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インクジェット記録ヘッド - キヤノン株式会社
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発明の名称 インクジェット記録ヘッド
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15265(P2007−15265A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−200152(P2005−200152)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一
発明者 吉成 泰二
要約 課題
インクを吐出させるためのエネルギを発生する素子が設けられた記録素子基板と、前記素子の駆動信号を伝送するための電気配線部材とを具えたインクジェット記録ヘッドにおいて、記録素子基板の電極端子と、電気配線部材のリード端子との電気接続を行う際に生じる負荷により電気接続部がダメージを受けるのを防止する。

解決手段
リード端子H1301が接続される電極端子H1105の上面の縁部に、熱可塑性樹脂でなる緩衝層H1111を配置する。
特許請求の範囲
【請求項1】
インク吐出口を形成した吐出口形成部材および前記インク吐出口からインクを吐出させるためのエネルギを発生する素子が設けられた記録素子基板とが接合されてなる吐出部と、前記素子の駆動信号を伝送するための電気配線部材と、を具えたインクジェット記録ヘッドであって、
前記記録素子基板は前記駆動信号を受容する電極端子を有し、
前記電気配線部材は前記駆動信号の伝送を行うために前記電極端子に接続されるリード端子を有し、
前記リード端子が接続される前記電極端子の上面の縁部に、熱可塑性樹脂でなる緩衝層が配置されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項2】
記記録素子基板は保護層で被覆され、該保護層に設けた開口部に前記電極端子が位置していることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項3】
前記緩衝層を形成する前記熱可塑性樹脂として、前記リード端子と前記電極端子とを接続する際に発生する温度より低いガラス転移温度を有するものが用いられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項4】
前記記録素子基板には前記吐出口形成部材との密着性を向上するために密着性向上層が設けられ、該密着性向上層の部分を前記緩衝層として用いていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項5】
前記リード端子が接続される前記電極端子の上面の縁部に存在する前記緩衝層が薄く形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項6】
前記電極端子がメッキバンプであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項7】
前記リード端子と前記電極端子とがギャングボンディングにより接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項8】
前記リード端子と前記電極端子とがシングルポイントボンディングにより接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項9】
前記電気配線部材はTABテープで形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項10】
インクを収納する部分を一体に具えてなることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を吐出して記録動作を行うインクジェット記録装置に用いられるインクジェット記録ヘッドに関する。本発明は、一般的なプリント装置のほか、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリント部を有するワードプロセッサ等の装置、あるいは、これらの装置を複合した多機能記録装置等に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
近年来のパーソナルコンピュータやデジタルカメラなどの等情報処理機器の普及に伴い、画像形成端末としての記録装置も急速に発展および普及してきた。そして種々の記録装置の中でも、吐出口からインクを吐出させて紙、布、プラスチックシート、OHP用シートなどの記録媒体上に記録を行うインクジェット記録装置は、低騒音のノンインパクト型の記録方式であること、高密度かつ高速な記録動作が可能であること、カラー記録にも容易に対応できること、低廉であることなど、極めて優れた特長を有している。
【0003】
かかるインクジェット記録装置に用いられるインクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドとも言う)の構成および製造方法としては、特許文献1や特許文献2などに開示されたものがある。
【0004】
これら特許文献に開示されている記録ヘッドの主な構成要素としては、インクを吐出するための吐出口、この吐出口からインクを吐出するために利用されるエネルギを発生する吐出エネルギ発生部およびこの吐出エネルギ発生部に電気信号を与える複数の電極端子を具備する記録素子基板と、この記録素子基板の周囲を囲む開口部、開口部内に突出して記録素子基板の電極端子と接続するリード端子、外部から電気信号を受容する外部信号接続端子およびこれら端子間を結ぶ配線を具備する電気配線基板と、記録素子基板および電気配線基板を支持固定するベース部材と、があげられる。
【0005】
これらの構成要素を組み立てて記録ヘッドを製造する方法として、特許文献1では、次の工程が記載されている。
(工程1)記録素子基板と電気配線基板とをTAB実装技術により電気接続する。
(工程2)ベース部材に記録素子基板と電気配線基板とを接着固定する。
【0006】
一方、特許文献2では、次の工程が記載されている。
(工程1)記録素子基板とベース部材とを接着固定する。
(工程2)電気配線基板とベース部材とを接着固定する。
(工程3)記録素子基板と電気配線基板とをTAB実装技術により電気接続する。
【0007】
これらのいずれの方法で組み立てられた記録ヘッドにおいても、記録素子基板と電気配線基板との電気接続およびそれらのベース部材への接着固定に関しては、その製造工程の安定度が完成品の良品率や市場での信頼性に大きく影響を与えるのは勿論である。
【0008】
【特許文献1】特開平11−138814号公報
【特許文献2】特開2002−19119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年インクジェット記録装置には、現在目覚しく普及しつつあるデジタルカメラなどの出力装置として、銀塩写真に匹敵する高画質化が求められている。これらに対し効果的なこととして、インクジェット記録装置の記録ヘッドより吐出されるインク滴の大きさを微小化すること、すなわち吐出口を微細化することが挙げられる。また、用いるインクの色調種類を増し、従来のブラック、イエロー、マゼンタ、シアンなどの基本色に加えて、例えばレッド、グリーンあるいはグレーなどのインクを合わせて使用することも挙げられる。また、これら各色調のインク滴が記録媒体に着弾する際の相対位置のずれは出力画像の画質に大きな影響を与えるため、複数色調のインクを吐出する吐出部を一体化してなる記録素子基板が採用されることもある。
【0010】
一方、上記高画質化に加えて、記録出力に要する時間の短縮も強く要望されている。これに対しては、記録素子基板に実装される吐出エネルギ発生部および吐出口の数を増すことが1つの手段として採用されている。
【0011】
このように、記録の高速化や高画質化が求められている状況下、記録ヘッドの吐出部には多数の吐出口および吐出エネルギ発生部が高密度に実装されるようになってきている。具体的には、64個から128個、さらには256個以上もの吐出口が設けられるようになってきており、また吐出口の配列密度も、1インチ当たりの吐出口数を表す表記「dpi」で、300dpiあるいは600dpi以上のように高密度化している。さらには、記録媒体上でドットが視認されない、すなわち粒状感が無い直径40〜50μmの小ドットを600×1200〜1200×1200dpiの解像度で形成可能なものも現れてきている。
【0012】
このように多数の吐出口および吐出エネルギ発生部が高密度に実装され、さらには複数色調のインクに対応した吐出部を一体にした記録素子基板が用いられるようになってきていることから、記録素子基板の大きさが拡大し、また記録装置本体から記録素子基板に与える駆動信号線の数が増加していく傾向にある。これに伴って、記録素子基板の電極端子と電気配線基板のリード端子との電気接続点数が増大するとともに、端子の配列ピッチが狭くなることで、電極端子およびリード端子の大きさ並びに両者間で電気的接続を行う部分の面積が縮小する傾向にある。
【0013】
かかる状況下、特許文献1に示すような組立方法、すなわち先に記録素子基板と電気配線基板とをTAB実装技術により電気接続する工程(工程1)を含む方法においては、次工程(工程2)であるベース部材への接着固定工程までの間、搬送やハンドリング時に生じる衝撃や振動などにより、電気接続部に少なからず負荷が加わる。これらについては、記録素子基板の拡大、端子間の電気接続数の増大、および端子配列の狭ピッチ化が進むほどさらに留意すべき事項となり、剥れや外れなどの電気接続不良が生じるような致命的な事態に陥ってしまうことのないようにしなければならない。剥れや外れを防止する手法としては、電気接合する際の工程条件(熱や加重など)を変更し、記録素子基板と電気配線基板との接合強度の向上を図ることが挙げられる。しかしこの条件変更は熱や加重の増加を伴うものであるため、記録素子基板、特に多くの場合は電極端子に大きな負荷をかけることになり、電極端子に傷や亀裂が生じ易くなる。この結果、却って電気接続の信頼性が低下してしまうことになりかねない。
【0014】
一方、特許文献2に示される記録ヘッドにおいては、記録素子基板と電気配線基板とをそれぞれ単体で先にベース部材に固着し、後から両者の電気接続をTAB実装技術により行うものであるため、上述のような工程間の衝撃や振動による電気接続部への負荷は加わりにくい。しかしながら、特許文献2に開示されるような記録ヘッドのベース部材には、アルミナなどに代表される材料が用いられることが多かったが、部品コストダウンの観点から、代替材料としてエンジニアリングプラスチックに代表される樹脂材料が使用される場合も考えられる。この場合には、次に述べるような新たな課題が生じる。
【0015】
特許文献2によると、記録素子基板と電気配線基板との接続部および端子部周辺には、インク滴が付着するのを防ぐなどの目的で、封止材などによる保護が施されている。これらの封止材の材料としては、インクへの耐性などを考慮して熱硬化型のエポキシ材料などが使われ、この封止材は熱キュア工程にて硬化が完了する。この熱キュア工程では記録ヘッド全体に熱が加わるため、記録素子基板、ベース部材および電気配線基板の線膨張(熱膨張)係数の差異により、記録素子基板と電気配線基板との接続部には少なからず負荷が加わる。
【0016】
すると、上述のようにベース部材をアルミナ材に比べて線膨張係数の大きい樹脂材料に代えた場合、電気接続部に及ぼされる負荷の影響はさらに大きくなり、最悪の場合には剥れや外れなどが生じてしまうことが懸念される。これに電気接合時の工程条件の変更によって対処しようとすれば、上述と同様に電極端子に傷や亀裂が生じ易くなってしまうことになる。
【0017】
また、記録素子基板は、多くの場合保護層によって被覆されているが、この保護層は窒化珪素(SiN)や炭化珪素(SiC)等の脆性材で構成されている場合が多い。従って、保護層の開口部に形成された電極部に対しギャングボンディング等の電気実装方法を適用すると、その衝撃により脆性材である保護層に亀裂やクラックが発生することもある。
【0018】
本発明は、以上に鑑みてなされたもので、記録ヘッドの製造工程内で生じる電気接続部への負荷によるダメージの発生を簡単な構成で抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そのために、本発明は、インク吐出口を形成した吐出口形成部材および前記インク吐出口からインクを吐出させるためのエネルギを発生する素子が設けられた記録素子基板とが接合されてなる吐出部と、前記素子の駆動信号を伝送するための電気配線部材と、を具えたインクジェット記録ヘッドであって、
前記記録素子基板は前記駆動信号を受容する電極端子を有し、
前記電気配線部材は前記駆動信号の伝送を行うために前記電極端子に接続されるリード端子を有し、
前記リード端子が接続される前記電極端子の上面の縁部に、熱可塑性樹脂でなる緩衝層が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、リード端子が接続される電極端子の上面の縁部に緩衝層を設けたことにより、電気実装時等記録ヘッドの製造工程内で生じる電気接続部への衝撃を緩和することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0022】
1.インクジェット記録装置の構成例
図1は本発明を適用可能なインクジェット記録装置の一例を示す模式的平面図である。この記録装置は、記録ヘッドH1000およびH1001を位置決めして交換可能に搭載するキャリッジ102を有する。キャリッジ102には、記録ヘッドH1000およびH1001上の外部信号接続端子を介して各吐出部に駆動信号等を伝達するための電気接続部が設けられている。
【0023】
キャリッジ102は、主走査方向に延在して装置本体に設置されたガイドシャフト103に沿って往復移動可能に支持されている。そして、キャリッジ102は、主走査モータ(キャリッジモータ)104によりモータプーリ105、従動プーリ106およびタイミングベルト107等の伝動機構を介して駆動されるとともに、その位置および移動が制御される。また、キャリッジ102にはホームポジションセンサ130が設けられている。キャリッジ102上のホームポジションセンサ130が遮蔽板136の位置を通過した際に、ホームポジションとなる位置が検出される。
【0024】
紙やプラスチック薄板等の記録媒体108は、給紙モータ135がギアを介してピックアップローラ131を回転させることにより、オートシートフィーダ(ASF)132から一枚ずつ分離給紙される。さらに、記録媒体108は、搬送モータ134によりギアを介して駆動される搬送ローラ109の回転により、記録ヘッドH1000およびH1001の吐出口が形成された面(吐出口面)と対向する位置(記録領域)を通って搬送(副走査)される。記録媒体108が給紙されたか否かの判定と、給紙時における記録媒体の前縁位置の確定とは、記録媒体108がペーパエンドセンサ133を通過した時点で行われる。このペーパエンドセンサ133は、記録媒体108の後端が実際にどこに有り、実際の後端から現在の記録位置を最終的に割り出すためにも使用される。
【0025】
なお、記録媒体108は、記録領域において平坦な被記録面を形成するように、その裏面がプラテン(不図示)により支持される。この場合、キャリッジ102に搭載された記録ヘッドH1000およびH1001は、それらの吐出口面がキャリッジ102から下方へ突出して記録媒体108と平行になるように保持され、記録領域を主走査される。
【0026】
記録ヘッドH1000およびH1001は、各吐出部における吐出口の配列方向がキャリッジ102の主走査方向に対して交差する方向(例えば副走査方向)になるようにキャリッジ102に搭載され、主走査の過程でこれらの吐出口列からインクを吐出することにより、吐出口配列範囲に対応した幅の記録を行う。
【0027】
2.インクジェット記録ヘッドの構成例
本実施形態の記録ヘッドはインクタンクを分離不能に一体化してなるものであって、ブラックインクが充填されたインク収納部およびこのインク収納部から供給されるブラックインクを吐出する吐出部を有する第1の記録ヘッドH1000と、カラーインク(シアンインク、マゼンタインク、イエローインク)がそれぞれ充填されたインク収納部および各インク収納部から供給されるカラーインクを吐出する各吐出部を有する第2の記録ヘッドH1001とを用いている。これら記録ヘッドH1000およびH1001は、キャリッジ102上に、位置決め手段および電気的接点によって固定支持されるとともに、キャリッジに対して着脱可能なカートリッジの形態となっている。そして、充填されているインクが消費されてなくなった場合は、記録ヘッドを交換することができる。
【0028】
図2〜図4を参照して、以下に実施形態で用いる記録ヘッドH1000およびH1001のうち、カラー用の記録ヘッドH1001の基本的構成に関して説明する。記録ヘッドH1000については、ブラックインク1色のための構成であること以外は、記録ヘッドH1001と同様の構成を採ることができるものであるので、その説明を省略する。
【0029】
図2(a)および(b)は、図1の記録装置に搭載可能な記録ヘッドH1001の構成例を示す斜視図、図3はその分解斜視図である。
【0030】
記録ヘッドH1001は、図2(a)および(b)に示すように、インクジェット記録装置本体のキャリッジ102の装着位置に案内するための装着ガイドH1560、キャリッジ側に設けた固定レバー(不図示)によりキャリッジに装着固定するための係合部H1930、およびキャリッジの所定の装着位置に位置決めするためのX方向(主走査方向)の突き当て部H1570、Y方向(副走査方向)の突き当て部H1580、およびZ方向(鉛直方向)の突き当て部H1590を備えている。これら突き当て部によりキャリッジ102上に位置決めされることで、電気配線テープH1301上の外部信号接続端子H1302とキャリッジ内に設けられた電気接続部のコンタクトピンとの電気的接触が可能となっている。
【0031】
記録ヘッドH1001はシアン、マゼンタおよびイエローの3色のインクを吐出させるためのもので、図3の分解斜視図に示すように、記録素子基板H1101、電気配線テープH1301、支持部材としての本体部材H1501、フィルタH1701、H1702、H1703、インク吸収体H1601、H1602、H1603、蓋部材H1901、およびシール部材H1801から構成されている。以下、これらのうちの主たる構成要素について詳述する。
【0032】
(1)記録素子基板
図4は、記録素子基板H1101の構成を説明するために一部を破断して示す斜視図である。本実施形態の記録素子基板は、電気信号に応じて膜沸騰をインクに対して生じせしめるための熱エネルギを生成する電気熱変換素子を用いたものである。また、電気熱変換素子とインク吐出口とが対向するように配置され、基板の主平面に対して垂直な方向にインクを吐出させる形態のもの(サイドシュータと称される)である。
【0033】
図4に示すように、記録素子基板H1101は、Si基板H1110に、シアン、マゼンタおよびイエローの各色インク用の3個の長穴状のインク供給口H1102を並列に形成してなるものである。それぞれのインク供給口H1102を挟んでその両側には、電気信号に応じて膜沸騰をインクに生じさせるための熱エネルギを生成する電気熱変換素子H1103の列が1列ずつ配置され、各列間の電気熱変換素子同士は配列方向すなわち副走査方向に配列ピッチの1/2だけずれて配置されている。この記録素子基板H1101上に、樹脂材料にフォトリソグラフィ技術によってインク流路壁H1106や吐出口H1107を形成した吐出口形成部材H1109を、各電気熱変換素子と吐出口と位置合わせして接合することで、各色の吐出部H1108が構成される。
【0034】
また、Si基板H1110上には、電気熱変換素子H1103に電力を供給するAlなどからなる電気配線、ヒューズ、記録データに応じて電気熱変換素子を駆動するためのロジック回路、および、これら各部を外部と電気的に接続するための電極部H1104などが形成されている。さらに、電極部H1104には、Au等のメッキバンプ形態の電極端子H1105が形成されている。なお、電気熱変換素子H1103等は、既存の成膜技術を利用して形成することができる。
【0035】
なお、インクを吐出するために利用されるエネルギを発生する素子としては、通電に応じてインクを加熱発泡させる熱エネルギを発生する電気熱変換素子に限られず、その他のものでもよい。また、電気熱変換素子が配列された基板の主平面に対して、平行な方向にインクを吐出させる形態のもの(エッジシュータと称される)であってもよい。
【0036】
(2)電気配線テープ
電気配線部材である電気配線テープH1301は、記録素子基板H1101に対してインクを吐出するための電気信号を印加する電気信号経路を形成する。電気配線テープH1301には、記録素子基板H1101を組み込むための開口部H1303が形成されており、この開口部H1303の縁からは、記録素子基板H1101の電極部H1104に接続される電極端子(リード端子)H1304が突出して形成されている。また、電気配線テープH1301には、本体装置からの電気信号を受け取るための外部信号接続端子H1302が形成されており、リード端子H1304と外部信号接続端子H1302は連続した銅箔等を含む導電性の配線パターンでつながれている。ここで、電気配線テープH1301はTABテープを用いて形成されており、リード端子H1304は露出するものとなっている。
【0037】
(3)本体部材
吐出部を構成する記録素子基板H1101および電気配線部材である電気配線テープH1301を支持する支持部材としての本体部材H1501は、樹脂を成形することにより形成されている。樹脂材料には、形状的剛性を向上させるためにガラスフィラーを5〜40%混入した樹脂材料を使用することが望ましいが、樹脂内にフィラーを含有すると、フィラーの配向する向きによって線膨張率が変化するという特性を持っている。本発明のように、樹脂製の本体部材H1501にシリコン製の記録素子基板H1101を直接接合するような構成においては、フィラーの配向の向きを十分に考慮しなければならない。
【0038】
本体部材H1501は、インクタンク機能とインク供給機能とを備えている。すなわち、図3(b)に示すように、内部にシアン、マゼンタおよびイエローのインクを保持するための負圧を発生するためのインク吸収体H1601、H1602およびH1603をそれぞれ独立して収納するための空間を有することでインクタンク機能を実現している。また、記録素子基板H1100の各インク供給口H1102にそれぞれインクを導くための独立したインク流路を形成する流路部材(不図示)を組み込むことでインク供給機能を実現している。インク吸収体H1601、H1602、H1603は、PP繊維を圧縮したものが使われているが、これに代えてウレタン繊維を圧縮したものを用いてもよい。各インク流路の上流部に位置するインク吸収体H1601、H1602およびH1603と各インク流路との境界部には、記録素子基板H1101内部にへの塵埃の進入を防ぐためのフィルタH1701、H1702およびH1703がそれぞれ溶着により接合されている。各フィルタH1701、H1702およびH1703は、SUS等金属のメッシュタイプのものでもよいが、SUS金属繊維焼結タイプの方がより好ましい。
【0039】
インク流路の下流部には、記録素子基板H1101にシアン、マゼンタおよびイエローの各インクを供給するためのインク供給口H1201が形成されており、記録素子基板H1101の各インク供給口1102がインク供給保持部材H1501の各インク供給口H1201に連通するよう、記録素子基板H1101がインク供給保持部材H1501に対して位置精度良く接着固定される。この接着に用いられる第1の接着剤は、低粘度で硬化温度が低く、短時間で硬化し、硬化後は、比較的高い硬度を有し、かつ、耐インク性のあるものが望ましい。このような第1の接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂を主成分とした熱硬化接着剤がある。この熱硬化接着剤を用いた場合、その接着層の厚みは50μm程度が望ましい。
【0040】
また、インク供給口H1201付近の周囲の平面には、電気配線テープH1301の一部の裏面が第2の接着剤により接着固定される。第2の記録素子基板H1101と電気配線テープH1301との電気接続部分は、第1の封止剤H1307および第2の封止剤H1308により封止されており、これにより電気接続部分をインクによる腐食や外的衝撃から保護している。第1の封止剤H1307は、主に電気配線テープH1300のリード端子H1304と記録素子基板のバンプH1105との接続部の裏面側と記録素子基板の外周部分を封止し、第2の封止剤H1308は、その接続部の表側を封止している。
【0041】
一方、電気配線テープH1301の未接着部すなわち外部信号接続端子H1302が配置される領域の側は、本体部材H1501のインク供給口H1201を有する面にほぼ直交した本体側面に沿って折り曲げられる。そして、当該領域のまわりの数箇所設けた孔に本体側面に突設したピンを挿通し、熱加締めを施すことによって固定されるか、あるいは当該領域の裏面側を本体側面に接着することによって固定される。
【0042】
(4)蓋部材
蓋部材H1901は、本体部材H1501の上部開口部に溶着されることで、本体部材H1501内部の独立した空間をそれぞれ閉塞するものである。但し、蓋部材H1901にはインク供給保持部材H1501内部の各部屋の圧力変動を逃がすための細口H1911、H1912およびH1913と、これらにそれぞれ連通した微細溝H1921、H1922およびH1923とを有している。微細溝H1921およびH1922の他端は、微細溝H1923の途中に合流している。さらに、微細溝H1923のほとんどと、細口H1911、H1912、H1913および微細溝H1921、H1922の全部とをシール部材H1801で覆い、微細溝H1923の他端部を開口することで大気連通口H1925を形成している。また、蓋部材H1901は、第2の記録ヘッドをインクジェット記録装置に固定するための係合部H1930を有している。
【0043】
3.特徴構成
以上の基本的構成に対して好ましく適用される特徴構成について説明する。
【0044】
図5は上記構成における記録素子基板H1101と電気配線基板H1301とを電気接続した状態の模式的斜視図、図6は記録素子基板H1101の電極部H1104に配設される電極端子部H1105の模式的側断面図、図7および図8は、それぞれ、電気接合時における記録素子基板H1101および電気配線基板H1301を示す模式的斜視図および電極端子H1105の模式的側断面図である。
【0045】
図6に示すように、記録素子基板H1101の最上層には、インクや環境から保護するための保護層H1118が形成されており、この保護層H1118は窒化珪素(SiN)や炭化珪素(SiC)等の脆性材で構成されている。また、本例では、保護層H1118を開口して露出させた電極端子H1105の上面周縁部を被覆するように、熱可塑性樹脂でなる緩衝層H1111が形成されている。
【0046】
電極端子H1105は、図7および図8に示すように、対応する電気配線基板H1301のリード端子H1304と位置合わせした後で、TAB実装技術により接続される。このとき、電極端子H1105とリード端子H1304との接続は、ギャングボンディング工法などで行われるのが好ましい。図7に示すように、ギャングボンディング工法とは、接合部分に対するボンディングツールS1101の加熱および加圧により、複数の電気接続点を一括で接合する工法である。
【0047】
ここで、電気接続部の電気接続信頼性を向上させる手法として、ギャングボンディング時のボンディング強度を向上させるためにボンディングツールS1101の加重圧力を上昇させることが一般的に知られている。しかしながら過度の加重圧力の増加は却って電極端子H1105や記録素子基板H1101、特に脆性材である保護層H1118にダメージを与え、亀裂・クラック等を誘発して電気信頼性を低下させることがしばしばあった。このため、ボンディングツールS1101の加重コントロールを極めて厳格に行う必要があった。また、電気実装時だけでなく、記録ヘッドの製造工程において生ずる様々な負荷の影響によって、好ましくない衝撃が電極端子H1105に及び、電極端子H1105とリード端子H1304とを接合した後のハンドリングで端子部の剥れ等の不具合が発生することもあった。
【0048】
これに対し、本例においては、緩衝層H1111にて電極端子H1105の上面周縁部が被覆されているので、ボンディングツールS1101を用いる電気実装時に、電極端子H1104や脆性材である保護層H1118に加わる衝撃が緩和される。また、例えば、図8において符号Eで示す部分、つまりリード端子H1304の先端に位置する部分は、ボンディングツールS1101の適用によってリード端子H1304と電極端子H1104を接合する際に、最初に双方が接触する部位である。従って、従来はその接触時の衝撃が伝播することで脆性材である保護層H1118に亀裂などの不具合を発生させる要因となっていたのに対し、本例では部分Eに存在する緩衝層H1111により接触時の衝撃が緩和され、保護層H1118へのダメージを最小限にすることが可能となる。
【0049】
また、電気実装時だけでなく、記録ヘッドの製造工程において生ずる様々な負荷の影響は、図8において符号Dで示す部分、つまり接続領域の中でリード端子H1304の根元側に位置する部分を介して及ぶ。しかし本例では、当該部分Dにも緩衝層H1111が存在しているので、電極端子H1105に負荷の影響が直接及ぶことがなく、電極端子H1105とリード端子H1304とを接合した後のハンドリングで端子部の剥れ等の不具合の発生も抑制することができる。
【0050】
また、本例によると、ギャングボンディング工法適用時に加わる熱により、新たな工程を追加することなしに、電極端子H1105の上面周縁部を被覆している緩衝層H1111をリード端子H1304に同時に接着可能となる。緩衝層H1111を形成するための熱可塑性樹脂の材料としては、当該加熱を伴う接着工程において発生する温度よりガラス転移温度が低いものを使用することが好ましい。加熱時に好ましい柔軟性を呈することで、電極端子H1105の上面周縁部を適切に被覆・接着した状態を保持することができるからである。
【0051】
ところで、上述したように、記録素子基板H1101上には、インク流路壁H1106や吐出口H1107を形成した吐出口形成部材H1109(図4)が位置合わせして接合される。この接合時の密着性を高めるために、記録素子基板H1101上には密着性向上層が設けられることがある。上記緩衝層H1111を設けるにあたっては、この密着性向上層を兼用することができる。すなわち密着性向上層が電極端子H1105の上面周縁部部まで被覆するようにすることができる。これによると、緩衝層H1111を別途配置するための工程数の増大を来たすことがない。
【0052】
なお、このように密着性向上層を緩衝層として兼用する場合には、その材料として例えばポリエーテルアミドや、東京応化工業(株)製のHIMALなどを用いることができる。そして、これらのような材料を記録素子基板H1101上に塗布し、適切にパターニングすることで、密着性向上層と一体の緩衝層H1111を形成することができる。
【0053】
また、電極端子H1105の上面周縁部に位置する緩衝層H1111は、適切な厚みをもつよう形成することで、電極端子H1105の上面との段差を低くし、接合性を良好にすることが望ましい。上述した密着性向上層を兼用する場合のように、電極端子H1105の上面周縁部に位置する部分とその他の部分とで好ましい厚みが異なるような場合には、パターニング時におけるマスクの厚み等を適切に定めることで、電極端子H1105の上面周縁部に位置する部分では厚みを小さくすることが可能である。
【0054】
実施例
表1は、電極端子H1105の上面周縁部に緩衝層H1111を持たない従来の構成と、緩衝層H1111を持つ本例の構成とに対して、ボンディングツールS1101の加重条件を種々変化させてギャングボンディングを行った場合の記録素子基板H1101の亀裂発生の有無について記している。
【0055】
【表1】


【0056】
この実験結果から明らかなように、本例では電極端子H1105の上面周縁部に塗布された熱可塑性樹脂の層が緩衝材としての効果を発揮し、記録素子基板H1101の亀裂発生に至るまでのボンド加重のマージンを大幅に向上できた。このマージンアップは電気信頼性向上のみならず、さらなる低価格のインクジェット記録ヘッドを提供するためのコスト削減効果へも波及するものである。
【0057】
4.その他
なお、上例ではギャングボンディングを行う場合について説明したが、本発明は、シングルポイントボンディングを行う場合にも有効であることは勿論である。
【0058】
また、本発明は、インクジェット記録ヘッドの製造工程において、記録素子基板と電気配線基板とを電気接続する工程が先行するものであっても、記録素子基板と電気配線基板とをそれぞれ単体で先にベース部材に固着してから両者の電気接続を行うものであっても、それぞれ有効に適用できることは勿論である。
【0059】
さらに、以上では、シアン、マゼンタおよびイエローの3色のインクを吐出させるカラー用の記録ヘッドH1001の構成に本発明を適用した諸例について説明した。しかし、ブラックインク用の記録ヘッドH1000についても同様の構成を採ることができるのは勿論である。また、記録ヘッドにおいて用いるインクの色調(色および濃度)の種類や数についても、適宜定め得ることは言うまでもない。
【0060】
加えて、以上ではインク収納部分を分離不能に一体化してなる記録ヘッドに本発明を適用した場合を例示した。しかし、電極端子や保護層などに及ぶ負荷を緩和するという観点からは、インクタンクを分離可能に一体化してなる、もしくはインクタンクとは別体であるような記録ヘッドの形態への適用を排除するものではない。
【0061】
さらに加えて、本発明は、インクの吐出方向に対して実質的に垂直な方向に主平面を有するヒータが採用された形態の記録素子基板を用いる場合であっても、あるいはインクの吐出方向に対して実質的に平行な方向に主平面を有するヒータが採用された形態の記録素子基板を用いる場合であっても適用できることは勿論である。また、インク吐出方式としても、電気熱変換素子を用いるもの、すなわちインクを吐出するために利用されるエネルギとして熱エネルギを発生するもののほか、ピエゾ素子などにより機械的エネルギを発生するものを採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の一例を示す模式的平面図である。
【図2】(a)および(b)は、図1の記録装置に搭載可能な記録ヘッドの構成例を示す斜視図であり、それぞれ、底面方向および上面方向から見た状態を示している。
【図3】(a)および(b)は、図2(a)および(b)に示した記録ヘッドの内部構成例を示す分解斜視図であり、それぞれ、底面方向および上面方向から見た状態を示している。
【図4】図2(a)および(b)に示した記録ヘッドに設けられる記録素子ユニットの構成例を示す斜視図である。
【図5】図3における記録素子基板と電気配線基板とを電気接続した状態の模式的斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る記録素子基板の電極端子部の周辺の構成を模式的に示す側断面図である。
【図7】電気接合時における記録素子基板および電気配線基板を示す模式的斜視図である。
【図8】電気接合時における電極端子周辺の模式的側断面図である。
【符号の説明】
【0063】
H1000、H1001 記録ヘッド
H1101 記録素子基板
H1102 インク供給口
H1103 電気熱変換素子
H1104 電極部
H1105 電極端子
H1107 吐出口
H1108 吐出部
H1109 吐出口形成部材
H1110 Si基板
H1111 緩衝層
H1118 保護層
H1300 電気配線テープ
H1302 外部信号接続端子
H1304 リード端子
H1501 本体部材
H1601、H1602、H1603 インク吸収体
H1701、H1702、H1703 フィルタ
H1801 シール部材
H1901 蓋部材
S1101 ボンディングツール




 

 


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