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廃インク吸収体、該廃インク吸収体を備えたインクジェット記録装置、および前記廃インク吸収体への廃液吸収方法 - キヤノン株式会社
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発明の名称 廃インク吸収体、該廃インク吸収体を備えたインクジェット記録装置、および前記廃インク吸収体への廃液吸収方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−8049(P2007−8049A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−192609(P2005−192609)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
発明者 大角 孝一 / 須釜 定之 / 袴田 慎一 / 酒井 淳一 / 仁藤 康弘 / 鈴木 克彦
要約 課題
ブリード抑制性能が良好な複数の液体を用いた場合であっても廃インク吸収体の吸収性能を十分に発揮できるようにする。

解決手段
廃インク吸収体100には、第1の液体および第2の液体にそれぞれ由来する各廃液101,102が導入される。第1の液体は溶剤104および色材103を含み、溶剤104は色材103に対する貧溶媒を含む。第2の液体は、第1の液体に対する貧溶媒となる溶剤を含む。第1または第2の液体は、廃インク吸収体100中で互いに接することによって、廃インク吸収体100中での拡散または移動を阻害する障壁となる。各廃液101,102の導入位置は、廃インク吸収体100に導入されたとき、溶剤104が廃インク吸収体100中で拡散または移動し、第2の廃液102と接する距離だけ離れている。
特許請求の範囲
【請求項1】
溶剤および色材を含み前記溶剤が前記色材に対する貧溶媒を含む第1の液体と、前記第1の液体の色材に対する貧溶媒となる溶剤を含み、廃インク吸収体表面で前記第1の液体と接触することで障壁を形成する特性を有する第2の液体と、を用いて画像形成するインクジェット記録装置に用いられ、前記第1の液体に由来する廃液と、前記第2の液体に由来する廃液とを吸収する廃インク吸収体であって、
前記廃インク吸収体に対する、前記第1の液体に由来する廃液の導入位置と、前記第2の液体に由来する廃液の導入位置とは、前記各廃液が前記廃インク吸収体に導入されたとき、前記第1の液体に由来する廃液に含まれる前記溶剤が単独で、前記廃インク吸収体中で拡散または移動でき、かつ、この移動した廃液と、前記第2の液体に由来する廃液とが接することができる距離だけ離れていることを特徴とする廃インク吸収体。
【請求項2】
前記第1の液体は、前記溶剤中にさらに、前記色材に対する良溶媒を含み、ブリストウ法によって求められる、前記溶剤の各のKa値を比較したとき、この中で最大のKa値を示すのが前記貧溶媒である、請求項1に記載の廃インク吸収体。
【請求項3】
前記第1の液体は、前記色材として顔料を含む、請求項1または2に記載の廃インク吸収体。
【請求項4】
前記第2の液体は、色材として染料を含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の廃インク吸収体。
【請求項5】
前記第1の液体に由来する廃液の導入位置と前記第2の液体に由来する廃液の導入位置との、前記廃インク吸収体内での最短距離は5cm以上20cm以下である、請求項2ないし4のいずれか1項に記載の廃インク吸収体。
【請求項6】
前記第1の液体に由来する廃液と前記第2の液体に由来する廃液とを連続吸収する連続吸収性を有する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の廃インク吸収体。
【請求項7】
前記障壁が可逆的に生成及び消失する性質である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の廃インク吸収体。
【請求項8】
溶剤および色材を含み前記溶剤が前記色材に対する貧溶媒を含む第1の液体と、前記第1の液体の色材に対する貧溶媒となる溶剤を含む第2の液体と、を用いて画像形成するインクジェット記録装置であって、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の廃インク吸収体と、
前記廃インク吸収体に前記各廃液を導入させるための導入手段と、
を有するインクジェット記録装置。
【請求項9】
溶剤および色材を含み前記溶剤が前記色材に対する貧溶媒を含む第1の液体と、前記第1の液体の色材に対する貧溶媒となる溶剤を含む第2の液体と、を用いて画像形成するインクジェット記録装置に用いられ、前記第1の液体に由来する廃液と、前記第2の液体に由来する廃液とを吸収する廃インク吸収体への廃液吸収方法であって、
前記第1の液体に由来する廃液および前記第2の液体に由来する廃液を前記廃インク吸収体に導入する工程と、
前記第1の液体に由来する廃液に含まれる前記溶剤が単独で、前記廃インク吸収体中で拡散または移動し、前記第2の液体に由来する廃液と接する工程と、
を有する廃液吸収方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリード性能が良好な、具体的には、少なくとも第1の液体と第2の液体を有する複数の液体を用いて画像形成を行うインクジェット記録装置に用いられる廃インク吸収体、廃インク吸収体を備えたインクジェット記録装置、および廃インク吸収体への廃液吸収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、インク小滴を普通紙、及び、専用光沢メディア上に飛翔させ、画像を形成する記録装置であり、その低価格化、印字速度の向上により、急速に普及が進んでいる。また、その記録画像の高画質化が進んだことに加えて、デジタルカメラの急速な普及に伴い、銀塩写真と匹敵する写真画像の出力装置として、広く一般的になってきている。
【0003】
インクジェット記録装置においては、正常なインク吐出状態を維持するため、インクをインクジェットヘッドの吐出口から強制的に排出させる機構と、このインクの強制的な排出によって生じた廃インク貯蔵する廃インク貯蔵部と、を一般に備えている。インク貯蔵部は、インクを吸収保持する廃インク吸収体を有し、廃インクを廃インク吸収体に吸収させた状態で貯蔵する。
【0004】
ところで、インクジェット記録装置では、得られた記録物の耐水性および画像を向上させるため、インクと反応してインクに不溶化または凝集を生じさせる液体(以下、反応液という)を、インクに先立って記録媒体上に付着させる技術が知られている。反応液もインクと同様に吐出口から吐出され、吐出状態を維持するために結果的に廃液が生じるので、反応液を用いたシステムにおいては、強制的に排出された反応液もインクと同様に廃インク吸収体に吸収されて貯蔵される。この際、廃インク吸収体上またはインク吸収体中でインクと反応液が接触すると凝集物が生成されるため、インク吸収体の吸収性能を十分に発揮する前に、反応液の廃液や廃インクがインク吸収体から溢れてしまうおそれがある。そこで特許文献1,2には、反応液の廃液と廃インクとを廃インク吸収体のできるだけ離れた位置から吸収させることが開示されている。
【0005】
一方、インク自体の改良も進んできており、特にカラー画像の印字において、ブラックインクとカラーインクとの境界における混色(ブリード)を有効に抑制できるインクも開発されている。例えば特許文献3には、自己分散型カーボンブラックと、特定の塩と、を含有させてなるインクが開示される。このインクによれば、反応液を用いることなく、記録媒体中へのインクの浸透が制限され、結果的にブリードが抑制される。
【特許文献1】特開平8−118678号公報
【特許文献2】特開平10−278303号公報
【特許文献3】特開2000−198955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、ブリード抑制性能を向上させるためには、例えば、ブラックインクおよびカラーインクを用いた場合、これらを凝集させやすくすることとなる。このため、これまで以上にブリード抑制性能が良好なインクおよびインクセットが望まれる現在においては、インク自体も固着し易くなる傾向にあり、廃液を廃インク吸収体に導入するまでの系の中で、廃液が固着し、信頼性を悪化させてしまうということが顕在化しつつあり、新たな課題となっている。しかも、このようなインクは、インクの蒸発が進むことにより、廃インク吸収体への吸収性能自体が低下することで、逆に、廃インク吸収体の廃インク吸収性能を十分に発揮する前に廃インクを溢れさせてしまうということがあり、これもまた新たな課題となっているということを本発明者等は見出した。
【0007】
廃インクの溢れを防止するためには廃インク吸収体の体積を大きくすることが考えられる。しかし、近年、インクジェット記録装置は、そのコンパクト性やデザイン性も重視されていることから、廃インク吸収体の体積や設置面積が制限される場合も多い。
【0008】
さらに、インクジェット分野においては、ブラックインク、カラーインク共に、インクタンクまたはインクカートリッジを何回も交換して使用しており、これらの交換を前提とした使用形態になっている。このような形態においては、ユーザーの使用方法によってブラックインクを過多に使用する場合とカラーインクを過多に使用する場合とで必要な廃インク吸収容量が変ってくる。そのため、どのような使用方法であっても廃インク吸収体の廃インク吸収性能を十分に発揮できる形態が望まれている。
【0009】
そこで本発明は、これまで以上にブリード抑制性能が良好なインクが用いられる状況においても、廃インク吸収性能を十分に発揮できるように廃インク吸収体に廃液を吸収させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等が調査した結果、反応液を用いないインクジェットシステムを採用するインクジェット記録装置においては、使用される各インクに由来する廃インクの導入位置は、廃インク吸収体の同一部または隣接部であることが多いということがわかった。
【0011】
これは特に、色材として顔料を含有するインクと、色材として染料を用いたインクとを組み合わせた場合に多く見られる。顔料を含有するインクは、それ自体が廃インク吸収体中および廃インク吸収体上に固着物を発生させてしまうことがある。この固着物は、染料を用いたインクに由来する廃インクを、顔料を含有するインクに由来するインク液と同一部または隣接部に導入することで、再溶解(再分散)させることができるからである。このことは、例えば、色材としてアニオン性の顔料を含むブラックインクと、ブラックインクの顔料を塩析させて凝集させやすくする成分である1価カチオンの塩を含有するカラーインクとの組み合わせであっても成り立つということがわかった。
【0012】
このように、反応液のような強い凝集成分を含有する場合は例外として、一般的には、複数種のインクを有する場合、各インクに由来する廃インクの、廃インク吸収体への導入位置は、同一部または隣接部であることが好ましいと考えられている。
【0013】
一方、本発明者等は、ブリード抑制性能を向上させることについても鋭意検討した結果、ブリード性能が満足できるインクシステムにおいては、第1の液体と第2の液体とを廃インク吸収体中で接触させた場合、第1の液体または第2の液体が、第1の液体または第2の液体の廃インク吸収体中への拡散または移動を阻害する障壁となるということが分かった。このことから本発明者等は、用いるインク(液体)の性質によっては、夫々のインクに由来する廃インクの導入位置は、同一部又は隣接部であることが好ましいということが当てはまらないという知見を得た。本発明は、これを解決するものである。
【0014】
すなわち本発明の廃インク吸収体は、 溶剤および色材を含み前記溶剤が前記色材に対する貧溶媒を含む第1の液体と、前記第1の液体の色材に対する貧溶媒となる溶剤を含み、廃インク吸収体表面で前記第1の液体と接触することで障壁を形成する特性を有する第2の液体と、を用いて画像形成するインクジェット記録装置に用いられ、前記第1の液体に由来する廃液と、前記第2の液体に由来する廃液とを吸収する廃インク吸収体であって、
前記廃インク吸収体に対する、前記第1の液体に由来する廃液の導入位置と、前記第2の液体に由来する廃液の導入位置とは、前記各廃液が前記廃インク吸収体に導入されたとき、前記第1の液体に由来する廃液に含まれる前記溶剤が単独で前記廃インク吸収体中で拡散または移動でき、かつ、この移動した廃液と、前記第2の液体に由来する廃液とが接することができる距離だけ離れていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ブリード抑制性能を向上させた、廃インク吸収体中で接触することによって、廃インク吸収体中での拡散または移動を阻害する障壁となる複数の液体を用いて画像形成を行うインクジェット記録装置に用いられる場合であっても、効率的に廃液を吸収し、廃インク吸収体の吸収性能を十分に発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
本発明の一実施形態による廃インク吸収体は、第1の液体と第2の液体とを用いて画像形成を行うインクジェット記録装置において生じる廃液を回収するのに用いられる廃インク吸収体である。インクジェット記録装置は、少なくとも上記第1および第2の液体を吐出するインクジェット記録ヘッドを用いて画像形成を行うものであり、インクジェット記録ヘッドからこれら各液体を強制的に排出させることによって吐出特性を維持させるための回復機構と、インクジェット記録ヘッドからの各液体の強制的な排出によって生じた廃液を吸収保持する上記廃インク吸収体と、回復機構から廃インク吸収体へ廃液を導き、廃液を廃インク吸収体へ導入させるための導入手段と、を有する。
【0018】
廃インク吸収体に吸収される廃液のもととなる液体は、第1の液体と第2の液体とを有しているが、さらに他の液体を含んでいてもよい。本発明における液体とは、記録媒体への画像等の記録のために記録媒体へ付着させられる液体であれば、インクだけでなく反応液等の液体も含む。第1の液体と第2の液体の組み合わせとしては、例えば、双方がインクの場合、第1の液体がインクで第2の液体が反応液の場合、第1の液体がブラックインクで第2の液体がカラーインク、さらに他のカラーインクをも含む場合等が挙げられる。もちろん、これらの組み合わせに限定されるわけではない。
【0019】
また、本発明では、第1の液体および第2の液体として、廃インク吸収体中で第1の液体と第2の液体とを接触させた場合に、第1の液体および第2の液体の少なくとも一方が、第1の液体または第2の液体の廃インク吸収体中への拡散または移動を阻害する障壁となる性質を持つものを用いる。これは、第1の液体と第2の液体とを廃インク吸収体中に吸収させたとき、両液体が接触することによって、第1の液体と第2の液体の何れかまたは両方が、第1の液体または第2の液体の廃インク吸収体中へのさらなる拡散または移動を阻害する障壁となることを示している。「障壁となる」とは、例えば、第1の液体と第2の液体とが廃インク吸収体中で接触したことにより第1のインクが増粘し、廃インク吸収体中へそれ以上拡散または移動しなくなるような場合が挙げられる。本発明における障壁とは、廃インク吸収体中へ拡散または移動を阻害する要因となるもの全てを含む。例えば、液体の増粘、液体中の色材の凝集等が挙げられるが、これらに限られない。
【0020】
ここで、第1の液体と第2の液体との接触によって障壁が生じたかどうかについては、インクジェット記録装置で記録に用いられる複数の液体のなかから、2種類の液体の全ての組み合わせについて、混合前の夫々の特性と混合後の特性とを比較することで特定することができる。この特性の例としては、粘度や粒径が挙げられる。具体的には、例えば、2種の液体を混合する前にそれぞれの粘度を測定し、混合後の液体の粘度が2種の液体それぞれの粘度よりも高くなっている場合は、増粘し、障壁となっていると考えることができる。また、別の例として、2種の液体の少なくとも一方が色材として顔料を用いたインクである場合は、混合前後の顔料粒径を測定し、それが混合により大きくなっていた場合は、障壁となっていると考えることができる。顔料粒径は、濃厚系粒径アナライザ(例えば、商品名:FPAR−1000;大塚電子社製)により、希釈を行わずに粒径を測定することにより簡単に確認できる。
【0021】
このような障壁は、廃インク吸収体中での第1の液体に由来する廃液または第2の液体に由来する廃液の、廃インク吸収体中への拡散または移動を阻害する原因となる。したがって、廃インク吸収体への各廃液の導入位置間の距離は、廃インク吸収体のほぼ全域が廃液で満たされるまでは、少なくとも各廃液の接触による障壁が生じない距離だけ離す必要がある。
【0022】
一方、ブリード抑制性能を向上させたインクにおいては、記録媒体上に付着した後、すばやく色材が凝集する。この現象は、廃インク吸収体中でも同様に起きる。つまり、ブリード抑制性能を向上させたインクは、それ自体が廃インク吸収体中へ拡散または移動しにくい性質を有する。
【0023】
そこで本発明者等が検討を重ねた結果、第1の液体に由来する廃液の導入位置と、第2の液体に由来する液体の導入位置との距離には、詳しくは後述するが特定の液体を用いた場合に、廃インク吸収体中で廃液が拡散または移動しやすくなるような最適の範囲があることがわかった。各廃液の導入位置間の距離をこの最適な距離とすることで、廃インク吸収体の吸収能力を十分に発揮することができる。
【0024】
ここで、廃液の導入位置とは、廃液が廃インク吸収体に吸収される位置であって、廃液を廃インク吸収体に導入させるための、廃液用のチューブ等で構成される導入手段が廃インク吸収体に接する位置を意味するものではない。廃液用のチューブ等は、廃インク吸収体に接していてもよいし接していなくてもよく、例えば廃インク吸収体の上方から廃液を滴下する構成であってもよい。また、廃インク吸収体に廃液を導入した場合、廃インク吸収体の表面では、実際には、廃液はある程度の広がりをもった状態で吸収される。廃液の導入位置とは、その廃インク吸収体表面で広がりをもった廃液の中心をいう。
【0025】
また、各廃液の導入位置間の距離をこの最適な距離とすることで、インクジェット記録装置の低価格化に対応し、廃インク吸収体の体積や廃インク吸収体の設置面積に制限があっても効率的に廃液を吸収するように廃インク吸収体を用いることができる。この距離が長すぎると、それだけ廃液用のチューブなど、廃液を廃インク吸収体に導入するまでの系を長くする必要があるためコストもかかり、低価格化の妨げとなる。また、それだけでなく、場合によっては、蒸発等が原因でこの系の中で廃液が固着する等、信頼性をも悪化させてしまったり、廃インク吸収性能を悪化させたりすることもある。
【0026】
上記の各廃液の導入位置間の最適な距離は、各導入位置を直線で結んだ距離ではなく、廃インク吸収体中における、各廃液の導入位置間の最短距離である。例えば、図1(a)に示すような直方体形状の廃インク吸収体9の場合、各廃液の導入位置をそれぞれA,Bとしたとき、最短距離はAB間の直線距離である。また、図2(a)に示すような、切り込みを有する廃インク吸収体9において、各廃液の導入位置A,Bを、それぞれ切り込みを挟んだ各領域に設けた場合、切り込みの角部C,Dを通る経路の長さ、すなわち、直線AC、直線CDおよび直線CBの和が、最短距離となる。これらはいずれも、導入位置Aからの廃液の吸収経路、および導入位置Bからの廃液の吸収経路を考慮したもので、廃インク吸収体中における最短の吸収経路ということもできる。
【0027】
各廃液の導入位置間の最短距離は、具体的には、本発明で使用される第1の液体および第2の液体を用い、一般的に廃インク吸収体として使用されるパルプ繊維を主材料とする廃インク吸収体を用いた場合、5cm以上20cm以下であることが望ましい。
【0028】
前述のように、各廃液の導入位置間の距離が大きすぎると、廃液を廃インク吸収体に導入するまでの計の途中で廃液の蒸発が進み、固着や廃インク吸収体への吸収性能の低下を招く場合がある。この蒸発の度合いは、例えば、廃液用のチューブ等の材質や内径の他、1回当たりの回復動作(インクジェットヘッドからの強制排出)で排出される廃液の量等により変ってくる。しかし、一般的に使われている廃液用のチューブの材質や内径は限られており、1回当たりの回復動作で排出される廃液の量も一般的には所定の範囲内である。
【0029】
本発明者等は、これらの範囲内においては、固着や廃インク吸収体への吸収性能の低下は、各廃液の導入位置間の距離が大きく影響し、通常使われている範囲内のチューブ、および1回当たりの回復動作で排出される廃液の量等によっては大きく影響されないということを見出した。したがって、各廃液の導入位置間の距離が上記の範囲内であれば、本発明の効果を十分に発揮することができる。
【0030】
また、本発明では、廃インク吸収体は、第1の液体と第2の液体とを連続吸収する連続吸収性を有することが好ましい。第1の液体と第2の液体とを連続吸収する連続吸収性を有するとは、第1の液体専用の廃インク吸収体と第2の液体専用の廃インク吸収体とをそれぞれ別個に設けるのではなく、全体として共通の廃インク吸収体を用いて、廃インクの導入位置だけを一定の距離とした構成である。第1の液体用と第2の液体用とで廃インク吸収体が共通であるためには、1つの廃インク吸収体によりなるものの他、複数の廃インク吸収体からなるものであっても、吸収された第1の液体と第2の液体とが、廃インク吸収体で接する形態であればこのような形態のものも含まれる。
【0031】
こうして、第1の液体用の廃インク吸収体と第2の液体用の廃インク吸収体とを別々にせず、連続吸収性を持たせることによって、ユーザーによって異なる第1の液体と第2の液体との使用量にも対応し、効率よく廃インク吸収体の性能を発揮することができる。
【0032】
ここで、本発明の一態様として、第1の液体として、溶剤と色材とを含み、溶剤が、色材に対する貧溶媒を含むブラックインクと、第2の液体として、ブラックインクの色材に対する貧溶媒となる溶剤を含むカラーインクを用いて画像形成を行うインクジェット記録装置に用いられる廃インク吸収体がある。
【0033】
この場合のブラックインクとカラーインクは、ブリード抑制性能を向上させることを目的としたインクセットである。ブリード抑制性能を向上させることを目的としたインクセットとしては、上記の他にも様々なインクセットが提案されている。例えばブラックインクの色材として顔料を使用し、さらにブラックインクまたはカラーインクに塩を含有させたインクセットや、ブラックインクとカラーインクに用いる色材として、極性の異なる色材を使用したインクセットなどが挙げられる。これらの中でも、本発明者等の検討の結果、ブラックインクの色材として顔料を使用し、さらに溶剤として顔料に対し貧溶媒となる溶剤を含有させたブラックインクと、この貧溶媒が含有されているカラーインクを用いて画像を形成させたものが、最も優れたブリード抑制性能を示した。貧溶媒の定義の詳細については後述するが、本発明においては、水溶性有機溶剤に対する水不溶性色材(顔料)の分散安定性が悪いものを貧溶媒とする。また、水溶性有機溶剤に対する水不溶性色材の分散安定性がよいものを良溶媒とする。
【0034】
しかしながら、色材として顔料を使用し、さらに溶剤として顔料に対し貧溶媒となる溶剤を含有させたブラックインクの廃インクと、この貧溶媒が含有されているカラーインクの廃インクとを、従来のように廃インク吸収体の同一または隣接している位置に導入した場合、検討した他のインクセットでは起きなかった現象、具体的には、廃インク吸収体から廃インクが溢れ、漏れ出すと言う現象を引き起こしてしまった。
【0035】
他のインクセットを用いた場合よりも、上記の現象がより顕著に表れた要因としては、次のように推測される。
【0036】
ブリード抑制性能をより向上させるためには、記録媒体上にインクが付与された後、すばやく色材が凝集することが重要な要素である。上記のようにブラックインクおよびカラーインクの双方に、ブラックインクに用いられる顔料に対する貧溶媒を含有しているインクを用いて画像形成を行った場合、記録媒体上で両インクが接触するとほぼ同時に、顔料凝集物を形成し、そのため、従来のインクに比べブリード抑制性能が向上しているものと推測される。
【0037】
この現象は、廃インク吸収体内でも起きている。ブラックインクおよびカラーインクの廃インクの導入位置が同一または隣接している場合、互いのインクが接することにより顔料凝集体を形成させてしまう。上記以外のブラックインクとカラーインクにおいても、水分蒸発に伴い、インクが増粘し、結果的に凝集物が形成された状態となるが、水分蒸発後の増粘速度が緩やかである。接触するとほぼ同時に、顔料凝集物を形成させるインクの場合、急速に増粘するため、廃インク吸収体に廃インクが拡散する前に大きな凝集物を形成してしまう。その結果、廃インク吸収体の吸収性能を劣化させ、廃インク吸収体から廃インクが漏れ出すと言う現象を引き起こしたと本発明者らは結論づけた。本発明の態様は、これを解決するための構成である。
【0038】
上記のように、第1の液体として、溶剤と色材とを含み、溶剤が、色材に対する貧溶媒を含むブラックインクを用い、第2の液体として、ブラックインクの色材に対する貧溶媒となる溶剤を含むカラーインクを用いた場合に、各液体の廃液を互いに離れた位置でインク吸収体に吸収させたとき、インク吸収体中での各廃液の挙動は、以下のように考えられる。
【0039】
図3(a)は、インク吸収体100上に、第1の液体の廃液である第1の廃液101と、第2の液体の廃液である第2の廃液102とを、互いに距離をおいて滴下した直後の状態を示す。この段階では、各廃液101,102は、まだ廃インク吸収体100の表面近傍に存在している。
【0040】
その後、各廃液101,102は廃インク吸収体100中に拡散または移動していく。ここで、廃インク吸収体100における各廃液101,102の導入位置間の距離を前述した最適な距離とすることで、各廃液101,102の拡散または移動の過程において、図3(b)〜(c)に示すような現象が生じる。すなわち、第1の廃液101は、溶剤103が色材103に対する貧溶媒を含んでいるので、水の蒸発とともに色材103の分散が不安定化していくが、インク吸収体100中への溶剤104の単独での拡散または移動は進行する。一方、第2の廃液102は、そのままインク吸収体100中へ拡散または移動していく。
【0041】
さらに時間が経過すると、第1の廃液101の溶剤104および第2の廃液102はさらに廃インク吸収体100中に拡散または移動していき、図3(c)に示すように、第1の廃液101の溶剤104と第2の廃液102とが接する。この溶剤104中には色材103は殆ど含まれていないので、第2の廃液102が第1の廃液101の溶剤104と接しても色材103の分散の不安定化は起こりにくい。
【0042】
溶剤104と第2の廃液102とが接することによって、溶剤104は第2の廃液102側へ引き込まれる。廃インク吸収体100の、第1の廃液101が導入される領域では、この第2の廃液102側へ引き込まれる力が作用しているため、次に第1の廃液101が滴下されたときに、溶剤104はもちろんのこと、色材103がさらに広がることができる。
【0043】
これに対して、第1の廃液101の導入位置と第2の廃液102の導入位置との間の距離が小さすぎると、第1の廃液101の色材103と第2の廃液102とが直接接して、前述した障壁を形成するため、廃インク吸収体100中への各廃液101,102の拡散または移動が阻害される。一方、各廃液101,102の導入位置間の距離が大きすぎると、各廃液101,102が単独で凝集していまい、この場合も廃インク吸収体100中への各廃液の拡散または移動が阻害される。
【0044】
以上のように、各廃液101,102の導入位置間の距離を、第1の廃液101の溶剤104と第2の廃液102とが接することによって、溶剤104が第2の廃液102側へ引き込まれる現象を生じさせるような距離とすることで、廃インク吸収体100に効果的に各廃液101,102を吸収させることができる。
【0045】
溶剤104が第2の廃液102側へ引き込まれる現象は、第1の廃液101が、溶剤104中にさらに、色材103に対する良溶媒を含有し、かつ、溶剤104の中で、ブリストウ法によって求められる、溶剤104の各のKa値を比較したとき、この中で最大のKa値を示すのが貧溶媒である場合に、より効果的に起きる。
【0046】
この場合、第1の廃液101の溶剤104が廃インク吸収体100中に拡散していく過程で、貧溶媒が良溶媒に先行して廃インク吸収体100中に拡散していき、廃インク吸収体100上の色材103と貧溶媒が拡散した領域との間に、色材103を含む溶剤リッチな部分を形成する。この部分では色材103の凝集は起こりにくい。したがって、貧溶媒の拡散に続いて拡散する良溶媒とともに、色材103が廃インク吸収体100中に拡散しやすくなる。
【0047】
ここで、ブリストウ法によって求められるKa値について説明する。この値は、インクの記録媒体内部への浸透性を表わす尺度として用いられる。インク滴が記録媒体表面に付着してから所定時間tが経過した後におけるインクの記録媒体内部への浸透量V(mL/m2=μm[記録媒体1m2あたりのインクの浸透量])は、下記のブリストウの式によって表される。
【0048】
V=Vr+Ka(t−tw)1/2
ここで、インク滴が記録媒体表面に付着した直後には、インクは記録媒体表面の凹凸部分(記録媒体の表面の粗さの部分)において吸収されるのが殆どで、記録媒体内部へは殆ど浸透しない。その間の時間がコンタクトタイム(tw)であり、コンタクトタイムに記録媒体の凹凸部に吸収されたインク量がVrである。そして、インク滴が記録媒体表面に付着した後、コンタクトタイムを超えると、コンタクトタイムを超えた時間、即ち、(t−tw)の1/2乗に比例した分だけ記録媒体内部へ浸透する。Kaはこの比例係数であり、浸透速度に応じた値を示す。このKa値は、ブリストウ法による液体の動的浸透性試験装置(例えば、商品名:動的浸透性試験装置S;東洋精機製作所製)等を用いて測定可能である。
【0049】
なお、本発明におけるブリストウ法によるKa値は、普通紙[例えば、キヤノン(株)製の、電子写真方式を用いた複写機やページプリンタ(レーザビームプリンタ)やインクジェット記録方式を用いたプリンタ用として用いられるPB紙や、電子写真方式を用いた複写機用の紙であるPPC用紙等]を記録媒体として用いて測定した値である。また、測定環境としては、通常のオフィス環境、例えば、温度20〜25℃、湿度40〜60%を想定している。
【0050】
本発明の更なる一態様として、第1の液体と第2の液体との接触によって生じる障壁が可逆的に生成および消失する性質を有するものであってもよい。「障壁が可逆的に生成および消失する」とは、例えば、ブラックインクとカラーインクとを接触させた際には、障壁である凝集物を生成するが、生成された凝集物をブラックインク中に入れたり、凝集物にブラックインクのみを滴下し続けたりすると、凝集物が再溶解(再分散)し、消失する性質を有するということを示す。
【0051】
反応液のような、反応性が強すぎる液体を用いた場合は、一度凝集物が生成されると、これを再溶解(再分散)することができない。従って、インクジェット記録装置は、装置内で凝集物が発生しないように、インクと反応液とを接触させない構造とされる。これに対して、障壁が可逆的に生成および消失する性質を有する場合には、上記のように2種類の液体が装置内で接触しないように、コストをかけて手厚く保護しなければならなくなるということをも回避できる。これにより、インクジェット記録装置の簡素化が達成される。
【0052】
次に、本発明における廃インク吸収体と廃インクの導入位置について、具体的に説明する。
【0053】
例えば、廃インク吸収体におけるカラーインクの廃インク導入位置をA、ブラックインクの廃インク導入位置をBとしたとき、A、Bの位置関係としては以下のような構成が挙げられる。
構成1:1つの廃インク吸収体の同一平面上において、適当な位置にAおよびBを配置する。
構成2:1つの廃インク吸収体の互いに異なる平面上にA、Bを配置する。
構成3:複数の廃インク吸収部材からなる廃インク吸収体において、互いに異なる吸収部材にA、Bを配置する。
【0054】
また、より好ましい構成としては、以下のような構成が挙げられる。例えば、構成1において、廃インク吸収体の長手方向について、一方の廃インクの導入位置を廃インク吸収体の一端部とし、もう一方の廃インクの導入位置を、廃インク吸収体の一端部から中央部を越えた反対側の領域のいずれかの位置とする。この場合、さらに好ましくは、廃インク吸収体の一端部に導入する廃インクを、2種類のインクのうち廃インク吸収体に対する拡散速度が速いほうのインクの廃インクとする。これにより、廃インク吸収体をより効率よく使用することが可能となる。
【0055】
また、他の好ましい構成としては、構成2おいて、一方の廃インクを廃インク吸収体の表面(上面)より導入し、他方の廃インクを廃インク吸収体の裏面(下面)より導入することによって、廃インクを廃インク吸収体中に拡散させる。これは特に、廃インク吸収体の材質の特性として、廃インク吸収体の厚さ方向での液体の拡散速度よりも、横方向での拡散速度のほうが速い材質ものを使用したときに有効である。これにより、互いのインクが接触するまでに、それぞれの廃インクを廃インク吸収体の隅々まで吸収させることができ、結果として、非常に効率よく廃インク吸収体を使用することが可能となる。さらに、上記のような特性のある材質の廃インク吸収体を用いた場合は、カラーインクの廃インク導入位置Aを廃インク吸収体の表面(上面)とし、ブラックインクの廃インク導入位置Bを廃インク吸収体の側面より拡散が始まるように構成することもできる。この場合も、前述したのと同様、互いの廃インクが接触するまでに、それぞれの廃インクを廃インク吸収体の隅々まで吸収させることになり、結果として、非常に効率よく廃インク吸収体を使用することが可能となる。
【0056】
また、構成3においても様々な構成が挙げられる。例えば、複数の廃インク吸収部材が、互いが横方向に並列している構成や、複数の廃インク吸収部材が上下に重なった構成などが挙げられるが、最も好ましい形態としては、後者の構成が挙げられる。
【0057】
本発明者等が上記の構成を様々組み合わせ検討した結果、すべての構成において、ブラックインクおよびカラーインクの廃インクの導入位置が同一または隣接している場合よりも優れた吸収能力を示し、廃インク吸収体から廃インクが漏れ出すと言う現象を引き起こすことはなかった。中でも、最も優れた構成として、図4に示す構成が挙げられる。
【0058】
図4に示す廃インク吸収体40は、互いに重ねられた複数の廃インク吸収部材41,42を有する。各廃インク吸収部材41,42は、面によって液体の拡散速度が異なっている。このような廃インク吸収体40において、吸収させる2種類の廃インクのうち廃インク吸収部材41,42に対する拡散速度が相対的に速い廃インクの導入位置A1を、インク吸収41の、廃インクに対して拡散速度の速い面の端部とする。一方、廃インク吸収部材41,42に対して拡散速度が相対的に遅い廃インクの導入位置B1は、拡散速度が相対的に速い廃インクが導入されるインク吸収部材41とは別の廃インク吸収部材42の、廃インクに対して拡散速度の遅い面の長手方向中央部とする。このような構成とした場合、廃インク吸収体40から廃インクが漏れ出すという現象が最も生じにくかった。
【0059】
なお、上記のすべての構成において、廃インクの廃インク吸収体に対する導入位置は、各導入位置間の最短距離が前述した範囲にあるように設定される。
【0060】
上記のさらに具体的な例として、図1(a)〜(e)を参照して説明する。廃インク吸収体9は、その長手方向両端部がそれぞれ、カラーインクに由来する廃インク11を導入するための導入位置A、およびブラックインクに由来する廃インク12を導入するための導入位置Bとされる。
【0061】
図1(b)〜(e)は、廃インク11,12の保持領域の変化を、廃インク11,12の吸収経過に従って順を追って示したものである。図1(b)から(d)に至るにつれ、廃インク11,12の吸収量が増加し、図1(e)ではカラーインクに由来する廃インク11とブラックインクに由来する廃インク12とが廃インク吸収体9の一部で相互浸透部分13を構成し、相互浸透部分13において障壁を形成し、廃インク吸収体9における廃インク11,12の吸収、拡散がほとんどできなくなる状態を示している。
【0062】
これによって、廃インク11,12は廃インク吸収体9の長手方向中央部側へと拡散浸透してゆき、カラーインクに由来する廃インク11およびブラックインクに由来する廃インク12の廃インク量が均等でない場合でも、いずれの廃インクの量に左右されることなく廃インク吸収体全体を廃インク吸収のための領域として良好に利用することができる。
【0063】
本例では、廃インク吸収体9の構成は略直方体形状とした、がこれに限られず、円筒状のものであっても同様に使用できる。このような構成の廃インク吸収体9を採用することで、インクジェット記録装置における比較的細長い空間部分に廃インク吸収体9を設置することができるため省スペース化を達成し易い。つまり、インクジェット記録装置におけるプラテンの下部などのデッドスペースを廃インク吸収体9の設置場所として利用し易く、廃インク回収用に特別にスペースをとる必要がなくなる。
【0064】
ところで、上述した廃インク吸収体9はインクジェット記録装置内に設置される構成として説明したが、廃インク吸収体9はトレーなどの廃液容器内に配設された上でインクジェット記録装置内部に配置する構成としてもよい。さらには、廃液容器をインクジェット記録装置に対して着脱可能にし、廃液量を検出、検知することで交換して使用する構成としてもよい。もちろん、廃インク吸収体9のみの構成でも交換可能な構成とすることは有効である。
【0065】
また、廃インク吸収体9としては、液体を適度に保持する機能を備えた材料であれば特に限定されるものではないが、スポンジ等の多孔質体や繊維状体により構成されたもの、あるいは高分子吸収体または高分子吸収体を紙状体にまぶした部材等が好適に使用可能である。
【0066】
本発明の他の実施形態について、図2(a)〜(d)を参照して説明する。図2(a)〜(d)は、廃インク11,12の拡散浸透の様子を時間の経過に従って示したものである。廃インク吸収体9は、カラーインクに由来する廃インク11用の吸収部9Aとブラックインクに由来する廃インク12用の吸収部9Bを有し、中央部に切り込みを形成することで、Xで示された領域(連結部10)で両吸収部9A,9Bが連結された形状にしたものである。図2(a)に示されるようにカラーインクに由来する廃インク11用の吸収部9AにはAで示される位置に、またブラックインクに由来する廃インク12用の吸収部9BにはBで示される位置に、それぞれ回復処理で生じたカラーインクに由来する廃インク11およびブラックインクに由来する廃インク12が滴下される。そして、回復処理の回数が増すにしたがって、廃インク吸収体9に吸収される廃インク11,12の累積量も増大し、図2(b),(c)に示されるように、廃インク11,12は廃インク吸収体9を拡散浸透していく。すなわち、滴下された廃インク11,12は滴下された累積量に応じて廃インク吸収体9に保持される領域を拡大していく。本例では廃インク11の回収量が廃インク12の回収量に比較して多い場合を示しており、廃インク11が連結部10を通過して廃インク12の吸収部9Bに回り込んでいく(図2(d))。そして、カラーインクに由来する廃インク11およびブラックインクに由来する廃インク12が出会った時点で、廃インク11,12の回収は終了状態を迎える。
【0067】
図2に示した廃インク吸収体9を使用する構成では、上述したように1つの廃インク吸収体9に切り込みを設け、カラーインクに由来する廃インク11およびブラックインクに由来する廃インク12の回収領域を分断する構成としているが、2つの廃インク吸収部材を例えば連通部10において接続した構成であってもよい。また、切り込みの代わりに障害物として壁状のものが設けられてもよい。また、廃インク吸収体9はインクジェット記録装置に直接配されてもよく、また容器あるいはトレー状の部材内に上述のような構成の廃インク吸収体9が収納された上で上述のような構成をとっても良いことは言うまでもない。
【0068】
さらに、連結部10は、カラーインクに由来する廃インク11用の吸収部9Aの幅もしくはブラックインクに由来する廃インク12用の吸収部9Bの幅のうち、広い方の幅に対して2倍以内の範囲にあることが好ましい。
【0069】
ここで、廃インク吸収体9としては、液体を適度の保持する機能を備えた材料であれば特に限定されるものではないが、スポンジ等の多孔質体や繊維状体により構成されたもの、あるいは高分子吸収体または高分子吸収体を紙状体にまぶした部材等が好適に使用可能である。なお、繊維状体では廃インク11,12の滴下点から連結部10に向かって一方向に繊維を配置した構成のものを使用してもよく、フェルト状のものであってもよい。方向性を有した繊維を使用する場合には廃インク11,12を良好に導くことが可能である。
【0070】
図1、図2のいずれの場合においても、それぞれの設定される廃インク吸収体9の容量に対し排出される各廃インク11,12の量にアンバランスがあっても、廃インク吸収体9に保持される各廃インク11,12がそれぞれの領域を拡げて行き、図2(d)に示すように、互いに接触する時点で廃インク吸収体9のほぼ全域を各廃インク11,12が満たすようにすることができる。
【0071】
次に、本発明にとって好ましいインクおよび色材等の例を説明する。
【0072】
本発明は、前述したようにインク吸収体表面に形成される障壁状態(下面から上昇して形成される壁を含む)の色材析出という従来では認識されていない現象を解決課題としている。このような現象を生じる原因あるいは要因に対して追求すると、以下に説明する、色材単体の特徴、色材と溶剤との関係、混合状態の新たな現象などを挙げることができる。ただし、本発明は以下に限るものではなく、本発明が新たに見出した現象をもたらす各種のインク色材やインクに対して有効であることは言うまでもない。
【0073】
画像特性のうち、ブリード抑制性能を向上させるという利点を備えるが、単純混合するとインク吸収体端部表面に下面から上昇して形成される障壁(色材析出部)を形成してしまうものがある。これは、第1のインクがブラックインクであることや、第2のインクがカラーインクである構成(下記具体構成例等)あるいは、これらの組み合わせを取った場合である。この第1のインクは、色材として、親水性を有する基を直接若しくは他の原子団を介して結合している自己分散顔料(カーボンブラック等)を用い、さらに複数の水溶性有機溶剤として少なくとも1種類がこの顔料の分散安定性を低下させる特性を有する貧溶媒である水溶性有機溶剤を用いたものである。上記のような第1のインクを記録媒体に付与した場合、水分が蒸発するにつれ顔料に対する貧溶媒の比率が高まるため、記録媒体の上層部で顔料同士が凝集し始める。
【0074】
その結果、単体としても周辺に他のインクがあってもブリードを抑制できる効果がある。さらに第1のインクの色材としては、顔料表面に結合させる親水性を有する基の顔料表面に対し高密度とした顔料を色材として使用する場合、上記利点と障壁形成が共により顕著になることである。この場合、色材構造による立体障害の影響により、従来の自己分散顔料に比べてインク中の溶剤が顔料と溶媒和しにくくなり、わずかな水分蒸発で顔料の分散安定性が低下する傾向を示す。その結果、ブリードをより緩和させる効果がある。
【0075】
なお、本発明における貧溶媒とは、「判定しようとする溶媒50質量%程度を含み、且つインクに用いる色材を分散状態で含む顔料分散液を、60℃で、48時間保存したときの当該液体中の粒子径が、判定しようとする溶媒を含まない、もしくは少量含み、かつ当該インクに用いる水不溶性色材を分散状態で含む顔料分散液の粒径と比較して大きい」とういう特性を示す溶媒である。また、良溶媒とは、貧溶媒以外の特性を示す溶媒である。
【0076】
ここで、第2のインク単体もしくは上記具体例にとっても有効なカラーインクについて説明する。カラーインクとして好ましいのは、カラーインク中にブラックインクの貧溶媒となる溶剤を含有するものが好ましく、さらにカラーインクとブラックインクとを接触させた時にブラックインクが上記障壁を構成するのに十分な量含有されている場合、より上記作用は顕著である。このようなカラーインクを用いることで、無論ブリード抑制性能が向上する。また、このようなカラーインクを用いることで、カラーインクとブラックインク(ここでは一般的な色材であっても良い)とを接触させた場合に、ブラックインクが、ブラックインクおよびカラーインクの廃インク吸収体中への拡散又は移動を阻害する障壁を確実に形成する。
【0077】
また、第1のインクがブラックインク(ここでは一般的な色材であっても良い)で、第2のインクがカラーインクである場合、カラーインクが、端部にベンゼン環(疎水部が大半出あれば、一部が親水部を輸していても良い)を有する構造をもつ色材を少なくとも色材として有するインクであると、上記障壁形成がより顕著になる。端部にベンゼン環を有する構造をもつ色材は、一般的に顔料へ吸着しやすい性質を持つ。このことから、顔料の分散安定性を阻害し、カラーインクとブラックインクとを接触させた場合に、ブラックインクおよびカラーインクの廃インク吸収体中への拡散又は移動を阻害する障壁を構成しやすくなる。そのため、本発明における課題が顕著に発生し、その課題を解決してなされる効果も顕著となる。
【0078】
具体的には、カラーインク用の好ましく用いられる色材として以下の構造式(1)、構造式(2)で示す色材が挙げられる。
【0079】
【化1】


【0080】
(構造式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロヘキシル基、モノもしくはジアルキルアミノアルキル基、またはシアノ低級アルキル基を示し、Yは、塩素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、またはモノもしくはジアルキルアミノ基(アルキル基上にスルホ基、カルボキシル基、およびヒドロキシル基からなる群から選択される置換基を有していてもよい)を示し、R2、R3、R4、R5、R6は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、またはカルボキシル基(但し、R2、R3、R4、R5、R6のすべてが水素原子である場合を除く。)を示す。)
構造式(1)で表される化合物の具体例としては、遊離酸の形で下記の構造となる例示化合物が挙げられ、特にM7の例示化合物が好ましく用いられる。
【0081】
【化2】


【0082】
【化3】


【0083】
(構造式(2)中、l=0〜2、m=1〜3、n=1〜3、但し、l+m+n=3〜4であり、置換基の置換位置は、4もしくは4’位を表し、Mはアルカリ金属またはアンモニウムを示し、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、スルホ基、またはカルボキシル基(但し、R1、R2は、同時に水素原子となる場合を除く。)を示し、Yは、塩素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、またはモノもしくはジアルキルアミノ基を示す。)
構造式(2)で示す色材は4−スルホフタル酸誘導体又は、4−スルホフタル酸誘導体と(無水)フタル酸誘導体を金属化合物の存在下に反応させる事で得られるフタロシアニン化合物を原料に用い、スルホン基をクロロスルホン基に変換した後、有機アミン存在下にアミノ化剤を反応させたフタロシアニン化合物、すなわち、構造式(2)中の4及び4’位置(構造式(2)中のR2、R3、R6、R7、R10、R11、R14、R15)に限定して無置換スルファモイル基(−SO2NH2)と置換スルファモイル基(下記構造式(3))を導入したフタロシアニン化合物であるという特徴を持ち、かかる化合物を色材として用いたインクが極めて耐環境ガス性が優れている事を見出した。
【0084】
【化4】


【0085】
構造式(3)で表される化合物の具体例としては、遊離酸の形で下記の構造となる例示化合物が挙げられ、特にC1の例示化合物が好ましく用いられる。
【0086】
【化5】


【0087】
上記のような特性を有する第1のインク及び、第2のインクを用いることで、ブリード性能を従来のインクに比べ格段に向上させることが可能となる。しかしながら、上記の各々の廃インクを廃インク吸収体の隣接させた部分に滴下させた場合、廃インク吸収体中への拡散又は移動を阻害する障壁を構成してしまうという、従来では起きなかった現象を引き起こしてしまった。
【0088】
また、第1のインクが顔料を色材に有するブラックインクとして、第2のインクが染料を色材に有するブラックインクとする、本発明の好ましい一態様がある。この場合の、好ましい染料を色材に有するブラックインクは、上記カラーインクの場合と同様であるが、好ましく用いられる色材として以下の構造式(4)、構造式(5)で示される色材が挙げられる。
【0089】
【化6】


【0090】
(構造式(4)中、R1、R2は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基を示し、R3、R4は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されても良い炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基もしくはカルボキシル基で置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、またはアルキル基もしくはアシル基によって置換されているアミノ基を示し、nは0又は1である)。
【0091】
【化7】


【0092】
(構造式(5)中、R5、R6、R7、R8は、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、スルホ基もしくはカルボキシル基で置換されているアルコキシ基、カルボキシル基もしくはスルホ基でさらに置換されてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、アルキル基、またはアシル基によって置換されているアミノ基を示し、nは0又は1である)。
【0093】
以下に、構造式(4)で示される染料の具体例として例示化合物Bk1〜Bk3、構造式(5)で示される染料の具体例として例示化合物Bk4〜Bk6を遊離酸の形で示すが、本発明で使用する色材は、これらに限定されるものではない。また、下記に挙げるような色材を同時に2種類以上用いてもよく、例示化合物Bk3と例示化合物Bk4を同時に用いるものが特に好ましい。
【0094】
【化8】


【実施例】
【0095】
以下、実施例及び比較例を用いて更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。
【0096】
(使用インク)
(ブラックインク用顔料分散体の作製)
5.5gの水に5gの濃塩酸を溶かした溶液に、5℃に冷却した状態で4−アミノ−1,2−ベンゼンジカルボン酸1.5gを加えた。次に、この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌することにより溶液を常に10℃以下に保った状態とし、これに5℃の水9gに亜硝酸ナトリウム1.8gを溶かした溶液を加えた。この溶液を更に15分間撹拌後、比表面積が220m2/gでDBP吸油量が105mL/100gであるカーボンブラック6gを撹拌下で加えた。その後、更に15分間撹拌した。得られたスラリーをろ紙(商品名:標準用濾紙No.2、アドバンテック社製)でろ過した後、粒子を十分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させ、自己分散型カーボンブラックを調製した。さらに、得られた自己分散型カーボンブラックに水を加えて顔料濃度が10質量%となるように分散させ、分散液を調製した。上記の方法により、カーボンブラック粒子表面に−C63−(COONa)2基が導入されてなる自己分散型カーボンブラックが水中に分散された状態の顔料分散液を得た。
【0097】
(カラーインク用染料の作製)
(シアン染料)
シアン染料は、C.I.ダイレクトブルー199を用いた。
【0098】
(マゼンタ染料1)
キシレン中に下記化合物α、炭酸ナトリウム、ベンゾイル酢酸エチルエステルを反応させ、反応物を濾過、洗浄した。これをN,N−ジメチルホルムアミド中で、メタアミノアセトアニリド、酢酸銅、炭酸ナトリウムを順次仕込み反応させ、反応物を濾過、洗浄した。さらにこれを、発煙硫酸中でスルホン化し、濾過、洗浄を行い、これを水酸化ナトリウム存在下、シアヌルクロライドと縮合反応を行った。
【0099】
この反応液中にアンスラニル酸を添加し、水酸化ナトリウム存在下、縮合反応を行った。これを濾過、洗浄し、下記構造式(6)に示すマゼンタ染料1を得た。
【0100】
【化9】


【0101】
(マゼンタ染料2)
マゼンタ染料2を、下記(A)〜(C)の工程で製造した。
【0102】
(A)2−アミノ安息香酸(アントラニル酸)と1−アミノ−8−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸(H酸)とから、ジアゾ化、カップリング工程を経てモノアゾ化合物を製造した。
【0103】
(B)得られたモノアゾ化合物を塩化シアヌル懸濁液にpH4〜6、温度0〜5℃を保持しながら加えて、数時間反応を行った。次いで室温にてアルカリ性にならない様に、2−アミノ安息香酸(アントラニル酸)水溶液を加えて数時間縮合反応を行った。次いで、25%水酸化ナトリウム水溶液を50〜60℃にて加え、強アルカリ性とし、加水分解反応を行い、反応を完結させた。
【0104】
(C)冷却後、塩化ナトリウムで塩析した。
【0105】
以上により、下記構造式(7)に示すマゼンタ染料2を得た。
【0106】
【化10】


【0107】
(イエロー染料)
イエロー染料は、C.I.ダイレクトイエロー132を用いた。
【0108】
(インク組成)
下記表1に示す組成ブラックインク及びカラーインクを作成した。
【0109】
【表1】


【0110】
ここで、凝集物発生とは、ブラックインクとカラーインクを1:1の比率でガラス瓶中で混合させ、その後1時間放置した後、ガラス瓶を逆さにした際、ガラス瓶の壁面に凝集物であるブツが付着していた場合のことを示す。この凝集物は、本発明における障壁である。
【0111】
さらに、可逆性は、上記のとおり発生した凝集物を混合したインクごと取り出し、それを質量基準で10倍量のガラス瓶中の上記ブラックインクに含有させ、その後1時間放置した後、ガラス瓶を逆さにした際、ガラス瓶の壁面に凝集物であるブツが付着することなく、凝集物が消えていた場合を可逆性ありとして、可逆とした。
【0112】
(使用した水溶性有機溶剤の良溶媒及び貧溶媒の判定方法)
顔料分散液に対する貧溶媒を選択するために以下の実験を行った。顔料分散液の顔料濃度10%水溶液を調製し、これを用いて、以下の配合比にて貧溶媒の判定用分散液を作成した。
【0113】
(良溶媒、貧溶媒の判定用分散液の配合比)
・顔料分散液の顔料濃度10%水溶液:50部
・各水溶性有機溶剤:50部
(判定方法)
次に、上記のようにして調製した貧溶媒の判定用分散液10gを透明なガラス製フタつきサンプルビンに入れ、蓋をした後、十分に攪拌し、これを60℃のオーブン内に48時間静置した。その後、60℃オーブンから取り出した分散液を測定用サンプルとして、当該液中の顔料分散液A及びBの粒径を、濃厚系粒径アナライザ(商品名:FPAR−1000;大塚電子(株)社製)を用いて測定し、これを60℃、48時間加温保存後の良溶媒、貧溶媒の判定用分散液の原液粒径(希釈せずに測定した粒子径)とした。一方、レファレンスとして、貧溶媒の判定用分散液と顔料濃度が等しい顔料水分散体、つまり、水溶性有機溶剤の代わりに同量の水を加えた貧溶媒の判定比較用の顔料水分散液を作成し、当該水分散液は加温保存を行うことなしに上記と同様に濃厚系粒径アナライザによって液中の水不溶性色材の粒径を測定した。そして、得られた判定用分散液の原液粒径を、レファレンスの水分散液の粒径と比較し、60℃、48時間の加温保存後の分散液の原液粒径が、レファレンスの水分散液の原液粒径よりも増大しているものを貧溶媒と判定した。また、60℃、48時間の加温保存後の分散液の原液粒径が、レファレンスの水分散液のそれと同一若しくは小さいくなったものを良溶媒と判定した。
【0114】
なお、上記顔料分散体の貧溶媒となるものは、この中では2−ピロリドンのみであった。
【0115】
(インクジェット記録装置)
インクジェット記録装置として、PIXUS550i(商品名;キヤノン製)を改造し、図1のように長方形の廃インク吸収体を収納できるようにした。さらに、廃インクを廃インク吸収体に導入するチューブを、ブラックインク側、カラーインク側にそれぞれ設け、廃インク吸収体導入位置(図1で示すAとB)を自由に調節できるような改造機を作製した。
【0116】
ここで、廃インク吸収体は、パルプを材料とした繊維状体に構成されたものを使用した。
【0117】
(実施例1)
ブラックインク1とカラーインク1とを用い、さらに、ブラックインク由来の廃インクを導入する位置とカラーインク由来の廃インクを導入する位置の距離を5cmとした。
【0118】
(実施例2)
ブラックインク1とカラーインク1とを用い、さらに、ブラックインク由来の廃インクを導入する位置とカラーインク由来の廃インクを導入する位置の距離を10cmとした。
【0119】
(実施例3)
ブラックインク1とカラーインク1とを用い、さらに、ブラックインク由来の廃インクを導入する位置とカラーインク由来の廃インクを導入する位置の距離を20cmとした。
【0120】
(比較例1)
ブラックインク1とカラーインク1とを用い、さらに、ブラックインク由来の廃インクを導入する位置とカラーインク由来の廃インクを導入する位置を隣接させた。
【0121】
(比較例2)
ブラックインク1とカラーインク1とを用い、さらに、ブラックインク由来の廃インクを導入する位置とカラーインク由来の廃インクを導入する位置の距離を4cmとした。
【0122】
(比較例3)
ブラックインク1とカラーインク1とを用い、さらに、ブラックインク由来の廃インクを導入する位置とカラーインク由来の廃インクを導入する位置の距離を21cmとした。
【0123】
(参考例1)
ブラックインク1とカラーインク2とを用い、さらに、ブラックインク由来の廃インクを導入する位置とカラーインク由来の廃インクを導入する位置を隣接させた(なお、ブラックインク1とカラーインク2とを廃インク吸収体表面で接触させた場合には、障壁を形成しない。)。
【0124】
(評価結果)
(廃インク吸収性能評価)
数行に渡り、マゼンタ100%dutyベタ部に、ブラックインクでアルファベットをAからZまで記載した印字パターンを、キヤノン(株)製のPPC用紙に5枚印字させて、その後、インクジェットヘッドの回復動作を行い、ブラックインクおよびカラーインクを廃インク吸収体に導入させるということを、随時インクタンクを交換しながら、1000枚印字させるまで連続で行った。その結果を以下の基準で評価した。
○:廃インク吸収体が十分廃インクを吸収し、溢れが見られない。
×:廃インクが廃インク吸収体に吸収しきれず、溢れが見られる。
評価結果を表2に示す。
【0125】
【表2】


【0126】
表2より、ブラックインク1とカラーインク2との組み合わせにおいては、廃インク吸収体への各インクの導入位置間の距離が5cm〜20cmの範囲において、廃インク吸収体の吸収性能を十分に発揮できることがわかった。また、参考例1で使用したインクの組み合わせによる、廃インク吸収性能評価での印字パターンは、実施例1〜3及び比較例1〜3で使用したインクの組み合わせによる印字パターンに比べると、印字品位が悪く、ブリードが目立った。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の一実施形態に係る廃インク吸収体の平面図であり、(a)〜(e)は廃インクの保持領域の変化を廃インクの吸収経過に従って順に示した図図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る廃インク吸収体の平面図であり、(a)〜(d)は廃インクの保持領域の変化を廃インクの吸収経過に従って順に示した図図である。
【図3】(a)〜(c)は、廃インク吸収体中における廃液の拡散経過を示す断面図である。
【図4】複数の吸収部材からなる廃インク吸収体の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0128】
9,100 廃インク吸収体
11,12 廃インク
101,102 廃液
103 色材
104 溶剤




 

 


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