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発明の名称 記録装置およびその制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15260(P2007−15260A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−200145(P2005−200145)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一
発明者 川床 徳宏 / 浜▲崎▼ 雄司 / 坂本 敦 / 杉本 朱 / 神田 英彦 / 筑間 聡行 / 森山 次郎
要約 課題
記録速度の低下やコストアップを伴うことなしに、広い範囲の記録位置ずれを、より精度の高い状態で補正することが可能な記録位置制御方法を提供する。

解決手段
記録装置の記録解像度と等しい精度で記録位置を補正する第1補正手段と、記録解像度よりも高い精度で記録解像度の1画素に対応する領域の範囲内で記録位置を補正する第2補正手段とを具備する。すなわち、1画素以上の広い範囲の記録位置ずれを第1補正手段によって補正しつつ、1画素未満の細かい記録位置ずれを第2補正手段によって補正することが出来るので、広い範囲の記録位置ずれを、より精度の高い状態で補正することが可能となる。
特許請求の範囲
【請求項1】
記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列を、前記記録媒体に相対的に移動走査することにより所定の記録解像度で画像を形成する記録装置であって、
前記所定の記録解像度と等しい精度で前記記録媒体における記録位置を補正する第1補正手段と、
前記所定の記録解像度よりも高い精度で前記記録媒体における記録位置を前記所定の記録解像度の1画素に対応する領域の範囲内で補正する第2補正手段と
を具備することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録位置の補正量を取得する手段と、
該補正量を前記第1の補正手段と前記第2の補正手段とに振り分ける手段と
を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記第1の補正手段は、画像データが格納されるメモリを制御することにより、前記記録媒体における記録位置を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記第2の補正手段は、前記1画素に対応する領域の範囲内で、前記記録素子から前記記録媒体に色材を付与するタイミングを調整する手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の記録装置。
【請求項5】
前記タイミング調整手段は、前記1画素に対応する領域をN(Nは2以上の整数)分割して形成された複数の分割領域のうち、1つを選択することによって前記記録媒体に色材を付与するタイミングを調整することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記記録素子列に配列する複数の記録素子は、該記録素子の配列領域ごとに複数の記録素子群に分割されており、前記第1の補正手段および前記第2の補正手段の少なくとも一方は、個々の前記記録素子群を補正するための最小単位とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の記録装置。
【請求項7】
前記記録媒体の同一の領域に対して前記記録素子列を相対的に移動走査する複数回の記録走査と、前記記録素子群に含まれる複数の記録素子の配列領域に相当する量だけ、前記記録媒体を搬送する搬送動作とを間欠的に繰り返すことによって画像を形成することを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
異なる色材を付与する複数の前記記録素子列を用いて前記記録媒体に画像を形成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の記録装置。
【請求項9】
複数の前記記録素子列のうち、所定の色材を付与する記録素子列が形成する画像の記録位置に対してのみ、前記第1補正手段および前記第2の補正手段による補正を施すことを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
記録媒体の種類、記録モード、および記録位置のずれの程度によって、前記第1補正手段および前記第2の補正手段のそれぞれの補正の実施・非実施を設定することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の記録装置。
【請求項11】
記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列を、前記記録媒体に相対的に移動走査することにより所定の記録解像度で画像を形成する記録装置の記録位置制御方法であって、
前記所定の記録解像度と等しい精度で前記記録媒体における記録位置を補正する第1補正工程と、
前記所定の記録解像度よりも高い精度で前記記録媒体における記録位置を前記所定の記録解像度の1画素に対応する領域の範囲内で補正する第2補正工程と
を有することを特徴とする記録位置制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の記録素子を配列した記録手段から記録媒体に記録剤を付与し、画像を形成する記録装置に関し、特に記録素子の記録位置ずれを調整するための方法および構成に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の機能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワードプロセッサ等を含む複合型電子機器やワークステーションなどの出力機器として用いられる記録装置は、画像情報(文字情報等を含む)に基づいて用紙やプラスチック薄板等の記録媒体に画像(文字等を含む)を記録する。このような記録装置は、記録方式により、インクジェット式、ワイヤドット式、サーマル式、レーザービーム式等に分類することができる。このうち、インクジェット式の記録装置(インクジェット記録装置)は、記録手段(記録ヘッド)から記録媒体にインクを吐出して記録を行うものであり、他の記録方式に比べて高精細化が容易でしかも静粛性に優れた状態で高速記録が可能で、かつ安価であるという数々の優れた特徴を有する。よって、インクジェット記録装置は、今やオフィスからパーソナルユースまで及ぶ幅広い範囲で普及している。
【0003】
一般に、インクジェット記録装置では、インク吐出口とこれにインクを供給するための液路を備えた記録素子を複数集積配列してなる記録ヘッドを用いている。さらにカラー画像に対応するために、このような記録ヘッドを複数色分備えているものも多い。
【0004】
インクジェット記録装置は、一般に、その記録動作の違いからシリアル型のものとライン型のものとに分類される。シリアル型の記録装置では、記録媒体に対して記録ヘッドを移動走査しながら画像を形成する主記録走査と、主記録走査とは交差する方向に記録媒体を搬送する副走査とを間欠的に繰り返すことにより画像が形成される。一方、ライン型の記録装置では、記録媒体の記録幅に応じた多数の記録素子が配列された記録ヘッドが固定的に配備されており、当該記録ヘッドによる記録を実行しつつ、記録媒体が記録素子の配列方向とは異なる方向へ所定の速度で移動走査することにより画像が形成される。
【0005】
ライン型の記録装置は、高速な記録は可能であるが装置自体が大型なものとなりやすい。これに対し、シリアル型の記録装置は、小型の記録ヘッドを用いながらも様々なサイズの記録媒体に対応可能であり、同一画像領域に対する記録走査回数や主走査方向を変更することにより、ユーザの好みに応じて様々な記録速度や画像品位に対応可能である。よって、近年ではシリアル型のインクジェット記録装置が特にパーソナルユース向けに広く普及している。
【0006】
しかしながら、シリアル型のインクジェット記録装置には、それ特有の問題も含有している。
【0007】
図1(a)および(b)は、インクジェット記録装置に搭載する記録ヘッドにおける、製造誤差の例を説明するための模式図である。両図において、1401は記録ヘッドである。記録ヘッド1401は、インクを吐出するための吐出口1403を複数備えたチップ1402が複数を貼りあわせて形成されている。図1(a)は、誤差のない状態で製造された理想的な記録ヘッドが示されている。これに対し、図1(b)は、複数のチップ1402が、記録ヘッド1401に対し傾きを持った状態で貼り付けられてしまった例を示している。記録を実行する際、記録ヘッド1401の各吐出口1403は、画像信号に応じて所定の周波数でインクを吐出しながら図の主走査方向に一定速度で移動走査する。そして、1回分の記録主走査が完了すると、記録媒体が記録ヘッドの記録幅に応じた分だけ図の副走査方向に搬送される。
【0008】
図2(a)および(b)は、上記のような傾きを有する記録ヘッドを用いた場合の画像問題を説明するための図である。ここでは、副走査方向に延びる罫線を記録した場合が示されている。記録ヘッド1401に配列する複数の吐出口1403の配列状態に傾きが存在せず、記録が正常に行われた場合、図2(a)のように、副走査方向に延びる真っ直ぐな罫線が記録される。これに対し、例えば、図1(b)のように各チップ1402が傾いて配置されてしまった場合、各記録走査で記録される罫線も傾きを有し、連続する記録走査では罫線のつなぎ部分が連結されていない、切れ切れの状態になってしまう。
【0009】
このような現象は、記録装置本体に対する記録ヘッドの傾きのみによって発生するものではない。記録ヘッドや記録装置の製造時には、どうしてもある程度の誤差が含まれており、記録した結果においても様々なばらつきが含まれている。図2(b)に示したような罫線が傾く現象は、記録媒体面に対する記録ヘッドの吐出口面の傾き、記録ヘッド上に配列する記録素子列の傾き、各記録素子列から吐出されるインク滴の吐出速度のばらつきなど、様々な要因によっても発生する。
【0010】
図3(a)〜(c)は、記録媒体面に対する記録ヘッドの吐出口面の傾きに起因して、図2(b)のような罫線ずれが発生する例を説明するための模式図である。図3(a)は、記録媒体1503に対して記録ヘッド1401が傾きを有さない状態を示している。1506は記録ヘッドを搭載するキャリッジであり、キャリッジ軸1507に案内支持されながら図面の垂直方向に移動走査する。キャリッジ1506の移動走査に伴い、記録ヘッド1401からは、同一のタイミングでインク滴が吐出される。図3(a)の状態では記録ヘッド1402の吐出口面と記録媒体1503とは平行であるので、吐出口面に配列する複数の吐出口においては、各吐出口から記録媒体1503への距離が等しい。よって、同一のタイミングで吐出された複数のインク滴は、ほぼ同一のタイミングで記録媒体1503に着弾する。すなわち、図において最も左端の吐出口から吐出されたインク滴1501も最も右端から吐出されたインク1502滴も、ほぼ同時に記録媒体1503に着弾し、図3(c)の1504のように、副走査方向に平行な罫線が記録される。
【0011】
図3(b)は、キャリッジ1506がキャリッジ軸1507を中心軸として、傾いて取り付けられてしまった状態を示している。この場合、記録媒体1503に対する記録ヘッド1401の吐出口面も傾きを有する結果となり、吐出口面に配列する複数の吐出口においては、各吐出口から記録媒体1503への距離に格差が生じる。すなわち、図において最も左端の吐出口から吐出されたインク滴1501は最も右端から吐出されたインク滴1502よりも遅れたタイミングで記録媒体に着弾する。吐出を実行する際、キャリッジ1506は図面垂直方向に移動走査しているので、この着弾タイミングのずれは、図3(c)の1505に示すように、吐出口列にあたかも傾きが含まれているようなずれとなって現れる。
【0012】
図4は、個々の吐出口からの吐出速度に起因して、図2(b)のような罫線ずれが発生する例を説明するための模式図である。記録ヘッド1402には複数の記録素子が同様な条件で構成されているが、個々の記録素子で損失される駆動電力や個々の記録素子内に配備された材質には、ある程度のばらつきが含まれていることもある。そして、このようなばらつきが、各記録素子の吐出口からインクが吐出される際の吐出速度の差となって現れる場合がある。図では、最も左端に位置する吐出口から吐出されるインク滴1601の速度が最も遅く、右端に向かうにつれて吐出速度が徐々に大きくなっていく状態を示している。このような場合、最も左端の吐出口から吐出されたインク滴1601は最も右端から吐出されたインク滴1602よりも遅れたタイミングで記録媒体1503に着弾する。吐出を実行する際、キャリッジ1401は図面垂直方向に移動走査しているので、この着弾タイミングのずれは、図3(c)の1505に示すように、吐出口列にあたかも傾きが含まれているようなずれとなって現れる。
【0013】
以上、図1〜図4に示したように、様々な要因によって記録した罫線に傾きが生じてしまう。また、このような記録の位置ずれは、図2に示したような罫線を記録する場合のみならず、様々な状況において新たな画像弊害を誘発する。
【0014】
例えば、シリアル型のインクジェット記録装置では、記録走査ごとに現れるつなぎすじを低減したり各吐出口のばらつきに起因する濃度むらを低減したりするために、マルチパス記録方法という手法が採用されることがある。マルチパス記録方法では、同一の画像領域に記録すべきデータを、互いに補完関係にある複数のパターンに分割し、複数回の記録走査によって段階的に画像を形成する。各記録走査の間には記録ヘッドの記録幅よりも短い量の記録媒体の搬送を行うので、主走査方向に配列するラインは複数種類の記録素子によって形成される。よって、各記録素子の記録特性が画像全体に分散され、画像全体が滑らかになるのである。
【0015】
但し、マルチパル記録方法を採用した場合であっても、上述したような傾きが含まれていると、各記録走査で補完されるべきデータにずれが生じ、テキスチャーのような新たな画像弊害が引き起こされることもある。
【0016】
更に、カラー画像を形成するための複数の記録ヘッドを並列して配備した記録装置においては、記録ヘッドごとに上記傾きの度合いが異なる場合もあり、これに起因して色むらが発生したり、粒状性(視認した際のざらつき感)が悪化したりする場合もある。
【0017】
以上説明したように、シリアル型のインクジェット記録装置においては、傾きに起因する画像弊害が、従来から大きな課題の1つとなっていた。そして、このような傾きに対応するための様々な対策も、既にいくつか提案、実施されている。
【0018】
例えば特許文献1には、記録ヘッドの回転によって発生する記録位置の誤差を低減するために、各吐出口が記録する画像データに対しオフセットを付加する誤差修正回路を備えたインクジェットプリントシステムが開示されている。また、特許文献2には、記録ヘッド上に配列する複数の吐出口列を複数のブロックに分割し、傾きに応じて各ブロックの吐出の順番や吐出の間隔を調整するようなインクジェット記録装置が開示されている。更に、特許文献3には、記録ヘッドの傾きによって生じる各記録走査のつなぎ部における記録位置のずれを補正するために、最上部の吐出口による記録位置と最下部の吐出口による記録位置とのずれ量からオフセット量を設定し、吐出口の一部については当該オフセット量に基づいた量だけデータをずらして記録する方法が開示されている。更にまた、特許文献4には、記録ヘッドの傾きに応じて、各吐出口が記録するデータの割り当てを変更する手段を有するインクジェット記録装置が開示されている。
【0019】
【特許文献1】特開平7−309007号公報
【特許文献2】特開平7−40551号公報
【特許文献3】特開平11−240143号公報
【特許文献4】特開2004−9489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上記特許文献に記載の方法を採用した場合であっても、上記問題の十分な解決には至らなかったり新たな別の問題を併発してしまったりすることが多く、確実で実用的な傾き補正は実現されてはいなかった。
【0021】
例えば、特許文献1には、傾きによる誤差を修正するため、記録ヘッド内を二つ以上のノズル群(吐出口群)に分割し、第1のノズル群に対し、第2のノズル群をオフセットさせて(すなわちタイミングをずらして)記録させるインクジェットプリントシステムが開示されている。上記オフセットを実現させるための方法としては、「第2のノズル群が吐出するための駆動信号を第1のノズル群に対して、遅延して(あるいは早めて)発生させる方法」と、「第2のノズル群が記録するデータのアドレスをずらして作成する方法」とが実施例中にて開示されている。しかし、前者の場合には、それぞれのノズル群に対する駆動信号伝達手段が新たに必要となってコストアップを伴うばかりか、「ずらし量の最大値は隣接画素のデータ信号が入力されるまで」と言う制限も加えられている。一方、後者の場合はずらし量の制限はなくなるが、より精度の高い補正を実行しようとすると、記録データの解像度をより高く設定する必要が生じ、画像データ量が莫大なものとなってしまう問題が懸念されていた。
【0022】
また、特許文献2では、1つのノズル列内に配列する個々のノズルの吐出が、複数に分割されたブロック単位で実行されていることを利用して、傾きに応じて駆動するブロックの順番やブロック間の駆動間隔を変更する内容が開示されている。しかし、本方法であっても、特許文献1の場合と同様に「ずらし量の最大値は隣接画素のデータ信号が入力されるまで」と言う制限が加えられるため、補正可能な範囲も1画素以内に抑えられてしまっている。
【0023】
更に、特許文献3においては、傾きの程度を記録走査間の先端ノズルと後端ノズルの記録位置ずれ量から判断し、その値に応じて、一部のノズルが記録すべきデータにオフセットをかけて記録する方法が開示されている。また、特許文献4においても、記録ヘッドの傾き量に応じて、個々のノズルに割当てられる記録データを可変とする方法が開示されている。しかし、特許文献3および特許文献4のどちらの方法においても、1画素単位の精度でしか補正をかけることが出来ない。
【0024】
すなわち、上記特許文献のいずれを採用した場合であっても、傾きを補正する直接的な手段は、個々の記録素子(ノズル)を駆動するタイミングを1画素以内で調整するか、あるいは1画素単位で記録データのアドレスをシフトするかの、どちらか一方であった。そして、前者の場合には1画素以上に渡るずれには対応することが出来なかった。後者の場合には1画素単位の精度でしか補正を行うことが出来なかった。後者の場合には、1画素の大きさを小さくするために記録解像度を高める方法もある。しかし求められる画像品位以上に記録解像度を上げることは、画像データを膨大化し、記録速度の低下や記録装置のコストアップを招致してしまうので、あまり現実的な方法とは言えなかった。
【0025】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、記録速度の低下やコストアップを伴うことなしに、広い範囲の傾きを、より精度の高い状態で補正することが可能なインクジェット記録装置およびインクジェット記録装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
そのために本発明においては、記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列を、前記記録媒体に相対的に移動走査することにより所定の記録解像度で画像を形成する記録装置であって、前記所定の記録解像度と等しい精度で前記記録媒体における記録位置を補正する第1補正手段と、前記所定の記録解像度よりも高い精度で前記記録媒体における記録位置を前記所定の記録解像度の1画素に対応する領域の範囲内で補正する第2補正手段とを具備することを特徴とする。
【0027】
また、記録媒体に色材を付与する記録素子が複数配列して構成される記録素子列を、前記記録媒体に相対的に移動走査することにより所定の記録解像度で画像を形成する記録装置の記録位置制御方法であって、前記所定の記録解像度と等しい精度で前記記録媒体における記録位置を補正する第1補正工程と、前記所定の記録解像度よりも高い精度で前記記録媒体における記録位置を前記所定の記録解像度の1画素に対応する領域の範囲内で補正する第2補正工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、1画素以上の広い範囲の記録位置ずれを第1補正手段によって補正しつつ、1画素未満の細かい記録位置ずれを第2補正手段によって補正することが出来るので、広い範囲の記録位置ずれを、より精度の高い状態で補正することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(インクジェット記録装置の基本構成)
図5は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置の要部を説明するための概略構成図である。図において、記録装置の外装部材内に収納されたシャーシM3019は、所定の剛性を有する複数の板状金属部材によって構成されており、記録装置の骨格を成し、以下に示す各記録動作機構を保持する役割を果たす。自動給送部M3022は、用紙(記録媒体)を装置本体内へと自動的に給送する。搬送部M3029は、自動給送部M3022から1枚ずつ送出される記録媒体を、LFローラ3001の回転によって所定の記録位置へと導くと共に、その記録位置から更に排出部M3030へと導く。矢印Yは、記録媒体の搬送方向(副走査方向)である。記録位置に位置決めされた記録媒体は、記録部によって所望の記録が行われる。また、記録部に対しては、回復部M5000によって回復処理が行われる。M2015は記録ヘッドの吐出口面と記録媒体との距離(以後、紙間と称す)を段階的に調整するための紙間調整レバー、M3006はLFローラM3001の軸受けである。
【0030】
記録部において、キャリッジM4001は、キャリッジモータE0001の駆動に伴い、キャリッジ軸M4021の案内支持の下、矢印Xの主走査方向に移動可能になっている。また、キャリッジM4001には、インクを吐出可能なインクジェット方式の記録ヘッドH1001(図6参照)が着脱可能に搭載される。
【0031】
図6は、記録ヘッドH1001に対し、複数色分のインクタンクH1900を装着する様子を示している。本実施形態においては、記録ヘッドH1001と6色分のインクタンクH1900によって、記録ヘッドカートリッジH1000が構成されている。本実施形態においては、写真調の高画質なカラー記録を可能とするために、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ、シアン、マゼンタおよびイエローの各色独立のインクタンクが用意されている。これらのインクタンクH1900のそれぞれは、記録ヘッドH1001に対して着脱自在となっており、記録に伴って消費されるインクを記録ヘッドに供給している。
【0032】
再び図5に戻る。記録ヘッドカートリッジH1000がキャリッジM4001に装着されると、不図示のメイン基板に接続されたフレキシブルケーブルE0012を介して、記録に必要なヘッド駆動信号が記録ヘッドに転送される。記録ヘッドに配備された個々の記録素子がインクを吐出するための方法はいかなるものでもよいが、本実施形態の記録ヘッドでは、個々の記録素子に電気熱変換素子が配備された構成とする。そして、当該電気熱変換素子に電圧パルスとしての駆動信号を印加すると、電気熱変換素子は急激に発熱し、これに接するインク内には膜沸騰が生じ、発生した気泡の成長エネルギによって吐出口からインクが押し出される仕組みとなっている。
回復部M5000には、記録ヘッドH1001のインク吐出口の形成面をキャップするキャップ(図示せず)が備えられている。このキャップには、その内部に負圧を導入可能な吸引ポンプを接続してもよい。その場合には、記録ヘッドH1001のインク吐出口を覆ったキャップ内に負圧を導入して、インク吐出口からインクを吸引排出させることにより、記録ヘッドH1001の良好なインク吐出状態を維持すべく回復処理(「吸引回復処理」ともいう)を実行することができる。また、キャップ内に向かって、インク吐出口から画像の記録に寄与しないインクを吐出させることによって、記録ヘッドH1001の良好なインク吐出状態を維持すべく回復処理(「吐出回復処理」ともいう)をすることができる。
【0033】
また、キャリッジM4001には、所定の装着位置に記録ヘッドH1001を案内するためのキャリッジカバーM4002が設けられている。さらに、キャリッジM4001には、記録ヘッドH1001のタンクホルダーと係合して、記録ヘッドH1001を所定の装着位置にセットさせるヘッドセットレバーM4007が設けられている。ヘッドセットレバーM4007は、キャリッジM4001の上部に位置するヘッドセットレバー軸に対して回動可能に設けられており、記録ヘッドH1001と係合する係合部には、ばね付勢されるヘッドセットプレート(不図示)が備えられている。そのばね力によって、ヘッドセットレバーM4007は、記録ヘッドH1001を押圧しながらキャリッジM4001に装着する。
【0034】
図7は、このような記録装置における制御系の構成を説明するためのブロック図である。図において、CPU100は、本実施形態のインクジェット記録装置の動作の制御処理やデータ処理等を実行する。ROM101は、それらの処理手順等のプログラムが格納され、またRAM102は、それらの処理を実行するためのワークエリアなどとして用いられる。記録ヘッドH1001からのインクの吐出は、電気熱変換素子を印加するための駆動データ(記録データ)および駆動制御信号(ヒートパルス信号)を、CPU100がヘッドドライバH1001Aに供給することにより行われる。CPU100は、キャリッジM4001を主走査方向に駆動するためのキャリッジモータE0001を、モータドライバ103Aを介して制御する。また、記録媒体を副走査方向に搬送するためのP.F.モータ104を、モータドライバ104Aを介して制御する。
【0035】
以上のような構成のインクジェット記録装置によって記録を行う場合、CPU100は、まずホスト装置200から外部I/Fを通して入力されてきた記録データをRAM102内に設けられたプリントバッファに一旦格納する。そして、キャリッジモータE0001によってキャリッジM4001と共に記録ヘッドH1001を主走査方向に移動させつつ、記録データに基づいた駆動信号をヘッドドライバに転送する。1回の記録主走査が終了すると、CPU100はP.Fモータ104によって記録媒体を所定量搬送する。以上の主記録走査と搬送動作とを繰り返すことによって、プリントバッファに格納された記録データは順次記録媒体に記録されて行く。
【0036】
図8は、上述したようなインクジェット記録装置の記録ヘッドに対して、従来一般的に入力されている複数種類のパルス信号を説明するためのタイミングチャートである。本実施形態の記録ヘッドは主走査方向に600dpi(dot/inch;参考値)の解像度で記録可能であるものとし、図では当該解像度の1画素(以後、1カラムと称す)に対応する時間内に発生させるべく、複数種類のパルス信号が示されている。図において、COLUMN TRGは記録装置内で発生する内部信号であり、そのパルス発生間隔によって1カラムに対応する時間が定義づけられる。COLUMN TRGのパルス発生間隔は記録する画像の解像度やキャリッジの移動速度によって調整することは可能であるが、本実施形態においては主走査方向に600dpiの解像度で記録することから、1カラム当たりのキャリッジの移動距離は1/600インチとなる。
【0037】
H_LATCH、H_CLK、H_DataおよびH_ENBは記録ヘッドのインク吐出のための駆動信号である。本例の場合、1カラムは0〜15で示した16ブロックに時分割されており、複数の記録素子はいずれかのブロックタイミングによって1画素内での記録を実行する。H_Dataは転送クロックH_CLKによって記録ヘッドに設けられたシフトレジスタに転送され、H_LATCHの立下りによりラッチされる。ラッチされた駆動データは次のブロックでH_ENBのヒートパルスにより吐出が実行される。当該ヒートパルス(H_ENB)が、実際に個々の電気熱変換素子に印加される電圧パルスとなる。このヒートパルスの印加を実行しつつ、次の駆動のデータ転送も行われる。
【0038】
なお、ここで示したタイミングチャートは従来一般的に有用されているものであり、以下に説明する本発明の実施例に対する比較例として参照するためのものである。
【実施例1】
【0039】
以下に、上記で説明したインクジェット記録装置を用いた具体的な本発明の実施例を説明する。
【0040】
図9は、本実施例で適用するインクジェット記録ヘッドにおける、各記録素子の吐出口の配列状態を説明するための構成図である。本実施例の記録ヘッドには、1色のインクを吐出するために2つの吐出口列L1、L2が配備されており、図では黒く示した四角形がそれぞれの吐出口列に含まれる個々の吐出口を示している。各吐出口は1/300インチの間隔Pyで副走査方向に64個配列し、これにより1列分の吐出口列が形成されている。2つの吐出口列は、吐出口の副走査方向に互いにPy/2だけずれた状態で配置されている。このような記録ヘッドを用い、主走査方向に移動走査しながら所定のタイミングでインクを吐出することにより、副走査方向には600dpi(ドット/インチ)の記録密度で画像を形成することが出来る。説明のため、128個の吐出口に対応する各記録素子はseg_0〜seg_127で表している。
【0041】
図において、黒い四角形の中に記された数字は当該記録素子が含まれるブロックの番号を示している。すなわち、同一のカラム内においてブロック番号が等しい記録素子同士は同一のタイミングで駆動されることになる。例えば、ブロック番号が0に相当する記録素子は、SEG_0、SEG_1、SEG_32、SEG_33、SEG_64、SEG_65、SEG_96およびSEG_97の8つであり、2つずつ32個おきに(各列で言えば1つずつ16個おきに)分散して配置されている。他の15種類のブロック番号についても同様である。近年のように高密度に記録素子が配列された記録ヘッドにおいては、各記録素子の吐出動作がこれに隣接する記録素子に影響を与える傾向があることが確認されている。よって、図9のように、同時に駆動する記録素子を同一の吐出口列内で分散して配置させることは、個々の記録素子における吐出動作を安定化させる意味で有効である。
【0042】
このようなブロック分割においては、互いにブロック番号の異なる隣接する一群の記録素子を1つの群として、グループ分けすることが出来る。すなわち、本実施例の場合であれば、SEG_0〜SEG_31を第0群、SEG_32〜SEG_63を第1群、SEG_64〜SEG_95を第2群、SEG_96〜SEG_127を第3群と称することが出来る。
【0043】
図10は、吐出口列L1に含まれる64の記録素子に対する吐出を制御するための、転送クロックH_CLKとヘッド駆動データH_Dataのタイミングチャートである。本実施例において、H_LATCH信号が1回のパルスを発生する間に(図8参照)、転送クロック信号H_CLKは4回のパルスを発生し、駆動データH_DataはH_CLKの両エッジにおいてデータが取得される構成となっている。すなわち、駆動データH_Dataは図の0〜7で示した8bitによって、駆動する記録素子を指し示すことが出来る。本実施例においては、後半の4bitを16種類のブロック番号を表すためのデータとして利用し、前半の4bitは上記第0群〜第3群にそれぞれ1bitずつ割り当てた構成としている。すなわち、bit1が立っていれば第0群、bit2の場合は第1群、bit3では第2群、bit4では第3群がそれぞれ指し示される。以上説明したような構成によって、片側の吐出口列L1に対する分散駆動が制御される。
【0044】
図11は、本実施例の記録ヘッドに対して、転送される複数種類のパルス信号を説明するためのタイミングチャートである。本実施形態の記録ヘッドは主走査方向に600dpiの解像度で記録可能であるので、本実施例においても1カラム、すなわち600dpiの1画素に対応する時間内における複数種類のパルス信号が示されている。ただし、本実施例においては図8で説明した従来のタイミングチャートとは異なり、1カラム内が前半と後半に分割されて、それぞれの時間内において図8で示した一連のパルス発生動作が、時間軸方向に1/2に圧縮された状態で収められている。
【0045】
本実施例の記録ヘッドにおいては、上述した記録素子群の単位が、前半駆動か後半駆動かを指定出来る最小単位となっている。以下、電気的な制御の意味合いから各記録素子群をSeg_Blockと称し、第0群〜第3群をSeg_Block0〜Seg_Block3に1対1で対応させて説明する。本例の場合、同じ1カラムの中の駆動であっても、前半駆動によって吐出されたインク滴は後半駆動によって吐出されたインク滴に対し半画素分先立った位置に記録される。すなわち、本実施例の方法を用いれば、記録媒体に形成されるドットの着弾位置を600dpiの2倍の1200dpiの精度で調整することが可能となる。
【0046】
従来においても、記録ヘッドに配列する複数の吐出口を複数の群に分類し、互いに吐出するタイミングを1カラム内でずらして制御する方法は実施されていた。しかしながら、多くの場合は、上述したような分散駆動を併用しておらず、複数の吐出口を端から順番にいくつかのブロックに分割し、ブロック順に吐出を実行する順次駆動を行う際に実施されるものであった。このような順次駆動であれば、各ブロック間の駆動順番や駆動間隔を変更することにより、記録位置の傾きをある程度補正することが出来た。
【0047】
また、分散駆動を行いながらの制御方法も考案されてはいるが、この場合、吐出信号であるH_ENB信号をノズル群毎に設けて制御することが一般であった。このような方法を実現しようとすると、H_ENBのための信号線やH_ENB用の制御回路を新たに設ける必要があるため、制御回路やヘッドに対する駆動配線数が複雑で大がかりなものとなってしまい、記録装置のコストアップやサイズの増加などの問題が懸念されるので、小型で安価な記録装置を実現しようとする場合には、あまり現実的な方法とは言えなかった。
【0048】
これに対し、本実施例で用いる方法は、H_ENBのための信号線を新たに増設する必要がないため、分散駆動を行った状態であっても現状の構成から殆ど変更する必要はない。また、分散駆動を行う領域を従来の1カラムから1/2カラム内に抑えておきながら、1画素未満の補正については分散駆動によるばらつきを超えた範囲で制御することが出来る。よって、比較的単純な構成でより明確な補正を実現することが出来る。
【0049】
更に、本実施例においては、1画素以上の記録位置ずれに対して、従来実施されているような記録データにオフセットをかける方法も併せて採用する。本実施例の場合、例えばH_Dataを転送する際に参照される画像データのアドレスに、ずらすべき画素数に応じてオフセットをかける手段を設けたり、記録装置もしくは記録ヘッドに画像データの遅延回路を設けたりすることによって、上記方法を実現することができる。
【0050】
次に、上記2種類の記録位置の調整方法を利用して、記録ヘッドの記録位置に傾きが含まれている場合の補正方法を具体的に説明する。本実施例のインクジェット記録装置において、1画素単位の記録位置ずれに対して記録データにオフセットをかける手段を第1の記録位置調整手段(第1補正手段)、1画素以下の記録位置ずれに対して前半駆動と後半駆動とを切り替えて調整する手段を第2の記録位置調整手段(第2補正手段)と称する。
【0051】
図12(a)および(b)は、吐出口列L1の記録位置の傾きを調整する際の、傾きの程度と当該程度に対応する調整量を説明するための図である。図12(a)において、横軸に示した0〜4は記録位置の傾きの程度を示す値である。ここで、0は記録位置に補正が必要ない状態(記録位置に傾きが無い状態)を示している。本実施例では、第1の記録位置調整手段による補正も、第2の記録位置調整手段による補正も、いずれも上記で説明したSeg_Blockを最小単位として実施する構成となっている。
【0052】
記録位置の傾きの程度が1のとき、Seg_Block0およびSeg_Block1については特に補正は必要ないが、Seg_Block2およびSeg_Block3については半画素分だけずらして記録する程度の補正が必要であるとする。本例では、1200dpiの1画素分(600dpiの半画素分)を補正のための1単位と定めており、Seg_Block0およびSeg_Block1についての調整量は0、Seg_Block2およびSeg_Block3についての調整量は1と示している。
【0053】
また、例えば記録位置の傾きの程度が4のとき、基準となるSeg_Block0についての調整量は0のままであるが、Seg_Block1については1、Seg_Block2は3、Seg_Block3は4の調整量がそれぞれ要されている。
【0054】
本実施例の記録装置では、上記調整量の情報が何らかの方法で取得できるものとする。そのための手段としては、例えば記録ヘッド製造時に上記調整量が測定され、記録ヘッド上のメモリに書き込まれ、更に記録装置で上記情報が記録ヘッドから読み出される構成であってもよい。また、記録装置内部に上記調整値を測定するための手段が備えられている構成であっても良い。いずれにせよ、本実施例の記録装置は上記調整量の情報を取得し、これを図12(b)の表に従って第1の記録位置調整手段による補正量と第2の記録位置調整手段による補正とに振り分ける。
【0055】
図12(b)は、上記傾きの程度に対応する調整量を実現するために、第1の記録位置調整手段と第2の記録位置調整手段とがそれぞれ補正する補正量を表として示した図である。図において、横軸に示した記録位置の傾きの程度と縦軸に示した各Seg_Blockは図12(a)のそれに対応している。ここで、例えば傾きの程度が1のとき、図12(a)を参照するに、Seg_Block2およびSeg_Block3では、それぞれ1ずつの調整が必要であった。この場合は、図12(b)に示すように、Seg_Block2およびSeg_Block3に対し、第2の記録位置調整手段によってそれぞれ1ずつの補正が行われる。結果、画像データに対するオフセットは行われない状態で、Seg_Block0およびSeg_Block1ではカラム前半での駆動が指定され、Seg_Block2およびSeg_Block3ではカラム後半での駆動が指定される。
【0056】
また、傾きの程度が4のとき、Seg_Block1では1、Seg_Block2では3およびSeg_Block3では4の調整が必要であった。この場合は、やはり図12(b)に示すように、Seg_Block1に対しては第2の記録位置調整手段によって1の補正、Seg_Block2に対しては第1の記録位置調整手段による1の補正と第2の記録位置調整手段による1の補正、更にSeg_Block3に対しては第1の記録位置調整手段による2の補正がそれぞれ行われる。結果、画像データに対するオフセットをSeg_Block0およびSeg_Block1に対しては行わず、Seg_Block2に対しては1画素分、Seg_Block3に対しては2画素分行った状態で、Seg_Block0およびSeg_Block3ではカラム前半での駆動が指定され、Seg_Block1およびSeg_Block2ではカラム後半での駆動が指定される。
【0057】
以上説明したように、本実施例においては、記録解像度(ここでは600dpi)に等しい単位で補正を実行する第1の記録位置調整手段と、記録解像度未満の微調整を実行する第2の記録位置調整手段とをそれぞれ独立に設けることによって、従来よりも安価で簡素な構成によって、より的確な記録位置の補正を実現することが可能となった。
【0058】
なお、以上では、記録解像度未満の単位で記録位置をずらす第2の記録位置調整手段は、1カラムを1/2に分割したうちの前半駆動か後半駆動かを指定する構成で説明した。しかし、本実施例は上記のように分割数を2に限定するものではない。更に大きい整数であるN個の領域に1カラム内を分割し、各Seg_Blockが所定のm番目(mは1〜N)の領域で駆動されるような構成であっても構わない。このような構成であれば、更に精度の高い状態で補正を実行することが可能となる。
【実施例2】
【0059】
以下に、本発明の第2の実施例を説明する。本実施例の記録装置は300dpiの記録解像度で画像を形成するものとし、第1の記録位置補正手段は300dpiの1画素単位で補正を実行する。記録ヘッド上の吐出口配列とSeg_Blockは図9に示した構成と同様であるが、吐出口の配列ピッチは300dpiに相当するピッチとなっている。本実施例では、各Seg_Blockに対し異なるH_ENB信号を与えるような従来の構成を、第2の記録位置制御手段として適用する。
【0060】
図13は、本実施例の記録ヘッドにおける、Seg_Blockに対するH_ENB信号の接続状態を示す図である。図に示すように、本実施例の各Seg_Blockに対しては独立のH_ENBが与えられており、各H_ENBは独立に制御可能となっている。それぞれのH_ENB信号は、記録装置の本体上で独立に生成されても良いが、記録ヘッドの接続部や記録ヘッド内部に設けられた遅延回路を利用することによって、H_ENB0とH_ENB0を基準にした遅延信号とから生成される構成であってもよい。このような構成の場合、実施例1に比べるとより複雑な回路や配線が要されるが、1カラム内の範囲であれば比較的自由な条件で吐出タイミングを設定することが出来る。
【0061】
図14(a)および(b)は、吐出口列L1の記録位置の傾きを調整する際の、傾きの程度と当該程度に対応する調整量を、図12と同様な方法で説明するための図である。本実施例においても、第1の記録位置調整手段および第2の記録位置調整手段は、Seg_Blockを最小単位として実施する構成となっている。
【0062】
例えば記録位置の傾きの程度が2のとき、Seg_Block0については特に補正は必要ないが、Seg_Block1およびSeg_Block2については1/4画素分、Seg_Block3については2/4画素分だけずらして記録する程度の補正が必要である。本例においても、1200dpiの1画素分(300dpiの1/4画素分)を補正のための1単位と定めており、Seg_Block0についての調整量は0、Seg_Block1およびSeg_Block2についての調整量は1、Seg_Block3についての調整は2と示している。
【0063】
また、例えば記録位置の傾きの程度が4のとき、基準となるSeg_Block0についての調整量は0のままであるが、Seg_Block1については1、Seg_Block2は3、Seg_Block3は4の調整量がそれぞれ必要とされる。
【0064】
本実施例の記録装置では、上記調整量の情報が何らかの方法で取得できるものとする。そのための手段としては、例えば記録ヘッド製造時に上記調整量が測定され、記録ヘッド上のメモリに書き込まれ、更に記録装置で上記情報が記録ヘッドから読み出される構成であってもよい。また、記録装置内部に上記調整値を測定するための手段が備えられている構成であっても良い。いずれにせよ、本実施例の記録装置は上記調整量の情報を取得し、これを図14(b)の表に従って第1の記録位置調整手段による補正量と第2の記録位置調整手段による補正とに振り分ける。
【0065】
図14(b)は、上記傾きの程度に対応する調整量を実現するために、第1の記録位置調整手段と第2の記録位置調整手段とがそれぞれ補正する補正量を表として示した図である。ここで、例えば傾きの程度が2のとき、図14(a)を参照するに、Seg_Block1およびSeg_Block2では1、Seg_Block3では2の調整が必要であった。この場合は、図14(b)に示すように、Seg_Block1およびSeg_Block2に対し第2の記録位置調整手段によってそれぞれ1ずつの補正が行われる。結果、画像データに対するオフセットは行われない状態で、Seg_Block1およびSeg_Block2では1/4画素だけタイミングがシフトされた駆動が実行され、Seg_Block3では2/4画素だけタイミングがシフトされた駆動がそれぞれのH_ENBにて指定される。
【0066】
また、傾きの程度が4のとき、Seg_Block1では1、Seg_Block2では3およびSeg_Block3では4の調整が必要であった。この場合は、やはり図14(b)に示すように、Seg_Block1に対しては第2の記録位置調整手段によって1の補正、Seg_Block2に対しては第2の記録位置調整手段による3の補正、更にSeg_Block3に対しては第1の記録位置調整手段による1の補正がそれぞれ行われる。結果、画像データに対するオフセットをSeg_Block0、Seg_Block1およびSeg_Block2に対しては行わず、Seg_Block3に対してのみ1画素分行った状態で、Seg_Block0およびSeg_Block3では通常のタイミングによる駆動、Seg_Block1では1/4画素だけタイミングがシフトされた駆動、Seg_Block2では3/4画素だけタイミングがシフトされた駆動がそれぞれのH_ENBにて指定される。
【0067】
図15は、上記傾きの程度が2のときに、本実施例の記録ヘッドに対して転送される複数種類のパルス信号のタイミングチャートである。本実施例の記録ヘッドは主走査方向に300dpiの解像度で記録可能であるので、図では1カラムすなわち300dpiの1画素に対応する時間内における複数種類のパルス信号が示されている。ただし、本実施例においては実施例1とは異なり、1カラム領域が第0カラム〜第3カラムに4分割されて、それぞれの時間内において一連のパルス発生動作が、時間軸方向に1/4に圧縮された状態で収められている。
【0068】
傾きの程度が2のとき、Seg_Block0に対応するH_ENB0では第0カラムに駆動パルスが発生しており、その他のカラムではパルスの発生はない。Seg_Block1およびSeg_Block2に対応するH_ENB1およびH_ENB2では、第1カラムのみに駆動パルスが発生している。更に、Seg_Block3に対応するH_ENB3では、第3カラムのみに駆動パルスが発生している。このようなタイミングチャートを適用することにより、第1カラム〜第3カラムで発生したパルスによって記録されたドットの記録位置は、第0カラムで発生したパルスによって記録されたドットに対し、それぞれ300dpiの1/4画素(1200dpiの1画素)ずつずれて着弾されることになる。
【0069】
実際の記録において、第0〜第3カラムに対応するH_Data信号は、各H_ENB信号に対応する部分のみに発生するように構成されていても良い。また、1カラム内に同じH_Data信号を発生させておきながら、H_ENB信号によってSeg_Blockが選択されるような構成であっても良い。
【0070】
ところで、以上説明した2つの実施例において、背景技術の項で説明したマルチパス記録方法を採用した場合、各記録主走査間に行われる副走査時の搬送量は、上記Seg_Blockの整数倍であることが好ましい。分散駆動の記録ヘッドを用いてマルチパス記録を実行した場合、異なる記録走査で同一の走査線上を複数の吐出口によって記録するので、これらの吐出タイミングが分散駆動によってばらばらであると、記録走査毎の補完関係が不十分で、画像にざらつき感などの弊害が現れることがある。分散駆動の記録ヘッドを用いる場合であっても、各記録主走査間に行われる副走査時の搬送量がSeg_Blockの整数倍であれば、同一の走査線上を記録する複数の吐出口は同一のブロックであり同一のタイミングで吐出されるので、分散駆動の影響を受けず好ましい状態で補完関係を保つことが出来るのである。
【0071】
以上説明したように、本発明においては、記録解像度に等しい単位で補正を実行する第1の記録位置調整手段と、記録解像度未満の微調整を実行する第2の記録位置調整手段とをそれぞれ独立に設けることにより、より的確な記録位置の補正を実現することが可能となった。
【0072】
なお、本発明を実現するためには、上述した2つの実施例のように、各Seg_Blockが分散駆動における各ノズル群に対応していることが駆動制御上より好ましい構成ではある。しかし、必ずしも両者が対応していない場合であっても、本発明の効果を得ることは出来る。
【0073】
更に、上記実施例では、第1の記録位置制御手段が補正を行う最小単位と、第2の記録位置制御手段が補正を行う最小単位とを、どちらもSeg_Blockの単位として説明したが、このような構成も本発明を限定するものではない。本発明の特徴は、記録解像度と等しい精度で記録位置を補正するための手段と、記録解像度よりも高い精度で記録位置を補正するための手段とを独立に設け、補正量に応じてこれらを組み合わせて調整することにより記録位置の補正を実行可能とすることである。よって、上述した以外の構成であっても、それぞれの補正手段が上記機能を果たしていれば、本発明の範疇に含まれるものである。但し、上記実施例のように、2つの手段のどちらともがSeg_Blockの単位で制御可能な構成であれば、より簡単な回路・配線構成で本発明の効果を得ることが出来る。
【0074】
更にまた、以上の実施例では記録ヘッドの記録位置に傾きが含まれている場合を例に説明してきたが、本発明はこのような傾き以外の記録位置ずれに対しても有効に働くことが出来る。例えば、往路と復路の記録主走査で画像を形成する場合、往路での記録位置と復路での記録位置が互いにずれることがある。また、図9に示したような複数の吐出口列によって1色のインク滴を記録する場合には、複数の吐出口列間で(L1とL2で)記録位置がずれることがある。更に、図16のように、複数の吐出口列で1色のインクを吐出する記録ヘッドが複数色分並列された構成においては、各色間の記録位置ずれも画像に影響を与えることがある。
【0075】
通常のシリアル型の記録装置においては、様々な要因によって様々な記録位置ずれが発生する。どのような原因で発生する記録位置のずれであっても、本発明の構成を採用すれば、適切且つ精度の高い状態でこれらを補正することが可能となる。なお、往路と復路の記録主走査で補正を行う場合には、往路走査と復路走査とで実施例1の前半と後半、実施例2のカラムの順番が逆転することは言うまでもない。
【0076】
ただし、好ましい画像を得るためには、上述した構成を全ての記録位置ずれに対し適用する必要はない。出力された画像における記録位置ずれの目立ち方は、適用するインク色、記録媒体の種類、記録モードなどによって様々である。個々の条件における影響の度合いに応じて、一部の記録ヘッドや一部の記録モード、一部の記録媒体に対してのみ上述した方法が採用されていた場合であっても、本発明は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】(a)および(b)は、インクジェット記録装置に搭載する記録ヘッドにおける、製造誤差の例を説明するための模式図である。
【図2】(a)および(b)は、傾きを有する記録ヘッドを用いた場合の画像問題を説明するための図である。
【図3】(a)〜(c)は、記録媒体面に対する記録ヘッドの吐出口面の傾きに起因して罫線ずれが発生する例を説明するための模式図である。
【図4】個々の吐出口からの吐出速度に起因して罫線ずれが発生する例を説明するための模式図である。
【図5】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の要部を説明するための概略構成図である。
【図6】記録ヘッドに対し複数色分のインクタンクを装着する様子を示す図である。
【図7】記録装置における制御系の構成を説明するためのブロック図である。
【図8】記録ヘッドに対して従来一般的に入力されている複数種類のパルス信号を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施例で適用するインクジェット記録ヘッドにおける各記録素子の吐出口の配列状態を説明するための構成図である。
【図10】1列の吐出口列に含まれる64の記録素子に対する吐出を制御するための、転送クロックH_CLKとヘッド駆動データH_Datのタイミングチャートである。
【図11】本発明の実施例1の記録ヘッドに対して転送される複数種類のパルス信号を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】(a)および(b)は、実施例1における吐出口列の傾きの程度と当該程度に対応する調整量を説明するための図である。
【図13】本発明の実施例2におけるSeg_Blockに対するH_ENB信号の接続状態を示す図である。
【図14】(a)および(b)は、実施例2における吐出口列の傾きの程度と当該程度に対応する調整量を説明するための図である。
【図15】傾きの程度が2のときに、記録ヘッドに対して転送される複数種類のパルス信号のタイミングチャートである。
【図16】複数の吐出口列で1色のインクを吐出する記録ヘッドが複数色分並列された状態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0078】
M2015 紙間調整レバー
M3001 LFローラ
M3006 軸受け
M3019 シャーシ
M3022 自動給送部
M3029 搬送部
M3030 排出部
M4001 キャリッジ
M4002 キャリッジカバー
M4007 ヘッドセットレバー
M4021 キャリッジ軸
M5000 回復部
E0001 キャリッジモータ
E0012 フレキシブルケーブル
H1000 記録ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1001A ヘッドドライバ
H1900 インクタンク
100 CPU
101 ROM
102 RAM
103A モータドライバ
104 P.F.モータ
104A モータドライバ
1401 記録ヘッド
1402 チップ
1403 インク吐出口
1501 左端インク滴
1502 右端インク滴
1503 記録媒体
1504 記録された罫線
1505 記録された罫線
1506 キャリッジ
1507 キャリッジ軸
1601 左端インク滴
1602 右端インク滴




 

 


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