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発明の名称 記録ヘッドおよびこれに使用するシール部材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15272(P2007−15272A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−200159(P2005−200159)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一
発明者 木村 了 / 小泉 寛 / 山口 裕久雄 / 梅山 幹也 / 工藤 清光 / 池谷 優 / 赤間 雄一郎
要約 課題
インクタンクを着脱自在に保持する記録ヘッドにおいて、記録ヘッドとインクタンクとの接続部からのインクの蒸発を低減すると共に、記録ヘッドからのシール部材の脱落を防止し、かつインクタンクに加える荷重を軽減するようにする。

解決手段
記録ヘッド1は、液体収納容器20と前記液体保持部2との間を密閉するシール部材7とを備える。シール部材7は可撓性部材により構成され、液体収納容器20の押圧部21に当接可能な第1のシール部7aと、第1のシール部7aに連結されると共に前記液体収納容器20に当接する第2のシール部7bおよび第3のシール部7cとを有し、各シール部と前記液体収納容器との間には閉塞された空間Sが形成される。シール部材7の第1のシール部7aは、第2のシール部7bと前記第3のシール部7cとを連結する面状の部分によって形成されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
液体収納容器を着脱可能に保持する容器保持部と、前記容器保持部に設けられ前記液体収納容器から供給された液体を吐出する液体吐出部と、前記液体収納容器が装着される際に前記液体収納容器と前記容器保持部との間に挟まれて前記液体収納容器と前記液体保持部の間を密閉するシール部材を備えた記録ヘッドであって、
前記シール部材は、前記液体収納容器の押圧部に当接可能な第1のシール部と、前記第1のシール部に連結されると共に前記液体収納容器に当接する第2のシール部および第3のシール部と、を有する可撓性部材により構成され、
前記第1のシール部は、前記第2のシール部と前記第3のシール部とを連結する板状の部分によって形成され、前記各シール部と前記液体収納容器との間に閉塞された空間を形成することを特徴とする記録ヘッド。
【請求項2】
前記容器保持部は、該容器保持部に装着された前記液体収納容器に連通し前記液体収納容器から前記液体吐出部へと液体を導く供給管を有し、
前記シール部材は、前記供給管の周囲に配置されることを特徴とする請求項1に記載の記録ヘッド。
【請求項3】
前記液体収納容器が前記容器保持部材に装着された後の前記空間の体積は、前記液体収納容器が前記容器保持部材に最初に装着される前の前記空間の体積より減少することを特徴とする請求項1または2に記載の記録ヘッド。
【請求項4】
前記第1のシール部は、前記液体収納容器が前記容器保持部材に装着された状態で、最も大きく変形することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の記録ヘッド。
【請求項5】
前記第1のシール部は、前記液体収納容器が前記容器保持部に装着された後、前記空間内に生じる負圧によって変形状態を維持することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の記録ヘッド。
【請求項6】
前記第2のシール部および前記第3のシール部は、前記液体収納容器と前記第1のシール部材とが当接する箇所の直下から外れた位置に形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の記録ヘッド。
【請求項7】
前記第1のシール部は、前記液体収納容器が前記容器保持部に最初に装着される前の初期状態において、平面形状をなすことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の記録ヘッド。
【請求項8】
前記第2のシール部と前記第3のシール部は、それぞれ第1のシール部に突設された環状の壁体部によって形成され、前記環状の壁体部は、前記容器保持部に装着された前記液体収納容器の押圧部が前記第1のシール部を押圧する方向と平行する方向に突出することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の記録ヘッド。
【請求項9】
前記第1のシール部は、前記液体収納容器の前記押圧部を形成する環状のリブに当接することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の記録ヘッド。
【請求項10】
液体収納容器を着脱可能に保持する容器保持部に設けられ、前記液体収納容器が装着される際に前記液体収納容器と前記容器保持部との間に挟まれて前記液体収納容器と前記液体保持部の間を密閉するシール部材であって、
前記シール部材は、前記液体収納容器の押圧部に当接可能な第1のシール部と、前記第1のシール部に連結されると共に前記液体収納容器に当接する第2のシール部および第3のシール部と、を有する可撓性部材により構成され、
前記第1のシール部は、前記第2のシール部と前記第3のシール部とを連結する板状の部分によって形成され、前記各シール部と前記液体収納容器との間に閉塞された空間を形成することを特徴とするシール部材。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に用いられる記録ヘッド、特に、液体収納容器が着脱可能に装着される記録ヘッドとの間で液体の蒸発を防止するためのシール部材を備えた記録ヘッドおよびシール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等に用いられるインクジェット記録装置では、記録ヘッドへ供給するインクを収納したインクタンクとして、交換可能なカートリッジ形態を採用するものが多い。このカートリッジ形態のインクタンクは、インク汚れやインクの漏出などを生じることなく容易にインクの補充を行うことができ、記録のランニングコストを比較的小さなものとすることができる等の利点を有している。
【0003】
図6(a)および(b)は、複数のインクタンクを記録ヘッドに装着する構成の一例を示す斜視図であり、図7(a)および(b)は、図6に示す複数のインクタンク111〜114の中のインクタンク111を例にとって装着状態を示す断面図である。図6(b)および図7(b)に示すように、インクタンク111が記録ヘッド301に装着された状態では、インクタンク111のインク供給口211は記録ヘッド301のジョイント部204と接続され、これを介してインクがインク吐出部102内に供給される。この構成において、インクタンク111の一側部に第1の爪132があり、その反対側の側部に第2の爪131を有する可撓性部材130がある。第1の爪132は記録ヘッド301の第1の係合穴242に対応し、第2の爪131は記録ヘッド301の第2の係合穴241に対応する。
【0004】
インクタンク111を記録ヘッド301に装着したとき、第1の爪132が第1の係合穴242に係合し、第2の爪131が第2の係合穴241に係合する。これにより、インクタンク111は記録ヘッド301内に保持される。記録ヘッド301のジョイント部204の周囲にはシールゴム207が配置されているため、インクタンク111が記録ヘッド301に装着された状態で、インクタンク111のインク供給口211がシールゴム207を押圧しながら接触する。これにより、インクタンク111が装着された状態で、この接続部を介したインクの漏れやインクの蒸発は防止される。
【0005】
以上のようにインクジェット記録装置では、インクの供給等に関して形成される接続部には、特にインクの蒸発を防止するためのシールゴムが用いられるのが一般的である。このシールゴムは、低コストでインクタンクと記録ヘッドとの接続部などの気密性を確保してインクの蒸発を防ぐことができるという点で有用である。
【0006】
図8は、従来の記録ヘッドに設けられるシールゴム50の形状の一例を示す断面図である。ここに示す記録ヘッドシールゴム50は、記録ヘッド40の供給管41の周囲に嵌め合いで固定された第1のリップ50aと、この第1のリップ50aを記録ヘッド40上で支持する第2のリップ50bとで構成されている。インクタンク20が記録ヘッド40に装着されるとき、インクタンク20のインク供給口21aの周囲に突設されたリブ状の押圧部21が、第1のリップ50aの上面に当接し、これを押圧する。これにより、第2のリップ50bは、第1のリップ50aを支持しつつ記録ヘッド40との当接面に密接し、記録ヘッド40とインクタンク20との間の密閉性を保持する。
【0007】
また、特許文献1には、図9および図10に示すようなシールゴム70、80が開示されている。
図9に示すシールゴム70は、第1のリップ70aがインクタンク30の平坦なシール部31に当接すると共に、第2のリップ70bおよび第3のリップ70cが記録ヘッド60の上面に当接する。これにより、インクタンク60と記録ヘッド60との密閉性を保持するようになっている。また、このシールゴム70は、インクタンク装着時において、第2、第3のリップ70b、70cと記録ヘッド60の上面とで挟まれた空間Sが縮小して減圧状態となり、記録ヘッド60の上面に吸着する構造を有している。このため、インクタンク60とシールゴム70とがインクなどによって貼り付いた状態にあっても、取り外されるインクタンク30に引かれてインク供給管61からシールゴム70が脱落するのを防止することができる。
【0008】
また、図10に示すシールゴム80は、逆V字状に屈曲した断面形状を有し、その頂点部に位置する第1のリップ80aが平坦な形状を有するインクタンク30のシール部31に当接する。一方、下端部に位置する第2のリップ80bおよび第3のリップ80cが記録ヘッド60の上面に当接する。これにより、インクタンク30と記録ヘッドとの密閉性は保持される。さらに、インクタンクの装着時において第1、第2および第3のリップと、記録ヘッド60の上面とで挟まれた空間Sが減圧されるため、インク供給管61からの脱落を防止することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図8に示す従来のシールゴム50は、供給管41との嵌め合いのみで固定されているため、シールゴム50からのインク供給管の上方への突出量が少ない場合には、リブ21が第1のリップ部50aの一部に偏って当接した際に、シールゴム50が供給管41から脱落することがある。通常、インクタンク20の装着時には、インクタンク20を図7に示すようにやや傾けた状態で記録ヘッドの凹部に挿入し、その後インクタンク20を円弧状に回転させることによって行う。このインクタンク20の回転時に、リブ21はシールゴム50の第1のリップ50aに偏った状態で当接し、シールゴム50を供給管44から遠ざける方向へ引っ張る。その結果、シールゴム50と接続部との間に間隙が生じ、シールゴム50が供給管41から外れてしまう虞がある。
【0010】
そこで、従来はシール部材50からの供給管41の上方への突出量を長く設定することでシールゴム50の外れを防止することも行われている。しかし、この構成では供給管41のサイズが大きくなり、記録ヘッドを小型化する場合には適さないものとなる。さらに、シールゴム50における第1のリップ50aは、インクタンク装着時の変形によるインクの蒸発を抑制するためにある程度の厚みが必要となる。また、第2のリップ50bについても、インクの蒸発を抑制すると共にインクタンク20を支えるために厚みと高さが要求される。このように、図8に示すシールゴムは、サイズが大きくなるため、記録ヘッドを小型化するには適さないものとなっている。
【0011】
一方、図9および図10に示すシールゴム70および80は、第1のリップ部70aおよび80aが、インクタンク30のインク供給口の周囲に形成されている平坦なシール部31に当接させることを想定して形成されている。このため、図8に示すようなリブ21によってシール部材50を押圧するインクタンクへの使用には適さない。すなわち、図8に示すリブ21と、図9および図10に示す第1のリップ部70aおよび80aは、いずれも極めて狭小な当接部分を有するものであるため、両者を適正に当接させることは製造上、多大な困難を伴う。また、シール部材70は、それ自体が複雑な断面形状を有しており、製造コストが高くなるという不都合もある。
【0012】
このように、図9および図10に示すシール部材70および80は、平坦なシール部31を有するインクタンク30に使用することが適当である。しかし、このインクタンク30は、リブ21を有するインクタンク20に比べて大きな幅を有していることから、複数種のインクを収容する一体式インクタンクに適用されている。
【0013】
本発明は、上記従来の課題に着目してなされたものであり、インクタンクを着脱自在に保持する記録ヘッドにおいて、記録ヘッドとインクタンクとの接続部からのインクの蒸発を低減することができると共に、記録ヘッドからのシール部材の脱落を防止でき、かつインクタンクに加える荷重を軽減することが可能な記録ヘッドの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来技術にて述べた課題を解消するため、本発明は以下の構成を有する。
すなわち、本発明の第1の形態は、液体収納容器を着脱可能に保持する容器保持部と、前記容器保持部に設けられ前記液体収納容器から供給された液体を吐出する液体吐出部と、前記液体収納容器が装着される際に前記液体収納容器と前記容器保持部との間に挟まれて前記液体収納容器と前記液体保持部の間を密閉するシール部材を備えた記録ヘッドであって、前記シール部材は、前記液体収納容器の押圧部に当接可能な第1のシール部と、前記第1のシール部に連結されると共に前記液体収納容器に当接する第2のシール部および第3のシール部と、を有する可撓性部材により構成され、前記第1のシール部は、前記第2のシール部と前記第3のシール部とを連結する板状の部分によって形成され、前記各シール部と前記液体収納容器との間に閉塞された空間を形成することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第2の形態は、液体収納容器を着脱可能に保持する容器保持部に設けられ、前記液体収納容器が装着される際に前記液体収納容器と前記容器保持部との間に挟まれて前記液体収納容器と前記液体保持部の間を密閉するシール部材であって、前記シール部材は、前記液体収納容器の押圧部に当接可能な第1のシール部と、前記第1のシール部に連結されると共に前記液体収納容器に当接する第2のシール部および第3のシール部と、を有する可撓性部材により構成され、前記第1のシール部は、前記第2のシール部と前記第3のシール部とを連結する板状の部分によって形成され、前記各シール部と前記液体収納容器との間に閉塞された空間を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シール部材の第1のシール部は、第2、第3のシール部の間に板状に存在し、変形し易い構造となっている。そのため、液体収納容器の装着時に、液体収納容器の押圧部に確実に密接させることができ、記録ヘッドとインクタンクとの接続部からのインクの蒸発を低減することができる。また、インクタンクの押圧部によって加える荷重も軽減され、良好な操作性を得ることができる。さらに、液体収納容器の装着時において各シール部と記録ヘッドとの間の空間が第1のシール部の変形によって減圧され、シール部材が記録ヘッドに吸着するため、液体収納容器の取り外し時にシール部材が記録ヘッドから外れるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態における記録ヘッドを説明する。なお、本明細書における記録ヘッドは、インクジェット記録装置に用いられ、液体吐出容器から供給された液体を液滴として吐出するものである。ここで液体とは、記録媒体上に文字、図形などの画像を形成するための色材を含む液体に限らず、形成される画像の品質、耐候性などを向上するための処理液なども含む。以下、記録ヘッドから吐出されるこれらの液体をまとめてインクと称す。
【0018】
まず、本実施形態における記録ヘッドについて図1および図2に基づいて説明する。
本実施形態における記録ヘッド1は、図1に示すように、電気配線基板17、記録素子基板(液体吐出部)16、第1のプレート15、第2のプレート14、ジョイントゴム13、流路形成プレート12、ホルダ2、フィルタ5、および本実施形態特有の構成を有するシール部材7などを有している。
【0019】
記録素子基板16には、Si基板の片面にインクを吐出するための複数の記録素子と、各記録素子に電力を供給するAI等の電気配線とが成膜技術により形成されている。また、記録素子基板16には、この記録素子に対応した複数のインク流路と複数の吐出口とがフォトリソグラフィ技術により形成されると共に、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。また、前記記録素子基板16は第2のプレート14に接着固定されており、ここには、前記記録素子基板16にインクを供給するためのインク供給口が形成されている。第2のプレート14には開口部を有する第1のプレート15が接着固定されており、この第1のプレート15は、電気配線基板17と記録素子基板16とが電気的に接続されるよう電気配線基板17を保持している。この電気配線基板17は記録素子基板16にインクを吐出させるための電気信号を印加するものであり、記録素子基板16に対応する電気配線と、この電気配線の端部に位置し本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子18とを有している。
【0020】
また、ホルダ2には流路形成プレート12が超音波溶着され、ホルダに突設された複数のインク供給管(図2参照)と、流路形成プレート12の各流路とが接続されている。流路形成プレート12の各流路は、ジョイントゴム13の複数の挿通孔に挿通され、第2のプレート14に形成されたインク供給口に密閉された状態で接続されている。これにより、ホルダ2に装着されたインクタンク(液体貯蔵容器)から記録素子基板16に至るインク流路が形成される。
【0021】
記録ヘッド1のホルダ2には複数(ここでは5個)のインクタンク20をそれぞれ個々に装着するための複数(ここでは5個)の凹部3が設けられている。各々の凹部3の底面部にはインクタンク20の供給口との接続部4が設けられている。この接続部4には、インクタンク20の供給口21(図3(b)参照)に接続可能な円筒状の供給管5が突設されている。また、接続部4の各供給管5の上部にはフィルタ6が設けられ、外部からの塵埃の侵入を防止している。また、記録ヘッド1の接続部には、前記供給管5の周囲に嵌合、固定された環状のシール部材7が設けられている。このシール部材7は、インクタンク20をホルダ2の凹部3に装着した際、インクタンク20の供給口21と供給管5との接続部4からインクが蒸発するのを軽減するためのものであり、本実施形態の特徴的構成の一つとなっている。なお、このシール部材7の形状については、後に図4および図5と共に詳述する。
【0022】
図3は、本実施形態の記録ヘッド1におけるホルダ2の凹部3に装着されるインクタンク20の一例を示す斜視図である。インクタンク20内の底面部には、内部に収納されているインクを導出するためのインク供給口21(図3(b)参照)が形成されている。また、インクタンク20の底部外面には、インク供給口21の外面側開口部を囲む環状のリブ(押圧部)22が形成されており、インクタンク20を前記凹部3に装着した際に、このリブ22内に記録ヘッド1の供給管5が挿入されるようになっている。
【0023】
このインクタンク20は、図7に示したものと同様に、やや斜めに傾けた状態でインクタンク20をホルダ2の凹部3に挿入し、その後、インクタンク20を回転させることによって第1の爪23aと第2の爪23bがホルダ2に係合し、固定される。また、ホルダ2に装着されたインクタンク20を取り外す場合には、第2の爪23bを撓ませてホルダ2との係合を解除すればよい。
【0024】
なお、図3では1つのインクタンクのみを示しているが、本実施形態における記録ヘッド1は、インクタンク20を装着するための凹部3を5個有しており、各凹部3内には、異なる種類のインクを収納したインクタンク20が装着される。例えば、シアン、マゼンタ、イエローあるいはその他の色の色材を含んだインクを収納したインクタンクや、ブラックのインクを収容したインクタンク、あいは画像の品質を向上させるための処理液を含んだインクタンクが各凹部3に着脱可能に装着される。
【0025】
次に、図4および図5に基づき、本実施形態の特徴的構成の一つであるシール部材7について説明する。
【0026】
図4は本実施形態におけるシール部材7の形状を示す斜視図であり、(a)は、底面側から見た形状を、(b)は上面側から見た形状をそれぞれ示している。
図示のシール部材7は、ゴムなどの可撓性部材によって形成されており、第1のシール部7aと、第2のシール部7bと、第3のシール部7cとを有している。第2のシール部7bは、前記各凹部3の底部上面に突設された供給管5の外周に隙間なく嵌合し得る円環状の壁体部によって形成されている。第3のシール部7cは、第2のシール部7bを囲むよう形成された環状の壁体部によって形成されている。また、第1のシール部7aは、前記第2のシール部7bと第3のシール部7cのそれぞれの上端部を連結しており、外力が加えられていない初期状態においは平板形状をなしている。このように、本実施形態におけるシール部材は、第1のシール部7aは、第2のシール部7bと第3のシール部7cとの間に板状に掛け渡された状態で存在するため、上方からの押圧力によって下方へと変形し易い構造をなしている。
【0027】
図5は、上記シール部材7を供給管5の外周部に取り付けた状態を示す断面図である。図5(a)はインクタンク20が記録ヘッド1に最初に装着される前の状態、すなわち、記録ヘッド1に対してインクタンク20が全く装着されたことのない初期状態におけるシール部材の形状を示している。図5(b)はインクタンク20が記録ヘッド1に装着されているときのシール部材の形状を示している。
【0028】
図5(a)の初期状態において、シール部材7の第1のシール部7aは平坦な状態にあり、第2、第3のシール部7b、7cは、ホルダ2の底部上面(凹部3の底部上面)に当接している。このとき、各シール部7a、7b、7cと、ホルダ2の上面との間には、環状の閉塞された空間Sが形成されるが、この空間Sはほぼ大気圧と等しくなっている。
ここで、ホルダ2の凹部3にインクタンク20が装着されると、図5(b)に示すように、ホルダ3の供給管5の上端部に設けたフィルタ6が、インクタンクのインク供給口21に設けられた圧接体24に圧接する。これにより、インクタンク20内に収納されているインクは、インク部25から圧接体24、フィルタ6および供給管5を介して記録素子基板16へと供給される。
【0029】
また、このインクタンク20が完全に装着された状態において、シール部材7の第1のシール部7aは、インクタンク20のリブ2によって押圧される。そのため、第1のシール部7aは、図5(b)に示すように変形すると共に、そのときの変形によって生じた反力により第1のシール部材7とリブ22との間には良好な密閉状態が得られる。さらに、シールゴム7の第2、第3のシール部7b、7cは、インクタンク20の押圧力によって、ホルダ3の上面に密接する。このため、記録ヘッド1とインクタンク20との接続部の周囲は、記録ヘッド1とインクタンク20、およびそれらの間に介在するシール部材7とによって密閉された空間が形成され、前記接続部からのインクの蒸発は軽減される。
【0030】
また、本実施形態では、第2のシール部7bおよび第3のシール部7cは、インクタンク20の装着が完了したときのインクタンク55の押圧方向と平行する方向に突設されている。このため、インクタンク20のホルダ3の底部上面との接触面がインクタンク装着完了後のインクタンク20からの押圧力によって傾いたり、片当たりしたりすることはなく、常に大きな当接面積を確保することができる。従って、シール部材7とホルダ3との間の密閉性は良好な状態となる。特に、第1のシール部7aは、リブ21に押圧された際にリブ21の先端部に沿って大きく変形するため、両者の当接面積は大きくなり、これも良好な密閉性が得られる一因となっている。
【0031】
さらに、インクタンク20のリブ22がシール部材7に当接する位置の直下には、第2のシール部7b、第3のシール部7cが存在せず、第1のシール部7aは平板状をなしているため、インクタンク20装着時の荷重を小さく抑えることができる。
【0032】
このように本実施形態においては、シール部材7の第1のシール部7aが、平板状に形成されているため、インクタンク20の底部に形成したリブ22を、確実に当接させることができる。これにより、記録ヘッド1とインクタンク20との接続部に良好な密閉状態を得ることができる。このため、本実施形態における記録ヘッドによれば、幅の狭い比較的小型なインクタンクを使用する場合にも、インクタンクの幅を拡大させる必要のない薄肉のリブ22を底部に形成することで使用可能となる。従って、インクタンクの小型化および記録ヘッドの小型化などの要求にも十分に対応することが可能となる。また、インクタンク20の装着時の荷重を小さく抑えることが可能となるため、良好な操作性が得られる。
【0033】
ところで、上記のように、インクタンク20を装着して行く過程において、各シール部7a、7b、7cとホルダ3の上面とによって構成される空間Sの体積は、第1のシール部7aは変形に伴って、図5(a)に示した状態から減少して行く。その間、同空間S内の空気は第1のシール部7aに押されて、第3のシール部7cとホルダ3の上面との間から流出する。このため、インクタンク20の装着が完了した時点では、減少した空間S内の圧力はほぼ大気圧と同様の圧力となっている。
【0034】
次に、インクタンク20を記録ヘッド1から取り外すときには、インクタンク20による押圧力が解除されることから、シール部材7は、装着前の形状へ戻ろうとする。すなわち、減少した状態にある空間Sを拡大させる方向へ戻ろうとする復元力が働く。その結果、空間Sの内部は大気圧よりも減圧された空間となり、吸盤のようにホルダ2の上面に対して吸着力を発生する。この吸着力は、シール部材7の形状、弾性係数、インクタンク20の着脱前後の空間内部の体積変化率などを設計段階において選択することにより、適宜調整することができる。従って、インクタンク20にシール部材7が貼り付いてしまった状態で、インクタンク20が取り外される場合にも、記録ヘッド1への吸着力を大きく設定すれば、インクタンク20の取り外し時にシール部材7が記録ヘッド1の凹部3から外れることはなくなり、高い信頼性を得ることができる。
【0035】
なお、インクタンク20が一旦装着されると、その後インクタンク20を取り外しても、シール部材7は、凹部3の底部上面に吸着した状態を保つ。従って、シール部材7の各シール部7a、7b、7cと、凹部3の底部上面との間に形成される空間Sは、図5(a)に示す状態より小さく、図5(b)に示す状態より拡大された状態となる。このため、第1のシール部7aは、図5(b)に示す状態より平坦な凹面状に保たれ、その後のインクタンク装着時にも、インクタンクのリブ20を確実に第1のシール部7aに密接させることができる。
【0036】
なお、以上の説明においては、底部にリブを設けたインクタンク20を使用する場合を例に採り説明したが、本実施形態における記録ヘッド1は、リブの形成されていないインクタンク、例えば、図9および図10に示す底部が平面状のインクタンク30にも適用可能である。
【0037】
(その他の実施形態)
上記実施形態におけるシール部材7は、前記液体収納容器が前記容器保持部に最初に装着される前の初期形状において、第1のシール部7aが平板状をなし、インクタンク20とのシール部分が平面状を呈するものとした。が、第1のシール部が曲面形状を有する板状部分によって形成することも可能である。例えば、第1のシール部が凹面形状または凸面形状をなす板状部分によって形成してもよい。また、第2、第3のシール部は、互いに平行する方向に突出する環状の壁体部によって形成したが、第2、第3のシール部は、これに限定されるものではなく、両シール部の間隔が下端部に行くに従って拡大されるような形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、一般的なプリント装置のほか、複写機、通信システムを有するファクシミリ、さらには、各種処理装置と複合的に組み合わされた産業用記録装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態における記録ヘッドを斜め下方から見た分解斜視図である。
【図2】図1に示した記録ヘッドを上方から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施形態におけるインクタンクを底面側から見た斜視図である。
【図4】本実施形態におけるシール部材の形状を示す斜視図であり、(a)は、底面側から見た形状を、(b)は上面側から見た形状をそれぞれ示している。
【図5】本実施形態におけるシール部材を供給管の外周部に取り付けた状態を示す断面図であり、(a)はインクタンクが記録ヘッドに最初に装着される前の初期状態におけるシール部材の形状を、(b)はインクタンクが記録ヘッドに装着されているときのシール部材の形状を示している。
【図6】従来の記録ヘッドとインクタンクを示す斜視図である。
【図7】図6に示すインクタンクの記録ヘッドへの装着状態を示す断面図である。
【図8】従来の記録ヘッドに設けられるシールゴムの一例を示す断面図である。
【図9】従来の記録ヘッドに設けられるシールゴムの他の例を示す断面図である。
【図10】従来の記録ヘッドに設けられるシールゴムのさらに他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 記録ヘッド
2 ホルダ
5 供給管
7 シール部材
7a 第1のシール部
7b 第2のシール部
7c 第3のシール部
16 記録素子基板
20 液体収納容器
21 リブ
S 空間




 

 


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