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発明の名称 インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15270(P2007−15270A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−200157(P2005−200157)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一
発明者 筑間 聡行 / 川床 徳宏
要約 課題
簡便な処理によって、視覚的に均一な画像をマルチパス記録することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供すること。

解決手段
複数のノズル列から吐出される異なる色のインクの主滴と副滴の位置関係を考慮してマルチパス記録を行い、その際に、それぞれのノズル列によって記録する画像データを同一の間引きマスクを用いて間引く。
特許請求の範囲
【請求項1】
インクを吐出可能な複数のノズルが所定のピッチで配列された記録ヘッドを用い、前記ノズルの配列方向と交差する主走査方向に沿う前記記録ヘッドの往路走査および復路走査を少なくとも1回ずつ伴って、前記記録ヘッドのノズルから吐出するインクによって、記録媒体上の所定の記録領域に画像を記録可能なインクジェット記録装置であって、
前記記録ヘッドは、それぞれが異なる色のインクを吐出可能であって、かつ吐出するインクの主滴と副滴の位置関係が前記往路走査と復路走査において異なる複数のノズル列を含み、
前記往路走査と前記復路走査の少なくとも一方において、異なる色のインクを吐出可能であって、かつ前記往路走査と復路走査における主滴と副滴の位置関係が互いに異なる2つ以上の前記ノズル列、を用いて記録を行う記録制御手段と、
同一の間引きマスクを用いて、前記2つ以上のノズル列によって記録する画像データを間引くマスク手段と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記2つ以上のノズル列は、異なる色の第1および第2のインクを吐出可能な第1および第2のノズル列を含み、
前記第1のノズル列から吐出される前記第1のインクの主滴と副滴は、往路走査においては前記記録媒体上おいて重なって着弾し、往路走査においては前記記録媒体上において離れて着弾し、
前記第2のノズル列から吐出される前記第2のインクの主滴と副滴は、往路走査においては前記記録媒体上において離れて着弾し、往路走査においては前記記録媒体上おいて重なって着弾する
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記第1のノズル列は、前記第1のインクが供給される第1のインク供給口に対して、前記主走査方向の一方側に位置し、
前記第2のノズル列は、前記第2のインクが供給される第2のインク供給口に対して、前記主走査方向の他方側に位置する
ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第1および第2のノズル列の少なくとも一方は、前記インク供給口に対して前記主走査方向の両側に位置しかつインクの吐出量が異なる2つのノズル列の内の一方であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記第1および第2のノズル列の少なくとも一方は、前記インクの吐出量が異なる2つのノズル列の内、インクの吐出量が大きい方のノズル列であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記第1のノズル列は、前記第1のインク供給口に対して前記主走査方向の両側に位置しかつインクの吐出量が異なる2つのノズル列の内、インクの吐出量が大きい方のノズルであり、
前記第2のノズル列は、前記第2のインク供給口に対して前記主走査方向の両側に位置しかつインクの吐出量が異なる2つのノズル列の内、インクの吐出量が大きい方のノズルであり、
前記主走査方向において、前記第1のインク供給口の両側に位置しかつインクの吐出量が異なる前記2つのノズル列の配列順序と、前記第2のインク供給口の両側に位置しかつインクの吐出量が異なる前記2つのノズル列の配列順序と、は逆である
ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記第1のインク供給口の両側に、インクの吐出量が多い大ノズルとインクの吐出量が少ない小ノズルが位置し、
前記第2のインク供給口の両側に、インクの吐出量が多い大ノズルとインクの吐出量が少ない小ノズルが位置し、
前記主走査方向において、前記第1のインク供給口の両側の大ノズルと小ノズルがその順序で配列され、かつ前記第2のインク供給口の両側の小ノズルと大ノズルがその順序で配列される
ことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記第1のインク供給口の両側に、インクの吐出量が多い大ノズルとインクの吐出量が少ない小ノズルが位置し、
前記第2のインク供給口の両側に、インクの吐出量が多い大ノズルとインクの吐出量が少ない小ノズルが位置し、
前記主走査方向において、前記第1のインク供給口の両側の小ノズルと大ノズルがその順序で配列され、かつ前記第2のインク供給口の両側の大ノズルと小ノズルがその順序で配列される
ことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
インクを吐出可能な複数のノズルが所定のピッチで配列された記録ヘッドを用い、前記ノズルの配列方向と交差する主走査方向に沿う前記記録ヘッドの往路走査および復路走査を少なくとも1回ずつ伴って、前記記録ヘッドのノズルから吐出するインクによって、記録媒体上の所定の記録領域に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記記録ヘッドは、それぞれが異なる色のインクを吐出可能であって、かつ吐出するインクの主滴と副滴の位置関係が前記往路走査と復路走査において異なる複数のノズル列を含み、
前記往路走査と前記復路走査の少なくとも一方において、異なる色のインクを吐出可能であって、かつ前記往路走査と復路走査における主滴と副滴の位置関係が互いに異なる2つ以上の前記ノズル列、を用いて記録を行う工程と、
同一の間引きマスクを用いて、前記2つ以上のノズル列によって記録する画像データを間引く工程と、
を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるマルチパス記録モードによって画像を記録可能なインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等において、画像等の記録に用いられる記録装置、あるいはコンピュータやワードプロセッサ等を含む複合電子機器やワークステーション等のプリント出力機器として広く用いられている。インクジェット記録装置は、記録ヘッドから記録媒体に向かってインクを吐出して記録を行うものであり、高精細化が容易、高速記録が可能、静粛性に優れ、かつ安価であるという、種々の利点を有している。
【0003】
インクジェット記録装置においては、記録速度向上のために、複数の記録素子を集積配列してなる記録ヘッド(以下、「マルチヘッド」ともいう)として、インク吐出口および液路を複数集積したものが用いられる。また、カラー画像の記録が可能なインクジェット記録装置としては、このようなマルチヘッドを複数備えたものが一般的である。
【0004】
図1は、カラー画像の記録が可能なシリアルスキャンタイプのインクジェット記録装置に用いられるインクジェット記録ヘッド(マルチヘッド)の説明図である。シアンインク、マゼンタインク、イエローインク吐出用の記録ヘッド601、602、603は、矢印Xの主走査方向に移動可能なキャリッジに搭載される。記録媒体上に画像を記録する際には、キャリッジと共に記録ヘッド601,602,603を主走査方向に移動させつつ、それらのインク吐出口(以下、「ノズル」ともいう)からインクを吐出させる動作と、記録媒体を主走査方向と交差する矢印Yの副走査方向に搬送する動作と、を交互に繰り返す。
【0005】
記録ヘッド601,602,603のそれぞれには、偶数ノズル列Leと奇数ノズル列Loが形成されている。偶数ノズル列Leには、インクの吐出量が多い(例えば、5pl(ピコリットル))の32個の大ノズルLe(L1)〜Le(L32)と、インクの吐出量が少ない(例えば、2pl)の32個の小ノズルLe(S1)〜Le(S32)と、が交互に配置されている。同様に、奇数ノズル列Loには、インクの吐出量が多い32個の大ノズルLo(L1)〜Lo(L32)と、インクの吐出量が少ない32個の小ノズルLo(S1)〜Lo(S32)と、が交互に配置されている。各記録ヘッドの偶数ノズル列Leにおいて、大ノズルLe(L1)〜Le(L32)および小ノズルLe(S1)〜Le(S32)は、それぞれ1インチあたりD(=300個)の密度(300dpi(ドット/インチ))で配列されており、大ノズル同士の間隔および小ノズル間の間隔であるノズルピッチPは、それぞれP=1/D=1/300インチ≒84.7μmである。各記録ヘッドの奇数ノズル列Lo上における大ノズルLo(L1)〜Lo(L32)および小ノズルLo(S1)〜Lo(S32)についても同様である。
【0006】
実質的に、記録ヘッド601,602,603のそれぞれは、600dpiの密度で配列された64個の大ノズル(L)と64個の小ノズル(S)が形成されている。
【0007】
図2および図3は、このような記録ヘッドを用いて、4パス記録モード(マルチパス記録モード)により画像を記録する場合の説明図である。
【0008】
図2および図3の4パス記録モードにおいては、1/Dインチ四方を単位記録画素(点線で囲まれる領域)とし、その単位記録画素に4つのインクドットを形成する。そして、図2の場合には記録媒体の搬送量を1/Dインチの偶数倍とし、一方、図3の場合には記録媒体の搬送量を1/Dインチの偶数倍とする。それぞれの記録モードにおいては、ドットの配置パターンとして図2(a)〜(d)および図3(a)〜(d)の4つがある。
【0009】
図2(a)および図3(a)の場合には、記録ヘッドが矢印X1の往方向に移動するときの偶数列ノズルLeによって、1パス目の記録が始まり、図2(b)および図3(b)の場合には、記録ヘッドが矢印X1の往方向に移動するときの奇数列ノズルLoによって、1パス目の記録が始まる。また図2(c)および図3(c)の場合には、記録ヘッドが矢印X2の復方向に移動するときの偶数列ノズルLeによって、1パス目の記録が始まり、図2(d)および図3(d)の場合には、記録ヘッドが矢印X2の復方向に移動するときの奇数列ノズルLoによって、1パス目の記録が始まる。
【0010】
これらの図2および図3においては、偶数列ノズルLeのインク吐出方向が矢印E方向(X1方向)に傾き、かつ奇数列ノズルLoのインク吐出方向が矢印O方向(X2方向)に傾いるものとする。また、偶数列の大ノズルLeと奇数列の大ノズルLoを用いて、記録を行うものとする。
【0011】
また図2および図3において、E1,O1およびe1,o1はノズルLe,Loによって1パス目に形成される主ドットおよび副ドット、E2,O2およびe2,o2はノズルLe,Loによって2パス目に形成される主ドットおよび副ドット、E3,O3およびe3,o3はノズルLe,Loによって3パス目に形成される主ドットおよび副ドット、E4,O4およびe4,o4はノズルLe,Loによって3パス目に形成される主ドットおよび副ドットである。主ドットは、ノズルから吐出されるインクの主滴によって形成され、また副ドットは、その主滴から切り離されて、その主滴よりも小さなインク滴(以下、「副滴」もしくは「サテライト」と称す)によって形成される。
【0012】
実際には、1パス目から4パス目に形成される主ドットは重なっており、図2および図3においては、説明の便宜上、1パス目から4パス目の主ドットが単記録画素の異なる位置に形成されるように示している。
【0013】
また、図2の場合には、それぞれの記録走査(1パス目から4パス目)の間において、記録媒体を1/Dインチの偶数倍の距離搬送するため、単位記録画素内の全てのドットが偶数列ノズルLeまたは奇数列ノズルLoによって形成される。そして、図2(a)と図2(b)(もしくは、図2(c)と図2(d))のパターンが副走査方向において1/Dインチ毎に交互に出現する。一方、図3の場合には、それぞれの記録走査(1パス目から4パス目)の間において、記録媒体を1/Dインチの奇数倍の距離搬送するため、単位記録画素内のドットは、偶数列ノズルLeと奇数列ノズルLoを交互に用いて形成される。そして、図3(a)と図3(b)(もしくは、図3(c)と図3(d))のパターンが副走査方向において1/Dインチ毎に交互に出現する。
【0014】
通常、サテライトは、主ドットよりも吐出速度が低いため、それが吐出されてから記録媒体に着弾するまでの時間は、主ドットが吐出されてから記録媒体に着弾するまでの時間よりも長く掛かる。また、主ドットよびサテライトの吐出速度には、記録ヘッドの走査方向の移動速度が加算される。
【0015】
図2および図3のいずれの場合にも、インクの吐出方向が傾いている方向に記録ヘッドが移動するときには、副ドットが主ドットから離れた位置に形成されるおそれがある。そのため図2の場合には、主ドットの右側に副ドットが形成される図2(a)(もしくは図2(c))の画素と、主ドットの右側に副ドットが形成される図2(b)(もしくは図2(d))の画素が副走査方向において1/Dインチ毎に交互に出現することになる。そのため、視覚的に不均一な画像が記録されてしまうことになる。一方、図3の場合には、主ドットの左右に副ドットが形成される図2(a)(もしくは図2(d))の画素と、副ドットが出現しない図2(b)(もしくは図2(c))の画素が副走査方向において1/Dインチ毎に交互に出現することになる。そのため、視覚的に不均一な画像が記録されてしまうことになる。
【0016】
特許文献1には、このような不具合を解消するために、記録媒体の1/Dインチの偶数倍の搬送と奇数倍の搬送とを少なくとも1回ずつ含ませるように制御する方法が提案されている。この方法によれば、副ドットの形成位置のずれ量を極力均一化して、視覚的に均一な画像を記録することが可能となる。より具体的には、記録媒体の1/Dインチの偶数倍の搬送と奇数倍の搬送とを順次繰り返してマルチパス記録を行うことにより、主ドットの左右に、偶数列ノズルと奇数列ノズルから吐出された1個ずつの副ドットが出現する画素を記録する。
【0017】
【特許文献1】特開2003−053962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、記録媒体の1/Dインチの偶数倍の搬送と奇数倍の搬送とを少なくとも1回ずつ含ませるという制約のため、その制御がきわめて複雑になってしまう。通常、記録媒体を搬送するためのモータは、DCモータやパルスモータなどの如何に拘わらず、全ての搬送量に関して精度が保障されるものではない。例えば、搬送量の基本単位の整数倍においては精度が得られるものの、それ以外の搬送量では精度が得られないことがある。そのため、このような記録媒体搬送用のモータの特性なども考慮して、記録媒体の1/Dインチの奇数倍と偶数倍の搬送量を決定する必要があり、制御が複雑となり、かつ設計自由度も低い。また、記録媒体の搬送量の設定によっては、全てのノズルを使用することができなくなってしまう。
【0019】
本発明の目的は、簡便な処理によって、視覚的に均一な画像をマルチパス記録することができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出可能な複数のノズルが所定のピッチで配列された記録ヘッドを用い、前記ノズルの配列方向と交差する主走査方向に沿う前記記録ヘッドの往路走査および復路走査を少なくとも1回ずつ伴って、前記記録ヘッドのノズルから吐出するインクによって、記録媒体上の所定の記録領域に画像を記録可能なインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドは、それぞれが異なる色のインクを吐出可能であって、かつ吐出するインクの主滴と副滴の位置関係が前記往路走査と復路走査において異なる複数のノズル列を含み、前記往路走査と前記復路走査の少なくとも一方において、異なる色のインクを吐出可能であって、かつ前記往路走査と復路走査における主滴と副滴の位置関係が互いに異なる2つ以上の前記ノズル列、を用いて記録を行う記録制御手段と、同一の間引きマスクを用いて、前記2つ以上のノズル列によって記録する画像データを間引くマスク手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明のインクジェット記録方法は、インクを吐出可能な複数のノズルが所定のピッチで配列された記録ヘッドを用い、前記ノズルの配列方向と交差する主走査方向に沿う前記記録ヘッドの往路走査および復路走査を少なくとも1回ずつ伴って、前記記録ヘッドのノズルから吐出するインクによって、記録媒体上の所定の記録領域に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記記録ヘッドは、それぞれが異なる色のインクを吐出可能であって、かつ吐出するインクの主滴と副滴の位置関係が前記往路走査と復路走査において異なる複数のノズル列を含み、前記往路走査と前記復路走査の少なくとも一方において、異なる色のインクを吐出可能であって、かつ前記往路走査と復路走査における主滴と副滴の位置関係が互いに異なる2つ以上の前記ノズル列、を用いて記録を行う工程と、同一の間引きマスクを用いて、前記2つ以上のノズル列によって記録する画像データを間引く工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数のノズル列から吐出される異なる色のインクの主滴と副滴の位置関係を考慮してマルチパス記録を行い、その際に、それぞれのノズル列によって記録する画像データを同一の間引きマスクを用いて間引くことにより、従来のような複雑な処理を行うことなく、複数色のインクを用いて記録する場合に、インクのサテライトによって形成される副ドットを含んだ記録が可能となり、より簡便な処理によって、視覚的に均一な画像をマルチパス記録することができる。
【0023】
また、複数色のインクに対応する記録データを同一のマスクを用いて間引くことにより、マスクデータ量を削減することができ、この結果、マスクデータを保持するROMなどの容量を削減して、装置のコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
「インクジェット記録装置の機械的構成」
図4は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置の概略斜視図である。
【0025】
図4において、1101は4つのインクジェットカートリッジである。これらは、ブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローのインクがそれぞれ貯留されたインクタンクと、それぞれのインクに対応した記録ヘッド(マルチヘッド)713と、より構成されている。記録ヘッド713には、1インチ当たりD個の密度でd個のノズル1201が配列されている。紙送りローラ1103は、補助ローラ1104と共に記録媒体Pを挾持しながら回転して、記録媒体Pを矢印Yの副走査方向(搬送方向)に搬送する。一対の給紙ローラ1105は記録媒体Pの給紙を行う。一対のローラ1105は、ローラ1103、1104と同様に、記録媒体Pを挾持しながら回転する。一対の給紙ローラ1105は、紙送りローラ1103よりも回転速度を低くすることによって、記録媒体Pに張力を作用させることができる。
【0026】
1106は、4つのインクジェットカートリッジ1101を搭載可能なキャリッジであり、矢印Xの主走査方向に移動可能である。キャリッジ1106は、記録を行っていないとき、あるいは記録ヘッド713の回復処理(インクの吐出性能を維持するための処理)などを行うときは、図中破線で示した位置のホームポジションhに待機する。
【0027】
1パス記録モードのときには、次のような記録動作をする。
【0028】
まず、記録開始前にホームポジションhに位置するキャリッジ1106は、記録開始命令があると、記録ヘッド713はインクジェットカートリッジ1101と共に主走査方向に移動する。その移動中に、記録ヘッド713は、1インチ当たりD個の密度で配列されているd個のノズルから、インクを吐出することにより、記録媒体P上にd/Dインチの幅の記録を行う。この最初の記録が終了してから2回目の記録が始まる前に、紙送りローラ1103が矢印方向へ回転することにより、d/Dインチの幅分だけ記録媒体Pを副走査方向に搬送する。このように1パス記録モードのときには、キャリッジ1106の1主走査毎に、記録ヘッド713によるd/Dインチの幅の記録と、そのd/Dインチの幅分の記録媒体の搬送と、を繰り返し行うことにより、例えば、記録媒体Pの1頁分の記録を完成させる。
【0029】
また、マルチパス記録モードのときには後述するような記録動作をする。マルチパス記録モードは、写真調の高画質の画像を記録する場合に最適である。
【0030】
「制御系の構成」
図5は、図4のインクジェット記録装置における制御系の構成を示すブロック図である。
【0031】
CPU700は、メインバスライン705を介して、後述する各構成部の制御およびデータ処理を実行する。すなわちCPU700は、ROM702に格納されるプログラムにしたがって、後述するヘッドの駆動制御、キャリッジの駆動制御、およびデータ処理を各構成部を介して制御する。RAM701は、CPU700によるデータ処理等のワークエリアとして用いられ、ハードディスク等を用いることもできる。
【0032】
画像入力部703は、パーソナルコンピュータなどの形態のホスト装置(図示せず)との間のインターフェースを有しており、そのホスト装置から入力した画像データを一時的に保持する。画像信号処理部704は、色変換、2値化等の他、データ処理を実行する。操作部706にはキー等が備えられており、オペレータによる制御入力等を可能とする。回復系制御回路707は、RAM701に格納される回復処理プログラムにしたがって、記録ヘッド713におけるインクの吐出状体を良好に維持するための回復動作を制御する。回復動作においては、回復系モータ708がクリーニングブレード709、キャップ710、および吸引ポンプ711を駆動する。回復動作としては、記録ヘッド713から画像の記録に寄与しないインクをキャップ710内に吐出させる予備吐出、記録ヘッド713から画像の記録に寄与しないインクをキャップ710内に吸引排出させる吸引回復動作、および記録ヘッド713におけるインク吐出口の形成面をクリーニングブレード709によってワイピングする動作などを含む。
【0033】
ヘッド駆動制御回路715は、記録ヘッド713におけるインク吐出用のエネルギー発生手段としての電気熱変換体(ヒータ)を制御して、記録のためのインクをノズルから吐出させたり、回復動作のためのインクをノズルから予備吐出させる。そのエネルギー発生手段としては、ピエゾ素子などを用いることもできる。本例のように電気熱変換体を用いた場合には、それが発する熱エネルギーによってインクを発泡させ、その発泡エネルギーを利用して、ノズルからインクを吐出させることができる。キャリッジ駆動制御回路716および紙送り制御回路717は、プログラムにしたがって、キャリッジ1106の移動および記録媒体Pの紙送り(搬送)を制御する。
【0034】
また、記録ヘッド713において、インク吐出用のエネルギー発生手段が設けられている基板には、記録ヘッド713内のインクの温度を所望の設定温度に加熱調整するための保温ヒータが備えられている。その記録ヘッド713の基板には、実質的に記録ヘッド内部のインク温度を測定するためのサーミスタ712が備えられている。保温ヒータやサーミスタ712は、記録ヘッド713の基板にではなく、その外部に設けられていてもよく、記録ヘッドの周囲近傍に備えてもよい。
【0035】
「記録ヘッドの構成」
図6から図8は、記録ヘッド713の構成例を説明するための図である。
【0036】
図6において、713Cはシアンインク吐出用の記録ヘッド、713Mはマゼンタインク吐出用の記録ヘッド、713Yはイエローインク吐出用の記録ヘッドである。記録ヘッド713(713C,713M,713Y)のそれぞれには、偶数ノズル列Leと奇数ノズル列Loが形成されている。
【0037】
記録ヘッド713Cにおいて、偶数ノズル列Leには、インクの吐出量が少ない(例えば、2pl(ピコリットル))の64個の小ノズルLe(S1)〜Le(S64)が1インチあたりD=600個の密度(600dpi)で配列されている。また奇数ノズル列Loには、インクの吐出量が多い(例えば、5pl)の64個の大ノズルLo(L1)〜Lo(L64)が1インチあたりD=600個の密度(600dpi(ドット/インチ))で配列されている。これらの大ノズル間の間隔(ノズルピッチ)Pおよび小ノズル間の間隔(ノズルピッチ)Pは、P=1/D=1/600インチ≒42.4μmである。このようにd=64個の吐出口(64ノズル)を列状に有する記録ヘッド713Cは、その長さ(d/D)がd/D=64/600インチ≒2.71mmである。
【0038】
他の2つの記録ヘッド713M,713Yは、記録ヘッド713Cとは逆に、偶数ノズル列Leに64個の大ノズルLe(L1)〜Le(L64)が配列され、奇数ノズル列Loに64個の小ノズルLe(S1)〜Le(S64)が配列されている。2つの記録ヘッド713M,713Yにおけるノズルの密度、ノズルの間隔、ノズルの個数などの条件は、記録ヘッド713Cと同様である。これらの記録ヘッド713(713C,713M,713Y)は、主走査方向に横並びに配置される。
【0039】
図7は、記録ヘッド713Cの一部の拡大図、図8は、図7のVIII−VIII線に沿う拡大断面図である。
【0040】
図8において、1001はインク供給口、1002は発泡室、1004は記録ヘッドの表面を示す。1003Aは、大ノズルLo(L60)からインクを吐出させるための熱エネルギーを発生する電気熱変換体(ヒータ)、1000Bは、小ノズルLe(S60)からインクを吐出させるための熱エネルギーを発生する電気熱変換体(ヒータ)である。インク供給口1001からインクが供給される共通液室1005の一方側(図中の左側)には大ノズルが配列され、その他方側(図中の右側)には小ノズルが配列している。このように大ノズルと小ノズルを共通液室1005の一方側と他方側にまとめることにより、各大ノズルに関してインクの吐出方向を統一化し、また各小ノズルに関してインクの吐出方向を統一化することが可能となる。
【0041】
以下の説明においては、記録ヘッド713C,713M,713Yのそれぞれにおいて、偶数ノズル列Leに配列されたノズルは、インク滴の吐出方向が矢印Eの方向に傾いており、また奇数ノズル列Loに配列されたノズルは、インク滴の吐出方向が矢印Oの方向に傾いているものとする。
【0042】
ノズルの配列形態は上記の例に特定されず任意であり、ノズルを1インチ当たりD’個の密度(D’dpi)で配置して、ノズルピッチP’(P’=1/D’)とすればよい。この場合、記録媒体Pを搬送する紙送りローラの駆動用パルスモータの1パルスの分解能は、記録媒体Pの搬送量に換算して1インチ当たりD’ドット(D’dpi)分、あるいは、その倍数であればよい。
【0043】
「マルチパス記録モード」
次に、マルチパス記録モードによる記録動作について説明する。前述したように、本例の記録装置は1パス記録モードによる記録動作も可能である。
【0044】
マルチパス記録モードにおいては、記録ヘッドのノズル列をm分割し、所定領域の画像をm回の記録走査によって完成させることになる。以下においては、マルチパス記録モードの一例として、m=2とし、記録ヘッドのノズル列を2分割して、所定領域の画像を2回の記録走査によって完成させる2パス記録モードを例にして説明する。2パス記録モードは一例であり、本実施形態の記録装置は、3パス以上のマルチパス記録モードによる記録動作も可能である。2パス記録モードの場合、各パス毎の紙送り量はノズル長(ノズル列の長さ)の1/2、つまり32/600インチとなる。
【0045】
また本実施形態では、同一の間引きマスクパターンを使用して、シアン、マゼンタ、イエローのインクに対応する記録データを間引きするものとする。したがって、例えば、同一記録画素にシアンとマゼンタのインクに対応する記録データが存在した場合には、その記録画素が同じ記録走査(同一パス)によって記録されることになる。
【0046】
以下、主として図9を用いて、2パス記録モードにおける記録方法について説明する。
【0047】
図9は、1/600インチ四方を単位記録画素とし、記録ヘッド713C,713Mの大ノズルからインクを吐出して、その単位記録画素にシアンとマゼンタのインクの大ドットC,Mを形成する場合の例である。図9(a),(b)は、2回の走査によって、単位記録画素に大ドットC,Mを2つずつ形成する場合の異なる例であり、図9(c),(d)は、1回の走査によって、単位記録画素に大ドットC,Mを1つずつ形成する場合の異なる例である。これらの大ドットC,Mは実際には重なって形成されるが、図9においては、説明の便宜上、それらの大ドットがあたかも縦方向にずれているかのように表現する。
【0048】
図9(a)の場合には、記録ヘッドが矢印X1の往方向に移動する往路走査(往走査)によって、1パス目の記録が始まる。そのX1方向の1パス目において、奇数ノズル列Lo上のシアンインク吐出用のノズルと、偶数ノズル列Le上のマゼンタインク吐出用のノズルからインクが吐出されて、シアンとマゼンタのインクの大ドットC,Mが重なるように形成される。それらの大ドットC,MをC(O1),M(E1)とする。本例の場合、偶数ノズル列Le上のノズルは、インク滴の吐出方向が矢印X1方向と同じ矢印Eの方向に傾いており、また奇数ノズル列Lo上のノズルは、インク滴の吐出方向が矢印X2方向と同じ矢印Oの方向に傾いている。
【0049】
前述したように、ノズルのインクの吐出方向が傾いている場合に、その傾きの方向に記録ヘッドが移動するときには、そのノズルから吐出されるインクの主滴によって形成される主ドットに対して、そのノズルから吐出されるサテライト(副滴)によって形成される副ドットの位置がずれる。そのため、この1パス目においては、シアンインクの主滴とサテライトは近い位置に着弾し、マゼンタインクの主滴とサテライトは離れた位置に着弾する。図9(a)においては、後者のマゼンタインクのサテライトによって形成される副ドットをm(E1)とする。
【0050】
このような1パス目の記録が終了すると、記録媒体Pを32/600インチ搬送して、次の2パス目の記録を行う。
【0051】
2パス目の記録は、記録ヘッドが矢印X2の復方向に移動する復路走査(復走査)によって行なわれる。この2パス目の復路走査においても、先の1パス目の往路走査と同様に、奇数ノズル列Lo上のシアンインク吐出用のノズルと、偶数ノズル列Le上のマゼンタインク吐出用のノズルからインクが吐出されて、シアンとマゼンタのインクの大ドットC,Mが重なるように形成される。それらの大ドットC,MをC(O2),M(E2)とする。この2パス目においては、1パス目とは逆に、シアンインクの主滴とサテライトは離れた位置に着弾し、マゼンタインクの主滴とサテライトは近い位置に着弾する。図9(a)においては、前者のシアンインクのサライトによって形成される副ドットをc(O2)とする。
【0052】
このような2パスによって単位記録画素に対しての記録が終了する。例えば、その単位記録画素に対する記録のために、1パス目に、記録ヘッド713CのノズルLo(L2)と記録ヘッド713MのノズルLe(L2)を用いた場合には、その後に記録媒体Pが32ノズル分の搬送されるため、2パス目には、記録ヘッド713CのノズルLo(L34)と記録ヘッド713MのノズルLe(L34)が用いられることになる。
【0053】
図9(a)のように画像を記録することにより、単位記録画素に重ねて形成される4つの主ドットのC(O1),M(E1),C(O2),M(E2)の左右に、サテライトによる副ドットm(E1),c(O2)が1つずつ均等に形成されることになる。
【0054】
図9(b)の場合には、記録ヘッドが矢印X2の復方向に移動する復路走査によって、1パス目の記録が始まる。そのX2方向の1パス目において、奇数ノズル列Lo上のシアンインク吐出用のノズルと、偶数ノズル列Le上のマゼンタインク吐出用のノズルからインクが吐出されて、シアンとマゼンタのインクの大ドットC,Mが重なるように形成される。それらの大ドットC,MをC(O1),M(E1)とする。この1パス目においては、シアンインクの主滴とサテライトは離れた位置に着弾し、マゼンタインクの主滴とサテライトは近い位置に着弾する。図9(b)においては、前者のシアンインクのサライトによって形成される副ドットをc(O1)とする。
【0055】
このような1パス目の記録が終了すると、記録媒体Pを32/600インチ搬送して、次の2パス目の記録を行う。
【0056】
2パス目の記録は、記録ヘッドが矢印X1の往方向に移動する往路走査によって行なわれる。この2パス目の往路走査においても、先の1パス目の復路走査と同様に、奇数ノズル列Lo上のシアンインク吐出用のノズルと、偶数ノズル列Le上のマゼンタインク吐出用のノズルからインクが吐出されて、シアンとマゼンタのインクの大ドットC,Mが重なるように形成される。それらの大ドットC,MをC(O2),M(E2)とする。この2パス目においては、1パス目とは逆に、シアンインクの主滴とサテライトは近い位置に着弾し、マゼンタインクの主滴とサテライトは離れた位置に着弾する。図9(a)においては、後者のマゼンタインクのサライトによって形成される副ドットをm(E2)とする。
【0057】
このような2パスによって単位記録画素に対しての記録が終了する。例えば、その単位記録画素に対する記録のために、1パス目に、記録ヘッド713CのノズルLo(L3)と記録ヘッド713MのノズルLe(L3)を用いた場合には、その後に記録媒体Pが32ノズル分の搬送されるため、2パス目には、記録ヘッド713CのノズルLo(L35)と記録ヘッド713MのノズルLe(L35)が用いられることになる。
【0058】
図9(b)のように画像を記録することにより、単位記録画素に重ねて形成される4つの主ドットのC(O1),M(E1),C(O2),M(E2)の左右に、サテライトによる副ドットc(O1),m(E2)が1つずつ均等に形成されることになる。
【0059】
図9(c)の場合には、記録ヘッドが矢印X1の往方向に移動する1回の往路走査(1パス)のみによって、単位記録画素に、シアンとマゼンタのインクの大ドットC,Mを重ねるように形成する。また、図9(c)の場合には、記録ヘッドが矢印X2の復方向に移動する1回の復路走査(1パス)のみによって、単位記録画素に、シアンとマゼンタのインクの大ドットC,Mを重ねるように形成する。図9(c)の場合は、図9(a)における1パス目にみによってシアンとマゼンタの大ドットC,Mを1つずつ形成する場合に相当するため、1つの副ドットm(E1)が形成されることになる。また、図9(d)の場合は、図9(b)における1パス目にみによってシアンとマゼンタの大ドットC,Mを1つずつ形成する場合に相当するため、1つの副ドットc(O1)が形成されることになる。
【0060】
ここで特筆すべきは、シアンとマゼンタの大ドットC,Mを同一の単位録画素に1つずつ形成しようとした場合に、少なくとも1つのサテライトによって、少なくとも1つの副ドットの形成が可能であることである。
【0061】
上述した例においては、シアンとマゼンタのインクについて説明をした。その理由は、イエローインクは明度が高いために、サテライトによって副ドットが形成されたとしても、画質への影響が少ないためである。そのため本例においては、イエローインク用の記録ヘッド713Yのノズル配列は、マゼンタインク用の記録ヘッド713Mと同じノズル配列とした。しかし、記録ヘッド713Yのノズル配列は、シアンインク用の記録ヘッド713Cと同じノズル配列としてもよい。
【0062】
(他の実施形態)
前述した実施形態においては、偶数ノズル列Leに、シアンインク用の小ノズルLe(S1)〜Le(S64)とマゼンタインク用の大ノズルLe(L1)〜Le(L64)が配列され、奇数ノズル列Loに、シアンインク用の大ノズルLo(L1)〜Lo(L64)とマゼンタインク用の小ノズルLo(S1)〜Lo(S64)が配列されている。これとは逆に、偶数ノズル列Leに、シアンインク用の大ノズルとマゼンタインク用の小ノズルを配列し、奇数ノズル列Loに、シアンインク用の小ノズルとマゼンタインク用の大ノズルを配列してもよい。つまり、シアンインク用とマゼンタインク用の大ノズルに関しては、一方を偶数ノズル列Le、他方を奇数ノズル列Loに配列すればよく、同様に、シアンインク用とマゼンタインク用の小ノズルに関しては、の一方を偶数ノズル列Le、他方を奇数ノズル列Loに配列すればよい。要は、シアンとマゼンタのインクの大ドットおよびその副ドットが前述した実施形態のような関係となり、同様に、シアンとマゼンタのインクの小ドットおよびその副ドットが前述した実施形態のような関係となればよい。このような関係は、異なる2つの色のインクにおいて成立すればよく、インクの色はシアンとマゼンタのみに特定されない。
【0063】
図10は、記録ヘッドの他の構成例を説明するための図である。
【0064】
本例の記録ヘッドは、前述した図6の記録ヘッドから小ノズルを排除して、大ノズルのみを備えたノズル構成とされている。大ドットとその副ドットが前述した実施形態と関係の関係にあるため、前述した実施形態と同様の効果を得ることができる。1001は、前述した実施形態における記録ヘッドと同様のインク供給口である。
【0065】
また本発明は、2パス記録モードのみにあらず、3パス以上のマルチパス記録モードにも適用することができる。
【0066】
また、上述したようなノズル構成と共に、全てのインク色に対応する記録データを同一の間引きマスクを用いて間引くことにより、従来のような複雑なデータ処理を行うこともない。例えば、シアンとマゼンタのインクによって青色を記録する場合に、必ず、副ドットを含ませることが可能となり、より簡便な方法によって従来とほぼ同等な画像を記録することができる。また、各インク色毎の間引きマスクを同一とすることにより、従来よりも間引きマスクに関するマスクデータ量を削減することが可能となる。この結果、マスクデータを保持するROM容量を削減して、装置全体のコストダウンを図ることができる。
【0067】
(その他)
以上の実施形態は、インクジェット記録方式の中でも、特に、インクの吐出に利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば、電気熱変換体やレーザ光等)を備えて、その熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより、記録画像の高密度化、高精細化が達成できる。
【0068】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、いわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である。オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応し、かつ核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加する。これによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的に、この駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内に気泡を形成する。この気泡の成長、収縮により、吐出用開口を通して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。このような駆動信号をパルス形状とすることにより、即時適切に気泡の成長収縮を行なうことができ、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成できる。
【0069】
このようなパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0070】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に、熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書に記載された構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や、熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても良い。
【0071】
さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような記録ヘッドを複数組み合わせて、その長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0072】
また記録ヘッドとしては、上記の実施形態で説明した記録ヘッド自体に、一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着されることによって、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0073】
また、以上説明した記録装置の構成に、記録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加することは、記録動作を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、予備加熱手段などがある。予備加熱手段としては、電気熱変換体、あるいはこれとは別の加熱素子、あるいはこれらの組み合わせを用いることができる。また、記録とは別にインクの吐出を行う予備吐出モードを備えることも、安定した記録を行うために有効である。
【0074】
さらに記録装置としては、黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドの一体的な構成あるいは複数個の組み合わせなどに拘わらず、異なる色の複色のカラー画像の記録モード、または混色によるフルカラー画像の記録モードの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
【0075】
以上説明した実施形態においては、インクが液体であることを前提として説明している。しかし、室温やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化もしくは液化するものを用いても良い。あるいは、インクジェット方式では、インク自体を30°C以上70°C以下の範囲内で温度調整を行って、インクの粘性を安定吐出範囲とするように温度制御することが一般的であるから、記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0076】
加えて、積極的に、熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用してもよく、インクの蒸発を防止するために、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いてもよい。いずれにしても、記録信号に応じて熱エネルギーを付与することによってインクが液化して吐出されるもの、あるいは記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のように、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合にも本発明は適用可能である。このような場合、インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるように、多孔質シートの凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態において、電気熱変換体と対向するような形態としてもよい。本発明において、このような種々のインクに対して最も有効な方式は、前述した実施形態のような膜沸騰方式である。
【0077】
さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として、それに一体または別体に設けられるものの他、リーダ(読取り装置)等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】従来の記録装置に備わる記録ヘッドのノズル構成を説明するための模式図である。
【図2】図1の記録ヘッドを備えた従来の記録装置によって、4パス記録モードで画像を記録した場合のドット配置の一例を示す模式図である。
【図3】図1の記録ヘッドを備えた従来の記録装置によって、4パス記録モードによって画像を記録した場合のドット配置の他の例を示す模式図である。
【図4】本発明の実施形態におけるインクジェット記録装置の要部の斜視図である。
【図5】図4のインクジェット記録装置の制御系のブロック構成図である。
【図6】図4のインクジェット記録装置に用いられる記録ヘッドのノズル構成を説明するための模式図である。
【図7】図6における記録ヘッドの一部の拡大図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う拡大断面図である。
【図9】(a),(b),(c),(d)のそれぞれは、図4のインクジェット記録装置によって2パス記録モードで画像を記録した場合のドット配置の異なる例を示す模式図である。
【図10】本発明のインクジェット記録装置に用いられる記録ヘッドのノズル構成の他の例を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0079】
1106 キャリッジ
700 CPU
701 ROM
702 RAM
704 画像信号処理部
713 記録ヘッド
713C シアンインク用記録ヘッド
713M マゼンタインク用記録ヘッド
713Y イエローインク用記録ヘッド
715 ヘッド駆動制御回路
716 キャリッジ駆動回路
717 紙送り駆動回路
Lo 奇数ノズル列
Le 偶数ノズル列
L1〜L64 大ノズル
S1〜S64 小ノズル
C シアンインクの大ドット
c シアンインクの副ドット
M マゼンタインクの大ドット
m マゼンタインクの副ドット
O 奇数ノズル列上のノズルのインク吐出の傾き方向
E 偶数ノズル列上のノズルのインク吐出の傾き方向
X 主走査方向
X1 往方向(往路方向)
X2 復方向(復路方向)
Y 副走査方向(搬送方向)
P 記録媒体




 

 


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