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発明の名称 液体吐出ヘッドおよびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1297(P2007−1297A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2006−142256(P2006−142256)
出願日 平成18年5月23日(2006.5.23)
代理人 【識別番号】100095991
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 善朗
発明者 倉島 玲伊 / 牛島 隆志 / 中西 宏一郎
要約 課題
高密度ノズルを具備した液体吐出ヘッドの基板の剛性の低下を抑制する。

解決手段
本発明の液体吐出ヘッドは、それぞれ圧力発生素子を具備した複数の圧力発生室102と、該複数の圧力発生室102にそれぞれ連通し、液体を吐出する複数のノズル口113と、前記複数の圧力発生室102がそれぞれ連通部を介して共通に連通されたリザーバ108と、を有している。前記圧力発生室102と前記リザーバ108とが同一の基板100の二つの主面のうちの一方の主面および他方の主面にそれぞれ形成された凹部を有し、前記リザーバ108内における前記連通部の近傍の連通部近傍部107の深さよりも浅い部位が、前記リザーバ内に設けられている。
特許請求の範囲
【請求項1】
それぞれ圧力発生素子を具備した複数の圧力発生室と、該複数の圧力発生室にそれぞれ連通し、液体を吐出する複数のノズル口と、前記複数の圧力発生室がそれぞれ連通部を介して共通に連通されたリザーバと、を有し、前記圧力発生室と前記リザーバとが同一の基板の二つの主面のうちの一方の主面および他方の主面にそれぞれ形成された凹部を有し、前記リザーバ内における前記連通部の近傍の連通部近傍部の深さよりも浅い部位が、前記リザーバ内に設けられていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記連通部は、前記リザーバの前記連通部近傍部の領域内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記ノズル口が、前記リザーバと同一の基板内に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記ノズル口を有するノズルプレートを、前記ノズル口が前記圧力発生室にノズル連絡部を介して連通するように、前記基板に積層したことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記圧力発生素子が、圧電アクチュエータもしくは電歪アクチュエータであることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
それぞれ圧力発生素子を具備した複数の圧力発生室と、該複数の圧力発生室にそれぞれ連通し、液体を吐出する複数のノズル口と、前記複数の圧力発生室がそれぞれ連通部を介して共通に連通されたリザーバと、を有する液体吐出ヘッドの製造方法において、
基板の二つの主面のうちの一方の主面における少なくとも前記連通部に対応する部位に対してエッチングを施すことにより、凹部を形成する工程と、
前記一方の主面における前記リザーバに対応する部位に対してエッチングを施すことにより、前記リザーバとなる凹部を形成する工程と、
前記基板の二つの主面のうちの他方の主面に対してエッチングを施すことにより、前記圧力発生室となる凹部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項7】
前記リザーバに対応する部位に対してエッチングを施すことにより、前記リザーバとなる凹部を形成する工程は、前記基板上に順次、前記リザーバに対応する開口部を有する第一のエッチングパターンと、前記少なくとも連通部に対応する開口部を有する第二のエッチングパターンとを積層しておき、
前記少なくとも連通部に対応する開口部は、前記リザーバに対応する開口部に含まれ、前記第二のエッチングパターンによるエッチング加工およびその剥離ののち、前記第一のエッチングパターンによるエッチング加工を施すことを特徴とする請求項6記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記リザーバに対応する部位に対してエッチングを施すことにより、前記リザーバとなる凹部を形成する工程は、前記基板上の前記リザーバに対応する部分に格子状のエッチングパターンを形成する工程を含み、前記少なくとも連通部に対応する開口部に形成される前記エッチングパターンの格子1つあたりに対応する開口面積は、前記少なくとも連通部に対応する開口部以外の前記リザーバに対応する開口部に形成される前記エッチングパターンの格子1つあたりに対応する開口面積より大きいことを特徴とする請求項6記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力発生素子から発生させた吐出エネルギーにより液滴を吐出させて、被記録媒体に画像形成する液体吐出記録装置に用いられる液体吐出ヘッドおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴を吐出して被記録媒体上に付着させて画像形成を行う液体吐出方式の記録装置は、高画質、高精細の記録要求に応えるために、多ノズル化に伴う精密微細加工と、複雑な形状が必要とされている。そこで、単結晶Si基板に異方性エッチングなどを用いて簡便に微細且つ複雑な形状を形成できるマイクロマシニング技術を応用したインクジェットヘッドの製造方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開平5−229128号公報)に開示されたインクジェットヘッドの製造方法を図8に示す。流路基板500はシリコン単結晶基板を用いる。流路基板500の一方の面に2段階の異方性エッチングを施すことで、ノズル501、圧力発生室502、インク供給口503、リザーバ504等のインク流路を一体形成している。
【0004】
また、特許文献2(特開平10−209113号公報)に開示されたインクジェットヘッドの製造方法を、図9に示す。Si(110)単結晶基板600を用いて異方性エッチングによる溝を形成する際に、溝形成用のマスクパターン601を用いることで、エッチングレートの面積依存性を低減している。工程を、図9(a)に示す。開口部602を有するマスクパターン601によるエッチングを行うことで、図9(b)に示すように狭い幅の溝603を形成する。続いて、図9(c)に示すようにこれらの狭い幅の溝603間のシリコン部分604をエッチング除去し、図9(d)に示すように広い幅の溝605を形成する。
【特許文献1】特開平5−229128号公報
【特許文献2】特開平10−209113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1(特開平5−229128号公報)に開示された製造方法は、エッチング速度の結晶方位依存性を利用しているのでリザーバの形成精度の高いものが形成可能であるが、使用可能なシリコン単結晶基板の面方位が限られているためにプロセス上の制約が生じる場合がある。
【0006】
また、シリコン単結晶基板にリザーバを形成するため、Si(100)基板の異方性エッチングで高密度ノズルを形成すると、必然的に基板厚さが薄くなる。この為、基板剛性の確保が難しくなり、歩留まりの向上、ヘッドの耐久性、安定性が図られない。特に、Si(110)基板を用いた場合は、形状自由度の制限、リザーバ深さの調節に多段マスク層が必要など、工程的にもより難しくなることが予想される。
【0007】
特許文献2(特開平10−209113号公報)に開示された製造方法は、Si(110)単結晶基板の結晶異方性エッチングを利用している。この場合も使用可能なSi単結晶基板の面方位が限られているためにプロセス上の制約が生じる場合がある。
【0008】
特に、矩形以外の複雑な形状を有する溝を作製したい場合や、エッチング底面の深さがエッチング開口領域で異なる場合、さらには比較的大きなエッチング深さの必要な場合には所望の形成精度を満たさなくなるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであって、基板剛性の低下を抑制する液体吐出ヘッドおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液体吐出ヘッドは、それぞれ圧力発生素子を具備した複数の圧力発生室と、該複数の圧力発生室にそれぞれ連通し、液体を吐出する複数のノズル口と、前記複数の圧力発生室がそれぞれ連通部を介して共通に連通されたリザーバと、を有し、前記圧力発生室と前記リザーバとが同一の基板の二つの主面のうちの一方の主面および他方の主面にそれぞれ形成された凹部を有し、前記リザーバ内における前記連通部の近傍の連通部近傍部の深さよりも浅い部位が、前記リザーバ内に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のとおりリザーバ内における連通部の近傍の連通部近傍部の深さよりも浅い部位がリザーバ内に設けられているので、基板のリザーバが設けられている部位の剛性が不用意に低下することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
プラズマエッチング加工によって液体吐出ヘッドのリザーバを形成するには、例えばICP放電(Inductively Coupled Plasma)を用いたドライエッチング加工(以下、「ICP放電エッチング加工」という。)を用い、Si基板表面に略垂直の側壁を有する溝を形成する。プラズマエッチング加工なので、使用するSi単結晶基板の面方位に制限はないが、通常はSi(100)基板を使用する。
【0014】
図1は、一実施の形態による液体吐出ヘッドの製造方法を説明する工程図である。
【0015】
(1)図1(a)に示すように、基板10の二つの主面のうち一方の主面(A面)に、圧力発生室12および連通部である後方絞り20に対応する開口部を有するエッチングマスクパターン11を形成する。また、基板10の他方の主面(B面)に、1層目としてリザーバ18に対応する開口部を有する第1エッチングマスクパターン14を形成する。さらにその上の2層目としてリザーバ内部における後方絞り20が開口されている連通部とその近傍部を含む連通部近傍部17のみをエッチングできる開口部を有する第2エッチングマスクパターン16を形成する。
【0016】
(2)上記工程(1)ののち、基板10のA面側に、エッチングマスクパターン11を用いたICP放電エッチング加工を施して圧力発生室12および後方絞り20に対応する凹部を形成する。
【0017】
(3)上記工程(2)ののち、基板10のB面側に、第2エッチングマスクパターン16を用いたICP放電エッチング加工を施すことにより、リザーバ18に対応する凹部内における連通部とその近傍の連通部近傍部17に対応する凹部を形成する。
【0018】
(4)上記工程(3)ののち、図1(b)に示すように、B面側の第2エッチングマスクパターン16をエッチング剥離したのち、第1エッチングマスクパターン14を用いたICP放電エッチング加工を行って、リザーバ18に対応する凹部を形成する。
【0019】
このように、第2エッチングマスクパターン16を用いて形成された連通部近傍部17が、第1エッチングマスクパターン14を用いて形成された凹部より深い(よりA面に近い)形態をとっている為、基板A面に形成された絞り部20と確実に連通する。その為、第1エッチングマスクパターン14を用いて形成された凹部を、必要以上にオーバーエッチングする必要がなく、基板の剛性劣化を抑制できる。
【0020】
本実施の形態において、エッチングマスクパターンとしては、Siに対してICP放電エッチング加工時の選択性を有し、1層目と2層目とが選択的に除去可能なものであればその種類を問わない。例えば、1層目は熱酸化膜をパターニング形成したもの、2層目はレジストをパターニング形成したものでもよい。この場合、両エッチングマスクパターンともSiに対して高いエッチング選択比を有している。エッチングマスクパターンの除去については、レジストは酸素プラズマで、熱酸化膜はBHF(Buffered Hydrogen Fluoride)で選択的に除去可能である。
【0021】
図2は、他の実施の形態による液体吐出ヘッドの製造方法を説明する工程図である。
【0022】
(1)本実施の形態では、図2(a)に示すように、基板50のB面側に、リザーバ58に対応する領域内に互いに間隔をおいてモザイク状に配列された複数の小開口部を設けたエッチングマスクパターン56を形成する。
【0023】
(2)上記工程(1)ののち、ICP放電エッチング加工を施して、リザーバ58に対応する凹部内に、互いに間隔をおいてモザイク状に配列された複数の柱状体59を形成する。
【0024】
(3)上記工程(2)ののち、図2(c)に示すように、例えば、TMAH(Tetra methyl ammonium hydroxide )等の等方性エッチングを行って、複数の柱状体59を除去する。
【0025】
本実施の形態によれば、ICP放電エッチング加工時におけるリザーバに対応する凹部内のエッチングの深さむらを低減でき、平坦なエッチング底面が形成可能である。この場合、エッチング底面において、リザーバ58に対応する凹部内にモザイク状に微小突出部60が形成されるが、問題になるレベルではない。等方性エッチャントにTMAHを用いた場合は、ICP放電エッチング加工で用いられるエッチングマスクパターンとして熱酸化膜を用いるとよい。
【0026】
また、エッチングマスクパターンのモザイク状に配列された小開口部の形状は、均一形状でも、面積の異なる形状の組み合わせでも問題無い。均一形状の場合、エッチング速度の面積依存が少なく結果的に同一深さで構成される。
【0027】
面積の異なる形状の場合、開口面積の大きい方はエッチング速度が相対的に速くエッチングされやすいことを利用して、凹部の底面に段差形状を形成することが可能である。
【0028】
なお、等方性エッチングを行うエッチャントは、プロセス工程において問題なければ、(フッ酸、酢酸、硝酸)の混酸、Fを主成分とするエッチングガスなどでも使用可能である。その際のエッチングマスクパターン層は、上記プロセスからみて可能なものを用いる。
【0029】
圧力発生素子としては、圧電膜または電歪素子、発熱素子、静電気力などが代表的であるが、吐出圧力を発生できる素子ならばその種類は問わない。
【0030】
振動板上への圧電膜または電歪膜の形成方法としては、成膜基板上に成膜された圧電膜または電歪膜を接着剤もしくは陽極接合で接着・接合後、成膜基板を剥離してもよい。また、直接振動板上に下電極を形成したのち、構造体の許容する温度範囲内、かつプロセス工程からみて可能な成膜手段を用いて圧電膜または電歪膜を成膜してもよい。例えば、スパッタリング、CVD、ゾルゲル、EB蒸着、レーザーアブレーションなどを用いる。
【0031】
圧電膜または電歪膜に用いられる材料としては、ペロブスカイト型化合物が挙げられる。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛PZT[Pb(ZrxTi1−x)O3 ]やチタン酸バリウムBaTiO3 などの圧電材料やリラクサ系材料の電歪材料である。チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のxは0.40から0.65のMPB(meso phase boundary )組成が好ましいが、それ以外の組成比でもよい。PZTの結晶構造は正方晶、菱面体晶のいずれの結晶構造でもよい。BaTiO3 は、正方晶で(001)配向された膜が好ましい。また、BaTiO3 は微量の鉛、ビスマスが含有していてもよい。
【0032】
本発明で使用する電歪材料としては、以下の物が選択できる。
【0033】
例えば、PMN[Pb(MgxNb1−x)O3 ]、PNN[Pb(NbxNi1−x)O3 ]、PSN[Pb(ScxNb1−x)O3 ]、PZN[Pb(ZnxNb1−x)O3 ]、PMN−PT{(1-y)[Pb(MgxNb1−x)O3 ]−y[PbTiO3 ]}、PSN−PT
{(1−y)[Pb(ScxNb1−x)O3 ]−y[PbTiO3 ]}、PZN−PT{(1−y)[Pb(ZnxNb1−x)O3 ]−y[PbTiO3 ]}、LN[LiNbO3 ]、KN[KNbO3 ]である。ここで、xおよびyは1以下で0以上の数である。例えば、PMNの場合xは0.2〜0.5で、PSNではxは0.4〜0.7が好ましく、PMN−PTのyは0.2〜0.4、PSN−Ptのyは0.35〜0.5、PZN−PTのyは0.03〜0.35が好ましい。また、PMN−PT、
PZN−PT、PNN−PT、PSN−PTにZrがTiに代替されて含まれた
PMN−PZT、PZN−PZT、PNN−PZT、PSN−PZT化合物であってもよい。
【0034】
圧電膜または電歪膜は単一組成であってもよいし、2種類以上の組み合わせでもよい。また、上記主成分に微量の元素をドーピングした組成物であってもよい。圧電膜または電歪膜は、優れた圧電性を発現するために、結晶制御されたものがよく、X線回折で特定の結晶構造の特定の方位が50%以上あるものが好ましく、さらには、90%以上のものがより好ましい。
【0035】
振動板を形成する材料としては、ホウ珪酸ガラス(HOYA株式会社製 SD2ガラス)、酸化シリコン、セラミックス材料の他に、ニッケル、クロムなどの金属などが適した材料である。振動板の形成工程は、厚板状の振動板部材を流路形成基板に接合し薄板化を行う。若しくは支持基板に振動板を形成後、流路形成基板側に転写接合し支持基板を除去することで可能である。ここで振動板を含む部材と流路形成基板との接合は、陽極接合や、原子間の結合/熱拡散を利用した固相接合を用いるのが好適である。固相接合における代表的な方式としては、Au接合やAuSn合金接合がある。前記圧電アクチュエータもしくは前記電歪アクチュエータは、振動板の撓み変位を用いる薄膜構成であってもよい。
【0036】
以下に具体的な実施例を示すが、圧力発生素子、振動板、圧力発生室、後方絞り、リザーバ、ノズル連絡口およびノズル口等の寸法や形状や材質、駆動条件等は一例であり、設計事項として任意に変更できるものである。ここで、後方絞りは後方抵抗素子として圧力発生室に連通され、ノズル連絡口はノズル口に連通する流路である。
【実施例1】
【0037】
図3は本発明に係る実施例1による液体吐出ヘッドの製造方法を説明する工程図である。
【0038】
本実施例の液体吐出ヘッドは、図3(e)に示すように、厚さ200μmのSi単結晶基板(以下、「基板」という。)100に、圧力発生室102(幅60μm、深さ50μm、長さ2.5mm)、リザーバ108、連通部である後方絞り110、ノズル連絡口103が形成されている。300dpiノズル密度のノズル口113を有するノズルプレート114が、ノズル口113と基板側のノズル連絡口103とが連通するように接着剤で接着固定されている。
【0039】
アクチュエータは、振動板112として3μm厚のホウ珪酸ガラス(HOYA株式会社製 SD2ガラス)を用いた。その上に圧電膜111として上Pt膜(100nm厚)/Pb(Zr0.52Ti0.48)O3 膜(1μm強厚)/下Pt膜(100nm厚)が形成されている。下電極、上電極とも駆動用ICに配線され、各アクチュエータが独立に駆動できるようになっている。
【0040】
続いて、本実施例による液体吐出ヘッドの製造方法を図3を参照しつつ詳細に説明する。
【0041】
(1)図3(a)に示すように、同一の基板の二つの主面のうち一方の主面である基板100のA面側に熱酸化膜(1μm)で、圧力発生室102に対応する開口部と後方絞り110に対応する開口部を有するエッチングマスクパターン101を形成する。同一の基板の二つの主面のうち他方の主面である基板100のB面側に熱酸化膜(1μm)でリザーバ108に対応する開口部とノズル連絡口103に対応する開口部を有する第1エッチングマスクパターン104を形成する。その上に2層目としてレジスト膜(1.5μm)で、ノズル連絡口103に対応する開口部とリザーバ内の連通部近傍部107に対応する開口部を有する第2エッチングマスクパターン106を形成する。
【0042】
(2)上記工程(1)ののち、圧力発生室102をICP放電エッチング加工により50μm深さまでエッチングする。次に、図3(b)に示すように、B面側のノズル連絡口103と、リザーバに対応する凹部内の連通部近傍部107に対応する凹部のみを前記第2エッチングマスクパターン106を用いて、10μmの深さまでICP放電エッチング加工によりエッチングする。
【0043】
(3)上記工程(2)ののち、図3(c)に示すように、B面側の前記第2エッチングマスクパターン106のレジスト膜を酸素プラズマでエッチング剥離する。ついで、前記第1エッチングマスクパターン104でB面側をICP放電エッチング加工し、リザーバ108と後方絞り110とを連通部近傍部107を介して連通させる。
【0044】
ICP放電エッチング加工においては、エッチング速度は面積依存の関係を示すため、ノズル連絡口103より相対的に面積の広いリザーバ108が後方絞り110と先に連通する。
【0045】
(4)上記工程(3)ののち、図3(d)に示すように、連通したリザーバ108にレジストによるマスク層109を配置することでエッチングされないようにし、引き続きノズル連絡口103(深さ150μm)をエッチングして圧力発生室102と連通させる。そののち、基板100の両面に存在する第1エッチングマスクパターン104の熱酸化膜をBHFでエッチング除去する。
【0046】
(5)上記工程(4)ののち、図3(e)に示すように、振動板112、圧電膜111を有するアクチュエータを以下のように形成する。ここで、図3(e)において、振動板112と圧電膜111とを設けていないヘッドの、基板のA面からみた模式図を図4に示す。複数の圧力発生室102が、連通部である後方絞り110を介して共通に連通されたリザーバ108を有している。
【0047】
基板100の圧力発生室102側に30μm程度に平坦研磨されたホウ珪酸ガラス(HOYA株式会社製 SD2ガラス)を400℃、400Vの条件で陽極接合する。その後、HFを用いたウェットエッチングで厚さ3μmに薄片化することで、振動板112を形成する。その上に上Pt膜(100nm厚)/Pb(Zr0.52Ti0.48)O3 膜(1μm強厚)/下Pt膜(100nm厚)を真空成膜で形成する。上Pt電極が成膜される前にPZT膜は酸素雰囲気中、680℃、5hrの条件で焼成し、XRDによりPZT膜の結晶化確認を行う。配線パターン加工は、ホトリソプロセス、ドライエッチングプロセスにより加工する。
【0048】
最後にノズルプレート114を以下のように接着固定する。ノズルプレート114は、厚さ50μmのSUS304にパンチング加工でノズル口113(吐出φ20μm、逆側φ50μm)が形成されたものである。接着剤をノズルプレート114側にスピンコート塗布し、ノズルプレート114、基板100両者のアライメント用マーカーをもとにアライメント配置・固定し70℃、30分程度で接着した。
【0049】
本実施例によれば、リザーバ108に対応する凹部の一部領域の深さを調整することでリザーバ108の中央部深さを必要以上にオーバーエッチングする必要が無くなる。このようにして従来よりも高加工精度を有し、且つインク吐出時における耐久性、信頼性に優れた液体吐出ヘッドを提供することができる。
【実施例2】
【0050】
図5は、本発明に係る実施例2による液体吐出ヘッドの製造方法を説明する工程図である。
【0051】
本実施例の液体吐出ヘッドは、図5(f)に示すように、厚さ300μmのSi単結晶基板(以下、「基板」という。)200に、リザーバ208、圧力発生室202(幅60μm、深さ50μm、長さ2.5mm)、後方絞り210、ノズル連絡口203が形成されている。基本構成は実施例1と同様であるが、ノズル口213はノズル連絡口203と連通するように基板200内に一体形成されている。振動板212と圧電膜211を有するアクチュエータは実施例1と同様である。
【0052】
続いて、本実施例による液体吐出ヘッドの製造方法を図5を参照しつつ詳細に説明する。
【0053】
(1)本実施例ではノズル口を同一の基板に形成するため、図5(a)に示すように、ノズル連絡口203は圧力発生室202側から形成する。基板200のA面側に、熱酸化膜(1μm)で、圧力発生室202および後方絞り210に対応する開口部を有する第1エッチングマスクパターン201を形成する。その上層にホトレジスト(4μm)を塗布してノズル連絡口203に対応する開口部を有する第2エッチングマスクパターン206aを形成する。
【0054】
また、基板200のB面側に熱酸化膜(1μm)で、ノズル口213およびリザーバ208にそれぞれ対応する開口部を有する第1エッチングマスクパターン204を形成しする。その上層にホトレジスト(4μm)を塗布しノズル口213およびリザーバ208に対応する凹部内の連通部近傍部207にそれぞれ対応する開口部を有する第2エッチングマスクパターン206bを形成する。
【0055】
(2)上記工程(1)ののち、A面側の第2エッチングマスクパターン206aを用いてノズル連絡口203(50×200μm□面積)に対応する深さ200μmの凹部をICP放電エッチング加工によりエッチングする。
【0056】
(3)上記工程(2)ののち、図5(b)に示すように、A面側の第2エッチングマスクパターン206aのレジスト膜を酸素プラズマで剥離する。次に、圧力発生室202および後方絞り310に対応する開口部を有する第1エッチングマスクパターン201を用いて圧力発生室202に対応する深さ50μmの凹部を形成する。凹部の形成には、ICP放電のエッチング加工を用いる。既にノズル連絡口203に対応する深さの凹部を形成してあるため、本エッチング工程により、同一の基板内に連通した圧力発生室202とノズル連絡口203が形成される。
【0057】
(4)上記工程(3)ののち、図5(c)に示すように、B面側のノズル口213、リザーバ208、リザーバ内における連通部の近傍の連通部近傍部207を形成するため、前工程と同様に2層のエッチングマスクパターンによる多段階のICP放電エッチング加工を行う。先ず、第2エッチングマスクパターン206bを用いてノズル口213、リザーバ208内における連通部近傍の連通部近傍部207に対応する凹部をICP放電エッチング加工により深さ25μmまでエッチングする。
【0058】
(5)上記工程(4)ののち、図5(d)に示すように、B面側のICP放電エッチング加工を行い、深さ50μmのノズル口213(吐出φ20μm、逆側φ20μm)に対応する凹部を形成する。この際、リザーバ208内の連通部近傍部207を保護するマスク層209aを配置することでエッチングの進行を防いでいる。
【0059】
(6)上記工程(5)ののち、図5(e)に示すように、B面側の第2エッチングマスクパターン206bのレジスト膜を酸素プラズマでエッチング剥離する。ここでも、ノズル口213のエッチング進行を防ぐためマスク層209bで保護しエッチングの進行を防ぐ。そののち、B面側の第1エッチングマスクパターン204を用い、連続してICP放電エッチング加工を行いリザーバ208と後方絞り210を連通部近傍部207を介して連通させる。ついで、基板両面に存在する熱酸化膜をBHFでエッチング除去する。
【0060】
(7)上記工程(6)ののち、図5(f)に示すように、振動板212、圧電膜211を有するアクチュエータを実施例1と同様の手順で形成する。また、リザーバ208の開口部を封止板214で閉鎖する。
【0061】
以上のようにして、リザーバ208の一部領域の深さを調整することで中央部深さを必要以上にオーバーエッチングする必要が無くなる。またノズル口213まで含めた流路構成を同一の基板に形成するため、ノズルプレートを接着する場合のように、接着時における接着位置誤差等を生じることがなくなる。その結果、従来よりも高精度を有し、且つ液体吐出時における耐久性、信頼性に優れた液体吐出ヘッドを提供することができる。
【実施例3】
【0062】
本実施例の液体吐出ヘッドは、図6(f)に示すように、厚さ300μmのSi単結晶基板(以下、「基板」という。)400を用いて、リザーバ408、圧力発生室(幅60μm、深さ50μm、長さ2.5mm)402、後方絞り410、ノズル連絡口403、ノズル口413を含む液体流路が形成されている。基本的構成は実施例1と同様に、ノズル口413は基板400側に一体に形成され、ノズル連絡口403と連通している。振動板412、圧電膜411を有するアクチュエータは実施例1と同様である。
【0063】
次に、本実施例における液体吐出ヘッドの製造方法を詳細に説明する。
【0064】
(1)本実施例ではノズル口を同一の基板に形成するため、図6(a)に示すように、ノズル連絡口403は圧力発生室402側から形成する。基板400の二つの主面に熱酸化膜を厚さ1μm成膜する。一方の主面(A面)側に熱酸化膜(1μm)で、圧力発生室402および後方絞り410を形成するための開口部を有する第1エッチングマスクパターン401を形成する。その上層にホトレジスト(4μm)を塗布してノズル連絡口403を形成するための開口部を有する第2エッチングマスクパターン404を形成する。そののち、第2エッチングマスクパターン404を用いてノズル連絡口403(50×200μm□面積)に対応する深さ200μmの凹部をICP放電エッチング加工によりエッチングする。
【0065】
(2)上記工程(1)ののち、図6(b)に示すように、A面側の第2エッチングマスクパターン404のレジスト膜を酸素プラズマで剥離し、圧力発生室402を形成するための第1エッチングマスクパターン401の熱酸化膜をエッチング表面にする。
【0066】
(3)上記工程(2)ののち、A面側の第1エッチングマスクパターン401を用いて圧力発生室402および後方絞り410に対応する深さ50μmの凹部をICP放電エッチング加工によりエッチングする。既にノズル連絡口403に対応する深さの凹部を形成してあるため、本エッチング工程により、同一基板内に圧力発生室402とノズル連絡口403が連通して形成される。
【0067】
続いて、本実施例では、リザーバ408形成時にアルカリエッチャントを用いるので、形成した流路壁面に熱酸化膜415を50nm成膜しておく。
【0068】
(4)上記工程(3)ののち、図6(c)に示すように、ノズル口413、リザーバ408を形成する。基板400のB面側にノズル口413とリザーバ408を形成するための開口部を有する第2エッチングマスクパターン406を熱酸化膜(1μm)で形成する。
【0069】
図6(c)において、基板B面(リザーバが形成されるほう)側からみた模式図を図7に示す。こここでは、リザーバ408のマスクパターンは、リザーバ形成領域を格子状(マトリックス状)に分割するように形成する。格子パターンは、リザーバ408に対応する領域内に互いに間隔をおいてモザイク状に配列された複数の小開口部を有するエッチングマスクパターン406からなる。
【0070】
リザーバ408内の連通部近傍407に対応する開口部に形成されるエッチングパターンの格子1つあたりに対応する開口面積は、連通部近傍に対応する開口部以外のリザーバ408に対応する開口部に形成されるエッチングパターンの格子1つあたりに対応する開口面積より大きい。具体的には、連通部近傍407を除くリザーバ408に対応する部分のエッチングパターンの格子パターン(開口面積)は50μm×50μmとする。各格子間であるエッチングパターンの幅は5μmとする。これらが、リザーバ408に対応する凹部の850μm(各ヘッド分を含む長さ方向)×20mm(全ヘッド分を含む長さ方向)領域内に整列配置されている。そして、連通部である後方絞り410の近傍の連通部近傍部407に対応する部分のエッチングパターンの格子パターン(開口面積)は50μm×85μmとし、他の格子パターンより開口面積を大きくしてある。
【0071】
(5)上記工程(4)ののち、前記エッチングマスクパターン406を用いて、ノズル口413およびリザーバ408にそれぞれ対応する凹部をICP放電エッチング加工により、ノズル深さが深さ50μmに達するまでエッチング加工する。形成したノズル口413のサイズは、吐出φ20μm、逆側φ20μmである。
【0072】
(6)上記工程(5)に引き続いてICP放電エッチング加工を行い、図6(d)に示すように、リザーバ408内の連通部近傍部407を圧力発生室402側の後方絞り410と連通させる。本実施例ではICP放電エッチング加工においてエッチングレートの面積依存性があることを利用して、リザーバ408に対応する凹部内にエッチング面積の異なる2種類のパターンを設けてある。そのためリザーバ408内における、エッチング開口部の相対的に広いリザーバ408内における連通部の近傍の連通部近傍部407がリザーバ408内の平均的深さより深くエッチングされる。上述では、連通部近傍407を除くリザーバ408に対応する部分の格子パターンを50μm×50μm、連通部近傍部407に対応する部分の格子パターンを50μm×85μmとした。しかし、エッチングレートをより顕著にする為に、連通部近傍407を除くリザーバ408に対応する部分の格子パターンを20μm×20μm、連通部近傍部407に対応する部分の格子パターンを50μm×85μmとしてもよい。この際、ノズル口413をレジスト膜411aで保護し、エッチングの進行を防いでいる。
【0073】
(7)上記工程(6)ののち、図6(e)に示すように、形成された複数の支柱構造体408aを80℃のTMAH溶液に1分程度浸漬させてエッチング除去する。この際ノズル口413をマスク層414と治具を用いて保護しエッチングの進行を防いでいる。そののち、基板400の両面に存在する熱酸化膜をBHFでエッチング除去する。
【0074】
(8)上記工程(7)ののち、図6(f)に示すように、振動板412、圧電膜411を有するアクチュエータは実施例1と同様の手順で形成する。
【0075】
以上のようにして、リザーバ底面を2段階の深さで構成される平坦化領域で形成することができ、任意形状に調整された、および形成精度の高いリザーバを形成できる。また、ノズル口まで含めた液体流路を同一の基板に形成するため、上記従来例のようなノズルプレート接着時における接着位置誤差が発生するおそれがない。このようにして従来よりも加工精度を有し、且つインク吐出時における耐久性、信頼性に優れた液体吐出ヘッドを提供することができる。
【0076】
本発明によれば、上記各実施例において用いたプラズマエッチングに限らず、例えばドライエッチングやウェットエッチング等の他のエッチング方法を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】一実施の形態による液体吐出ヘッドの製造方法を説明する工程図である。
【図2】他の実施の形態による液体吐出ヘッドの製造方法を説明する工程図である。
【図3】本発明に係る実施例1による液体吐出ヘッドの製造方法を説明する工程図である。
【図4】本発明に係る実施例1による液体吐出ヘッドのマスクパターンを示す図である。
【図5】本発明に係る実施例2による液体吐出ヘッドの製造方法を説明する工程図である。
【図6】本発明に係る実施例3による液体吐出ヘッドの製造方法を説明する工程図である。
【図7】本発明に係る実施例3による液体吐出ヘッドのマスクパターンを示す図である。
【図8】一従来例のインクジェットヘッドを示す模式断面図である。
【図9】他の従来例のインクジェットヘッドの製造方法を説明する工程図である。
【符号の説明】
【0078】
10、50、100、200、300、400 基板
11、56、101、201、301、401 第1エッチングマスクパターン(A面側)
12、102、202、302、402 圧力発生室
14、104、204、301 第1エッチングマスクパターン(B面側)
16、106、206b、304、404 第2エッチングマスクパターン
18、108、208、308、408 リザーバ
20、110、210、310、410 後方絞り




 

 


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