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インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法 - キヤノン株式会社
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発明の名称 インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15266(P2007−15266A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−200153(P2005−200153)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一
発明者 宮崎 浩孝
要約 課題
インクを吐出させるためのエネルギを発生する素子が設けられた記録素子基板と、前記素子の駆動信号を伝送するための電気配線部材とを具え、加熱を伴う工程を含んで製造されるインクジェット記録ヘッドにおいて、記録素子基板の電極端子と、電気配線部材のリード端子との電気接合部分が、電気配線部材等の熱膨張に起因してリード端子に作用する力によって破壊されるのを防ぐ。

解決手段
電気配線部材H1301の熱膨張がリード端子H1304に及ぼす力の方向H1311に合わせて、電気接合部H1305ないし圧痕面の形状を定め、電気接合部の一部に応力集中が生じないようにする。
特許請求の範囲
【請求項1】
インク吐出口を形成した吐出口形成部材および前記インク吐出口からインクを吐出させるためのエネルギを発生する素子が設けられた記録素子基板とが接合されてなる吐出部と、前記素子の駆動信号を伝送するための電気配線部材と、前記吐出部および前記電気配線部材を支持する支持部材と、を具えたインクジェット記録ヘッドであって、
前記記録素子基板は前記駆動信号を受容するために配列された複数の電極端子を有し、
前記電気配線部材は前記駆動信号の伝送を行うために前記複数の電極端子に接合される複数のリード端子を有し、
前記電極端子と前記リード端子との接合面の前記配線部材に対向する辺の垂線方向が、前記電気配線部材または前記支持部材の線膨張により発生する前記リード端子の引っ張り応力の方向と略同一となるようにしたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項2】
インク吐出口を形成した吐出口形成部材および前記インク吐出口からインクを吐出させるためのエネルギを発生する素子が設けられた記録素子基板とが接合されてなる吐出部と、前記素子の駆動信号を伝送するための電気配線部材と、前記吐出部および前記電気配線部材を支持する支持部材と、を具えたインクジェット記録ヘッドであって、
前記記録素子基板は前記駆動信号を受容するために配列された複数の電極端子を有し、
前記電気配線部材は前記駆動信号の伝送を行うためにボンディング法により前記複数の電極端子に接合される複数のリード端子を有し、
前記電極端子と前記リード端子とが前記ボンディング法により接合される際に形成される圧痕面の前記配線部材に対向する辺の垂線方向が、前記電気配線部材または前記支持部材の線膨張により発生する前記リード端子の引っ張り応力の方向と略同一となるようにしたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項3】
前記圧痕面の底部の、少なくとも前記電気配線部材に対向する側に位置する隅部が面取り形状を有していることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項4】
前記圧痕面の形状に合わせて前記電極端子の寸法、形状または配置を定めてなることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項5】
前記リード端子と前記電極端子とがギャングボンディングにより接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項6】
前記電気配線部材はTABテープで形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項7】
インクを収納する部分を一体に具えてなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項8】
インク吐出口を形成した吐出口形成部材および前記インク吐出口からインクを吐出させるためのエネルギを発生する素子が設けられた記録素子基板とが接合されてなる吐出部と、前記素子の駆動信号を伝送するための電気配線部材と、前記吐出部および前記電気配線部材を支持する支持部材と、を具えたインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
前記駆動信号を受容するために配列された複数の電極端子を有する記録素子基板を用意する工程と、
前記駆動信号の伝送を行うために前記複数の電極端子に接合される複数のリード端子を有する電気配線部材を用意する工程と、
前記電極端子と前記リード端子とを接合される際に形成される圧痕面の前記配線部材に対向する辺の垂線方向が、前記電気配線部材または前記支持部材の線膨張により発生する前記リード端子の引っ張り応力の方向と略同一となるようにするために、曲率部分をもつ加圧面形状を有するボンディングツールを適用して、前記複数のリード端子と前記複数の電極端子とを一括接合する工程と、
を具えたことを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記ボンディングツールは、少なくとも前記曲率部分に沿った部分に面取り形状を有していることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項10】
記録素子基板を用意する工程では、前記ボンディングツールによって形成される前記圧痕面の形状に合わせて前記電極端子の寸法、形状または配置を定めてなる記録素子基板を用意することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のインクジェット記録ヘッド。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を吐出して記録動作を行うインクジェット記録装置に用いられるインクジェット記録ヘッドおよびその製造方法に関する。本発明は、一般的なプリント装置のほか、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリント部を有するワードプロセッサ等の装置、あるいは、これらの装置を複合した多機能記録装置等に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
近年来のパーソナルコンピュータやデジタルカメラなどの等情報処理機器の普及に伴い、画像形成端末としての記録装置も急速に発展および普及してきた。そして種々の記録装置の中でも、吐出口からインクを吐出させて紙、布、プラスチックシート、OHP用シートなどの記録媒体上に記録を行うインクジェット記録装置は、低騒音のノンインパクト型の記録方式であること、高密度かつ高速な記録動作が可能であること、カラー記録にも容易に対応できること、低廉であることなど、極めて優れた特長を有している。
【0003】
かかるインクジェット記録装置に用いられるインクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドとも言う)の主な構成要素としては、インクを吐出するための吐出口、この吐出口からインクを吐出するために利用されるエネルギを発生する吐出エネルギ発生部およびこの吐出エネルギ発生部に電気信号を与える複数の電極端子を具備する記録素子基板と、この記録素子基板の周囲を囲む開口部、開口部内に突出して記録素子基板の電極端子と接続するリード端子、外部から電気信号を受容する外部信号接続端子およびこれら端子間を結ぶ配線を具備する電気配線部材と、記録素子基板および電気配線部材を支持固定する本体部材と、があげられる。
【0004】
これらの構成要素を組み立てて記録ヘッドを製造する方法として、特許文献1では、次の工程が記載されている。
(工程1)記録素子基板と電気配線部材とをTAB実装技術により電気接続して一体のユニットとする。
(工程2)本体部材(インク収容部分を一体に有してなるもの)に記録素子基板と電気配線基板とからなるユニットを接着固定する。
【0005】
一方、特許文献2では、次の工程が記載されている。
(工程1)記録素子基板とベース部材とを接着固定する。
(工程2)電気配線部材とベース部材とを接着固定する。
(工程3)記録素子基板と電気配線部材とをTAB実装技術により電気接続する。
【0006】
これらのいずれの方法で組み立てられた記録ヘッドにおいても、記録素子基板と電気配線部材との電気接続およびそれらのベース部材への接着固定に関しては、その製造工程の安定度が完成品の良品率や市場での信頼性に大きく影響を与えるのは勿論である。
【0007】
ところで、近年インクジェット記録装置には、現在目覚しく普及しつつあるデジタルカメラなどの出力装置として、銀塩写真に匹敵する高画質化が求められている。これらに対し効果的なこととして、インクジェット記録装置の記録ヘッドより吐出されるインク滴の大きさを微小化すること、すなわち吐出口を微細化することが挙げられる。また、用いるインクの色調種類を増し、従来のブラック、イエロー、マゼンタ、シアンなどの基本色に加えて、例えばレッド、グリーンあるいはグレーなどのインクを合わせて使用することも挙げられる。また、これら各色調のインク滴が記録媒体に着弾する際の相対位置のずれは出力画像の画質に大きな影響を与えるため、複数色調のインクを吐出する吐出部を一体化してなる記録素子基板が採用されることもある。
【0008】
一方、上記高画質化に加えて、記録出力に要する時間の短縮も強く要望されている。これに対しては、記録素子基板に実装される吐出エネルギ発生部および吐出口の数を増すことが1つの手段として採用されている。
【0009】
このように、記録の高速化や高画質化が求められている状況下、記録ヘッドの吐出部には多数の吐出口および吐出エネルギ発生部が高密度に実装されるようになってきている。具体的には、64個から128個、さらには256個以上もの吐出口が設けられるようになってきており、また吐出口の配列密度も、1インチ当たりの吐出口数を表す表記「dpi」で、300dpiあるいは600dpi以上のように高密度化している。さらには、特許文献3に開示された技術を適用することで、記録媒体上でドットが視認されない、すなわち粒状感が無い直径40〜50μmの小ドットを600×1200〜1200×1200dpiの解像度で形成可能なものも現れてきている。
【0010】
このように多数の吐出口および吐出エネルギ発生部が高密度に実装され、さらには複数色調のインクに対応した吐出部を一体にした記録素子基板が用いられるようになってきていることから、記録素子基板の大きさが拡大し、また記録装置本体から記録素子基板に与える駆動信号線の数が増加していくことから、記録素子基板の電極端子と電気配線基板のリード端子との電気接続点数が増大する傾向にある。
【0011】
ここで、電気配線部材のリード端子と記録素子基板の電極端子との電気接合方法としては、シングルポイントボンディング法や、特許文献3に開示されているような、複数のリード端子を一括して記録素子基板の電極端子に接合するギャングボンディング法がある。しかし生産規模が大きい場合には、生産タクトやコスト等を考慮すると、ギャングボンディング方法を採用することが好ましい。
【0012】
【特許文献1】特開平11−138814号公報
【特許文献2】特開2002−19119号公報
【特許文献3】特開平11−40621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に示すような組立方法を実施する場合、電気配線部材と記録素子基板とからなるユニットを本体部材に接着固定する工程において、ユニットの記録素子基板の部分を本体部材に接着固定した後に、電気配線部材の上面からヒートツールを所定時間(例えば0.5秒程度)押し当て、電気配線部材の部分と本体部材とが接着固定される。
【0014】
このとき、図12(a)に示すように、電気配線部材H1301は直接ヒートツールが接するため、全域で昇温し、熱膨張による変形が生じる。なお、本体部材は、電気配線部材固定面のみ昇温し、他は殆ど昇温しないため、本体部材の構造上の剛性も相俟って全体的な変形は生じないと考えられるが、当該固定面についての変形が無視できない場合もある。このように電気配線部材等が熱膨張により変形した状態で電気配線部材と本体部材との接着固定がなされると、電気配線部材から突出して記録素子基板H1101の電極端子H1105に接続されているリード端子H1304が矢印で示すように引っ張られ、同図(b)に示すように変形してしまう。
【0015】
図13は電気配線部材が熱膨張した状態で接着固定され、加熱解除後の温度低下によってリード線に加わる力の関係を示した模式的平面図である。当該力は、当初のリード端子延在方向(y方向)に対し角度θをなす矢印A方向に作用する。このθは、熱膨張により変形した電気配線部材H1301上のリード端子の配設位置に応じて異なり、端部に位置するものほど大となる。矢印Bは矢印Aのx方向成分、矢印Cは矢印Aのy方向成分を示す。
【0016】
この矢印Aで示す力により、リード端子H1304が実際に電極端子H1105に接合している接合面H1305(ギャングボンディングの適用時にボンディングツールが加圧を行うことで形成された圧痕面H1310の裏面側)の、電気配線部材側に面した辺において、特に内側の端部H1350に引っ張り応力が集中する。これにより、最悪の場合にはこの部分から電気接合部が破壊されてしまう不都合が生じる。また、電気配線部材が熱膨張により変形した状態で接着固定された後にリード端子に作用する力は、記録素子基板サイズが大きいほど強くなる傾向にあるため、記録素子基板のサイズが大きいほど電気接合部が破壊されるおそれが高くなる。
【0017】
一方、特許文献2に示される記録ヘッドにおいては、記録素子基板と電気配線部材とをそれぞれ単体で先にベース部材に固着し、後から両者の電気接続をTAB実装技術により行うものであるため、上述のような接着時の電気配線部材の変形に起因した力は加わらない。しかし記録素子基板と電気配線部材との接続部および電極端子周辺には、インク滴が付着するのを防ぐなどの目的で封止材などによる保護が施されている。これらの封止材の材料としては、インクへの耐性などを考慮して熱硬化型のエポキシ材料などが使われ、この封止材は熱キュア工程にて硬化が完了する。従って、この熱キュア工程で電気配線部材が膨張すると、上述と同様に電気接合部に負荷が加わることになる。
【0018】
本発明は、以上の問題に鑑み、電気配線部材等の熱膨張に起因してリード線に作用する力によって電気接合部の一部に応力が集中するのを緩和し、電気接合部の破壊を防ぐことで、電気接続の信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そのために、本発明は、インク吐出口を形成した吐出口形成部材および前記インク吐出口からインクを吐出させるためのエネルギを発生する素子が設けられた記録素子基板とが接合されてなる吐出部と、前記素子の駆動信号を伝送するための電気配線部材と、前記吐出部および前記電気配線部材を支持する支持部材と、を具えたインクジェット記録ヘッドであって、
前記記録素子基板は前記駆動信号を受容するために配列された複数の電極端子を有し、
前記電気配線部材は前記駆動信号の伝送を行うために前記複数の電極端子に接合される複数のリード端子を有し、
前記電極端子と前記リード端子との接合面の前記配線部材に対向する辺の垂線方向が、前記電気配線部材または前記支持部材の線膨張により発生する前記リード端子の引っ張り応力の方向と略同一となるようにしたことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【0020】
また、本発明は、インク吐出口を形成した吐出口形成部材および前記インク吐出口からインクを吐出させるためのエネルギを発生する素子が設けられた記録素子基板とが接合されてなる吐出部と、前記素子の駆動信号を伝送するための電気配線部材と、前記吐出部および前記電気配線部材を支持する支持部材と、を具えたインクジェット記録ヘッドであって、
前記記録素子基板は前記駆動信号を受容するために配列された複数の電極端子を有し、
前記電気配線部材は前記駆動信号の伝送を行うためにボンディング法により前記複数の電極端子に接合される複数のリード端子を有し、
前記電極端子と前記リード端子とが前記ボンディング法により接合される際に形成される圧痕面の前記配線部材に対向する辺の垂線方向が、前記電気配線部材または前記支持部材の線膨張により発生する前記リード端子の引っ張り応力の方向と略同一となるようにしたことを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明は、インク吐出口を形成した吐出口形成部材および前記インク吐出口からインクを吐出させるためのエネルギを発生する素子が設けられた記録素子基板とが接合されてなる吐出部と、前記素子の駆動信号を伝送するための電気配線部材と、前記吐出部および前記電気配線部材を支持する支持部材と、を具えたインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
前記駆動信号を受容するために配列された複数の電極端子を有する記録素子基板を用意する工程と、
前記駆動信号の伝送を行うために前記複数の電極端子に接合される複数のリード端子を有する電気配線部材を用意する工程と、
前記電極端子と前記リード端子とを接合される際に形成される圧痕面の前記配線部材に対向する辺の垂線方向が、前記電気配線部材または前記支持部材の線膨張により発生する前記リード端子の引っ張り応力の方向と略同一となるようにするために、曲率部分をもつ加圧面形状を有するボンディングツールを適用して、前記複数のリード端子と前記複数の電極端子とを一括接合する工程と、
を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、電気配線部材や支持部材の熱膨張が電気配線部材のリード端子に及ぼす力の方向に合わせて、電気接合部ないし圧痕面の形状を定めたため、電気接合部の一部に集中していた応力を緩和でき、電気接合部の破壊を防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0024】
1.インクジェット記録装置の構成例
図1は本発明を適用可能なインクジェット記録装置の一例を示す模式的平面図である。この記録装置は、記録ヘッドH1000およびH1001を位置決めして交換可能に搭載するキャリッジ102を有する。キャリッジ102には、記録ヘッドH1000およびH1001上の外部信号接続端子を介して各吐出部に駆動信号等を伝達するための電気接続部が設けられている。
【0025】
キャリッジ102は、主走査方向に延在して装置本体に設置されたガイドシャフト103に沿って往復移動可能に支持されている。そして、キャリッジ102は、主走査モータ(キャリッジモータ)104によりモータプーリ105、従動プーリ106およびタイミングベルト107等の伝動機構を介して駆動されるとともに、その位置および移動が制御される。また、キャリッジ102にはホームポジションセンサ130が設けられている。キャリッジ102上のホームポジションセンサ130が遮蔽板136の位置を通過した際に、ホームポジションとなる位置が検出される。
【0026】
紙やプラスチック薄板等の記録媒体108は、給紙モータ135がギアを介してピックアップローラ131を回転させることにより、オートシートフィーダ(ASF)132から一枚ずつ分離給紙される。さらに、記録媒体108は、搬送モータ134によりギアを介して駆動される搬送ローラ109の回転により、記録ヘッドH1000およびH1001の吐出口が形成された面(吐出口面)と対向する位置(記録領域)を通って搬送(副走査)される。記録媒体108が給紙されたか否かの判定と、給紙時における記録媒体の前縁位置の確定とは、記録媒体108がペーパエンドセンサ133を通過した時点で行われる。このペーパエンドセンサ133は、記録媒体108の後端が実際にどこに有り、実際の後端から現在の記録位置を最終的に割り出すためにも使用される。
【0027】
なお、記録媒体108は、記録領域において平坦な被記録面を形成するように、その裏面がプラテン(不図示)により支持される。この場合、キャリッジ102に搭載された記録ヘッドH1000およびH1001は、それらの吐出口面がキャリッジ102から下方へ突出して記録媒体108と平行になるように保持され、記録領域を主走査される。
【0028】
記録ヘッドH1000およびH1001は、各吐出部における吐出口の配列方向がキャリッジ102の主走査方向に対して交差する方向(例えば副走査方向)になるようにキャリッジ102に搭載され、主走査の過程でこれらの吐出口列からインクを吐出することにより、吐出口配列範囲に対応した幅の記録を行う。
【0029】
2.インクジェット記録ヘッドの構成例
本実施形態の記録ヘッドはインクタンクを分離不能に一体化してなるものであって、ブラックインクが充填されたインク収納部およびこのインク収納部から供給されるブラックインクを吐出する吐出部を有する第1の記録ヘッドH1000と、カラーインク(シアンインク、マゼンタインク、イエローインク)がそれぞれ充填されたインク収納部および各インク収納部から供給されるカラーインクを吐出する各吐出部を有する第2の記録ヘッドH1001とを用いている。これら記録ヘッドH1000およびH1001は、キャリッジ102上に、位置決め手段および電気的接点によって固定支持されるとともに、キャリッジに対して着脱可能なカートリッジの形態となっている。そして、充填されているインクが消費されてなくなった場合は、記録ヘッドを交換することができる。
【0030】
図2〜図4を参照して、以下に実施形態で用いる記録ヘッドH1000およびH1001のうち、カラー用の記録ヘッドH1001の基本的構成に関して説明する。記録ヘッドH1000については、ブラックインク1色のための構成であること以外は、記録ヘッドH1001と同様の構成を採ることができるものであるので、その説明を省略する。
【0031】
図2(a)および(b)は、図1の記録装置に搭載可能な記録ヘッドH1001の構成例を示す斜視図、図3はその分解斜視図である。
【0032】
記録ヘッドH1001は、図2(a)および(b)に示すように、インクジェット記録装置本体のキャリッジ102の装着位置に案内するための装着ガイドH1560、キャリッジ側に設けた固定レバー(不図示)によりキャリッジに装着固定するための係合部H1930、およびキャリッジの所定の装着位置に位置決めするためのX方向(主走査方向)の突き当て部H1570、Y方向(副走査方向)の突き当て部H1580、およびZ方向(鉛直方向)の突き当て部H1590を備えている。これら突き当て部によりキャリッジ102上に位置決めされることで、電気配線テープH1301上の外部信号接続端子H1302とキャリッジ内に設けられた電気接続部のコンタクトピンとの電気的接触が可能となっている。
【0033】
記録ヘッドH1001はシアン、マゼンタおよびイエローの3色のインクを吐出させるためのもので、図3の分解斜視図に示すように、記録素子基板H1101、電気配線テープH1301、支持部材としての本体部材H1501、フィルタH1701、H1702、H1703、インク吸収体H1601、H1602、H1603、蓋部材H1901、およびシール部材H1801から構成されている。以下、これらのうちの主たる構成要素について詳述する。
【0034】
(1)記録素子基板
図4は、記録素子基板H1101の構成を説明するために一部を破断して示す斜視図である。本実施形態の記録素子基板は、電気信号に応じて膜沸騰をインクに対して生じせしめるための熱エネルギを生成する電気熱変換素子を用いたものである。また、電気熱変換素子とインク吐出口とが対向するように配置され、基板の主平面に対して垂直な方向にインクを吐出させる形態のもの(サイドシュータと称される)である。
【0035】
図4に示すように、記録素子基板H1101は、Si基板H1110に、シアン、マゼンタおよびイエローの各色インク用の3個の長穴状のインク供給口H1102を並列に形成してなるものである。それぞれのインク供給口H1102を挟んでその両側には、電気信号に応じて膜沸騰をインクに生じさせるための熱エネルギを生成する電気熱変換素子H1103の列が1列ずつ配置され、各列間の電気熱変換素子同士は配列方向すなわち副走査方向に配列ピッチの1/2だけずれて配置されている。この記録素子基板H1101上に、樹脂材料にフォトリソグラフィ技術によってインク流路壁H1106や吐出口H1107を形成した吐出口形成部材H1109を、各電気熱変換素子と吐出口と位置合わせして接合することで、各色の吐出部H1108(各色あたり2列の吐出口列を単位としたもの)が構成される。
【0036】
また、Si基板H1110上には、電気熱変換素子H1103に電力を供給するAlなどからなる電気配線、ヒューズ、記録データに応じて電気熱変換素子を駆動するためのロジック回路、および、これら各部を外部と電気的に接続するための電極部H1104などが形成されている。さらに、電極部H1104には、Au等のメッキバンプ形態の電極端子H1105が形成されている。なお、電気熱変換素子H1103等は、既存の成膜技術を利用して形成することができる。
【0037】
なお、インクを吐出するために利用されるエネルギを発生する素子としては、通電に応じてインクを加熱発泡させる熱エネルギを発生する電気熱変換素子に限られず、その他のものでもよい。また、電気熱変換素子が配列された基板の主平面に対して、平行な方向にインクを吐出させる形態のもの(エッジシュータと称される)であってもよい。
【0038】
(2)電気配線テープ
電気配線部材である電気配線テープH1301は、記録素子基板H1101に対してインクを吐出するための電気信号を印加する電気信号経路を形成する。電気配線テープH1301には、記録素子基板H1101を組み込むための開口部H1303が形成されており、この開口部H1303の縁からは、記録素子基板H1101の電極部H1104に接続される電極端子(リード端子)H1304が突出して形成されている。また、電気配線テープH1301には、本体装置からの電気信号を受け取るための外部信号接続端子H1302が形成されており、リード端子H1304と外部信号接続端子H1302は連続した銅箔等を含む導電性の配線パターンでつながれている。ここで、電気配線テープH1301はTABテープを用いて形成されており、リード端子H1304は露出するものとなっている。
【0039】
(3)本体部材
吐出部を構成する記録素子基板H1101および電気配線部材である電気配線テープH1301を支持する支持部材としての本体部材H1501は、樹脂を成形することにより形成されている。樹脂材料には、形状的剛性を向上させるためにガラスフィラーを5〜40%混入した樹脂材料を使用することが望ましいが、樹脂内にフィラーを含有すると、フィラーの配向する向きによって線膨張率が変化するという特性を持っている。本発明のように、樹脂製の本体部材H1501にシリコン製の記録素子基板H1101を直接接合するような構成においては、フィラーの配向の向きを十分に考慮しなければならない。
【0040】
本体部材H1501は、インクタンク機能とインク供給機能とを備えている。すなわち、図3(b)に示すように、内部にシアン、マゼンタおよびイエローのインクを保持するための負圧を発生するためのインク吸収体H1601、H1602およびH1603をそれぞれ独立して収納するための空間を有することでインクタンク機能を実現している。また、記録素子基板H1100の各インク供給口H1102にそれぞれインクを導くための独立したインク流路を形成する流路部材(不図示)を組み込むことでインク供給機能を実現している。インク吸収体H1601、H1602、H1603は、PP繊維を圧縮したものが使われているが、これに代えてウレタン繊維を圧縮したものを用いてもよい。各インク流路の上流部に位置するインク吸収体H1601、H1602およびH1603と各インク流路との境界部には、記録素子基板H1101内部にへの塵埃の進入を防ぐためのフィルタH1701、H1702およびH1703がそれぞれ溶着により接合されている。各フィルタH1701、H1702およびH1703は、SUS等金属のメッシュタイプのものでもよいが、SUS金属繊維焼結タイプの方がより好ましい。
【0041】
インク流路の下流部には、記録素子基板H1101にシアン、マゼンタおよびイエローの各インクを供給するためのインク供給口H1201が形成されており、記録素子基板H1101の各インク供給口1102がインク供給保持部材H1501の各インク供給口H1201に連通するよう、記録素子基板H1101がインク供給保持部材H1501に対して位置精度良く接着固定される。この接着に用いられる第1の接着剤は、低粘度で硬化温度が低く、短時間で硬化し、硬化後は、比較的高い硬度を有し、かつ、耐インク性のあるものが望ましい。このような第1の接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂を主成分とした熱硬化接着剤がある。この熱硬化接着剤を用いた場合、その接着層の厚みは50μm程度が望ましい。
【0042】
また、インク供給口H1201付近の周囲の平面には、電気配線テープH1301の一部の裏面が第2の接着剤により接着固定される。第2の記録素子基板H1101と電気配線テープH1301との電気接続部分は、第1の封止剤H1307および第2の封止剤H1308により封止されており、これにより電気接続部分をインクによる腐食や外的衝撃から保護している。第1の封止剤H1307は、主に電気配線テープH1300のリード端子H1304と記録素子基板のバンプH1105との接続部の裏面側と記録素子基板の外周部分を封止し、第2の封止剤H1308は、その接続部の表側を封止している。
【0043】
一方、電気配線テープH1301の未接着部すなわち外部信号接続端子H1302が配置される領域の側は、本体部材H1501のインク供給口H1201を有する面にほぼ直交した本体側面に沿って折り曲げられる。そして、当該領域のまわりの数箇所設けた孔に本体側面に突設したピンを挿通し、熱加締めを施すことによって固定されるか、あるいは当該領域の裏面側を本体側面に接着することによって固定される。
【0044】
(4)蓋部材
蓋部材H1901は、本体部材H1501の上部開口部に溶着されることで、本体部材H1501内部の独立した空間をそれぞれ閉塞するものである。但し、蓋部材H1901にはインク供給保持部材H1501内部の各部屋の圧力変動を逃がすための細口H1911、H1912およびH1913と、これらにそれぞれ連通した微細溝H1921、H1922およびH1923とを有している。微細溝H1921およびH1922の他端は、微細溝H1923の途中に合流している。さらに、微細溝H1923のほとんどと、細口H1911、H1912、H1913および微細溝H1921、H1922の全部とをシール部材H1801で覆い、微細溝H1923の他端部を開口することで大気連通口H1925を形成している。また、蓋部材H1901は、第2の記録ヘッドをインクジェット記録装置に固定するための係合部H1930を有している。
【0045】
3.特徴構成
以上の基本的構成に対して好ましく適用される特徴構成について説明する。
【0046】
(1)第1例
図5は上記構成における記録素子基板H1101と電気配線基板H1301とを電気接続した状態の模式的平面図、図6は電気配線基板H1301の各リード端子H1304と記録素子基板H1101の各電極端子H1105とが接合して形成される各接合面を示す模式的平面図、図7は電気接合時における記録素子基板H1101および電気配線基板H1301を示す模式的斜視図である。
【0047】
電極端子H1105は、図7に示すように、対応する電気配線基板H1301のリード端子H1304と位置合わせした後で、TAB実装技術により接続される。このとき、電極端子H1105とリード端子H1304との接続は、接合部分に対するボンディングツールS1101の加熱および加圧により、複数の電気接続点を一括で接合するギャングボンディング工法を適用して行われる。
【0048】
本実施形態では、図6に示すように、各リード端子H1304と各電極端子H1105とが接合して形成される接合面H1305の、電気配線部材に対向する辺H1306の垂線H1311の方向が、電気配線部材や本体部材の熱膨張に起因して生じるリード端子H1304の引っ張り応力の方向と略同一となるようにしている。具体的には、当該接合面はボンディングツールS1101が加圧を行うことで形成された圧痕面の裏面であるので、図5に示すように、圧痕面の電気配線部材側の辺の垂線方向が、リード端子H1304の引っ張り応力の方向と略同一となるようにしている、と言うことができる。
【0049】
電気配線部材H1301と記録素子基板H1101とからなるユニットを本体部材H1501に接着固定する際には、上述したように電気配線部材の上面からヒートツールを押し当てる工程が含まれる。また、接着固定後には、電気接合部の封止を行い、熱キュアを行う工程が採用される。加熱を伴うこれらの工程において、電気配線部材H1301等が昇温し、熱膨張による変形が生じることになる。この変形に起因して、図5に示すように、電気配線部材から突出して記録素子基板H1101の電極端子H1105に接続されているリード端子H1304が矢印H1320で示すように引っ張られる。しかし本例の構成では、電気配線部材に対向する辺H1306の垂線H1311の方向が、リード端子H1304の引っ張り応力の方向と略同一となるようにしていることから、一部への応力集中が生じることなく、電気接合部の破壊を防ぐことが可能である。
【0050】
このような各リード端子H1304と各電極端子H1105との接合面の形状、ないしはボンディングツールS1101の加圧による各リード端子H1304の圧痕面の形状を得るために、加圧面に曲率部分を有しているボンディングツールS1101(図7)を用いることができる。すなわち、かかるボンディングツールS1101を用いることで、各リード端子H1304および各電極端子H1105の位置に応じて、それぞれに好ましい形状の圧痕面ないし接合面を一括形成することができる。
【0051】
図8および図9は、最適なボンディングツールの加圧面設計を行うための諸元を説明するための説明図であり、これらの図を用いてボンディングツールS1101の加圧面の形状を適切に定めるための設計指針について説明する。
【0052】
これらの図において、Lxは記録素子基板上の電極端子配列ないしは電気配線部材上のリード端子配列の中心線から、最端部のリード端子までの距離、Lyはリード端子の付け根から電極端子までの距離、Wleadはリード端子の幅、Pxyは電気配線部材等の変形に起因して生じる引っ張り応力によるリード端子の伸び、Pxはそのx方向(リード端子配列方向)成分、Pyはy方向(当初のリード線延在方向)成分である。また、S1101Aはボンディングツールの曲率部分、Cは曲率中心、Rtoolは曲率半径を示している。
また、
αt;電気配線部材の線膨張率
αm;本体部材の線膨張率
αc;記録素子基板の線膨張率
ΔTt;電気配線部材接着固定処理温度と常温との差
ΔTm;キュア温度と常温との差
とする。
【0053】
そして、本例では、
ΔTmαm<ΔTtαtのとき
α=αt、ΔT=ΔTt (1)
ΔTtαt<ΔTmαmのとき
α=αm、ΔT=ΔTm (2)
とした。このとき、
x=(ΔTα−ΔTαc)Lx (3)
y=(ΔTα−ΔTαc)Ly (4)
と表されるので、ボンディングツールの曲率半径Rtoolを次式で示すことができる。
tool=(Lx/Px)Pxy
=(Lx/Px)(Px2+Py21/2 (5)
【0054】
ただし、ギャングボンディング時に形成されるリード端子上面の圧痕形状において、電気配線部材に対面する辺の垂線が当初のリード線延在方向(y方向)に対して角度θは、次式で定義される値を超えないものとする。
θmax=tan-1(Wlead/Ly) (6)
【0055】
一例として、以下のようなパラメータを用いて、上記式(5)により定まる曲率半径の条件にて、ボンディングツール形状を設定した。
αt=0.000016、αm=0.000030、αc=0.000003、
ΔTt=100(℃)、ΔTm=75(℃)、Lx=3.0(mm)、Lx=0.7(mm)
【0056】
その結果、ボンディングツール面の曲率半径は3.1mmとなった。これに基づいて設計されたボンディングツールS1101を用いて電気接合を行ったところ、本実施形態のインクジェット記録ヘッド製造工程内で生じる最高温度(ΔT=100℃)に対して、電気接合部に悪影響を及ぼすこと無く良好な接合状態が得られているしていることを確認した。
【0057】
(2)他の例
上例では、各電極端子H1105はすべて一律の矩形状であるものとする一方、ボンディングツールの加圧面形状を適切に定めることで、好ましい形状の圧痕面ないし接合面が形成されるものとした。これに対し、形成される圧痕面ないし接合面の形状に合わせ、各電極端子H1105の形状、寸法、配置などを予め定めておくことで、電気接合の安定性をより向上することができる。
【0058】
図10はそのように形状等を定めた電極端子を有する記録素子基板H1101と電気配線基板H1301とを電気接続した状態の模式的平面図である。記録ヘッドの製造工程は上述と同様であるが、本例では、記録素子基板上の電極端子を、ボンディングツール形状に従って形成される圧痕面形状に合わせて変更したものである。
【0059】
また、ギャングボンディング方法を適用する場合、ボンディングツールの加圧面とこれに隣り合う側面とがエッジ状であると、ギャングボンディング後の圧痕面H1310の形状は図11(a)に示すように、隅部H1309が角状となる。電気接合部の付け根のリード端子H1304の厚みH1340は、部品精度や装置安定度により前後するため、最悪の場合その厚みが薄くなり、僅かな力で電気接合部の付け根が切れ、不良となるおそれがある。
【0060】
そのため、特徴構成の第3例では、上記第1例または第2例の構成に加え、図11(b)に示すように、少なくとも電気接合部の付け根の部分において、なだらかな面取り形状の隅部H1309としてある。これにより、電気接合部の付け根のリード端子の厚みが薄くなることを防ぐことができ、電気接合安定性を一層向上できる。このような圧痕面の断面形状を得るためには、加圧面とこれに隣り合う側面とがの接続部分、少なくとも上記曲率部分に沿って面取りを施してなるボンディングツールを用いればよい。
【0061】
4.その他
なお、本発明は、インクジェット記録ヘッドの製造工程において、記録素子基板と電気配線基板とを電気接続する工程が先行するものであっても、記録素子基板と電気配線基板とをそれぞれ単体で先にベース部材に固着してから両者の電気接続を行うものであっても、製造工程に加熱を伴うものであれば有効に適用できることは勿論である。
【0062】
さらに、以上では、シアン、マゼンタおよびイエローの3色のインクを吐出させるカラー用の記録ヘッドH1001の構成に本発明を適用した諸例について説明した。しかし、ブラックインク用の記録ヘッドH1000についても同様の構成を採ることができるのは勿論である。また、記録ヘッドにおいて用いるインクの色調(色および濃度)の種類や数についても、適宜定め得ることは言うまでもない。
【0063】
特に電気配線部材が熱膨張により変形した状態で接着固定された後にリード端子に作用する力は、記録素子基板や電気配線部材のサイズが大きいほど強くなる傾向にあるため、吐出口配列の単位(吐出部)の数が多く、従って配線数多くなる場合ほど本発明が有効となる。この観点からは、上述したような場合だけでなく、吐出部の数が4または5以上のように大きくなるほど、本発明の適用が有効となる。しかしそのように吐出部の数が多い場合だけでなく、吐出部の数が2以下の場合であっても、吐出口数が多いために記録素子基板や電気配線部材のサイズが大きくなる場合には、本発明の適用が有効であることは勿論である。
【0064】
加えて、以上ではインク収納部分を分離不能に一体化してなる記録ヘッドに本発明を適用した場合を例示したが、電気配線部材の熱膨張に起因してリード線に作用する力によって電気接合部の一部に応力が集中するのを緩和し、電気接合部の破壊を防ぐことで、電気接続の信頼性を向上させる観点からは、インクタンクを分離可能に一体化してなる、もしくはインクタンクとは別体であるような記録ヘッドの形態への適用を排除するものではない。
【0065】
さらに加えて、本発明は、インクの吐出方向に対して実質的に垂直な方向に主平面を有するヒータが採用された形態の記録素子基板を用いる場合であっても、あるいはインクの吐出方向に対して実質的に平行な方向に主平面を有するヒータが採用された形態の記録素子基板を用いる場合であっても適用できることは勿論である。また、インク吐出方式としても、電気熱変換素子を用いるもの、すなわちインクを吐出するために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生するもののほか、ピエゾ素子などにより機械的エネルギを発生するものを採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の一例を示す模式的平面図である。
【図2】(a)および(b)は、図1の記録装置に搭載可能な記録ヘッドの構成例を示す斜視図であり、それぞれ、底面方向および上面方向から見た状態を示している。
【図3】(a)および(b)は、図2(a)および(b)に示した記録ヘッドの内部構成例を示す分解斜視図であり、それぞれ、底面方向および上面方向から見た状態を示している。
【図4】図2(a)および(b)に示した記録ヘッドに設けられる記録素子ユニットの構成例を示す斜視図である。
【図5】本発明実施形態の第1例に係り、記録素子基板と電気配線基板とを電気接続した状態の模式的平面図である。
【図6】図5において、電気配線基板の各リード端子と記録素子基板の各電極端子とが接合して形成される各接合面を示す模式的平面図である。
【図7】記録素子基板および電気配線基板の電気接続の態様を示す模式的斜視図である。
【図8】最適なボンディングツールの加圧面設計を行うための諸元を説明するための説明図である。
【図9】最適なボンディングツールの加圧面設計を行うための諸元を説明するための説明図である。
【図10】本発明実施形態の第2例に係り、記録素子基板と電気配線基板とを電気接続した状態の模式的平面図である。
【図11】リード端子と電極端子との接続部の構成を示すためにリード端子の長手方向に沿った模式的側断面図であり、(a)は従来例を、(b)は本発明実施形態の第3例を示している。
【図12】(a)および(b)は、電気配線部材が熱膨張に伴うリード端子の変形を説明するための説明図である。
【図13】リード端子の変形によって電気接続部分に作用する力を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0067】
H1000、H1001 記録ヘッド
H1101 記録素子基板
H1102 インク供給口
H1103 電気熱変換素子
H1104 電極部
H1105 電極端子
H1107 吐出口
H1108 吐出部
H1109 吐出口形成部材
H1110 Si基板
H1111 緩衝層
H1118 保護層
H1300 電気配線テープ
H1302 外部信号接続端子
H1304 リード端子
H1305 接合面
H1310 圧痕面
H1306 電気配線部材に対向する接合面の辺
H1501 本体部材
H1601、H1602、H1603 インク吸収体
H1701、H1702、H1703 フィルタ
H1801 シール部材
H1901 蓋部材
S1101 ボンディングツール
S1101A ボンディングツール曲率部分





 

 


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