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発明の名称 インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録ヘッドの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−7981(P2007−7981A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−191242(P2005−191242)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一
発明者 沖藤 和彦 / 野澤 実
要約 課題
吐出口プレートを薄く形成した場合においても、それが破壊されることを防止して、信頼性をより高めることができるインクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供すること。

解決手段
吐出口プレート10とインク流路壁8との結合部分に、複数の屈曲部を有する部位9′を形成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
インクの吐出エネルギー発生素子を備える基板と、インクの吐出口が形成される吐出口プレートと、の間に、インク流路壁によってインク流路が形成され、吐出エネルギー発生素子が発生する吐出エネルギーを利用して、前記インク流路内のインクを前記吐出口から吐出可能なインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記インク流路壁の端部と前記吐出口プレートとの結合部分に、複数の屈曲部が形成されることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項2】
前記吐出エネルギー発生素子、前記吐出口、および前記インク流路は、複数組形成され、
前記複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口を備え、
前記インク流路壁の端部と前記吐出口プレートとの結合部分の内、前記インク供給口に近い結合部分は、他の結合部分よりも前記屈曲部が多く形成される
ことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項3】
前記複数の屈曲部は円弧形状であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項4】
前記吐出口プレートの表面は、剥離可能な保護テープの貼付が可能であり、
前記複数の屈曲部は、前記保護テープの剥離方向の下流側に位置する前記インク流路壁の端部と前記吐出口プレートとの結合部分に形成される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項5】
インクの吐出エネルギー発生素子を備える基板と、インクの吐出口が形成される吐出口プレートと、の間に、インク流路壁によってインク流路が形成され、吐出エネルギー発生素子が発生する吐出エネルギーを利用して、前記インク流路内のインクを前記吐出口から吐出可能なインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記吐出口プレートの内面に、前記基板に対向する方向に突出する吐出口プレート補強部を設け、
前記吐出口プレートと前記吐出口プレート補強部との結合部分に、複数の屈曲部が形成されることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項6】
前記吐出口プレートと前記インク流路壁は樹脂材料によって一体に形成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項7】
インクの吐出エネルギー発生素子を備える基板と、インクの吐出口が形成される吐出口プレートと、の間に、インク流路壁によってインク流路が形成され、吐出エネルギー発生素子が発生する吐出エネルギーを利用して、前記インク流路内のインクを前記吐出口から吐出可能なインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
前記基板の内面に、溶解可能な樹脂によって前記インク流路の形状のインク流路パターン部を形成する工程と、
前記インク流路パターン部の上に、前記吐出口プレートおよび前記インク流路壁を形成するための被覆樹脂を被覆する工程と、
前記インク流路パターン部を形成する前記溶解可能な樹脂を溶出除去する工程と、
を含み、
前記インク流路パターン部を形成する工程において、前記インク流路壁の端部と前記吐出口プレートとの結合部分に対応する前記インク流路パターン部の部分に、複数の屈曲部を形成し、
前記被覆樹脂を被覆する工程において、前記インク流路壁の端部と前記吐出口プレートとの結合部分に対応する前記被覆樹脂の部分に、前記インク流路パターン部に形成した前記複数の屈曲部を転写させる
ことを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項8】
インクの吐出エネルギー発生素子を備える基板と、インクの吐出口が形成される吐出口プレートと、の間に、インク流路壁によってインク流路が形成され、吐出エネルギー発生素子が発生する吐出エネルギーを利用して、前記インク流路内のインクを前記吐出口から吐出可能なインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
前記基板の内面に、溶解可能な樹脂によって前記インク流路の形状のインク流路パターン部を形成する工程と、
前記インク流路パターン部の上に、前記吐出口プレートおよび前記インク流路壁を形成するための被覆樹脂を被覆する工程と、
前記インク流路パターン部を形成する前記溶解可能な樹脂を溶出除去する工程と、
を含み、
前記インク流路パターン部は、前記吐出口プレートの内面から前記基板の方向に突出する吐出口プレート補強部に対応する部分を含み、
前記インク流路パターン部を形成する工程において、前記吐出口プレートと前記吐出口プレート補強部との結合部分に対応する前記インク流路パターン部の部分に、複数の屈曲部を形成し、
前記被覆樹脂を被覆する工程において、前記吐出口プレートと前記吐出口プレート補強部との結合部分に対応する前記被覆樹脂の部分に、前記インク流路パターン部に形成した前記複数の屈曲部を転写させる
ことを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記溶解可能な樹脂としてポジ型感光性樹脂を用い、
前記インク流路パターン部を形成する工程は、フォトマスクを通して露光することにより、前記インク流路パターン部および前記複数の屈曲部をパターンニングする
ことを特徴とする請求項7または8に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記フォトマスクは、前記複数の屈曲部に対応する部分に、露光量を段階的に変化させる部分を含むことを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク吐出口から記録用液体(以下、「インク」と称する)を吐出させて、それを被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録ヘッドの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式(液体噴射記録方式)に適用されるインクジェット記録ヘッドは、一般に、微細な吐出口と、この吐出口に連通するインク流路(液流路)と、このインク流路の一部に設けられるインク吐出エネルギー発生部(液体吐出エネルギー発生部)と、を複数組み備えている。このようなインクジェット記録ヘッドを用いて高品位の画像を記録するためには、複数の吐出口のそれぞれから、常に同じ体積のインク液滴が同じ吐出速度で吐出されることが望ましい。
【0003】
このようなインク液滴の吐出を実現するためのインクジェット記録ヘッドにおいては、電気熱変換素子と吐出口との間の距離(以下、「OH距離」と称す)は短い方が好ましい。そのOH距離は、インク液滴の吐出体積をほぼ決定するため、それを正確かつ再現性良く設定することが必要である。
【0004】
このようなインクジェット記録ヘッドの製造方法としては、特許文献1に、OH距離を極めて高い精度で短くかつ再現よく形成可能なインクジェット記録ヘッドの製造方法が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平6−286149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法によって吐出口プレートを薄く形成した場合であっても、次のような不具合を生じるおそれがある。すなわち、インクジェット記録ヘッド製造時に、インク吐出圧力発生素子が形成された基板を支持する部材の膨張収縮により、その基板に応力が掛かり、インク流路を形成するインク流路壁と吐出口プレートとの結合部である角部を起点として、吐出口プレートが破壊されるおそれがある。また、吐出口プレートと吐出口プレート補強部との結合部である角部を起点として、吐出口プレートが破壊されるおそれもある。
【0007】
さらに、インクジェット記録ヘッドの物流時におけるインクの飛び散り、およびノズルへのゴミや空気の侵入等を防ぐために、吐出口プレートの表面に保護テープを貼って、ノズルを密閉、保護した場合には、その記録ヘッドの実使用時に、保護テープを剥離したときの引っ張り応力によって、吐出口プレートが破壊されるおそれがあった。
【0008】
本発明の目的は、吐出口プレートを薄く形成した場合においても、それが破壊されることを防止して、信頼性をより高めることができるインクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のインクジェット記録ヘッドは、インクの吐出エネルギー発生素子を備える基板と、インクの吐出口が形成される吐出口プレートと、の間に、インク流路壁によってインク流路が形成され、吐出エネルギー発生素子が発生する吐出エネルギーを利用して、前記インク流路内のインクを前記吐出口から吐出可能なインクジェット記録ヘッドにおいて、前記インク流路壁の端部と前記吐出口プレートとの結合部分に、複数の屈曲部が形成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のインクジェット記録ヘッドは、インクの吐出エネルギー発生素子を備える基板と、インクの吐出口が形成される吐出口プレートと、の間に、インク流路壁によってインク流路が形成され、吐出エネルギー発生素子が発生する吐出エネルギーを利用して、前記インク流路内のインクを前記吐出口から吐出可能なインクジェット記録ヘッドにおいて、前記吐出口プレートの内面に、前記基板に対向する方向に突出する吐出口プレート補強部を設け、前記吐出口プレートと前記吐出口プレート補強部との結合部分に、複数の屈曲部が形成されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法は、インクの吐出エネルギー発生素子を備える基板と、インクの吐出口が形成される吐出口プレートと、の間に、インク流路壁によってインク流路が形成され、吐出エネルギー発生素子が発生する吐出エネルギーを利用して、前記インク流路内のインクを前記吐出口から吐出可能なインクジェット記録ヘッドの製造方法において、前記基板の内面に、溶解可能な樹脂によって前記インク流路の形状のインク流路パターン部を形成する工程と、前記インク流路パターン部の上に、前記吐出口プレートおよび前記インク流路壁を形成するための被覆樹脂を被覆する工程と、前記インク流路パターン部を形成する前記溶解可能な樹脂を溶出除去する工程と、を含み、前記インク流路パターン部を形成する工程において、前記インク流路壁の端部と前記吐出口プレートとの結合部分に対応する前記インク流路パターン部の部分に、複数の屈曲部を形成し、前記被覆樹脂を被覆する工程において、前記インク流路壁の端部と前記吐出口プレートとの結合部分に対応する前記被覆樹脂の部分に、前記インク流路パターン部に形成した前記複数の屈曲部を転写させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、吐出口プレートとインク流路壁との結合部分、もしくは、吐出口プレートと吐出口プレート補強部との結合部分に、複数の屈曲部を形成することによって、それらの結合部分に、インクジェット記録ヘッド製造時の膨張収縮による応力、または保護テープ剥離時の引っ張り応力が掛かったときに、それらの応力を分散することができる。この結果、それらの結合部分の強度を高め、吐出口プレートの破壊を防止して、インクジェット記録ヘッドの信頼性を向上させることができる。
【0013】
また、従来のインクジェット記録ヘッドの製造方法に比して、ほとんど工程数が増えることがないため、コストアップを招くことなく、信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態におけるインクジェット記録ヘッドの基板1の概略斜視図、図2は、本発明の第1の実施形態におけるインクジェット記録ヘッドの完成時の概略平面図である。
【0016】
図3に示すように、インクジェット記録ヘッドの完成時には、基板1に形成されたインク供給口3の両側に、ヒーター(電気熱変換素子)2が配置される。インク流路7を形成するためのインク流路壁8と、インクを吐出するための吐出口6を形成するための吐出口プレート10と、は、同一の部材によって形成されている。各インク流路7は、個々のヒーター2が独立的に位置するように形成され、また各吐出口6は、個々のヒーター2と対向する位置に設けられている。また、シリコン、ガラス、セラミック等からなる基板1は、液流路構成部材の一部として機能し、またインク流路および吐出口を形成する材料層であるインク流路壁8および吐出口プレート10の支持体として機能する。基板1は、このような機能をもつものであればよく、その形状や材質は特に限定されない。基板1には、ヒーター2が所望数配置される。ヒーター2によって、インク流路7内のインクを加熱することにより、そのインク中に気泡が発生し、その発泡エネルギーによって吐出口6からインクが吐出される。
【0017】
図3(a)から(f)は、図2の記録ヘッドの各製造段階における図1および図2のIII−III線に沿う断面図、つまりヒーター2および吐出口6の中心位置を通るIII−III断面図である。また図4(a)から(f)は、図2の記録ヘッドの各製造段階における図1および図2のIV−IV線に沿う断面図、つまりインク流路壁8の位置を通るIV−IV断面図である。
【0018】
記録ヘッドの製造に際しては、まず、図3(a)および図4(a)のように、ヒーター2を含む基板1上に、溶解可能な樹脂4を被覆する。その被覆方法としては、スピンコート、ロールコート等があり、またドライフィルムをラミネートしてもよい。溶解可能な樹脂4は、例えば、東京応化工業(株)のポジレジストODURなどを挙げることができる。
【0019】
図3(b)および図4(b)は、溶解可能な樹脂4をインク流路の形状(インク流路パターン部)にパターニングするために、図5に示すフォトマスク100を介して露光する工程を示す。結果的に樹脂4には、その後の現像工程により、図3(c)および図4(c)のように、各インク流路7に対応する部分4Aと、それらの間に位置する共通液室12(図2参照)に対応する部分4Bと、が形成される。図5のフォトマスク100において、101はインク流路壁8に対応する部分、102はインク流路7に対応する部分、103は共通液室12に対応する部分であり、また同図中のIII−IIIに沿って断面した図が図3(b)であり、同図中のIV−IV線に沿って断面した図が図4(b)である。
【0020】
フォトマスク100において、インク流路壁8に対応する部分101の先端部101A、つまりインク流路壁8の先端部8Aに対応する部分には、露光の程度を段階的に変化させる所定のパターンが形成されている。そのパターンは、先端部101Aから共通液室12に対応する部分103に向かうにしたがって、露光量を段階的に小さくするものである。例えば、先端部101Aから部分103に向かうにしたがって、光の透過部分の面積が樹脂(ポジレジスト)4の限界解像度以下にまで段階的に細かくなるパターンである。このようにパターンを通しての露光により、現像後の樹脂4の部分4Bにおける上面4B−1と側面4B−2との間の角部には、複数(無限を含む)の屈曲部を有する部位9が形成される。
【0021】
部位9の形状は、それが無限の屈曲部を有する場合には、図6(a)のような円弧形状となる。部位9は、屈曲部の数(複数)に応じて、図6(b)、(c)のような階段形状とすることができる。このような部位9の形状は、前述したフォトマスク100の先端部101Aのパターンに応じて設定することができる。
【0022】
図3(d)および図4(d)は、インク流路壁8および吐出口プレート10となる被覆樹脂層5を被覆する工程を示す。被覆樹脂層5としては、インク吐出口6をフォトリソグラフィーによって容易かつ精度よく形成できることから、感光性のものが好ましい。その材料としては、エポキシ樹脂のカチオン重合硬化物が優れた強度、密着性、および耐インク性を有している。その被覆樹脂層5を被覆する方法としては、溶解可能な樹脂4の場合と同様にスピンコート、ロールコート等がある。
【0023】
図3(e)および図4(e)は、被覆樹脂層5に吐出口6を形成するために、フォトマスク200を介して光を露光する工程を示す。被覆樹脂層5はネガ型感光性樹脂であるため、図3(e)中のフォトマスク200における黒部201と対向する部分は露光されない。その部分は、図3(f)および図4(f)に示す後の現像工程において除去され、これにより吐出口6が形成される。
【0024】
図3(f)および図4(f)は、溶解可能な樹脂4をアルカリ液や溶剤などによって溶解除去し、さらに、基板1の後方から、インクを供給するためのインク供給口3を形成する工程を示す。供給口3の形成においては、基板1に穴が形成できればいずれの方法も使用することができる。例えば、ブラスト加工やエッチング加工などの方法があり、吐出口6の形成工程の前に供給口3を形成してもよい。勿論、インク供給口3を基板1のエッジ部分等に設けてもよい。
【0025】
以上の製造方法により、インク流路壁8と吐出口プレート部10とを同一の部材によって形成することができた。前述したように、インク流路壁8は、基板1におけるインク供給口3の両側に配置されるヒーター2に対して、独立的にインク流路7を形成するための壁であり、また吐出口プレート10は、個々のヒーター2と対向する位置に吐出口6を形成するためのプレートである。
【0026】
インク流路壁8のインク供給口3側の先端部8Aと、吐出口プレート10と、の結合部分には、図6(a),(b),(c)のように、前述した樹脂4の部位9に対応する形状の部位9′が転写される。つまり、その部位9′には、樹脂5の部位9における複数の屈曲部を反転させた形状の複数(無限を含む)の屈曲部が形成されることになる。このような部位9′が位置する部分、つまりインク流路壁8の先端部8Aと吐出口プレート10との結合部分は、インクジェット記録ヘッドの製造時に破損しやすい部分である。すなわち、インクジェット記録ヘッドの製造時に、基板1を支持固定する不図示の部材が膨張収縮して基板1に応力が掛かった時に、吐出口プレート10上において最も応力が集中しやすい部分である。
【0027】
このような破損しやすい結合部分に、複数の屈曲部を有する部位9′を形成することにより、その結合部分に掛かる応力を分散して、その強度を高めることができる。この結果、吐出口プレート10の破壊を防止し、インクジェット記録ヘッドの信頼性を高めて、インクの小液滴の吐出による高画質の写真調画像の記録を実現することができる。
【0028】
複数の屈曲部を有する部位9’の形状は、図6(a)のように、無限の屈曲部を有する円弧形状であることが望ましい。しかし部位9’は、図6(b),(c)のように、2つ以上の屈曲部が段階的に形成される形状であってもよい。また、インク流路壁8の先端部8Aと吐出口プレート10との結合部分において、部位9′が位置する部分以外は、インク吐出への影響を考慮して、1つの屈曲部を有する角となるように形成される(図3(f)参照)。
【0029】
(第2の実施形態)
図7(a),(b),(c)は、本発明の第2の実施形態における記録ヘッドの製造段階の断面図である。
【0030】
本実施形態においては、吐出口プレート10のインク供給口3と対向する位置に、凸状の吐出口プレート補強部11が形成される。この吐出口プレート補強部11と吐出口プレート10との結合部分には、インク流路壁8の先端部8Aと吐出口プレート10との結合部分と同様に、複数(無限を含む)の屈曲部を有する部位9’を形成する。
【0031】
図7(a)は、溶解可能な樹脂4をインク流路7および共通液室12の形状にパターニングするために、フォトマスク110を介して露光する工程を示す。フォトマスク110において、112は流路壁8に対応する部分、114は吐出口プレート補強部11に対応する部分、113は共通液室12に対応する部分である。また111は、部分112と部分113との境、および部分114と部分113との境に対応する部分であり、前述した実施形態のフォトマスク100における先端部101Aと同様に、露光量を段階的に変化させる所定のパターンが形成されている。そのパターンは、例えば、部分112から部分113、および部分114から部分113に向かうにしたがって、光の透過部分の面積が樹脂(ポジレジスト)4の限界解像度以下にまで段階的に細かくなるパターンである。
【0032】
このようなフォトマスク110を用いて露光した後、現像することにより、図7(b)のように、共通液室12に対応する樹脂4(ポジレジスト)の部分4Bの角部に、複数の屈曲部を有する部位9が形成される。その後、図3および図4と同様の工程を経ることによって、図7(c)のように、部位9と対応する樹脂5の部分、つまり吐出口プレート補強部11と吐出口プレート10との結合部分、およびインク流路壁8の先端部8Aと吐出口プレート10との結合部分に、複数(無限を含む)の屈曲部を有する部位9’が形成される。
【0033】
吐出口プレート補強部11が設けられるインクジェット記録ヘッドにおいて、その吐出口プレート補強部11と吐出口プレート10との結合部分は、インク流路壁8の先端部8Aと吐出口プレート10との結合部分と同様に、応力が集中しやすく破壊されやすい。しかし本実施形態のように、複数の屈曲部を有する部位9′を形成することにより、インク流路壁8の先端部8Aと吐出口プレート10との結合部分と同様に、吐出口プレート補強部11と吐出口プレート10との結合部分の強度も高めて、吐出口プレート10の破壊を防止することができる。
【0034】
(第3の実施形態)
図8および図9は、本発明の第3の実施形態におけるインクジェット記録ヘッド300の説明図である。
【0035】
インクジェット記録ヘッド300は、その物流時におけるインクの飛び散り、およびノズル(吐出口を含む)内へのゴミや空気の侵入の防止等を目的として、吐出口プレート10の表面に剥離可能な保護テープ400が貼り付けられている。その保護テープ400はノズルを密閉して、それを保護する。このような保護テープ400を備えた記録ヘッド300は、実使用時に保護テープ400を剥離する際に、その引っ張り応力によって吐出口プレート10が破壊されるおそれがある。その引っ張り応力は、保護テープ400の剥離方向(X)の下流側に位置するインク流路壁8の先端部8Aと吐出口プレート10との結合部分、つまり図9中左側に位置するインク流路壁8の先端部8Aと吐出口プレート10との結合部分に最も集中する。
【0036】
そこで本実施形態においては、図9に示すように、図9中においてインク供給口3の左側に位置するインク流路壁8の先端部8Aと吐出口プレート10との結合部分、つまり保護テープ400の剥離時における引張り応力が最も集中する部分に、前述したような複数(無限を含む)の屈曲部を有する部位9’を形成する。これにより、その引張り応力が最も集中する部分において、その部分に掛かる引張り応力を分散させて、その強度を高めることができる。
【0037】
このように複数の屈曲部を有する部位9′を形成することにより、吐出口プレート10の表面が保護テープ400によって保護される記録ヘッド300において、保護テープ400の剥離時の引張り応力による吐出口プレート10の破壊を防止することができる。これにより、信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを提供することができる。
【0038】
なお複数の屈曲部を有する部位9′は、図9中においてインク供給口3の左側に位置するインク流路壁8の先端部8Aと吐出口プレート10との結合部分のみならず、図9中においてインク供給口3の右側に位置するインク流路壁8の先端部8Aと吐出口プレート10との結合部分にも形成することが望ましい。
【0039】
(他の実施形態)
インクの吐出エネルギー発生素子としては、前述したような電気熱変換素子(ヒーター)の他、ピエゾ素子などの種々の素子を利用することができる。要は、インクを吐出させるためのエネルギーを発生するものであればよい。
【0040】
また、本発明のインクジェット記録ヘッドは、いわゆるシリアルスキャンタイプのインクジェット記録装置に用いたり、または記録媒体の記録領域の全域に渡って延在するように長尺に構成して、いわゆるフルラインタイプのインクジェット記録装置に用いたりすることができる。
【0041】
また、複数の屈曲部を有する部位9′の形状は、前述した例のみに特定されず任意であり、応力を分散させる複数の屈曲部が形成されればよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態のインクジェット記録ヘッドに備わる基板の概略斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるインクジェット記録ヘッドを吐出口の方向から見た模式図である。
【図3】(a)から(f)は、図2のインクジェット記録ヘッドの製造工程を説明するために、図1および図2のIII−III線に沿って断面した図である。
【図4】(a)から(f)は、図2のインクジェット記録ヘッドの製造工程を説明するために、図1および図2のIV−IV線に沿って断面した図である。
【図5】図3(b)のパターニング工程において用いられるフォトマスクの平面図である。
【図6】(a)から(c)のぞれぞれは、図2のインクジェット記録ヘッドにおけるインク流路壁と吐出口プレートとの結合部分の異なる構成例を説明するための断面図である。
【図7】(a)から(c)は、本発明の第2の実施形態におけるインクジェット記録ヘッドの製造工程を説明するための図である。
【図8】本発明の第3の実施形態におけるインクジェット記録ヘッドの斜視図である。
【図9】図8のインクジェット記録ヘッドから保護テープを剥離する状態の説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 基板
2 電気熱変換素子(ヒーター)
3 インク供給口
4 溶解可能な樹脂層
5 被覆樹脂層
6 吐出口
7 インク流路
8 インク流路壁
9 複数の屈曲部を有する部位
9′ 複数の屈曲部を有する部位
10 吐出口プレート
11 吐出口プレート補強部
100,200 フォトマスク
300 インクジェット記録ヘッド
400 保護テープ




 

 


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