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発明の名称 液体収納容器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−1210(P2007−1210A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−185745(P2005−185745)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
代理人 【識別番号】100077481
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 義一
発明者 北畠 健二 / 松尾 圭介 / 安間 弘雅
要約 課題
インク残量検出および状態表示の双方に発光素子を好ましく用いることができるようにしたインクタンクの構成を提供する。

解決手段
液体収納室内に存在する液体または気体との界面を形成する透光性を有し、照射された光を界面の状態に応じてインクジェット記録装置の受光素子に向けて反射可能に配置された光学被検出部を有する液体収納容器にあって、発光素子発光素子が発する光を、光学被検出部に照射可能とするとともに、液体収納容器の状態に係る情報を表示するために出射可能とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
インクジェット記録装置に対し着脱可能に搭載され、該装置で用いられる液体を収納するための液体収納室を有する液体収納容器であって、
前記インクジェット記録装置による駆動に応じて発光する発光素子と、
前記液体収納室内に存在する液体または気体との界面を形成する透光性を有し、照射された光を前記界面の状態に応じて前記インクジェット記録装置の受光素子に向けて反射可能に配置された光学被検出部と、
を具え、前記発光素子が発する光を、前記光学被検出部に照射可能とするとともに、前記液体収納容器の状態に係る情報を表示するために出射可能としたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項2】
前記発光素子の光を出射することで前記情報を表示するための表示部と、該表示部に対して前記発光素子からの光を導くための導光部を具えたことを特徴とする請求項1に記載の液体収納容器。
【請求項3】
前記発光素子は、赤外光成分および可視光成分をもつ光を発する素子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体収納容器。
【請求項4】
前記液体としてのインクを収納してなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液体収納容器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収納容器に関し、詳しくは、インクジェット記録で用いられるインクタンクのインク残量をLEDなどの発光素子を用いて検知する構成に適用される液体収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、液体収納容器(インクタンク)が収納しているインクの残量の有無を把握しておくことが望ましい。例えば、インクタンク内のインク残量が実質的にないことが分かれば、記録を始める前に予め新しいインクタンクに交換しておくことで、記録の途中でインク量不足のために記録媒体が無駄になったりすることで記録不能となる事態を未然に防止できるからである。
【0003】
インクタンク内のインク残量を検出する方式として、特許文献1には、記録装置本体側に発光素子を設けたものが開示されている。そして、発光素子から出射した光が、光透過性部材によって形成されたインクタンクのインクとの界面におけるインク有無による全反射条件の変化によって異なる経路をたどるようにすることでインク残量の有無が検知されるようにしている。特に、その図1にはインクが無くなったときに、発光素子が発した光がユーザの目視に供される位置に導かれるようにした構成が記載されている。また、その図4から図6には、インクが無くなったときに、発光素子が発した光が装置本体に設けた受光素子に入射するようにした構成が記載されている。この場合、受光素子に光が入射することで、受光素子の出力値が一定の閾値を超えた場合に、インクの残量が無くなったことを検出することが可能となる。
【0004】
かかる構成は、インクタンク内のインク残量の有無を直接的に検知できることから好ましい構成である。
【0005】
【特許文献1】特開平7−218321号公報
【特許文献2】特開平4−275156号公報
【特許文献3】特開2002−301829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1が開示する残量検知システムにおいては、発光素子がインクタンクとは別体に構成され、記録装置本体に設けられている。このような場合、インクジェット記録ヘッドからインク吐出に伴って発生するインクミストがセンサに堆積し、長期間にわたる記録装置の使用により、発光素子の発光光量の低下を招くおそれがある。このような光量低下が起こると、インクタンクのインクが消費され、光透過性部材によって形成されたインクタンクのインクとの界面が反射条件になり、ユーザの目または受光素子に入射する光路が形成された場合においても、正確な認識を行えなくなるおそれがある。すなわち、ユーザが十分な視認を行えなくなったり、あるいは受光素子の出力値が一定の閾値を超えることができず、インク残量があるものと誤検知してしまうおそれがある。
【0007】
一方、近年、デジタルカメラ等の普及に伴って、パーソナルコンピュータ(PC)を介さずにデジタルカメラと記録装置としてのプリンタとを直接接続して印刷する用途(ノンPC記録が増えつつある。ノンPC記録には、デジタルカメラに着脱可能に用いられる情報記憶媒体であるカードタイプの情報記憶媒体を直接プリンタに装着してデータ転送を行い、印刷を行う形態も増えつつある。また、プリンタとスキャナとを一体化してPCを介さない複写機能を持つとともに、さらには上記のダイレクト印刷機能をも併せもつ、所謂マルチファンクションプリンタも急速に市場に普及してきている。
【0008】
これらのようなノンPC記録を行う場合は、プリンタ本体にディスプレイを設け、それらの情報を表示することが考えられる。しかしながら、ディスプレイを設けると、その分コストアップやプリンタの大型化が生じるだけでなく、プリンタのデザイン等にも影響を及ぼすことになる。従って、特に低廉かつ小型のプリンタを実現する上ではディスプレイを設けることが好ましくない場合もある。また、ディスプレイを設けたとしても、ユーザがこれを視認して一目瞭然にインクタンクの状態を把握できるとは限らない。
【0009】
これに対して従来、インクタンクの状態をユーザに報知する構成として、LEDなどの発光素子を用いたものが知られている。特許文献2には、記録ヘッドと一体のインクタンクに2つのLEDが設けられ、これらが2段階のインク残量に応じてそれぞれ点灯することが記載されている。より具体的には、インクジェットヘッドとインクタンクとを一体化したインクカートリッジにインクジェットヘッドの通電回数をカウントする手段と、カウント値を記憶する手段と、カウント値の累積値がニアエンド判定値に達すると点灯するニアエンド表示用LEDと、インクエンド判定値に達すると点灯するインクエンドLEDとが採用されており、インクタンクの状態をユーザに報知するようにしている。特許文献3にも同様に、インクタンクまたはこれを搭載するキャリッジに、インク残量に応じて点灯するランプを設けることが記載されている。また、同文献では、記録装置で用いる4つのインクタンクそれぞれに上記のランプを設けることも開示されている。
【0010】
一方、さらなる高画質化の要求から従来の4色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)インクに、濃度の薄い淡色マゼンタ、淡色シアンといったインクが使われるようになってきており、さらにはレッド、グリーン、ブルーといったいわゆる特色インクの使用も提案されてきている。このような場合、インクジェットプリンタに対しては7〜9個といったインクタンクを個別に搭載することになる。
【0011】
かかる状況下、特許文献2,3に開示されるところに従えば、ノンPCやディスプレイをもたないプリンタにおいて、同形状もしくは類似形状のインクタンクが複数並んでプリンタに搭載されていても、情報の表示部が各インクタンクに存在するため、対象のインクタンクがどれであるかをユーザに対して視覚的にかつ直感的に理解させることができるという利点がある。
【0012】
本発明は、インクタンクに発光素子を配設する場合の利点を活用しながら、特許文献1に関連した上記問題を解決し得る液体収納容器の構成、すなわちインク残量検出および状態表示の双方に発光素子を好ましく用いることができるようにした液体収納容器の構成を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明の他の目的は、発光素子の配設位置の制約を受けることなく、すなわちインク残量検出用に好ましい発光素子の配設位置と、状態表示に好ましい表示位置とが異なっている場合にも、インク残量検出および状態表示を適切に行うことのできる液体収納容器の構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのために、本発明は、インクジェット記録装置に対し着脱可能に搭載され、該装置で用いられる液体を収納するための液体収納室を有する液体収納容器であって、
前記インクジェット記録装置による駆動に応じて発光する発光素子と、
前記液体収納室内に存在する液体または気体との界面を形成する透光性を有し、照射された光を前記界面の状態に応じて前記インクジェット記録装置の受光素子に向けて反射可能に配置された光学被検出部と、
を具え、前記発光素子が発する光を、前記光学被検出部に照射可能とするとともに、液体収納容器の状態に係る情報を表示するために出射可能としたことを特徴とする。
【0015】
ここで、前記発光素子の光を出射することで前記情報を表示するための表示部と、該表示部に対して前記発光素子からの光を導くための導光部を具えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、液体収納容器に設けた発光素子を利用して状態表示を行うことができるとともに、発光素子から出射された光によってインク残量検知を行うことができるようにすることでインクミストの付着による光量低下の影響を受光素子のみとすることができる。すなわち、発光素子は、交換部品である液体収納容器に取り付けられており、インクミストがある程度付着した時点では、インクタンク内のインクが消費されており、インクミストが付着していない新たな液体収納容器へと交換されることになる。発光素子および受光素子に付着するインクミストによる出力値低下の割合を、1:1とすると、発光素子のインクミストの影響がなくなることにより、出力値低下の速度を半分にすることができ、プリンタシステムの寿命を約2倍にすることができる。
【0017】
また、例えば表示を行うために光を出射する部分まで発光素子が発する光の導光を行うようにすることで、インク残量検出用に好ましい発光素子の配設位置と状態表示に好ましい表示位置とが異なっている場合にも、インク残量検出および状態表示を適切に行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0019】
(インクタンクの第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液体収納容器(インクタンク)の側面図である。この図において、インクタンクの右側の面がユーザに向き合うことでその操作(着脱操作等)およびユーザへの情報提供を可能とする面であり、以下の説明においてはこの面をインクタンクの正面という。また、この面と対向する面(図1の左側の面)を背面と称する。
【0020】
本実施形態のインクタンク1は、ポリプロピレン等の透明な部材でなり、適宜の部位に設けた不図示の支持部材によって後述のタンクホルダないしプリンタに対し着脱可能に支持される。インクタンク1の底面には、タンクホルダへの装着時に、後述する記録ヘッドのインク導入口と結合してインク供給を行うためのインク供給口2が設けられている。
【0021】
インクタンク1の内部は、正面側に位置するインク収納室11と、背面側に位置してインク供給口2に連通する負圧発生部材収納室13とに分割されており、両者は連通口12を介して接続されている。インク収納室11にはインク3がそのまま貯留される一方、負圧発生部材収納室13には、インクを含浸保持するスポンジ状の多孔質材や繊維集合体等のインク吸収体13Aが設けられている。このインク吸収体は、記録ヘッドのインク吐出用のノズル部に形成されるメニスカスの保持力と平衡してインク吐出部からのインク漏れを防止するに十分で、かつ記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある適切な負圧を発生するためのものである。
【0022】
なお、インクタンク1の内部構成は、このような負圧発生部材の収納室とインクをそのまま貯留する収納室とに分かれた形態に限られない。例えば、インク吸収体でなる負圧発生部材がインクタンク内部空間の実質的に全体に充填されるものでもよい。また、負圧発生手段として多孔質部材等のインク吸収体を用いるのではなく、容積を拡張する方向に張力を発生するゴム等の弾性材料で形成した袋状部材内にインクをそのまま充填し、この袋状部材が発生する張力によって内部のインクに負圧を作用するようにしたものでもよい。さらには、インク収容空間の少なくとも一部を可撓性部材で構成し、その空間内にインクだけを収容するとともに、可撓性部材にばね力を作用させることで負圧を発生させるようにしたものでもよい。
【0023】
インクタンク1の正面側に位置するインク収納室11の底部には、底面に対し45゜の傾斜面をもつ光学被検出部21が設けられ、収納されたインク3と接触する界面を持つ。また、インクタンク1の正面側の下部は正面方向に突出しており、その突出部分には凹部17が設けられ、その凹部17に面して基板52が配設されている。基板52上には可視光を発光可能な発光素子51が実装されている。発光素子51の実装位置は、インクタンク1を正面側から望むときに光学被検出部21と重畳する部位であり、すなわち発光素子51の発する光が光学被検出部21を照射することのできる位置である。また、インクタンク1には、上記突出部分から連続して上方に延在するように導光部15が設けられ、発光素子51の発する光はこの導光部15にも受容されるようになっている。
【0024】
そして、インクタンク1がプリンタ(後述)に搭載されると、基板52上に設けた不図示の接点がプリンタ側に用意されたコネクタと接触することで、基板52とプリンタの制御部とが電気的に接続される。当該電気的接続により発光素子51の発光制御が可能となり、発光に応じて次のような動作を行うことが可能となる。
【0025】
プリンタ側には、インクタンク1を底面側から望むときに光学被検出部21と重畳可能な適宜の部位に、受光素子101が配設される。従って、当該部位の上方にインクタンク1が存在するときに発光素子51を発光させ、その光が光学被検出部21を介して受光素子101に入射したか否かに応じて、インク収納室11内のインクの有無を判定可能となる。
【0026】
また、発光部51が発光したときにこれを導光部15に受容して導光し、導光部15の上端部16から光を出射させるようにしたことで、ユーザ等への表示を行うことが可能となる。
【0027】
図2および図3を用いてこれらの動作を詳述する。
図2はインク収納室11にはインク3が収納されている場合であり、発光素子51から出射した光は、光学被検出部21へと進入する。光学被検出部21のインクとの界面9に対し光は45゜の角度で入射する。ここで、インクタンク1がポリプロピレンでなるものである場合、その屈折率は1.48である。また、収納されているインク3の屈折率が1.33であるとすると、スネルの法則により、
sinθ=1.48/1.33×sin45°
θ=51.9°
となり、光は界面9から約51.9°の出射角で屈折し、インク3中へ透過することになる。すなわち、受光素子101へ光は到達せず、受光素子の出力値は0となる。
【0028】
次に、図3はインクが消費されてインク収納室11にインクが収納されていない場合を示している。発光素子51から出射した光は、光学被検出部21のインクとの界面9に対し45゜の角度で入射するが、ポリプロピレンの屈折率は1.48、空気の屈折率が1.00であることから、スネルの法則により、
sinθ=1.48/1.00×sin45°>1
となり、全反射条件となる。従って、界面9に対して45゜の角度で全反射された光は、受光素子101へ到達し、有意の出力値を持つ。この出力値をプリンタの制御部が判別することで、インク残量がなくなったと判断することができる。
【0029】
一方、図2および図3に示すように、発光素子51から出射した光は導光部15にも受容される。この光は導光部15内で導かれ、上端部16から外部へ向かって出射される。ここで、導光部15はインクタンク1の突出部分から延在しており、従ってインク収納室11からは空気層を介して隔てられている。従って、インク収納室11内のインクの有無に係わらず、常に安定した導光をすることが可能である。すなわち、図2および図3のいずれの状態においても上端部16の光出射状態は一定となるので、導光部15の上端部16を表示部として用いて、インクタンク1に係る所定の情報をユーザに直接提示することが可能となる。
【0030】
インクタンク1の所定の情報とは、インクタンク1の装着状態の良否(すなわち装着が完全であるか否か)、装着位置の適否(インク色に対応して予め定められているホルダ上の装着位置に正しく装着されているか否か)、さらにはインク残量の有無(十分なインク量が残っているか否か)などである。これらの情報は、適宜の手段を用いてプリンタの制御部が取得するものであり、当該取得の内容に応じて発光素子51の発光の有無や発光の状態(点滅など)を制御することにより、ユーザに対するそれらの情報の提示が可能となるのである。
【0031】
また、本実施形態では、状態表示を行う位置がインクタンク正面側上部にある一方、発光素子51の実装位置は、インクタンク1を正面側から望むときに光学被検出部21と重畳する正面側の下部にあるが、これらのように両位置が異なっている場合にも、インク残量検出および状態表示を適切に行うことができる。
【0032】
なお、情報提示の際には、必ずしも光学被検出部21が受光素子101と対向する部位にインクタンク1を設定しなくてもよい。ユーザの目視に供し易い位置とすることができる。
【0033】
また、導光部15の上端部16による表示は、ユーザの目視に供するだけでなく、プリンタ側で実行される適宜の制御に供することも可能である。例えば、導光部15の上端部16から出射される光の軸の延長上に位置可能な適宜の部位に、受光素子101とは別の受光部210を配するとともに、当該部位にインクタンク1が位置したときに発光部101の発光を制御することで、プリンタ側は受光素子の受光内容からインクタンク1に係る所定の情報を取得することが可能となる。例えば、インクタンク1の装着状態の良否や装着位置の適否などの情報である。すなわち本発明にいう「表示」とは、ユーザの目視と、プリンタ側で実行される適宜の制御との少なくとも一方に供されるものである。
【0034】
(インクタンクの第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係るインクタンクの側面図である。ここで、上記第1の実施形態と同様に構成される各部には対応箇所に同一の符号を付してある。
【0035】
図4において、本例に係る光学被検出部21は、図の水平方向に対して10゜傾いた界面Aと、同じく水平方向に対して57.5゜傾いた界面Bと、水平方向に対して垂直になった界面Cとからなる。
【0036】
また、インクタンク1の図中の右下斜面(インクタンク正面と底面とが交差する部位)には、基板52が図の水平方向に対して例えば45゜傾いた状態で配置され、基板52上には可視光を発光可能な発光素子51が実装されている。その実装位置は、光学被検出部21の界面Aを照射することのできる位置である。また、発光素子51の発する光は正面側斜め上方にも出射されるようになっている。
【0037】
そして、インクタンク1がプリンタ(後述)に搭載されると、基板52上に設けた不図示の接点がプリンタ側に用意されたコネクタと接触することで、基板52とプリンタの制御部とが電気的に接続される。当該電気的接続により発光素子51の発光制御が可能となり、発光に応じて次のような動作を行うことが可能となる。
【0038】
図5および図6を用いてその動作を説明する。
図5はインク収納室11にはインク3が収納されている場合であり、発光素子51から出射した光は、光学被検出部21へと進入し、界面Aに到達する。光学被検出部21のインクとの界面9に対し光は55゜の角度で入射する。ここで、インクタンク1がポリプロピレンでなるものである場合、その屈折率は1.48である。また、収納されているインク3の屈折率が1.33であるとすると、スネルの法則により、
sinθ=1.48/1.33×sin55°
θ=65.7°
となり、光は界面Aから65.7°の出射角で屈折し、インク中へ透過することになる。すなわち、受光素子101へ光は到達せず、受光素子の出力値は0となる。
【0039】
次に、図6はインクが消費されてインク収納室11にインクが収納されていない場合を示している。発光素子51から出射した光は、光学被検出部21のインクとの界面Aに対して55°の角度で入射するが、ポリプロピレンの屈折率は1.48、空気の屈折率が1.00であることから、スネルの法則により、
sinθ=1.48/1.00×sin55°>1
となり、全反射条件となる。
【0040】
このように界面Aに対して55°の角度で全反射された光は、界面Bへと進入し、57.5°の角度で入射するが、ここでも、スネルの法則により、
sinθ=1.48/1.00×sin57.5°>1
となり、全反射条件となる。従って、界面Bに対して57.5°の角度で全反射された光はインクタンクの外へ出射され、受光素子101へ到達するので、受光素子101は出力値を持つことになる。この出力値をプリンタが判別し、インク残量がなくなったと判断することができる。
【0041】
一方、インクタンク正面と底面とが交差する部位に基板52が傾いて配置されていることから、図5および図6に示すように、発光素子51から出射した光は正面側斜め上方すなわちユーザの目に向かう方向にも進む。これは、インク収納室11内のインクの有無には関わりなく、従ってインクタンク1に係る所定の情報をユーザに直接提示することが可能となる。所定の情報とは第1の実施形態で説明したものと同様である。
【0042】
本実施形態の場合、インクタンクの正面側斜め上方にも発光素子51から光が出射するよう発光素子51を傾けて配置しているが、発光素子51がそのような姿勢で配置される場合でも、光学被検出部21を適切に構成することで、状態表示だけでなくインク残量検出を適切に行うことができる。
【0043】
なお、本実施形態においても、第1の実施形態について述べたような同様の変形を加えることが可能である。また、本実施形態の場合、光を斜め上方に導くような積極的な導光部を設けていないが、これを設けることも可能である。
【0044】
また、光学被検出部21に関し複数の界面で光が反射されながら受光素子101に向かうようにした上記構成をとる代わりに、光学被検出部21について第1実施形態と同様の単一の界面をもつようにするとともに、その界面に向けて発光素子51が発する光を同行する導光部を設けた構成としてもよい。
【0045】
(インクタンクの他の実施形態)
本発明は、上記第1および第2の実施形態に限られることなく、適宜の構成とすることができるのは勿論である。
【0046】
図7は第3の実施形態に係るインクタンクの側面図であり、上記第2の実施形態に対して、第1の実施形態で述べたような導光部を配設したものである。かかる構成における受光素子および導光部上端部16への光の進行については、それぞれ、第2および第1の実施形態について説明したものと同様である。
【0047】
図8は第4の実施形態に係るインクタンクの側面図であり、第3の実施形態の構成に対し、導光部15の上端に45°の傾きをもつ傾斜面18を形成したものである。
【0048】
基本的な動作は上述と同様であるが、発光素子51が発光すると、光は導光部15を介して傾斜面18へと案内され、ここで反射された光が導光部上端付近の側部19から出射される。すなわち、当該部分19がインクタンクの状態表示用の表示部をなす。ユーザはその発光状態を目視することによりインクタンク1に係る所定の情報を認識することが可能となる。ここで、傾斜面18により反射された光を好ましく出射させるためには、傾斜面18の光軸に対する傾斜角θを材質に応じて適切に設定すればよい。
【0049】
この実施形態では、発光素子51からの光を受容する導光部15の端部とは反対側の端部に傾斜面18を形成することで、表示部に向けて光軸を屈曲させる構成である。しかしこのように光軸を屈曲させる構成としては、例えば、導光部15自体を湾曲形状としたものであってもよい。
【0050】
以上の諸例では、ユーザによる目視が可能なように発光素子51に可視光源を用いたが、赤外光および可視光の両波長域にわたる光を発光する発光素子を用いてもよい。インクタンク1に収納するインクの種類によっては、インク中の色材が光学被検出部の界面に沈着することがある。一般に色材は可視光域の吸収特性を有するため、インク収納室11のインクが消費され、界面の全反射条件を満たす状態になった場合においても、沈着した色材により可視光が吸収され、受光素子101へ到達する光量が低下する場合がある。その場合、色材の吸収特性の影響を比較的受け難い赤外光成分をもつ光を、インク残量検知用の光源として用いることは有効である。
【0051】
また、導光部を用いる場合には、必ずしもインクタンク1の本体と予め一体に成形されてなるものでなくてもよい。すなわち、別体に構成されたインクタンク本体および導光部の形成部材を相互に分離可能または分離不能に一体化されるものであってよく、少なくとも使用時において一体となるようなものであればよい。この場合において、導光部は、光透過性ないし導光性のある材料であればインクタンク本体と同じまたは異なる材料で形成されるものであってよく、例えばポリプロピレンやポリカーボネイトで形成されたものとすることができる。さらに、導光部には、その側面から外部への光の透過を抑え、導光を効率良く行うための手段が付加されていてもよい。また、導光部の光出射部分の形状を略半球状にし、あるいは光の好ましい散乱が生じるよう表面を粗くする処理を施し、当該部分からの出射光を拡散させることで、ユーザの目視可能な角度(範囲)を広くすることもできる。さらに導光部としては、透明な部材で形成する代わりに、コアとクラッドとからなる光ファイバを適用してもよいし、中実の部材とせずに光を反射する内側面をもつ中空部材(ステンレスパイプなど)を採用してもよい。
【0052】
(インクタンクを用いるプリンタの実施形態)
図9は、以上説明したいずれかの実施形態に係るインクタンクを装着して記録を行うインクジェットプリンタ191の外観を示す図である。
【0053】
図9に示すように、本実施形態のプリンタ191は、記録ヘッドおよびインクタンクを搭載したキャリッジが走査のための移動をして記録を行う機構などプリンタの主要部分が、本体カバー192およびその他のケース部分によって覆われているプリンタ本体と、その前後にそれぞれ設けられる排紙トレイ194と、自動給紙装置(ASF)193とを備えたものである。また、本体カバーを閉じた状態および開いた状態の両方で本プリンタの状態を表示するための表示器、電源スイッチおよびリセットスイッチを備えた操作部195が設けられている。
【0054】
図10は、図9に示すプリンタの本体カバー192を開放して、その内部構成を一部露出させた状態で示す斜視図である。その内部構成は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)のインクがそれぞれ注入されたインクタンク1を複数用いるカラープリンタ用のエンジンを具えたものである。しかしインクの色調(色および濃度を含む)がこれに限られないことは勿論であり、3色調以下または5色調以上のインクを用いる場合にも本発明が有効に適用できることは言うまでもない。また、インクタンク1には、第1の実施形態に係るものを用いるものとする。しかし他の実施形態のインクタンクに合わせて、プリンタ側の構成を採用できることも勿論である。
【0055】
本体カバー192を開放した状態では、図10に示すように、ユーザは、記録ヘッドユニット162およびブラックインクタンク1K、イエローインクタンク1Y、マゼンタインクタンク1M、シアンインクタンク1C(以下、これらのインクタンクを区別しない場合には、これまでの説明と同様、同一の符号「1」を用いて参照する)を搭載したキャリッジ196が移動する範囲およびその周辺を見ることができる。実際は、本体カバー192を開けると、キャリッジ196が自動的に同図に示すほぼ中央の位置(以下、「タンク交換位置」ともいう)へ移動するシーケンスが実行され、ユーザは、このタンク交換位置でそれぞれのインクタンクの交換操作などを行うことができる。
【0056】
本実施形態のプリンタは、記録ヘッドユニット162に各色のインクに対応したチップ形態の記録ヘッド(不図示)が設けられ、これら各色の記録ヘッドがキャリッジ196の移動によって用紙などの記録媒体に対して走査を行い、この走査の間に記録媒体にインクを吐出して記録を行うものである。すなわち、キャリッジ196は、その移動方向に延在するシャフト198と摺動可能に係合するとともに、キャリッジモータおよびその駆動力伝達機構によって、上述の移動をすることができる。そして、K、Y、MおよびCのインクに対応したそれぞれの記録ヘッドでは、フレキシブルケーブル197を介して本体側の制御回路から送られる吐出データに基づいてインク吐出が行われる。また、紙送りローラや排紙ローラなどの紙送り機構が設けられ、自動給紙装置193から給紙された記録媒体(不図示)を排紙トレイ194まで搬送することができる。
【0057】
キャリッジ196には、インクタンクホルダを一体に備えた記録ヘッドユニット162が着脱自在に装着される。そして、この記録ヘッドユニット162に対してそれぞれのインクタンク1が着脱自在に装着される。すなわち、本実施形態の場合、記録ヘッドユニット162を介して各インクタンク1がプリンタ191に装着されるものであり、上述した基板52に対する電気的接続もフレキシブルケーブル197およびそのコネクタと結合する記録ヘッドユニット162の電気的接続部材を介して行われることになる。なお、インクタンク1は対応する色の記録ヘッドと分離不能に一体となってプリンタのキャリッジに搭載されるものでもよく、また記録ヘッドと別体にプリンタの固定部位に装着可能とされ、可撓性のチューブ等を介して記録ヘッドに対しインクを供給するものであってもよい。
【0058】
図10の構成のプリンタは、記録動作に際し、記録ヘッドが上記の移動によって走査しその間にそれぞれの記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録ヘッドにおける吐出口に対応した幅の領域に記録を行うとともに、この走査と次の走査の間に、上記紙送り機構によって上記幅に応じた所定量の紙送りを行うことにより、記録媒体に対して順次記録を行ってゆく。また、上記のキャリッジ移動による記録ヘッドの移動範囲の端部には、各記録ヘッドについてその吐出口が配設された面を覆うキャップなどの吐出回復ユニットが設けられている。これにより、記録ヘッドは所定の時間間隔で回復ユニットが設けられた位置へ移動して、予備吐出などの回復処理を行う。
【0059】
各インクタンク1のタンクホルダ部を備えた記録ヘッドユニット162には、上述したように、各インクタンクに対応してコネクタが設けられており、それぞれのコネクタは装着されるインクタンク1に設けられている基板のパッドと接触する。これにより、それぞれの発光素子51について、シーケンスに従った点灯ないし点滅の制御が可能となる。
【0060】
具体的には、上記のタンク交換位置では、それぞれのインクタンク1についてインク残量が少なくなったとき、その該当するインクタンク1の発光素子51を点灯もしくは点滅させる。その光が導光部を通り、表示部16が点灯もしくは点滅する。さらに、発光素子の点灯などの制御の他の例として、上記タンク交換位置で、インクタンク1が正しく装着されたときにそのタンクの発光素子51を点灯させる制御を行う。これらの制御は、記録ヘッドのインク吐出などの制御と同様、フレキシブルケーブル197を介して本体側の制御回路からそれぞれのインクタンクに対して制御データ(制御信号)が送られることによって実行される。
【0061】
また、キャリッジの移動範囲において、上述の回復ユニットが設けられた位置と反対側の端部付近には、受光素子101が設けられている。これにより、キャリッジ205の移動に伴ってそれぞれのインクタンク1の発光素子51がこの受光素子101を通過する際に発光し、その光を受光したときのキャリッジ205の位置に基づいてキャリッジ205におけるそれぞれのインクタンク1のインク残量を検出することができる。
【0062】
記録動作に伴って記録ヘッドから発生するインクミストは、インクタンク1に設けられた発光素子およびインクジェットプリンタに設けられた受光素子ともに堆積し、それぞれの発光光量および受光光量の低下を招く。しかし、交換部品であるインクタンク1に取り付けらた発光素子は、インクタンク1の交換と共に常に更新される。すなわち、発光素子は、インクミストがある程度付着した時点では、インクタンク内のインクが消費されており、インクミストが付着していない新たなインクタンクへと交換されることになる。従って、インク残量検出システムとしてインクミストの影響を受けるのは受光素子のみとなる。
【0063】
つまり、従来のインク残量検出システムのように発光素子および受光素子の双方がプリンタに設けられているものに比べて、インクミストによる光量低下の影響を受けにくく、インクジェットプリンタのインク残検システムを長期間に渡って安定して利用することができる。例えば、発光素子および受光素子に付着するインクミストによる出力値低下の割合が1:1であるとすると、本願発明の構成では、発光素子のインクミストの影響がなくなることにより、出力値低下の速度を半分にすることができ、インク残量検出システムないしプリンタの寿命を約2倍にすることができることになる。
【0064】
また、インクタンクに発光素子が設けられていることで、インクタンクの状態表示を行う報知手段としての機能をユーザに提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインクタンクの模式的側断面図である。
【図2】図1のインクタンクを用いる動作説明図であり、インクタンクにインク残量が十分にある場合を示している。
【図3】図1のインクタンクを用いる動作説明図であり、インクタンクにインク残量が実質的に無い場合を示している。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るインクタンクの模式的側断面図である。
【図5】図4のインクタンクを用いる動作説明図であり、インクタンクにインク残量が十分にある場合を示している。
【図6】図4のインクタンクを用いる動作説明図であり、インクタンクにインク残量が実質的に無い場合を示している。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るインクタンクの模式的側断面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係るインクタンクの模式的側断面図である。
【図9】本発明のインクタンクを装着して記録を行うインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図10】図9のプリンタをその本体カバーを取り外して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0066】
1 インクタンク
2 インク供給口
3 インク
9、A、B、C 界面
11 インク収納室
15 導光部
16 導光部上端部
18 導光部の斜面部
19 導光部の光出射部
21 光学被検出部
51 発光素子
52 基板
101 受光素子
162 記録ヘッドユニット
191 インクジェットプリンタ
192 本体カバー
193 自動給紙装置
194 排紙トレイ
195 操作部
196 キャリッジ
197 フレキシブルケーブル
198 シャフト




 

 


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