米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 繊維;紙;印刷 -> キヤノン株式会社

発明の名称 インクジェット記録装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15264(P2007−15264A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−200151(P2005−200151)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一
発明者 田中 宏和 / 坂本 敦 / 神田 英彦 / 森山 次郎
要約 課題
最適なインク吐出を行うためのインクジェット記録ヘッドの駆動条件は、製造時からユーザの手元に渡るまでの時間に応じても変化する。

解決手段
記録ヘッド製造時からの経過時間を認識し、その経過時間に応じて吐出に最適な駆動条件(例えば駆動パルス幅Pc)を決定する。
特許請求の範囲
【請求項1】
インクタンクとインク吐出機構を備えた記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録装置であって、
前記記録ヘッド製造時からの経過時間に応じて、前記インク吐出機構からインクを吐出させるための駆動条件を変更することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
インクタンクとインク吐出機構を備えた記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録装置であって、
前記記録ヘッド製造時からの経過時間に応じて、前記インク吐出機構に投入するエネルギを変更することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記経過時間が長くなるに伴って、前記インク吐出機構に投入するエネルギを小さくするように変更することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記記録ヘッド製造時から実使用時までの経過時間を検知する検知機構を備え、
前記検知機構により検知された経過時間に応じて前記駆動条件の変更を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記記録ヘッドの記憶素子には、前記インク吐出機構に投入するエネルギに関して複数にランク分けをしたテーブルを保持し、
記録ヘッド製造時から実使用時までの経過時間に応じて、前記投入エネルギのランクを前記テーブル内でシフトさせることで前記吐出機構に投入するエネルギを変更することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記インク吐出機構に投入するエネルギを変更する手段として、前記インク吐出機構に印加する駆動パルスの時間幅を変更することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記インク吐出機構に投入するエネルギを変更する手段として、前記インク吐出機構に印加する駆動パルスの電圧値を変更することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記インク吐出機構に投入するエネルギを変更する手段として、前記インク吐出機構に印加する駆動パルスの電流値を変更することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録ヘッドにより記録媒体にインクを吐出させて記録を行うインクジェット記録装置に関し、特にインクジェット記録ヘッドの駆動条件を決定する方式の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、投入されたエネルギを変換してインクを吐出するために利用されるエネルギを発生する素子の駆動条件(電圧値やパルス幅など)を一定にし、インクの吐出量や吐出速度が一定になるようにすることによって、高品位の画像を安定して形成できるようにしている。しかしながら、常に同一の電圧値・パルス幅で駆動する状態であっても、インクの吐出速度や吐出量といった吐出特性が記録ヘッド個体間で異なっていると、安定して良質な画像を提供することができなくなる。この記録ヘッド個体間に起こる吐出特性差異の発生原因は、主として記録ヘッドの製造ばらつきによるものである。
【0003】
例えば、上記エネルギ発生素子として、投入された電気的エネルギに応じて発熱することでインクに熱エネルギを付与してインク中に気泡を発生させ、当該気泡の圧力によってインクを吐出する電気熱変換体(吐出ヒータ)を有する記録ヘッドは、半導体製造プロセスを含んで作製される。すなわち、吐出ヒータ、該ヒータに通電を行うための電極配線およびインク吐出口に連通するインク流路などは、エッチング・蒸着・スパッタリングなどの半導体製造プロセスを経て基板上に成膜することによって形成される。この際、例えば吐出ヒータにおいて、ヒータ構成材料の膜厚が製造上の誤差によってばらつくことにより、同一の駆動条件(電圧値・パルス幅一定)を投入していても、個体間でインクに伝わる熱エネルギ量が変わり、結果として吐出特性も記録ヘッド個体間で異なることになるのである。
【0004】
このような記録ヘッド個体間に生じる吐出特性のバラツキを抑えるため、従来では記録ヘッドごとに吐出しやすさを判別し、吐出しやすさの異なる記録ヘッド毎に吐出に最適なエネルギを投入するようにしている。すなわち、熱エネルギの伝わり具合が小さい記録ヘッドにはパルス幅の大きい電圧を印加し、熱エネルギの伝わり具合が大きい記録ヘッドにはパルス幅の小さい電圧を印加するようにしている。言い換えると、記録装置本体が一定の駆動電圧を供給するものであっても、パルス幅を変調して吐出に最適なエネルギを与えることで、記録ヘッド個体間に生じるインクの吐出速度や吐出量などの吐出特性バラツキをなくしている。このような記録ヘッド個体毎に持つ吐出しやすさに関する情報は通常、検査の意味も含めて工場での製造時に決定しており、その情報をもとに記録装置本体側でその記録ヘッドに対して最適な吐出状態が得られるパルス幅を決定している。
【0005】
【特許文献1】特開2002−29037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、記録ヘッドの吐出のしやすさは製造時から全く変化しないわけではない。記録ヘッドが使用される状況においては、インク中に含まれる染料等の色材成分が焦げとして吐出ヒータ上に蓄積されることや、吐出ヒータが繰り返し熱的なダメージを受けることによって膜質が変化することなど、記録ヘッドの使用される頻度により吐出しやすさは変化する。それに伴って吐出に最適な投入エネルギも変化する。さらには、記録ヘッドが使用されない状況であっても、インクと吐出ヒータとが接しているだけで、インクと吐出ヒータを形成する材料との間で化学的な反応が徐々に進行することにより、吐出ヒータ構成膜の厚みが変化し、吐出しやすさ、ひいては吐出に最適な投入エネルギは製造時から大きく変化するという問題が生じる。
【0007】
これらの原因によってその記録ヘッド個体の吐出に最適な投入エネルギが変化していく中で、駆動電圧や駆動パルスが初期設定の状態から変わらないままであるとすると、吐出量・吐出速度が変化して記録媒体に着弾して形成されるインクドットの径が変化したり、インク着弾位置のズレを起こしたりすることになり、結果として安定して良質な画像が得られないこととなる。
【0008】
特許文献1では、記録ヘッドの使用状況をもとに最適な駆動パルスを選択する方法が提案されているが、この方法では記録ヘッドが使用されていない状況での吐出に最適な投入エネルギの変化は考慮されていない。
本発明は、記録ヘッドが使用されていない状況での記録ヘッドの吐出特性の変化、すなわち記録ヘッド製造時からユーザの手元に渡るまでの時間に応じても変化する記録ヘッドの吐出特性に応じて、吐出に最適な駆動条件を決定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明は、インクタンクとインク吐出機構を備えた記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録装置であって、
前記記録ヘッド製造時からの経過時間に応じて、前記インク吐出機構からインクを吐出させるための駆動条件を変更することを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
【0010】
また、本発明は、インクタンクとインク吐出機構を備えた記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録装置であって、
前記記録ヘッド製造時からの経過時間に応じて、前記インク吐出機構に投入するエネルギを変更することを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、記録ヘッドが使用されていない状況での記録ヘッドの吐出特性の変化を考慮した最適な駆動条件を選択することができ、結果として安定して良質な画像を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0013】
(装置本体の概略説明)
図1はインクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体に対し記録を行うインクジェット記録装置の一構成例であり、図1(a)は模式的視図を、図1(b)は同図(a)における−X方向からの模式的側面図を示している。
【0014】
同図において、100および101はインク吐出機構である吐出部とインクタンクとが一体に形成された記録ヘッドである。記録ヘッド100のインクタンクには、3色のインク、例えばブラック、淡シアンおよび淡マゼンタの各色インクが収納されており、記録ヘッド101のインクタンクには3色のインク、例えばシアン、マゼンタおよびイエローの各色インクが収納されている。また、記録ヘッド100および101には、収納するインク数に対応した数のインク吐出機構である吐出部102が設けられており、各吐出部102には吐出口が配列されている。これら記録ヘッド100および101は、収納ないし吐出するインク色が異なること以外は、全く同等の構成を有している。
【0015】
103は紙送りローラであり、補助ローラ104と協働して記録媒体Pを挟持しつつ図の矢印方向に回転し、記録媒体Pを随時Y方向に搬送する。また105は記録媒体Pを挟持しながら被記録位置に向けて送給する一対の給紙ローラ給紙ローラであり、矢印方向に回転して記録媒体Pの給紙を行うとともに、ローラ103および104との間で記録媒体Pを平坦に保持する機能も果たす。107はプラテンであり、記録位置において記録媒体Pを安定的に支える役割を果たしている。
【0016】
106は記録ヘッド100および101を支持し、記録動作に際してこれらを主走査方向(X方向)に移動させるためのキャリッジであり、記録を実行しないとき、あるいは記録ヘッドの吐出部102のインク吐出性能を良好に保持するための回復動作を行うときには、図の破線で示した位置(ホームポジション)hに設定される。108はキャリッジ106をX方向に走査するための駆動力を伝達するキャリッジベルトである。
【0017】
記録開始前にホームポジションhに設定されているキャリッジ106は、記録開始命令の入来に応じてX方向に移動を開始し、吐出部102に設けられた複数の吐出口から記録データに応じてインクを吐出して、吐出口配列範囲に対応した幅の記録を行って行く。また、1回の記録動作(1スキャン)が終了してから次回の記録動作が開始される前に、紙送りローラ103が図の矢印方向に所定量回転することで、所定量だけY方向に記録媒体Pが搬送される。これらのように、1スキャンの記録動作と所定幅の記録媒体搬送とを繰り返すことにより記録媒体に対するデータの記録が行われてゆく。
【0018】
図2は図1における記録ヘッド101であり、図2(a)は模式的斜視図を、図2(b)はZ方向から見たときの模式的平面図を、図2(c)は図2(b)における吐出口周りの拡大図を示している。上述のように記録ヘッド100および101は同等の構造を持つことから、ここでは記録ヘッド101を代表として、その構成を説明する。
図2(a)中に示す201はコンタクトパッドであり、記録装置本体からの記録信号および駆動に必要なエネルギ(電圧)を受け取る。図2(b)中の202は記録ヘッドチップである。チップ202上には記憶領域をもつ記憶素子としてのFuseROM203が設けられている。なお、記憶素子としてはFuseROMに限られず、その他のもの、例えばEEPROMであっても良い。
【0019】
204、205および206は、それぞれ、シアンインク、マゼンタインクおよびイエローインクの吐出口列(吐出部)である。異なる色のインクを吐出すること以外は、各色インクの吐出口構造は同等である。
【0020】
図2(c)は代表としてシアンインクの吐出口列204を拡大して示している。図2(c)中の102Aはシアンインクの吐出口列204上に配列された吐出口であり、各吐出口102Aの内方(Z方向側)には、例えば、インクを吐出するために利用されるエネルギとしてインクに膜沸騰を生じさせる電気熱変換体(吐出ヒータ)気泡を発生させてインクを吐出させる吐出ヒータ207が存在する。図示の例では192個の吐出口102Aが1/600インチの間隔(ピッチ)で配列されており、従って記録画素密度が600dpiとなるように構成されている。また、吐出口102Aからの1回の吐出動作あたり約2plのインク滴が吐出可能なように構成されており、このインク滴を安定して吐出するための吐出ヒータ207の吐出周波数は、15kHzとなっている。この記録ヘッド100および102を搭載したキャリッジの主走査方向への速度は、主走査方向にインク滴を1200dpi間隔に記録すると、24000(ドット/秒)÷1200(ドット/インチ)=20インチ/秒となる。
【0021】
図3は図1に示した記録装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0022】
図3に示すように、記録装置の制御系は、メインバスライン305に対してそれぞれアクセスする画像入力部303、それに対応して入力画像信号を処理する画像信号処理部304、およびCPU300を含むデータ処理(ソフトウェア)系のサブシステムと、操作部306、回復系制御回路307、ヘッド温度制御回路314、ヘッド駆動制御回路315、キャリッジ駆動(主走査)制御回路316および記録媒体搬送(副走査)制御回路317を含む機構制御処理(ハードウェア)系のサブシステムとに大別される。
【0023】
画像入力部303は、画像形成システムの構成要素とすることができるコンピュータ形態のホスト装置(ホストコンピュータ)1000からの画像データを入力するインタフェースを有する。なお、画像入力部303にはそのほか、デジタルカメラからの画像データを入力するインタフェースや、ICメモリカード(不図示)からの画像データを入力するインタフェースなどを備えたものとすることができる。
【0024】
CPU300は、ROM301とRAM302などのメモリを備え、入力情報に対して適正な記録条件を与え、ヘッド制御回路315、キャリッジ駆動制御回路316および記録媒体搬送制御回路317を介してそれぞれ記録ヘッド100,101ないしキャリッジ106の主走査および記録媒体Pの副走査を制御しながら、記録を実行させる。ROM301には、図4、図7あるいは図10につき後述する処理手順の一部を規定するプログラムのほか、後述のテーブルなどに対応した固定データが記憶されている。RAM302はCPU300のワークエリアとして使用される。また、メモリ領域には、回復処理のシーケンスを実行するプログラムなどが格納され、CPU300は必要に応じ、吸引回復動作条件、メインタンク107からサブタンク101へのインク供給動作条件、予備吐出動作条件、あるいはそれら動作のタイミング等を既定する制御データを、回復系制御回路307およびヘッド駆動制御回路315等に与える。すなわちCPU300は、ROM301に記憶されているプログラムの手順に従って、ホストコンピュータ1000から転送されてくる制御情報および画像データに基づき、さらには操作部306に設けられた各種スイッチなどから入力される各種の指示信号に基づいて、機構制御処理系サブシステムを制御している。
【0025】
回復系モータ308は、クリーニングブレード309、キャップ310、およびポンプ311を駆動する。ヘッド駆動制御回路315は、吐出部ないし吐出ヒータの駆動を実行するもので、記録のためのインク吐出のほか、予備吐出を記録ヘッド102に行わせる。
【0026】
記録ヘッド102の記録素子が設けられている基板には保温ヒータ313が設けられており、このヒータに通電することで、ヘッド温度制御回路314は記録ヘッド内のインク温度を所望設定温度に加熱調節することができる。また、前記基板にはダイオードセンサなどの温度センサ312も同様に設けられており、記録ヘッド内部の実質的なインク温度を測定し、ヘッド温度制御回路314による温度調節に供する。なお、温度センサ312は基板外に設けられていてもよく、あるいは記録ヘッドの周囲近傍にあってもよい。
【0027】
なお、本例に係る装置は、現在時刻を認識可能なものとする。このためには、カレンダー機能ないしはタイマー機能をもつ機能素子部をインクジェット記録装置本体内部(例えばCPU300)に具備し、適時これを参照することで現在時刻を認識するようにしてもよいし、インクジェット記録装置に接続されたホスト装置1000から時刻情報を取得する方式や、ユーザが直接時刻情報を入力する方式を採用してもよい。
【0028】
次に、以上の構成に適用されるいくつかの実施形態を説明する。
【0029】
(実施形態1)
第1の実施形態では、図2(b)に示したFuseROM203には記録ヘッド個体別の情報が記録されており、この記録ヘッド情報には製造年月Tiおよび初期駆動パルス幅Piの情報が含まれている。記録ヘッドは通常、製造後から出荷までの間に、全ての吐出口からインクが正常に吐出されるか否かが検査されるが、そのとき同時にインク吐出に最適な吐出量・吐出速度となる駆動パルス幅を測定により決定する。上記の初期駆動パルス幅情報Piは、この検査時においてインク吐出に最適であった駆動パルス幅を指している。
【0030】
図4には本実施形態で採用される制御手順のフローチャートを示す。
【0031】
まずインクジェット記録装置がホスト装置1000から記録データを受信すると、ステップS401において装着されている記録ヘッド100および101のFuseROM203にアクセスし、記録ヘッド各々の製造年月情報Tiおよび初期駆動パルス幅情報Piを読み取る。なお、以下では記録ヘッド101だけを例にとり、仮にTi=2005年1月、Pi=0.70μsとする。
【0032】
次にステップS402において、インクジェット記録装置内蔵のタイマーにアクセスし、現在日時情報Tnを取得する。ここでは仮にTn=2005年10月であるとする。なお、本実施形態では、現在日時情報Tnを取得するタイミングとして、実駆動時と時間的な差があまりないであろう記録データ受信時とするが、その他、記録ヘッドの装着時や電源ON時など、実駆動時に近い別のタイミングであってもよい。
【0033】
記録ヘッドの製造年月と現在日時とを確認した後、ステップS403においてその記録ヘッド製造時からの経過時間TpをTp=Tn−Tiにより算出する。ここではTp=9ヶ月となる。その後、ステップS404に移行し、図5に示すような駆動パルス補正テーブルPT(例えばROM301に構成しておくことができる)を参照し、実際に駆動するパルス幅Pcを決定する。
【0034】
駆動パルス補正テーブルPT(図5)は測定により求められる値で構成されており、左端には記録ヘッド製造時においてインク吐出に最適となる複数の初期駆動パルス幅Piを示し、その右側には複数存在するPi全てに対してその記録ヘッド製造時からの経過時間Tpに応じた吐出に最適な駆動パルス幅Pcを示している。この駆動パルス補正テーブルPT(図5)に従って実際に駆動するパルス幅Pcが決定される。ここではTp=9ヶ月であることから右から4列目のテーブルが選ばれ、一方でPi=0.70μsであることから上から11段目が選ばれ、結果としてPc=0.66μsが決定される。
【0035】
なお、本実施形態では、記録ヘッド内においてはインク色の関係なく初期駆動パルス幅Pi、駆動パルス補正テーブルPTが等しいものと仮定するが、インク色によって吐出しやすさが大きく異なる形態においては、インク色毎に異なる初期駆動パルス幅情報Piおよび駆動パルス補正テーブルPTが用いられるものでもよい。
【0036】
図6は、記録ヘッド製造時からの経過時間Tpに応じて発生する、記録ヘッドによって形成される画像の粒状度について、従来の場合と本実施形態を用いた場合との評価結果を示す。図中の「○」は目視では確認できないほどざらつきの小さいレベル、「△」はざらつきは気になるが元画像と記録画像との差が小さいレベル、「×」はざらつきがひどく元画像と記録画像とが大きく異なるレベルを示している。
【0037】
従来では記録ヘッド製造時からの経過時間Tpが大きくなるに従って、インクの吐出量・吐出速度が変化してインク着弾径変化・インク着弾位置ズレを起こすために、結果としてざらつきの大きい画像を形成することになる。一方で本実施形態の場合は、記録ヘッド製造時からの経過時間Tpによらず、安定してざらつきの少ない良質な画像を得ることができることが確認された。
【0038】
以上のように、記録ヘッドに製造時情報を書き込んでおき、記録ヘッド製造時からの経過時間を算出し、それに応じて駆動パルス幅を変更することにより、記録ヘッドが使用されていない状況での記録ヘッドの吐出特性の変化をも考慮した最適な駆動パルス幅を選択することができ、結果として安定して良質な画像を提供できる。
【0039】
なお、本実施形態では、記録ヘッド製造時から実使用時までの経過時間に応じてインクが吐出しやすくなる形態において、吐出部ないし吐出ヒータに投入するエネルギを小さくする補正方法について説明したが、記録ヘッド製造時から実使用時までの経過時間に応じてインクが吐出しずらくなる形態においては、吐出ヒータに投入するエネルギを大きくするような補正を行えばよい。
【0040】
(実施形態2)
実施形態1では吐出部ないし吐出ヒータに投入するエネルギを変更する手段として、駆動パルス幅を制御する方法について説明したが、実施形態2では駆動パルスの電圧を制御する方法を説明する。
【0041】
本例では、FuseROM203(図2(b))には記録ヘッド個体別の情報が記録されており、この記録ヘッド情報には製造年月Tiおよび初期駆動電圧Viの情報が含まれている。記録ヘッドは通常、製造後から出荷までの間に、全ての吐出口からインクが正常に吐出されるか否かが検査されるが、そのとき同時にインク吐出に最適な吐出量・吐出速度となる駆動電圧を測定により決定する。上記の初期駆動電圧情報Viは、この検査時においてインク吐出に最適であった駆動パルス幅を指している。
【0042】
図7には本実施形態で採用される制御手順のフローチャートを示す。
【0043】
まずインクジェット記録装置がホスト装置1000から記録データを受信すると、ステップS701において装着されている記録ヘッド100および101のFuseROM203にアクセスし、記録ヘッド各々の製造年月情報Tiおよび初期駆動電圧情報Viを読み取る。なお、以下では記録ヘッド101だけを例にとり、仮にTi=2005年1月、Vi=25.0Vとする。
【0044】
次にステップS702において、インクジェット記録装置内蔵のタイマーにアクセスし、現在日時情報Tnを取得する。ここでは仮にTn=2005年10月であるとする。なお、現在日時情報Tnを取得するタイミングとしては、記録データ受信時とするほか、上述と同様、記録ヘッドの装着時や電源ON時などであってもよい。
【0045】
記録ヘッドの製造年月と現在日時とを確認した後、ステップS703においてその記録ヘッド製造時からの経過時間TpをTp=Tn−Tiにより算出する。ここではTp=9ヶ月となる。その後、ステップS704に移行し、図8に示す駆動電圧補正テーブルVT(例えばROM301に構成しておくことができる)を参照し、実際に駆動する電圧Vcを決定する。
【0046】
図8の駆動電圧補正テーブルVTは測定により求められる値で構成されており、左端には記録ヘッド製造時においてインク吐出に最適となる複数の初期駆動電圧Viを示し、その右側には複数存在するVi全てに対してその記録ヘッド製造時からの経過時間Tpに応じた吐出に最適な駆動電圧Vcを示している。この駆動電圧補正テーブルVTに従って実際に駆動する電圧Vcが決定される。ここではTp=9ヶ月であることから右から4列目のテーブルが選ばれ、一方でVi=25.0Vであることから上から6段目が選ばれ、結果としてVc=24.0Vが決定される。
【0047】
なお、本実施形態でも、記録ヘッド内においてはインク色の関係なく初期駆動電圧情報Vi、駆動電圧補正テーブルVTが等しいものと仮定するが、インク色によって吐出しやすさが大きく異なる形態においては、インク色毎に異なる初期駆動電圧情報Viおよび駆動電圧補正テーブルVTが用いられるものでもよい。
【0048】
本実施形態を適用することによっても、上記実施形態1と同等の効果を得ることができる。すなわち、記録ヘッドに製造時情報を書き込んでおき、使用時にインクジェット記録ヘッド製造時からの経過時間を算出し、それに応じて駆動電圧を変更することにより、記録ヘッドが使用されていない状況での記録ヘッドの吐出特性の変化を考慮した最適な駆動電圧を選択することができ、結果として安定して良質な画像を提供できる。
【0049】
なお、本実施形態では吐出ヒータに投入するエネルギを変更する手段として、駆動電圧を制御する方法を説明したが、これは駆動電流であっても同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、駆動電圧を変更するための手段としては、記録装置本体から供給される電圧を適切に昇圧または降圧させる回路を用いればよい。
【0051】
さらに、実施形態1および実施形態2を組み合わせ、駆動パルス幅および駆動電圧の双方を補正するようにすることも可能である。
【0052】
(実施形態3)
実施形態1では、記録ヘッド製造時からの経過時間に応じた吐出に最適な駆動パルス幅情報をもつ駆動パルス補正テーブルを用いる方法について説明した。これに対し、本実施形態では、記録ヘッド製造時のインク吐出に最適な複数の駆動パルスに対してランクの対応付けを行い、そのランクをシフトさせるランク補正テーブルをもつことで駆動パルス幅を制御する方法について説明する。
【0053】
本例では、FuseROM203(図2(b))には記録ヘッド個体別の情報が記録されており、この記録ヘッド情報には製造年月Tiおよび初期駆動パルスランクRiの情報が含まれている。記録ヘッドは、実施形態1で説明したように、検査と同時にインク吐出に最適な駆動パルス幅が測定により決定される。
【0054】
図9は、検査時においてインク吐出に最適であった駆動パルス幅に対して割り当てられる初期駆動パルスランクランク表RTの一例を示す。この駆動パルスランク表RTに従って得られた数値をパルスランク情報Riとして検査時にFuseROM203に書き込んでおけば、インクジェット記録装置ではそのパルスランクRiに応じた駆動パルス幅Prを選択することが可能となり、FuseROM203に持つ情報量を少なくすることができる。
【0055】
図10に採用される制御手順のフローチャートを示す。
【0056】
まずインクジェット記録装置が記録データを受信すると、ステップS1001において装着されている記録ヘッド100および101のFuseROM203にアクセスし、記録ヘッド各々の製造年月情報Tiおよび初期駆動パルスランク情報Riを読み取る。なお、以下では記録ヘッド101だけを例にとり、仮にTi=2005年1月、Ri=11とする。
【0057】
次にステップS1002において、インクジェット記録装置内蔵のタイマーにアクセスし、現在日時情報Tnを取得する。ここでは仮にTn=2005年10月であるとする。なお、現在日時情報Tnを取得するタイミングとしては、記録データ受信時とするほか、上述と同様、記録ヘッドの装着時や電源ON時などであってもよい。
【0058】
記録ヘッドの製造年月と現在日時とを確認した後、ステップS1003においてその記録ヘッド製造時からの経過時間TpをTp=Tn−Tiにより算出する。ここではTp=9ヶ月となる。その後、ステップS1004に移行し、図11に示すランク補正テーブルRST(例えばROM301に構成しておくことができる)を参照し、ランク補正量Rccを決定する。
【0059】
図11のランク補正テーブルPSTは測定により求められる値で構成されており、左端には記録ヘッド製造時においてインク吐出に最適となる複数の初期駆動パルスランクRiを示し、その右側には複数存在するRi全てに対してその記録ヘッド製造時からの経過時間Tpに応じた吐出に最適な駆動パルス幅となるようなランク補正量Rccを示している。ここではTp=9ヶ月であることから右から4列目のテーブルが選ばれ、一方でRi=11であることから上から11段目が選ばれ、結果としてRcc=−2が決定される。
【0060】
ステップS1004で得られたランク補正量Rccに対して、実際に駆動する補正パルスランクRcをRc=Ri+Rccとして決定し(ステップS1005)、その後ステップS1006で補正パルスランクRcに応じて実際に駆動するパルス幅Prを、図9と同等な駆動パルスランク表RT(例えばROM301に構成しておくことができる)を参照することで決定する。
【0061】
本実施形態を適用することによっても、上記実施形態1と同等の効果を得ることができる。また、記録ヘッドに製造時情報を書き込んでおき、記録ヘッド製造時からの経過時間を算出し、それに応じて駆動パルスランクをシフトするようにしたことにより、記録ヘッド内には容量の小さい記憶素子をもつだけで、記録ヘッドが使用されていない状況での記録ヘッドの吐出特性の変化を考慮した最適な駆動パルス幅を選択することができ、結果として安定して良質な画像を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】インクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体に対し記録を行うインクジェット記録装置の一構成例であり、(a)は模式的視図を、(b)は(a)における−X方向からの模式的側面図を示している。
【図2】図1における記録ヘッドの構成を説明するための図であり、(a)は模式的斜視図を、(b)はZ方向から見たときの模式的平面図を、(c)は(b)における吐出口周りの拡大図を示している。
【図3】図1に示した記録装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態1で採用される制御手順のフローチャートである。
【図5】実施形態1で採用される駆動パルス補正テーブルの説明図である。
【図6】記録ヘッド製造時からの経過時間に応じて発生する、記録ヘッドによって形成される画像の粒状度について、従来の場合と実施形態1を用いた場合との評価結果を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態2で採用される制御手順のフローチャートである。
【図8】実施形態2で採用される駆動電圧補正テーブルの説明図である。
【図9】実施形態3で採用される初期駆動パルス幅に対応するランクを示す駆動パルスランク表の説明図である。
【図10】本発明の実施形態3で採用される制御手順のフローチャートである。
【図11】実施形態3で採用されるランク補正テーブルの説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1000 ホスト装置(コンピュータ)
100、101 記録ヘッド
102 吐出部
102A 吐出口
103 紙送りローラ
104 補助ローラ
105 給紙ローラ
106 キャリッジ
107 プラテン
108 キャリッジベルト
P 記録媒体
h ホームポジション
201 コンタクトパッド
202 記録ヘッドチップ
203 FuseROM
204 シアンインク用吐出口列
205 マゼンタインク用吐出口列
206 イエローインク用吐出口列
207 吐出ヒータ
300 中央制御部(CPU)
301 ROM
302 RAM
303 画像入力部
304 画像信号処理部
305 バスライン
306 操作部
307 回復系制御部
308 回復系モータ
309 ブレード
310 キャップ
311 ポンプ
312 ダイオードセンサ
313 記録ヘッド
314 ヘッド温度制御回路
315 ヘッド駆動制御回路
316 キャリッジ駆動制御回路
317 記録媒体搬送制御回路





 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013