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発明の名称 記録装置および記録位置調整方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15261(P2007−15261A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−200147(P2005−200147)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一
発明者 杉本 朱 / 森山 次郎 / 神田 英彦 / 浜▲崎▼ 雄司 / 川床 徳宏 / 筑間 聡行 / 坂本 敦
要約 課題
記録素子列内の各記録素子の記録位置ばらつきと記録素子列間の記録位置のずれによって複合的に生じる画像劣化を極力抑制すること。

解決手段
記録素子列に含まれる複数の記録素子間の記録位置を調整するための第1の調整値を求め、2列以上の記録素子列間の記録位置を調整するための第2の調整値を求め、第1の調整値と第2の調整値とを複合させて第3の調整値を求めた後に、当該第3の調整値に基づいて画像を形成する。これにより、吐出口列内の記録位置のばらつきと、吐出口列間の記録位置のずれが、それぞれ異なる段階で適切に調整され、2種類の異なる要因によって発生する弊害も一括的に抑制される。
特許請求の範囲
【請求項1】
記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列の複数を、前記記録媒体に相対的に移動走査することにより画像を形成する記録装置であって、
所定の前記記録素子列に含まれる複数の記録素子間の記録位置を調整するための第1の調整値を求める第1の調整手段と、
所定の2列以上の前記記録素子列間の記録位置を調整するための第2の調整値を求める第2の調整手段と、
前記第1の調整値と前記第2の調整値とを複合させて第3の調整値を求める手段と、
を具備し、前記第3の調整値に基づいて前記画像を形成することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記複数の記録素子列は互いに異なる種類の色材を前記記録媒体に付与することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記複数の記録素子列は、同一の記録ヘッドに形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記複数の記録素子列は、複数の記録ヘッドに形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項5】
記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列を、前記記録媒体に対し往復に移動走査することにより画像を形成する記録装置であって、
前記記録素子列に含まれる複数の記録素子間の記録位置を調整するための第1の調整値を求める第1の調整手段と、
前記記録素子列の往路の移動走査における記録位置と復路の移動走査における記録位置とを調整するための第2の調整値を求める第2の調整手段と、
前記第1の調整値と前記第2の調整値とを複合させて第3の調整値を求める手段と
を具備し、前記第3の調整値に基づいて前記画像を形成することを特徴とする記録装置。
【請求項6】
記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列を、前記記録媒体に対し往復に移動走査することにより画像を形成する記録装置であって、
前記記録素子列の記録位置の傾きを補正するために該記録素子列に含まれる複数の記録素子の記録位置を調整するための第1の調整値を求める調整手段と、
所定の2列以上の前記記録素子列間の記録位置を調整するための第2の調整値を求める調整手段と、
前記第1の調整値と前記第2の調整値とを複合させて第3の調整値を求める手段と
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項7】
前記第1の調整手段は、記録媒体に記録された第1のチェックパターンより判断された値を前記第1の調整値として設定し、前記第2の調整手段は、記録媒体に記録された第2のチェックパターンより判断された値を前記第2の調整値として設定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の記録装置。
【請求項8】
前記第2のチェックパターンは、前記第1の調整値に基づいて記録されることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記判断はユーザが行うことを特徴とする請求項7または8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記第1および第2のチェックパターンを読み取るための手段を更に具備し、前記判断は前記読み取り手段による読み取り値に応じて行われることを特徴とする請求項7または8に記載の記録装置。
【請求項11】
前記第1および第2のチェックパターンを格納する手段を更に具備することを特徴とする請求項7または8に記載の記録装置。
【請求項12】
前記第1および第2のチェックパターンは外部に接続された装置から供給されることを特徴とする請求項7または8に記載の記録装置。
【請求項13】
記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列の複数を、前記記録媒体に相対的に移動走査することにより画像を形成する記録装置の記録位置調整方法であって、
所定の前記記録素子列に含まれる複数の記録素子間の記録位置を調整するための第1の調整値を求める工程と、
所定の2列以上の前記記録素子列間の記録位置を調整するための第2の調整値を求める工程と、
前記第1の調整値と前記第2の調整値とを複合させて第3の調整値を求める工程と
を有することを特徴とする記録位置調整方法。
【請求項14】
記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列を、前記記録媒体に対し往復に移動走査することにより画像を形成する記録装置の記録位置調整方法であって、
前記記録素子列に含まれる複数の記録素子間の記録位置を調整するための第1の調整値を求める工程と、
前記記録素子列の往路の移動走査における記録位置と復路の移動走査における記録位置とを調整するための第2の調整値を求める工程と、
前記第1の調整値と前記第2の調整値とを複合させて第3の調整値を求める工程と
を有することを特徴とする記録位置調整方法。
【請求項15】
記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列を、前記記録媒体に対し往復に移動走査することにより画像を形成する記録装置の記録位置調整方法であって、
前記記録素子列の記録位置の傾きを補正するために該記録素子列に含まれる複数の記録素子の記録位置を調整するための第1の調整値を求める工程と、
所定の2列以上の前記記録素子列間の記録位置を調整するための第2の調整値を求める工程と、
前記第1の調整値と前記第2の調整値とを複合させて第3の調整値を求める工程と
を有することを特徴とする記録位置調整方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の記録素子を配列した記録手段から記録媒体に記録剤を付与し、画像を形成する記録装置に関し、特に記録素子の記録位置ずれを調整するための方法および構成に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置は、画像情報(文字情報等を含む)に基づいて用紙やプラスチック薄板等の記録媒体に画像(文字等を含む)を記録していくように構成されている。このような記録装置は、記録方式により、インクジェット式、ワイヤドット式、サーマル式、レーザービーム式等に分類することができる。このうち、インクジェット式の記録装置(インクジェット記録装置)は、記録手段(記録ヘッド)から記録媒体にインクを吐出して記録を行うものであり、他の記録方式に比べて高精細化が容易でしかも静粛性に優れた状態で高速記録が可能で、かつ安価であるという数々の優れた特徴を有する。よってインクジェット記録装置は、オフィスからパーソナルユースまで幅広い範囲で普及している。
【0003】
一般に、インクジェット記録装置では、インク吐出口とこれにインクを供給するための液路を備えた記録素子を複数集積配列してなる記録ヘッドを用いている。さらにカラー画像に対応するために、このような記録ヘッドを複数色分備えているものも多い。
【0004】
図1は、一般的なインクジェット記録装置の内部機構を説明するための斜視図である。図において、101はインクカートリッジである。ここでは、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローがそれぞれ収容された4色分が用意されている。102は記録ヘッドであり、各色のインクカートリッジ101から供給されたインクを図の−Z方向に吐出することが出来る。
【0005】
106はキャリッジであり、4色分のインクカートリッジ101および記録ヘッド102を搭載しながら、図のX方向に移動走査することが出来る。記録動作が行われていないとき、あるいは記録ヘッド102の回復作業などを行うときには、キャリッジ106は図の点線で示したホームポジション(h)に待機するようになっている。
【0006】
103は紙送りローラで、104の拍車とともに記録媒体Pを支持しながら回転し、記録媒体PをY方向の副走査方向に随時搬送する。105は給紙ローラ対であり記録媒体Pの給紙を行うとともに、紙送りローラ103および拍車104と同様、記録媒体Pを抑える役割も果たす。
【0007】
記録開始前、図のh位置(ホームポジション)にあるキャリッジ106は、記録開始命令がくるとX方向に移動走査する。同時に記録ヘッド102は記録信号に従ったインクの吐出を実行する。吐出されたインク滴は、記録媒体Pに着弾される。ホームポジションとは反対側に位置する記録媒体端部までの記録が終了すると、キャリッジ106は元のホームポジション側に戻り、再びX方向への記録を繰り返す。あるいは、ホームポジション側に戻ることなしに、−X方向の移動走査で記録を実行することも出来る。このような1回分の記録走査が完了すると、給紙ローラ対105および紙送りローラ103によって、記録媒体PはY方向に所定量搬送される。以上のような記録走査と、搬送動作とを間欠的に繰り返すことにより、記録媒体Pに順次画像が形成されていく。
【0008】
図2は、記録ヘッド102をZ方向から観察した場合の、2色分の吐出口の配列状態を説明するための模式図である。図において、201はブラックインクを吐出する吐出口列Aのうちの1つの吐出口、202はシアンインクを吐出する吐出口列Bのうちの1つの吐出口である。図において、各吐出口列AおよびBは、それぞれL=12個の吐出口を有しており、各インク吐出口は1/600インチの間隔でY方向に配列している。よって、記録ヘッド102がX方向に移動しながら各吐出口よりインクを吐出することにより、Y方向には600dpi(ドット/インチ;参考値)の記録密度で画像が形成される。図において、n1〜n12は各吐出口の並び位置を示すための符号である。インク吐出口201は吐出口列Aのn12であり、インク吐出口202は吐出口列Bのn1である。
【0009】
本例において、個々の吐出口からの吐出されるインクの量は、1滴あたり約2plとする。また、この量のインク滴を安定して吐出するための吐出周波数は30KHz、吐出速度は約20m/秒とする。更に、このような記録ヘッド102を搭載したキャリッジ106の主走査方向(X方向)への速度は約25インチ/秒であり、これにより主走査方向には約1200dpiの記録密度で画像が形成される。
【0010】
ところで、このような一般的な構成の記録ヘッド102においては、複数色のノズル列の製造ばらつきに起因して、記録ヘッド102をキャリッジ106に取り付ける際の設置誤差に起因して、また記録主走査を双方向で実行する場合のタイミングのずれ等に起因して、記録媒体上ではドットの着弾位置ずれが発生することが知られている。そして、このような着弾位置ずれを補正するために、様々な記録位置調整手段や方法が既に提案および実施されている。
【0011】
以下に、インクジェット記録装置で適用されている記録位置調整方法について説明する。一般に、インクジェット記録装置では、通常の記録動作に先立ってドットの着弾位置を調整するための記録位置調整モードを有している。
【0012】
図3は、上記記録位置調整モードを実施する際に、インクジェット記録装置およびユーザが実行する各工程を説明するためのフローチャートである。まず、記録位置調整モードが指定されると、ステップS4601において、記録装置は記録媒体に所定のチェックパターンを記録する。
【0013】
図4は、ステップS4601で出力されるチェックパターンの一例を示した図である。ここでは、記録ヘッド102に配列する吐出口列Aと吐出口列Bの着弾位置合わせを行うために、吐出口列Aによって吐出するタイミングに対して、吐出口Bによって吐出するタイミングを、1ピクセル分ずつ+4ピクセル〜−4ピクセル分までずらして記録した、9種類のパターンが示されている。本例の記録装置において、吐出口列Aと吐出口列Bの記録位置合わせのための調整分解能は1200dpi(ドット/インチ;参考値)の1ピクセル、すなわち約21μmとし、当該調整分解能と同じ分解能で各パターンも記録されている。
【0014】
図5は、図4で示した9種類のパターンのうち、+2ピクセル〜0ピクセルまでのパターンを拡大して示した図である。図において、黒丸は吐出口列Aによって記録されたドット、白丸は吐出口列Bによって記録されたドットをそれぞれ示している。吐出口列Aによって記録された黒丸ドットは一定のタイミングで吐出されているので、主走査方向において同位置に記録されている。これに対し、吐出口列Bによって記録される白丸ドットは、1ピクセル分ずつずらしたタイミングで吐出されているので、記録された各パターンにおいても主走査方向に1ピクセルずつずれて着弾されている。本パターンにおいて、+方向は、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら、より遅延したタイミングで吐出する状態を示している。
【0015】
図4および図5で示したパターンにおいては、+1で示した状態が、2つの吐出口列によって形成されたラインが最も重なった状態となり、一直線に近いパターンとして認識される。すなわち、吐出口列Aと吐出口列Bの吐出タイミングが最も一致した状態と判断することが出来る。これに対し、+2で示した状態や0で示した状態では、2つのラインの距離d1およびd3がそれぞれ反対方向ではあるが、約21μmの距離をおいて記録されている。
【0016】
再度図3を参照するに、続くステップS4602において、ユーザは9種類のパターンの中から最も一直線に近いパターンを選択して、記録装置あるいはこれに接続されたホストコンピュータなどからその情報を入力する。本例においては、既に説明したように+1のパターンが最も一直線に近いと判断でき、ユーザはこの情報を入力する。
【0017】
ステップS4603において、記録装置はステップS4602で入力された情報を、本体内のメモリ(例えばEEPROMのような書き換え可能な不揮発性メモリ)に格納する。以上で、記録位置調整モードを終了する。
【0018】
次回、記録が実行される際、記録装置は上記メモリに格納された情報に基づいて、吐出口列Aと吐出口列Bの吐出タイミングを調整する。これにより、出力された画像は、2つの吐出口列の記録位置が最適化された状態で画像を形成することが出来る。
【0019】
以上では、吐出口列Aと吐出口列Bの記録位置調整方法について説明したが、複数色のインクを吐出する場合や、各色複数列ずつの吐出口列を有する記録ヘッドを用いる場合には、更に多くの吐出口列のための記録位置調整が必要とされる。この様な場合、基準となる吐出口列Aにあわせて、各吐出口列のタイミングをそれぞれ調整し、それぞれの調整値データが格納されるような構成であれば対応可能である。また、同一の吐出口列であってもキャリッジの往路と復路において吐出を実行する双方向記録の場合、往路で吐出するタイミングと復路で吐出するタイミングとを調整するための記録モードも、同様なパターンおよびフローチャートで実現することが出来る。
但し、上述したような従来の記録位置調整方法では、複数の吐出口列間の記録位置や双方向記録時の記録位置を調整することは出来たが、同一列内の記録位置を調整することは出来なかった。近年のインクジェット記録装置においては、銀塩写真に匹敵するような高精細な画像への需要が高まっており、さらなる小液滴化やさらなる記録素子配列の高精細化が進められている。そして、このような状況においては、記録ヘッド上に1列に配列する吐出口列のわずかな配置ずれや傾きも無視できない状況となってきている。殊に吐出口列の傾きは画像におよぼす影響が大きい。
【0020】
このような状況の下、記録ヘッドの傾きに起因する画像弊害を補正するための対策も幾つか考案されている。特許文献1には、記録ヘッドの回転によって発生する記録位置の誤差を低減するために、各吐出口が記録する画像データに対しオフセットを付加する誤差修正回路を備えたインクジェットプリントシステムが開示されている。また、特許文献2には、記録ヘッド上に配列する複数の吐出口列を複数のブロックに分割し、傾きに応じて各ブロックの吐出の順番や吐出の間隔を調整するようなインクジェット記録装置が開示されている。更に、特許文献3には、記録ヘッドの傾きによって生じる各記録走査のつなぎ部における記録位置のずれを補正するために、最上部の吐出口による記録位置と最下部の吐出口による記録位置とのずれ量からオフセット量を設定し、吐出口の一部については当該オフセット量に基づいた量だけデータをずらして記録する方法が開示されている。更にまた、特許文献4には、記録ヘッドの傾きに応じて、各吐出口が記録するデータの割り当てを変更する手段を有するインクジェット記録装置が開示されている。
【0021】
【特許文献1】特開平7−309007号公報
【特許文献2】特開平7−40551号公報
【特許文献3】特開平11−240143号公報
【特許文献4】特開2004−9489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、従来のインクジェット記録装置においては、記録ヘッドの傾きや、各吐出口列間の記録位置のずれを個々に補正することは出来たが、様々な要因によって生じる複合された記録位置ずれを一括して補正することは困難な状況であった。たとえば、上述したような各列間の記録位置調整を実施するにあたっても、各吐出口列内に傾きが含まれた状態であると、ユーザの混乱を招いたり適切な値が選択できなかったりして、正常な調整が実現されないという不具合も生じていた。
【0023】
以下に、上記問題について簡単に説明する。
【0024】
図6は、図2で示したものと同一の構成ではあるが、2列の吐出口列にそれぞれ傾きθを有する記録ヘッド102を示したものである。本例において、吐出口列Aのn1はn12に対して+X方向に約63μm距離を置いた位置に配置されている。この距離は、1200dpiで記録を実行する記録装置において約3ピクセル分の距離に値する。一方、吐出口列Bのn1はn12に対して−X方向に約63μm距離を置いた位置に配置されている。この距離も、1200dpiで記録を実行する記録装置において約3ピクセル分の距離に値する。
【0025】
図7は、図6で示した記録ヘッドを用いて、背景技術の項で説明した図4と同様のチェックパターンを記録した記録状態を示した図である。
【0026】
図8は、図7で示した9種類のパターンのうち、−1〜−3までのパターンを拡大して示した図である。どちらの図においても、図4および図5で示した+1のパターンように、2つの吐出口列によるラインが1直線に認識できるものはない。実際に2つのラインの距離が最も小さくなるのは−2のパターンとなるが、この状態であっても、吐出口列Aと吐出口列Bとの間には最大でd2=63μmのずれが生じている。そして、これよりも1ピクセルずつタイミングをずらした−1と−3のパターンでは、それぞれ反対方向ではあるが、約84μmのずれが発生してしまっている。
【0027】
このように、図6に示した傾きを有する吐出口列の場合には、各パターンの差が判別しにくく、適切なパターン−2をユーザが選択することが困難である。また、仮に適切な値−2が選択された場合であっても、その後出力される画像においては、2つの吐出口列の記録位置には63μm程度のずれが含まれた状態となってしまっている。
【0028】
このような吐出口列内の着弾位置ずれは、記録ヘッド製造時のばらつきや、記録ヘッドをキャリッジに取り付ける際の誤差、記録媒体平面に対する吐出口面の傾きなどによって引き起こされる。よって、記録装置や記録ヘッドにおいては、その製造時や取り付け時に、極力このような誤差が生じないように留意して製造されている。しかしながら、抑制しようとしても発生してしまうわずかな誤差は、求められる高品位な画像に対して十分とは言えない状況のままであり、吐出口列の傾きに起因するこのような問題は、近年の小液滴な吐出を実現するインクジェット記録装置において大きな課題となっていた。
【0029】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、記録装置や記録ヘッドの製造時および取り付け時に生じてしまう吐出口列内のばらつきと、吐出口列間の記録位置のずれによって、複合的に生じる画像劣化を極力抑制するような記録装置および記録位置の調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
そのために本発明においては、記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列の複数を、前記記録媒体に相対的に移動走査することにより画像を形成する記録装置であって、所定の前記記録素子列に含まれる複数の記録素子間の記録位置を調整するための第1の調整値を求める第1の調整手段と、所定の2列以上の前記記録素子列間の記録位置を調整するための第2の調整値を求める第2の調整手段と、前記第1の調整値と前記第2の調整値とを複合させて第3の調整値を求める手段と、を具備し、前記第3の調整値に基づいて前記画像を形成することを特徴とする。
【0031】
また、記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列を、前記記録媒体に対し往復に移動走査することにより画像を形成する記録装置であって、前記記録素子列に含まれる複数の記録素子間の記録位置を調整するための第1の調整値を求める第1の調整手段と、前記記録素子列の往路の移動走査における記録位置と復路の移動走査における記録位置とを調整するための第2の調整値を求める第2の調整手段と、前記第1の調整値と前記第2の調整値とを複合させて第3の調整値を求める手段とを具備し、前記第3の調整値に基づいて前記画像を形成することを特徴とする。
【0032】
また、記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列を、前記記録媒体に対し往復に移動走査することにより画像を形成する記録装置であって、前記記録素子列の記録位置の傾きを補正するために該記録素子列に含まれる複数の記録素子の記録位置を調整するための第1の調整値を求める調整手段と、所定の2列以上の前記記録素子列間の記録位置を調整するための第2の調整値を求める調整手段と、前記第1の調整値と前記第2の調整値とを複合させて第3の調整値を求める手段とを有することを特徴とする。
【0033】
また、記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列の複数を、前記記録媒体に相対的に移動走査することにより画像を形成する記録装置の記録位置調整方法であって、所定の前記記録素子列に含まれる複数の記録素子間の記録位置を調整するための第1の調整値を求める工程と、所定の2列以上の前記記録素子列間の記録位置を調整するための第2の調整値を求める工程と、前記第1の調整値と前記第2の調整値とを複合させて第3の調整値を求める工程とを有することを特徴とする。
【0034】
更に、記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列を、前記記録媒体に対し往復に移動走査することにより画像を形成する記録装置の記録位置調整方法であって、前記記録素子列に含まれる複数の記録素子間の記録位置を調整するための第1の調整値を求める工程と、前記記録素子列の往路の移動走査における記録位置と復路の移動走査における記録位置とを調整するための第2の調整値を求める工程と、前記第1の調整値と前記第2の調整値とを複合させて第3の調整値を求める工程と
を有することを特徴とする。
【0035】
更にまた、記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列を、前記記録媒体に対し往復に移動走査することにより画像を形成する記録装置の記録位置調整方法であって、前記記録素子列の記録位置の傾きを補正するために該記録素子列に含まれる複数の記録素子の記録位置を調整するための第1の調整値を求める工程と、所定の2列以上の前記記録素子列間の記録位置を調整するための第2の調整値を求める工程と、前記第1の調整値と前記第2の調整値とを複合させて第3の調整値を求める工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
以上のような構成をとることにより本発明によれば、吐出口列内の記録位置のばらつきと吐出口列間の記録位置のずれと言う2種類の記録位置のずれを、それぞれ異なる段階で適切に調整することが可能となる。これにより、2種類の異なる要因によって複合的に起こる画像劣化も、抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図1に示したインクジェット記録装置を適用し、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0038】
図9は、本実施形態のインクジェット記録装置における制御の構成を説明するためのブロック図である。図において、305は、メインバスラインである。画像入力部303、画像信号処理部304、中央制御部CPU300といったソフト系の処理手段や、操作部306、回復系制御回路307、ヘッド温度制御回路314、ヘッド駆動制御回路315、主走査方向へのキャリッジ駆動制御回路316、および副走査方向への紙送り制御回路317といったハード系処理手段は、メインバスライン305を介して、互いにアクセス可能になっている。
【0039】
CPU300は、ROM(読み出し専用メモリ)301、RAM(任意のアドレスにアクセスできるメモリ)302、およびEEPROM(電気的消却プログラム可能型読み取り専用メモリ)318を備えている。特にROM301には、CPUが実行する各種プログラムが格納されている。CPU300は、これらメモリ等を利用しつつ、記録装置の制御全般を執り行う。
【0040】
例えば、CPU300は、画像信号処理部304を利用しつつ、画像入力部303から入力されてきた画像データに対して所定の処理を実行する。更に、得られた記録信号に従って、ヘッド駆動制御回路315や各種制御回路を制御する。ヘッド駆動制御回路315は、記録ヘッド313に備えられた個々の記録素子を駆動することにより、各吐出口よりインクを吐出し、記録を実現する。
【0041】
更に、CPU300は、必要に応じてヘッド駆動回路315や回復系制御回路307を制御し、記録ヘッド313の吐出状態を整えるための予備吐出や、回復動作も実行する。回復系制御回路307は、回復系モータ308を駆動する。これにより、記録ヘッドの吐出口から強制的にインクを吸引するためのポンプ311、吐出口からのインク蒸発を抑制するためのキャップ310、および吐出口面の汚れを掃き取るためのブレード309が、それぞれ動作される。
【0042】
記録ヘッド313には、当該記録ヘッド313の温度を検出するためのダイオードセンサ312と、保温ヒータが備えられている。ヘッド温度制御回路314は、ダイオードセンサ312から得られた温度情報に従い、記録ヘッド313の温度を所定の範囲に保つように保温ヒータを制御する。
【0043】
以上説明したインクジェット記録装置を用い、本発明の特徴となる記録位置調整方法および構成について、以下に幾つかの実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0044】
本実施例では、図6に示したように、吐出口列Aおよび吐出口列Bそれぞれに反対方向の傾きθが含まれている記録ヘッドを適用する。このような状態では、記録媒体の搬送方向に平行な直線を記録した場合であっても、記録された紙面上のラインはθの傾きを含み、直線性に乏しい画像になってしまう。
【0045】
図10は、本実施例のインクジェット記録装置における記録位置調整モードを実行する際に、CPU300およびユーザが実行する各工程を説明するためのフローチャートである。記録位置調整モードが開始されると、CPU300は、ステップS1501において、まず第1のチェックパターンを記録する。
【0046】
図11は、本実施例で適用する記録位置調整用の第1のチェックパターンを示した図である。第1のチェックパターンは、1つの吐出口列に含まれる複数の吐出口が記録する位置の傾きを、吐出口列ごとに補正するためのパターンである。図において、パターンAは、吐出口列Aの傾きを補正するためのパターンである。一方、パターンBは、吐出口列Bの傾きを補正するためのパターンである。
【0047】
図12(a)および(b)は、図11のパターンAおよびパターンBをそれぞれ拡大して示した模式図である。本実施例において、調整可能な分解能は1200dpi(約21μmであり)、図においても当該分解能に適応した解像度で各ピクセルが配列している。ここで、黒丸は記録ヘッドによってインクが記録されるピクセル、白丸はインクが記録されないピクセルをそれぞれ示している。本実施例の記録ヘッドでは、各吐出口が吐出するタイミングをグループごとに調整できるようになっている。
【0048】
図13は、1つの吐出口列を複数のグループに分割する例を示した模式図である。2401および2402は、吐出口列を2つのグループに分割する例を示している。この場合、吐出口群2401にはn1〜n6の吐出口が含まれており、吐出口群2402にはn7〜n12の吐出口が含まれている。吐出口群2401と吐出口群2402とは、互いに異なるタイミングでインクの吐出を実行することが出来る。一方、2403〜2405は、吐出口列を3つのグループに分割する例を示している。この場合、吐出口群2403にはn1〜n4の吐出口が、吐出口群2404にはn5〜n8の吐出口が、更に吐出口群2405にはn9〜n12の吐出口が含まれている。
【0049】
図12(a)において、−2〜+2の各パターンは、吐出口群2401あるいは2403を基準とし、他の吐出口群を1ピクセルずつずらしたタイミングで記録している。ここで、+方向は基準の吐出口群に対して、より遅らせたタイミングで記録した状態であり、−方向は基準の吐出口群に対して、より早いタイミングで記録した状態である。図において、パターン0は、各吐出口群においてタイミングをずらさないで同時に吐出した状態を示している。パターン+1および−1は、吐出口群2401に対して吐出口群2402を1ピクセル分ずらして記録した状態を示している。また、パターン+2および−2は吐出口群2403に対して吐出口群2404を1ピクセル分ずらし、吐出口群2405を更に1ピクセル分ずらして記録した状態を示している。図からも確認できるように、吐出口列Aでは+2のパターンで示したグループ分割とタイミングで記録した状態が、最も傾きの少ない良好な画像が得られることになる。
【0050】
なお、図12(b)が示す吐出口列Bのパターンにおいては、傾きの方向が吐出口列Aとは逆であり、2つのピクセル間の距離も補正量に対して反対方向の挙動を示す。すなわち、吐出口列Bでは−2のパターンで示したグループ分割とタイミングで記録した状態が、最も傾きの少ない良好な画像が得られることになる。
【0051】
再び図10に戻るに、ステップS1502において、ユーザは出力された第1のチェックパターンを観察し、パターンAおよびパターンBについて最も傾きの少ないパターンをそれぞれ選択する。すなわち、パターンAについては−2のパターンを、パターンBについては+2のパターンを選択し、その情報を記録装置あるいは記録装置に接続されたホストコンピュータなどから入力する。
【0052】
続くステップS1503において、CPU300は入力された2つの情報を記録装置内のEEPROM318のそれぞれ別の領域に格納する。
【0053】
次に、CPU300はステップS1504において、第2のチェックパターンを記録する。
【0054】
図14は、本実施例で適用する記録位置調整用の第2のチェックパターンを示した図である。第2のチェックパターンは、ステップS1503で格納された情報によって傾きが補正された状態で記録され、この上で吐出口列Aと吐出口列Bの記録位置を調整する。ここでは、吐出口列Aと吐出口列Bの吐出タイミングを段階的に異ならせた9種類のパターンが記録されている。
【0055】
図15は、図14に示した9個のパターンのうち、0〜+2のパターンを拡大して示した模式図である。図において、黒丸は吐出口列Aによってインクが記録されるドット、白丸は吐出口列Bによってインクが記録されるドットをそれぞれ示している。各吐出口列が吐出するタイミングは、第1のチェックパターンによって傾きθの補正がなされた上で、更に1ピクセル単位で調整できるようになっている。ここで、+方向は、吐出口列Aに対して、より遅らせたタイミングで吐出口列Bによる記録を実行した状態を示している。−方向は、吐出口列Aに対して、より早いタイミングで吐出口列Bによる記録を実行した状態を示している。パターン0は2つの吐出口列においてタイミングをずらさないで記録した状態を、パターン+1は吐出口列Aに対して吐出口列Bを1ピクセル分ずらして記録した状態を、更にパターン+2は吐出口列Aに対して吐出口列Bを2ピクセル分ずらして記録した状態を示している。
【0056】
このように各吐出口列内の吐出タイミングを段階的にずらしていくことにより、各吐出口列内の最も離れた位置にある2つのピクセルの距離も段階的に変化する。例えば、パターン0ではd3≒42μmであった距離が、+1のパターンではd2≒21μmに低減し、+2のパターンではd1≒42μmと再び増加している。本例の場合、+1のパターンで示したタイミングで記録した状態が、最も直線性に優れた良好な画像が得られることになる。
【0057】
図14および図15に示した本実施例のパターンは、予め各吐出口列内の傾きが補正された上で記録されている。よって、図7および図8で示した従来のパターンに比べて、直線性に優れたパターンを比較的容易に且つ正確に選出することが出来る。
【0058】
再び図10に戻る。ステップS1505において、ユーザは出力された第2のチェックパターンを観察し、9段階のパターンのうち最も直線性に優れたパターン、すなわち+1のパターンを選択し、その情報を記録装置あるいは記録装置に接続されたホストコンピュータなどから入力する。
【0059】
続くステップS1506において、CPU300は入力された情報を記録装置内のEEPROM318に格納する。ここで格納する領域は、ステップS1503でデータを格納したのとは異なる領域である。以上で、記録位置調整モードが終了する。
【0060】
次回、画像入力部303から記録すべき新たな画像データが入力された場合、CPU300はEEPROM318に格納されている3つの情報を参照する。そして、各吐出口におけるタイミングを設定した上で、ヘッド駆動制御回路を制御して記録を実行する。
【0061】
以上説明したように本実施例によれば、各吐出口列内の傾きを補正した上で、各吐出口列間の記録位置を補正することができる。例えば、図7および図8を用いて説明した従来法の場合、調整後であっても、吐出口列Aと吐出口列Bの最も離れたピクセル間では63μmの距離が置かれていた。これに対し、本実施例によれば、最も離れたピクセル間であっても21μmの距離に収められている。すなわち、本実施例によれば、各吐出口が吐出して記録媒体に形成するドットを、より正確な位置に配置させることが出来るので、より高精細で高品位な記録を実現することが可能となる。更に、従来のようにユーザが調整値の選択に混乱することもないので、誤った情報が入力される恐れも低減される。
【実施例2】
【0062】
以下に、本発明の第2の実施例を説明する。
【0063】
図16は、本実施例で適用する3つの記録ヘッドの吐出口の配列状態を示した模式図である。図において、1601はブラックインクを吐出する記録ヘッド、1602はシアンインクを吐出する記録ヘッド、1603はマゼンタインクを吐出する記録ヘッドである。各記録ヘッドには、n1〜n12の吐出口が1/600インチのピッチで配備し、吐出口列A、BおよびCを構成している。
【0064】
各吐出口からは、約2plのインク滴が約20m/秒の速度で30KHzの周波数で吐出される構成となっている。また、記録ヘッド1601〜1603を並列して搭載したキャリッジは、図のX方向に約25インチ/秒の速度で移動可能であり、これにより記録媒体には、X方向に1200dpiの解像度で記録を行うことが出来る。
【0065】
記録ヘッド1601〜1603は、製造時の誤差により、それぞれの吐出口列に異なった傾きθを含んでいる。例えば、記録ヘッド1601の吐出口列Aにおいては、吐出口n1は吐出口n12に対して、+X方向に約63μmずれた位置に配置されている。また、記録ヘッド1602の吐出口列Bにおいては、吐出口n1は吐出口n12に対して−X方向に約63μmずれた位置に配置されている。この63μmという距離は、1200dpiにおいて約3ピクセル分に相当する。記録ヘッド1603の吐出口列Cにおいては、傾きを含んでおらず、吐出口n1の吐出口n12に対するずれ量は0μmである。吐出口列Aおよび吐出口列Bにおいて、上述のような傾きが存在すると、各色間で色ずれが生じ画像品位を劣化させる。
【0066】
図17は、本実施例のインクジェット記録装置における記録位置調整モードを実行する際に、CPU300およびユーザが実行する各工程を説明するためのフローチャートである。記録位置調整モードが開始されると、CPU300はステップS2501において、まず第1のチェックパターンを記録する。
【0067】
図18は、本実施例で適用する記録位置調整用の第1のチェックパターンを示した図である。第1のチェックパターンは、吐出口列A、吐出口列Bおよび吐出口列Cに含まれる各吐出口が記録する位置を、吐出口列内で補正するためのパターンである。図において、パターンAは吐出口列Aの傾きを補正するためのパターン、パターンBは吐出口列Bの傾きを補正するためのパターン、パターンCは吐出口列Cの傾きを補正するためのパターンである。
【0068】
図19は、パターンCを拡大して示した図である。本実施例において、パターンAおよびパターンBの拡大図は、実施例1と同様の図12(a)および(b)を参照することが出来る。本実施例においても、調整可能な分解能は1200dpi(約21μm)であり、当該分解能に適応した解像度で各ピクセルが配列している。
【0069】
吐出のタイミングを調整するためのグループ分割は、実施例1と同様に、図13に示した模式図を適用することが出来る。図12を参照するに、本実施例においても、吐出口列Aにおいては+2のパターンで示したグループ分割とタイミングで記録した状態が、最も傾きの少ない良好な画像が得られることになる。また、吐出口列Bにおいては−2のパターンで示したグループ分割とタイミングで記録した状態が、最も傾きの少ない良好な画像が得られることになる。
【0070】
吐出口列Cにおいては、傾きを含んでいないので図19に示したように、0のパターンで示した状態、すなわちタイミング補正を行わない状態が、最も良好な画像が得られることになる。
【0071】
再び図17に戻る。ステップS2502において、ユーザは出力された第1のチェックパターンを観察し、パターンA〜Cについて最も傾きの少ないパターンをそれぞれ選択する。すなわち、パターンAについては−2のパターンを、パターンBについては+2のパターンを、パターンCについては0のパターンを選択し、その情報を記録装置あるいは記録装置に接続されたホストコンピュータなどから入力する。
【0072】
続くステップS2503において、CPU300は入力された3つの情報を記録装置内のEEPROM318に格納する。
【0073】
次に、CPU300はステップS2504において、第2のチェックパターンを記録する。
【0074】
図20は、本実施例で適用する記録位置調整用の第2のチェックパターンを示した図である。第2のチェックパターンは、ステップS1503で格納された情報によって傾きが補正された上で、吐出口列Aと吐出口列Bの記録位置を調整するためのパターンである。ここでは、吐出口列Aに対して吐出口列Bの吐出タイミングを段階的に異ならせた9種類のパターン(パターンD)と、吐出口列Aに対して吐出口列Cの吐出タイミングを段階的に異ならせた9種類のパターン(パターンE)が記録されている。
【0075】
本実施例において、パターンDに示した9個のパターンのうち、0〜+2のパターンの拡大図としては、実施例1と同様の図15を参照することが出来る。図15において、黒丸は吐出口列Aによってインクが記録されるドット、白丸は吐出口列Bによってインクが記録されるドットをそれぞれ示している。各吐出口列が吐出するタイミングは、第1のチェックパターンによって傾きθを補正がなされた上で、更に1ピクセル単位で調整できるようになっている。
【0076】
このように各吐出口列内の吐出タイミングを段階的にずらしていくことにより、各吐出口列内の最も離れた位置にある2つのドットの距離も段階的に変化する。本例の場合、+1のパターンで示したタイミングで記録した状態が、吐出口列AとBにおいて、最も直線性に優れた良好な画像が得られることになる。
【0077】
図21は、パターンEに示した9個のパターンのうち、−1〜+1のパターンを拡大して示した模式図である。図において、黒丸は吐出口列Aによってインクが記録されるドット、白丸は吐出口列Cによってインクが記録されるドットをそれぞれ示している。本例において、パターン0ではd2≒10μmであった距離が、+1や−1のパターンではd1≒d3≒31μmに増大してしまっている。すなわち本例の場合、0のパターンで示したタイミングで記録した状態が、最も直線性に優れた良好な画像が得られることになる。
【0078】
図20、図15および図21に示した本実施例の第2のチェックパターンは、予め各吐出口列内の傾きが補正された上で記録されている。よって、図7および図8で示した従来のパターンに比べて、直線性に優れたパターンを比較的容易に且つ正確に選出することが出来る。
【0079】
再び図17に戻るに、ステップS2505において、ユーザは出力された第2のチェックパターンを観察し、9段階のパターンのうち最も直線性に優れたパターンを、パターンDおよびEについてそれぞれ選択する。すなわちパターンDでは+1、パターンEでは0のパターンを選択し、その情報を記録装置あるいは記録装置に接続されたホストコンピュータなどから入力する。
【0080】
続くステップS2506において、CPU300は入力された情報を記録装置内のEEPROM318に格納する。ここで格納する領域は、ステップS2503でデータを格納したのとは異なる領域である。以上で、本実施例の記録位置調整モードが終了する。
【0081】
次回、画像入力部303から記録すべき新たな画像データが入力された場合、CPU300はEEPROM318に格納されている5つの情報を参照する。そして、各吐出口におけるタイミングを設定した上で、ヘッド駆動制御回路を制御して記録を実行する。
【0082】
以上説明したように本実施例によれば、異なる記録ヘッド上にある吐出口列内の傾きを補正した上で、各吐出口列間の記録位置を補正することができる。これにより、従来法に比べて更に高精細に各ドットの記録位置を調整することが可能となる。また、実施例1と同様にユーザが調整値の選択に混乱することもないので、誤った情報が入力される恐れも低減される。
【実施例3】
【0083】
以下に、第3の実施例を説明する。
【0084】
図22は、本実施例で適用する2つの記録ヘッドを示した図である。本実施例では、吐出口列を2列配備した記録ヘッドを、キャリッジに2つ搭載して記録を実行する構成となっている。図において、2601はブラックインクを吐出する吐出口列Aとシアンインクを吐出する吐出口列Bが配備された記録ヘッド、2602はマゼンタインクを吐出する吐出口列Cとイエローインクを吐出する吐出口列Dが配備された記録ヘッドである。各吐出口列には、n1〜n12の吐出口が1/600インチのピッチで配備されている。
【0085】
各吐出口からは、約2plのインク滴が約20m/秒の速度で30KHzの周波数で吐出される構成となっている。また、記録ヘッド2601および2602を並列して搭載したキャリッジは、図のX方向に約25インチ/秒の速度で移動可能であり、これにより記録媒体には、X方向に1200dpiの解像度で記録を行うことが出来る。
【0086】
記録ヘッド2601および2602は、製造時の誤差により、それぞれの吐出口列に異なった傾きθを含んでいる。例えば、記録ヘッド2601の吐出口列Aにおいては、吐出口n1は吐出口n12に対して+X方向に約63μmずれた位置に配置されている。また、吐出口列Bにおいては、吐出口n1は吐出口n12に対して−X方向に約42μmずれた位置に配置されている。更に、吐出口列Cでは吐出口n1は吐出口n12に対して+X方向に約42μm、吐出口列Dでは吐出口n1は吐出口n12に対して−X方向に約63μmずれた位置に配置されている。この63μmという距離は1200dpiにおいて約3ピクセル分、42μmという距離は約2ピクセル分に相当する。2つの記録ヘッドに上述のような傾きが存在すると、各色間で色ずれが生じ画像品位を劣化させる。
【0087】
図23は、本実施例のインクジェット記録装置における記録位置調整モードを実行する際に、CPU300およびユーザが実行する各工程を説明するためのフローチャートである。記録位置調整モードが開始されると、CPU300はステップS4001において、まず第1のチェックパターンを記録する。
【0088】
図24は、本実施例で適用する記録位置調整用の第1のチェックパターンを示した図である。第1のチェックパターンは、吐出口列A、吐出口列B、吐出口列Cおよび吐出口Dに含まれる吐出口が記録する位置を、吐出口列ごとに補正するためのパターンである。図において、パターンAは吐出口列Aの傾きを補正するためのパターン、パターンBは吐出口列Bの傾きを補正するためのパターン、パターンCは吐出口列Cの傾きを補正するためのパターン、およびパターンDは吐出口列Dの傾きを補正するためのパターンである。
【0089】
図25(a)および(b)は、パターンBおよびパターンCを拡大して示した図である。本実施例において、パターンAおよびパターンDの拡大図は、実施例1と同様の図12(a)および(b)を参照することが出来る。本実施例においても、調整可能な分解能は1200dpi(約21μm)であり、当該分解能に適応した解像度で各ピクセルが配列している。
【0090】
吐出のタイミングを調整するためのグループ分割は、実施例1と同様に、図13に示した模式図を適用することが出来る。図12を参照するに、本実施例においても吐出口列Aでは+2のパターンが、吐出口Dでは−2のパターンが、最も傾きの少ない直線に近いパターンとなっている。これに対し、吐出口列BやCでは、図25を参照するに、吐出口列Bでは−1のパターンが、吐出口Cでは+1のパターンが、最も傾きの少なく直線に近いパターンとなっている。
【0091】
再び図23に戻る。ステップS4002において、ユーザは出力された第1のチェックパターンを観察し、パターンA〜Dについて最も傾きの少ないパターンをそれぞれ選択する。すなわち、パターンAについては+2のパターンを、パターンBについては−1のパターンを、パターンCについては+1のパターンを、パターンDについては−2のパターンをそれぞれ選択し、その情報を記録装置あるいは記録装置に接続されたホストコンピュータなどから入力する。
【0092】
続くステップS4003において、CPU300は入力された4つの情報を記録装置内のEEPROM318に格納する。
【0093】
次に、CPU300はステップS4004において、第2のチェックパターンを記録する。
【0094】
図26(a)および(B)は、本実施例で適用する記録位置調整用の第2のチェックパターンを示した図である。第2のチェックパターンは、ステップS4003で格納された情報によって傾きが補正された上で、各吐出口列間の記録位置を調整するためのパターンである。ここでは、吐出口列Aに対して吐出口列Bの吐出タイミングを段階的に異ならせた9種類のパターン(パターンE)、吐出口列Cに対して吐出口列Dの吐出タイミングを段階的に異ならせた9種類のパターン(パターンF)、および吐出口列Aに対して吐出口列Cの吐出タイミングを段階的に異ならせた9種類のパターン(パターンG)が、2ページに渡って記録されている。
【0095】
図27は、パターンEに示した9個のパターンのうち、−2〜0のパターンを拡大して示した模式図である。図において、黒丸は吐出口列Aによってインクが記録されるドット、白丸は吐出口列Bによってインクが記録されるドットをそれぞれ示している。各吐出口列が吐出するタイミングは、第1のチェックパターンによって傾きθの補正がなされた上で、更に1ピクセル単位で調整できるようになっている。
【0096】
このように各吐出口列内の吐出タイミングを段階的にずらしていくことにより、各吐出口列内の最も離れた位置にある2つのピクセルの距離も段階的に変化する。本例の場合、パターン0ではd1≒42μmであった距離が、−1のパターンではd1≒21μmに減少し、−2のパターンではd3≒42μmと再び増加している。すなわち本例の場合、−1のパターンで示したタイミングで記録した状態が、最も直線性に優れた良好な画像が得られることになる。
【0097】
図28は、パターンFに示した9個のパターンのうち、0〜+2のパターンを拡大して示した模式図である。図において、黒丸は吐出口列Cによってインクが記録されるドット、白丸は吐出口列Dによってインクが記録されるドットをそれぞれ示している。本例において、パターン0ではd3≒42μmであった距離が、+1のパターンではd2≒21μmに減少し、+2のパターンではd1≒42μmと再び増加している。すなわち本例の場合、+1のパターンで示したタイミングで記録した状態が、最も直線性に優れた良好な画像が得られることになる。
【0098】
図29は、パターンGに示した9個のパターンのうち、+1〜+3のパターンを拡大して示した模式図である。図において、黒丸は吐出口列Aによってインクが記録されたドット、白丸は吐出口列Cによってインクが記録されたドットをそれぞれ示している。本例において、パターン0では63μmであった距離が、+1のパターンではd3≒42μm、+2のパターンではd2≒21μmと段階的に減少し、+3のパターンではd1≒42μmと再び増加している。すなわち本例の場合、+2のパターンで示したタイミングで記録した状態が、最も直線性に優れた良好な画像が得られることになる。
【0099】
再び図23に戻るに、ステップS4005において、ユーザは出力された第2のチェックパターンを観察し、9段階のパターンのうち最も直線性に優れたパターンを、パターンE、FおよびGについてそれぞれ選択する。すなわちパターンEでは−1、パターンFでは+1、パターンGでは+2のパターンを選択し、その情報を記録装置あるいは記録装置に接続されたホストコンピュータなどから入力する。
【0100】
続くステップS4006において、CPU300は入力された情報を記録装置内のEEPROM318に格納する。ここで格納する領域は、ステップS4003でデータを格納したのとは異なる領域である。以上で、本実施例の記録位置調整モードが終了する。
【0101】
なお、以上のステップでは、A〜Dの4つの吐出口列の内の3組に対する位置合わせ情報が入力されたのみである。例えば、吐出口列AとDの位置合わせや吐出口列BとCの位置合わせは実際に行われていない。しかし、吐出口列の全ての組み合わせの記録位置は、上記で入力した3種類の情報を利用して、相対的に補正することが出来る。例えば、吐出口列Cは吐出口列Aに対して+2の補正が必要で、吐出口列Dは吐出口列Cに対して+1の補正が必要であることが記憶されている。よって、吐出口列Dは吐出口列Aに対して(+2)+(+1)=+3の補正をかければ良いことになる。
【0102】
更に、4種類の吐出口列の記録位置を合わせるための第2のチェックパターンは、図25および図26に示したパターンに限定されるものではない。
【0103】
図30は、本実施例の第2のチェックパターンとして適用可能な別の例を示した図である。ここでは、吐出口列Aに対して吐出口列B、吐出口列Cおよび吐出口列Dの吐出タイミングを段階的に異ならせた9種類のパターンを、それぞれパターンE、パターンFおよびパターンGとして同一ページ内に記録されている。パターンEおよびパターンFの拡大図については、図27および図29と同等である。
【0104】
図31は、本例の第2のチェックパターンにおけるパターンGに示した9個のパターンのうち、+2〜+4のパターンを拡大して示した模式図である。図において、黒丸は吐出口列Aによってインクが記録されたドット、白丸は吐出口列Dによってインクが記録されたドットをそれぞれ示している。本例において、+2のパターンではd3≒42μm、+3のパターンではd1≒21μmと減少し、+4のパターンではd1≒42μmと増加している。すなわち本例の場合、吐出口列Dは吐出口列Aに対し、+3のタイミングで記録する状態が、最も直線性に優れた良好な画像が得られることになる。この値は、上述した図25および図26を用いて算出した補正値と等しい。
【0105】
次回、画像入力部303から記録すべき新たな画像データが入力された場合、CPU300はEEPROM318に格納されている7つの情報を参照する。そして、各吐出口におけるタイミングを設定した上で、ヘッド駆動制御回路を制御して記録を実行する。
【0106】
以上説明したように本実施例によれば、複数の吐出口列を有する複数の記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置において、各吐出口列内の傾きを個々に補正した上で、各吐出口列間の記録位置を補正することができる。これにより、従来法に比べて更に高精細に各ドットの記録位置を調整することが可能となる。また、上述した実施例と同様、ユーザが調整値の選択に混乱することもないので、誤った情報が入力される恐れも低減される。
【0107】
以上説明した3つの実施例では、簡単のために、各吐出口列に12個ずつの吐出口が配列される構成で説明してきた。しかし、より多くの吐出口や更に多くのインク色が用意される形態であっても、本発明および上記実施例の効果は同様に得ることが出来る。例えば、実施例3で説明したシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色以外に、ブルーやレッドのようなインクを用い、更に多くの吐出口列や記録ヘッドを具備する記録装置であっても、本発明は有効である。この場合、第1のチェックパターンにおけるグループ内の吐出口の数や、分割数をより多く設定することも可能である。
【0108】
また、各吐出口から吐出されるインク量や吐出周波数、記録解像度なども上記実施例に示した値に限定されるものではない。2plよりも大きなインク滴も小さなインク滴も本発明に適用することは可能であり、更に吐出するインク量が吐出口列ごとに異なっていても良い。
【0109】
図32は、配列ピッチの異なる2列の吐出口列が配備された記録ヘッドを示している。図において、吐出口列Aは各吐出口が1/600インチの間隔で配列しているが、吐出口列Bでは1/300インチの間隔で配列している。このような場合においても、各吐出口列において、n1〜n12の吐出口を図13で説明した方法でグループに分割することにより、それぞれの吐出口列内での傾きを補正することが出来る。更に、各吐出口列間の位置合わせについては、吐出口列Aの吐出口n1〜n12を、吐出口列Bのn1〜n6近傍に合わせるような構成であれば良い。
【0110】
図33は、吐出口数の異なる2列の吐出口列が配備された記録ヘッドを示している。図において、吐出口列Aでは1/600インチの間隔で12個の吐出口が配列しているが、吐出口列Bでは18個の吐出口が配列している。このような場合であっても、吐出口列Bではn1〜n18の吐出口をn1〜n9とn10〜n18の2つのグループに分割したり、n1〜n6とn7〜n12とn13〜n18の3つのグループに分割したりすることにより、上述した実施例と同様に吐出口列内の傾きを補正することが出来る。
【0111】
図34は、配列ピッチの異なる吐出口列がそれぞれ配備された3つの記録ヘッドを示している。図において、吐出口列Aおよび吐出口列Cは各吐出口が1/600インチで配列しているが、吐出口列Bでは1/300インチの間隔で配列している。このような場合においても、各吐出口列において、n1〜n12の吐出口を図13で説明した方法でグループに分割することにより、それぞれの吐出口列内での傾きを補正することが出来る。更に、各吐出口列間の位置合わせについては、吐出口列Aの吐出口n1〜n12および吐出口列Cのn1〜n12を、吐出口列Bのn1〜n6近傍に合わせるようにすればよい。
【0112】
図35は、吐出口数の異なる吐出口列がそれぞれ配備された3つの記録ヘッドを示している。図において、吐出口列Aおよび吐出口列Cでは1/600インチの間隔で12個の吐出口が配列しているが、吐出口列Bでは18個の吐出口が配列している。このような場合であっても、吐出口列Bではn1〜n18の吐出口をn1〜n9とn10〜n18の2つのグループに分割したり、n1〜n6とn7〜n12とn13〜n18の3つのグループに分割したりすることにより、上述した実施例と同様に吐出口列内の傾きを補正することが出来る。
【0113】
図36は、配列ピッチの異なる吐出口列が2列ずつ配備された2つの記録ヘッドを示している。図において、吐出口列Aおよび吐出口列Cは各吐出口が1/600インチで配列しているが、吐出口列Bおよび吐出口列Dでは1/300インチの間隔で配列している。このような場合においても、各吐出口列において、n1〜n12の吐出口を図13で説明した方法でグループに分割することにより、それぞれの吐出口列内での傾きを補正することが出来る。更に、各吐出口列間の位置合わせについては、吐出口列Aおよび吐出口列Cのn1〜n12を、吐出口列Bおよび吐出口列Dのn1〜n6近傍に合わせるようにすればよい。
【0114】
図37は、吐出口数の異なる2列の吐出口列がそれぞれ配備された2つの記録ヘッドを示している。図において、吐出口列Aおよびと出口列Cでは1/600インチの間隔で12個の吐出口が配列しているが、吐出口列Bおよび吐出口列Dでは18個の吐出口が配列している。このような場合であっても、吐出口列BおよびDではn1〜n18の吐出口をn1〜n9とn10〜n18の2つのグループに分割したり、n1〜n6とn7〜n12とn13〜n18の3つのグループに分割したりすることにより、上述した実施例と同様に吐出口列内の傾きを補正することが出来る。
【0115】
以上のように、配列ピッチや吐出口数がいかなるものであっても、複数の吐出口列を備えた記録装置であれば、本発明の構成および方法は有効に機能する。但し、以上では図13を用いて、複数の吐出口を均等に分割して複数のグループとする形態で説明したが、本発明はこの様な構成に限定されるものでもない。
【0116】
図38(a)および(b)は、図12(a)および(b)で示した第2のチェックパターンの別例を示した模式図である。ここでは、+1および−1のパターンを形成するのに12個の吐出口を2分割する際、n1〜n8の8個の吐出口群とn9〜n12の4個の吐出口群とに分割している。このように、各吐出口群に含まれる吐出口数が必ずしも均等でなくとも、所定の方法で分割された各吐出口群で互いにタイミングをずらしながら吐出を実行することが出来れば、上記実施例と同様の効果を得ることは出来る。
【0117】
ところで、記録位置を1ピクセルずつずらしたチェックパターンを記録するためには、必ずしも上記のような吐出口群単位の分割吐出が必要とされるわけではない。上述したようなチェックパターンは、記録装置あるいは記録装置に接続されたホスト装置のメモリに格納されている。よって、予め1ピクセルずつずれたデータとして格納されていれば、上記記録位置調整モードは正常に機能することが出来る。
【0118】
また、チェックパターンの確認および設定値入力も、必ずしもユーザが行う必要はない。例えば、記録装置内にパターンの状態を検出するための光学センサ等を備えることにより、ユーザによる確認・選択および入力の工程を自動で実行ことが出来る。このようにすれば、入力ミスなどによる画像不良などを更に抑制することが出来る。
【0119】
また、以上の説明では、複数の吐出口列内の傾き補正と各吐出口列間の記録位置合わせを主な目的として説明してきたが、本発明の効果はこのような記録位置のずれのみに対応するものではない。実際の記録装置では更に様々な要因による記録位置のずれが発生する。例えば、背景技術の項でも述べたが、1列の吐出口列のみを用いて往走査と復走査によって画像を形成する場合には、往走査時の記録位置と復走査時の記録位置との間でずれが生じることがある。このような場合であっても、第2のチェックパターンを記録する際に、往走査での吐出タイミングは固定したままで、副走査での吐出タイミングを段階的にずらしていくことにより、上記実施例と同様な第2のチェックパターンが記録可能であり、往復の記録位置も補正することが出来る。
【0120】
更に、記録位置合わせの精度についても、上記実施例では記録解像度における1ピクセル単位で発生する記録位置ずれを1ピクセル単位で補正するものとしたが、本発明はこれに限ったものではない。実際の記録位置ずれは1ピクセル単位で発生するものでも無く、1ピクセル以下のずれが画像に影響を及ぼすこともある。このような場合であっても、何らかの手段によって更に高精細な精度(例えば1/2ピクセル単位や1/3ピクセル単位等)で上記と同様な位置合わせを行うことが可能であれば、更に良好な画像を期待することができる。
【0121】
また、以上では、チェックパターンの具体例として、各吐出口列が記録する罫線の直線性を確認するようなパターンを適用したが、本発明はこれに限定されるものではない。記録位置のずれや傾きを判別するためのテストパターンは、従来いくつものパターンが既に考案されている。どのようなパターンであっても、適切な記録位置を判別するために有効に機能出来れば、本発明に適用することはできる。本発明の特徴は、各吐出口列内の傾きと各吐出口列間の記録位置のような、種類の異なる記録位置ずれが、異なる段階で順次補正されることである。よって、それぞれの補正において異なる特徴を有するチェックパターンが適用されていても、また各吐出口列間の記録位置が各吐出口列内の傾きに先立って補正されていても、本発明の効果になんら変わりはない。それぞれの段階で求められた補正値に基づいて、最終的に適正な補正値が求められていれば、本発明の範疇に含まれるものである。
【0122】
なお、以上では、1つの吐出口列が記録した画像における記録媒体での記録位置の傾きは、記録ヘッドに配備された吐出口列の傾きθによって起因するとして説明してきた。しかし実際には、更に様々な要因によって、このような傾きは招致されている。
【0123】
図39(a)および(b)は、記録媒体で傾きθを発生させる別の要因を説明するための模式図である。図において、102は記録ヘッドであり、記録媒体3501に対しX方向に移動走査しながら−Z方向にインクを吐出する。このとき、記録媒体に対する記録ヘッドの取り付け位置が、図39(a)のように傾いていた場合、同一の吐出口列内であってもその吐出口が配置する位置によって、記録媒体3501までの距離(以下、紙間距離と称す)が異なっている。図において、最も左に位置する吐出口の紙間距離をZ1、最も右に位置する吐出口の紙間距離をZ2とすると、Z1>Z2となっている。このような状態においては、各吐出口から等しいタイミングでインクを吐出しても、記録媒体3501にインク滴が到達するタイミングにはずれが生じる。すなわち、より紙間距離が大きい吐出口によって吐出されたインク滴3502は、より紙間距離が小さい吐出口によって吐出されたインク滴3503よりも遅れて記録媒体に着弾する。吐出の際、記録ヘッド102はX方向に等速に移動走査しているので、この着弾タイミングのずれは、図39(b)に示すように、吐出口列にあたかも傾きが含まれているようなX方向に対する記録位置のずれとなって現れる。
【0124】
図40は、記録媒体で傾きθを発生させる更に別の要因を説明するための模式図である。図において、記録ヘッド102は、記録媒体3501に対しX方向に移動走査しながら−Z方向にインクを吐出する。図では、同一吐出口列内の各吐出口間において、吐出のスピードにばらつきが含まれている状態を示している。図の左端に位置する吐出口から吐出されたインク滴3504が最も遅いスピードで吐出され、右端に位置する吐出口から吐出されたインク滴3505が最も早いスピードで吐出されている。このような場合、各吐出口に対する紙間距離が一定であったとしても、記録媒体3501にインク滴が到達するタイミングは異なることになる。すなわち、より吐出スピードが遅いインク滴3504は、吐出スピードが速いインク滴3505よりも遅れて記録媒体に着弾する。吐出の際、記録ヘッド102はX方向に等速に移動走査しているので、この着弾タイミングのずれは、図39(b)に示すように、吐出口列にあたかも傾きが含まれているようなX方向に対する記録位置のずれとなって現れる。
【0125】
図41は、記録媒体で傾きθを発生させる更に別の要因を説明するための模式図である。図において、3201および3202は記録ヘッドであり、図のような傾きを有する状態で記録装置の本体に固定されている。このように、それぞれの吐出口列自体は記録ヘッドに対して傾きを有していない状態であっても、記録装置に記録ヘッドを固定する際に傾きを発生させてしまう場合もある。
【0126】
記録媒体に形成される画像において傾きθが発生する要因が、例えば図39、図40および図41で説明したいかなる要因に因るものであっても、上記実施例で説明した方法は有効に機能することが出来る。
【0127】
なお、以上の説明では、特に本発明が目的とする課題に対して本発明の効果が顕著に現れやすいことから、インクを滴として吐出するインクジェット記録装置を例に説明してきた。しかし、本発明はこのような記録方式に限定されるものではない。記録媒体に色材を付与することが可能な記録素子が複数配列した記録ヘッドを用い、ドットマトリクス方式によって記録媒体に画像を形成する記録装置であれば、記録剤を付与する手段がいかなるものであっても、本発明は有効でありその効果を得ることは出来る。以上の実施例では、インクを滴として吐出可能な吐出口を1つの記録素子として、また複数の吐出口が配列して形成された吐出口列を記録素子列として説明したに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】一般的なインクジェット記録装置の内部機構を説明するための斜視図である。
【図2】記録ヘッドにおける2色分の吐出口の配列状態を説明するための模式図である。
【図3】従来の記録位置調整モードを実施する際に、インクジェット記録装置およびユーザが実行する各工程を説明するためのフローチャートである。
【図4】従来の記録位置調整モードにおけるチェックパターンの一例を示した図である。
【図5】図4で示した9種類のパターンのうち、+2ピクセル〜0ピクセルまでのパターンを拡大して示した図である。
【図6】2列の吐出口列にそれぞれ傾きθを有する記録ヘッドを示した図である。
【図7】図6で示した記録ヘッドを用いて図4と同様のチェックパターンを記録した記録状態を示した図である。
【図8】図7で示した9種類のパターンのうち、−1ピクセル〜−3ピクセルまでのパターンを拡大して示した図である。
【図9】本発明の実施形態に適用可能なインクジェット記録装置における制御の構成を説明するためのブロック図である。
【図10】実施例1のインクジェット記録装置における記録位置調整モードを実行する際に、CPUおよびユーザが実行する各工程を説明するためのフローチャートである。
【図11】実施例1で適用する記録位置調整用の第1のチェックパターンを示した図である。
【図12】(a)および(b)は、図11のパターンAおよびパターンBをそれぞれ拡大して示した模式図である。
【図13】1つの吐出口列を複数のグループに分割する例を示した模式図である。
【図14】実施例1で適用する記録位置調整用の第2のチェックパターンを示した図である。
【図15】図14に示した9個のパターンのうち、0〜+2のパターンを拡大して示した模式図である。
【図16】実施例2で適用する3つの記録ヘッドの吐出口の配列状態を示した模式図である。
【図17】実施例2のインクジェット記録装置における記録位置調整モードを実行する際に、CPUおよびユーザが実行する各工程を説明するためのフローチャートである。
【図18】実施例2で適用する記録位置調整用の第1のチェックパターンを示した図である。
【図19】図18で示したチェックパターンにおける、パターンCを拡大して示した図である。
【図20】実施例2で適用する記録位置調整用の第2のチェックパターンを示した図である。
【図21】図20のパターンEに示した9個のパターンのうち、−1〜+1のパターンを拡大して示した模式図である。
【図22】実施例3で適用する2つの記録ヘッドを示した図である。
【図23】実施例3のインクジェット記録装置における記録位置調整モードを実行する際に、CPUおよびユーザが実行する各工程を説明するためのフローチャートである。
【図24】実施例3で適用する記録位置調整用の第1のチェックパターンを示した図である。
【図25】(a)および(b)は、図24のパターンBおよびパターンCを拡大して示した図である。
【図26】(a)および(B)は、実施例3で適用する記録位置調整用の第2のチェックパターンを示した図である。
【図27】図26のパターンEに示した9個のパターンのうち、0〜−2のパターンを拡大して示した模式図である。
【図28】パターンFに示した9個のパターンのうち、0〜+2のパターンを拡大して示した模式図である。
【図29】パターンGに示した9個のパターンのうち、+1〜+3のパターンを拡大して示した模式図である。
【図30】実施例3の第2のチェックパターンとして適用可能な別の例を示した図である。
【図31】図30に示したパターンGに示した9個のパターンのうち、+2〜+4のパターンを拡大して示した模式図である。
【図32】本発明に適用可能な配列ピッチの異なる2列の吐出口列が配備された記録ヘッドの模式図である。
【図33】本発明に適用可能な配列ピッチと吐出口数の異なる2列の吐出口列が配備された記録ヘッドの模式図である。
【図34】本発明に適用可能な配列ピッチの異なる吐出口列がそれぞれ配備された3つの記録ヘッドの模式図である。
【図35】本発明に適用可能な配列ピッチと吐出口数の異なる吐出口列がそれぞれ配備された3つの記録ヘッドの模式図である。
【図36】本発明に適用可能な配列ピッチの異なる吐出口列が2列ずつ配備された2つの記録ヘッドの模式図である。
【図37】本発明に適用可能な配列ピッチと吐出口数の異なる2列の吐出口列がそれぞれ配備された2つの記録ヘッドの模式図である。
【図38】(a)および(b)は、第2のチェックパターンの別例を示した模式図である。
【図39】(a)および(b)は、記録媒体で傾きθを発生させる別の要因を説明するための模式図である。
【図40】記録媒体で傾きθを発生させる更に別の要因を説明するための模式図である。
【図41】記録媒体で傾きθを発生させる更に別の要因を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0129】
101 インクカートリッジ
102 記録ヘッド
103 紙送りローラ
104 拍車
105 給紙ローラ対
106 キャリッジ
300 CPU
301 ROM
302 RAM
303 画像入力部
304 画像信号処理部
305 メインバスライン
306 操作部
307 回復系制御回路
308 回復系モータ
309 ブレード
310 キャップ
311 ポンプ
312 ダイオードセンサ
313 記録ヘッド
314 ヘッド温度制御回路
315 ヘッド駆動制御回路
316 キャリッジ駆動制御回路
317 紙送り制御回路
318 EEPROM
2401〜2405 吐出口群
3501 記録媒体
3502〜3505 インク滴
20 インターフェース
21 MPU
22 ROM
23 DRAM
24 ゲートアレイ
25 モータドライバ
26 モータドライバ
27 ヘッドドライバ
40 紙幅センサ
50 ダイオードセンサ




 

 


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