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発明の名称 液体吐出ヘッドおよびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1296(P2007−1296A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2006−142255(P2006−142255)
出願日 平成18年5月23日(2006.5.23)
代理人 【識別番号】100095991
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 善朗
発明者 中西 宏一郎
要約 課題
製作が容易な高密度配置が可能で高精度な流路構造を持つ液体吐出ヘッドおよびその製造方法を提供する。

解決手段
液体吐出ヘッドは、複数の圧力発生室11と、該複数の圧力発生室11にそれぞれノズル連通部14を介して連通された液体を吐出する複数のノズル口13と、複数の圧力発生室11が共通に連通されたリザーバ12とを備えている。これらは、同一の基板10に形成されており、ノズル開口13aが開口する基板のノズル開口面(B面)と平行な方向に関するノズル口13の断面積よりも、前記方向に関するノズル連通部14の断面積が大である。また、前記方向に関するノズル口13の断面積が、前記ノズル口の全長にわたって略同じである。
特許請求の範囲
【請求項1】
同一の基板に、複数の圧力発生室と、該複数の圧力発生室にそれぞれノズル連通部を介して連通された液体を吐出する複数のノズル口と、前記複数の圧力発生室が共通に連通されたリザーバと、を備え、
前記ノズル口が開口する前記基板のノズル開口面と平行な方向に関する前記ノズル口の断面積よりも、前記方向に関する前記ノズル連通部の断面積が大きく、
前記方向に関する前記ノズル口の断面積が、該ノズル口の全長にわたって変化しないことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記基板の二つの主面のうち、一方の主面に前記圧力発生室が、他方の主面に前記ノズル口および前記リザーバが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記圧力発生室は、振動板と前記振動板を変形させる圧電アクチュエータとを有することを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
圧電アクチュエータが、撓みモードを用いる薄膜圧電アクチュエータであることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
複数の圧力発生室と、該複数の圧力発生室にそれぞれノズル連通部を介して連通された液体を吐出する複数のノズル口と、前記複数の圧力発生室が共通に連通されたリザーバと、を備える液体吐出ヘッドの製造方法において、
基板の2つの主面のうちの、一方の主面に対してエッチングを施すことにより、前記圧力発生室と、前記ノズル連通部とを形成する工程と、
前記基板の2つの主面のうち他方の主面に対してエッチングを施すことにより、前記基板の前記他方の主面と平行な方向に関するノズル連通部の断面積よりも、前記方向に関する断面積が小さく、かつ、該断面積が変化しない前記ノズル口を形成する工程と、
を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項6】
前記圧力発生室に相当する開口部を有する圧力発生室用のマスク層と、前記ノズル連通部に相当し、前記圧力発生室に相当する開口部より小さな開口部を有するノズル連通部用のマスク層と、が前記基板の一方の主面に設けられ、前記ノズル口に相当し、前記ノズル連通部に相当する開口部より小さな開口部を有するノズル口用のマスク層が前記基板の他方の主面に設けられた基板を提供する工程を有し、
前記圧力発生室と、前記ノズル連通部とを形成する工程は、前記ノズル連通部用のマスク層を用いて前記基板に対して第1のエッチングを行った後、前記圧力発生室用のマスク層を用いて前記基板に対して第2のエッチングを行う工程を含み、
前記ノズル口を形成する工程は、前記ノズル口用のマスク層を用いて前記基板に対して第3のエッチングを行う工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項7】
前記圧力発生室用のマスク層が熱酸化膜からなり、前記ノズル連通部用のマスク層がフォトレジストからなることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記圧力発生室用のマスク層が二酸化シリコンからなり、前記ノズル連通部用のマスク層がフォトレジストからなり、前記基板がシリコンからなること、を特徴とする請求項6に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記基板のエッチングを、プラズマを用いたドライエッチングで行い、前記ノズル連通部用のマスク層の除去を酸素プラズマを用いたエッチングによって行うこと、を特徴とする請求項7または8に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記圧力発生室用のマスク層および前記ノズル連通部用のマスク層がともにフォトレジストからなり、前記圧力発生室用のマスク層が前記ノズル連通部用のマスク層より高い温度で熱処理されていること、を特徴とする請求項6に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のノズル口と、各ノズル口にそれぞれ連通された複数の圧力発生室と、前記複数の圧力発生室に連通されたリザーバとを備えており、前記圧力発生室で発生させた吐出エネルギーによって前記複数のノズル口からそれぞれ液滴を吐出する液体吐出ヘッドおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体に圧力を印加して微小液滴として飛翔させる液体吐出ヘッドは、比較的安価で高性能な出力デバイスとして広く利用されている。特に、デジタルカメラの普及ともあいまって写真を出力する手段にもなっており、画質への要求は年々厳しくなってきている。このため、吐出液滴の微細化や流路構造の高密度化は必須であり、シリコン基板に異方性エッチングなどを用いて比較的簡便に微細形状を精度良く作製する技術である、マイクロマシニング技術を応用した液体吐出ヘッドの製造方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開平7−156399号公報)には、図5に示すように、シリコン基板に異方性エッチングを用いて圧力発生室503やリザーバ等の流路と、振動板504を一体形成し、ノズル口502を設けたノズルプレート501を接合したインクジェットヘッドが開示されている。このインクジェットヘッドはシリコン単結晶のエッチング速度の面方位依存性を利用しているため、流路が高精度にかつ簡便に作製でき、接合部分がノズルプレート501のみであるので、工程が簡易であり、接着剤などの流路への流入も少なく、信頼性も向上する。
【0004】
また、特許文献2(特開平5−229128号公報)には、図6に示すように、シリコン基板に異方性エッチングを行い、圧力発生室602とノズル口601とを一体に形成した流路基板600に圧電素子606を有する振動板605を接合したインクジェットヘッドの製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開平7−156399号公報
【特許文献2】特開平5−229128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明では、次に述べるような問題点が存在する。
【0006】
(1)シリコン単結晶のエッチング速度の面方位依存性を利用しているために、使用できる基板が限定され、コストの上昇を招く。
【0007】
(2)圧力発生室の深さが基板の厚みによって決定されてしまい、圧力発生室の深さと基板の厚みを独立に決めることができない。圧力発生室を高密度に配置する場合、圧力発生室が深くなると、隣接する圧力発生室を隔てる隔壁が撓みやすくなり、圧力損失やクロストークなどの問題が発生する。一方で、大量生産においては大面積の基板を使用することがコスト面で有利であるが、薄い基板だとハンドリングが困難になるという問題が発生し、前述した圧力発生室の深さとトレードオフである。
【0008】
(3)流路が形成された流路基板とノズルプレートとを接合してインクジェットヘッドを形成しているので、高密度になればなるほど流路基板とノズルプレートとの位置合わせが厳しくなる。特に多数のノズルを必要とするカラーのマルチノズルヘッドに対しては信頼性が低下する。また、ノズルプレートの素材と流路基板のシリコンとの熱膨張係数が異なっていると、作製工程や使用環境などでの温度変化によってノズルプレートが剥がれやすく、信頼性が低下する。
【0009】
一方、特許文献2に開示された方法では、圧力発生室などの流路とノズル口とが同一基板に形成されているため、先に述べたようなノズルプレートと流路基板との接合に関連する問題は発生しない。しかしながら、異方性エッチングを用いて流路を形成しているため、使用基板や作製できる形状が限定されてしまう問題点は同じである。また、圧力発生室の深さとノズル口の長さの和が基板の厚みとなっており、ハンドリングに有利な厚い基板を使用すると、圧力発生室を深くするか、ノズル口を長くする必要がある。しかし、圧力発生室を深くすると先に述べたような圧力損失やクロストークの問題点が発生し、ノズル部を長くすると流路抵抗が増大してしまうなどの問題点が発生する。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、高密度配置が可能で高精度な流路構造を持つ製作が容易な液体吐出ヘッドおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の液体吐出ヘッドは、同一の基板に、複数の圧力発生室と、該複数の圧力発生室にそれぞれノズル連通部を介して連通された液体を吐出する複数のノズル口と、前記複数の圧力発生室が共通に連通されたリザーバと、を備え、前記ノズル口が開口する前記基板のノズル開口面と平行な方向に関する前記ノズル口の断面積よりも、前記方向に関する前記ノズル連通部の断面積が大きく、前記方向に関する前記ノズル口の断面積が、該ノズル口の全長にわたって同じであることを特徴とする。
【0012】
また、上述の液体吐出ヘッドの製造方法として、基板の2つの主面のうちの、一方の主面に対してエッチングを施すことにより、前記圧力発生室と、前記ノズル連通部とを形成する工程と、前記基板の2つの主面のうち他方の主面に対して、エッチングを施すことにより、前記基板の前記他方の主面と平行な方向に関するノズル連通部の断面積よりも、小さな断面積を有し、前記方向に関する前記ノズル口の断面積が、該ノズル口の全長にわたって同じである前記ノズル口を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明を適用することで、次に記載するような効果を奏する。
【0014】
圧力発生室と、ノズル口と、圧力発生室とノズル口とを結ぶノズル連通部と、を同一基板に形成しているため、別部材を接合または接着などによって貼り合わせる必要が無い。そのため、貼り合わせのアライメント誤差や熱膨張係数の違いなどによるノズル口位置の精度の低下を防ぐことができる。また、ノズル口が開口する基板のノズル開口面と略平行な方向に関する前記ノズル口の断面積よりも、前記方向に関する前記ノズル連通部の断面積を大きくした構成になっている。このため、高密度化に必要な浅い圧力発生室と微小液滴吐出に必要な微小ノズル口を有しながら、流路抵抗を極端に低下させずにハンドリングに有利な厚い基板を用いることができる。
【0015】
ノズル口が開口する基板のノズル開口面と平行な方向に関するノズル口の断面積が、ノズル口の全長にわたって同じであることにより、ノズル口を通過する流体の速度ベクトルがノズル口の内面に略平行となるように揃うため、液滴の直進安定性が向上する。また、ノズル口の断面積よりもノズル連通部の断面積が大きいことにより、ノズル口とノズル連通部との位置ずれの許容度が向上する。
【0016】
また、複数のエッチングマスク層を用いて基板のエッチングを複数回行う。具体的には、開口部の小さいエッチングマスク層を用いてエッチングを行ったのちに該エッチングマスク層を選択的に除去して次のエッチングを行うことで深い段差を有する凹部を形成する。この方法により、エッチングを精度良く、比較的容易に形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本明細書における「平行」「同じ」「変化しない」という言葉は、設計上の誤差を含んだ意味である。
【0018】
また、本発明は圧電素子を用いた形式に限らず、圧力発生室に発熱素子を設け、気泡によって液体を吐出するエネルギーを生じさせる液体吐出方式を用いたものにも適用できる。
【実施例1】
【0019】
図1は実施例1による液体吐出ヘッドを示し、(a)は模式断面図、(b)は(a)の圧電素子および振動板を取り外して圧電素子側から見た模式部分平面図、(c)は(b)のA−A線に沿う模式断面図である。
【0020】
図1に示すように、基板10には、圧力発生室11、ノズル連通部14、ノズル口13、リザーバ12が形成されている。基板10の相対する二つの主面のうちの圧力発生室11が形成されている一方の主面に、振動板20および圧電素子21が配設されており、他方の主面には封止材22を配設することによってリザーバ12の開口部が封止されている。
【0021】
本実施例においては、基板10としてシリコン基板を用い、振動板20として厚さ約4μmの熱膨張係数が3.2×10-6程度のガラスを用いた。振動板20が、基板10と熱膨張係数がほぼ等しい係数の材料を用いることで膜剥がれを抑制できる。また、振動板20の耐熱温度が圧電アクチュエータの形成温度よりも高いことが好ましい。また、圧電素子21としては約2.5μm厚のPZTをスパッタ法にて形成したのち、フォトリソグラフィ法にて各圧力発生室11に対応するようにパターニングして形成した。リザーバ12の開口部を封止する封止材22としては振動板20と同じ材料で、厚さが100μmのガラスを陽極接合している。このように、基板と熱膨張係数が概略等しい素材からなる封止材にて封止してあることで、封止材の剥がれを抑制できる。また、圧力発生室11のリザーバ12と連通する方向には幅が狭くなった絞り部16を設けることにより、流路抵抗を調節できるようにした。また、隣接する圧力発生室11は隔壁15によって仕切られている。
【0022】
図1(c)に示すように、圧力発生室11の幅をw1、隔壁15の幅をw2とすると、圧力発生室幅w1と隔壁幅w2の和は所望の配置密度によって決定される。例えば、200DPIのときにw1+w2は127μmである。また、配置密度を200DPIとし、圧力発生室幅w1を77μm、隔壁幅w2を50μmとした。図1(b)に示されているノズル連通部14の寸法は、流路抵抗を考慮してw3を50μm、w4を200μmとし、ノズル口13の50倍以上の断面積を確保した。また、基板10としては、ハンドリングを考慮して300μmのシリコン基板を用い、圧力発生室の深さd1を100μm、ノズル連通部の深さd2を140μm、ノズル口の深さd3を60μmとした。また、この場合、圧電素子21と相対する面に形成されたノズル開口13aの直径は15μmとした。このように、200DPIという高密度配置で微小なノズル開口13aを有するにも関わらず、ノズル口13と圧力発生室11などの液体流路を同一基板に一体的に形成することで、圧力発生室11とノズル開口13aの位置精度が高く、極めて信頼性が高いものであった。
【0023】
さらに300μmという厚い基板を用いながら、圧力発生室11の深さは100μmに抑えられているため、隔壁15の剛性も十分確保されており、駆動時のクロストークは観察されなかった。ノズル開口13aは直径15μmという微小開口である。しかし、ノズル口13が開口する基板10のノズル開口面(B面側)と略平行な方向に関する断面積が、例えばノズル口13の断面積の50倍以上の大きな断面積を有するノズル連通部14を用いることで、十分小さい流路抵抗によって圧力発生室11とノズル口13とを連通させることができた。
【0024】
ノズル口13が開口する基板10のノズル開口面と略平行な方向に関するノズル口13の断面積が、ノズル口13の全長にわたって略同じであることにより、ノズル口13を通過する流体の速度ベクトルがノズル口13の内面に略平行となるように揃うため、液滴の直進安定性が向上する。ノズル口13の長さ(ノズル開口に垂直な方向に関する寸法)は、20μm以上であることが望ましい。
【0025】
また、製作時にも、厚さが300μmという、十分な厚さのシリコン基板を使用できたために取扱が容易であり、作製工程における基板の破損なども少なく、歩留まりも向上した。
【0026】
(比較例1)
比較のために、実施例1で用いた同じ厚さのシリコン基板を用い、ノズル口は変更せず、ノズル連通部を設けずに、圧力発生室の深さd1を240μmとしたところ、隣接している駆動していない部分に対応するノズル口においてもメニスカスの振動が観測され、いわゆるクロストークが発生した。圧力発生室を変えずに、ノズル口の深さd3を200μmにしたところ、駆動部に対応するノズル口でメニスカスの振動は観測されたものの、吐出までには至らなかった。
【0027】
続いて、本実施例1による液体吐出ヘッドの製造方法の工程を図を用いて説明する。
【0028】
図2は液体吐出ヘッドの製造方法の工程を説明する図である。
【0029】
(1)図2(a)に示すように、基板100として300μm厚のシリコン基板を用い、熱酸化によってシリコン基板の二つの主面、つまりA面とB面に熱酸化膜101を1μm形成した。
【0030】
(2)上記工程(1)ののち、図2(b)に示すように、A面の熱酸化膜101の一部をフッ酸とフッ化アンモニウムの混合溶液を用いて除去し、圧力発生室111および絞り部116にそれぞれ相当する開口部を有する第1のエッチングマスク層103を形成した。他方、B面側の熱酸化膜101の一部を除去してノズル口113に相当する開口部およびリザーバ112に相当する開口部を有する第1のエッチングマスク層104を形成した。
【0031】
(3)上記工程(2)ののち、図2(c)に示すように、第1のエッチングマスク層103の上にノズル連通部114に相当する開口部を有する第2のエッチングマスク層105を形成した。本実施例においては、第2のエッチングマスク層105は、ノボラック樹脂を主成分とするポジ型のフォトレジストを約4.5μmの厚さで塗布したのちに、通常の露光・現像工程ののち、120℃で20分の熱処理を行ってノズル連通部114に相当する開口部を形成している。
【0032】
(4)上記工程(3)ののち、図2(d)に示すように、第2のエッチングマスク層105を用いてシリコン基板に第1のエッチングを施し、ノズル連通部114に相当する凹部を形成した。
【0033】
本工程において、エッチング速度が速く、深い段差を形成するのに好適なICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング装置を用いてドライエッチングを行うとよい。
【0034】
本実施例においては、ICPパワー1800W、基板バイアス40W、基板温度10℃の条件にてエッチングを行い、概略150μmのノズル連通部114に相当する凹部を形成した。このとき、第2のエッチングマスク層105を構成するフォトレジストは約2μmエッチングされており、この条件における第2のエッチングマスク層105とシリコン基板との選択比はほぼ75であった。
【0035】
(5)上記工程(4)ののち、図2(e)に示すように、第2のエッチングマスク層105であるフォトレジストのみを酸素プラズマによるアッシングを行って除去した。第1のエッチングに用いたICP装置内において、第1のエッチング終了後、酸素ガスを導入し、ICPパワー200W、バイアス20W、基板温度20℃の条件において10分アッシングを行い、第1のエッチングマスク層103である熱酸化膜に実際上全く影響を与えずにフォトレジストのみを除去した。
【0036】
(6)上記工程(5)ののち、図2(f)に示すように、第1のエッチングマスク層103を用いて基板100に対してICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング装置を用いたドライエッチングを行った。エッチング条件はノズル連通部114に相当する凹部を形成したときと同じ条件により、深さが概略100μmである圧力発生室111に相当する凹部を形成した。このとき、先に形成したノズル連通部114に相当する凹部もエッチングされており、基板100の表面から測定するとほぼ240μmの深さになっていた。このエッチングによる熱酸化膜101のエッチング量は0.4μm程度であり、熱酸化膜101と基板100の選択比としてはほぼ250が得られていた。
【0037】
(7)上記工程(6)ののち、今までエッチングを行ってきた面と相対する面から同様にICPを用いたドライエッチングを行い、ノズル口113とノズル連通部114およびリザーバ112と圧力発生室111を連通させ、基板100を作製した。基板100の両主面に残存されている熱酸化膜101はフッ酸とフッ化アンモニウムの混合溶液を用いることにより、基板100に実質上影響を与えずに除去することができた。
【0038】
このように基板100のエッチングマスク層として熱酸化膜とフォトレジストという異なるエッチングマスク層を用いてエッチングを行い、第1のエッチングの後にフォトレジストを除去して熱酸化膜101からなる第1のエッチングマスク層103で第2のエッチングを行うことにより、深い段差へのパターニングや特殊なエッチングなどの特殊な手法や装置を使わず、圧力発生室111とノズル連通部114のような段差が100μm以上ある三次元形状を、片側からエッチングするだけで比較的簡便に作製することができた。
【0039】
また、第1のエッチングマスク層103は、二酸化シリコンであってもよい。
【実施例2】
【0040】
本発明の実施例2による液体吐出ヘッドの製造方法について、図3を参照しつつ説明する。
【0041】
(1)実施例1と同様に300μm厚の基板300を熱酸化して1μm厚の熱酸化膜を形成したのち、圧力発生室311を形成する主面(A面)に相対する主面(B面)に、ノズル口313に相当する開口部およびリザーバ312に相当する開口部を有するエッチングマスク層301を形成した。実施例1と同様にフッ酸とフッ化アンモニウムの混合溶液を用いて熱酸化膜に開口部を形成するが、このとき、同時に圧力発生室311が形成されるA面の熱酸化膜を、図3(a)に示すように除去する。
【0042】
(2)上記工程(1)ののち、圧力発生室311が形成される側の主面(A面)にノボラック樹脂を主体とするポジ型のフォトレジストでパターニングを行い、圧力発生室311に相当する開口部を持つパターンを形成した。本実施例では、このフォトレジストによるパターンを200℃10分間の熱処理を行い、厚さが概略2.5μmである第1のエッチングマスク層303を形成した。
【0043】
(3)上記工程(2)ののち、実施例1と同様にしてノズル連通部314に相当する開口部を有する第2のエッチングマスク層304を形成した(図3(c))。第1のエッチングマスク層303は200℃で熱処理されているため、フォトレジスト塗布、露光・現像などの第2のエッチングマスク層304の作製工程によって形状崩れなどを起こすことはなく、所望の形状を保っていた。
【0044】
(4)上記工程(3)ののち、実施例1と同様にしてICPを用いたドライエッチングによって第1のエッチングを行い、ノズル連通部314に相当する凹部を形成した(図3(d))。第2のエッチングマスク層304の形成条件および第1のエッチング条件は実施例1と同じである。
【0045】
(5)上記工程(4)ののち、第2のエッチングマスク層304を除去した。実施例1で用いた第2のエッチングマスク層の除去方法である酸素プラズマを用いたアッシングでは、第1のエッチングマスク層に影響を与えるため、本実施例では第2のエッチングマスク層304の除去方法として、有機溶媒を使用した超音波洗浄を用いた。アセトンによる超音波洗浄を数回繰り返したのち、イソプロピルアルコールで超音波洗浄を数回繰り返す工程を実施した。この有機洗浄による第1のエッチングマスク層303へのダメージは見受けられなかった。これは第1のエッチングマスク層303の熱処理温度が第2のエッチングマスク層304の熱処理温度より高く、有機溶剤に対する耐性が向上しているためであると考えられる。
【0046】
(6)上記工程(5)ののち、有機洗浄により第2のエッチングマスク層304を除去したのち、実施例1と同様にICPを用いたドライエッチングによって第2のドライエッチングを行い、図3(f)に示すように、圧力発生室311、ノズル連通部314を形成した。エッチング条件は実施例1と同じである。このとき、第1のエッチングマスク層303のエッチング量は約1.3μmであり、第1のエッチングマスク層303と基板300との選択比は約75で熱処理温度の低い第2のエッチングマスク層304と同等であった。
【0047】
(7)上記工程(6)ののち、実施例1と同様に基板300のノズル口313に相当する開口部側からICPエッチングを行い、ノズル口313と、ノズル連通部314と、圧力発生室311と、リザーバ312とを連通させた基板300を作製した。ノズル口313側に残っている熱酸化膜は実施例1と同様にフッ酸とフッ化アンモニウムの混合溶液を用いて簡単に除去できた。また、圧力発生室311側に形成されている第1のエッチングマスク層303は酸素プラズマを用いてアッシングにより除去した。
【0048】
本実施例による製造方法では、実施例1と比較して圧力発生室311側の熱酸化膜をパターニングする工程が省ける。また、エッチングマスク層として熱酸化膜マスクと高温処理したレジストマスクと通常処理のレジストを用いれば、さらに多段構造が片側からのみのエッチングで可能となり、応用範囲も広い。
【実施例3】
【0049】
本発明の実施例3による液体吐出ヘッドは、図4(a)に示すように、基板30のA面側にリザーバ32、絞り部33、圧力発生室31、ノズル連通部34およびノズル口35に相当する凹部が形成されている。
【0050】
そして、図4(b)、(c)に示すように、A面側に振動板40を設け、その上に圧電素子41が配設されている。
【0051】
なお、本実施例による液体吐出ヘッドの製造方法については、上記実施例1、2に準じる工程により製造できるので、その説明は省略する。
【0052】
なお、上に述べた実施例においては、ノズル開口形状として円形を選択しているが、ノズル開口形状としては円形だけでなく、矩形や多角形、星形なども使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例1による液体吐出ヘッドを示し、(a)は模式断面図、(b)は(a)の振動板を取り外した状態の模式部分平面図、(c)は(b)のA−A線に沿う模式断面図である。
【図2】本発明の実施例1による液体吐出ヘッドの製造方法工程の説明図である。
【図3】本発明の実施例2による液体吐出ヘッドの製造方法の説明図である。
【図4】本発明の実施例3による液体吐出ヘッドの製造方法の説明図である。
【図5】従来の液体吐出ヘッドの一例の説明図である。
【図6】従来の液体吐出ヘッドの他の例の説明図である。
【符号の説明】
【0054】
10、30、100、300 基板
11、31、111、311 圧力発生室
12、32、112、312 リザーバ
13、35、113、313 ノズル口
14、34、114、314 ノズル連通部
20、40 振動板
21、41 圧電素子
101、301 熱酸化膜
103、104、303 第1のエッチングマスク層
105、304 第2のエッチングマスク層




 

 


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