録ヘッドH1000,H1001がキャリッジ102に対して位置決めされて着脱可能に搭載されている。キャリッジ102には、第1および第2の記録ヘッドH1000,H1001上の外部信号入力端子を介して各吐出部に駆動信号等を伝達するための電気接続部が設けられている。
【0036】
キャリッジ102は、主走査方向に延在して装置本体に設置されたガイドシャフト103に沿って往復移動可能に案内支持されている。そして、キャリッジ102は、主走査モータ104によって、モータプーリ105、従動プーリ106およびタイミングベルト107等の駆動機構を介して駆動されるとともにその位置および移動が制御される。また、キャリッジ102には、ホームポジションセンサ130が設けられている。これにより、遮蔽板136の位置をキャリッジ102上のホームポジションセンサ130が通過した際に位置を検知することが可能となる。
【0037】
印刷用紙やプラスチック薄板等の被記録材108は、給紙モータ135からギアを介してピックアップローラ131を回転させることによって、オートシートフィーダ(ASF)132から一枚ずつ分離給紙される。さらに、搬送ローラ109の回転により、記録ヘッドH1000,H1001の吐出口面と対向する位置(プリント部)を通って搬送される。搬送ローラ109は、LFモータ134の回転によりギアを介して行われる。その際、給紙されたかどうかの判定と給紙時の頭出し位置の確定は、ペーパエンドセンサ133を被記録材108が通過した時点で行われる。さらに、被記録材108の搬送方向の後端が実際にどの位置であるか、実際の後端の位置から現在の記録位置を最終的に割り出すためにもペーパエンドセンサ133は使用されている。
【0038】
なお、被記録材108は、プリント部において平坦なプリント面を形成するように、その裏面がプラテン(不図示)によって支持されている。この場合、キャリッジ102に搭載された記録ヘッドH1000,H1001は、それらの吐出口面が、キャリッジ102から下方へ突出し2組の搬送ローラ対の間で被記録材108と平行になるように保持されている。
【0039】
記録ヘッドH1000,H1001は、各吐出部における吐出口H1107の並び方向が上述したキャリッジ102の走査方向に対して交差する方向になるようにキャリッジ102に搭載され、これらの吐出口列からインクを吐出して記録を行う。
【0040】
なお、本発明は、上述したインクジェット記録装置のような一般的なプリント装置の他、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリント部を有するワードプロセッサ等の装置、あるいは、これらの装置を複合した多機能記録装置等に適用されて好適である。
【0041】
実施形態の記録ヘッドについて、要部の構成を、図10〜図15を参照して更に詳細に説明する。
【0042】
(第1の実施形態)
図10は、第1の実施形態の記録ヘッドを模式的に示す図であり、(a)に記録ヘッドの全体を示し、(b)にA部を詳細に説明するために拡大して示す。
【0043】
図10(a)に示すように、インク供給部材H1500の内部には、インク吸収体H1600が収容されており、このインク吸収体H1600にインクが注入され吸収保持されている。そして、インク供給部材H1500は、開口部に蓋部材H1900が超音波溶着等によって接合されて閉塞されている。
【0044】
図10(b)に示すように、インク供給部材H1500のインク供給流路H1510には、空気室H1520が設けられており、フィルタH1700を介してインクがインク供給流路H1510内に満たされ、インク供給口H1120を通って記録素子基板H1100にインクを供給する。このとき、空気室H1520には、インクがほとんど入り込まず、気泡となって溜まる。
【0045】
次に、空気室の構成について、組み立てる工程を含めて、図11および図12を参照して説明する。
【0046】
図11および図12(a),(b)に示すように、インク供給部材H1500には、インク貯留部をなすインク吸収体H1600と記録素子基板H1100側のインク供給口H1102とを連通させるインク供給流路H1510が形成されている。また、インク供給部材H1500には、フィルタH1700が配置される一端面に、フィルタH1700を溶着するための環状のフィルタ溶着リブH1530が一体に突出されて形成されている。フィルタH1700は、フィルタ溶着リブH1530が例えば熱溶着されることによって接合されている。
【0047】
また、インク供給流路H1510内には、空気室H1520の周壁の一部を構成するとともに、フィルタH1700を支持するフィルタ受けリブH1540が一体に形成されており、隔壁であるこのフィルタ受けリブH1540によってインク供給流路H1510と空気室H1520とが仕切られている。
【0048】
このフィルタ受けリブH1540には、インク供給流路H1510と空気室H1520とを連通させるためのインク連通口H1550が設けられている。それ以外の面はフィルタ溶着面まで延ばされて、フィルタH1700が接合された際に当接するように形成されている。したがって、フィルタ受けリブH1540は、フィルタH1700にインクや洗浄液等の圧力がかかった場合であっても、インク流動方向の下流側であるインク供給流路H1510側に撓んで凹みが生じることがないように補強する作用も果たしている。
【0049】
ここで、フィルタ受けリブH1540は、フィルタH1700が溶着された際に、インク連通口H1550の部分がフィルタH1700に当接しない構造にされており、インク供給流路H1510と空気室H1520との間で常にインクが連通する構成にされている。このため、図10(b)に示すように、フィルタH1700の直下では、空気室H1520内のフィルタH1700に隣接する部分にもインクが存在している。それによりフィルタH1700の有効面積を減らすことがなく、フィルタH1700による圧力損失が大きくなるような影響を与えない構成にされている。
【0050】
このようにして構成された空気室H1520内には、容易に空気を閉じ込めることが可能になる。このため、記録素子基板H1100からインクを吐出するときの圧力振動が、ノズルと連通するインク供給口H1102およびインク供給流路H1510に伝わっても、その振動波を空気室H1520内の気泡が良好に吸収する。また、隣接するノズルへの振動の伝達を防ぐことができ、その結果、吐出動作の信頼性を向上することができる。
【0051】
また、空気室H1520の構成は、上述した従来のように、成形品の状態で形成された開口を、洗浄・組立後に熱溶着や接着剤等で封止するタイプや、部品を追加して栓をするタイプ等に比べて製造コストが低減される。さらに組立工程においても、熱溶着工程での溶着装置における温度管理や、接着剤の硬化状態の管理といった製造コストの増加を招く加工工程も不要になる。
【0052】
また、インク供給流路H1510内にインクを充填する際に、回復工程においても、記録素子基板H1100側を鉛直下方に向けた状態、あるいは記録素子基板H1100側を鉛直上方に向けた状態のどちらで行っても、同様に空気室H1520内に気泡を確実に溜めることができる。よって、吐出動作の信頼性の観点からも非常に有効な構成であり、可能な限り簡素な構成で、吐出動作の信頼性を向上することが可能な空気室H1520の構成を有する記録ヘッドH1000,H1001を提供することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の記録ヘッドの要部の構成について説明する。
【0054】
図13に示しように、本実施形態は、空気室H1520が、インク供給流路H1510内の四隅に配置されている。各空気室H1520には、インク供給流路H1510に連通されるインク連通口H1550が設けられている。
【0055】
第1の実施形態と同様に、空気室H1520には、フィルタH1700の直下であるフィルタH1700近傍部分にもインクが満たされるので、フィルタH1700による圧力損失が大きくなることはない。
【0056】
また、図14に示すように、フィルタH1700には、各空気室H1520に隣接する領域H1700aが、その他の領域H1700bに比べて、流路抵抗が大きくされて、フィルタH1700の圧力損失を大きくさせるように構成することも好ましい。この構成によれば、フィルタH1700の上流側にインクを加圧して注入したときに、フィルタH1700の下流側にインクが容易に入り込むのを防ぐ効果がある。
【0057】
また、インク注入の状態や、記録ヘッドH1000,H1001の完成後の様々な環境下において、仮に1つの空気室内にインクが入り込んで充填されてしまった場合であっても、その他の空気室H1520内には気泡である空気が残る。それにより、1つの空気室H1520のみを備える第1の実施形態に比べて、吐出動作の信頼性を更に向上することができる。
【0058】
また、本実施形態は、断面略矩形状のインク供給流路H1510の四隅に空気室H1520がそれぞれ配置されることで、フィルタH1700からインク供給口H1102へのインクの流れが妨げられることを大幅に抑制することが可能となる。
【0059】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態の記録ヘッドの要部の構成について説明する。
【0060】
第2の実施形態では、インク供給流路H1510内の四隅に空気室H1520がそれぞれ配置された構にされた。図15に示すように、本実施形態では、インク供給流路H1510内の四隅に配置された空気室H1520の少なくとも1つの空気室H1520内が、フィルタH1700を支持するフィルタ受けリブH1540をなす複数の仕切り壁H1540aで仕切られて複数の空気室(小空気室)H1520aにそれぞれ分割されている。そして、本実施形態では、図15に示すように、容積が異なる複数の小空気室H1520aが、インク供給流路H1510にそれぞれ連通されて配置されている。
【0061】
また、本実施形態では、複数の仕切り壁H1540aでそれぞれ仕切られた複数の小空気室H1520a同士が、各仕切り壁H1540aを貫通して形成されたインク連通口H1550で連通されている。このため、第1の実施形態と同様に、フィルタH1700に隣接する直下では、空気室H1520内の複数の小空気室H1520a内にもインクが満たされるので、フィルタH1700による圧力損失が大きくなることはない。
【0062】
また、インク注入の状態や、記録ヘッドの完成後の様々な環境下において、仮に分割された小空気室H1520aのうち1つの小空気室H1520a内にインクが入り込んで充填されてしまった場合であっても、その他の小空気室H1520a内には気泡が残る。よって、第1の実施形態に比べて、吐出動作の信頼性を更に向上することができる。
【0063】
また、空気室H1520は、インク供給流路H1510内の四隅に配置されることで、フィルタH1700からインク供給口H1102までのインクの流れが妨げられることを防止することができる。
【0064】
(第4の実施形態)
特に図示しないが、上述の第1〜第3の実施形態の各構成において、空気室H1520内の周壁や小空気室H1520aの周壁に撥水処理が行われることで、吐出動作の信頼性を更に向上することができる。
【0065】
すなわち、空気室H1520の周壁に撥水処理が施されることによって、インクが良好にはじかれるようになる。それにより空気室H1520内にインクが入り込んで充填されそうになった場合であっても、周壁ではじかれたインクが外方に円滑に排出されるため、空気室H1520内に気泡を確実に閉じ込めることが可能になる。
【0066】
以上のように構成された記録ヘッドH1000,H1001のインク注入方法について、簡単に説明する。インク注入方法は、フィルタH1700に対するインク流動方向の上流側に配置されたインク吸収体H1600にインクを加圧して注入する。その後、ノズルから吸引を行ってインク供給流路H1510内をインクで満たすことで、記録ヘッドH1000,H1001のインク供給流路H1510内にインクをほぼ充填するとともに空気室H1520内に空気が存在する状態に容易にすることができる。
【0067】
また、インク貯留部内のインクを使用した後に、再度インクを注入する際にも本発明は有効である。この場合、蓋部材にドリル等で穴をあけてインク注入口を形成し、そのインク注入口からインク貯留部にインク注入することができる。それにより、上述した空気室内に空気が存在する状態を確実に構成することができる。
【0068】
なお、ノズルから吸引する際には、ノズルを鉛直上方に向けた状態あるいは鉛直下方に向けた状態であっても同様に、インク供給流路H1510内にインクを充填し、空気室H1520内に気泡を溜めた状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1の記録ヘッドを示す斜視図である。
【図2】第1の記録ヘッドを示す分解斜視図である。
【図3】第1の記録素子基板を一部破断して示す斜視図である。
【図4】第2の記録ヘッドを示す斜視図である。
【図5】第2の記録ヘッドを示す分解斜視図である。
【図6】第2の記録素子基板を一部破断して示す斜視図である。
【図7】Si基板の概略を説明するための平面図である。
【図8】記録ヘッドの記録素子基板近傍を示す断面図である。
【図9】インクジェット記録装置を示す図である。
【図10】第1の実施形態の記録ヘッドを模式的に示す図である。
【図11】記録ヘッドを模式的に示す分解図である。
【図12】インク供給流路を説明するための図である。
【図13】第2の実施形態のインク供給流路を説明するための図である。
【図14】フィルタを説明するための平面図である。
【図15】第3の実施形態のインク供給流路を説明するための図である。
【符号の説明】
【0070】
H1000 第1の記録ヘッド
H1001 第2の記録ヘッド
H1100 第1の記録素子基板
H1101 第2の記録素子基板
H1102 インク供給口
H1107 吐出口
H1500、H1501 インク供給部材
H1510 インク供給流路
H1520 空気室
H1540 フィルタ受けリブ
H1550 インク連通口
H1600、H1601、H1602、H1603 インク吸収体
H1700、H1701、H1702、H1703 フィルタ





 

 


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