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インクジェット記録装置および該装置用記録ヘッドのメンテナンス方法 - キヤノン株式会社
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発明の名称 インクジェット記録装置および該装置用記録ヘッドのメンテナンス方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−8081(P2007−8081A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−193746(P2005−193746)
出願日 平成17年7月1日(2005.7.1)
代理人 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一
発明者 福嶋 達弥
要約 課題
記録スキャンに行われる予備吐出動作の吐出数を最適化することで、廃インクの発生を抑制しつつ、良好な吐出性能ないし記録品位を維持することができるようにする。

解決手段
過去のスキャンにおける吐出数と、これから行おうとするスキャンで記録されるデータの状態とに基づいて予備吐出動作の吐出数を決定する。例えば、過去の複数回のスキャン時に計数された吐出数に対して、最近のスキャンのものほど、かつ当該吐出数が大きいほど大きい値となるように重みづけが行われたデータを用い、該データの値が大きいほど予備吐出動作における吐出数を少なく設定するとともに、これからのスキャンの終了側に記録データが有る場合には、予備吐出動作における吐出数を多く設定するようにする。
特許請求の範囲
【請求項1】
インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドを用い、該記録ヘッドを記録媒体に対して所定の方向に相対的にスキャンしながら、記録データに応じて前記吐出口からインクを吐出させることにより前記記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置において、
前記スキャン時における前記吐出口からの吐出数を計数する手段と、
前記スキャンに先立ち、前記記録ヘッドが記録を行うために実施する吐出動作とは異なる予備吐出動作を前記記録媒体外で実施させる手段と、
前記スキャンに先立ち、当該スキャンで記録しようとする前記記録データの存在状態を判定する判定手段と、
該判定手段による判定の内容と、当該スキャンより以前に行われた過去のスキャン時に計数された前記吐出数とに基づいて、当該スキャンに先立つ前記予備吐出動作における吐出数を決定する決定手段と、
を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記決定手段は、過去の複数回のスキャン時に計数された前記吐出数に対して、最近のスキャンのものほど、かつ当該吐出数が大きいほど大きい値となるように重みづけが行われたデータを用い、該データの値が大きいほど前記予備吐出動作における吐出数を少なく設定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記スキャンにより記録される領域をスキャン方向に複数に分割した分割領域毎に実質的な前記記録データの有無を判定し、前記スキャンの終了側に前記記録データが有る前記分割領域が存在する場合にはその旨を示す情報を設定し、前記決定手段は、当該情報が設定されている場合には前記予備吐出動作における吐出数を多く設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記記録ヘッドは、前記吐出口からインクを吐出するために利用されるエネルギとして、インクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する電気熱変換素子を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
記録媒体に対して所定の方向に相対的にスキャンしながら、記録データに応じて吐出口からインクを吐出させることにより前記記録媒体に記録を行う記録ヘッドに、前記スキャンに先立ち、前記記録を行うために実施する吐出動作とは異なる予備吐出動作を行わせる記録ヘッドのメンテナンス方法であって、
前記スキャン時における前記吐出口からの吐出数を計数する工程と、
前記スキャンに先立ち、当該スキャンで記録しようとする前記記録データの存在状態を判定する工程と、
当該判定の内容と、当該スキャンより以前に行われた過去のスキャン時に計数された前記吐出数とに基づいて、当該スキャンに先立つ前記予備吐出動作における吐出数を決定する工程と、
を具えたことを特徴とする記録ヘッドのメンテナンス方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上にインクを吐出する記録ヘッドを用いて画像記録を行うインクジェット記録装置および前記記録ヘッドのメンテナンス方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なプリント装置のほか、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリント部を有するワードプロセッサ等の装置、あるいはこれらの装置を複合した多機能記録装置等で用いられている現在の記録装置は、画像情報に基づいて、紙やプラスチック薄板、あるいは布帛などの記録媒体上にドットパターンからなる画像を形成していくように構成されている。かかる記録装置は、その記録方式によってインクジェット記録方式、ワイヤドット方式、サーマル方式およびレーザビーム方式などに分けることができる。そのうち、インクジェット記録方式によるものは、記録ヘッドから記録媒体上にインクを吐出して記録を行うものであり、高精細な画像を高速で記録することができ、さらに、ノンインパクト方式であるため騒音が少なく、しかも多色のインクを使用してカラー画像を記録するのが容易であるなどの利点を有している。
【0003】
インクジェット記録方式は、液体であるインクを媒介として入力画像データを出力画像に変換するシステムであるため、インクを吐出する記録ヘッドのメンテナンス技術が非常に重要な要素となっている。ここでメンテナンスを必要とする理由としては次のようなものがある。
【0004】
記録ヘッドには、記録の高速化や高解像化の目的で複数のノズル(以下、特にことわらない限り、吐出口、これに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギを発生するための素子を総称して言う)が配列されるのが一般的であるが、入力画像データによっては記録中にインク吐出に用いられないノズルが生じることがある。そのようなノズルでは、吐出口からのインク溶剤の蒸発が生じ、これに伴い吐出口ないし液路内のインク粘度が増加する。従ってその後、そのノズルを使用するに際して、通常のインク吐出用のエネルギが付与されても安定したインク吐出が行えなくなり、吐出不良が生じる。
【0005】
記録ヘッド内部のインク溜め、すなわち吐出口内方の液路や液路に連通する共通液室などの部分に泡が存在すると、吐出口や記録ヘッドを構成する材質の内部を透過してきたガスが泡に取り込まれ成長したり、記録時の昇温により泡が膨張したりすることがある。これらによってインク供給源からのインク供給が阻害され、結果としてインク吐出不良が生じる。
【0006】
前者の問題を解決するためのメンテナンス技術としては、インク吐出が行われない時間や環境などに応じて、記録媒体に画像を形成する際のインク吐出とは別に所定量のインク吐出を行い、粘度が増加したインクを排出する処理(以下、この動作を予備吐出という)がある。例えば記録ヘッドを記録媒体に対し移動させながら記録を行う所謂シリアルスキャン型の記録装置にあっては、記録ヘッドを記録領域外に移動させ、その部位に設けられたインク受容手段に対して予備吐出を行う構成が一般的である。この予備吐出処理は、主としてインク溶剤の蒸発に対応するものであるので、環境温度が高い場合や、あるいは記録ヘッドの昇温が大きい場合には頻繁に行われる。すなわち、実際に吐出不良が生じるまでの時間よりも短い間隔で予備吐出処理を行うことで、吐出性能ないし記録品位を維持するものである。その時間間隔は、プリントヘッドの構造やインクの物性などによっても異なるが、一般的には数秒から数十秒間隔であり、この予備吐出動作を行うにあたっては、そのときの環境温度とヘッド温度の昇温程度とから、次の予備吐出を行うまでの時間間隔(以下、予備吐出周期という)が設定される。
【0007】
一方、後者の問題を解決するメンテナンス技術としては、所定のタイミングで、例えばポンプを用いて記録ヘッドのインク吐出口形成面に吸引力を作用させ、吐出口よりインクを吸い出すことにより、吐出口内方のインクを強制排出してリフレッシュする回復動作を行う処理(以下、この動作を吸引回復という)がある。この吸引回復処理は、吐出口内方の液路のインクの蒸発により、予備吐出動作によっても吐出性能を回復できなくなった場合、あるいは吐出口やその内方の液路、さらに内方のインク室からインクがなくなってしまったような場合などにも実施される。
【0008】
なお、従来のインクジェット記録装置については、例えば特許文献1に開示されているように、過去の吐出回数によって予備吐出動作などの回復動作を制限するなどの提案がある。
【0009】
【特許文献1】特開2001−171147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、記録スキャン長が1m〜1.5m以上にも及ぶような、近年発展著しい大判の記録媒体に記録を行うシリアルスキャン型の記録装置においては、1回の記録スキャン時間が予備吐出周期と同等になる場合もある。このような場合、過去の吐出回数によって予備吐出動作を制限するような特許文献1の構成を単純に適用することは好ましくなく、記録スキャン毎に所定の予備吐出動作が行われ得ることになる。
【0011】
一方、従来の予備吐出におけるインク吐出数は、最も厳しい条件、例えば記録媒体1ページ内に殆ど記録すべきデータが無く、ページ最後端付近に至って記録が行われる場合を想定して設定される。
【0012】
しかし本願発明者が数多くの実験を行い、鋭意検討したところでは、記録スキャン中で一般的な画像を記録した場合と、記録が全く行われなかった場合とでは、吐出再開後の吐出状態(「発一性」とも称される)を良好にして一定の記録品位を得るために要する予備吐出時のインク吐出数が異なることが明らかになった。すなわち、スキャン中に記録された記録ドット数が多いほど、次回の予備吐出時の吐出数を少なくしても問題がないことが明らかになった。これに対し、従来は過剰なインク吐出数の予備吐出処理が行われているので、インクの浪費につながり、記録装置のランニングコスト増大にもつながっていた。また、インク吐出数が多くなれば1回の予備吐出に要する処理時間も長くなり、その分記録のスループットが低下する。
【0013】
さらに、予備吐出動作等で吐出されるインクは、一般に記録装置本体内に設けた吸収体等でなる廃インク収容部に導かれて保持されることになる。そして、その廃インク収容部の収容量分の廃インクが収容された以降はインク漏洩が生じてしまうので、その収容量によって記録装置の寿命が制限されてしまうか、ないしは記録装置自体の大がかりな整備を要するものとなる。
【0014】
加えて、1回の記録スキャン中、前半部分には記録すべきデータがないかまたは非常に少なく、後半部分に至って始めて記録すべきデータが存在するような場合がある。すなわち、しばらく吐出が行われなかった後に吐出が再開されることがある。これは特に、1回の記録スキャン時間が長い大判の記録媒体に記録を行うシリアルスキャン型の記録装置において、吐出再開時の吐出状態を悪化させる要因となり、特許文献1のように過去の吐出回数のみに基づいて予備吐出を制御するだけでは不十分である。
【0015】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたもので、予備吐出動作の最適化を行うことで、廃インクの発生を抑制し、ランニングコストの低減および記録装置の長寿命化を達成するとともに、記録のスループットの低下も生じず、良好な吐出性能ないし記録品位を維持することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そのために、本発明は、インクを吐出する吐出口を有する記録ヘッドを用い、該記録ヘッドを記録媒体に対して所定の方向に相対的にスキャンしながら、記録データに応じて前記吐出口からインクを吐出させることにより前記記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置において、
前記スキャン時における前記吐出口からの吐出数を計数する手段と、
前記スキャンに先立ち、前記記録ヘッドが記録を行うために実施する吐出動作とは異なる予備吐出動作を前記記録媒体外で実施させる手段と、
前記スキャンに先立ち、当該スキャンで記録しようとする前記記録データの存在状態を判定する判定手段と、
該判定手段による判定の内容と、当該スキャンより以前に行われた過去のスキャン時に計数された前記吐出数とに基づいて、当該スキャンに先立つ前記予備吐出動作における吐出数を決定する決定手段と、
を具えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、記録媒体に対して所定の方向に相対的にスキャンしながら、記録データに応じて吐出口からインクを吐出させることにより前記記録媒体に記録を行う記録ヘッドに、前記スキャンに先立ち、前記記録を行うために実施する吐出動作とは異なる予備吐出動作を行わせる記録ヘッドのメンテナンス方法であって、
前記スキャン時における前記吐出口からの吐出数を計数する工程と、
前記スキャンに先立ち、当該スキャンで記録しようとする前記記録データの存在状態を判定する工程と、
当該判定の内容と、当該スキャンより以前に行われた過去のスキャン時に計数された前記吐出数とに基づいて、当該スキャンに先立つ前記予備吐出動作における吐出数を決定する工程と、
を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、過去のスキャンにおける吐出数と、これから行おうとするスキャンで記録されるデータの状態とに基づいて、当該スキャン前に行われる予備吐出動作の吐出数を最適化するようにしたので、廃インクの発生を抑制し、ランニングコストの低減および記録装置の長寿命化を達成するとともに、記録のスループットの低下も生じず、かつ良好な吐出性能ないし記録品位を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置を模式的斜視図であり、各部構成要素の配置関係を模式的に表している。
【0021】
本例においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(Bk)のインクに対応して記録ヘッド1Y、1M、1Cおよび1Bkが用いられており、それぞれ内部でインク流路を確保した状態で連結されているインクタンク19Y、19M、19Cおよび19Bkからインク供給を受ける(以下、特定しない場合には記録ヘッドを符号1で、インクタンクを符号19で参照する)。各記録ヘッド1と各インクタンク19とは、分離可能または分離不能に一体化されるものとすることができ、インクタンク19内のインク残量がなくなったときに、前者の場合にはインクタンク19を記録ヘッド1から取り外して、後者の場合にはインクタンク19および記録ヘッド1の一体物を取り外して交換することができる。
【0022】
記録ヘッド1はキャリッジ2上に搭載され、キャリッジ2はゴム等でなるタイミングベルト24bの回転に従ってガイドレール24aに沿って矢印Saおよび矢印Sbで示す方向に往復移動(シリアルスキャン)が可能なように案内支持されている。そして、キャリッジ2および記録ヘッド1が矢印SaおよびSb方向にシリアルスキャン駆動される過程で、記録ヘッド1から記録データに従ってインクを吐出させることで、記録媒体23aに対する記録が行われる。その際、記録スキャン(主走査)方向の位置精度は、リニアエンコーダスケール24cをキャリッジ2上の位置センサによって読み取って行くことで確保される。タイミングベルト24bは主走査領域の両端に設けたプーリ28aおよび28bに張架されており、一方のプーリ28bはキャリッジモータ26のモータ軸27に固定されている。従って、モータ26を正転または逆転駆動することにより、キャリッジ2を矢印Saまたは矢印Sb方向に移動させることができる。
【0023】
搬送ローラ23は、搬送モータ(図1では図示しない)により駆動され、連続紙またはカットシート形態の記録媒体23aを搬送する。そして記録動作領域では、この搬送ローラ23は高精度で回転駆動され、所定の記録媒体搬送量(一般的には記録ヘッド1の記録幅に相当する量)を確保する。また、記録ヘッド1の記録スキャン領域において、記録媒体23aは、拍車形状のローラ等の補助搬送部材等によりプラテン(いずれも不図示)に向けて押圧される。これにより記録媒体23aの被記録面が平坦に規制され、記録媒体23aの浮き上がりによる記録ヘッド1の吐出口形成面との間の距離の変動や、吐出口形成面との接触が防止される。
【0024】
以上のような記録ヘッド1の記録スキャン(主走査)と、記録媒体23aの搬送(副走査)とを交互に繰り返して行くことで、記録媒体23aに対する記録が行われる。
【0025】
一方、記録ヘッド1Y、1M、1Cおよび1Bkに対しては、記録領域外の主走査領域の端部(例えばホームポジション)にそれぞれ、キャップ31Y、31M、31Cおよび31Bkが配置されている(以下、符号31で包括的に参照する)。キャップ31は、図1には示されていないモータおよび昇降機構によって昇降可能に支持されており、上昇位置では、各記録ヘッド1の吐出口形成面にキャッピングを施し、非記録動作時等においてインク増粘やインクの固着・乾燥を防止することができるようになっている。また、キャッピング状態において、回復動作を行うことが可能である。すなわち、回復動作を行う場合には、回復ポンプ30によって記録ヘッド1の吐出口形成面に密着されたキャップ31内に負圧を発生させることで、インクが記録ヘッド1のノズルから排出される。そして、当該排出インクをキャップ31が受け、パイプ32を介して廃インク収容部材40に回収できるように構成されている。
【0026】
キャップ31は、記録動作時には記録ヘッド1との干渉を避ける下降位置に設定され、また吐出口形成面との対向によって予備吐出を受けることが可能である。また、そのような予備吐出動作によってキャップ31に保持されたインクについても、回復ポンプ30を作動させることで、パイプ32を介して廃インク収容部材40に移送することができる。回復ポンプ30は、インクを廃インク収容部材40へ移送可能なものであれば、ギアポンプ、チューブポンプ、およびタービン、ロータ、ピストン、ベローズなどを使用した適宜の形態とすることが可能である。
【0027】
さらに、記録を行っているときに、吐出口から吐出されるインク滴には記録に関与する主インク滴のほか、細かなインク滴(これをミストともいう)も生じ、この細かなインク滴が記録ヘッドのインク吐出口周りに付着することがある。また、回復動作時に記録ヘッドからインクが漏れた場合、記録ヘッド1の吐出口付近にはインクが付着していることが多い。この付着インクが吐出される主インク滴を引っ張ることで、インク吐出方向がよれること、すなわち主インク滴の直進性が妨げられることがある。そこで本実施形態では、記録ヘッド1のメンテナンス機構として、上記吸引回復手段および予備吐出手段のほか、各色の記録ヘッドに対しゴムなどの弾性材料でなる第1清掃部材41が設けられている。この第1清掃部材41を記録ヘッド1の吐出口形成面に当接させながら図中L方向にスキャンすることによって、付着しているインクを取り除く(清掃)動作を行うことが可能である。また、この第1清掃部材41に付着したインクを払い除く第2清掃部材42を設けることによって、第1清掃部材41の清掃効果を持続させることができる。
【0028】
図2は本実施形態で用いられる記録ヘッド1の主要部を示す模式的斜視図である。本例の記録ヘッド1は、インクを吐出するために利用されるエネルギとして、通電に応じインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する電気熱変換素子110の配列(例えば、主走査方向と直交する記録媒体搬送方向に1280個)と、矢印Xb方向からインクが導入されるインク室120とを備えた基板115を有している。この基板115に対しては、各電気熱変換素子110に対応してインク室120からインク供給を受ける液路部分112が形成された液路形成部材117が接合され、さらに電気熱変換素子110に対向して矢印Xa方向にインクを吐出するための吐出口111が形成された吐出口形成部材119が接合されている。また、基板115には、記録データに対応して各電気熱変換素子110に選択的に電気エネルギを印加できるようにするための電気配線および駆動回路が形成されている。
【0029】
なお、本例では基板115に対して垂直方向にインクを吐出させる方式の記録ヘッドを用いているが、平行な方向にインクを吐出させる形態の記録ヘッドを用いるものでもよい。
【0030】
また、上記記録ヘッドを用いる記録装置では、1回の記録スキャンで吐出口配列範囲に対応した一定のバンド幅が記録されるが、各記録スキャン間でバンド幅分の記録媒体搬送を行うこともできるし、必要に応じて、1記録スキャン毎にバンド幅分の搬送を行わず、複数回スキャンを行ってから搬送を行うこともできる。また、1記録スキャン毎に所定のマスクによって間引かれたデータを記録してから1/nバンド前後の紙送りを行い、再度記録スキャンを行うことによって、一画像領域に対し記録に関与する吐出口を異ならせた複数回のスキャンと搬送とによって画像を完成させる方法(いわゆるマルチスキャン記録)を行うことも可能である。しかし本実施形態は、そのようなマルチスキャン記録が行われると否とに関わらず、後述のように適切に予備吐出時のインク吐出数を最適化可能なものである。
【0031】
図3は上記構成の記録装置および記録ヘッドに対する制御系の構成例を示すブロック図である。
【0032】
図3において、1700はインタフェースであり、コンピュータ、デジタルカメラ、スキャナ等適宜の形態を有するホスト装置1000から送られてくるコマンドや画像データを含む記録信号を受信するとともに、ホスト装置100に対しては必要に応じ記録装置のステータス情報を送出する。1701はMPUであり、ROM1702に記憶された図4について後述する処理手順に対応した制御プログラムや所要のデータに従ってプリンタ内の各部を制御する。そのデータとしては、例えば上述したマルチスキャン記録を行う際の記録パス数や、記録方向等を決定するためのものがある。またその他、マルチスキャン記録を行う際に適用されるデータ間引き用のマスク種類や、記録ヘッドの駆動条件(たとえば電気熱変換素子110に印加する駆動パルスの形状,印加時間等)、記録媒体搬送の条件、さらにはキャリッジ速度等も含めることができる。
【0033】
1703は各種データ(上記記録信号やヘッドに供給される記録データ等)を保存しておくDRAMである。また、DRAM1703には後述する制御の過程で使用されるフラグ用の領域等を設けておくことができる。1704は記録ヘッド1に対する記録データの供給制御を行うゲートアレイ(G.A.)であり、インタフェース1700、MPU1701およびDRAM1703間のデータ転送制御も行う。1725はドットカウンタであり、インク吐出が発生する画素数(記録ドット数)を各ラインごとにカウントする。1726は所要のデータを記録装置の電源オフ時にも保存しておくためのEEPROM等の不揮発性メモリである。
【0034】
1709は搬送モータであり、記録媒体23aを搬送するために用いられるほか、伝動機構を適切に構成することで、例えば図1のキャップ31の昇降、回復ポンプ30の駆動および第1清掃部材41のスキャンを行うための駆動源としても用いることができる。1705は記録ヘッドを駆動するヘッドドライバ、1706および1707は、それぞれ、搬送モータ1709およびキャリッジモータ26を駆動するためのモータドライバである。
【0035】
上記制御系の動作を簡単に説明するに、インタフェース1700に記録信号が入力されると、ゲートアレイ1704とMPU1701との間で記録信号がプリント用の記録データに変換される。そして、モータドライバ1706および1707を介して、それぞれ搬送モータ1709およびキャリッジモータ26が適宜駆動されるとともに、ヘッドドライバ1705に送られた記録データに従って記録ヘッド1が駆動され、記録が行われる。
【0036】
ここで、DRAM1703には少なくとも、記録用紙Pの搬送方向(副走査方向)にはその方向に配列される各記録ヘッド1の電気熱変換素子ないしノズル数(ライン数)分、キャリッジの移動方向(主走査方向)にはキャリッジ記録走査範囲のドット数分に相当する記録データが格納される。そして、ドットカウンタ1725では、各ラインごとにインク吐出が発生する画素数(記録ドット数)をカウントする。ここで、各ラインごとにカウントされた記録ドット数をスキャン動作ごとに合算し、記録スキャン毎に、ドットカウンタ1725には直近3スキャン分のうち最新のスキャンのドットカウント値をDM1、その前のスキャンのカウント値をDM2、さらにその前のスキャンのカウント値をDM3として記憶し、後述する記録スキャン前の予備吐出数の決定時に使用される。ドットカウント値DM1〜DM3は記録スキャン毎に更新されるものであり、このためには例えばドットカウント値DM1〜DM3用の記憶領域を有するFIFO型のメモリを用いたものとすることができる。
【0037】
本実施形態においては、過去すなわち直近3スキャン分のドットカウント値と、これから記録しようとする次回の記録スキャンにおける記録データの状態とに基づいて、次回の記録スキャン前に実行する予備吐出動作におけるインク吐出数を決定する。
【0038】
図4はかかる記録スキャン前の予備吐出処理手順の一例を示すフローチャートである。
1回の記録スキャン(ステップS1)が終了すると、所定量の記録媒体搬送を指示し(ステップS3)、ドットカウント値の更新を行う(ステップS5)。このとき、ステップS1の記録スキャンにおけるドットカウント値はDM1、その前およびさらにその前の記録スキャンにおけるドットカウント値は、それぞれDM2およびDM3として記憶される。
【0039】
次に、ステップS7にて、次回の記録スキャンにおける記録データの分布状態に基づいて予備吐出動作時のインク吐出数を決定するために用いられるフラグ設定処理を行う。
【0040】
図5は当該フラグ設定処理手順の一例を示す。
【0041】
ステップS100において、次回記録スキャン時の記録データ(DRAM1703に展開される)に基づき、記録領域を複数に分割して、それぞれの領域毎に記録すべきドット数の計数を行う。本実施形態では、例えば副走査方向(搬送方向)1280ドット(ノズル数)×主走査方向1280ドットの領域毎に計測を行い、この計数値を変数Dcとして記憶する。
【0042】
ステップS110において変数DcがNullであるか否かの判定を行い、肯定判定であればステップS120で当該領域についての状態判定フラグを「0」にセットする。一方否定判定であれば、ステップS130で当該領域についての状態判定フラグを「1」にセットする。なお、「Null」とは、当該領域に記録データが存在しない場合のほか、記録データが少ない場合を含めてもよい。
【0043】
次に、ステップS150で、例えばDRAM1703の所定の記憶領域に、記録領域についての状態判定フラグの内容を対応づけて記憶(マッピング)する。そして、ステップS160で次回記録スキャンについての全分割領域についてマッピングが終了したか否かの判定を行い、否定判定であればステップS100に戻り、次の分割領域についての処理を行う。
【0044】
ステップS160で肯定判定された場合には、図6に示すように、次回記録スキャンの全分割領域について、状態判定フラグの内容(「0」または「1」)のマッピングが行われていることになる。
【0045】
次に、ステップS170では当該マッピング情報の解析が行われる。本実施形態では、スキャン終了側にのみフラグ内容「1」が存在するか否かの判定を行う。すなわち、しばらく吐出が行われなかった後に吐出が再開された場合に吐出状態が大きく悪化するからである。そして本実施形態では、記録スキャン範囲の中央以降に対応する分割領域にフラグ内容「1」のものがあるか否かを判定基準にしている。そして、肯定判定であればステップS180にて、予備吐出動作時のインク吐出数を決定するために用いられるフラグSに「1」をセットし、肯定判定であればステップS190にてフラグSに「0」をセットする。
【0046】
なお、本実施形態では、記録スキャン範囲の中央以降に対応する分割領域にフラグ内容「1」のものがあるか否かを判定基準としたが、これは例示であって、適宜の位置を定めることができる。また、記録スキャン領域における「0」および「1」の分布状態をより細かく考慮してもよい。
【0047】
以上のフラグ設定処理すなわち図4におけるステップS7の処理が終了すると、予備吐出動作時のインク吐出数を決定する処理を行う(ステップS9)。
【0048】
図7はかかる決定処理手順の一例を示す。図8は、過去の記録スキャンにおけるドットカウント値と、予備吐出動作時のインク吐出数決定の基準となるランク情報とを対応づけたルックアップテーブル(LUT)の一例を、また図9は、上記フラグSと、ランク情報に基づいて算出されるパラメータとにより決定される予備吐出動作時のインク吐出数を示すLUTの一例を示す。これらのLUTは、例えばROM1702の記憶領域に記憶されたものとすることができる。
【0049】
図7のステップS200においては、図8に示すようなLUTを参照し、上述したドットカウント値DM1〜DM3に対してランク情報RDM1〜RDM3を読み出す。これらランク情報は、最近のスキャンのものほど、またドットカウント値が大きいほど、大きい値となるような重みづけが行われたものである。次にステップS210において、ランク情報RDM1〜RDM3までの値を積算し、パラメータDMtを得る。そして、ステップS220で図8に示すLUTによりパラメータDMtおよびフラグSの内容から、予備吐出動作時のインク吐出数を決定する。当該決定される吐出数は、DMt値が小さいほど大きい値に設定され、またフラグSの内容が「1」である場合は「0」である場合よりも大きい値に設定されるものとなっている。
【0050】
その後、図4のステップS11にて、当該決定されたインク吐出数分だけ予備吐出動作を実行し、次の記録スキャン(ステップS1)に移行する。
【0051】
以上の構成により、これから記録しようとするデータと過去の記録データとに合わせて、予備吐出動作時のインク吐出数を最適化し、効率のよい予備吐出を行うことが可能となる。すなわち、例えばある記録スキャンにおいて、記録のための吐出がしばらくなされていないときには多い数(図9の例では最大値である「50」)の予備吐出が行われ、過去に所定のドット数以上の記録吐出が行われていればより少ない数の予備吐出が行われるものである。
【0052】
これによって、吸収体等を有する廃インク収容部材に流入する廃インク量が低減されるので、インクの浪費を抑制し、ランニングコストの低減できる。また、記録装置を長寿命化できる。ないしは、吸収体等を取り替えるなどの大がかりな整備の頻度を少なくすることができる。さらに、インク吐出数を最適化することで、予備吐出動作の時間も最適化され、記録のスループットの低下を避けることが可能となる。
【0053】
なお、上述の実施形態では、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)のインクを吐出する各色用記録ヘッドを用いる記録装置について説明したが、用いるインクの色や濃度などの色調数および種類は適宜定め得ることは勿論である。また、そのように複数の記録ヘッドが用いられる場合にあって、それぞれの記録ヘッドでこれから記録しようとするデータと過去の記録データとに合わせて、予備吐出動作時のインク吐出数を各記録ヘッドについて最適化することが可能である。
【0054】
また、上述した実施形態で記載された数値、例えば図8や図9に示したLUTの数値はあくまでも例示であって、記録ヘッド、インクあるいは記録装置本体の構成が異なる場合にはそれらに合わせて最適化が行われるべきものであり、本発明が上記した数値に限定されないことは言うまでもない。また、様々な条件に応じて適切な数値が用いられるよう、複数のLUTを用意してもよいし、条件が変ったときにLUTの内容を書き換えるようにしてもよい。この場合、LUTは例えば図3のEEPROM1726の記憶領域を用いて形成することができる。
【0055】
さらに、1回の記録スキャン時間が予備吐出周期よりも短くなるような記録装置あるいは記録動作にあっては、予備吐出動作を適宜の記録スキャン前に介挿できるが、上述の実施形態のように1回の記録スキャン時間が予備吐出周期と同等になるような、大判の記録媒体に記録を行う記録装置に適用する場合には、各記録スキャン前に毎回予備吐出を行うことが好ましいものである。
【0056】
加えて、予備吐出動作に際しては、上述のように決定した数のインク吐出を全吐出口から行うようにしてもよいし、各吐出口または数吐出口毎にインク吐出数を決定できるようにしてもよい。
【0057】
さらに加えて、上述の実施形態ではインクタンクを分離可能または分離不能に一体化してなる記録ヘッドを用いる構成について説明したが、記録ヘッドとは別体に、例えば記録装置の固定部位に配設されるインクタンクからチューブ等を用いてインクが供給される記録ヘッドを用いるものでもよい。
【0058】
また、上記記録装置に適用されるインク吐出方式には種々のものがあり、上述のように通電に応じインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する電気熱変換素子が設けられているもののほか、ピエゾ素子など電気機械エネルギ変換素子が設けられているものを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置を模式的斜視図である。
【図2】実施形態で用いられる記録ヘッドの主要部を示す模式的斜視図である。
【図3】図1のインクジェット記録装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図4】実施形態で採用した記録スキャン前の予備吐出処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】図4の手順中、予備吐出動作時のインク吐出数を決定するために用いられるフラグ設定処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】図5のフラグ設定処理の過程で行われたマッピングの説明図である。
【図7】図4の手順中、予備吐出動作時のインク吐出数を決定するための処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】図7の処理で用いられるルックアップテーブル(LUT)の一例を示す説明図であり、過去の記録スキャンにおけるドットカウント値と予備吐出動作時のインク吐出数決定の基準となるランク情報との対応づけを示している。
【図9】図7の処理で用いられるルックアップテーブル(LUT)の一例を示す説明図であり、図5の処理で設定されたフラグSと、図8のランク情報に基づいて算出されるパラメータとにより決定される予備吐出動作時のインク吐出数を示している。
【符号の説明】
【0060】
1000 ホスト装置
1、1Y、1M、1C、1Bk 記録ヘッド
2 キャリッジ
26 キャリッジモータ
30 回復ポンプ
31、31Y、31M、31C、31Bk4 キャップ
40 廃インク収容部材
110 電気熱変換素子
111 吐出口
1701 MPU
1702 ROM
1703 DRAM
1709 搬送モータ
1725 ドットカウンタ




 

 


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