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発明の名称 インクジェット記録ヘッド及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1242(P2007−1242A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−186461(P2005−186461)
出願日 平成17年6月27日(2005.6.27)
代理人 【識別番号】100090538
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 恵三
発明者 石塚 一成
要約 課題
高アルカリインクを用いた場合や極小オリフィスを作製した場合においても長時間安定した吐出が可能であるインクジェット記録ヘッドの製造方法を提供すること。

解決手段
インク吐出圧力発生素子が形成された基板上に溶解可能な樹脂にてインク流路パターンを形成する工程と、前記溶解可能な樹脂層にインク流路壁となる被覆樹脂層を形成する工程と、インク吐出圧力発生素子上方にインク吐出口をフォトリソグラフィーにて形成する工程と、前記溶解可能な樹脂層を溶出し、インク流路を形成する工程と、を有するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、前記インク流路壁となる被覆樹脂層が有機フィラーを有することを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
インクを吐出するための吐出口と、該吐出口に連通すると共にインク吐出圧力発生素子を包含するインク流路を形成するインク流路壁と、インク吐出圧力発生素子が形成された基板とを有するインクジェット記録ヘッドであって、
前記インク流路壁の構成部材が有機フィラーを少なくとも含む樹脂構成物の硬化物から成ることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項2】
前記有機フィラーの粒径が250nm以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項3】
前記有機フィラーがポリイミド微粒子若しくはポリアミド微粒子であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項4】
前記ノズル形成部材に含まれる有機フィラーの含有量がノズル形成部材の固形分に対して1〜10wt%であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項5】
前記インク流路壁となる被覆樹脂層が光カチオン重合開始剤とエポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項6】
インク吐出圧力発生素子が形成された基板上に溶解可能な樹脂にてインク流路パターンを形成する工程と、前記溶解可能な樹脂層にインク流路壁となる被覆樹脂層を形成する工程と、インク吐出圧力発生素子上方にインク吐出口をフォトリソグラフィーにて形成する工程と、前記溶解可能な樹脂層を溶出し、インク流路を形成する工程と、を有するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
前記インク流路壁となる被覆樹脂層が有機フィラーを有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項7】
前記有機フィラーの粒径が250nm以下であることを特徴とする請求項6記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記有機フィラーがポリイミド微粒子若しくはポリアミド微粒子であることを特徴とする請求項6又は7記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項9】
前記ノズル形成部材に含まれる有機フィラーの含有量がノズル形成部材の固形分に対して1〜10wt%であることを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記インク流路壁となる被覆樹脂層が光カチオン重合開始剤とエポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項6〜9の何れかに記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録方式に用いる記録液小滴を発生するためのインクジェット記録ヘッドとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式(液体噴射記録方式)に適用されるインクジェット記録ヘッドは、一般に微細なインク吐出口(以下、「オリフィス」と称す)、液流路及び該液流路の一部に設けられる液体吐出エネルギー発生部を複数備えている。従来、このようなインクジェット記録ヘッドを作製する方法としては、例えば特許文献1記載の次のような工程が知られている。
【0003】
先ず、インク吐出圧力発生素子が形成された基板上に溶解可能な樹脂にてインク流路パターンを形成し、このインク流路パターン上に、インク流露壁となるエポキシ樹脂及び光カチオン重合開始剤を含む被覆樹脂層を形成し、フォトリソグラフィーによりインク吐出圧力発生素子上にオリフィスを形成し、次いで前記溶解可能な樹脂を溶出してインク流路壁となる被覆樹脂層を硬化する。
【0004】
前記インク流路壁となる被覆樹脂に含まれるエポキシ樹脂としては、特許文献2記載のビスフェノールA,F,S骨格を有するエポキシ樹脂、O−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。又、特許文献3〜6記載のオキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂等が知られている。
【0005】
ところで、近年の記録技術の進展に伴い、インクジェット記録技術には、より高精細な記録が求められている。このような要求を満たす1つの方法としてインクジェット記録ヘッドにより吐出されるインク滴の極小化、即ちインクジェット記録ヘッドの極小オリフィス化が挙げられる。
【0006】
しかし、従来の製造方法で極小オリフィスを有するインクジェット記録ヘッドを作製すると、インク流路壁の吸インクによる体積膨潤の影響が無視できなくなり、オリフィスの変形(オリフィス面積の縮小等)が生じる恐れがある。その結果、吐出されるインク滴の吐出方向がばらついたり、吐出されるインク滴が小さかったりと、出力される画像にムラが生じる可能性がある。
【0007】
又、インクジェット記録技術による画像記録への高度な要求に伴ってインクに要求される性能も高度なものになってきており、インク中に保湿剤として尿素が含有されるようになってきている。更に、記録物の耐水性を向上させるために色材としても水難溶性染料を用いるようになり、この染料を溶解させるためにインク中にアルカリ塩を含有させる構成を採っている。
【0008】
このようにインク中に尿素やアルカリ塩が含有されているとインクは比較的高いアルカリ性を示すものとなるが、高アルカリインクは極性溶媒と同様にエポキシ樹脂の硬化物であるインク流路壁を膨潤させ易い。従って、高アルカリインクを用いた上述の製造方法で作製された従来のインクジェット記録ヘッドにおいては、インク流路壁が吸インクによる体積膨潤で変形し、所望の吐出状態が得られない恐れや、インク流路壁の基板からの剥がれの恐れがあり、インクジェット記録ヘッドの信頼性の観点から必ずしも充分とは言えないものである。
【0009】
上述の課題に対して、特許文献7ではフルオロカーボンを有する化合物をインク流路壁となる樹脂組成物に添加することで、インク流露壁の吸インク量の低減が可能であることが開示されている。
【特許文献1】特開平6−286149号公報
【特許文献2】特開平3−184868号公報
【特許文献3】特開昭60−161973号公報
【特許文献4】特開昭63−221121号公報
【特許文献5】特開昭64−009216号公報
【特許文献6】特開平2−140219号公報
【特許文献7】特開平8−290572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、インクジェット記録ヘッドによる記録技術の発達に伴い、更なるインクの高アルカリ化、極小オリフィスの形成は必須であり、フルオロカーボンを有する化合物の添加だけでは、インク流路壁となる樹脂組成物の硬化物の吸インクによる体積膨潤の影響が無視できないレベルとなる恐れがある。
【0011】
このように、上述のインクジェット記録ヘッド製造方法では、極小オリフィスを作製した場合や、高アルカリインクを用いた際のインク流路壁の更なる膨潤量の低減という技術課題がある。
【0012】
本発明は前述した従来技術における課題を解決し、高アルカリインクを用いた場合や極小オリフィスを作製した場合においても長時間安定した吐出が可能であるインクジェット記録ヘッドとその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、本発明は、インクを吐出するための吐出口と、該吐出口に連通すると共にインク吐出圧力発生素子を包含するインク流路を形成するインク流路壁と、インク吐出圧力発生素子が形成された基板とを有するインクジェット記録ヘッドとして、前記インク流路壁の構成部材が有機フィラーを少なくとも含む樹脂構成物の硬化物から成ることを特徴とする。
【0014】
又、本発明は、インク吐出圧力発生素子が形成された基板上に溶解可能な樹脂にてインク流路パターンを形成する工程と、前記溶解可能な樹脂層にインク流路壁となる被覆樹脂層を形成する工程と、インク吐出圧力発生素子上方にインク吐出口をフォトリソグラフィーにて形成する工程と、前記溶解可能な樹脂層を溶出し、インク流路を形成する工程と、を有するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、前記インク流路壁となる被覆樹脂層が有機フィラーを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、インク流路壁の構成材料となる樹脂組成物に有機フィラーを添加すると、樹脂密度向上の効果により吸インク量を低減できる。又、有機フィラー以外にも無機フィラーでも同様な効果が期待できるが、有機フィラーと無機フィラーの比重差により、樹脂の安定性(樹脂溶液でのフィラーの沈降)が有機フィラー添加の場合がより良い。故に、該有機フィラーをインク流路壁の構成材料となる樹脂組成物に添加することで、インク流路壁の吸インクによる体積膨潤量が低減され、又、高アルカリインク使用時においても、インク流路壁のインクに対する溶解が無い信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを得ることができる。
【0016】
本発明における前記有機フィラーはの材質は特に限定されないが、耐溶剤性(耐インク性)、耐熱性等の観点から、ポリイミド、ポリアミド等が適している。
【0017】
又、本発明における前記有機フィラーは、その粒径が250nm以下であることが望ましい。これはオリフィス形成にフォトリソグラフィーを用いた際、その露光波長より有機フィラーの粒径が小さいことが必須だからである。もし、露光波長より粒径の大きい有機フィラーを用いると、フォトリソグラフィーを行ったときに樹脂組成物の高精細なパターンを得ることができず、形状が均一であるオリフィスを形成できないからである。又、前記有機フィラーをインク流路壁となる樹脂組成物に添加する際は、その含有量は1〜10%であることが望ましい。即ち、有機フィラーの含有量が1%未満であると所望の性能を発揮することができず、又、有機フィラー含有量が10%を超えると、インク流路壁となる樹脂組成物の硬化を阻害する恐れがあるからである。
【0018】
又、これらインク流路壁となる樹脂組成物に対しては、必要に応じて添加剤等を適宜添加することが可能である。例えば、基板との更なる密着力を得るためにシランカップリング剤を添加すること等が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
<実施の形態1>
本実施の形態においては、有機フィラーを含有する光硬化可能な樹脂組成物を基板上に配置し、加速試験によって該樹脂硬化物の吸インクによる体積膨潤量の測定を行った。
【0021】
先ず、基板としては6インチSiウエハを準備し、熱酸化によって1.0μmのSiO2 層を形成した。次いで、表1記載の樹脂組成物を適当な溶剤にて溶解したものをスピンコートによって成膜し、90℃/5分のベークを行うことにより塗布溶媒を蒸発させて20μm厚に成膜した。
【0022】
次いでキヤノン製マスクアライナーMPA600を用い、露光量3000mJ/m2 で基板上の前記樹脂組成物のパターニングを行い、露光後にホットプレート上で90℃/4分間加熱後にメチルイソブチルケトン/キシレン混合溶媒で現像し、その後、200℃/1時間加熱し本硬化を行った。こうして、長さ5cm、幅20μmのライン&スペースパターン及びφ10μmのオリフィスパターンを形成した。
【0023】
次いでこれら試料をエチレングリコール/尿素/イソプロピルアルコール/黒色染料/水=5/3/2/3/87から成るインクに浸漬(60℃/1週間)し、ラインパターン幅及びオリフィス面積の寸法変化を観察した。
【0024】
インク浸漬後終了後、試料を水洗しブロー乾燥させた後、ラインパターン幅、オリフィス面積を測定したところ、表2記載のように本発明の構成である実験例1,2の樹脂組成物のライン&スペースパターン、オリフィスパターンをSiウエハ上に設けた試料に関しては、ラインパターン幅変化率は+3%、オリフィス面積変化率は−3%であった。一方、比較例1では、各々+8、−8%の変化率であった。
【0025】
この結果から本発明の有機フィラーを含有する樹脂組成物の硬化物は、吸インクによる体積膨潤量が少なく、且つ、基板との密着性も問題が無い優れた材料であることが確認された。
【0026】
<実施の形態2>
本実施の形態1では表1記載の樹脂組成物を、インク流路壁構成部材として以下の製造方法で極小オリフィスを有するインクジェット記録ヘッドを作製し、吸インクした場合の画像変化の評価を行った。以下、図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1に示すようにインク供給口形成用マスク3を設けた結晶軸(100)のSiウエハ基板1上にインク圧力発生素子として電熱変換素子(TaN)2 を配置し、更に保護膜としてSiN層4、Ta層5を形成した。尚、電熱変換素子2にはその素子を動作させるための制御信号入力電極が接続されている(不図示)。図2に図1のA−A’断面図を示す。
【0028】
次いで、前記基板1上に密着層としてポリエーテルアミドから成る層6を以下の方法で厚み2.0μmにて形成した。ポリエーテルアミド層には日立化成工業(株)社製HIMAL1200を用い、スピンナーで前記基板1上に塗布し、100℃/30分+250℃/1時間ベークを行った。
【0029】
次いで、前記HIMAL上に東京応化工業(株)社製ポジレジストOFPR800を用いてパターニングを行い、更にOFPRパターンをマスクとして、O2 プラズマアッシングによりHIMAL層のパターニングを行い、最後にマスクとして使用したOFPRパターンを剥離することで図3に示す密着層を形成した。
【0030】
次いで、図4に示すように、基板1上に東京応化工業(株)社製ポジレジストODUR1010から成るインク流路パターンを形成した。
【0031】
更に、表1記載の樹脂組成物を適当な溶媒に溶解させたもの8を基板1上にソルベントコートにて形成し、フォトリソグラフィーによって極小オリフィス9(φ8μm)を形成した(図5参照)。
【0032】
次いで、前記基板1をSi異方性エッチングし、インク供給口10を形成した(図6参照)。
【0033】
次いで、インク供給口上のSi膜及びODURから成るインク流路パターン7を除去し、更にノズル構成部材である前記エポキシ樹脂8を完全に硬化させるために、200℃/1時間加熱を行い、インクジェット記録ヘッドを得た(図7参照)。
【0034】
次いで、作製したインクジェット記録ヘッドで前述の高アルカリインクを用いて50000枚テストプリントを行ったところ、インク流路壁の構成部材に比較例1の樹脂組成物を用いたものは吸インクによる体積膨潤によるオリフィス変形が大きく、若干の画像の乱れを生じた。これに対して、インク流路壁構成部材に実験例1,2の樹脂組成物を用いたものは画像の乱れが生じなかった。
【0035】
以上のように本発明に係る実施の形態においては、何れもインク流路壁の吸インクによる体積膨潤が少なく長時間安定したインク吐出が可能である信頼性の高いインクジェット記録ヘッドが得られる。
【0036】
【表1】


【0037】
【表2】


【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。
【図2】本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。
【図3】本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。
【図4】本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。
【図5】本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。
【図6】本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。
【図7】本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 Si基板
2 インク吐出圧力発生素子
3 インク供給口
4 SiN膜
5 Ta膜
6 密着膜
7 インク流路パターン
8 ノズル構成部材
9 吐出口
10 インク供給口




 

 


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